(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、セラミック成形用乾燥収縮低減剤に関するものであり、具体的にはイオン交換水で飽和膨潤した状態における平均粒子径が0.01〜10μmであり、常圧におけるイオン交換水の吸水量が0.1〜60mL/gであ
って、アルカリで中和された酸性官能基が2.0mmol/g以下である重合体微粒子を含むセラミック成形体の乾燥収縮低減剤及びこれを用いたセラミック成形体の乾燥収縮低減方法に関する。
本発明の乾燥収縮低減剤は、セラミック粉体、バインダー及び水などと共に混練され、押出成形等のセラミック成形において用いられる。
以下、本発明のセラミック成形体の乾燥収縮低減剤、及び本発明の乾燥収縮低減剤を用いたセラミック成形体の乾燥収縮低減方法について詳しく説明する。尚、本願明細書においては、アクリル酸又はメタクリル酸を(メタ)アクリル酸と表す。
【0011】
本発明で使用される重合体微粒子は、イオン交換水で飽和膨潤した状態における重合体微粒子の平均粒子径が0.01〜10μmの範囲であることが必要であり、好ましくは0.1〜10μmの範囲である。平均粒子径が10μmを超えると得られたセラミック成形体の気孔特性に影響を及ぼす場合がある。一方、重合体微粒子の平均粒子径は一般的に0.01μmを下回ることはない。
【0012】
さらに、常圧における上記重合体微粒子のイオン交換水の吸水量は0.1〜60mL/gの範囲である必要があり、好ましくは0.1〜20mL/gの範囲である。上記吸水量が0.1mL/g未満の場合はバインダー相の含水量を十分に低減することができないため、乾燥収縮低減効果が不十分となる。一方、吸水量が60mL/gを越える場合、重合体微粒子の吸水量が大きくなりすぎるためにセラミックの混練に使用する水量を増やさなければ混練できず、結果として乾燥収縮が低減されない場合がある。
【0013】
本発明による乾燥収縮低減剤を用いた場合の効果は、以下のような機構によるものと推定している。
まず、それ自身が微粒子形状を有するために坏土の流動性を高める働きを有する。このため少ない水の量でも押出成形等が可能となり、乾燥時の収縮が低減される。
さらに、本発明の重合体微粒子は吸水性を有するため、バインダー相中に配された重合体微粒子が近傍のバインダー相から水を吸水し、結果として該バインダー相において水分の偏在化が生じる。乾燥工程では、マトリックスとしてのバインダーは比較的水分が少ないためにその収縮が抑えられる。一方で、吸水した重合体微粒子は乾燥によりそれ自身の体積は減少するものの、バインダー相の中では重合体微粒子の体積減少分に応じたボイドが形成されるため、バインダー相全体としての収縮が低減される。
【0014】
本発明で使用される重合体微粒子は、アルカリで中和された酸性官能基が3.0mmol/g以下であることが好ましく、2.0mmol/g以下であることがより好ましい。ここで酸性官能基はカルボン酸(塩)、又はスルホン酸(塩)等の酸性基を有するビニル系単量体を使用することにより導入される。また、これとは別にアルキルエステル(メタ)アクリレート等を用いて重合体を得た後、アルカリによりケン化することによっても得られる。3.0mmol/gを超える場合、重合体微粒子の吸水力が強くなりすぎるためにセラミックの混練に使用する水量を増やさなければ混練できず、結果として乾燥収縮が低減されない場合がある。
【0015】
上記酸性基を有するビニル系単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸モノブチル、マレイン酸モノブチル、シクロヘキサンジカルボン酸などのカルボキシル基を有するビニル系単量体またはそれらの(部分)アルカリ中和物;アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレートなどのリン酸基を有するビニル系単量体またはそれらの(部分)アルカリ中和物;2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルホスホン酸、ビニルホスホン酸などのスルホン酸基またはホスホン酸基を有するビニル系単量体またはそれらの(部分)アルカリ中和物を挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
【0016】
本発明で使用される重合体微粒子は、実質的にノニオン性不飽和単量体のみからなる単量体混合物を重合することにより得られたものであることが好ましい。重合体微粒子がノニオン性不飽和単量体のみから構成された場合は乾燥工程での乾燥ムラが生じ難く、最終製品の外観不良(反り、ひび割れ等)を抑制できる。また、「実質的に」とは酸性基、又はカチオン性基等のイオン性基を有する単量体を意図的に使用しないことを意味する。
【0017】
上記ノニオン性不飽和単量体の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有単量体;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のオキシエチレン基含有単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜3の(メタ)アクリル酸エステル;メトキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
これらの中で水酸基含有単量体、アミド基含有単量体及びオキシエチレン基含有単量体は、重合性及び水に対する溶解性に優れ、親水性に富む重合体微粒子が効率良く得られる点で好ましい。
【0018】
また、本発明では上記した不飽和単量体の他に架橋剤を用いることが好ましい。
【0019】
