(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
[環状ポリフェノール化合物]
本発明は、レジスト材料として有用な環状ポリフェノール化合物に関する。
本発明の環状化合物は、下記式(1)で示される環状ポリフェノール化合物である。
【0017】
【化3】
(1)
【0018】
(式(1)中、R
3は独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシル基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、複素環基、ハロゲン、カルボキシル基、炭素数1〜20のアルキルシラン、これらの誘導体からなる群から選択される官能基であり、R’は独立して、炭素数2〜20のアルキル基、又は下記式
【0019】
【化4】
【0020】
で表わされる炭素数6〜24のアリール基又はこれらの誘導体であり、R
4は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、複素環基、ハロゲン、カルボキシル基、炭素数1〜20のアルキルシラン、およびこれらの誘導体からなる群から選択される官能基または炭素数2〜20の置換メチル基、炭素数3〜20の1−置換エチル基、炭素数4〜20の1−置換−n−プロピル基、炭素数3〜20の1−分岐アルキル基、炭素数1〜20のシリル基、炭素数2〜20のアシル基、炭素数2〜20の1−置換アルコキシアルキル基、炭素数2〜20の環状エーテル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基およびアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択される酸解離性官能基であり、mは1〜4の整数、m
5は0〜3の整数であり、m+m
5=4、pは1〜5の整数である。)
【0021】
環状ポリフェノール化合物が、該化合物中に、上記酸解離性官能基を1つ以上有する場合、環状ポリフェノール化合物はポジ型レジスト組成物の主成分等として有用である、環状ポリフェノール化合物(B)となり、該化合物中に、上記酸解離性官能基が無い場合、環状ポリフェノール化合物は環状ポリフェノール化合物(B)の原料である環状ポリフェノール化合物(A)となる。
【0022】
上記式(1)で表される環状ポリフェノール化合物としては、より好ましくは以下が挙げられる。
【0023】
【化5】
(3)
(式(3)中、R
3、R
4、m、m
5、pは前記と同様ある。)
【0024】
本発明においては、上記化合物のうち、以下のものが好ましい。
(a)下記式(5)又は(6)で示される各化合物から選ばれる環状ポリフェノール化合物(A)。
【0025】
【化6】
(5)
【0026】
【化7】
(6)
【0027】
(式(5)及び(6)の各々において、X
2は、水素またはハロゲン原子であり、L
1は単結合、カルボニル基を含んでもよい炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基から選択される二価の有機基であり、l1は0又は1であり、mは1〜4の整数、p
1は1〜2の整数、m+p
1=5、m
3は1〜2の整数、m
4は1である。)
【0028】
L
1としては、カルボニル基を含んでもよい炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基から選択される二価の有機基であることが好ましく、下記式
【0029】
【化8】
【0030】
で示されるカルボニル基を含んでもよい炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基から選択される二価の有機基であることが、安全溶媒溶解性が高く好ましい。
【0031】
上記環状ポリフェノール化合物(A)は、下記式(7)で示される化合物、あるいは下記式(8)で示される各化合物から選ばれる化合物であることがより好ましい。
【化9】
(7)
【0032】
【化10】
(8)
(式(7)、(8)中、X
2は前記と同様である。)
【0033】
上記環状ポリフェノール化合物(A)は、下記式(7−2)で示される化合物から選ばれる化合物であることが、半導体安全溶媒に対する溶解性が高く、感放射線性組成物を調合した際に保存安定性に優れることから、とりわけ好ましい。
【化11】
(7−2)
(式(7−2)中、X
2は前記と同様である。)
【0034】
(b)上記環状ポリフェノール化合物(B)は、下記式(9)又は式(10)で示される環状ポリフェノール化合物であることがより好ましい。
【0035】
【化12】
(9)
【0036】
【化13】
(10)
【0037】
(式(9)及び式(10)において、R
1は、炭素数2〜20の置換メチル基、炭素数3〜20の1−置換エチル基、炭素数4〜20の1−置換−n−プロピル基、炭素数3〜20の1−分岐アルキル基、炭素数1〜20のシリル基、炭素数2〜20のアシル基、炭素数2〜20の1−置換アルコキシアルキル基、炭素数2〜20の環状エーテル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基および炭素数2〜20のアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択される酸解離性官能基であり、X
2、L
1、l1、m、m
3、m
4、p
1は前記と同様である。)
【0038】
上記、環状ポリフェノール化合物(B)は、下記式(11)で示される各化合物から選ばれる化合物であることが特に好ましい。
【0039】
【化14】
(11)
(式(11)中、R
1、X
2、L
1、l
1は、上記と同様である。)
【0040】
上記、環状ポリフェノール化合物(B)は、下記式(12)で示される化合物であることが特に好ましい。
【0041】
【化15】
(12)
(式(12)中、X
2、R
1は前記と同様である。)
【0042】
R
1は、炭素数2〜20の置換メチル基、炭素数3〜20の1−置換エチル基、炭素数4〜20の1−置換−n−プロピル基、炭素数3〜20の1−分岐アルキル基、炭素数1〜20のシリル基、C2〜20のアシル基、炭素数2〜20の1−置換アルコキシアルキル基、炭素数2〜20の環状エーテル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基および炭素数2〜20のアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択される酸解離性官能基である。R
1は、同一でも異なっても良いが、同一の方がレジスト膜の固形成分の均一性が高いので好ましい。
【0043】
置換メチル基としては、通常、炭素数2〜20の置換メチル基であり、炭素数4〜18の置換メチル基が好ましく、炭素数6〜16の置換メチル基がさらに好ましい。例えば、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、エトキシメチル基、n−プロポキシメチル基、イソプロポキシメチル基、n−ブトキシメチル基、t−ブトキシメチル基、2−メチルプロポキシメチル基、エチルチオメチル基、メトキシエトキシメチル基、フェニルオキシメチル基、1−シクロペンチルオキシメチル基、1−シクロヘキシルオキシメチル基、ベンジルチオメチル基、フェナシル基、4−ブロモフェナシル基、4−メトキシフェナシル基、ピペロニル基、および下記式(13)で示される置換基等を挙げることができる。
【0044】
【化16】
(13)
(式(13)中、R
4は、炭素数1〜4のアルキル基である。炭素数1〜4のアルキル基とは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、t−ブチル基、n−ブチル基等である。)
【0045】
1−置換エチル基としては、通常、炭素数3〜20の1−置換エチル基であり、炭素数5〜18の1−置換エチル基が好ましく、炭素数7〜16の置換メチル基がさらに好ましい。例えば、1−メトキシエチル基、1−メチルチオエチル基、1,1−ジメトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−エチルチオエチル基、1,1−ジエトキシエチル基、n−プロポキシエチル基、イソプロポキシエチル基、n−ブトキシエチル基、t−ブトキシエチル基、2−メチルプロポキシエチル基、1−フェノキシエチル基、1−フェニルチオエチル基、1,1−ジフェノキシエチル基、1−シクロペンチルオキシエチル基、1−シクロヘキシルオキシエチル基、1−フェニルエチル基、1,1−ジフェニルエチル基、および下記式(14)で示される置換基等を挙げることができる。
【0046】
【化17】
(14)
(式(14)中、R
4は、前記と同様である。)
【0047】
1−置換−n−プロピル基としては、通常、炭素数4〜20の1−置換−n−プロピル基であり、炭素数6〜18の1−置換−n−プロピル基が好ましく、炭素数8〜16の1−置換−n−プロピル基がさらに好ましい。例えば、1−メトキシ−n−プロピル基および1−エトキシ−n−プロピル基等を挙げることができる。
【0048】
1−分岐アルキル基としては、通常、炭素数3〜20の1−分岐アルキル基であり、炭素数5〜18の1−分岐アルキル基が好ましく、炭素数7〜16の分岐アルキル基がさらに好ましい。例えば、イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−メチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、2−メチルアダマンチル基、および2−エチルアダマンチル基等を挙げることができる。
【0049】
シリル基としては、通常、炭素数1〜20のシリル基であり、炭素数3〜18のシリル基が好ましく、炭素数5〜16のシリル基がさらに好ましい。例えば、トリメチルシリル基、エチルジメチルシリル基、メチルジエチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジエチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、トリ−tert−ブチルシリル基およびトリフェニルシリル基等を挙げることができる。
【0050】
アシル基としては、通常、炭素数2〜20のアシル基であり、炭素数4〜18のアシル基が好ましく、炭素数6〜16のアシル基がさらに好ましい。例えば、アセチル基、フェノキシアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、バレリル基、ピバロイル基、イソバレリル基、ラウリロイル基、アダマンチルカルボニル基、ベンゾイル基およびナフトイル基等を挙げることができる。
【0051】
1−置換アルコキシメチル基としては、通常、炭素数2〜20の1−置換アルコキシメチル基であり、炭素数4〜18の1−置換アルコキシメチル基が好ましく、炭素数6〜16の1−置換アルコキシメチル基がさらに好ましい。例えば、1−シクロペンチルメトキシメチル基、1−シクロペンチルエトキシメチル基、1−シクロヘキシルメトキシメチル基、1−シクロヘキシルエトキシメチル基、1−シクロオクチルメトキシメチル基および1−アダマンチルメトキシメチル基等を挙げることができる。
【0052】
環状エーテル基としては、通常、炭素数2〜20の環状エーテル基であり、炭素数4〜18の環状エーテル基が好ましく、炭素数6〜16の環状エーテル基がさらに好ましい。例えば、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、テトラヒドロチオフラニル基、4−メトキシテトラヒドロピラニル基および4−メトキシテトラヒドロチオピラニル基等を挙げることができる。
【0053】
アルコキシカルボニル基としては、通常、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基であり、炭素数4〜18のアルコキシカルボニル基が好ましく、炭素数6〜16のアルコキシカルボニル基がさらに好ましい。例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等を挙げることができる。
【0054】
アルコキシカルボニルアルキル基としては、通常、炭素数2〜20のアルコキシカルボニルアルキル基であり、炭素数4〜18のアルコキシカルボニルアルキル基が好ましく、炭素数6〜16のアルコキシカルボニルアルキル基がさらに好ましい。例えば、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、n−プロポキシカルボニルメチル基、イソプロポキシカルボニルメチル基、n−ブトキシカルボニルメチル基または下記式(15)で示される酸解離性官能基等を挙げることができる。
【0055】
【化18】
(15)
(式(15)中、R
4は、前記と同様であり、nは、1〜4の整数である。)
【0056】
複数のR
1は、同一でも異なっても良いが、同一の方がレジスト膜の固形成分の均一性が高いので好ましい。
【0057】
R
1は、炭素数3〜20のシクロアルカン、ラクトンおよび6〜12の芳香族環から選ばれる構造を有する酸解離性官能基がより好ましい。炭素数3〜20のシクロアルカンとしては、単環でも多環でも良いが、多環であることがより好ましい。具体例には、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等が挙げられ、より具体的には、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロデカン等のポリシクロアルカンが挙げられる。これらの中でも、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロデカンが好ましく、特にアダマンタン、トリシクロデカンが好ましい。炭素数3〜20のシクロアルカンは置換基を有しても良い。ラクトンとしては、ブチロラクトンまたはラクトン基を有する炭素数3〜20クロアルカン基が挙げられる。6〜12の芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環等が挙げられ、ベンゼン環、ナフタレン環が好ましく、特にナフタレン環が好ましく、下記式(16)で示される酸解離性官能基であることがより好ましい。該酸解離性官能基を有することにより、得られるレジストパターンの解像性及びLERを向上する。
【0058】
【化19】
(16)
(式(16)中、R
5は、炭素数1〜4の直鎖または分岐アルキル基であり、R
6は、水素、炭素数1〜4の直鎖または分岐アルキル基、シアノ基、ニトロ基、複素環基、ハロゲン、カルボキシル基であり、n
1は0〜4の整数、n
2は1〜5の整数、n
0は0〜4の整数である。)
【0059】
特に下記式(17)で示される酸解離性官能基が、解像性が高く好ましい。
【0060】
【化20】
(17)
(式(17)中、R
5、R
6、n
0、n
1、n
2は前記と同様である。)
【0061】
上記、環状ポリフェノール化合物(B)は、は下記式(12−2)で示される化合物であることが、半導体安全溶媒に対する溶解性が高く、感放射線性組成物を調合した際に保存安定性に優れることから、とりわけ好ましい。
【0062】
【化21】
(12−2)
(式(12−2)中、X
2、R
1は前記と同様である。)
【0063】
上記、環状ポリフェノール化合物(B)は、下述の環状ポリフェノール化合物(B)の製造方法(1)および環状ポリフェノール化合物(B)の製造方法(2)に記載の方法で製造できる。
【0064】
上記、環状ポリフェノール化合物は、耐熱性が高く、アモルファス性を有するため製膜性にも優れ、昇華性を持たず、安全溶媒溶解性、アルカリ現像性、エッチング耐性等に優れ、レジスト材料、特にレジスト主成分(基材)として好適に用いられる。
【0065】
また、上記、環状ポリフェノール化合物(B)は、分子中のフェノール性水酸基またはカルボキシル基等のアルカリ現像液可溶基の一部に、酸解離性官能基が選択的に一定mol%の割合で導入された構造を取り、その結果、レジスト膜中成分の均一性が高くなり、低LERのレジストパターンを与える。またアルカリ現像液可溶基の100%を保護する必要はなく、高感度でレジストパターンが得られる。
【0066】
本発明における環状ポリフェノール化合物(A)及び環状ポリフェノール化合物(B)は、シス体およびトランス体を取り、いずれかの構造若しくは混合物でもよいが、シス体およびトランス体のいずれかの構造のみを有する方が、純物質化合物となり、レジスト膜中成分の均一性が高いので好ましい。シス体およびトランス体のいずれかの構造のみを有する環状化合物を得る方法は、カラムクロマトや分取液体クロマトグラフィによる分離や製造時における反応溶媒及び反応温度等の最適化等、公知の方法で行うことができる。
【0067】
本発明の効果を損ねない範囲で、環状ポリフェノール化合物(B)の少なくとも1つのフェノール性水酸基に酸解離性官能基を導入しても良い。環状ポリフェノール化合物(B)の少なくとも1つのフェノール性水酸基に酸解離性官能基を導入する方法は公知である。例えば前記、炭素数が2〜59であり1〜4個のホルミル基を有する化合物に、酸解離性官能基を導入する方法と同様に行うことができる。
【0068】
例えば、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の非プロトン性溶媒に環状ポリフェノール化合物(B)を溶解または懸濁させる。続いて、エチルビニルエーテル等のビニルアルキルエーテルまたはジヒドロピランを加え、ピリジニウム p−トルエンスルホナート等の酸触媒の存在下、常圧で、20〜60℃、1〜72時間反応させる。反応液をアルカリ化合物で中和し、蒸留水に加え白色固体を析出させた後、分離した白色固体を蒸留水で洗浄し、乾燥することにより目的化合物を得ることができる。
【0069】
アセトン、THF、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の非プロトン性溶媒に環状ポリフェノール化合物(B)を溶解または懸濁させる。エチルクロロメチルエーテル等のアルキルハライドまたはブロモ酢酸メチルアダマンチル等のハロカルボン酸アルキルエステルを加え、炭酸カリウム等のアルカリ触媒の存在下、常圧で、20〜110℃、1〜72時間反応させる。反応液を塩酸等の酸で中和し、蒸留水に加え白色固体を析出させた後、分離した白色固体を蒸留水で洗浄し、乾燥することにより目的化合物を得ることができる。
【0070】
本発明の効果を損ねない範囲で、環状ポリフェノール化合物(B)の少なくとも1つのフェノール性水酸基に非酸解離性官能基を導入しても良い。非酸解離性官能基とは、酸の存在下で開裂せず、アルカリ可溶性基を生じない特性基をいう。例えば、酸の作用により分解することの無い、C1〜20のアルキル基、C3〜20のシクロアルキル基、C6〜20のアリール基、C1〜20のアルコキシル基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、複素環基、ハロゲン、カルボキシル基、C1〜20のアルキルシラン、これらの誘導体からなる群から選択される官能基等が挙げられる。
【0071】
本発明の環状ポリフェノール化合物(B)の少なくとも1つのフェノール性水酸基にナフトキノンジアジドエステル基を導入しても良い。環状ポリフェノール化合物(B)の少なくとも1つのフェノール性水酸基にナフトキノンジアジドエステル基を導入した化合物は、それ自身を主成分としてポジ型感放射線組成物とできる他、酸発生剤や添加剤として感放射線性組成物に加えることができる。
【0072】
環状ポリフェノール化合物(B)の少なくとも1つのフェノール性水酸基に、放射線の照射により酸を発生する酸発生性官能基を導入しても良い。環状ポリフェノール化合物(B)の少なくとも1つのフェノール性水酸基に、放射線の照射により酸を発生する酸発生性官能基を導入した環状ポリフェノール化合物は、それ自身を主成分としてポジ型感放射線組成物とできる他、酸発生剤や添加剤として感放射線性組成物に加えることができる。
【0073】
環状ポリフェノール化合物(B)は低分子量化合物でありながら、成膜性、耐熱性、ドライエッチング耐性、低アウトガス性を有し、純物質化合物のため、レジスト膜中成分の均一性が高いので感放射線組成物のレジスト成分として好ましい。環状ポリフェノール化合物(B)を含む感放射線組成物は、解像度、感度、低ラインエッジラフネスに優れている。
【0074】
環状ポリフェノール化合物(B)の残存金属量を低減するために、必要に応じて精製してもよい。また酸触媒および助触媒が残存すると、一般に、感放射線性組成物の保存安定性が低下する、または塩基性触媒が残存すると、一般に、感放射線性組成物の感度が低下するので、その低減を目的とした精製を行ってもよい。精製は、環状ポリフェノール化合物(B)が変性しない限り公知の方法により行うことができ、特に限定されないが、例えば、水で洗浄する方法、酸性水溶液で洗浄する方法、塩基性水溶液で洗浄する方法、イオン交換樹脂で処理する方法、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで処理する方法などが挙げられる。これら精製方法は2種以上を組み合わせて行うことがより好ましい。酸性水溶液、塩基性水溶液、イオン交換樹脂およびシリカゲルカラムクロマトグラフィーは、除去すべき金属、酸性化合物および/または塩基性化合物の量や種類、精製する環状ポリフェノール化合物(B)の種類などに応じて、最適なものを適宜選択することが可能である。例えば、酸性水溶液として、濃度が0.01〜10mol/Lの塩酸、硝酸、酢酸水溶液、塩基性水溶液として、濃度が0.01〜10mol/Lのアンモニア水溶液、イオン交換樹脂として、カチオン交換樹脂、例えばオルガノ製Amberlyst 15J−HG Dryなどが挙げられる。精製後に乾燥を行っても良い。乾燥は公知の方法により行うことができ、特に限定されないが、環状ポリフェノール化合物(B)が変性しない条件で真空乾燥、熱風乾燥する方法などが挙げられる。
【0075】
本発明の感放射線性組成物の固形成分および環状ポリフェノール化合物(B)は、スピンコートによりアモルファス膜を形成することができる。また一般的な半導体製造プロセスに適用することができる。
【0076】
前記環状ポリフェノール化合物(A)及び環状ポリフェノール化合物(B)の全構成原子数に対するハロゲン原子数の割合は0.1〜60%であることが好ましく、0.1〜40%であることがより好ましく、0.1〜20%であることがさらに好ましく、0.1〜10%であることが特に好ましく、1〜5%であることが最も好ましい。上記範囲内であると、放射線に対する感度を上げつつ、成膜性を維持することができる。また安全溶媒溶解性を向上しうる。
前記環状ポリフェノール化合物(A)及び環状ポリフェノール化合物(B)の全構成原子数に対する窒素原子数の割合は0.1〜40%であることが好ましく、0.1〜20%であることがより好ましく、0.1〜10%であることがさらに好ましく、0.1〜5%であることが特に好ましい。上記範囲内であると、得られるレジストパターンのラインエッジラフネスを減らしつつ、成膜性を維持することができる。また窒素原子としては、二級アミンまたは三級アミンに含まれる窒素原子であることが好ましく、三級アミンに含まれる窒素原子であることがより好ましい。
【0077】
環状ポリフェノール化合物(B)のアモルファス膜の23℃における2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液に対する溶解速度は、5Å/sec以下が好ましく、0.05〜5Å/secがより好ましく、0.0005〜5Å/secがさらに好ましい。5Å/sec以下であるとアルカリ現像液に不溶で、レジストとすることができる。また0.0005Å/sec以上の溶解速度を有すると、解像性が向上する場合もある。これは、前記環状ポリフェノール化合物(B)のミクロの表面部位が溶解し、LERを低減するからと推測される。またディフェクトの低減効果がある。
【0078】
環状ポリフェノール化合物(B)の酸解離性官能基が解離して生じる環状ポリフェノール化合物(以下、環状ポリフェノール化合物(A0))も、スピンコートによりアモルファス膜を形成する性質を有することが好ましい。環状ポリフェノール化合物(A0)のアモルファス膜の23℃における2.38質量%TMAH水溶液に対する溶解速度は、10Å/sec以上が好ましく、10〜10000Å/secがより好ましく、100〜1000Å/secがさらに好ましい。10Å/sec以上であると、アルカリ現像液に溶解し、レジストとすることができる。また10000Å/sec以下の溶解速度を有すると、解像性が向上する場合もある。これは、環状ポリフェノール化合物(B)の酸解離性官能基が解離したことによる溶解性の変化により、アルカリ現像液に溶解する露光部と、アルカリ現像液に溶解しない未露光部との界面のコントラストが大きくなるからと推測される。またLERの低減、ディフェクトの低減効果がある。
【0079】
感放射線性組成物の固形成分をスピンコートして形成したアモルファス膜の23℃における2.38質量%TMAH水溶液に対する溶解速度は、5Å/sec以下が好ましい。KrFエキシマレーザー、極端紫外線、電子線またはX線等の放射線により所望のパターンに露光し、必要に応じて20〜250℃で加熱した後のアモルファス膜の23℃における2.38質量%TMAH水溶液に対する溶解速度は、10Å/sec以上であることが好ましい。上記条件を満たすことにより、歩留まり良く、優れた形状のパターン形状を与えることができる。
【0080】
環状ポリフェノール化合物(B)のガラス転移温度は、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは140℃以上、特に好ましくは150℃以上である。ガラス転移温度が上記範囲内であることにより、半導体リソグラフィープロセスにおいて、パターン形状を維持しうる耐熱性を有し、高解像度などの性能が付与しうる。
