(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
国連勧告・試験マニュアル「Recommendation on the TRANSPORT OF DANGEROUS GOODS −Manual of Tests and Criteria− Third revised edition」に準拠した、国連勧告によるCLASS 5−Division 5.1(酸化性固体)の燃焼試験で危険物に該当しない請求項1記載の粒子状組成物。
【背景技術】
【0002】
硝酸ストロンチウムや硝酸バリウムは、火薬や発炎筒の原料として用いられている。また硝酸ストロンチウムに関しては、自動車のエアバッグのガス発生剤としても使用されている(例えば特許文献1)。
【0003】
硝酸ストロンチウムや硝酸バリウムは、可燃物を酸化して、激しい燃焼や爆発を起こすおそれがあることから、日本国の消防法においては酸化性固体として危険物に指定されている物質である。このような危険物は、それを取り扱う作業員を危険に曝すこととなり、安全性の問題がある。また工場などで取り扱う際には防火あるいは防爆設備の設置や保有空地の確保が必要となり、コスト面でも不利である。法令上も、危険物は製造、運搬、貯蔵等の面において厳しい規制を受ける。
【0004】
また、硝酸ストロンチウムや硝酸バリウムは、火薬用途に限らず、セラミックスやガラスの原料としても期待されている材料である。セラミックスやガラスの原料として用いる場合には、その酸化性は成形・取扱いの際における安全を脅かすおそれがある。このように、セラミックスやガラスの原料としては、危険性を排除した、より安全性の高い材料への改質が求められている。
【0005】
これまでにも、硝酸ストロンチウムや硝酸バリウムを改質する方法として、微粒子珪酸を適量含有させることにより、粒子の固結を防止する方法が開示されている(特許文献2)。しかしながら、一般的な微粒子珪酸では爆発や燃焼の危険性を減少させるには不十分であった。
【0006】
爆発や燃焼の危険性を低減させる従来の方法としては、アルキルベンゼンスルホン酸を添加する方法がある。界面活性剤であるアルキルベンゼンスルホン酸は家庭用及び業務用の合成洗剤(洗濯用、台所用)として使用され、また染色助剤、農薬乳化剤、精錬剤、分散剤や化粧品としても使用されている。一方で河川や下水処理場での発泡や、他の一般的な界面活性剤に比べて生分解性が低いといった問題があり、工業的な生産において排水処理を考慮した場合、添加剤としては適さない。
【0007】
また粒子を粗大化させることで危険性を低減させることも可能であるが、工業的な大量・連続生産には不向きであり、各種用途での使用の面でも均一混合が難しいといった問題がある。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(硝酸ストロンチウム及び硝酸バリウム)
本発明の粒子状組成物は硝酸ストロンチウム及び/又は硝酸バリウムを含有する。本発明で用いる硝酸ストロンチウムとしては特に制限はなく、合成したものを用いてもよいし、市販のものを用いてもよい。硝酸ストロンチウムを合成する方法としては、特に限定されないが、例えば水酸化ストロンチウムと硝酸の中和反応による方法や、炭酸ストロンチウムと硝酸を反応させることにより、硝酸ストロンチウムと炭酸に変換する方法、塩化ストロンチウムの濃厚溶液に硝酸ナトリウムを添加して反応させる方法などが挙げられる。
【0020】
本発明で用いる硝酸バリウムについても特に制限はなく、合成したものを用いてもよいし、市販のものを用いてもよい。硝酸バリウムを合成する方法としては、特に限定されないが、例えば炭酸バリウム又は硫化バリウムに硝酸を作用させる方法などが挙げられる。
【0021】
(シリカ)
通常のシリカはその固体表面にシラノール基(Si−O−H)が存在することから、水との親和性が高い。このようなシリカは「親水性シリカ」と呼ばれている。これに対し、シラン処理、シランカップリング処理などの疎水化処理をシリカの表面に施すことにより、表面を疎水性に改質したものは「疎水性シリカ」と呼ばれている。本発明においては「疎水性シリカ」を用いる。
【0022】
疎水化処理を施す前の原体シリカに制限はなく、公知の方法によって得られたシリカが使用される。例えば、ヒュームドシリカ、湿式シリカなどが代表的である。
【0023】
