【実施例1】
【0015】
以下、
図1に基づいて、本発明の一実施形態である鉄筋結束機について説明する。
(鉄筋結束機の概略構成)
【0016】
図1に示すように、鉄筋結束機10は、その結束機本体12にワイヤリール(図示省略)および電源である充電池13を着脱可能に配置する。結束機本体12には、ワイヤリールに巻装されるワイヤを送る、送りモータ14が配置される。結束機本体12は、電源をオン・オフするメインスイッチ22、電源用のランプ24、ワイヤ送り量を調整する調整ダイヤル26を備える。結束機本体12は、トリガレバー18及びトリガスイッチ20を備える。トリガスイッチは、電源オン時にワイヤの送り動作および捩り動作を実行させるサブスイッチである。
【0017】
結束機本体12の送り方向側(
図1では右側)には、ワイヤをループ状に案内するガイド15が配置される。また、結束機本体12には捩りモータ16が配置されており、捩りモータ16には捩りフック17が連結される。そして、捩りフック17は、捩りモータ16が回転することによって駆動し、複数本(
図1では2本)の鉄筋Wの周囲に巻き付けられるループ状のワイヤを捩る。
【0018】
即ち、捩りフック17は、正転してループ状のワイヤまで進出して捩り、捩り終わった後に逆転して初期位置へ後退するように構成されている。また、捩り処理が終了したワイヤは、捩りフック17に連動するカッタ(図示省略)で切断される。なお、これらの機構は従来公知の機構と同様であるので、これ以上の詳述は省略する。
(鉄筋結束機の制御系に関する構成)
【0019】
鉄筋結束機10は、
図2に示すように、タイマ機能を有するCPU(中央処理装置)50と、メインSW(SWはスイッチの略)22と、トリガSW20と、ランプ24と、捩りモータ16と、モータドライバ54および56と、送りモータ14と、充電池13とを備える。保持制御手段または制御部であるCPU50は、記録手段であるメモリ52を内蔵している。そして、CPU50は、鉄筋結束機10の全体的な動作を司り、たとえばトリガSW20からスイッチ信号がCPU50へ入力された場合、そのスイッチ信号に基づき結束処理を行う。
【0020】
即ち、
図1に示すトリガレバー18の引き操作に連動し、トリガスイッチ20がオンされると、
図2に示すCPU50はモータドライバ54を介して送りモータ14を駆動させてワイヤを送り方向へ引き出し、捩りモータ16でワイヤを捩る。なお、捩るモータ16は、モータドライバ56を介して正転および逆転可能となっている。また、CPU50に基づき、ランプ24は電源オン時に点灯し、電源オフ時(結束機本体11のシステムのオフ時も含む)には消灯する。
【0021】
充電池13は、CPU50・捩りモータ16・送りモータ14などの電源であり、CPU50などを起動させる電力を供給する。なお、充電池13の配線は、メインSW22のオン端子23Bに接続されている部位以外の図示を省略する。これは、CPU50などの各電子部品に複数の配線を接続する場合の錯綜を防止するためである。記録手段であるメモリ52には、鉄筋結束機10に各種の処理を制御するプログラムが記録される。例えば、メモリ52には、オートパワーオフ制御を開始する所定時間なども記憶されている。
【0022】
メインSW22は、いわゆる単極双投タイプのスイッチであり、オン状態での閉回路を構成する保持制御回路(保持制御手段と同義)およびオフ状態での閉回路を構成するリセット回路(リセット手段と同義)を切換える。メインSW22の操作子接点23A及びFET(電界効果型トランジスタ)58のソース間には、電解コンデンサ60及び抵抗62が接続されている。電解コンデンサ60は、モータ駆動時に発生するサージ電圧を吸収するための素子であり、接地されている。
【0023】
抵抗62はFET58をオンさせるための素子であり、コンデンサ64を直列接続した上で接地されている。即ち、充電回路を構成する抵抗62及びコンデンサ64の定数は、抵抗62の両端電圧がFET58をオンさせるのに十分な電圧になるように予め設定されている。メインSW22のオン接点23Bは充電池13を接続した上で接地されていると共に、オフ接点23Cは抵抗66を接続した上で接地されている。抵抗66は、メインSW22への過電流を防止するための素子である。
【0024】