【0081】
環状ポリフェノール化合物(B)のガラス転移温度の示差走査熱量分析により求めた結晶化発熱量は20J/g未満であるのが好ましい。また、(結晶化温度)−(ガラス転移温度)は好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上、さらに好ましくは100℃以上、特に好ましくは130℃以上である。結晶化発熱量が20J/g未満、または(結晶化温度)−(ガラス転移温度)が上記範囲内であると、感放射線性組成物をスピンコートすることにより、アモルファス膜を形成しやすく、かつレジストに必要な成膜性が長期に渡り保持でき、解像性を向上することができる。
【0082】
本発明の環状ポリフェノール化合物(B)は、それ自身を主成分としてポジ型感放射線組成物とできる他、主成分ではなく、例えば感度向上や耐エッチング耐性を向上するための添加剤として感放射線性組成物に加えることができる。この場合、環状ポリフェノール化合物(B)が固形成分全重量の1〜50重量%で用いられる。
【0083】
[感放射線性組成物]
本発明は、前記環状ポリフェノール化合物(B)と溶媒とを含む感放射線性組成物に関する。環状ポリフェノール化合物(B)の含有量は、固形成分全重量の50重量%以上である。
【0084】
本発明の感放射線性レジスト組成物において、好ましくは固形成分1〜80重量%および溶媒20〜99重量%であり、より好ましくは固形成分1〜50重量%および溶媒50〜99重量%、さらに好ましくは固形成分2〜40重量%および溶媒60〜98重量%であり、特に好ましくは固形成分2〜10重量%および溶媒90〜98重量%である。環状ポリフェノール化合物(B)の量は、好ましくは固形成分全重量の50重量%以上であり、より好ましくは60〜95重量%、さらに好ましくは65〜90重量%、特に好ましくは70〜85重量%である。上記配合割合であると、高解像度が得られ、ラインエッジラフネスが小さくなる。
【0085】
本発明の組成物は、可視光線、紫外線、エキシマレーザー、電子線、極端紫外線(EUV)、X線、およびイオンビームから選ばれるいずれかの放射線の照射により直接的又は間接的に酸を発生する酸発生剤(C)を一種以上含むことが好ましい。酸発生剤の使用量は、固形成分全重量(環状ポリフェノール化合物(B)、酸発生剤(C)、低分子量溶解促進剤(D)、酸拡散制御剤(E)およびその他の成分(F)などの任意に使用される固形成分の総和、以下同様)の0.001〜50重量%が好ましく、1〜40重量%がより好ましく、3〜30重量%がさらに好ましい。上記範囲内で使用することにより、高感度でかつ低エッジラフネスのパターンプロファイルが得られる。本発明では、系内に酸が発生すれば、酸の発生方法は限定されない。g線、i線などの紫外線の代わりにエキシマレーザーを使用すれば、より微細加工が可能であるし、また高エネルギー線として電子線、極端紫外線、X線、イオンビームを使用すれば更に微細加工が可能である。
【0086】
前記酸発生剤(C)としては、下記式(23−1)〜(23−8)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも一種類であることが好ましい。
【化22】
(23−1)
(式(23−1)中、R
13は、同一でも異なっていても良く、それぞれ独立に、水素原子、直鎖状、分枝状もしくは環状アルキル基、直鎖状、分枝状もしくは環状アルコキシ基、ヒドロキシル基またはハロゲン原子であり;X
-は、アルキル基、アリール基、ハロゲン置換アルキル基もしくはハロゲン置換アリール基を有するスルホン酸イオンまたはハロゲン化物イオンである。)
【0087】
前記式(23−1)で示される化合物は、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルトリルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニル−4−メチルフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジ−2,4,6−トリメチルフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニル−4−t−ブトキシフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニル−4−t−ブトキシフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−フェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリ(4−メトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリ(4−フルオロフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムベンゼンスルホネート、ジフェニル−2,4,6−トリメチルフェニル−p−トルエンスルホネート、ジフェニル−2,4,6−トリメチルフェニルスルホニウム−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ジフェニル−2,4,6−トリメチルフェニルスルホニウム−4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ジフェニル−2,4,6−トリメチルフェニルスルホニウム−2,4−ジフルオロベンゼンスルホネート、ジフェニル−2,4,6−トリメチルフェニルスルホニウムヘキサフルオロベンゼンスルホネート、ジフェニルナフチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、ジフェニル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウム10−カンファースルホネートおよびシクロ(1,3−パーフルオロプロパンジスルホン)イミデートからなる群から選択される少なくとも一種類であることが好ましい。
【0088】
【化23】
(23−2)
(式(23−2)中、R
14は、同一でも異なっていても良く、それぞれ独立に、水素原子、直鎖状、分枝状もしくは環状アルキル基、直鎖状、分枝状もしくは環状アルコキシ基、ヒドロキシル基またはハロゲン原子を表す。X
-は前記と同様である。)
【0089】
前記式(23−2)で示される化合物は、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム p−トルエンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム−4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム−2,4−ジフルオロベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム p−トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウム10−カンファースルホネート、ジフェニルヨードニウム−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウム−4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウム−2,4−ジフルオロベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウムへキサフルオロベンゼンスルホネート、ジ(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジ(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジ(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジ(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウム p−トルエンスルホネート、ジ(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムベンゼンスルホネートおよびジ(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネートからなる群から選択される少なくとも一種類であることが好ましい。
【0090】
【化24】
(23−3)
(式(23−3)Qはアルキレン基、アリーレン基またはアルコキシレン基であり、R
15はアルキル基、アリール基、ハロゲン置換アルキル基またはハロゲン置換アリール基である。)
【0091】
前記式(23−3)で示される化合物は、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)フタルイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(n−オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(n−オクタンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(p−トルエンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(4−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(パーフルオロベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロベンゼンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(1−ナフタレンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(1−ナフタレンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エンー2,3−ジカルボキシイミドおよびN−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)ナフチルイミドからなる群から選択される少なくとも一種類であることが好ましい。
【0092】
【化25】
(23−4)
(式(23−4)中、R
16は、同一でも異なっていても良く、それぞれ独立に、任意に置換された直鎖、分枝もしくは環状アルキル基、任意に置換されたアリール基、任意に置換されたヘテロアリール基または任意に置換されたアラルキル基である。)
【0093】
前記式(23−4)で示される化合物は、ジフェニルジスルフォン、ジ(4−メチルフェニル)ジスルフォン、ジナフチルジスルフォン、ジ(4−tert−ブチルフェニル)ジスルフォン、ジ(4−ヒドロキシフェニル)ジスルフォン、ジ(3−ヒドロキシナフチル)ジスルフォン、ジ(4−フルオロフェニル)ジスルフォン、ジ(2−フルオロフェニル)ジスルフォンおよびジ(4−トルフルオロメチルフェニル)ジスルフォンからなる群から選択される少なくとも一種類であることが好ましい。
【0094】
【化26】
(23−5)
(式(23−5)中、R
17は、同一でも異なっていても良く、それぞれ独立に、任意に置換された直鎖、分枝もしくは環状アルキル基、任意に置換されたアリール基、任意に置換されたヘテロアリール基または任意に置換されたアラルキル基である。)
【0095】
前記式(23−5)で示される化合物は、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−4−メチルフェニルアセトニトリルおよびα−(メチルスルホニルオキシイミノ)−4−ブロモフェニルアセトニトリルからなる群から選択される少なくとも一種類であることが好ましい。
【0096】
【化27】
(23−6)
式(23−6)中、R
18は、同一でも異なっていても良く、それぞれ独立に、1以上の塩素原子および1以上の臭素原子を有するハロゲン化アルキル基である。ハロゲン化アルキル基の炭素原子数は1〜5が好ましい。
【0097】
【化28】
(23−7)
【0098】
【化29】
(23−8)
【0099】
式(23−7)および(23−8)中、R
19およびR
20はそれぞれ独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等の炭素原子数1〜3のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素原子数1〜3のアルコキシル基、またはフェニル基、トルイル基、ナフチル基等アリール基、好ましくは、炭素原子数6〜10のアリール基である。L
19およびL
20はそれぞれ独立に1,2−ナフトキノンジアジド基を有する有機基である。1,2−ナフトキノンジアジド基を有する有機基としては、具体的には、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル基、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル基、1,2−ナフトキノンジアジド−6−スルホニル基等の1,2−キノンジアジドスルホニル基を好ましいものとして挙げることができる。特に、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル基および1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル基が好ましい。pは1〜3の整数、qは0〜4の整数、かつ1≦p+q≦5である。J
19は単結合、炭素原子数1〜4のポリメチレン基、シクロアルキレン基、フェニレン基、下記式(23−7−1)で表わされる基、カルボニル基、エステル基、アミド基またはエーテル基であり、Y
19は水素原子、アルキル基またはアリール基であり、X
20は、それぞれ独立に下記式(23−8−1)で示される基である。
【0100】
【化30】
(23−7−1)
【0101】
【化31】
(23−8−1)
(式(23−8−1)中、Z
22はそれぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、R
22はアルキル基、シクロアルキル基またはアルコキシル基であり、rは0〜3の整数である。)
【0102】
その他の酸発生剤として、ビス(p-トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4-ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert-ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n-ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n-プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、1、3−ビス(シクロヘキシルスルホニルアゾメチルスルホニル)プロパン、1、4−ビス(フェニルスルホニルアゾメチルスルホニル)ブタン、1、6−ビス(フェニルスルホニルアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1、10−ビス(シクロヘキシルスルホニルアゾメチルスルホニル)デカンなどのビススルホニルジアゾメタン類、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-(ビストリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシナフチル)-4,6-(ビストリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、トリス(2,3-ジブロモプロピル)-1,3,5-トリアジン、トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレートなどのハロゲン含有トリアジン誘導体等が挙げられる。
【0103】
上記酸発生剤のうち、芳香環を有する酸発生剤が好ましく、式(23−1)または(23−2)で示され酸発生剤がより好ましい。式23−1)または(23−2)のX
−が、アリール基もしくはハロゲン置換アリール基を有するスルホン酸イオンを有する酸発生剤がさらに好ましく、アリール基を有するスルホン酸イオンを有する酸発生剤が特に好ましく、ジフェニルトリメチルフェニルスルホニウム p−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウム p−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウム ノナフルオロメタンスルホナートが特に好ましい。該酸発生剤を用いることで、LERを低減することができる。
上記酸発生剤(C)は、単独で、または2種以上を使用することができる。
【0104】
低分子量溶解促進剤(D)は、環状ポリフェノール化合物(B)のアルカリ等の現像液に対する溶解性が低すぎる場合に、その溶解性を高めて、現像時の環状ポリフェノール化合物(B)の溶解速度を適度に増大させる作用を有する成分であり、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。前記溶解促進剤としては、例えば、低分子量のフェノール性化合物を挙げることができ、例えば、ビスフェノール類、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン等を挙げることができる。これらの溶解促進剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。溶解促進剤の配合量は、使用する前記環状ポリフェノール化合物(B)の種類に応じて適宜調節されるが、環状ポリフェノール化合物(B)と低分子量溶解促進剤(D)の総和が固形成分の全重量の50〜99.999重量%、好ましくは60〜99重量%、より好ましくは70〜99重量%、さらに好ましくは80〜99重量%となる量である。
【0105】
低分子量溶解促進剤(D)は、上記環状ポリフェノール化合物(A)から選ばれる化合物であることが好ましい。環状ポリフェノール化合物(A)は、低分子量でありながら、高耐熱性、アモルファス性を有し、かつ、環状ポリフェノール化合物(B)との親和性が高く、均一なレジスト膜を形成でき、高解像度、低LERなどの性能が付与できる。低分子量溶解促進剤(D)として使用する環状ポリフェノール化合物(A)は、環状ポリフェノール化合物(B)の製造に用いられた環状ポリフェノール化合物(A)と同一であることがより好ましい。環状ポリフェノール化合物(B)と低分子量溶解促進剤(D)との親和性が更に高くなり、より均一なレジスト膜を形成でき、高解像度、低LERなどの性能が付与できる。
【0106】
本発明においては、放射線照射により酸発生剤から生じた酸のレジスト膜中における拡散を制御して、未露光領域での好ましくない化学反応を阻止する作用等を有する酸拡散制御剤(E)を感放射線性組成物に配合しても良い。このような酸拡散制御剤(E)を使用することにより、解像度が向上するとともに、電子線照射前の引き置き時間、電子線照射後の引き置き時間の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れたものとなる。また、酸拡散制御剤(E)を使用することにより、感放射線性組成物の貯蔵安定性が向上する。このような酸拡散制御剤(E)としては、窒素原子含有塩基性化合物、塩基性スルホニウム化合物、塩基性ヨードニウム化合物等の電子線放射分解性塩基性化合物が挙げられる。酸拡散制御剤は、単独でまたは2種以上を使用することができる。
上記酸拡散制御剤としては、例えば、含窒素有機化合物や、露光により分解する塩基性化合物等が挙げられる。上記含窒素有機化合物としては、例えば、下記一般式(24):
【0107】
【化32】
(24)
で表される化合物(以下、「含窒素化合物(I)」という。)、同一分子内に窒素原子を2個有するジアミノ化合物(以下、「含窒素化合物(II)」という。)、窒素原子を3個以上有するポリアミノ化合物や重合体(以下、「含窒素化合物(III)」という。)、アミド基含有化合物、ウレア化合物、及び含窒素複素環式化合物等を挙げることができる。尚、上記酸拡散制御剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0108】
上記一般式(24)中、R
61、R
62及びR
63は相互に独立に水素原子、直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。また、上記アルキル基、アリール基、又はアラルキル基は、非置換でもよく、ヒドロキシル基等の他の官能基で置換されていてもよい。ここで、上記直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基としては、例えば、炭素数1〜15、好ましくは1〜10のものが挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、テキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、n−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。また、上記アリール基としては、炭素数6〜12のものが挙げられ、具体的には、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、1−ナフチル基等が挙げられる。更に、上記アラルキル基としては、炭素数7〜19、好ましくは7〜13のものが挙げられ、具体的には、ベンジル基、α−メチルベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
【0109】
上記含窒素化合物(I)として具体的には、例えば、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ドデシルアミン、シクロヘキシルアミン等のモノ(シクロ)アルキルアミン類;ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−ノニルアミン、ジ−n−デシルアミン、メチル−n−ドデシルアミン、ジ−n−ドデシルメチル、シクロヘキシルメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジ(シクロ)アルキルアミン類;トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、ジメチル−n−ドデシルアミン、ジ−n−ドデシルメチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリシクロヘキシルアミン等のトリ(シクロ)アルキルアミン類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、1−ナフチルアミン等の芳香族アミン類等を挙げることができる。
【0110】
上記含窒素化合物(II)として具体的には、例えば、エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、1,3−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン等を挙げることができる。
【0111】
上記含窒素化合物(III)として具体的には、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、N−(2−ジメチルアミノエチル)アクリルアミドの重合体等を挙げることができる。
上記アミド基含有化合物として具体的には、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。
【0112】
上記ウレア化合物として具体的には、例えば、尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリ−n−ブチルチオウレア等を挙げることができる。
【0113】
上記含窒素複素環式化合物として具体的には、例えば、イミダゾール、ベンズイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール等のイミダゾール類;ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、2−メチル−4−フェニルピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、8−オキシキノリン、アクリジン等のピリジン類;及び、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、4−メチルモルホリン、ピペラジン、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等を挙げることができる。
【0114】
また、上記露光により分解する塩基性化合物としては、例えば、下記一般式(25−1):
【化33】
(25−1)
で表されるスルホニウム化合物、及び下記一般式(25−2):
【0115】
【化34】
(25−2)
で表されるヨードニウム化合物等を挙げることができる。
【0116】
上記一般式(25−1)及び(25−2)中、R
71、R
72、R
73、R
74及びR
75は相互に独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、ヒドロキシル基又はハロゲン原子を示す。Z
−はHO
−、R−COO