ヒュームドシリカとしては、珪素化合物や金属珪素を酸水素火炎中で燃焼させて得られる気相法シリカが挙げられる。
【0024】
湿式シリカとしては、珪酸ソーダを中和することによって溶液中でシリカを析出させる沈殿法シリカが挙げられる。
【0025】
また珪素のアルコキシドを含水有機溶媒中で加水分解させて得られる、ゾル−ゲル法シリカなども用いることができる。
【0026】
疎水性シリカは、親水性シリカの表面を、ジメチルジクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、オクチルシラン等のシラン、ビニルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、脂肪酸等の表面処理剤によって処理することにより得られるものが好ましい。但し表面処理剤はこれに限定されるものではない。
【0027】
本発明における疎水性シリカは、疎水化度が20%以上であるのが好ましく、30%以上であるのがより好ましく、50%以上であるのがさらに好ましい。また、親水性シリカは、疎水化度がほぼ0%を示すものである。ここで「疎水化度」とは、疎水性シリカを水中に分散させ、有機溶媒(例えばメタノール)を滴下することにより浮遊する疎水性シリカが全量沈んだ時点における有機溶媒−水混合溶液中の有機溶媒の質量分率(質量%)をいう。測定は、例えば、イオン交換水50mlに疎水性シリカ0.2gを加えマグネティックスターラーで攪拌しながらビュレットからメタノールを滴下することにより行うことができる。浮遊する疎水性シリカが徐々に沈降していき、その全量が沈んだ終点におけるメタノール−水混合溶液中のメタノールの質量分率(%)が「疎水化度」である。
【0028】
本発明における疎水性シリカは、上記の条件を満たす市販品を使用することができる。疎水性シリカの例としては、AEROSIL(R)(エボニックインダストリーズ社製、例えばAEROSIL(R)R972、R974、R104、R106、R202、R805、R812、R812S、R816、R7200、R8200、及びR9200)、CAB−O−SIL(R)(キャボット社製、例えばCAB−O−SIL(R)TG−C413、TG−3180、TG−7120、TG−818F、TG−820F、TG−C390、TG−C122、TG−C190、TG−C243、TS−382、TS−530、TS−610、TS−630、及びTS−720)、レオロシール(R)(株式会社トクヤマ製、例えばレオロシール(R)DM−10、DM−20、DM−30、MT−10及びMT−20)、WACKER(R)(旭化成ワッカーシリコーン株式会社製、WACKER(R)HDK−H15、HDK−H18、HDK−H20、及びHDK−H30)、ニップシール(R)(東ソー・シリカ株式会社製、ニップシール(R)SS−10、SS−30S、SS−30P、SS−50、及びSS−50F)等が挙げられる。
【0029】
上記疎水性シリカは、そのBET比表面積が、好ましくは50〜400m
2/g、より好ましくは75〜300m
2/gである。BET比表面積は、窒素吸着BET1点法により測定した値をいう。測定手順はJIS Z 8830の規定に準ずる。
【0030】
(粒子状組成物)
本発明の粒子状組成物は、硝酸ストロンチウム及び/又は硝酸バリウムと、疎水性シリカとを含有する。
【0031】
本発明の粒子状組成物は、特に限定されないが、硝酸ストロンチウム及び/又は硝酸バリウムと、疎水性シリカとをそれぞれ所要量加えて混合することで粒子状組成物を得ることができる。また、各成分の添加順については特に限定はない。混合するための手段としては特に限定されず、公知の回転固体混合機を適宜選択することができる。上記回転固体混合機としては、例えばリボン型、単軸ローター式、V型、ナウタ型、二重円錐型、円筒型などが挙げられる。
また、硝酸ストロンチウム及び/又は硝酸バリウムと、疎水性シリカとは均一に混合することが好ましく、硝酸ストロンチウム粒子及び/又は硝酸バリウム粒子の破砕が起こり難いソフトな混合が好ましい。硝酸ストロンチウム粒子及び/又は硝酸バリウム粒子の破砕が進むと、粒子状組成物の固結の発生や、疎水性シリカによる安全性の向上が期待できない場合がある。
【0032】
粒子状組成物中の硝酸ストロンチウム又は硝酸バリウムの量は、特に限定されないが、好ましくは95〜99.8質量%、さらに好ましくは97〜99.5質量%である。