架橋剤としては、上記ノニオン性不飽和単量体とラジカル重合可能な基を2個以上有するビニル系単量体であればいずれでもよく、具体例として、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性物のトリ(メタ)アクリレートなどのポリオール類のジまたはトリ(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミドなどのビスアミド類、ジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレートなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
また、グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル、N−メチロールアクリルアミド等、重合後にカルボキシル基や水酸基等の官能基と反応させて架橋するタイプの架橋剤でも良い。
【0020】
これらの中でも、多官能ビニル系単量体としてはポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよびメチレンビス(メタ)アクリルアミドが、ベースをなす親水性ビニル系単量体および水の混合液に対する溶解度に優れ、高架橋密度を得るために使用量を多くする際に有利であり好ましく用いられ、特に好ましくはポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートである。
【0021】
上記架橋剤の使用割合は、使用するビニル系単量体の種類に応じて異なり得るが、重合体微粒子に架橋特性が必要な場合には、全単量体中0.01〜90mol%含まれることが好ましく、0.05〜50mol%であることがより好ましい。0.01mol%以上であれば微粒子の強度が確保され、90mol%以下の場合は十分な吸水性能を得ることができる。
【0022】
本発明の重合体微粒子を製造する方法としては、逆相乳化重合、分散重合、逆相懸濁重合、沈殿重合、塊状重合等の公知の重合方法を用いることができる。
沈殿重合、塊状重合等のように重合物が凝集物、或いは塊状物として得られる場合は電動石臼、ピンミル、又はジェットミル等で解砕して微粒子としても良い。
粒度分布が狭く、粉末状の重合体微粒子が得られる点では、分散重合、及び逆相懸濁重合が好ましい。単分散微粒子とすることにより気孔形成をより厳密に抑制できる点では分散重合が特に好ましい。
【0023】
ここで、本明細書における「分散重合法」とは、『ビニル単量体を、分散安定剤の存在下で、ビニル単量体および分散安定剤を溶解するが、重合により生成する重合体を実質的に溶解しない溶媒中で重合する方法』をいう。
本発明では、「ビニル単量体および分散安定剤を溶解するが、生成する重合体を溶解しない溶媒」として、親水性溶媒を用いる。分散重合により生成した重合体は、微粒子状で親水性溶媒中に分散している。
【0024】
本発明では、親水性溶媒として、親水性の有機溶媒(水を含有しない親水性有機溶媒)を使用してもよいし、または親水性の有機溶媒と水との混合溶媒を使用してもよい。その際に、親水性の有機溶媒としては、20℃での水への溶解度が5g/100ml以上であるものが好ましく用いられる。
前記した親水性の有機溶媒の具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコールなどのモノアルコール類;エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールなどの多価アルコール類;メチルセロソルブ、セロソルブ、イソプロピロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテルアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類;テトラヒドロフランなどのエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどを挙げることができる。親水性の有機溶媒は1種類のみを用いてよいし、2種以上を併用してもよい。
重合に使用するビニル単量体の種類、生成する重合体の種類などに応じて、前記した親水性の有機溶媒のうちから、適切な親水性有機溶媒を選択して使用する。
【0025】
本発明では、親水性溶媒として、水とアルコールとの混合溶媒、そのうちでも水とメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコールの1種または2種以上との混合溶媒がより好ましく用いられる。親水性溶媒として水と前記したアルコールとの混合溶媒を用いると、ビニル単量体の種類、組成などに応じて、水とアルコールとの混合比率を調整することで、生成する重合体微粒子の粒子径、粒度分布、分子量などを容易にコントロールすることができ、しかも引火、爆発などの危険性を低減することができ、環境への負荷も小さい。
特に、親水性溶媒として、水とメタノールとの混合溶媒、そのうちでも、水:メタノールの質量比が10:90〜50:50、更には20:80〜40:60である混合溶媒を用いると、粒子径がより小さくて且つ粒度分布の狭い重合体微粒子を円滑に製造することができるので、一層好ましい。
【0026】
ビニル単量体の分散重合時における親水性溶媒の使用量は、ビニル単量体の全量に対して、1〜50質量倍であることが好ましく、2〜10質量倍であることがより好ましい。親水性溶媒の使用量が少なすぎると、分散重合時の重合安定性が不良となる場合があり、また粒度分布が広くなり易く、一方親水性溶媒の使用量が多すぎると重合体微粒子の収率が低下し生産性が悪くなり易い。
【0027】