−(但し、Rは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアリール基若しくは炭素数1〜6のアルカリール基を示す。)又は下記一般式(25−3):
【0117】
【化35】
(25−3)
で表されるアニオンを示す。
【0118】
上記露光により分解する塩基性化合物として具体的には、例えば、トリフェニルスルホニウムハイドロオキサイド、トリフェニルスルホニウムアセテート、トリフェニルスルホニウムサリチレート、ジフェニル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムハイドロオキサイド、ジフェニル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムアセテート、ジフェニル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムサリチレート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムハイドロオキサイド、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムアセテート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムハイドロオキサイド、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムアセテート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムサリチレート、4−t−ブチルフェニル−4−ヒドロキシフェニルヨードニウムハイドロオキサイド、4−t−ブチルフェニル−4−ヒドロキシフェニルヨードニウムアセテート、4−t−ブチルフェニル−4−ヒドロキシフェニルヨードニウムサリチレート等が挙げられる。
【0119】
酸拡散制御剤(E)の配合量は、固形成分全重量の0〜10重量%が好ましく、0.001〜5重量%がより好ましく、0.001〜3重量%がさらに好ましい。上記範囲内であると、解像度の低下、パターン形状、寸法忠実度等の劣化を防止することができる。さらに、電子線照射から放射線照射後加熱までの引き置き時間が長くなっても、パターン上層部の形状が劣化することがない。また、配合量が10重量%以下であると、感度、未露光部の現像性等の低下を防ぐことができる。またこの様な酸拡散制御剤を使用することにより、レジスト組成物の貯蔵安定性が向上し、また解像度が向上するとともに、放射線照射前の引き置き時間、放射線照射後の引き置き時間の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れたものとなる。
【0120】
本発明のレジスト組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲で、必要に応じて、その他の成分(F)として、溶解制御剤、増感剤、界面活性剤、及び有機カルボン酸またはリンのオキソ酸もしくはその誘導体等の各種添加剤を1種又は2種以上添加することができる。
【0121】
[1]溶解制御剤
溶解制御剤は、環状ポリフェノール化合物(B)がアルカリ等の現像液に対する溶解性が高すぎる場合に、その溶解性を制御して現像時の溶解速度を適度に減少させる作用を有する成分である。このような溶解制御剤としては、レジスト被膜の焼成、放射線照射、現像等の工程において化学変化しないものが好ましい。
溶解制御剤としては、例えば、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン、アセナフテン等の芳香族炭化水素類;アセトフェノン、ベンゾフェノン、フェニルナフチルケトン等のケトン類;メチルフェニルスルホン、ジフェニルスルホン、ジナフチルスルホン等のスルホン類等を挙げることができる。これらの溶解制御剤は、単独でまたは2種以上を使用することができる。
溶解制御剤の配合量は、使用する環状ポリフェノール化合物(B)の種類に応じて適宜調節されるが、環状ポリフェノール化合物(B)100重量部当たり、30重量部以下が好ましく、より好ましくは10重量部以下である。
【0122】
[2]増感剤
増感剤は、照射された放射線のエネルギーを吸収して、そのエネルギーを酸発生剤(C)に伝達し、それにより酸の生成量を増加する作用を有し、レジストの見掛けの感度を向上させる成分である。このような増感剤としては、例えば、ベンゾフェノン類、ビアセチル類、ピレン類、フェノチアジン類、フルオレン類等を挙げることができるが、特に限定はされない。
これらの増感剤は、単独でまたは2種以上を使用することができる。増感剤の配合量は、環状ポリフェノール化合物(B)100重量部当たり、30重量部以下が好ましく、より好ましくは10重量部以下である。
【0123】
[3]界面活性剤
界面活性剤は、本発明のレジスト組成物の塗布性やストリエーション、レジストの現像性等を改良する作用を有する成分である。このような界面活性剤は、アニオン系、カチオン系、ノニオン系あるいは両性のいずれでもよい。好ましい界面活性剤はノニオン系界面活性剤である。ノニオン系界面活性剤は、感放射線性組成物の製造に用いる溶媒との親和性がよく、より効果がある。ノニオン系界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレン高級アルキルエーテル類、ポリオキシエチレン高級アルキルフェニルエーテル類、ポリエチレングリコールの高級脂肪酸ジエステル類等が挙げられるが、特に限定はされない。市販品としては、以下商品名で、エフトップ(ジェムコ社製)、メガファック(大日本インキ化学工業社製)、フロラード(住友スリーエム社製)、アサヒガード、サーフロン(以上、旭硝子社製)、ペポール(東邦化学工業社製)、KP(信越化学工業社製)、ポリフロー(共栄社油脂化学工業社製)等を挙げることができる。
界面活性剤の配合量は、環状ポリフェノール化合物(B)100重量部当たり、界面活性剤の有効成分として、2重量部以下が好ましい。
【0124】
[4]有機カルボン酸またはリンのオキソ酸もしくはその誘導体
感度劣化防止またはレジストパターン形状、引き置き安定性等の向上の目的で、さらに任意の成分として、有機カルボン酸またはリンのオキソ酸もしくはその誘導体を含有させることができる。なお、酸拡散制御剤と併用することも出来るし、単独で用いても良い。有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。リンのオキソ酸もしくはその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸またはそれらのエステルなどの誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホン酸またはそれらのエステルなどの誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸およびそれらのエステルなどの誘導体が挙げられ、これらの中で特にホスホン酸が好ましい。
有機カルボン酸またはリンのオキソ酸もしくはその誘導体は、単独でまたは2種以上を使用することができる。有機カルボン酸またはリンのオキソ酸もしくはその誘導体の配合量は、固形成分全重量の0〜50重量%が好ましく、0〜20重量%がより好ましく、0〜5重量%がさらに好ましく、0〜1重量%が特に好ましい。
【0125】
[5]上記溶解制御剤、増感剤、界面活性剤、及び有機カルボン酸またはリンのオキソ酸もしくはその誘導体以外のその他の添加剤
更に、本発明の感放射線性組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲で、必要に応じて、上記溶解制御剤、増感剤、及び界面活性剤以外の添加剤を1種又は2種以上配合することができる。そのような添加剤としては、例えば、染料、顔料、及び接着助剤等が挙げられる。例えば、染料又は顔料を配合すると、露光部の潜像を可視化させて、露光時のハレーションの影響を緩和できるので好ましい。また、接着助剤を配合すると、基板との接着性を改善することができるので好ましい。更に、他の添加剤としては、ハレーション防止剤、保存安定剤、消泡剤、形状改良剤等、具体的には4−ヒドロキシ−4’−メチルカルコン等を挙げることができる。
【0126】
本発明の感放射線性組成物は、通常は、使用時に各成分を溶媒に溶解して均一溶液とし、その後、必要に応じて、例えば孔径0.2μm程度のフィルター等でろ過することにより調製される。
【0127】
本発明の感放射線性組成物の調製に使用される前記溶媒としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−プロピル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル等の乳酸エステル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸n−アミル、酢酸n−ヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メトキシ−3−メチルプロピオン酸ブチル、3−メトキシ−3−メチル酪酸ブチル、アセト酢酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;γ−ラクトン等のラクトン類等を挙げることができるが、特に限定はされない。これらの溶媒は、単独でまたは2種以上を使用することができる。
【0128】
本発明の感放射線性組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で、アルカリ水溶液に可溶である樹脂を含むことができる。アルカリ水溶液に可溶である樹脂としては、ノボラック樹脂、ポリビニルフェノール類、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、スチレン−無水マレイン酸樹脂、およびアクリル酸、ビニルアルコール、またはビニルフェノールを単量体単位として含む重合体、あるいはこれらの誘導体などが挙げられる。アルカリ水溶液に可溶である樹脂の配合量は、使用するレジスト化合物の種類に応じて適宜調節されるが、上記環状ポリフェノール化合物(B)100重量部当たり、30重量部以下が好ましく、より好ましくは10重量部以下、さらに好ましくは5重量部以下、特に好ましくは0重量部である。
【0129】
[環状ポリフェノール化合物(B)の製造方法(1)]
本発明は、第一段階目の反応として炭素数が2〜59であり1〜4個のホルミル基を有するアルデヒド性化合物(A1b)に、酸解離性官能基導入試剤を反応させ、酸解離性官能基を導入したアルデヒド性化合物(A1c)を合成して、第二段階目の反応として、アルデヒド性化合物(A1c)とフェノール性化合物(A2)との縮合反応を行う、環状ポリフェノール化合物(B)の製造方法に関する。
【0130】
一般的な酸解離性官能基を有する環状低分子ポリフェノール化合物は、環状低分子ポリフェノール化合物を合成し、その環状低分子ポリフェノール化合物と、後述する酸解離性官能基を導入するための化合物とを反応させ製造する。
しかしながらそのような方法は、環状低分子ポリフェノール化合物がテトラヒドロフラン(THF)等の反応に用いる有機溶媒に難溶となり、酸解離性官能基を導入するための化合物とを反応させることが困難である場合がある。また環状低分子ポリフェノール化合物が有機溶媒に可溶であっても、環状低分子ポリフェノール化合物と、前記酸解離性官能基を導入するための化合物とを、選択的に反応することは出来ず、数種の置換体および無置換体からなる混合物になってしまう。この混合物から、選択的に酸解離性官能基を有する環状低分子ポリフェノール化合物の単離は一般に困難であり、また収率も低く実用的とは言えない。
【0131】
それに対し、本発明の製造方法は、第一段階目の反応で、炭素数が2〜59であり1〜4個のホルミル基を有するアルデヒド性化合物(A1b)に、酸解離性官能基を導入し、アルデヒド性化合物(A1c)を合成する。この場合、アルデヒド性化合物(A1c)の原料となる炭素数が2〜59であり1〜4個のホルミル基を有するアルデヒド性化合物(A1b)および、酸解離性官能基を導入するための化合物は、THF等の反応に用いる有機溶媒に可溶であり、反応は問題なく進行する。
その後、第二段階目の反応として、既に酸解離性官能基が導入されたアルデヒド性化合物(A1c)とフェノール性化合物(A2)とを行い、酸解離性官能基が導入された環状ポリフェノール化合物(B)を得るので、反応に用いる有機溶媒に対する溶解性も良好で反応に悪影響が無く、またアルデヒド性化合物(A1c)由来の部位に酸解離性官能基があり、フェノール性化合物(A2)由来の部位には酸解離性官能基が無い、選択的に酸解離性官能基が導入された環状ポリフェノール化合物(B)を高い収率で得ることができ、生産性が高い。
【0132】
アルデヒド性化合物(A1c)は、酸解離性官能基を有する炭素数が3〜60であり1〜4個のホルミル基を有するアルデヒドである。
本発明において、酸解離性官能基とは、酸の存在下で開裂して、アルカリ可溶性基を生じる特性基をいう。アルカリ可溶性基としては、フェノール性水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、ヘキサフルオロイソプロパノール基などが挙げられ、フェノール性水酸基およびカルボキシル基が好ましく、フェノール性水酸基が特に好ましい。前記酸解離性官能基は、更に高感度・高解像度なパターン形成を可能にするために、酸の存在下で連鎖的に開裂反応を起こす性質を有することが好ましい。
【0133】
前記酸解離性官能基は、KrFやArF用の化学増幅型レジスト組成物に用いられるヒドロキシスチレン系樹脂、(メタ)アクリル酸系樹脂等において提案されているもののなかから適宜選択して用いることができる。例えば、置換メチル基、1−置換エチル基、1−置換−n−プロピル基、1−分岐アルキル基、シリル基、アシル基、1−置換アルコキシメチル基、環状エーテル基、およびアルコキシカルボニル基などが挙げられる。前記酸解離性官能基は、架橋性官能基を有さないことが好ましい。
【0134】
アルデヒド性化合物(A1c)は、炭素数が2〜59であり1〜4個のホルミル基を有するアルデヒド性化合物(A1b)に、酸解離性官能基を導入して製造することができる。
【0135】
炭素数が2〜59であり1〜4個のホルミル基を有するアルデヒド化合物(A1b)は、特に限定されず、例えば、脂肪族アルデヒド化合物、脂環族アルデヒド化合物、芳香族アルデヒド化合物等を挙げることができる。
脂肪族アルデヒド化合物としては、アセトアルデヒド、Ra−CHO(Raは炭素数2〜20の置換基を有しても良いアルキル基)、OHC−Rb−CHO(Rbは炭素数1〜20の置換基を有しても良いアルキレン基)、Rc−(CHO)
3(Rcは炭素数2〜20の置換基を有しても良い三価の有機基)、Rd−(CHO)
4(Rdは炭素数2〜20の置換基を有しても良い四価の有機基)、等を挙げることができる。文中、置換基とは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシル基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、複素環基、ハロゲン、カルボキシル基、アルキルシラン、これらの誘導体からなる群から選択される官能基である。
脂環族アルデヒド化合物としては、シクロヘキサンカルボアルデヒド、炭素数2〜20の置換基を有していても良いシクロヘキサンカルボアルデヒド、シクロオクタンカルボアルデヒド、ノルボルナンカルボアルデヒド、アダマンタンカルボアルデヒド、フルフラール、ジホルミルシクロヘキサン、ジホルミルシクロオクタン、ジホルミルノルボルナン、ジホルミルアダマンタン、トリホルミルシクロヘキサン、トリホルミルシクロオクタン、トリホルミルノルボルナン、トリホルミルアダマンタン、トリホルミルシクロヘキサン、テトラホルミルシクロオクタン、テトラホルミルノルボルナン、テトラホルミルアダマンタン等を挙げることができる。文中、置換基とは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシル基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、複素環基、ハロゲン、カルボキシル基、アルキルシラン、これらの誘導体からなる群から選択される官能基である。
芳香族アルデヒド化合物としては、ベンズアルデヒド、トルイルアルデヒド、炭素数2〜20の置換基を有していても良いベンズアルデヒド、アニスアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、ナフトアルデヒド、アントラアルデヒド、ビフェニルアルデヒド、ホルミルフルオレン、ホルミルビフェニル、ホルミルアントラセン、ホルミルフェナントレン、ホルミルフェノチアザン、ホルミルピレン、ホルミルベンゾピレン、ホルミルインダセン、ホルミルフェナセン、ホルミルアセナフチレン、ホルミルナフタセン、ホルミルペンタセン、ホルミルトリフェニレン、ホルミルピリジン、ホルミルオバレン、ジホルミルベンゼン、ジホルミルトルエン、ジホルミルキシレン、ジホルミルナフタレン、ジホルミルビフェニル、ジホルミルターフェニル、ジホルミルアントラセン、ジホルミルフェナントレン、ジホルミルピレン、ジホルミルインダセン、ジホルミルフェナレン、ジホルミルアセナフチレン、ジホルミルフェナレン、ジホルミルナフタセン、ジホルミルペンタセン、ジホルミルトリフェニレン、ジホルミルピリジン、ジホルミルイミダゾール、ジホルミルフラン、ジホルミルチアゾール、ジホルミルフラボン、ジホルミルイソフラボン、トリホルミルベンゼン、トリホルミルトルエン、トリホルミルキシレン、トリホルミルナフタレン、トリホルミルビフェニル、トリホルミルターフェニル、トリホルミルアントラセン、トリホルミルフェナントレン、トリホルミルピレン、トリホルミルインダセン、トリホルミルフェナレン、トリホルミルアセナフチレン、トリホルミルフェナレン、トリホルミルナフタセン、トリホルミルペンタセン、トリホルミルトリフェニレン、トリホルミルピリトリン、トリホルミルイミダゾール、トリホルミルフラン、トリホルミルチアゾール、トリホルミルフラボン、トリホルミルイソフラボン、テトラホルミルベンゼン、テトラホルミルナフタレン、テトラホルミルビフェニル、テトラホルミルターフェニル、テトラホルミルアントラセン、テトラホルミルフェナントレン、テトラホルミルピレン、テトラホルミルインダセン、テトラホルミルフェナレン、テトラホルミルアセナフチレン、テトラホルミルフェナレン、テトラホルミルナフタセン、テトラホルミルペンタセン、テトラホルミルテトラフェニレン、テトラホルミルピリテトラン、テトラホルミルイミダゾール、テトラホルミルフラン、テトラホルミルチアゾール、テトラホルミルフラボン、テトラホルミルイソフラボンなどが挙げられる。文中、置換基とは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシル基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、ボロン酸基、複素環基、ハロゲン、カルボキシル基、アルキルシラン、これらの誘導体からなる群から選択される官能基である。
更に、ヘテロ環含有アルデヒド化合物として、フルフラール、ニコチンアルデヒド、2−テトラハイドロフランカルバルデヒド、2−チオフェンカルバルデヒド等を挙げることができる。
これらの化合物は、水酸基、ボロン酸基、ハロゲン原子およびカルボキシ基等で置換されていることが、酸解離性官能基を導入し易いため好ましい。
これらの中で、1〜4個のホルミル基を有する芳香族アルデヒドであることが、エッチング耐性の点から好ましく、1〜2個のホルミル基を有する芳香族アルデヒドであることが、微細パターンを形成することに有利であることからより好ましく、1個のホルミル基を有する芳香族アルデヒドであることが、芳香族アルデヒド自身および環状ポリフェノール化合物(B)を、高収率、高純度で製造できることからさらに好ましい。
【0136】
酸解離性官能基を導入するための化合物は、公知の方法で合成もしくは容易に入手でき、例えば、酸クロライド、酸無水物、ジカーボネートなどの活性カルボン酸誘導体化合物、アルキルハライド、ビニルアルキルエーテル、ジヒドロピラン、ハロカルボン酸アルキルエステルなどが挙げられるが、特に限定はされない。炭素数が2〜59であり1〜4個のホルミル基を有する化合物および酸解離性官能基を導入するための化合物の純度は特に限定されないが、通常、95重量%以上、好ましくは99重量%以上である。炭素数が2〜59であり1〜4個のホルミル基を有する化合物および酸解離性官能基を導入するための化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよいが、単独の方がレジスト膜の固形成分の均一性が高いので好ましい。
【0137】
アルデヒド性化合物(A1c)は、例えば以下のようにして、製造できる。例えば、アセトン、テトラヒドロフラン等の有機溶媒中、4−ヒドロキシベンズアルデヒド等のフェノール性水酸基を含有するベンズアルデヒドを溶解または懸濁させる。続いて、シクロヘキシルクロロメチルエーテル等のアルキルハライドまたはブロモ酢酸メチルアダマンチル等のハロカルボン酸アルキルエステルを加え、炭酸カリウム等のアルカリ触媒の存在下、常圧で、20〜110℃、0.1〜72時間反応させる。反応液を酸で中和し、蒸留水に加え白色固体を析出させた後、分離した白色固体を蒸留水で洗浄し、乾燥することによりアルデヒド性化合物(A1c)を得ることができる。
【0138】
アセトン、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の非プロトン性溶媒に4−ヒドロキシベンズアルデヒド等のフェノール性水酸基を含有するベンズアルデヒドを溶解または懸濁させる。続いて、シクロヘキシルビニルエーテル等のビニルアルキルエーテルを加え、ピリジニウム p−トルエンスルホナート等の酸触媒の存在下、常圧で、20〜60℃、0.1〜72時間反応させる。反応液をアルカリ化合物で中和し、蒸留水に加え白色固体を析出させた後、分離した白色固体を蒸留水で洗浄し、乾燥することによりアルデヒド性化合物(A1c)を得ることができる。
【0139】
テトラヒドロフラン等の有機溶媒中、3−カルボキシベンズアルデヒド等のカルボキシベンズアルデヒドと、メチルアダマンチルメタノール等の酸解離性官能基を有するアルコールとを、酸、塩基等のエステル化触媒を用い反応させ、アルデヒド性化合物(A1c)を得ることができる。
【0140】
4−クロロベンズアルデヒドや4−ブロモベンズアルデヒド等のハロゲン化ベンズアルデヒドまたは4−クロロメチルベンズアルデヒドや4−ブロモベンズアルデヒドと、Grignard試薬とを、銅触媒を用いたGrignard反応により反応させ、アルデヒド性化合物(A1c)を得ることができる。
【0141】
テトラヒドロフラン等の有機溶媒中、4−クロロベンズアルデヒドや4−ブロモベンズアルデヒド等のハロゲン化ベンズアルデヒドまたは4−クロロメチルベンズアルデヒドや4−ブロモベンズアルデヒドと、Grignard試薬とを、銅触媒を用いたGrignard反応により反応させ、アルデヒド性化合物(A1c)を得ることができる。
【0142】
テトラヒドロフラン等の有機溶媒中、4−ホルミルフェニルホウ酸等のホルミル化フェニルホウ酸と、シクロヘキシルクロロメチルエーテル等のアルキルハライドまたはブロモ酢酸メチルアダマンチル等のハロカルボン酸アルキルエステルとを、パラジウムおよび塩基を触媒を用いた鈴木カップリング反応により反応させ、アルデヒド性化合物(A1c)を得ることができる。
【0143】
前記、アルデヒド性化合物(A1c)は、特に限定されず、例えば、前記、炭素数が2〜59であり1〜4個のホルミル基を有する化合物として例示した化合物に、酸解離性官能基を導入した化合物等をあげることができる。
【0144】
アルデヒド性化合物(A1c)としては、芳香族アルデヒド化合物であることが、耐エッチング耐性の点から好ましく、1〜2個のホルミル基を有する芳香族アルデヒド化合物であることが、微細パターンを形成することに有利であることからより好ましく、1個のホルミル基を有する芳香族アルデヒド化合物であることがさらに好ましい。
【0145】
前記、アルデヒド性化合物(A1c)は、下記式(31)で示される化合物であることが好ましい。
【0146】
【化36】
(31)
【0147】
式中、Lは、単結合、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数3〜20のシクロアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、−O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−N(R
5A)−C(=O)−、−N(R
5A)−C(=O)O−、−S−、−SO−、−SO
2−およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される二価の有機基であり、R
1は、炭素数2〜20の置換メチル基、炭素数3〜20の1−置換エチル基、炭素数4〜20の1−置換−n−プロピル基、炭素数3〜20の1−分岐アルキル基、炭素数1〜20のシリル基、炭素数2〜20のアシル基、炭素数2〜20の1−置換アルコキシアルキル基、炭素数2〜20の環状エーテル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基およびアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択される酸解離性官能基であり、R