【0033】
粒子状組成物中の疎水性シリカの量は、特に限定されないが、好ましくは0.1〜3.0質量%、より好ましくは0.3〜2.0質量%、特に好ましくは0.4〜1.8質量%である。但し、硝酸ストロンチウム、硝酸バリウム、及び疎水性シリカの合計量は100質量%を超えることはない。上記疎水性シリカの量が3.0質量%を超えると、硝酸ストロンチウム又は硝酸バリウムと均一に混合されず、その結果、分離や容器への付着、粉塵発生等の問題を生じさせるおそれがある。特にガラス原料として使用される場合には、成分が均一に混合されていないとガラス組成に影響を及ぼすおそれがある。また疎水性シリカの量が少なすぎると、疎水性シリカによる安全性の向上が期待できない場合がある。
【0034】
本発明の粒子状組成物は、日本国の消防法の危険物第一類の燃焼試験及び落球式打撃感度試験で危険物に該当しないものである。ここで、「日本国消防法の危険物第一類の燃焼試験及び落球式打撃感度試験」とは、以下の手順で行う試験である。
【0035】
(燃焼試験)
燃焼試験とは試験試料の酸化力の潜在的な危険性を分類する試験である。作業手順としては、まず試験試料を粉粒状にしたものと木粉とを質量比1:1及び4:1で、両者の合計が30gとなるように混合し、円錐状の堆積をつくる。この堆積の基部に1000℃に加熱したニクロム線を接触させ、この試験混合試料が燃焼するか確認するとともに、燃焼する場合にはその燃焼時間を測定する。
【0036】
このようにして測定した各混合試料の燃焼時間のうち時間の短い方の燃焼時間を、標準混合試料[標準物質(過塩素酸カリウム又は臭素酸カリウム)と木粉とを質量比1:1で混合したもの]の燃焼時間と比較する。試験混合試料の燃焼時間が、臭素酸カリウムの標準混合試料の燃焼時間以下のものを「ランク1」、臭素酸カリウムの標準混合試料の燃焼時間を超え過塩素酸カリウムの標準混合試料の燃焼時間以下のものを「ランク2」、過塩素酸カリウムの標準混合試料の燃焼時間を超えるものを「ランク3」とする。
【0037】
(落球式打撃感度試験)
落球式打撃感度試験とは、試験試料の衝撃に対する敏感性を分類する試験である。作業手順としては、まず標準物質(塩素酸カリウム又は硝酸カリウム)と赤リンとの混合物に対し、それぞれ鋼球をある高さから落下させ、爆・不爆に応じて落下高さを上下させて50%爆点(50%の確率で爆発する高さ)を求める。試験試料と赤リンとの混合物に対して、それぞれの50%爆点から鋼球を落下させる同様の試験を10又は40回行い爆・不爆を評価する。本願明細書においては、標準物質として塩素酸カリウムを用いる場合を「塩素酸カリウム法」、硝酸カリウムを用いる場合を「硝酸カリウム法」と呼ぶ。
【0038】
塩素酸カリウム法により50%爆点から鋼球を落下させる10回の試験を行い、10回全てで「爆」となった場合は「ランク1」とする。10回の試験で「爆」「不爆」の両方が生じた場合はさらに30回の試験を行い、合計40回の試験で「爆」が20回以上の場合は「ランク1」、「爆」が20回未満の場合は「ランク2」とする。最初の10回の試験で全て「不爆」となった場合は、さらに硝酸カリウム法での試験を行い評価する。
【0039】
硝酸カリウム法により50%爆点から鋼球を落下させる10回の試験で全て「爆」となった場合は「ランク2」、全て「不爆」となった場合は「ランク3」とする。10回の試験で「爆」「不爆」の両方が生じた場合はさらに30回の試験を行い、合計40回の試験で「爆」が20回以上の場合は「ランク2」、「爆」が20回未満の場合は「ランク3」とする。
【0040】
(危険性評価)
燃焼試験及び落球式打撃感度試験の結果より、試験試料の危険物としての種別を決定する。燃焼試験又は落球式打撃感度試験で「ランク1」となったものは第1種酸化性固体、燃焼試験及び落球式打撃感度試験でともに「ランク2」となったものは第2種酸化性固体、燃焼試験又は落球式打撃感度試験の一方が「ランク2」で、かつもう一方が「ランク3」となったものは第3種酸化性固体、燃焼試験及び落球式打撃感度試験でともに「ランク3」となったものは非危険物と分類される。
【0041】
危険物としての種別が大きくなるほど消防法で定められる指定数量は大きくなり、同一敷地・同一設備で製造、運搬、貯蔵可能な数量も多くなる。危険物に該当しない場合には製造、運搬、貯蔵における消防法上の規制を受けない。