ビニル単量体を分散重合する際の重合開始剤としては、ラジカル重合において通常用いられている重合開始剤を使用することができ、特に制限されない。そのうちでも親水性溶媒に溶解するラジカル重合開始剤が好ましく用いられる。本発明で用い得るラジカル重合開始剤としては、例えば、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイドなどの有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサカルボニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(V−50)、4,4'−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)(V−501)などのアゾ系化合物;過硫酸カリウムなどの過硫化物系化合物などを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
そのうちでも、重合開始剤としては、t−ブチルパーオキシピバレート、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)が、粒度分布狭い重合体微粒子を生産性よく製造できる点から好ましく用いられる。
【0028】
重合開始剤の使用量は特に限定されず、製造する重合体微粒子の分子量、使用する重合開始剤の分解温度などを考慮して適宜決めることができる。一般的には、ビニル単量体の合計100質量部に対して、重合開始剤を0.1〜40質量部の量で使用することが好ましく、1〜10質量部の量で使用することがより好ましい。重合開始剤の使用量が少なすぎると重合体微粒子の収率が低くなり易く、一方重合開始剤の使用量が多すぎると重合速度が大きくなりすぎて、分散重合を安定に行ないにくくなる。
【0029】
分散重合時の重合温度としては、40〜80℃が好ましく、45〜70℃がより好ましい。重合温度が低すぎると、ビニル単量体の重合速度が低くなって重合体微粒子を生産性よく製造できにくくなり、一方重合温度が高すぎると、生成した重合体微粒子間の凝集などが生じ易く、また重合体微粒子の粒度分布が広くなる。
【0030】
ビニル単量体を分散重合して重合体微粒子を製造する際の分散安定剤の使用量は、分散重合に用いるビニル単量体の全量に対して、0.2〜10質量%であることが好ましく、0.5〜5.0質量%であることがより好ましい。分散安定剤の使用量が少なすぎると、重合時の安定性が低下して生成した重合体の凝集などが生じ易くなり、一方当該分散安定剤の使用量が多すぎると、生成する重合体微粒子の粒度分布が広くなって、サイズが不揃いになり易い。
【0031】
分散安定剤の具体例としては、マクロモノマー型分散安定剤、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸などが挙げられる。
これらの中でも、マクロモノマー型分散安定剤を用いることが好ましい。マクロモノマー型分散安定剤は、ビニル系単量体由来の重合体の末端にラジカル重合性不飽和基を有するものである。
【0032】
前記マクロモノマー型分散安定剤として好ましいマクロモノマーは、ビニル系単量体を150〜350℃でラジカル重合して得られる、ビニル系単量体由来の重合体の末端に式(1);H
2C=C(X)−(式中、Xは1価の極性基)で表されるα置換型ビニル基を有するマクロモノマーおよび/またはビニル系単量体由来の重合体の末端に(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマーが、分散安定剤としての機能に優れていて好適であり、マクロモノマーの重量平均分子量は1000〜30000であることが好ましく、マクロモノマーは親水性ビニル系単量体由来の構造単位と疎水性ビニル系単量体由来の構造単位の両方を有していることが好ましく、その際の疎水性ビニル系単量体由来の構造単位としては、(メタ)アクリル酸の炭素数8以上のアルキルエステルに由来する構造単位が好ましく、親水性ビニル系単量体由来の構造単位としてはカルボキシル基を有するビニル系単量体に由来する構造単位が好ましい。
【0033】
分散重合により生成した重合体微粒子は、親水性溶媒中に分散させたままで重合体微粒子の分散液の状態で使用してもよいし、親水性溶媒から分離回収して使用してもよい。
重合体微粒子を親水性溶媒から分離回収する方法としては、例えば、沈降分離法、遠心分離法、デカンテーション法などを採用することができ、更に必要に応じて洗浄、乾燥を行う。
【0034】
また、本発明の重合体微粒子を逆相懸濁重合により得る場合、油相(分散媒)をなす疎水性有機溶媒としては、例えば、炭素数6以上の脂肪族炭化水素溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素溶媒、オクタメチルシクロテトラシロキサンなどのシリコーン系溶媒などを用いることができ、特にヘキサン、シクロヘキサン、およびn−ヘプタンが、ビニル系単量体および水の溶解度が小さく、かつ重合後に除去することが容易であることから好ましく用いられる。
【0035】
逆相懸濁重合に用いる開始剤は、熱分解型開始剤、またはレドックス型開始剤等、公知の開始剤を使用することが可能であるが、レドックス型開始剤を使用することが好ましい。レドックス反応は低温での重合開始が可能であり、重合反応液中のビニル系単量体濃度を高くすること、また重合速度を大きくすることが可能となるため、生産性、および生成重合体の分子量を高くすることが可能となる。
また、油溶性酸化剤と水溶性還元剤を使用するレドックス系開始剤を使用した場合、凝集粒子を生じることなく、粒度分布の狭い重合体微粒子が得られるため、特に好ましい。
【0036】