2は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシル基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、複素環基、ハロゲン、カルボキシル基、炭素数1〜20のアルキルシラン、およびこれらの誘導体からなる群から選択される官能基であり、R
5Aは、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基であり、m
1は、1〜5の整数であり、m
2は、0〜4の整数であり、m
1+m
2=5である。)
【0148】
上記式(31)で示される化合物は、上記記載の方法によって製造できる。
【0149】
前記、アルデヒド性化合物(A1c)は、下記式(32)で示される化合物であることがより好ましい。
【0150】
【化37】
(32)
(式(32)中、L、R
1、X
2、m、m
1は、前記と同様である。)
【0151】
上記式(32)で示される化合物は、上記記載の方法によって製造できる。
【0152】
前記、アルデヒド性化合物(A1c)は、下記式(33)で示される化合物であることがさらに好ましい。
【0153】
【化38】
(33)
(式(33)中、L、R
1、X
2は、前記と同様である。)
【0154】
上記式(33)で示される化合物は、上記記載の方法によって製造できる。
【0155】
前記、アルデヒド性化合物(A1c)は、下記式(34)で示される化合物であることが特に好ましい。
【0156】
【化39】
(34)
(式(34)中、R
1、X
2は、前記と同様である。)
【0157】
上記式(1−4)で示される化合物は、上記記載の方法によって製造できる。
【0158】
式(31)〜(34)中、R
1は、炭素数2〜20の置換メチル基、炭素数3〜20の1−置換エチル基、炭素数4〜20の1−置換−n−プロピル基、炭素数3〜20の1−分岐アルキル基、炭素数1〜20のシリル基、C2〜20のアシル基、炭素数2〜20の1−置換アルコキシアルキル基、炭素数2〜20の環状エーテル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基および炭素数2〜20のアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択される酸解離性官能基である。複数のR
1は、同一でも異なっても良いが、同一の方がレジスト膜の固形成分の均一性が高いので好ましい。
【0159】
置換メチル基としては、通常、炭素数2〜20の置換メチル基であり、炭素数4〜18の置換メチル基が好ましく、炭素数6〜16の置換メチル基がさらに好ましい。例えば、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、エトキシメチル基、n−プロポキシメチル基、イソプロポキシメチル基、n−ブトキシメチル基、t−ブトキシメチル基、2−メチルプロポキシメチル基、エチルチオメチル基、メトキシエトキシメチル基、フェニルオキシメチル基、1−シクロペンチルオキシメチル基、1−シクロヘキシルオキシメチル基、ベンジルチオメチル基、フェナシル基、4−ブロモフェナシル基、4−メトキシフェナシル基、ピペロニル基、および下記式(13)で示される置換基等を挙げることができる。
【0160】
【化40】
(13)
(式(13)中、R
4は、炭素数1〜4のアルキル基である。炭素数1〜4のアルキル基とは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、t−ブチル基、n−ブチル基等である。)
【0161】
1−置換エチル基としては、通常、炭素数3〜20の1−置換エチル基であり、炭素数5〜18の1−置換エチル基が好ましく、炭素数7〜16の置換メチル基がさらに好ましい。例えば、1−メトキシエチル基、1−メチルチオエチル基、1,1−ジメトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−エチルチオエチル基、1,1−ジエトキシエチル基、n−プロポキシエチル基、イソプロポキシエチル基、n−ブトキシエチル基、t−ブトキシエチル基、2−メチルプロポキシエチル基、1−フェノキシエチル基、1−フェニルチオエチル基、1,1−ジフェノキシエチル基、1−シクロペンチルオキシエチル基、1−シクロヘキシルオキシエチル基、1−フェニルエチル基、1,1−ジフェニルエチル基、および下記式(14)で示される置換基等を挙げることができる。
【0162】
【化41】
(14)
(式(14)中、R
4は、前記と同様である。)
【0163】
1−置換−n−プロピル基としては、通常、炭素数4〜20の1−置換−n−プロピル基であり、炭素数6〜18の1−置換−n−プロピル基が好ましく、炭素数8〜16の1−置換−n−プロピル基がさらに好ましい。例えば、1−メトキシ−n−プロピル基および1−エトキシ−n−プロピル基等を挙げることができる。
【0164】
1−分岐アルキル基としては、通常、炭素数3〜20の1−分岐アルキル基であり、炭素数5〜18の1−分岐アルキル基が好ましく、炭素数7〜16の分岐アルキル基がさらに好ましい。例えば、イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−メチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、2−メチルアダマンチル基、および2−エチルアダマンチル基等を挙げることができる。
【0165】
シリル基としては、通常、炭素数1〜20のシリル基であり、炭素数3〜18のシリル基が好ましく、炭素数5〜16のシリル基がさらに好ましい。例えば、トリメチルシリル基、エチルジメチルシリル基、メチルジエチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジエチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、トリ−tert−ブチルシリル基およびトリフェニルシリル基等を挙げることができる。
【0166】
アシル基としては、通常、炭素数2〜20のアシル基であり、炭素数4〜18のアシル基が好ましく、炭素数6〜16のアシル基がさらに好ましい。例えば、アセチル基、フェノキシアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、バレリル基、ピバロイル基、イソバレリル基、ラウリロイル基、アダマンチルカルボニル基、ベンゾイル基およびナフトイル基等を挙げることができる。
【0167】
1−置換アルコキシメチル基としては、通常、炭素数2〜20の1−置換アルコキシメチル基であり、炭素数4〜18の1−置換アルコキシメチル基が好ましく、炭素数6〜16の1−置換アルコキシメチル基がさらに好ましい。例えば、1−シクロペンチルメトキシメチル基、1−シクロペンチルエトキシメチル基、1−シクロヘキシルメトキシメチル基、1−シクロヘキシルエトキシメチル基、1−シクロオクチルメトキシメチル基および1−アダマンチルメトキシメチル基等を挙げることができる。
【0168】
環状エーテル基としては、通常、炭素数2〜20の環状エーテル基であり、炭素数4〜18の環状エーテル基が好ましく、炭素数6〜16の環状エーテル基がさらに好ましい。例えば、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、テトラヒドロチオフラニル基、4−メトキシテトラヒドロピラニル基および4−メトキシテトラヒドロチオピラニル基等を挙げることができる。
【0169】
アルコキシカルボニル基としては、通常、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基であり、炭素数4〜18のアルコキシカルボニル基が好ましく、炭素数6〜16のアルコキシカルボニル基がさらに好ましい。例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等を挙げることができる。
【0170】
アルコキシカルボニルアルキル基としては、通常、炭素数2〜20のアルコキシカルボニルアルキル基であり、炭素数4〜18のアルコキシカルボニルアルキル基が好ましく、炭素数6〜16のアルコキシカルボニルアルキル基がさらに好ましい。例えば、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、n−プロポキシカルボニルメチル基、イソプロポキシカルボニルメチル基、n−ブトキシカルボニルメチル基または下記式(15)で示される酸解離性官能基等を挙げることができる。
【0171】
【化42】
(15)
(式(15)中、R
4は、前記と同様であり、nは、1〜4の整数である。)
R
1は、同一でも異なっても良いが、同一の方がレジスト膜の固形成分の均一性が高いので好ましい。
【0172】
R
1は、炭素数3〜20のシクロアルカン、ラクトンおよび6〜12の芳香族環から選ばれる構造を有する酸解離性官能基がより好ましい。炭素数3〜20のシクロアルカンとしては、単環でも多環でも良いが、多環であることがより好ましい。具体例には、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等が挙げられ、より具体的には、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロデカン等のポリシクロアルカンが挙げられる。これらの中でも、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロデカンが好ましく、特にアダマンタン、トリシクロデカンが好ましい。炭素数3〜20のシクロアルカンは置換基を有しても良い。ラクトンとしては、ブチロラクトンまたはラクトン基を有する炭素数3〜20クロアルカン基が挙げられる。6〜12の芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環等が挙げられ、ベンゼン環、ナフタレン環が好ましく、特にナフタレン環が好ましく、下記式(22)で示される酸解離性官能基であることがより好ましい。該酸解離性官能基を有することにより、得られるレジストパターンの解像性及びLERを向上する。
【0173】
【化43】
(16)
(式(16)中、R
5は、炭素数1〜4の直鎖または分岐アルキル基であり、R
6は、水素、炭素数1〜4の直鎖または分岐アルキル基、シアノ基、ニトロ基、複素環基、ハロゲン、カルボキシル基であり、n
1は0〜4の整数、n
2は1〜5の整数、n
0は0〜4の整数である。)
【0174】
特に下記式(22)で示される酸解離性官能基が、解像性が高く好ましい。
【0175】
【化44】
(17)
(式(17)中、R
5、R
6、n
0、n
1、n
2は前記と同様である。)
【0176】
また酸解離性官能基R
1は、本発明の効果が損なわれない限りで、下記式(35)で示される繰り返し単位と、下記式(36)またはR
1(R
1は上記と同様)で示される末端基からなる置換基であっても良い。
【0177】
【化45】
(35)
【0178】
【化46】
(36)
【0179】
式(35)及び/又は(36)において、R
1は前記と同様である。Lは、単結合、メチレン基、エチレン基またはカルボニル基である。複数個のQは、同一でも異なっていても良い。n
5は0〜4の整数、n
6は1〜3の整数、xは0〜3の整数であり、1≦n
5+n
6≦5を満たす。複数個のn
5、n
6、xは、同一でも異なっていても良い。R
3は、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルケニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキロイルオキシ基、アリーロイルオキシ基、シアノ基、およびニトロ基からなる群から選ばれる置換基である。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられ;アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の炭素原子数1〜4のアルキル基が挙げられ;シクロアルキル基としてはシクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられ;アリール基としてはフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフキル基等が挙げられ;アラルキル基としてはベンジル基、ヒドロキシベンジル基、ジヒドロキシベンジル基等が挙げられ;アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の炭素原子数1〜4のアルコキシ基が挙げられ;アリールオキシ基としてはフェノキシ基等が挙げられ;アルケニル基としてはビニル基、プロペニル基、アリル基、ブテニル基等の炭素原子数2〜4のアルケニル基が挙げられ;アシル基としてはホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基等の炭素原子数1〜6の脂肪族アシル基、およびベンゾイル基、トルオイル基等の芳香族アシル基が挙げられ;アルコキシカルボニル基としてはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等の炭素原子数2〜5のアルコキシカルボニル基が挙げられ;アルキロイルオキシ基としてはアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基バレリルオキシ基、イソバレリルオキシ基、ピバロイルオキシ基等が挙げられ;アリーロイルオキシ基としてはベンゾイルオキシ基等が挙げられる。複数個のR
3は、同一でも異なっていても良い。
【0180】
フェノール性化合物(A2)の例としては、フェノール、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール等が挙げられ、レゾルシノール、ピロガロールが好ましく、レゾルシノールがより好ましい。フェノール性化合物(A2)は本発明の効果を損ねない範囲で、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、カルボキシル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキロイルオキシ基、アリーロイルオキシ基、シアノ基、ニトロ基、複素環基、アルキルシラン、置換メチル基、1−置換エチル基、1−置換−n−プロピル基、1−分岐アルキル基、シリル基、1−置換アルコキシアルキル基、環状エーテル基およびアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選ばれる置換基等を有していても良い。フェノール性化合物(A2)は、純度は特に限定されないが、通常、95重量%以上、好ましくは99重量%以上である。フェノール性化合物(A2)は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよいが、単独の方がレジスト膜の固形成分の均一性が高いので好ましい。
【0181】
環状ポリフェノール化合物(B)の分子量は800〜5000であり、好ましくは1000〜2500、より好ましくは1500〜2000である。上記範囲であるとレジストに必要な成膜性を保持しつつ、解像性が向上する。
【0182】
本発明の一態様において、環状ポリフェノール化合物(B)は下記式(1)で示される化合物であることが好ましい。
【0183】
【化47】
(1)
【0184】
(式(1)中、R
3は独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシル基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、複素環基、ハロゲン、カルボキシル基、炭素数1〜20のアルキルシラン、これらの誘導体からなる群から選択される官能基であり、R’は独立して、炭素数2〜20のアルキル基、又は下記式
【0185】
【化48】
【0186】
で表わされる炭素数6〜24のアリール基又はこれらの誘導体であり、R
4は、炭素数1〜20のアルキル基(但し、t−ブチル基を除く)、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、複素環基、ハロゲン、カルボキシル基、炭素数1〜20のアルキルシラン、およびこれらの誘導体からなる群から選択される官能基または炭素数2〜20の置換メチル基、炭素数3〜20の1−置換エチル基、炭素数4〜20の1−置換−n−プロピル基、炭素数3〜20の1−分岐アルキル基、炭素数1〜20のシリル基、炭素数2〜20のアシル基、炭素数2〜20の1−置換アルコキシアルキル基、炭素数2〜20の環状エーテル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基およびアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択される酸解離性官能基であり、m
5は0〜3の整数であり、m+m
5=4、pは1〜5の整数である。)
【0187】
上記、環状ポリフェノール化合物(B)は下記式(2)で示される化合物であることがより好ましい。
【0188】
【化49】
(2)
【0189】
式(2)中、L、R
1、R
2、R
3、m、m
1、m
2およびm
5は、上記と同様である。
式(2)中、R
3は同一であっても、異なっていても良いが、同一の方が感放射線性組成物の均一性が増し、得られるレジストパターンのラフネスが小さくなることからより好ましい。
【0190】
上記式(1)〜(2)で示される環状ポリフェノール化合物(B)は、例えば以下のようにして、製造できる。
【0191】
例えば、メタノール、エタノール等の有機溶媒中、アルデヒド性化合物(A1c)1モルに対し、フェノール性化合物(A2)を0.1〜10モル量、酸触媒(塩酸、硫酸またはパラトルエンスルホン酸等)を使用し、0〜100℃で0.5〜72時間程度反応させ、濾過後、メタノール等のアルコール類で洗浄後、水洗し、濾過を行い分離し、乾燥させることにより得られる。酸触媒の代わりに、塩基性触媒(水酸化ナトリウム、水酸化バリウムまたは1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等)を使用し、同様に反応することによっても得られる。さらに環状ポリフェノール化合物(B)は、上記アルデヒド性化合物(A1c)をハロゲン化水素若しくはハロゲンガスでジハロゲン化物とし、単離したジハロゲン化物とフェノール性化合物(A2)とを反応させて製造することも出来る。
【0192】
【化50】
上記、環状ポリフェノール化合物(B)は下記式(3)〜(4)で示される化合物であることがより好ましい。
(3)
(式(3)中、R
3、R
4、m、m
5、pは前記と同様ある。)
【0193】
【化51】
(4)
【0194】
式(4)中、R
3、L、R
1、R
2、m
1およびm
2は、上記と同様である。
式(4)中、R
3は同一であっても、異なっていても良いが、同一の方が感放射線性組成物の均一性が増し、得られるレジストパターンのラフネスが小さくなることからより好ましい。
【0195】
上記式(3)〜(4)で示される環状ポリフェノール化合物(B)は、上記記載の方法によって製造できる。
【0196】
上記、環状ポリフェノール化合物(B)は下記式(37)で示される化合物であることがより好ましい。
【0197】
【化52】
(37)
(式(37)中、L、R
1、R
2、m
1およびm
2は、上記と同様である。)
【0198】
上記式(37)で示される環状ポリフェノール化合物(B)は、上記記載の方法によって製造できる。
【0199】
上記、環状ポリフェノール化合物(37)は下記式(38)で示される化合物であることがさらに好ましい。
【0200】
【化53】
(38)
(式(38)中、L、R
1、m1は、上記と同様である。)
【0201】
上記式(38)で示される環状ポリフェノール化合物(B)は、上記記載の方法によって製造できる。
【0202】
上記、環状ポリフェノール化合物(B)は下記式(39)で示される化合物であることが特に好ましい。
【0203】
【化54】
(39)
(式(39)中、R
1は上記と同様である。)
【0204】
上記式(39)で示される環状ポリフェノール化合物(B)は、上記記載の方法によって製造できる。
【0205】
[環状ポリフェノール化合物(B)の製造方法(2)]
本発明は、第一段階目の反応として、環状ポリフェノール化合物(B)は、炭素数が2〜59であり1〜2個のカルボキシル基またはエステル基および1〜4個のホルミル基を有するアルデヒド性化合物(A1d)と、炭素数6〜15であり1〜3個のフェノール性水酸基を有するフェノール性化合物(A2)との縮合反応を行い、分子中にカルボキシル基を1〜8個有する分子量が700〜5000の環状ポリフェノール化合物(A)を合成し、第二段階目の反応として、カルボキシル基を有する環状ポリフェノール化合物(A)とハロメチルエーテル基を有する化合物(A3)との反応を行う、環状ポリフェノール化合物(B)の製造方法に関する。
【0206】
環状ポリフェノール化合物(B)は、カルボキシル基を有する環状ポリフェノール化合物(A)とハロメチルエーテル基を有する化合物(A3)との反応によっても得ることができる。環状ポリフェノール化合物(A)のカルボキシル基とハロメチルエーテル基を有する化合物(A3)のハロゲンの反応性は高い為、環状ポリフェノール化合物(A)のフェノール性水酸基とハロメチルエーテル基を有する化合物(A3)のハロゲンとの反応等の副反応を抑制しながら反応は進行し、選択的にカルボキシル基に酸解離性官能基が導入された環状ポリフェノール化合物(B)を高い収率で得ることができ、生産性が高い。
【0207】
カルボキシル基を有する環状ポリフェノール化合物(A)は、炭素数が2〜59であり1〜2個のカルボキシル基またはエステル基および1〜4個のホルミル基を有するアルデヒド(以下、アルデヒド性化合物(A1d)という)と、炭素数6〜15であり1〜3個のフェノール性水酸基を有する化合物(以下、フェノール性化合物(A2)という)との縮合反応により合成した、分子中にカルボキシル基を1〜8個有する分子量が700〜5000の環状化合物である。
【0208】
アルデヒド性化合物(A1d)は、特に限定されず、例えば、1〜2個のカルボキシル基またはエステル基を有する脂肪族アルデヒド化合物、1〜2個のカルボキシル基またはエステル基を有する脂環族アルデヒド化合物、1〜2個のカルボキシル基またはエステル基を有する芳香族アルデヒド化合物等を挙げることができる。
1〜2個のカルボキシル基を有する脂肪族アルデヒド化合物としては、Ra−CHO(Raは炭素数1〜20の置換基を有しても良い1〜2個のカルボキシル基またはエステル基を有するアルキル基)、OHC−Rb−CHO(Rbは炭素数1〜20の置換基を有しても良い1〜2個のカルボキシル基またはエステル基を有するアルキレン基)、Rc−(CHO)
3(Rcは炭素数2〜20の置換基を有しても良い1〜2個のカルボキシル基またはエステル基を有する三価の有機基)、Rd−(CHO)
4(Rdは炭素数2〜20の置換基を有しても良い1〜2個のカルボキシル基を有する四価の有機基)等を挙げることができる。文中、置換基とは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシル基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、複素環基、ハロゲン、カルボキシル基、アルキルシラン、これらの誘導体からなる群から選択される官能基である。
【0209】
脂環族アルデヒド化合物としては、カルボキシシクロヘキサンカルボアルデヒド、炭素数2〜20の置換基を有していても良いカルボキシシクロヘキサンカルボアルデヒド、カルボキシシクロオクタンカルボアルデヒド、カルボキシノルボルナンカルボアルデヒド、カルボキシアダマンタンカルボアルデヒド、カルボキシフルフラール、カルボキシジホルミルシクロヘキサン、カルボキシジホルミルシクロオクタン、カルボキシジホルミルノルボルナン、カルボキシジホルミルアダマンタン、カルボキシトリホルミルシクロヘキサン、カルボキシトリホルミルシクロオクタン、カルボキシトリホルミルノルボルナン、カルボキシトリホルミルアダマンタン、カルボキシトリホルミルシクロヘキサン、カルボキシテトラホルミルシクロオクタン、カルボキシテトラホルミルノルボルナン、カルボキシテトラホルミルアダマンタン等を挙げることができる。文中、置換基とは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシル基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、複素環基、ハロゲン、アルキルシラン、これらの誘導体からなる群から選択される官能基である。
【0210】