【0042】
本発明の粒子状組成物は、国連勧告・試験マニュアル「Recommendation on the TRANSPORT OF DANGEROUS GOODS −Manual of Tests and Criteria− Third revised edition」に準拠した、国連勧告によるCLASS 5−Division 5.1(酸化性固体)の燃焼試験で危険物に該当しないものであることが好ましい。ここで、「国連勧告によるCLASS 5−Division 5.1(酸化性固体)の燃焼試験」とは、以下の通りである。
【0043】
(燃焼試験)
燃焼試験とは試験試料の酸化力の潜在的な危険性を分類する試験である。作業手順としては、試験試料を粉粒状にしたものとセルロースとを重量比1:1及び4:1で、両者の合計が30gとなるように混合し、円錐状の堆積をつくる。この堆積と断熱板の間に挟みこんだ点火装置で、完全に着火するか、あるいは全く着火しないことが明らかになるまで最大3分間印加させる。各試験混合試料が燃焼するか確認するとともに、燃焼する場合には各試験混合試料の平均燃焼時間を、標準物質(臭素酸カリウム)とセルロースとを重量比3:2、2:3、3:7で混合した標準混合試料の燃焼時間と比較する。
【0044】
(危険性評価)
各試験混合試料の平均燃焼時間が、臭素酸カリウムとセルロースとの混合重量比3:2の標準混合試料の燃焼時間以下のものは「容器等級1」、混合重量比3:2の標準混合試料の燃焼時間を超え、混合重量比2:3の標準混合試料の燃焼時間以下のものは「容器等級2」、混合重量比2:3の標準混合試料の燃焼時間を超え、混合重量比3:7の標準混合試料の燃焼時間以下のものは「容器等級3」と分類される。臭素酸カリウムとセルロースとの混合重量比3:7の標準混合試料の燃焼時間を超えるものはCLASS 5−Division 5.1(酸化性固体)に該当しない。
【0045】
(ガラス)
本発明は上記粒子状組成物を原料として含有するガラスにも関する。ガラスの製造において、その調合原料の選定は重要であり、硝酸ストロンチウム及び/又は硝酸バリウムを用いる場合は原料の溶解性が良く、清澄性の点でも優れている。本発明のガラスを製造する方法としては、特に限定されないが、公知の方法(例えば溶融法)を用いる事ができる。すなわち、本発明のガラスが酸化物基準で表わされた所定の組成となるように珪砂、アルミナ、ホウ酸、及び本願発明の硝酸ストロンチウム及び/又は硝酸バリウム、並びに他の必要な成分を含有するガラス原料を、石英または白金等からなる坩堝へ充填する。その後、電気炉、ガス炉等の溶融炉で加熱溶融する。溶融後、必要に応じ清澄、撹拌を行いガラスを均質化させ、その後成形型に溶融ガラスを流しこみ急冷することによって成形、徐冷炉において徐冷する。
【0046】
徐冷炉から取り出したガラスは必要に応じて切断、研削、研磨を行うことで、各種基板材、構造部材、透過光学系材料を得ることができる。
【0047】
(保存方法)
本発明は、硝酸ストロンチウム及び/又は硝酸バリウムの保存方法にも関する。
硝酸ストロンチウムや硝酸バリウムは、可燃物を酸化して、激しい燃焼や爆発を起こすおそれがある。
硝酸ストロンチウムや硝酸バリウムを保存する際に、疎水性シリカを混合することにより、上記の激しい燃焼や爆発の危険性を低減することができ、安全性の高い硝酸ストロンチウム及び/又は硝酸バリウムとして取り扱うことができる。
本発明の保存方法により保存された硝酸ストロンチウムや硝酸バリウムは、ガラス原料として好適に使用することができる。
【実施例】
【0048】
以下に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお下記実施例・比較例において、特に断りの無い限り、「%」は「質量%」を意味する。
【0049】
(燃焼試験)
日本国の消防法又は国連勧告・試験マニュアルに準拠した上述の方法に従い、燃焼試験を行った。
【0050】
(落球式打撃感度試験)
日本国の消防法に準拠した上述の方法に従い、落球式打撃感度試験を行った。
【0051】
(硝酸ストロンチウムを含有する粒子の評価)
(実施例1)
硝酸ストロンチウム500kgに対し、疎水性シリカとしての添加量が粒子総質量の0.5質量%となるようAEROSIL R972(表面処理疎水性シリカ、疎水化度35%、比表面積110m