上記のとおり、逆相懸濁重合では疎水性有機溶媒が連続相(油相)として用いられるので、油溶性酸化剤とは、これらの連続相に溶解する酸化剤を意味する。また、油相には分散安定剤を溶解または分散させておいても良い。
【0037】
本発明における油溶性酸化剤としては、日本工業規格Z7260−107やOECDTEST Guideline107に定められるオクタノール/水分配係数(logPow)が−1.4以上のものが好ましく、0.0以上のものがさらに好ましく、1.0以上のものが特に好ましい。
【0038】
具体例としてt−ブチルヒドロパーオキサイド(logPow=1.3)、ジ−t−ブチルヒドロパーオキサイド、t−ヘキシルヒドロパーオキサイド、ジ−t−アミルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド(logPow=2.2)、ジクミルパーオキサイド(logPow=5.5)、t−ブチルクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、過酸化ベンゾイル(logPow=3.5)、過酸化ラウロイルなどの有機過酸化物が挙げられる。これらの中でもt−ブチルヒドロパーオキサイドおよびクメンヒドロパーオキサイドが好ましく、特に好ましくはクメンヒドロパーオキサイドである。
【0039】
水溶性還元剤としては、レドックス重合開始剤に使用する還元剤として既知の還元剤が使用できるが、これらの中でも、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ハイドロサルファイトナトリウムが好ましく、特に好ましくはハイドロサルファイトナトリウムである。なお、これらの水溶性還元剤は空気と接触することによって徐々に失活するため、所望の重合開始タイミングの数分前に水に溶解し、添加することが好ましい。
【0040】
油溶性酸化剤と水溶性還元剤を用いる際は、先に水溶性還元剤を反応器に供給した後に、油溶性酸化剤を反応器に供給する方が生成粒子の粒度の均一性が高くなるために好ましい。水溶性還元剤を水溶化して反応器に供給した後、0.5〜15分以内に油溶性酸化剤を供給して重合させるのがより好ましく、1〜5分以内に油溶性酸化剤を供給することが更に好ましい。
【0041】
また、油溶性酸化剤の全量を20秒〜120秒の時間をかけて反応器に供給することが好ましく、特に好ましくは20秒〜60秒である。
油溶性酸化剤の供給時間が20秒よりも短い場合、酸化剤の供給に対して拡散が追いつかず、ラジカルの発生が局部的に起こって凝集物が発生するなどの不具合が起こりやすくなる場合があり、好ましくない。また120秒よりも長い場合、還元剤が別の機構で分解消費されることによって、一部の酸化剤が未反応のまま系内に残ってしまう場合がある。酸化剤が未反応のまま残存すると、後の共沸脱水工程や乾燥工程などで凝集物を発生させるなど、不具合の原因となる場合があるため好ましくない。
水溶性還元剤の供給時間に関しては特に制限は無いが、一般に還元剤は空気などとの接触により分解しやすいため、15分間以内で供給するのが好ましい。
【0042】
また、油溶性酸化剤は反応液の液面より下部に位置する供給口から反応器に供給することが好ましい。一般に重合触媒の投入口は反応器の上部に取り付けられており、この投入口から反応液の液面に重合触媒を一括または連続的に供給するが、本発明においては、重合触媒を反応器側面に接続された配管を通して反応液中に供給する方法が、触媒の均一拡散の観点から好ましい。
供給口の位置は、常時反応液中に浸かる位置にあれば制限は無いが、攪拌翼上端または下端から垂直方向の高さにして±1m以内の位置にあるのが好ましく、±50cm以内の位置にあるのがより好ましい。
油溶性酸化剤を供給する方法としては、反応液の液面より下部に位置する供給口に通じる配管を通してポンプ、あるいは窒素のような不活性ガスのガス圧で供給する方法が挙げられる。
【0043】
上記重合開始剤の使用量は、使用するビニル系単量体の種類、得られる重合体微粒子の粒径や分子量などに応じて調整することができるが、ビニル系単量体の合計量100モルに対して、油溶性酸化剤の使用量は0.001〜0.15モルであることが好ましく、特に好ましくは0.003〜0.07モルである。
また、油溶性酸化剤と水溶性還元剤の比率は特に限定されないが、モル比率で油溶性酸化剤:水溶性還元剤が1.0:0.25〜15.0であることが好ましく、特に好ましくは1.0:1.0〜10.0である。
上記範囲を外れると、単量体の反応率が低下したり、粒子を構成する重合体の鎖長が短くなったり、重合終了後も触媒が残存するなどによって、凝集物が発生するなどの不具合が生じる恐れがある。
【0044】
本発明の逆相懸濁重合においては、分散安定剤を使用することができる。
分散安定剤の具体例としては、マクロモノマー型分散安定剤、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のノニオン性界面活性剤が挙げられる。
これらの中でも、マクロモノマー型分散安定剤を用いることが好ましい。マクロモノマー型分散安定剤は、ビニル系単量体由来の重合体の末端にラジカル重合性不飽和基を有するものである。
【0045】
また、マクロモノマー型分散安定剤とソルビタンモノオレエートおよびソルビタンモノパルミテートなどの、HLBが3〜8である比較的疎水性が高いノニオン性界面活性剤を併用することが好ましく、これらは、1種を併用しても、2種以上を併用しても良い。
【0046】
前記マクロモノマー型分散安定剤としては、上記分散重合において好ましく用いられるマクロモノマーが同様に好ましく使用される。
【0047】
特に、マクロモノマー型分散安定剤を使用して、親水性ビニル系単量体を逆相懸濁重合させて親水性の重合体微粒子を製造する際には、単官能化合物と共に多官能ビニル系単量体を用いることが好ましく、それによって強度や形状保持性の向上した親水性の架橋した重合体微粒子が得られる。