芳香族アルデヒド化合物としては、カルボキシベンズアルデヒド、カルボキシトルイルアルデヒド、炭素数2〜20の置換基を有していても良いカルボキシベンズアルデヒド、カルボキシアニスアルデヒド、カルボキシバニリン、カルボキシエチルバニリン、カルボキシナフトアルデヒド、カルボキシアントラアルデヒド、カルボキシビフェニルアルデヒド、カルボキシホルミルフルオレン、カルボキシホルミルビフェニル、カルボキシホルミルアントラセン、カルボキシホルミルフェナントレン、カルボキシホルミルフェノチアザン、カルボキシホルミルピレン、カルボキシホルミルベンゾピレン、カルボキシホルミルインダセン、カルボキシホルミルフェナセン、カルボキシホルミルアセナフチレン、カルボキシホルミルナフタセン、カルボキシホルミルペンタセン、カルボキシホルミルトリフェニレン、カルボキシホルミルピリジン、カルボキシホルミルオバレン、カルボキシジホルミルベンゼン、カルボキシジホルミルトルエン、カルボキシジホルミルキシレン、カルボキシジホルミルナフタレン、カルボキシジホルミルビフェニル、カルボキシジホルミルターフェニル、カルボキシジホルミルアントラセン、カルボキシジホルミルフェナントレン、カルボキシジホルミルピレン、カルボキシジホルミルインダセン、カルボキシジホルミルフェナレン、カルボキシジホルミルアセナフチレン、カルボキシジホルミルフェナレン、カルボキシジホルミルナフタセン、カルボキシジホルミルペンタセン、カルボキシジホルミルトリフェニレン、カルボキシジホルミルピリジン、カルボキシジホルミルイミダゾール、カルボキシジホルミルフラン、カルボキシジホルミルチアゾール、カルボキシジホルミルフラボン、カルボキシジホルミルイソフラボン、カルボキシトリホルミルベンゼン、カルボキシトリホルミルトルエン、カルボキシトリホルミルキシレン、カルボキシトリホルミルナフタレン、カルボキシトリホルミルビフェニル、カルボキシトリホルミルターフェニル、カルボキシトリホルミルアントラセン、カルボキシトリホルミルフェナントレン、カルボキシトリホルミルピレン、カルボキシトリホルミルインダセン、カルボキシトリホルミルフェナレン、カルボキシトリホルミルアセナフチレン、カルボキシトリホルミルフェナレン、カルボキシトリホルミルナフタセン、カルボキシトリホルミルペンタセン、カルボキシトリホルミルトリフェニレン、カルボキシトリホルミルピリトリン、カルボキシトリホルミルイミダゾール、カルボキシトリホルミルフラン、カルボキシトリホルミルチアゾール、カルボキシトリホルミルフラボン、カルボキシトリホルミルイソフラボン、カルボキシテトラホルミルベンゼン、カルボキシテトラホルミルナフタレン、カルボキシテトラホルミルビフェニル、カルボキシテトラホルミルターフェニル、カルボキシテトラホルミルアントラセン、カルボキシテトラホルミルフェナントレン、カルボキシテトラホルミルピレン、カルボキシテトラホルミルインダセン、カルボキシテトラホルミルフェナレン、カルボキシテトラホルミルアセナフチレン、カルボキシテトラホルミルフェナレン、カルボキシテトラホルミルナフタセン、カルボキシテトラホルミルペンタセン、カルボキシテトラホルミルテトラフェニレン、カルボキシテトラホルミルピリテトラン、カルボキシテトラホルミルイミダゾール、カルボキシテトラホルミルフラン、カルボキシテトラホルミルチアゾール、カルボキシテトラホルミルフラボン、カルボキシテトラホルミルイソフラボンなどが挙げられる。文中、置換基とは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシル基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、ボロン酸基、複素環基、ハロゲン、カルボキシル基、アルキルシラン、これらの誘導体からなる群から選択される官能基である。
【0211】
更に、ヘテロ環含有アルデヒド化合物として、カルボキシフルフラール、カルボキシニコチンアルデヒド、カルボキシ2−テトラハイドロフランカルバルデヒド、2−チオフェンカルバルデヒド等を挙げることができる。
【0212】
1〜2個のエステル基を有するアルデヒド化合物としては、上記、1〜2個のカルボキシル基を有するアルデヒド化合物の1〜2個のカルボキシル基がアルコール類と脱水縮合し、下記式(18)のようなエステル結合を有する化合物が挙げられる。
【化55】
(18)
(式(18)中、R
3Bは、炭素数1〜20の直鎖状アルキル基、炭素数3〜20の分岐状のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、ラクトン基または炭素数6〜20のアリール基である。)
【0213】
式(18)において、炭素数1〜20の直鎖状アルキル基としては、炭素数が1〜12であることが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−オクチル基、n−ドデシル基等が挙げられる。
炭素数3〜20の分岐状のアルキル基としては、炭素数が3〜10であることが好ましく、具体的には、i−プロピル基、t−ブチル基、i−ペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられ、これらの中でもt−ブチル基が好ましい。
【0214】
炭素数3〜20のシクロアルキル基としては、炭素数6〜14であることが好ましい。またシクロアルキル基に含まれる脂肪環は、単環でも多環でも良いが、多環であることがより好ましい。具体例には、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等が挙げられ、より具体的には、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロデカン等のポリシクロアルカンが挙げられる。これらの中でも、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロデカンが好ましく、特にアダマンタン、トリシクロデカンが好ましい。ラクトンとしては、ブチロラクトンまたはラクトン基を有する炭素数3〜20クロアルカン基が挙げられる。6〜12の芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環等が挙げられ、ベンゼン環、ナフタレン環が好ましく、特にナフタレン環が好ましい。炭素数3〜20のシクロアルカン、ラクトン基または炭素数6〜20のアリール基は置換基を有しても良い。
【0215】
1〜2個のエステル基を有するアルデヒド性化合物は、試薬で入手したり、公知の方法で合成できる。例えば、アセトン等の有機溶媒中に、1〜2個のカルボキシル基を有するアルデヒド性化合物を溶解または懸濁させ、炭酸カリウム等の塩基を加える。その後、1〜2個のカルボキシル基を有するアルデヒド性化合物と0.5〜4当量の下記式(40)で示される化合物を添加し、0〜100℃で1〜72時間反応させ、炭酸カリウム等の塩基をろ過等により除去し、溶媒を除去することにより得られる。この化合物は必要に応じて、カラムクロマト等の精製を行っても良い。
【0216】
【化56】
(40)
(式(40)中、Xは、ハロゲン原子であり、R
3B、L
1は、前記と同様である。)
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、塩素、臭素、ヨウ素が好ましく、臭素、ヨウ素がより好ましく、さらに臭素が好ましい。
【0217】
これらの中で、1〜2個のカルボキシル基またはエステル基を有し、かつ1〜4個のホルミル基を有する芳香族アルデヒドであることが、エッチング耐性の点から好ましく、1〜2個のカルボキシル基またはエステル基を有し、かつ1〜2個のホルミル基を有する芳香族アルデヒドであることが、微細パターンを形成することに有利であることからより好ましく、1〜2個のカルボキシル基またはエステル基を有する1個のホルミル基を有する芳香族アルデヒドであることが、芳香族アルデヒド自身および環状ポリフェノール化合物(A)を、高収率、高純度で製造できることからさらに好ましい。
【0218】
1〜2個のカルボキシル基またはエステル基を有する芳香族アルデヒド化合物としては、以下、一般式(41)又は(42)で示される化合物が好ましい。
【化57】
(41)
(式(41)中、X
2は水素またはハロゲンであり、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が好ましく、水素、塩素、臭素、ヨウ素がより好ましく、さらに水素、臭素、ヨウ素が好ましく、臭素が特に好ましく、mは1〜4の整数であり、L
1、R
3Bは前記と同様である。)
【0219】
【化58】
(42)
(式(42)中、X
2、L
1、l1、R
3Bは前記と同様である。)
【0220】
また、以下の式(43)〜(46)の各々で示される化合物も好ましく用いられる。
【化59】
(43)
(式(43)中、m、X
2、R
3Bは前記と同様)
【0221】
【化60】
(44)
(式(44)中、m、R
3Bは前記と同様)
【0222】
【化61】
(45)
(式(45)中、R
3Bは前記と同様)
【0223】
【化62】
(46)
(式(46)中、R
3Bは前記と同様)
【0224】
アルデヒド性化合物(A1d)は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよいが、単独の方がレジスト膜の固形成分の均一性が高いので好ましい。
フェノール性化合物(A2)の例としては、フェノール、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール等が挙げられ、レゾルシノール、ピロガロールが好ましく、レゾルシノールがより好ましい。フェノール性化合物(A2)は本発明の効果を損ねない範囲で、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、カルボキシル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキロイルオキシ基、アリーロイルオキシ基、シアノ基、ニトロ基、複素環基、アルキルシラン、置換メチル基、1−置換エチル基、1−置換−n−プロピル基、1−分岐アルキル基、シリル基、1−置換アルコキシアルキル基、環状エーテル基およびアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選ばれる置換基等を有していても良い。フェノール性化合物(A2)は、純度は特に限定されないが、通常、95重量%以上、好ましくは99重量%以上である。フェノール性化合物(A2)は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよいが、単独の方がレジスト膜の固形成分の均一性が高いので好ましい。
【0225】
カルボキシル基を有する環状ポリフェノール化合物(A)は、例えば、メタノール、エタノール、アセトニトリル等の有機溶剤中、アルデヒド性化合物(A1d)1モルに対し、フェノール性化合物(A2)を0.1〜10モル量、酸触媒(塩酸、硫酸またはパラトルエンスルホン酸等)を使用し、60〜150℃で0.5〜20時間程度反応させ、濾過後、メタノール等のアルコール類で洗浄後、水洗し、濾過を行い分離し、乾燥させることにより得られる。必要に応じて、カラムクロマト等により精製することもできる。
【0226】
反応溶媒として、メタノール、エタノール等のアルコール類を使用した場合、もしくはアルデヒド性化合物(A1d)として、エステル基を有する脂肪族アルデヒド化合物を用いた場合など、反応終了後のカルボキシル基を有する環状ポリフェノール化合物(Aa)は一部もしくは全てのカルボキシル基がエステル化された状態である場合がある。その場合は、エステルを加水分解するため、塩基である水酸化ナトリウム等を加え、10〜100℃で0.5〜20時間程度撹拌させる。その後、この溶液を分液ロートに移し、有機溶媒であるジエチルエーテル等を加えて分液し、その水層を抜き取り、塩酸等の酸で中和し、析出する固形物をろ過等により回収することにより、エステル化されていないカルボキシル基を有する環状化合物(A)が得られる。
【0227】
環状ポリフェノール化合物(A)の分子量は700〜5000であり、好ましくは1000〜2500、より好ましくは1500〜2000である。上記範囲であるとレジストに必要な成膜性を保持しつつ、解像性が向上する。
本発明における環状ポリフェノール化合物は、シス体およびトランス体を取りうるが、いずれかの構造若しくは混合物でもよい。感放射線性組成物のレジスト成分として用いる場合は、シス体およびトランス体のいずれかの構造のみを有する方が、純物質化合物となり、レジスト膜中成分の均一性が高いので好ましい。シス体およびトランス体のいずれかの構造のみを有する環状化合物を得る方法は、カラムクロマトや分取液体クロマトグラフィによる分離や製造時における反応溶媒及び反応温度等の最適化等、公知の方法で行うことができる。
上記、カルボキシル基を有する環状ポリフェノール化合物(A)は、下記式(5)又は式(6)で示される各化合物から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0228】
【化63】
(5)
【0229】
【化64】
(6)
((式(5)及び(6)の各々において、X
2は、水素またはハロゲン原子であり、L
1は単結合、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基から選択される二価の有機基であり、l1は0又は1であり、mは1〜4の整数、m
3は1〜2の整数、m
4は1である。)
【0230】
L
1としては、カルボニル基を含んでもよい炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基から選択される二価の有機基であることが好ましく、下記式
【0231】
【化65】
【0232】
で示されるカルボニル基を含んでもよい炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基から選択される二価の有機基であることが、安全溶媒溶解性が高く好ましい。
【0233】
上記カルボキシル基を有する環状ポリフェノール化合物(A)は、下記式(7)で示される化合物、あるいは下記式(8)で示される各化合物から選ばれる化合物であることがより好ましい。
【化66】
(7)
【0234】
【化67】
(8)
(式(7)、(8)中、X
2は前記と同様である。)
【0235】
上記環状ポリフェノール化合物(A)は、下記式(7−2)で示される化合物から選ばれる化合物であることが、半導体安全溶媒に対する溶解性が高く、感放射線性組成物を調合した際に保存安定性に優れることから、とりわけ好ましい。
【化68】
(7−2)
(式(7−2)中、X
2は前記と同様である。)
【0236】
ハロメチルエーテル基を有する化合物(A3)は、特に限定されず、例えば、1〜2個のハロメチル基を有する脂肪族化合物、1〜2個のハロメチル基を有する脂環族化合物、1〜2個のハロメチル基を有する芳香族化合物等を挙げることができ、好ましくは下記式(47)で示される化合物を挙げることができる。
【0237】
【化69】
(47)
【0238】
(式(47)中、R
8は、炭素数1〜20の直鎖状アルキル基、炭素数3〜20の分岐状のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基または炭素数6〜20のアリール基であり、X
1は、ハロゲンであり、l2は1または2である。)
【0239】
炭素数1〜20の直鎖状アルキル基としては、炭素数が1〜12であることが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−オクチル基、n−ドデシル基等が挙げられる。
炭素数3〜20の分岐状のアルキル基としては、炭素数が3〜10であることが好ましく、具体的には、i−プロピル基、t−ブチル基、i−ペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
【0240】
炭素数3〜20のシクロアルキル基としては、炭素数6〜14であることが好ましい。またシクロアルキル基に含まれる脂肪環は、単環でも多環でも良いが、多環であることがより好ましい。具体例には、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等が挙げられ、より具体的には、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロデカン等のポリシクロアルカンが挙げられる。これらの中でも、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロデカンが好ましく、特にアダマンタン、トリシクロデカンが好ましい。
【0241】
ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、塩素、臭素、ヨウ素が好ましく、臭素、ヨウ素がより好ましく、さらに臭素が好ましい。
l
2としては、1または2であるが、1であることがより好ましい。
ハロメチルエーテル基を有する化合物(A3)は、例えば、シクロヘキサノール等のアルコール類をn−ヘキサン等の有機溶媒に溶解し、パラホルムアルデヒドを加え、アルコール類に対して、2.0〜3.0当量の塩化水素ガス等のハロゲン化水素を吹き込み、0〜100℃にて反応を行う。反応終了後、生成物を減圧蒸留で単離することにより、目的のハロメチルエーテル基を有する化合物(A3)が得られる。
【0242】
ハロメチルエーテル基を有する化合物(A3)としては、下記式(48)で示される化合物であることが好ましい。
【化70】
(48)
(式(48)中、R
5、R
6、n
0、n
1、n
2は前記と同様である。)
【0243】
環状ポリフェノール化合物(B)は、カルボキシル基を有する環状ポリフェノール化合物(A)とハロメチルエーテル基を有する化合物(A3)との反応により得られる。例えば、カルボキシル基を有する環状ポリフェノール化合物(A)を、アセトン、THF、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の非プロトン性溶媒に溶解または懸濁させ、続いて、ハロメチルエーテル基を有する化合物(A3)を加え、カルボキシル基を有する環状ポリフェノール化合物(A)のカルボキシル基に対して0.5〜4等量、好ましくは0.9〜1.1等量、より好ましくは1.0等量のピリジン、トリエチルアミン、ジアザビシクロウンデセン、炭酸カリウム等のアルカリ触媒の存在下、常圧で、0〜110℃、1〜72時間反応させ、その後、メタノール等のアルコール類で洗浄後、水洗し、ろ過を行い分離し、乾燥させることにより環状ポリフェノール化合物(B)が得られる。この化合物は必要に応じて、カラムクロマト等の精製を行っても良い。
【0244】
環状ポリフェノール化合物(B)の分子量は800〜5000であり、好ましくは1000〜2500、より好ましくは1500〜2000である。上記範囲であるとレジストに必要な成膜性を保持しつつ、解像性が向上する。
上記、環状ポリフェノール化合物(B)は、下記式(9)又は(10)で示される各化合物から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0245】
【化71】
(9)
【0246】
【化72】
(10)
【0247】
(式(9)及び式(10)において、R
1は、炭素数2〜20の置換メチル基、炭素数3〜20の1−置換エチル基、炭素数4〜20の1−置換−n−プロピル基、炭素数3〜20の1−分岐アルキル基、炭素数1〜20のシリル基、炭素数2〜20のアシル基、炭素数2〜20の1−置換アルコキシアルキル基、炭素数2〜20の環状エーテル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基および炭素数2〜20のアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択される酸解離性官能基であり、X
2、L
1、l1、m、m
3、m
4、p
1は前記と同様である。)
【0248】
上記、環状ポリフェノール化合物(B)は、下記式(11)で示される各化合物から選ばれる化合物であることが特に好ましい。
【0249】
【化73】
(11)
(式(11)中、R
1、X
2、L
1、l
1は、上記と同様である。)
【0250】
上記、環状ポリフェノール化合物(B)は、下記式(12)で示される化合物であることが特に好ましい。
【0251】
【化74】
(12)
(式(12)中、X
2、R
1は前記と同様である。)
【0252】
R
1は、炭素数3〜20のシクロアルカン、ラクトンおよび6〜12の芳香族環から選ばれる構造を有する酸解離性官能基がより好ましい。炭素数3〜20のシクロアルカンとしては、単環でも多環でも良いが、多環であることがより好ましい。具体例には、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等が挙げられ、より具体的には、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロデカン等のポリシクロアルカンが挙げられる。これらの中でも、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロデカンが好ましく、特にアダマンタン、トリシクロデカンが好ましい。炭素数3〜20のシクロアルカンは置換基を有しても良い。ラクトンとしては、ブチロラクトンまたはラクトン基を有する炭素数3〜20クロアルカン基が挙げられる。6〜12の芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環等が挙げられ、ベンゼン環、ナフタレン環が好ましく、特にナフタレン環が好ましく、下記式(22)で示される酸解離性官能基であることがより好ましい。該酸解離性官能基を有することにより、得られるレジストパターンの解像性及びLERを向上する。
【0253】
【化75】
(16)
(式(16)中、R
5は、炭素数1〜4の直鎖または分岐アルキル基であり、R
6は、水素、炭素数1〜4の直鎖または分岐アルキル基、シアノ基、ニトロ基、複素環基、ハロゲン、カルボキシル基であり、n
1は0〜4の整数、n
2は1〜5の整数、n
0は0〜4の整数である。)
【0254】
特に下記式(17)で示される酸解離性官能基が、解像性が高く好ましい。
【0255】
【化76】
(17)
(式(17)中、R
5、R
6、n
0、n
1、n
2は前記と同様である。)
【0256】
上記、環状ポリフェノール化合物(B)は、は下記式(12−2)で示される化合物であることが、半導体安全溶媒に対する溶解性が高く、感放射線性組成物を調合した際に保存安定性に優れることから、とりわけ好ましい。
【0257】
【化77】
(12−2)
(式(12−2)中、X
2、R
1は前記と同様である。)
【0258】
環状ポリフェノール化合物(B)は、カルボキシル基を有する環状ポリフェノール化合物(A)とアルコール性水酸基を有する化合物との脱水縮合反応によっても得ることが出来る。
環状ポリフェノール化合物(B)は、カルボキシル基を有する環状ポリフェノール化合物(A)のカルボキシル基が、前記式(17)のようなエステル結合に置換した環状ポリフェノール化合物(Aa)と、アルコール性水酸基を有する化合物とのエステル交換反応によっても得ることができる。エステル交換反応は公知である。アルコール性水酸基を有する化合物としては、1級、2級、3級のいずれのアルコールも使用できるが、2級、3級アルコールがより好ましく、3級アルコールが特に好ましい。
【0259】
ハロメチルエーテル基を有する化合物(A3)は、例えば、シクロヘキサノール等のアルコール類をn−ヘキサン等の有機溶媒に溶解し、パラホルムアルデヒドを加え、アルコール類に対して、2.0〜3.0当量の塩化水素ガス等のハロゲン化水素を吹き込み、0〜100℃にて反応を行う。反応終了後、生成物を減圧蒸留で単離することにより、目的のハロメチルエーテル基を有する化合物(A3)が得られる。
【0260】
環状ポリフェノール化合物(B)は、カルボキシル基を有する環状ポリフェノール化合物(A)とハロメチルエーテル基を有する化合物(A3)との反応により得られる。例えば、カルボキシル基を有する環状ポリフェノール化合物(A)を、アセトン、THF、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の非プロトン性溶媒に溶解または懸濁させ、続いて、ハロメチルエーテル基を有する化合物(A3)を加え、カルボキシル基を有する環状ポリフェノール化合物(A)のカルボキシル基に対して0.5〜4等量、好ましくは0.9〜1.1等量、より好ましくは1.0等量のピリジン、トリエチルアミン、ジアザビシクロウンデセン、炭酸カリウム等のアルカリ触媒の存在下、常圧で、0〜110℃、1〜72時間反応させ、その後、メタノール等のアルコール類で洗浄後、水洗し、ろ過を行い分離し、乾燥させることにより環状ポリフェノール化合物(B)が得られる。この化合物は必要に応じて、カラムクロマト等の精製を行っても良い。
【0261】
環状ポリフェノール化合物(B)は、ハロメチルエーテル化合物(A3)の代わりに、ハロカルボン酸アルキルエステル(A4)を用いても得ることができる。
ハロカルボン酸アルキルエステル(A4)は、特に限定されず、例えば、1〜2個のハロアルキルカルボキシル基を有する脂肪族化合物、1〜2個のハロアルキルカルボキシル基を有する脂環族化合物、1〜2個のハロアルキルカルボキシル基を有する芳香族化合物等を挙げることができ、好ましくは、下記式(55)で示される化合物であることが好ましい。
【0262】
【化78】
(55)
(式(55)中、R
7は炭素数1〜20の直鎖状アルキル基、炭素数3〜20の分岐状のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基または炭素数6〜20のアリール基であり、Xはハロゲン原子であり、L
1は単結合、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基から選択される二価の有機基である。)
【0263】
炭素数1〜20の直鎖状アルキル基としては、炭素数が1〜12であることが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−オクチル基、n−ドデシル基等が挙げられる。
炭素数3〜20の分岐状のアルキル基としては、炭素数が3〜10であることが好ましく、具体的には、i−プロピル基、t−ブチル基、i−ペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