2/g、エボニックインダストリーズ社製)を2.51kg加え、リボンブレンダーで混合することにより粒子状組成物1を作製した。得られた粒子状組成物1について、危険物第一類の燃焼試験と落球式打撃感度試験を行った。消防法上の危険物としての確認試験の結果、および国連勧告の危険物としての確認試験の結果を表1に示す。
【0052】
(実施例2)
AEROSIL R972の添加量を粒子総質量の0.75質量%に変更した以外は実施例1と同様にして、粒子状組成物2を作製した。得られた粒子状組成物2について、危険物第一類の燃焼試験と落球式打撃感度試験を行った。消防法上の危険物としての確認試験の結果を表1に示す。
【0053】
(実施例3)
AEROSIL R972の添加量を粒子総質量の1.0質量%に変更した以外は実施例1と同様にして、粒子状組成物3を作製した。得られた粒子状組成物3について、危険物第一類の燃焼試験と落球式打撃感度試験を行った。消防法上の危険物としての確認試験の結果を表1に示す。
【0054】
(実施例4)
疎水性シリカの種類をニップシールSS−30P(表面処理疎水性シリカ、疎水化度60%、比表面積125m
2/g、東ソー・シリカ株式会社製)に変更した以外は実施例1と同様にして、粒子状組成物4を作製した。得られた粒子状組成物4について、危険物第一類の燃焼試験を行った。その結果を表1に示す。
【0055】
(実施例5)
疎水性シリカの種類をニップシールSS−50F(表面処理疎水性シリカ、疎水化度60%、比表面積82m
2/g、東ソー・シリカ株式会社製)に変更した以外は実施例1と同様にして、粒子状組成物5を作製した。得られた粒子状組成物5について、危険物第一類の燃焼試験を行った。その結果を表1に示す。
【0056】
(実施例6)
疎水性シリカの種類をニップシールSS−30Pに、その添加量を粒子総質量の1.0質量%に変更した以外は実施例1と同様にして、粒子状組成物6を作製した。得られた粒子状組成物6について、危険物第一類の燃焼試験を行った。その結果を表1に示す。
【0057】
(実施例7)
疎水性シリカの種類をニップシールSS−50Fに、その添加量を粒子総質量の1.0質量%に変更した以外は実施例1と同様にして、粒子状組成物7を作製した。得られた粒子状組成物7について、危険物第一類の燃焼試験を行った。その結果を表1に示す。
【0058】
(比較例1)
シリカを用いない以外は実施例1と同様にして、比較粒子状組成物1を作製した。得られた比較粒子状組成物1について、危険物第一類の燃焼試験と落球式打撃感度試験を行った。消防法上の危険物としての確認試験の結果を表2に示す。
【0059】
(比較例2)
シリカの種類をAEROSIL 200(親水性シリカ、疎水化度0%、比表面積200m
2/g、エボニックインダストリーズ社製)に変更した以外は実施例1と同様にして、比較粒子状組成物2を作製した。得られた比較粒子状組成物2について、危険物第一類の燃焼試験と落球式打撃感度試験を行った。消防法上の危険物としての確認試験の結果を表2に示す。
【0060】
(比較例3)
シリカの種類をニップシールLP(親水性シリカ、疎水化度0%、比表面積210m
2/g、東ソー・シリカ株式会社製)に変更した以外は実施例1と同様にして、比較粒子状組成物3を作製した。得られた比較粒子状組成物3について、危険物第一類の燃焼試験と落球式打撃感度試験を行った。消防法上の危険物としての確認試験の結果を表2に示す。
【0061】
(比較例4)
シリカの種類をニップシールLPに、その添加量を粒子総質量の3.0質量%に変更した以外は実施例1と同様にして、比較粒子状組成物4を作製した。得られた比較粒子状組成物4について、危険物第一類の燃焼試験と落球式打撃感度試験を行った。消防法上の危険物としての確認試験の結果を表2に示す。
【0062】
(比較例5)
シリカの種類をMK Silica FINES(硝子原料高純度シリカ、疎水化度0%、平均粒径40μm、共立マテリアル株式会社製)に、その添加量を粒子総質量の30質量%に変更した以外は実施例1と同様にして、比較粒子状組成物5を作製した。得られた比較粒子状組成物5について、危険物第一類の燃焼試験と落球式打撃感度試験を行った。消防法上の危険物としての確認試験の結果を表2に示す。
【0063】
(比較例6)