【0048】
分散安定剤は分散媒(油相)である疎水性有機溶媒中に溶解、もしくは均一分散させて重合系に加えることが好ましい。
分散安定剤の使用量は、良好な分散安定性を維持しながら、粒径の揃った親水性重合体微粒子を得るために、ビニル系単量体の合計100質量部に対して、0.1〜50質量部であることが好ましく、0.2〜20質量部であることがより好ましく、0.5〜10質量部であることが更に好ましい。分散安定剤の使用量が少なすぎると、重合系でのビニル系単量体および生成した重合体微粒子の分散安定性が不良になり、生成した重合体微粒子同士の凝集、沈降、粒径のばらつきが生じ易くなる。一方、分散安定剤の使用量が多すぎると、副生微粒子(1μm以下)の生成量が多くなる場合がある。
【0049】
本発明の乾燥収縮低減剤はセラミック粉体、バインダー及び水等とともに杯土中に混練される。好ましい使用量は坏土中に占める重合体微粒子の割合として0.1〜10質量%であり、更に好ましくは0.1〜5質量%である。0.1質量%以上であれば乾燥収縮低減効果を示すことができ、10質量%以下であればバインダー分子間の相互作用を阻害して保形性や成形体強度を大きく低下させることもない。
【0050】
一般にセラミック成形においては各種成形方法によって成形体が得られ、その後乾燥工程において熱風やマイクロ波を照射して脱水処理が行われる。本発明の乾燥低減収縮剤を用いた場合には、該乾燥工程において水分が蒸発することに起因する成形体の収縮が低減される。
【0051】
本発明の乾燥収縮低減剤はセラミック成形において気孔形成剤と併用することができる。
該気孔形成剤としては脱灰及び焼成工程において燃焼、又は熱分解して消失する性質を有するものが使用される。具体例としてはコークス、小麦粉、澱粉、発泡樹脂、ポリメタクリル酸メチル、アクリル系共重合体(塩)、ポリエチレン等の微粒子が挙げられる。
気孔形成剤を併用することにより多孔質セラミックを得ることが可能であり、該多孔質セラミックは各種濾過材料、触媒担体、蓄熱体、電池用焼結基板、断熱材料、及び排水処理に使用される微生物単体等に使用される。
【0052】
本発明におけるセラミックとしては、水系で成形可能なものであれば特に制限はない。具体例としては、アルミナ、コージェライト、ムライト、シリカ、ジルコニア、及びチタニア等の酸化物系セラミック、並びに、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化チタン、及び炭化チタン等の非酸化物系セラミックを挙げることができる。
【0053】
また、セラミック混練組成物中に含まれるバインダーとしては、水系で適用可能なものであれば特に制限はない。例としてメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の合成高分子化合物等が使用される。上記のうち、押出成形にはセルロース誘導体が広く使用されている。
【0054】
なお、本明細書における重合体微粒子のイオン交換水による飽和膨潤状態での平均粒径、および吸水量は、以下の実施例の項に記載する方法で測定または求めた値をいう。
【実施例】
【0055】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。以下の記載において「部」は質量部を意味し、「%」は質量%を意味する。
【0056】
製造例0:マクロモノマー組成物UM−1の製造
オイルジャケットを備えた容量1000mlの加圧式攪拌槽型反応器のオイルジャケットの温度を240℃に保った。
単量体としてラウリルメタクリレート(以下、「LMA」という)75.0部、アクリル酸(以下、「AA」という)25.0部、重合溶媒としてメチルエチルケトン(以下、「MEK」という)10.0部、重合開始剤としてジターシャリーブチルパーオキサイド0.45部の比率で調整された単量体混合液を原料タンクに仕込んだ。
原料タンクの単量体混合液を反応器に供給を開始し、反応器内の重量が580g、平均滞留時間が12分となるように、単量体混合液の供給と反応混合液の抜き出しを行った。反応器内温度は235℃、反応器内圧は1.1MPaとなるように調整を行った。反応器より抜き出した反応混合液は、20kPaに減圧され、250℃に保たれた薄膜蒸発機に連続的に供給し、単量体や溶剤等が留去されたマクロモノマー組成物として排出される。留去した単量体や溶剤等はコンデンサーで冷却し、留出液として回収した。単量体混合液の供給開始後、反応器内温が235℃に安定してから60分後を回収開始点とし、これから48分間反応を継続してマクロモノマー組成物UM−1を回収した。この間、単量体混合液は反応器に2.34kg供給され、薄膜蒸発機より1.92kgのマクロモノマー組成物が回収された。また留出タンクには0.39kgの留出液が回収された。
留出液をガスクロマトグラフにて分析したところ、留出液100部に対して、LMA31.1部、AA16.4部、その他溶剤等が52.5部であった。
単量体混合液の供給量および組成、マクロモノマー組成物の回収量、留出液の回収量および組成より、単量体の反応率は90.2%、マクロモノマー組成物UM−1の構成単量体組成比は、LMA:AA=76.0/24.0(質量比)と計算された。
【0057】