炭素数3〜20のシクロアルキル基としては、炭素数6〜14であることが好ましい。またシクロアルキル基に含まれる脂肪環は、単環でも多環でも良いが、多環であることがより好ましい。具体例には、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等が挙げられ、より具体的には、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロデカン等のポリシクロアルカンが挙げられる。これらの中でも、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロデカンが好ましく、特にアダマンタン、トリシクロデカンが好ましい。
炭素数6〜20のアリール基としてはフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられる。
ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、塩素、臭素、ヨウ素が好ましく、臭素、ヨウ素がより好ましく、さらに臭素が好ましい。
【0264】
ハロカルボン酸アルキルエステル(A4)は、例えば、2−メチル−2−アダマンタノール等のアルコール類をテトラヒドロフラン等の有機溶媒に溶解し、アルコール類に対して、0.8〜2.4当量のピリジン等の塩基を加え、アルコール類に対して、0.8〜2.4当量のブロモ酢酸ブロマイド等のハロカルボン酸ハライドを加え、0〜100℃にて反応を行う。反応終了後、生成物をカラムクロマト等で単離することにより、目的のハロカルボン酸アルキルエステル(A4)が得られる。
【0265】
環状ポリフェノール化合物(B)は、カルボキシル基を有する環状ポリフェノール化合物(A)とハロカルボン酸アルキルエステル(A4)との反応により得られる。例えば、カルボキシル基を有する環状ポリフェノール化合物(A)を、アセトン、THF、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の非プロトン性溶媒に溶解または懸濁させ、続いて、ハロカルボン酸アルキルエステル(A4)を加え、カルボキシル基を有する環状ポリフェノール化合物(A)のカルボキシル基に対して0.5〜4等量、好ましくは0.9〜1.1等量、より好ましくは1.0等量のピリジン、トリエチルアミン、ジアザビシクロウンデセン、炭酸カリウム等のアルカリ触媒の存在下、常圧で、0〜110℃、1〜168時間反応させ、その後、メタノール等のアルコール類で洗浄後、水洗し、ろ過を行い分離し、乾燥させることにより環状ポリフェノール化合物(B)が得られる。この化合物は必要に応じて、カラムクロマト等の精製を行っても良い。
上記その他の各要件の各々については、前述と同様である。
【0266】
[レジストパターン形成方法]
本発明においてレジスト基板とは、基板上に前記レジスト組成物からなるレジスト膜が形成されている基板であり、パターン形成基板とは、前記レジスト基板上のレジスト膜が露光、現像によりパターン化されている基板である。また、「パターン形成材料」とは、レジスト基板上に形成され、光、電子線または放射線の照射等によりパターン形成可能な組成物をいい、「レジスト膜」と同義である。「パターン配線基板」とはパターン形成基板をエッチングして得られたパターン化された配線を有する基板である。
【0267】
レジストパターンを形成するには、まず、シリコンウエハー、アルミニウムで被覆されたウエハー等の基板上に本発明の感放射線性組成物を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の塗布手段によって塗布することによりレジスト膜を形成する。必要に応じて、基板上にヘキサメチレンジシラザン等の表面処理剤を予め塗布してもよい。
【0268】
またArF及びKrFリソグラフィー等で使用される半導体反射防止コーティング剤ARC等のボトムアンチリフラクティブコーティング(BARC)を予め塗布しておくことがより好ましい。BARCを使用することにより、レジストパターンの密着性が向上し、レジストパターンの解像度が上がる場合がある。
BARCとしては、一般的に、吸光性物質と高分子化合物とからなる有機反射防止膜が知られており、例えば、架橋反応により作られるヒドロキシル基と吸光基を同一分子内に有するアクリル樹脂型反射防止膜 、同じく架橋反応により形成されるヒドロキシル基と吸光基を同一分子内に有するノボラック樹脂型反射防止膜、シアヌル酸若しくはその誘導体又はこれらから誘導される構造単位を含む前記樹脂型反射防止膜等が挙げられる。吸光性基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラシル基等が挙げられる。
【0269】
次いで、必要に応じ、塗布した基板を加熱する。加熱条件は、感放射線性組成物の配合組成等により変わるが、20〜250℃が好ましく、より好ましくは20〜150℃である。加熱することによって、レジストの基板に対する密着性が向上する場合があり好ましい。次いで、可視光線、紫外線、エキシマレーザー、電子線、極端紫外線(EUV)、X線、およびイオンビームからなる群から選ばれるいずれかの放射線により、レジスト膜を所望のパターンに露光する。露光条件等は、感放射線性レジスト組成物の配合組成等に応じて適宜選定される。本発明においては、露光における高精度の微細パターンを安定して形成するために、放射線照射後に加熱するのが好ましい。加熱条件は、感放射線性レジスト組成物の配合組成等により変わるが、20〜250℃が好ましく、より好ましくは20〜150℃である。
【0270】
次いで、露光されたレジスト膜をアルカリ現像液で現像することにより、所定のレジストパターンを形成する。前記アルカリ現像液としては、例えば、モノ−、ジ−あるいはトリアルキルアミン類、モノ−、ジ−あるいはトリアルカノールアミン類、複素環式アミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリン等のアルカリ性化合物の1種以上を、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは1〜5質量%の濃度となるように溶解したアルカリ性水溶液が使用される。上記アルカリ性水溶液の濃度が10質量%以下とすると、露光部が現像液に溶解することを抑制することが出来るので好ましい。
【0271】
また、前記アルカリ現像液には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類や前記界面活性剤を適量添加することもできる。これらのうちイソプロピルアルコールを10〜30質量%添加することが特に好ましい。これにより、レジストに対する現像液の濡れ性を高めることが出来るので好ましい。なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を用いた場合は、一般に、現像後、水で洗浄する。
【0272】
レジストパターンを形成した後、エッチングすることによりパターン配線基板が得られる。エッチングの方法はプラズマガスを使用するドライエッチングおよびアルカリ溶液、塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液等によるウェットエッチングなど公知の方法で行うことが出来る。
【0273】
レジストパターンを形成した後、めっきを行うことも出来る。上記めっき法としては、例えば、銅めっき、はんだめっき、ニッケルめっき、金めっきなどがある。
【0274】
エッチング後の残存レジストパターンは有機溶剤や現像に用いたアルカリ水溶液より強アルカリ性の水溶液で剥離することが出来る。上記有機溶剤として、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート),PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル),EL(乳酸エチル)等が挙げられ、強アルカリ水溶液としては、例えば1〜20質量%の水酸化ナトリウム水溶液や1〜20質量%の水酸化カリウム水溶液が挙げられる。上記剥離方法としては、例えば、浸漬方法、スプレイ方式等が挙げられる。またレジストパターンが形成された配線基板は、多層配線基板でも良く、小径スルーホールを有していても良い。
【0275】
本発明で得られる配線基板は、レジストパターン形成後、金属を真空中で蒸着し、その後レジストパターンを溶液で溶かす方法、すなわちリフトオフ法により形成することもできる。
【0276】
(多層プロセスによるレジストパターンの形成方法)
本発明は、下地材形成材料を用いて基板上に下層膜を形成する工程、下層膜上にシリカ系の無機膜からなる中間膜を形成する工程、中間膜上に上記本発明の感放射線性組成物A〜Bのいずれかを用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程、そのレジストパターンをマスクとして中間膜をエッチングすることでパターンを転写する工程、およびパターン化された中間膜をマスクとして下層膜を酸素プラズマエッチングし基板上にパターンを形成する工程を含む多層プロセスによるレジストパターン形成方法に関する。
【0277】
下層膜の形成方法は下地材形成材料をスピンコート後、有機溶媒を揮発し、上層の膜とミキシング防止のため、架橋反応を促進させるためにベークをすることが望ましい。ベーク温度は80〜300℃の範囲内で200〜300℃特に好ましく、ベーク時間は10〜300秒の範囲内が好ましく用いられる。なお、この下層膜の厚さは適宜選定されるが、30〜20,000nm、特に50〜15,000nmとすることが好ましい。
【0278】
下層膜を作製した後、その上に珪素含有中間層形成材料を回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の塗布手段によって塗布またはChemical Vapour Deposition(CVD)法により珪素含有中間膜を形成する。更にその上に本発明の感放射線性組成物を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の塗布手段によって塗布することによりレジスト膜を形成する。
【0279】
この場合、下地材形成材料および珪素含有中間層形成材料としては公知のものを使用することができるが、例えば下地材形成材料としては、ポリヒドロキシスチレンとアクリル酸エステルの共重合体、ナフトール共縮合ノボラック樹脂、ポリビニルナフタレン樹脂、アセナフチレン重合体、ナフトール共縮合ノボラック樹脂とアクリル樹脂とのブレンド樹脂、インデンとヒドロキシ基もしくはエポキシ基を有する共に2重結合を有する化合物とを共重合してなる樹脂、ノボラック樹脂にフルオレンビスフェノールを共重合してなる樹脂等が挙げられ、珪素含有中間層形成材料としては、酸素ガスエッチング耐性の点から、ベースポリマーとしてポリシルセスキオキサン誘導体又はビニルシラン誘導体等の珪素原子含有ポリマー等が挙げられ、更に有機溶媒、酸発生剤、必要により塩基性化合物等を含むポジ型のフォトレジスト組成物が挙げられる。またCVD法で形成した中間層としてはSiON膜が挙げられる。
【0280】
レジスト層は、本発明の感放射線性組成物を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の塗布手段によって塗布することによりレジスト膜を形成する。必要に応じて、基板上にヘキサメチレンジシラザン等の表面処理剤を予め塗布してもよい。
【0281】
次いで、必要に応じ、塗布した基板を加熱する。加熱条件は、感放射線性組成物の配合組成等により変わるが、20〜250℃が好ましく、より好ましくは20〜150℃である。加熱することによって、レジストの基板に対する密着性が向上する場合があり好ましい。次いで、可視光線、紫外線、エキシマレーザー、電子線、極端紫外線(EUV)、X線、およびイオンビームからなる群から選ばれるいずれかの放射線により、レジスト膜を所望のパターンに露光する。露光条件等は、感放射線性レジスト組成物の配合組成等に応じて適宜選定される。本発明においては、露光における高精度の微細パターンを安定して形成するために、放射線照射後に加熱するのが好ましい。加熱条件は、感放射線性レジスト組成物の配合組成等により変わるが、20〜250℃が好ましく、より好ましくは20〜150℃である。
【0282】
次いで、露光されたレジスト膜をアルカリ現像液で現像することにより、所定のレジストパターンを形成する。前記アルカリ現像液としては、例えば、モノ−、ジ−あるいはトリアルキルアミン類、モノ−、ジ−あるいはトリアルカノールアミン類、複素環式アミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリン等のアルカリ性化合物の1種以上を、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは1〜5質量%の濃度となるように溶解したアルカリ性水溶液が使用される。上記アルカリ性水溶液の濃度が10質量%以下とすると、露光部が現像液に溶解することを抑制することが出来るので好ましい。
【0283】
また、前記アルカリ現像液には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類や前記界面活性剤を適量添加することもできる。これらのうちイソプロピルアルコールを10〜30質量%添加することが特に好ましい。これにより、レジストに対する現像液の濡れ性を高めることが出来るので好ましい。なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を用いた場合は、一般に、現像後、水で洗浄する。
【0284】
次に、得られたレジストパターンをマスクにしてエッチングを行う。3層プロセスにおける中間層のエッチングは、フロン系のガスを用いてレジストパターンをマスクにして中間層の加工を行う。次いで酸素ガスを用いて、中間層パターンをマスクにして下層膜のエッチングを行う。酸素ガスに加えて、He、Arなどの不活性ガスや、CO、CO
2、NH
3、SO
2、N
2、NO
2、H
2ガスを加えることも可能であり、酸素ガスを用いないで、CO、CO
2、NH
3、N
2、NO
2、H
2ガスだけでエッチングを行うこともできる。特に後者のガスはパターン側壁のアンダーカット防止のための側壁保護のために用いられる。
【0285】
次の被加工基板のエッチングも、常法によって行うことができ、例えば基板がSiO
2、SiNであればフロン系ガスを主体としたエッチング、p−SiやAl、Wでは塩素系、臭素系ガスを主体としたエッチングを行う。基板加工をフロン系ガスでエッチングした場合、3層プロセスの珪素含有中間層は基板加工と同時に剥離される。塩素系、臭素系ガスで基板をエッチングした場合は、珪素含有中間層の剥離は基板加工後にフロン系ガスによるドライエッチング剥離を別途行う必要がある。
【0286】
なお、被加工基板としては、基板上に形成される。基板としては、特に限定されるものではなく、Si、α−Si、p−Si、SiO
2、SiN、SiON、W、TiN、Al等で被加工膜(被加工基板)と異なる材質のものが用いられる。被加工膜としては、Si、SiO
2、SiON、SiN、p−Si、α−Si、W、W−Si、Al、Cu、Al−Si等種々のLow−k膜及びそのストッパー膜が用いられ、通常50〜10,000nm、特に100〜5,000nm厚さに形成し得る。
【実施例】
【0287】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に限定はされない。以下の合成例、実施例において、化合物の構造は
1H−NMR測定で確認した。
【0288】
<合成例1>酸解離性官能基を導入するための化合物の合成
ブロモ酢酸メチルアダマンチルの合成
十分乾燥し、窒素置換した滴下漏斗、ジム・ロート氏冷却管、温度計、攪拌翼を設置した四つ口フラスコ(1000L)に、窒素気流下で、2−メチル−2−アダマンタノール(金象化工製)(8.31g/50mmol)、ピリジン(5.0g/62.7mmol)、THF100mlからなる溶液に、ブロモアセチルブロミド(12.65g/62.7mmol)のTHF20ml溶液を0℃で滴下した。反応液を72時間室温で撹拌した。
反応終了後、不溶物をろ過で除き、ろ液から溶媒を除去し、得られた固体を、ヘキサン/酢酸エチル=50/1の混合溶媒を用い、カラムクロマトで精製した。下記ブロモ酢酸メチルアダマンチルを9.0g(収率62%)を得た。
得られた生成物の重クロロホルム溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.0−2.5(m,17H)、4.5(s,2H)であった。
【0289】
ブロモ酢酸エチルアダマンチルの合成
ブロモ酢酸メチルアダマンチルの合成例における2−メチル−2−アダマンタノールを2−エチル−2−アダマンタノール(三菱ガス化学(株)製)に代えた以外はブロモ酢酸メチルアダマンチルと同様に下記ブロモ酢酸エチルアダマンチルを合成した。
得られた生成物の重クロロホルム溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.0−2.5(m,19H)、4.5(s,2H)であった。
【0290】
ブロモプロピオン酸エチルアダマンチルの合成
ブロモ酢酸メチルアダマンチルの合成例における2−メチル−2−アダマンタノールを2−エチル−2−アダマンタノール(金象化工製)に、ブロモアセチルブロミドをブロモプロピオン酸ブロミドに代えた以外はブロモ酢酸メチルアダマンチルと同様に下記ブロモプロピオン酸エチルアダマンチルを合成した。
得られた生成物の重クロロホルム溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.0−2.5(m,19H)、3.0(m,2H)、4.5(s,2H)であった。
【0291】
【化79】
【0292】
下記に示すように、まずアルデヒド性化合物(A1c)を合成し、つづいて環状ポリフェノール化合物(B)を合成した。
<合成例2>アルデヒド性化合物(A1c)の合成
AD1−HBAの合成
十分乾燥し、窒素置換した滴下漏斗、ジム・ロート氏冷却管、温度計、攪拌翼を設置した四つ口フラスコ(1000L)に、窒素気流下で、p−ヒドロキシベンズアルデヒド(12.2g/100mmol)、炭酸カリウム(13.8g/100mmol)、200ml THFからなる溶液に、ブロモ酢酸メチルアダマンチル 28.6g(100mmol)の100ml THF溶液を滴下した。反応液を24時間還流下で撹拌した。
反応終了後、溶媒を除去し、得られた固体を、ヘキサン/酢酸エチル=1/3の混合溶媒を用い、カラムクロマトで精製した。フェノール性水酸基がメチルアダマンチルオキシカルボニルメチル基で置換された下記AD1−HBA 29.0gを得た。
得られた生成物の重クロロホルム溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.5−2.2(m,17H)、4.9(s,2H)、7.8−8.4(m,4H)、10.0(m,1H)であった。
【0293】
AD2−HBAの合成
AD1−HBAの合成例におけるブロモ酢酸メチルアダマンチルをブロモ酢酸エチルアダマンチルに代えた以外はAD1−HBAと同様に合成した。その結果、フェノール性水酸基がエチルアダマンチルオキシカルボニルメチル基で置換された下記AD2−HBA 30.1gを得た。得られた生成物の重クロロホルム溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.5−2.2(m,19H)、4.9(s,2H)、7.8−8.4(m,4H)、10.0(m,1H)であった。
【0294】
AD3−HBAの合成
AD1−HBAの合成例におけるブロモ酢酸メチルアダマンチルをブロモプロピオン酸エチルアダマンチルに代えた以外はAD1−HBAと同様に合成した。その結果、フェノール性水酸基がエチルアダマンチルオキシカルボニルエチル基で置換された下記AD3−HBA 31.1gを得た。得られた生成物の重クロロホルム溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.5−2.2(m,19H)、2.7(m,2H)、4.9(s,2H)、7.8−8.4(m,4H)、10.0(m,1H)であった。
【0295】
【化80】
(AD1−HBA) (AD2−HBA) (AD3−HBA)
【0296】
<合成例3>環状ポリフェノール化合物(B)の合成
AD1−CR−1の合成
十分乾燥し、窒素置換した滴下漏斗、ジム・ロート氏冷却管、温度計、攪拌翼を設置した四つ口フラスコ(1000L)に、窒素気流下で、関東化学社製レゾルシノール(5.5g、50mmol)と、合成例2で合成したAD1−HBA(16.4g,50mol)と、エタノール(330ml)を投入し、エタノール溶液を調整した。次いで濃塩酸(35%)75mlを、滴下漏斗により室温で60分かけて滴下した後、引き続き室温で6時間攪拌した。反応終了後、氷浴で冷却し、淡黄色の目的粗結晶を濾別した。粗結晶を蒸留水300ml、続いてメタノール300mlで2回洗浄し、濾別、真空乾燥させることにより、目的生成物(以下、AD1−CR−1と示す)(20.2g)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量1681を示した。また重クロロホルム溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.5〜2.2(m,68H)、4.9(s,8H)、5.4〜5.7(m,4H)、6.1〜6.5(m,24H)、7.8〜8.4(m,8H)であった。
【0297】
AD2−CR−1の合成
AD1−CR−1の合成例におけるAD1−HBAをAD2−HBAに代えた以外はAD1−CR−1と同様に合成した。その結果、AD2−CR−1 30.0gを得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量1733を示した。得られた生成物の重クロロホルム溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.5−2.2(m,76H)、4.9(s,8H)、5.4−5.7(m,4H)、6.1〜6.5(m,24H)、7.8−8.4(m,8H)であった。
【0298】
AD3−CR−1の合成
AD1−CR−1の合成例におけるAD1−HBAをAD3−HBAに代えた以外はAD1−CR−1と同様に合成した。その結果、AD3−CR−1 32.0gを得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量1793を示した。得られた生成物の重クロロホルム溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.5−2.2(m,76H)、2.9(m,8H)、4.9(s,8H)、5.4−5.7(m,4H)、6.1〜6.5(m,24H)、7.8−8.4(m,8H)であった。
【0299】
【化81】
(AD1−CR−1)
【0300】
【化82】
(AD2−CR−1)
【0301】
【化83】
(AD3−CR−1)
【0302】
比較化合物AD4−CR−11の合成
十分乾燥し、窒素置換した滴下漏斗、ジム・ロート氏冷却管、温度計、攪拌翼を設置した四つ口フラスコ(1000L)に、窒素気流下で、関東化学社製レゾルシノール(22g、0.2mol)と、4−ヒドロキシベンズアルデヒド(29.6g,0.2mol)と、脱水エタノール(200ml)を投入し、エタノール溶液を調整した。この溶液を攪拌しながらマントルヒーターで85℃まで加熱した。次いで濃塩酸(35%)75mlを、滴下漏斗により30分かけて滴下した後、引き続き85℃で3時間攪拌した。反応終了後、放冷し、室温に到達させた後、氷浴で冷却した。1時間静置後、淡黄色の目的粗結晶が生成し、これを濾別した。粗結晶をメタノール500mlで2回洗浄し、濾別、真空乾燥させることにより、目的生成物(以下、CR−11と示す)を得た。
その後、CR−11を十分乾燥し、窒素置換した滴下漏斗、ジム・ロート氏冷却管、温度計、攪拌翼を設置した四つ口フラスコ(1000L)に、窒素気流下で、CR−11 8.6g(10mmol)と、炭酸カリウム13.8g、400ml THFからなる溶液に、ブロモ酢酸メチルアダマンチル 11.4g(40mmol)の100ml THF溶液を滴下した。反応液を1時間室温で撹拌した。反応終了後、溶媒を除去し、得られた固体を、ヘキサン/酢酸エチル=1/3の混合溶媒を用い、カラムクロマトで精製した。フェノール性水酸基が50%メチルアダマンチルオキシカルボニルメチル基で置換されたAD4−CR−11 14.0gを得た。
得られた生成物の重クロロホルム溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.5−2.2(m,102H)、4.9(s,12H)、5.4−5.7(m,4H)、6.1〜6.5(m,24H)、7.8−8.4(m,6H)であった。
【0303】
【化84】
(CR−11)
【0304】
【化85】
(AD4−CR−11)
【0305】
<合成例4>アルデヒド性化合物(A1d)の合成
MADM−4HBAの合成
十分乾燥し、窒素置換した滴下漏斗、ジム・ロート氏冷却管、温度計、攪拌翼を設置した四つ口フラスコ(1000mL)に、窒素気流下で、p−ヒドロキシベンズアルデヒド(12.2g/100mmol)、炭酸カリウム(13.8g/100mmol)、200ml THFからなる溶液に、ブロモ酢酸メチルアダマンチル 28.6g(100mmol)の100ml THF溶液を滴下した。反応液を24時間還流下で撹拌した。
反応終了後、溶媒を除去し、得られた固体を、ヘキサン/酢酸エチル=1/3の混合溶媒を用い、カラムクロマトで精製した。フェノール性水酸基がメチルアダマンチルオキシカルボニルメチル基で置換されたMADM−HBA 29.0gを得た。