FET58はCPU50を起動させるための素子であり、FET58のドレインは図示しない電源回路を介してCPU50に接続されている。また、FET58のゲート及びNPN型のトランジスタQ2のコレクタ間には、抵抗68及び70が直列接続されている。保持回路を構成するトランジスタQ2のベースにはCPU50が接続されていると共に、トランジスタQ2のエミッタは接地されている。そして、抵抗62及びコンデンサ64の接続点P1は、抵抗68及び抵抗70の接続点P2に接続されている。
(本実施形態の作用)
【0025】
図2に示すメインSW22をオン(
図2では操作子を実線で示す)すると、先ず充電池13の電圧が、充電回路を構成する抵抗62及びコンデンサ64に印加される。抵抗62の両端が所定電圧以上になると、FET58はオンとなる。FET58がオンになると、CPU50が起動し、CPU50はトランジスタQ2をオンさせる。そして、充電池13の電圧が、保持回路となる抵抗62、接続点P1,P2、抵抗70を介してトランジスタQ2に印加される。
【0026】
以下、
図3に示すフローチャートに基づき、結束モードに関する処理を説明する。ここで、
図1に示す鉄筋結束機10における処理は、CPU50(
図2参照)によって実行され、
図3のフローチャートで表される。このプログラムは、予め鉄筋結束機10のメモリ52(
図2参照)のプログラム領域に記憶されている。このフローチャートは、CPU50がトランジスタQ2をオンした後の処理である。
(結束モード)
【0027】
図3に示すステップ100において、動作終了時から所定時間(例えば10分乃至30分)が経過したか否かを判断する。なお、この所定時間は、電動工具の使い勝手または消費電力の低減などを考慮した上で設定されている。ステップ100が否定の場合すなわち所定時間が経過していない場合には、ステップ102において、トリガSW20がオンか否かを判断する。
【0028】
ステップ102が肯定の場合すなわちトリガSW20がオンの場合には、ステップ104でモータ14,16を駆動し、ステップ106で結束処理を行わせる。結束処理終了後、CPU50は上述した所定時間のカウントをリセットし、ステップ100での所定時間のカウントを開始する。なお、ステップ102が否定の場合は、所定時間が経過するまでの間、トリガSW20がオンになるのを待つ。
【0029】
ステップ100が肯定の場合すなわち所定時間が経過した場合、ステップ108において、オートパワーオフ処理を行う。具体的には、制御部であるCPU50(
図2参照)は、トランジスタQ2をオフさせる。そして、ステップ108の処理が終了した場合には、本フローチャートの処理は終了する。
図3に示す結束モードは、メインSW22がオンされる毎に繰り返す。なお、上述したプログラムの処理の流れ(
図2参照)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能である。
【0030】
上述したように、CPU50によってトランジスタQ2がオフされると、FET58はオフとなる。また、FET58がオフになると、結束機本体11のシステムもオフされるので、トリガSW20をオンしてもモータ14,16は駆動せず結束処理が行われない。更に、上述したシステムがオフされるので、ランプ24も消灯し、作業者はオートパワーオフ制御されたことを把握する。
【0031】
そして、作業者が
図2に示すメインSW22をオフ(
図2では操作子を破線で示す)すると、コンデンサ64に蓄積されている電荷は、放電回路を構成する抵抗62,メインSW22の接点23A,23C,抵抗66を経て放電される。即ち、作業者がメインSW22をオフすると、保持制御手段を構成するコンデンサ64を再び充電(起動と同義)可能とするために、コンデンサ64に蓄積された電荷が放電(リセットと同義)される。
【0032】
本実施例において、メインSW22のオフ時にコンデンサ64に蓄積されている電荷を放電させる構成にしたのは、メインSW22を再びオンする際、オートパワーオフ制御後の復帰を可能にするためである。即ち、本実施例によれば、メインSW22のオフ・オン操作により、再度オートパワーオフ制御を可能にできる。従って、本実施例によれば、メインSW22及びトリガSW20を備える鉄筋結束機10において、オートパワーオフ制御後の復帰をメインSW22の操作で行うことができる。また、本実施例によれば、オートパワーオフ制御により、充電池13の過放電を抑制できる。
【0033】
上記実施例では電動工具を鉄筋結束機とした例であるが、本発明はメインスイッチ及びサブスイッチを備える電動工具であれば適用でき、例えばせん定はさみ等にも同様に適用し得る。また、本発明は、電源として商業電源を利用する電動工具でも適用し得る。