また、溶離液にテトラヒドロフランを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフ(以下、「GPC」という)により、マクロモノマー組成物UM−1の分子量を測定したところ、ポリスチレン換算での重量平均分子量(以下、「Mw」という)および数平均分子量(以下、「Mn」という)は、それぞれ、3800、および1800であった。またマクロモノマー組成物の1H−NMR測定より、マクロモノマー組成物中の末端エチレン性不飽和結合の濃度を測定した。1H−NMR測定による末端エチレン性不飽和結合の濃度、GPCによるMn、および構成単量体組成比より、マクロモノマー組成物UM−1の末端エチレン性不飽和結合導入率を計算した結果、97%であった。尚、150℃、60分加熱後の加熱残分による固形分は、98.3%であった。
なお、単量体、重合溶剤、および重合開始剤等の各原料については、市販の工業用製品を精製等の処理を行うことなく、そのまま使用した。
【0058】
(製造例1:重合体微粒子A−1の製造)
重合には、タービン型攪拌翼および2本垂直バッフルからなる撹拌機構を有し、さらに温度計、留出液分離器付き還流冷却器、窒素導入管を備えた、容量2Lの反応器を用いた。なお窒素導入管は反応器の外でふたつに分岐しており、一方からは窒素を、もう一方からはポンプを用いて重合触媒を供給できるようになっている。また、窒素導入管は攪拌翼上端とほぼ同じ高さの反応器壁面に接続されている。
反応器内に分散安定剤としてUM−1を1.4部、及びソルビタンモノオレエート(花王社製、商品名「レオドールAO−10」)10.0部、更に重合溶媒としてn−ヘプタン400.3部を仕込み、溶液の温度を40℃に維持しながら攪拌混合して油相調整した。油相は、40℃で30分間攪拌した後20℃まで冷却した。
一方、別の容器にてAA50.0部、濃度40%のアクリルアミド水溶液(以下、「40%AMD」という)125.0部、ポリエチレングリコールジアクリレート(東亞合成社製、商品名「アロニックスM−243」、平均分子量425)4.3部、およびイオン交換水30.0部を仕込み、攪拌、均一溶解させた。さらに混合液の温度を40℃以下に保つように冷却しながら、25%アンモニア水35.4部をゆっくり加えて中和し単量体混合液を得た。
【0059】
攪拌機の回転数を1600rpmに設定した後、調製した単量体混合液を反応器内に仕込み、単量体混合液が油相に分散した分散液を調整した。この時、反応器内温は20℃に保持した。また分散液に窒素を吹き込むことで反応器内の酸素を除去した。単量体混合物の仕込みから1時間30分経過した時点で、ハイドロサルファイトNa0.18部とイオン交換水2.9部の水溶液を反応器上部に設けられた投入口から添加した。その3分後、クメンハイドロパーオキサイドの80%溶液(日油社製、商品名「パークミルH80」)0.039部をn−ヘプタン3.1部で希釈した溶液を、窒素導入管を通じてポンプで供給した。なお供給は30秒間で行った。供給開始時点から直ちに反応器内温が上昇し、重合が開始したことが確認された。内温の上昇は約30秒でピークに達し、その温度は66.0℃であった。
【0060】
反応液を冷却し温度を20℃とした後、攪拌しながらハイドロサルファイトNa0.05部とイオン交換水1.8部の水溶液を反応器上部に設けられた投入口から添加した。その3分後、t−ブチルハイドロパーオキサイドの69%水溶液(日油社製、商品名「パーブチルH」)0.016部をイオン交換水1.6部で希釈した溶液を、同投入口から添加した。内温が23.6℃まで上昇し、残存モノマーが重合したことが確認された。
次いでオイルバスを130℃に昇温して反応液を加熱し、粒子内に含まれる水とn−へプタンとを共沸させることによって脱水率98%まで脱水した。得られた脱水スラリーを吸引濾過し、濾別された微粒子をn−ヘプタンで繰り返し洗浄して分散安定剤を除去した後、乾燥機で溶剤を完全に揮発させて重合体微粒子A−1の乾燥粉末を得た。
【0061】
(製造例2:重合体微粒子A−2の製造)
モノマー水溶液組成をAA30部、40%AMD175.0部、アロニックスM−243 8.7部、および25%アンモニア水21.3部とした点以外は実施例1と同様に製造し、重合体微粒子A−2の乾燥粉末を得た。
【0062】
(製造例3:重合体微粒子A−3の製造)
重合には三枚後退翼および垂直バッフルからなる攪拌機構を有し、さらに温度計、留出液分離器付き還流冷却器、および窒素導入管を備えた反応器を用いた。反応器の加温にはヒーターと循環器を備えたウォーターバスを用いた。
反応器内に分散安定剤としてUM−1を10部、溶剤としてMEK820部、重合開始剤としてアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製、商品名「V−65」)0.50部を加え、均一に溶解した。更に単量体としてAA50部、40%AMD125部、架橋剤としてグリシジルメタクリレート(以下、「GMA」という)2.0部を加え、窒素を100mL/hで吹き込みながら、攪拌回転数120rpmにて30分間攪拌した。そのまま反応溶液を65℃まで昇温したところ反応液が白濁し始め、重合反応の進行が確認された。2時間加熱攪拌を続けた後、V−65 0.20部を加えて更に3時間加熱攪拌を続け、ウォーターバスを95℃に設定して反応液を沸騰させ、水/MEK溶液450部を留去した。
反応液を冷却して取り出し、遠心分離機で微粒子を回収するとともに分散安定剤を除去した。得られた微粒子を90℃に設定した通風乾燥機にて1時間加熱し、重合体微粒子A−3の乾燥粉末を得た。
【0063】
(製造例4:重合体微粒子A−4の製造)
製造例3と同様の設備を備えた反応器内に分散安定剤としてポリビニルピロリドン(和光純薬工業社製、商品名「K−30」、Mw30000)5.0部、溶剤としてイオン交換水50部およびエタノール150部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(大塚化学社製、商品名「AIBN」)0.50部を加え、均一に溶解した。更に単量体としてアクリルアミド粉末100部、架橋剤としてメチレンビスアクリルアミド(以下、「MBAAm」という)0.2部を加え、窒素を100mL/hで吹き込みながら攪拌回転数120rpmにて30分間攪拌した。そのまま反応溶液を70℃まで昇温したところ反応液が白濁し始め、重合反応の進行が確認された。2時間加熱攪拌を続けた後、AIBN 0.20部を加えて更に3時間加熱攪拌した時点で重合工程を終了とし、室温まで冷却した。