得られた生成物の重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.5−2.2(m,17H)、4.9(s,2H)、7.8−8.4(m,4H)、10.0(s,1H)であった。
【0306】
tBuM−4HBAの合成
MADM−4HBAの合成例におけるブロモ酢酸メチルアダマンチルをブロモ酢酸tertブチルに代えた以外はMADM−4HBAと同様に合成した。その結果、フェノール性水酸基がtert−ブチルオキシカルボニルメチル基で置換されたtBuM−4HBA 20.0gを得た。得られた生成物の重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.4(s,9H)、5.0(s,2H)、7.1−7.9(m,4H)、9.9(s,1H)であった。
【0307】
tBuM−3HBAの合成
MADM−4HBAの合成例におけるブロモ酢酸メチルアダマンチルをブロモ酢酸tertブチルに、p−ヒドロキシベンズアルデヒドをm−ヒドロキシベンズアルデヒドに代えた以外はMADM−4HBAと同様に合成した。その結果、フェノール性水酸基がtert−ブチルオキシカルボニルメチル基で置換されたtBuM−3HBA 20.0gを得た。得られた生成物の重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.4(s,9H)、4.9(s,2H)、7.3−7.6(m,4H)、10.0(s,1H)であった。
【0308】
tBuM−2HBAの合成
MADM−4HBAの合成例におけるブロモ酢酸メチルアダマンチルをブロモ酢酸tertブチルに、p−ヒドロキシベンズアルデヒドをo−ヒドロキシベンズアルデヒドに代えた以外はMADM−4HBAと同様に合成した。その結果、フェノール性水酸基がtert−ブチルオキシカルボニルメチル基で置換されたtBuM−2HBA 20.0gを得た。得られた生成物の重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.4(s,9H)、4.9(s,2H)、7.1−7.8(m,4H)、10.5(s,1H)であった。
【0309】
tBuM−3Br4HBAの合成
MADM−4HBAの合成例におけるブロモ酢酸メチルアダマンチルをブロモ酢酸tertブチルに、p−ヒドロキシベンズアルデヒドを3−ブロモ−4−ヒドロキシベンズアルデヒドに代えた以外はMADM−4HBAと同様に合成した。その結果、フェノール性水酸基がtert−ブチルオキシカルボニルメチル基で置換されたtBuM−3Br4HBA 19.5gを得た。得られた生成物の重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.4(s,9H)、5.0(s,2H)、7.2−8.2(m,3H)、9.9(s,1H)であった。
【0310】
MeM−4HBAの合成
MADM−4HBAの合成例におけるブロモ酢酸メチルアダマンチルをブロモ酢酸メチルに代えた以外はMADM−4HBAと同様に合成した。その結果、フェノール性水酸基がメトキシカルボニルメチル基で置換されたMeM−4HBA 15.2gを得た。得られた生成物の重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は3.7(s,3H)、5.0(s,2H)、7.1−7.9(m,4H)、9.9(s,1H)であった。
【0311】
EtM−4HBAの合成
MADM−4HBAの合成例におけるブロモ酢酸メチルアダマンチルをブロモ酢酸エチルに代えた以外はMADM−4HBAと同様に合成した。その結果、フェノール性水酸基がエトキシカルボニルメチル基で置換されたEtM−4HBA 15.8gを得た。得られた生成物の重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.3(t,3H)、4.3(m,2H)、4.8(s,2H)、7.1−7.9(m,4H)、9.9(s,1H)であった。
【0312】
MeM−3Br4HBAの合成
MADM−4HBAの合成例におけるブロモ酢酸メチルアダマンチルをブロモ酢酸メチルに、p−ヒドロキシベンズアルデヒドを3−ブロモ−4−ヒドロキシベンズアルデヒドに代えた以外はMADM−4HBAと同様に合成した。その結果、フェノール性水酸基がメトキシカルボニルメチル基で置換されたMeM−3Br4HBA 15.8gを得た。得られた生成物の重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は3.7(s,3H)、5.0(s,2H)、7.1−7.9(m,3H)、9.9(s,1H)であった。
【0313】
EtM−3Br4HBAの合成
MADM−4HBAの合成例におけるブロモ酢酸メチルアダマンチルをブロモ酢酸エチルに、p−ヒドロキシベンズアルデヒドを3−ブロモ−4−ヒドロキシベンズアルデヒドに代えた以外はMADM−4HBAと同様に合成した。その結果、フェノール性水酸基がエトキシカルボニルメチル基で置換されたEtM−3Br4HBA 16.1gを得た。得られた生成物の重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.3(t,3H)、4.3(m,2H)、4.8(s,1H)、7.1−7.9(m,3H)、9.9(s,1H)であった。
【0314】
EtP−3Br4HBAの合成
MADM−4HBAの合成例におけるブロモ酢酸メチルアダマンチルをα−ブロモ酪酸エチルに、p−ヒドロキシベンズアルデヒドを3−ブロモ−4−ヒドロキシベンズアルデヒドに、THFをジメチルホルムアミドに代えた以外はMADM−4HBAと同様に合成した。その結果、フェノール性水酸基がエトキシカルボニルプロピル基で置換されたEtP−3Br4HBA 13.0gを得た。得られた生成物の重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.1−1.3(m,6H)、2.1(m,2H)、4.2(m,2H)、4.7(t,1H)、7.1−7.9(m,3H)、9.9(s,1H)であった。
【0315】
EtP−3Me4HBAの合成
MADM−4HBAの合成例におけるブロモ酢酸メチルアダマンチルをα−ブロモ酪酸エチルに、p−ヒドロキシベンズアルデヒドをo−バニリンに、THFをジメチルホルムアミドに代えた以外はMADM−4HBAと同様に合成した。その結果、フェノール性水酸基がエトキシカルボニルプロピル基で置換されたEtP−3Me4HBA 10.0gを得た。得られた生成物の重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は、1.1−1.3(m,6H)、2.1(m,2H)、3.7(s,3H)、4.2(m,2H)、4.7(t,1H)、7.1−7.9(m,3H)、9.9(s,1H)であった。
【0316】
EtM−34DHBAの合成
MADM−4HBAの合成例におけるブロモ酢酸メチルアダマンチルをブロモ酢酸エチルに、p−ヒドロキシベンズアルデヒドを3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒドに代えた以外はMADM−4HBAと同様に合成した。その結果、フェノール性水酸基がエトキシカルボニルメチル基で置換されたEtM−34HBA 15.8gを得た。得られた生成物の重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.3(m,6H)、4.3(m,4H)、4.8(m,4H)、7.1−7.9(m,3H)、9.9(s,1H)であった。
【0317】
EtM−3Et4HBAの合成
MADM−4HBAの合成例におけるブロモ酢酸メチルアダマンチルをブロモ酢酸エチルに、p−ヒドロキシベンズアルデヒドを3−エトキシ−4−ヒドロキシベンズアルデヒドに代えた以外はMADM−4HBAと同様に合成した。その結果、フェノール性水酸基がエトキシカルボニルメチル基で置換されたEtM−3Et4HBA 10.0gを得た。得られた生成物の重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.3−1.4(m,6H)、4.2−4.3(m,4H)、4.8(m,2H)、7.1−7.9(m,3H)、10.0(s,1H)であった。
【0318】
【化86】
【0319】
<合成例5>ハロメチルエーテルを有する化合物(A3)の合成
ADCMEの合成
十分乾燥し、窒素置換した滴下漏斗、ジム・ロート氏冷却管、温度計、攪拌翼を設置した四つ口フラスコ(100mL)に、窒素気流下で、1−アダマンチルメタノール(3.32g/10mmol)、63ml クロロホルムからなる溶液に、92%パラホルムアルデヒド(1.20g/20mmol)を添加した。その後、氷冷下、塩化水素ガスを2.5時間吹き込みながら撹拌した。
反応終了後、塩化水素ガスの吹き込みを停止し、室温に戻し、分液ロートにて不溶層を分離し、n−ヘキサン層に無水硫酸ナトリウムを添加し、室温にて撹拌後、ろ過処理を行った。得られたろ液から溶媒を除去し、目的物であるADCME 4.1gを得た。
得られた生成物の重クロロホルム溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.0−1.6(m,15H)、3.3−3.6(s,2H)、5.5(s,2H)であった。
【0320】
CHCMEの合成
ADCMEの合成の合成例における1−アダマンチルメタノールをシクロヘキサノールに代えた以外はADCMEと同様に合成した。その結果、目的生成物(以下、CHCMEと示す)(6.0g)を得た。得られた生成物の重クロロホルム溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.4〜1.6(m,10H)、2.8(m、1H)、5.5(s,2H)であった。
【0321】
TCDCME(endo/exo比=0.57)の合成
十分乾燥し、窒素置換した滴下漏斗、ジム・ロート氏冷却管、温度計、撹拌翼を設置した四つ口フラスコ(500ml)に、窒素気流下で、ナトリウム水素化ビス(メトキシエトキシ)アルミニウム(80.9g)、125mlトルエンからなる溶液に、水冷下、三菱瓦斯化学製トリシクロデカン−2−カルボン酸エチル(endo/exo比=0.57)(41.7g)のトルエン(33.3g)溶液を添加した。その後、70℃にて2時間撹拌した。反応終了後、冷却し、20%塩酸を添加し、分液ロートにて水層を分離し、トルエン層に無水硫酸ナトリウムを添加し、室温にて撹拌後、ろ過処理を行った。得られたろ液から溶媒を除去し、TCDHM(endo/exo比=0.57)31.9gを得た。なお、endo/exo比ハガスクロマトグラフィーにより確認した。得られた生成物の重クロロホルム溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.0〜2.3(m,16H)、3.2−3.6(m,2H)であった。
続けて、十分乾燥し、窒素置換した滴下漏斗、ジム・ロート氏冷却管、温度計、撹拌翼を設置した四つ口フラスコ(1000ml)に、窒素気流下で、TCDHM(35.0g)、632ml n−へキサンからなる溶液に、92%パラホルムアルデヒド13.7gを添加した。その後、氷冷下、塩化水素ガスの吹き込みを停止し、室温に戻し、分液ロートにて不溶層を分離し、n−へキサン層に無水硫酸ナトリウムを添加し、室温にて撹拌後、ろ過処理を行った。得られたろ液から溶媒を除去し、目的物であるTCDCME(endo/exo比=0.57)40.0gを得た。なお、endo/exo比ハガスクロマトグラフィーにより確認した。得られた生成物の重クロロホルム溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.0〜2.3(m,15H)、3.3−3.6(m,2H)、5.5(s,2H)であった。
【0322】
【化87】
(ADCME) (CHCME) (TCDCME)
【0323】
<合成例6>環状ポリフェノール化合物(B)の合成
以下に示すように、まず環状ポリフェノール化合物(A)を合成し、つづいて環状ポリフェノール化合物(B)を合成した。
CM−CR−1の合成
十分乾燥し、窒素置換した滴下漏斗、ジム・ロート氏冷却管、温度計、攪拌翼を設置した四つ口フラスコ(1000L)に、窒素気流下で、関東化学社製レゾルシノール(5.5g、50mmol)と、合成例4で合成したMADM−4HBA(16.4g,50mmol)と、エタノール(330ml)を投入し、エタノール溶液を調整した。次いで濃塩酸(35%)75mlを、滴下漏斗により室温で60分かけて滴下した後、80℃で48時間攪拌した。反応終了後、室温に戻し、水酸化ナトリウム水溶液を添加して24時間撹拌を行った。その後、この溶液を分液ロートに移し、ジエチルエーテルを加えて分液し、その水層を抜き取り、塩酸で中和を行い、析出する固形物を濾別、真空乾燥させることにより、目的生成物(以下、CM−CR−1と示す)(10.2g)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量1088を示した。また重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は4.5−4.6(t,8H)、5.3−5.5(t,4H)、6.1〜6.7(m,24H)、8.4−8.5(t,8H)、12.7(brs,4H)であった。
【0324】
【化88】
(CM−CR−1)
【0325】
CM−CR−1の合成−2
CM−CR−1の合成の合成例におけるMADM−4HBAをtBuM−4HBAに代えた以外はCM−CR−1と同様に合成した。その結果、目的生成物(以下、CM−CR−1と示す)(10.2g)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量1088を示した。また重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は4.5−4.6(t,8H)、5.3−5.5(t,4H)、6.1〜6.7(m,24H)、8.4−8.5(t,8H)、12.7(brs,4H)であった。
【0326】
CM−CR−2の合成
CM−CR−1の合成の合成例におけるMADM−4HBAをtBuM−3HBAに代えた以外はCM−CR−1と同様に合成した。
その結果、目的生成物(以下、CM−CR−2と示す)(10.0g)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量1088を示した。また重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は4.3−4.4(d,8H)、5.5−5.6(s,4H)、6.1〜6.9(m,24H)、8.5(brs,8H)、12.9(brs,4H)であった。
【0327】
【化89】
(CM−CR−2)
【0328】
CM−CR−3の合成
CM−CR−1の合成の合成例におけるMADM−4HBAをtBuM−2HBAに代えた以外はCM−CR−1と同様に合成した。
その結果、目的生成物(以下、CM−CR−3と示す)(10.0g)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量1088を示した。また重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は4.1(t,8H)、5.8−5.9(t,4H)、6.0〜7.0(m,24H)、8.0(brs,8H)、12.5(brs,4H)であった。
【0329】
【化90】
(CM−CR−3)
【0330】
CM−CR−4の合成
CM−CR−1の合成の合成例におけるMADM−4HBAをtBuM−3Br4HBAに代えた以外はCM−CR−1と同様に合成した。その結果、目的生成物(以下、CM−CR−4と示す)(11.0g)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量1400を示した。また重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は4.7(s,8H)、5.2−5.5(t,4H)、6.0〜6.8(m,20H)、8.6(brs,8H)、12.9(brs,4H)であった。
【0331】
【化91】
(CM−CR−4)
【0332】
CM−CR−5の合成
CM−CR−1の合成の合成例におけるMADM−4HBAを4−ホルミル安息香酸(アルドリッチ製試薬)に代えた以外はCM−CR−1と同様に合成した。
その結果、目的生成物(以下、CM−CR−5と示す)(5.0g)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量968を示した。また重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は5.5−5.7(t,4H)、6.1〜6.7(m,24H)、8.6−8.8(t,8H)、12.3(brs,4H)であった。
【0333】
【化92】
(CM−CR−5)
【0334】
CP−CR−6の合成
CM−CR−1の合成の合成例におけるMADM−4HBAをEtP−3Br4HBAに代えた以外はCM−CR−1と同様に合成した。その結果、目的生成物(以下、CP−CR−6と示す)(11.5g)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量1512を示した。また重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.0−1.2(m,12H)、2.1−2.2(m,8H)、4.6(s,4H)、5.2−5.5(t,4H)、6.0〜6.8(m,20H)、8.6(brs,8H)、12.9(brs,4H)であった。
【0335】
【化93】
(CP−CR−6)
【0336】
CP−CR−7の合成
CM−CR−1の合成の合成例におけるMADM−4HBAをEtP−3Me4HBAに代えた以外はCM−CR−1と同様に合成した。その結果、目的生成物(以下、CP−CR−7と示す)(10.3g)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量1320を示した。また重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.0−1.2(m,12H)、2.1−2.2(m,8H)、3.7(s,12H)、4.6(s,4H)、5.2−5.5(t,4H)、6.0〜6.8(m,20H)、8.6(brs,8H)、12.9(brs,4H)であった。
【0337】
【化94】
(CP−CR−7)
【0338】
EtM−CR−1の合成
十分乾燥し、窒素置換した滴下漏斗、ジム・ロート氏冷却管、温度計、攪拌翼を設置した四つ口フラスコ(1000L)に、窒素気流下で、関東化学社製レゾルシノール(5.5g、50mmol)と、合成例4で合成したEtM−4HBA(10.4g、50mmol)と、エタノール(330ml)を投入し、エタノール溶液を調整した。次いで濃塩酸(35%)75mlを、滴下漏斗により室温で60分かけて滴下した後、80℃で48時間攪拌した。反応終了後、室温に戻し、析出した固形物を濾別、真空乾燥させることにより、目的生成物(以下、EtM−CR−1と示す)(12.8g)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量1200を示した。また重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.3(t,12H)、4.3(m,8H)、4.5−4.6(t,8H)、5.3−5.5(t,4H)、6.1〜6.7(m,24H)、8.4−8.5(t,8H)であった。
【0339】
【化95】
(EtM−CR−1)
【0340】
MeM−CR−1の合成
EtM−CR−1の合成の合成例におけるEtM−4HBAをMeM−4HBAに代えた以外はEtM−CR−1と同様に合成した。
その結果、目的生成物(以下、と示す)MeM−CR−1(9.8g)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量1144を示した。また重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は3.7(s,12H)、4.5−4.6(t,8H)、5.3−5.5(t,4H)、6.1〜6.7(m,24H)、8.4−8.5(t,8H)であった。
【0341】
【化96】
(MeM−CR−1)
【0342】
tBuM−CR−1の合成
EtM−CR−1の合成の合成例におけるEtM−4HBAをtBuM−4HBAに代えた以外はEtM−CR−1と同様に合成した。
その結果、目的生成物(以下、と示す)tBuM−CR−1(12.5g)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量1313を示した。また重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.4(s,36H)、4.5−4.6(t,8H)、5.3−5.5(t,4H)、6.1〜6.7(m,24H)、8.4−8.5(t,8H)であった。
【0343】
【化97】
(tBuM−CR−1)
【0344】
CM−CR−1の合成−3
EtM−CR−1を水酸化ナトリウム水溶液100mlに溶解し、24時間撹拌を行った。その後、この溶液を分液ロートに移し、ジエチルエーテルを加えて分液し、その水層を抜き取り、塩酸で中和を行い、析出する固形物を濾別、真空乾燥させることにより、目的生成物(以下、CM−CR−1と示す)(6.0g)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量1088を示した。また重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は4.5−4.6(t,8H)、5.3−5.5(t,4H)、6.1〜6.7(m,24H)、8.4−8.5(t,8H)、12.7(brs,4H)であった。
【0345】
CM−CR−1の合成−4
CM−CR−1の合成−3の合成の合成例におけるEtM−CR−1をMeM−CR−1に代えた以外はCM−CR−1の合成−3と同様に合成した。
その結果、目的生成物(以下、CM−CR−1と示す)(5.8g)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量1088を示した。また重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は4.5−4.6(t,8H)、5.3−5.5(t,4H)、6.1〜6.7(m,24H)、8.4−8.5(t,8H)、12.7(brs,4H)であった。
【0346】
CM−CR−1の合成−5
CM−CR−1の合成−3の合成の合成例におけるEtM−CR−1をtBuM−CR−1に代えた以外はCM−CR−1の合成−3と同様に合成した。
その結果、目的生成物(以下、CM−CR−1と示す)(5.5g)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量1088を示した。また重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は4.5−4.6(t,8H)、5.3−5.5(t,4H)、6.1〜6.7(m,24H)、8.4−8.5(t,8H)、12.7(brs,4H)であった。
【0347】
EtM−CR−4の合成
十分乾燥し、窒素置換した滴下漏斗、ジム・ロート氏冷却管、温度計、攪拌翼を設置した四つ口フラスコ(1000L)に、窒素気流下で、関東化学社製レゾルシノール(5.5g、50mmol)と、合成例4で合成したEtM−3Br4HBA(14.3g、50mmol)と、エタノール(330ml)を投入し、エタノール溶液を調整した。次いで濃塩酸(35%)75mlを、滴下漏斗により室温で60分かけて滴下した後、80℃で48時間攪拌した。反応終了後、室温に戻し、析出した固形物を濾別、真空乾燥させることにより、目的生成物(以下、EtM−CR−1と示す)(18.0g)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量1512を示した。また重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.3(t,12H)、4.3(m,8H)、4.5−4.6(t,8H)、5.2−5.5(t,4H)、6.0〜6.8(m,20H)、8.6(brs,8H)であった。
【0348】
【化98】
(EtM−CR−4)
【0349】
MeM−CR−4の合成
EtM−CR−4の合成の合成例におけるEtM−3Br4HBAをMeM−3Br4HBAに代えた以外はEtM−CR−4と同様に合成した。
その結果、目的生成物(以下、と示す)MeM−CR−4(15.8g)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量1456を示した。また重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は3.7(s,12H)、4.7(s,8H)、5.2−5.5(t,4H)、6.0〜6.8(m,20H)、8.6(brs,8H)であった。
【0350】
【化99】
(MeM−CR−4)
【0351】
tBuM−CR−4の合成
EtM−CR−4の合成の合成例におけるEtM−3Br4HBAをtBuM−3Br4HBAに代えた以外はEtM−CR−4と同様に合成した。
その結果、目的生成物(以下、と示す)tBuM−CR−4(19.5g)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量1624を示した。また重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.4(s,36H)、4.7(s,8H)、5.2−5.5(t,4H)、6.0〜6.8(m,20H)、8.6(brs,8H)であった。