シリカの種類をMK Silica 20/250(硝子原料高純度シリカ、疎水化度0%、平均粒径120μm、共立マテリアル株式会社製)に、その添加量を粒子総質量の30質量%に変更した以外は実施例1と同様にして比較粒子状組成物6を作製した。得られた比較粒子状組成物6について、危険物第一類の燃焼試験と落球式打撃感度試験を行った。消防法上の危険物としての確認試験の結果を表2に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
表1の結果より、硝酸ストロンチウムと疎水性シリカとを含有する本発明の粒子状組成物(実施例1〜7)は、消防法上の第一類酸化性固体の確認試験における燃焼試験においてはいずれもランク3の条件を満たし、酸化力の潜在的な危険性が低いことが分かった。また、実施例1においては、国連勧告のCLASS 5−Division 5.1(酸化性固体)の確認試験においても同様に酸化力の潜在的な危険性が低いことが分かった。さらに消防法上の第一類酸化性固体の確認試験に基づく落球式打撃感度試験によっても、衝撃に対する敏感性が低いことが分かった。一方、表2の結果より、疎水性シリカを含有しない粒子組成物(比較例1〜6)では危険性を排除する効果は認められなかった。このように、上記結果から、本発明の粒子状組成物は、危険性が排除され、より安全性が高い点で優れていることが明らかとなった。
【0067】
(硝酸バリウムを含有する粒子の評価)
(実施例8)
硝酸バリウム500kgに対し、疎水性シリカとしての添加量が粒子総質量の0.75質量%となるようAEROSIL R972を3.78kg加え、リボンブレンダーで混合することにより粒子状組成物8を作製した。得られた粒子状組成物8について、危険物第一類の落球式打撃感度試験を行った。その結果を表3に示す。
【0068】
(実施例9)
AEROSIL R972の添加量を粒子総質量の1.0質量%に変更した以外は実施例8と同様にして、粒子状組成物9を作製した。得られた粒子状組成物9について、危険物第一類の燃焼試験を行った。その結果を表3に示す。
【0069】
(実施例10)
AEROSIL R972の添加量を粒子総質量の1.5質量%に変更した以外は実施例8と同様にして、粒子状組成物10を作製した。得られた粒子状組成物10について、危険物第一類の燃焼試験と落球式打撃感度試験を行った。消防法上の危険物としての確認試験の結果を表3に示す。
【0070】
(比較例7)
シリカを用いない以外は実施例8と同様にして、比較粒子状組成物7を作製した。得られた比較粒子状組成物7について、危険物第一類の燃焼試験と落球式打撃感度試験を行った。消防法上の危険物としての確認試験の結果を表3に示す。
【0071】
(比較例8)
シリカの種類をAEROSIL 200に、その添加量を粒子総質量の30質量%に変更した以外は実施例8と同様にして、比較粒子状組成物8を作製した。得られた粒子状組成物8について、危険物第一類の燃焼試験と落球式打撃感度試験を行った。消防法上の危険物としての確認試験の結果を表3に示す。
【0072】
【表3】
【0073】
硝酸バリウムは通常、危険物第一類の第2種酸化性固体として分類される。表3の結果より、硝酸バリウムと疎水性シリカとを含有する本発明の粒子状組成物(実施例8〜10)は、消防法上の第一類酸化性固体としての酸化力の潜在的な危険性と、衝撃に対する敏感性を抑制し、危険性を低減した、より安全性の高い材料へ改質された点で優れている。疎水性シリカを含有しない粒子組成物(比較例7・8)では危険性を低減する効果は認められなかった。
【0074】
硝酸ストロンチウム及び/又は硝酸バリウムと、疎水性シリカとを含有する、危険性を低減した粒子状組成物を原料として含有するガラスは、消防法上の規制を受けない製造工程で生産することが可能である。また硝酸ストロンチウム及び/又は硝酸バリウムと、疎水性シリカとを含有する粒子状組成物を原料として含有するガラスは、従来の硝酸ストロンチウム及び/又は硝酸バリウムを原料として含有するガラスと比較して、品質的に差異のないガラスを得ることができる。
【0075】
(ガラスの作製例)
表4の調合原料(組成の数値は重量部)を良く混合し、白金坩堝に入れ白金の蓋を被せる。坩堝を電気炉に入れ、1500〜1680℃程度に加熱、溶融、撹拌し、均質化、清澄を行った後、鋳型に流し込み、ガラスが固化後、ガラスの徐冷点近くに加熱しておいた電気炉に移し、室温まで徐冷することによりガラス組成物を作製することができる。
【0076】
【表4】