遠心分離により反応液から微粒子を分離し、メタノール、次いでシクロヘキサンで繰り返し微粒子を洗浄した後、90℃に設定した通風乾燥機にて1時間加熱して溶剤を揮発させ、重合体微粒子A−4の乾燥粉末を得た。
【0064】
(製造例5:重合体微粒子A−5の製造)
単量体として40%AMD250.0部、架橋剤としてMBAAm5.0部、重合開始剤として2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン0.01部と過硫酸アンモニウム0.10部を加え、これを内径146mmの円筒型ガラス容器に仕込み、水溶液の温度を20℃に保ちながら30分間窒素バブリングを行った。その後、反応器の上方から100Wブラックライトを用いて5.0mW/cm
2の照射強度で3分間紫外線を照射し、シート状含水架橋重合体ゲルを作成した。このゲルを乾燥、破砕し、ロールミル及び電動石臼で更に細かく粉砕した。粉砕した樹脂をシクロヘキサンに投入して攪拌・静置し、白濁した上層のみを回収した。沈殿部はシクロヘキサンを除去してさらにピンミルで粉砕し、同様の操作を繰り返すことで重合体微粒子A−5を得た。
【0065】
(製造例6:重合体微粒子A−6の製造)
モノマー水溶液組成を2−ヒドロキシエチルアクリレート(以下、「HEA」という)70.0部、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート(日油社製、商品名「ブレンマーAME−400」)30.0部、アロニックスM−243 6.5部、及び純水95.0部とし、攪拌回転数を830rpmに下げた以外は製造例1と同様に製造し、重合体微粒子A−6を得た。
【0066】
(製造例7:重合体微粒子B−1の製造)
攪拌回転数を870rpmに下げた以外は製造例2と同様に製造し、重合体微粒子B−1を得た。
【0067】
(製造例8:重合体微粒子B−2の製造)
アロニックスM−243を2.2部とし、攪拌回転数を1660rpmとした以外は製造例1と同様に製造し、重合体微粒子B−2を得た。
【0068】
(製造例9:重合体微粒子B−3の製造)
攪拌機、還流冷却器、温度計、および窒素導入管を備えた2Lガラス製反応容器内にメタノール700.0部、水300.0部、メタクリル酸メチル(以下、「MMA」という)100.0部、およびK−30 12.0部を仕込んだ。翼径11cmの半月板状攪拌翼を用い、攪拌速度120rpmで攪拌した。窒素ガスをバブリングしながら反応器内温度を65℃に調整した。K−30が完全に溶解し、反応器内の混合溶液が完全に透明であること、および反応器内が65℃で安定であることを確認した後、窒素ガス配管を反応液から引き上げ、その先端が液面よりも上になるように固定した。次いでAIBN2.0部を仕込んで重合を開始した。AIBN投入から数分で反応液に濁りが発生し、重合の進行が確認された。AIBN投入から6時間後、反応液を室温まで急冷して重合体微粒子の分散液を得た。
分散液の全量を300メッシュのポリネットで濾過して上澄みが透明になるまで静置し、沈降部を回収後室温乾燥させて、重合体微粒子B−3を得た。
【0069】
(
比較例1)
表1に示す標準配合処方により、セラミック押出成形体の乾燥収縮試験を実施した。
セラミック原料粉末として表1に示す量のタルク、カオリン、アルミナ、水酸化アルミニウム、およびシリカを秤量した。ここへバインダーとしてメチルセルロース4.6部を加えてドライブレンドした。更に重合体微粒子A−1 0.4部を加えて更にドライブレンドした。
上記の粉末混合物をニーダーで混練しながらイオン交換水を少量ずつ添加したが、所定の33.4部全量の水を添加してもまだ混練物の一部にパサツキが見られたため、更に5.2部の水を追加して混練を続けた。混練するにつれてメチルセルロースが溶解してニーダーの電流値が上昇し、やがて一定となった時点で混練が完了したと判断して混練物を取り出した。この混練物をピストンに押し込んで円柱状に押出成形し、概略寸法がφ15mm×50mm、コージェライト系のセラミックの押出成形体を得た。
【0070】
【表1】
【0071】
《乾燥収縮度合いの評価》
得られたセラミック押出成形体の長さと直径をノギスで測定し、110℃の通風乾燥機内で120分間加熱乾燥した。乾燥後の成形体寸法を同様に測定し、乾燥前後の成形体の体積を算出した。これらの値から、式(1)に従って寸法比を算出した(寸法比が1に近いほど成形体の乾燥収縮度合いは小さい)。試験結果を表2に示す。
【0072】
【数1】
【0073】
《気孔率への影響評価》
また、得られた成形体乾燥物を1000℃まで昇温した後、昇温速度50℃/時間で1400℃まで昇温した。更に、1420℃に達したところで温度を維持し、4時間焼成した。焼成体の気孔率を水銀ポロシメーターにより測定した。結果を表2に示す。
【0074】
《乾燥性の評価》
さらに、上記乾燥前のセラミック押出成形体をマイクロ波および熱風とを組合わせて乾燥した際の乾燥性について評価した。
2.45GHz、0.5kWの電磁波を5分間照射することにより脱水率50〜60%とし、その後110℃の熱風乾燥機内で2時間加熱乾燥して脱水率をほぼ100%とした。乾燥後の成形体外観を目視で確認し、以下基準に従って評価した。結果を表2に示す。
○:外観上の目立った不具合なし
△:反りが観察される
×:反り、および表面にひび割れが見られる
【0075】
(
比較例2及び実施例
1〜
4)