【0352】
【化100】
(tBuM−CR−1)
【0353】
CM−CR−4の合成−2
EtM−CR−4を水酸化ナトリウム水溶液100mlに溶解し、24時間撹拌を行った。その後、この溶液を分液ロートに移し、ジエチルエーテルを加えて分液し、その水層を抜き取り、塩酸で中和を行い、析出する固形物を濾別、真空乾燥させることにより、目的生成物(以下、CM−CR−4と示す)(6.1g)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量1400を示した。また重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は4.7(s,8H)、5.2−5.5(t,4H)、6.0〜6.8(m,20H)、8.6(brs,8H)、12.9(brs,4H)であった。
【0354】
CM−CR−4の合成−3
CM−CR−4の合成−2の合成の合成例におけるEtM−CR−4をMeM−CR−4に代えた以外はCM−CR−4の合成−2と同様に合成した。
その結果、目的生成物(以下、CM−CR−4と示す)(5.9g)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量1400を示した。また重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は4.7(s,8H)、5.2−5.5(t,4H)、6.0〜6.8(m,20H)、8.6(brs,8H)、12.9(brs,4H)であった。
【0355】
CM−CR−4の合成−4
CM−CR−4の合成−2の合成の合成例におけるEtM−CR−4をtBuM−CR−4に代えた以外はCM−CR−4の合成−2と同様に合成した。
その結果、目的生成物(以下、CM−CR−4と示す)(5.8g)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量1400を示した。また重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は4.7(s,8H)、5.2−5.5(t,4H)、6.0〜6.8(m,20H)、8.6(brs,8H)、12.9(brs,4H)であった。
【0356】
EtP−CR−6の合成
EtM−CR−4の合成の合成例におけるEtM−3Br4HBAをEtP−3Br4HBAに代えた以外はEtM−CR−4と同様に合成した。
その結果、目的生成物(以下、と示す)EtP−CR−6(15.8g)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量1624を示した。また重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.0−1.2(m,24H)、2.1−2.2(m,8H)、4.0−4.1(m,8H)、4.6(s,4H)、5.2−5.5(t,4H)、6.0〜6.8(m,20H)、8.6(brs,8H)であった。
【0357】
【化101】
(EtP−CR−6)
【0358】
CP−CR−6の合成−2
EtP−CR−6を水酸化ナトリウム水溶液100mlに溶解し、24時間撹拌を行った。その後、この溶液を分液ロートに移し、ジエチルエーテルを加えて分液し、その水層を抜き取り、塩酸で中和を行い、析出する固形物を濾別、真空乾燥させることにより、目的生成物(以下、CP−CR−6と示す)(6.1g)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量1512を示した。また重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.0−1.2(m,12H)、2.1−2.2(m,8H)、4.6(s,4H)、5.2−5.5(t,4H)、6.0〜6.8(m,20H)、8.6(brs,8H)、12.9(brs,4H)であった。
【0359】
CP−CR−6の合成−3
EtP−CR−6を水酸化ナトリウム水溶液100mlに溶解し、24時間撹拌を行った。その後、この溶液を分液ロートに移し、ジエチルエーテルを加えて分液し、その水層を抜き取った。その後、塩酸で中和を行った後、ジエチルエーテルを加えて分液し、その有機層を抜き取った。その後、有機層からジエチルエーテルを減圧除去することにより得られる固形物を真空乾燥させることにより、目的生成物(以下、CP−CR−6と示す)(6.3g)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量1512を示した。また重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.0−1.2(m,12H)、2.1−2.2(m,8H)、4.6(s,4H)、5.2−5.5(t,4H)、6.0〜6.8(m,20H)、8.6(brs,8H)、12.9(brs,4H)であった。
【0360】
EtP−CR−7の合成
EtM−CR−4の合成の合成例におけるEtM−3Br4HBAをEtP−3Me4HBAに代えた以外はEtM−CR−4と同様に合成した。
その結果、目的生成物(以下、と示す)EtP−CR−7(13.8g)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量1432を示した。また重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.0−1.2(m,24H)、2.1−2.2(m,8H)、3.7(s,12H)、4.0−4.1(m,8H)、4.6(s,4H)、5.2−5.5(t,4H)、6.0〜6.8(m,20H)、8.6(brs,8H)であった。
【0361】
【化102】
(EtP−CR−7)
【0362】
CP−CR−7の合成−2
EtP−CR−7を水酸化ナトリウム水溶液100mlに溶解し、24時間撹拌を行った。その後、この溶液を分液ロートに移し、ジエチルエーテルを加えて分液し、その水層を抜き取り、塩酸で中和を行い、析出する固形物を濾別、真空乾燥させることにより、目的生成物(以下、CP−CR−7と示す)(6.2g)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量1320を示した。また重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.0−1.2(m,12H)、2.1−2.2(m,8H)、3.7(s,12H)、4.6(s,4H)、5.2−5.5(t,4H)、6.0〜6.8(m,20H)、8.6(brs,8H)、12.9(brs,4H)であった。
【0363】
CP−CR−7の合成−3
EtP−CR−7を水酸化ナトリウム水溶液100mlに溶解し、24時間撹拌を行った。その後、この溶液を分液ロートに移し、ジエチルエーテルを加えて分液し、その水層を抜き取った。その後、塩酸で中和を行った後、ジエチルエーテルを加えて分液し、その有機層を抜き取った。その後、有機層からジエチルエーテルを減圧除去することにより得られる固形物を真空乾燥させることにより、目的生成物(以下、CP−CR−7と示す)(5.3g)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量1320を示した。また重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.0−1.2(m,12H)、2.1−2.2(m,8H)、3.7(s,12H)、4.6(s,4H)、5.2−5.5(t,4H)、6.0〜6.8(m,20H)、8.6(brs,8H)、12.9(brs,4H)であった。
【0364】
ADM−CR−1の合成
十分乾燥し、窒素置換した滴下漏斗、ジム・ロート氏冷却管、温度計、攪拌翼を設置した四つ口フラスコ(1000L)に、窒素気流下で、先の方法で合成したCM−CR−1(10.9g,10mmol)と、炭酸カリウム 13.8g、THF(330ml)からなる溶液に、合成例5で合成したADCME(8.6g,40mmol)の100mlTHFを投入し、テトラヒドロフラン溶液を調整した。次いで室温で6時間攪拌した。反応終了後、反応液を濃縮し、カラムクロマトグラフにより精製、カラム展開溶媒を留去、得られた固形物を濾別、真空乾燥させることにより、目的生成物(以下、ADM−CR−1と示す)(15.2g)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量1801を示した。また重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.0−1.6(m,60H)、4.5−4.6(t,8H)、5.3−5.5(m,12H)、6.1〜6.5(m,32H)、8.4−8.5(t,8H)であった。
【0365】
【化103】
(ADM−CR−1)
【0366】
ADM−CR−2の合成
ADM−CR−1の合成の合成例におけるCM−CR−1をCM−CR−2に代えた以外はADM−CR−1と同様に合成した。
その結果、目的生成物(以下、ADM−CR−2と示す)(9.2g)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量1801を示した。また重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.0−1.6(m,60H)、4.3−4.4(t,8H)、5.3−5.6(m,12H)、6.1〜6.9(m,32H)、8.4−8.5(t,8H)であった。
【0367】
【化104】
(ADM−CR−2)
【0368】
ADM−CR−3の合成
ADM−CR−1の合成の合成例におけるCM−CR−1をCM−CR−3に代えた以外はADM−CR−1と同様に合成した。
その結果、目的生成物(以下、ADM−CR−3と示す)(9.8g)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量1801を示した。また重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.0−1.6(m,60H)、4.1−4.2(t,8H)、5.8−5.9(m,12H)、6.0〜7.0(m,32H)、8.1(t,8H)であった。
【0369】
【化105】
(ADM−CR−3)
【0370】
ADM−CR−4の合成
ADM−CR−1の合成の合成例におけるCM−CR−1をCM−CR−4に代えた以外はADM−CR−1と同様に合成した。
その結果、目的生成物(以下、ADM−CR−4と示す)(11.2g)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量2112を示した。また重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.0−1.6(m,60H)、4.7(t,8H)、5.2−5.5(m,12H)、6.0〜6.8(m,28H)、8.6(brs,8H)であった。
【0371】
【化106】
(ADM−CR−4)
【0372】
ADM−CR−5の合成
ADM−CR−1の合成の合成例におけるCM−CR−1をCM−CR−5に代えた以外はADM−CR−1と同様に合成した。
その結果、目的生成物(以下、ADM−CR−5と示す)(6.2g)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量1680を示した。また重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.0−1.6(m,60H)、5.3−5.5(m,12H)、6.1〜7.7(m,32H)、8.6−8.8(t,8H)であった。
【0373】
【化107】
(ADM−CR−5)
【0374】
ADP−CR−6の合成
ADM−CR−1の合成の合成例におけるCM−CR−1をCP−CR−6に代えた以外はADM−CR−1と同様に合成した。
その結果、目的生成物(以下、ADP−CR−6と示す)(12.2g)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量2224を示した。また重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.0−1.6(m,72H)、2.1−2.2(m,8H)、4.6(s,4H)、5.2−5.5(m,12H)、6.0〜6.8(m,28H)、8.6(brs,8H)であった。
【0375】
【化108】
(ADP−CR−6)
【0376】
ADP−CR−7の合成
ADM−CR−1の合成の合成例におけるCM−CR−1をCP−CR−7に代えた以外はADM−CR−1と同様に合成した。
その結果、目的生成物(以下、ADP−CR−7と示す)(10.2g)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量2033を示した。また重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.0−1.6(m,72H)、2.1−2.2(m,8H)、3.7(s,12H)、4.6(s,4H)、5.2−5.5(m,12H)、6.0〜6.8(m,28H)、8.6(brs,8H)であった。
【0377】
【化109】
(ADP−CR−7)
【0378】
CHM−CR−1の合成
ADM−CR−1の合成の合成例におけるADCMEをCHCMEに代えた以外はADM−CR−1と同様に合成した。
その結果、目的生成物(以下、CHM−CR−1と示す)(10.1g)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量1537を示した。また重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.4〜1.6(m,40H)、2.8(m、4H)、5.3−5.5(m,12H)、6.1〜6.5(m,32H)、8.4−8.5(t,8H)であった。
【0379】
【化110】
(CHM−CR−1)
【0380】
CHM−CR−4の合成
ADM−CR−4の合成の合成例におけるADCMEをCHCMEに代えた以外はADM−CR−4と同様に合成した。
その結果、目的生成物(以下、CHM−CR−4と示す)(10.2g)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量1848を示した。また重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.4〜1.6(m,40H)、2.8(m、4H)、5.2−5.5(m,12H)、6.0〜6.8(m,28H)、8.6(brs,8H)であった。
【0381】
【化111】
(CHM−CR−4)
【0382】
NOM−CR−1の合成
ADM−CR−1の合成の合成例におけるADCMEをn−オクチルクロロメチルエーテルに代えた以外はADM−CR−1と同様に合成した。
その結果、目的生成物(以下、NOM−CR−1と示す)(8.2g)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量1657を示した。また重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.0−1.5(m,60H)、3.4(m,8H)、5.3−5.5(m,12H)、6.1〜6.5(m,32H)、8.4−8.5(t,8H)であった。
【0383】
【化112】
(NOM−CR−1)
【0384】
<MADM−CR−1の合成>
ADM−CR−1の合成の合成例におけるADCMEをブロモ酢酸2−メチル−2−アダマンチルに代えた以外はADM−CR−1と同様に合成した。
その結果、目的生成物(以下、MADM−CR−1と示す)(9.8g)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量1913を示した。また重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.5−2.2(m,68H)、4.9(s,8H)、5.3−5.5(t,4H)、6.1〜6.5(m,32H)、8.4−8.5(t,8H)であった。
【0385】
【化113】
(MADM−CR−1)
【0386】
MADM−CR−4の合成
ADM−CR−4の合成の合成例におけるADCMEをブロモ酢酸2−メチル−2−アダマンチルに代えた以外はADM−CR−4と同様に合成した。
その結果、目的生成物(以下、MADM−CR−4と示す)(10.2g)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量2224を示した。また重DMSO溶媒中での1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.5−2.2(m,68H)、4.5−4.6(t,8H)、4.9(s,8H)、5.3−5.5(t,4H)、6.1〜7.7(m,20H)、8.4−8.5(t,8H)であった。
【0387】
【化114】
(MADM−CR−4)
【0388】
TDCM−CR−4の合成
ADM−CR−4の合成の合成例におけるADCMEをTCDCME(endo/exo比=0.57)に代えた以外はADM−CR−4と同様に合成した。
その結果、目的生成物(以下、TCDM−CR−4と示す)(10.0g)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量2112を示した。また重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.0〜2.3(m,60H)、4.7(s,8H)、5.2−5.5(t,4H)、5.6(s,8H)、6.0〜6.8(m,28H)、8.6(brs,8H)であった。
【0389】
【化115】
(TCDM−CR−4)
【0390】
TDCP−CR−6の合成
ADP−CR−6の合成の合成例におけるADCMEをTCDCME(endo/exo比=0.57)に、代えた以外はADP−CR−6と同様に合成した。
その結果、目的生成物(以下、TCDP−CR−6と示す)(11.0g)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量2224を示した。また重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.0〜2.3(m,72H)、2.1−2.2(m,8H)、4.7(s,4H)、5.2−5.5(t,4H)、5.6(s,8H)、6.0〜6.8(m,28H)、8.6(brs,8H)であった。
【0391】
【化116】
(TCDP−CR−6)
【0392】
TDCP−CR−7の合成
ADP−CR−7の合成の合成例におけるADCMEをTCDCME(endo/exo比=0.57)に、代えた以外はADP−CR−7と同様に合成した。
その結果、目的生成物(以下、TCDP−CR−7と示す)(10.5g)を得た。この化合物の構造は、LC−MSで分析した結果、目的物の分子量2033を示した。また重DMSO溶媒中での
1H−NMRのケミカルシフト値(δppm,TMS基準)は1.0〜2.3(m,72H)、2.1−2.2(m,8H)、3.8(s、12H)4.7(s,4H)、5.2−5.5(t,4H)、5.6(s,8H)、6.0〜6.8(m,28H)、8.6(brs,8H)であった。
【0393】
【化117】
(TCDP−CR−7)
【0394】
実施例1〜44及び比較例1
第1表記載の成分を調合し、均一溶液としたのち、孔径0.2μmのテフロン(登録商標)製メンブランフィルターで濾過して、レジスト組成物を調製し、各々について以下の評価を行った。結果を第2表に示す。
【0395】
(1)レジスト膜の成膜性評価
レジスト組成物をシリコンウェハー上にスピンコーターで回転塗布し、形成した10×10mm角のレジスト被膜を、目視で観察し、いずれも表面性が良好であることを確認した。
(2)パターニング試験
(2−1)解像度の評価
レジストを清浄なシリコンウェハー上に回転塗布した後、オーブン中で露光前ベーク(PB)して、厚さ0.1μmのレジスト膜を形成した。該レジスト膜を電子線描画装置(ELS−7500,(株)エリオニクス社製)を用いて、50nm間隔の1:1のラインアンドスペース設定の電子線を照射した。照射後に、それぞれ所定の温度で、90秒間加熱し、2.38重量%TMAH水溶液に60秒間現像を行った。その後、水で30秒間洗浄し、乾燥して、ポジ型のレジストパターンを形成した。得られたラインアンドスペースを走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジー製S−4800)により観察した。またその際のドーズ量(μC/cm
2)を感度とした。
【0396】
(2−2)パターン形状の評価
得られた50nm間隔の1:1のラインアンドスペースの断面写真を走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジー製S−4800)により観察し、評価した。
A:矩形パターン(良好なパターン)
B:ほぼ矩形パターン(ほぼ良好なパターン)
C:矩形ではないパターン(良好でないパターン)
【0397】
(2−3)ラインエッジラフネス(LER)の評価
50nm間隔の1:1のラインアンドスペースの長さ方向(0.75μm)の任意の300点において、日立半導体用SEM ターミナルPC V5オフライン測長ソフトウェア((株)日立サイエンスシステムズ製)を用いて、エッジと基準線との距離を測定した。測定結果から標準偏差(3σ)を算出した。
A:LER(3σ)≦3.0nm (良好なLER)
B:3.0nm<LER(3σ)≦3.5nm (ほぼ良好なLER)
C:3.5nm<LER(3σ) (良好でないLER)
(2−4)アウトガス量測定
塗布したレジスト膜に対して、1.2×1.2mmの面積に、(2−1)で求めたドーズ(μC/cm
2)の2倍量の電子線を照射した。その後、電子線を照射した部分と照射していない部分の膜厚差を、走査型プローブ顕微鏡にて測定し、その膜厚差をアウトガス量の指標とした。その結果を、化合物として50mol%t−ブトキシカルボニル基で水酸基を置換したポリヒドロキシスチレン(PHS)を用いた場合の膜減り量と比較した。
その結果、いずれも膜減り量が50mol%t−ブトキシカルボニル基で水酸基を置換したPHSと同等以下の良好なアウトガス量を確認した。
【0398】
(3)化合物の安全溶媒溶解度試験
合成例2で得られた化合物の安全溶媒への溶解度試験を23℃で行った。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、2−ヘプタノン、アニソール、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、乳酸エチル、およびシクロヘキサノンから選択され、かつ、一番溶解する溶媒への溶解量を評価した。
S:30.0wt% ≦ 溶解量
A:10.0wt% ≦ 溶解量 < 30.0wt%
B:1.0wt%≦ 溶解量 < 10.0wt%
C:溶解量 < 1.0wt%
【0399】
第1−1表
【表1】
【0400】
第1−2表
【表2】
【0401】
第1−3表
【表3】
【0402】
第1−4表
【表4】
【0403】
第2−1表
【表5】
【0404】
第2−2表
【表6】
【0405】
第2−3表
【表7】
【0406】
第2−4表
【表8】
PEB:電子線照射後に加熱する際の温度
【0407】
第3−1表
【表9】
【0408】
第3−2表
【表10】
【0409】
<実施例201>
BARC形成組成物を膜厚300nmのSiO
2基板上に塗布して、205℃で60秒間ベークして膜厚100nmのBARC膜を形成した。
なお、前記BARC形成組成物は、樹脂成分A 2gを有する溶液10g、ヘキサメトキシメチルメラミン0.53g、p−トルエンスルホン酸0.05g、乳酸エチル14.3g、プロピレングリコールモノメチルエーテル1.13gおよびシクロヘキサノン2.61gを配合し、均一溶液としたのち、孔径0.2μmのテフロン(登録商標)製メンブランフィルターで濾過して、BARC形成組成物を調製した。
また、前記樹脂成分Aは、クレゾールノボラック樹脂(旭チバ(株)製、商品名ECN1299、重量平均分子量3900)100gをプロピレングリコールモノメチルエーテル800gに添加し溶解させ、その後、9−アントラセンカルボン酸97gおよびベンジルトリエチルアンモニウムクロリド2.6gを加えた後、100℃で24時間反応させ、樹脂成分Aを得た。樹脂成分Aは、GPC分析の結果、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は5600であった。
その上に、実施例51で調製したレジスト組成物を塗布し、110℃で90秒間ベークして膜厚50nmのフォトレジスト層を形成した。
次いで、電子線描画装置(エリオニクス社製;ELS−7500,50keV)で30μC/cm
2で露光し、110℃で90秒間ベーク(PEB)し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で60秒間現像し、ポジ型の30nmL&Sおよび50nmL&Sパターンの形成を試みた。得られたパターンについてSEMで観察し、下記のように評価した。
A: 良好な矩形パターンを確認
C: 一部でパターンのはがれがある矩形パターンを確認
【0410】
<実施例202>
BARC層を形成しない以外は実施例201と同様に行い評価した結果を表4に示す。
【0411】
【表11】