重合体微粒子にA−2〜A−6を用いた点以外は
比較例1と同様の操作により乾燥収縮度合い、気孔率、および乾燥性を評価した。A−2〜A−6は
比較例1とは異なり、33.4部の水で良好に混練物を得ることができた。試験結果を表2に示す。
【0076】
(比較例
3〜
5)
重合体微粒子にB−1〜B−3を用いた点以外は
比較例1と同様の操作により乾燥収縮
度合い、気孔率、および乾燥性を評価した。B−1およびB−3は33.4部の水で良好
に混練物を得ることができたが、B−2は更に水14.0部の追加が必要であった。試験
結果を表3に示す。
【0077】
(比較例
6)
重合体微粒子を用いなかった点以外は
比較例1と同様の操作により乾燥収縮度合い、気
孔率、および乾燥性を評価した。ただし、混練の際に水8.0部の追加が必要であった。
試験結果を表3に示す。
【0078】
【表2】
【0079】
【表3】
【0080】
上記実施例における、重合体微粒子の分析条件(1)〜(3)は以下に記載のとおりである。
(1)固形分
測定サンプル約1gを秤量(a)し、次いで、無風乾燥機150℃、60分間乾燥後の残分を測定(b)し、以下の式より算出した。測定には秤量ビンを使用した。その他の操作については、JIS K 0067−1992(化学製品の減量及び残分試験方法)に準拠した。
固形分(%)=(b/a)×100
【0081】
(2)水膨潤粒子径
測定サンプル0.02gにイオン交換水20mlを加え、十分に振り混ぜて、サンプルを均一分散させた。また粒子を水飽和膨潤状態とするために、30分以上分散させた分散液について、レーザー回折散乱式粒度分布計(日機装製、MT−3000)を用いて、超音波1分照射後に粒度分布測定を行った。測定時の循環分散媒にはイオン交換水を使用し、分散体の屈折率は1.53とした。測定により得られた体積基準での粒度分布よりメジアン径(μm)を計算し、水膨潤粒子径とした。
【0082】
(3)吸水量
吸水量は以下の方法によって測定した。測定装置を
図1に示す。
測定装置は
図1における<1>〜<3>から構成される。
<1> 空気抜きするための枝管が付いたビュレット1、ピンチコック2、シリコンチューブ3およびポリテトラフルオロエチレンチューブ4から成る。
<2> ロート5の上に底面に多数の穴が空いた支柱円筒8、さらにその上に装置用濾紙10が設置されている。
<3> 重合体微粒子の試料6は2枚の試料固定用濾紙7、及びメンブレンフィルター13に挟まれ、試料固定用濾紙及びメンブレンフィルターは粘着テープ9によって固定される。なお、使用する濾紙は全てADVANTEC No.2 内径55mmであり、メンブレンフィルターはMF−ミリポアメンブレンフィルタHAWP04700(孔径0.45μm)である。
<1>と<2>とはシリコンチューブ3によって繋がれる。
また、ロート5および支柱円筒8は、ビュレット1に対する高さが固定されており、ビュレット枝管の内部に設置されたポリテトラフルオロエチレンチューブ4の下端と支柱円筒8の底面とが同じ高さになる様に設定されている(
図1中の点線)。
【0083】
測定方法について以下に説明する。
<1>にあるピンチコック2を外し、ビュレット1の上部からシリコンチューブ3を通してイオン交換水を入れ、ビュレット1から装置用濾紙10までイオン交換水12で満たされた状態とする。次いで、ピンチコック2を閉じ、ビュレット枝管にゴム栓で接続されたポリテトラフルオロエチレンチューブ4から空気を除去する。こうして、ビュレット1から装置用濾紙10までイオン交換水12が連続的に供給される状態とする。
次に、装置用濾紙10からにじみ出た余分なイオン交換水12を除去した後、ビュレット1の目盛りの読み(a)を記録する。
測定試料の乾燥粉末0.1〜0.2gを秤量し、<3>にある様に、試料固定用濾紙7の中央部に均一に置く。もう1枚の濾紙でサンプルを挟み、粘着テープ9で2枚の濾紙を留め、サンプルを固定する。サンプルが固定された濾紙を<2>に示される装置用濾紙10上に載置する。
次に、装置用濾紙10上に蓋11を載置した時点から、30分間経過した後のビュレット1の目盛りの読み(b)を記録する。
測定試料の吸水量と2枚の試料固定用濾紙7の吸水量の合計(c)は(a−b)で求められる。同様の操作により、重合体微粒子試料を含まない、2枚の濾紙7のみの吸水量を測定する(d)。
上記操作を行い、吸水量を以下の式より計算した。なお、計算に使用する固形分は、(1)の方法により測定した値を使用した。
吸水量(mL/g)=(c−d)/{測定サンプル重量(g)×(固形分%÷100)}
【0084】
本発明の重合体微粒子を使用していない比較例
6に対して実施例1〜
4はいずれも少ない水の量で成形が可能であり、乾燥前後の寸法比も小さく、乾燥による収縮度合いが低減されていることが確認できる。この中でも、重合体微粒子がノニオン性不飽和単量体のみから構成されている実施例
2〜
4では、マイクロ波および熱風とを組合わせて乾燥した際にも良好な外観の乾燥成形体が得られた。
一般にイオン性基はノニオン性基に比較してマイクロ波を吸収し易い性質を持つため、イオン性基を多く含む重合体微粒子を収縮低減剤として使用した場合はマイクロ波が成形体内部まで十分到達しない場合がある。このため成形体に乾燥ムラが生じ、その後の熱乾燥の際の収縮度合いの差によって、成形体に反りやひび割れ等の不具合が発生するものと想定される。
【0085】
また、イオン交換水で飽和膨潤した状態における平均粒子径が大きな比較例
3では、乾燥収縮の低減度合いは良好なものの、収縮低減剤を用いてない比較例
6に対して気孔率が大きく変化しており、セラミック製品の気孔率に影響を及ぼす結果が明らかとなった。また、常圧におけるイオン交換水の吸水量が本発明の範囲から外れた比較例
4および
5では、十分な収縮低減効果が認められなかった。