特許第5660718号(P5660718)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5660718
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】車載ネットワーク機器
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/28 20060101AFI20150108BHJP
【FI】
   H04L12/28 200M
   H04L12/28 100A
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-16725(P2011-16725)
(22)【出願日】2011年1月28日
(65)【公開番号】特開2012-156956(P2012-156956A)
(43)【公開日】2012年8月16日
【審査請求日】2013年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119552
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 公秀
(74)【代理人】
【識別番号】100108589
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 利光
(72)【発明者】
【氏名】岩佐 正治
【審査官】 安藤 一道
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−299759(JP,A)
【文献】 特開平07−087158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載ネットワーク伝送路に接続され、車載ネットワークの構成要素であるノードとして情報の送受信を行う車載ネットワーク機器であって、
前記車載ネットワークに対して情報の送受信を行う車載ネットワークインターフェース部と、
前記車載ネットワークインターフェース部に接続され、情報の送受信を制御する制御処理部と、
前記制御処理部に接続され、外部インターフェースを介して送信されるデータを受信し、前記制御処理部に受信状態を通知する外部インターフェース受信部と、
前記外部インターフェースにおける第1の信号線及び第2の信号線のそれぞれの信号レベルに基づき、前記外部インターフェースを介して接続される外部接続機器の接続有無を判定し、前記制御処理部に通知する状態判定部とを有し、
前記第1の信号線は、前記外部インターフェースにおける直流電圧伝送ラインであり、前記第2の信号線は、前記車載ネットワーク機器の内部電源にプルアップ抵抗を介して接続される車載ネットワーク機器。
【請求項2】
前記第2の信号線と前記プルアップ抵抗との間に、少なくとも1つの入力と2つの出力と1つの制御端子を有する選択スイッチを設け、
前記選択スイッチは、前記入力には前記第2の信号線が、一方の前記出力には前記プルアップ抵抗が、他方の前記出力にはグランドが接続され、前記制御端子には前記第1の信号線が接続されている、
請求項1に記載の車載ネットワーク機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車載ネットワークに接続される車載ネットワーク機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルマルチメディア機器の増加に加え、スマートフォンや動画対応の携帯マルチメディア機器等のパーソナル機器の普及が急速に進展している。これらの機器は家庭での使用にとどまらず自動車の車内へ持ち込んで使用するケースも増えており、車内のネットワークと持込み機器との機能連携が必要とされてきている。
【0003】
一方でディスプレイ機器、カーナビゲーション機器、オーディオ機器等、車に搭載される電子機器類の数が増加することで、これらを個々に配線し更に複数の機器と接続する事が困難になりつつある。そのため、ここ数年で車内の電子機器類を目的別に複数のネットワーク回線で接続する事が一般的になりつつある。マルチメディア系のネットワークとしてはMOST(Media Oriented Systems Transport)と呼ばれる方式が提案され、複数のメーカーで実用化されている。例えば、特許文献1には、MOST等の車内LANにゲートウェイ装置を介して汎用の携帯端末を接続するものが開示されている。
【0004】
また、違う種類のネットワーク間での相互接続を実現するため、ネットワーク間のゲートウェイと呼ばれる変換装置があり、それぞれのネットワークでの決まりごとに準拠した形にデータを加工して、送受信を行なっている。このような車載ネットワークと外部機器等の接続方法に関しては既に多くの方法で実現されており、上記特許文献1にも一例が示されている。特許文献1のゲートウェイ装置は、車載デバイスに対応したプロトコルで通信を行う第1の通信I/Fと、携帯端末に対応したプロトコルで通信を行う第2の通信I/Fを備え、車載デバイスに対応したコマンド情報を携帯端末に対応したコマンド情報に変換し、また携帯端末に対応したコマンド情報を車載デバイスに対応したコマンド情報に変換して送受するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−236560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、MOSTでは予め使用するデータ幅を宣言する必要があるため、MOST以外のネットワーク上の機器であっても、予め何が繋がっていて、どれだけのデータ幅を必要とするのかを認識する必要がある。特に外部機器を接続するために用意されたAVインターフェース等の外部インターフェースを有する機器の場合、MOST機器としてネットワーク認証をする際に、既に外部インターフェースに機器が接続されているか否か、またデータ送信可能か否かを瞬時に見極める必要がある。特にHDMI(High-Definition Multimedia Interface)等のAVインターフェースの様にお互いの機器認証を必要とするケースでは、接続の確立に数秒を有することがある。これに対し、MOSTでは電源投入後100ミリ秒程度で接続機器を認識するため、起動直後にはHDMI機器の存在が認識されないケースが考えられる。MOSTにはこうしたケースであっても接続機器の認識後ただちにアロケーションを行い、帯域を確保する事ができるような仕組みがあるが、場合によっては初期状態で全ての接続を認識しなければならないケースも発生する。
【0007】
本発明は、こうした問題を解決するためになされたもので、電源投入直後であってもHDMI等の外部インターフェースを利用して接続される外部接続機器の接続状態を認識することができる車載ネットワーク機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の車載ネットワーク機器は、車載ネットワーク伝送路に接続され、車載ネットワークの構成要素であるノードとして情報の送受信を行う車載ネットワーク機器であって、前記車載ネットワークに対して情報の送受信を行う車載ネットワークインターフェース部と、前記車載ネットワークインターフェース部に接続され、情報の送受信を制御する制御処理部と、前記制御処理部に接続され、外部インターフェースを介して送信されるデータを受信し、前記制御処理部に受信状態を通知する外部インターフェース受信部と、前記外部インターフェースにおける第1の信号線及び第2の信号線のそれぞれの信号レベルに基づき、前記外部インターフェースを介して接続される外部接続機器の接続有無を判定し、前記制御処理部に通知する状態判定部とを有し、前記第1の信号線は、前記外部インターフェースにおける直流電圧伝送ラインであり、前記第2の信号線は、前記車載ネットワーク機器の内部電源にプルアップ抵抗を介して接続されるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、外部接続機器の起動状態に関わらず、MOST等の車載ネットワークの起動時に外部接続機器の接続有無を認識する事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態における車載ネットワーク機器のブロック図
図2】本発明の実施の形態におけるHDMI端子のピン配置図
図3】(a)、(b)本発明の実施の形態における車載ネットワーク機器の詳細図
図4】HDMIソース機器接続直後の状態
図5】HDMIソース機器起動後の状態
図6】HDMIソース機器の状態別一覧
図7】本発明の実施の形態の変形例における車載ネットワーク機器のブロック図
図8】MOSTのデータ構成を示す図
図9】MOSTの接続概念図
図10】MOSTと外部機器との接続例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施の形態では、車載ネットワークの一例として、MOSTを用いた場合の構成例を説明する。以下にMOSTの概念について説明する。
【0012】
MOSTではフレームと呼ばれる一定時間で区切られたデータ単位で通信を行う。図8は、MOSTの伝送フレームのフォーマットを示したものである。伝送フレームは、複数のフレームによって構成され、16フレーム単位で1つのブロック809を形成している。
【0013】
1つのフレーム(MOSTフレーム)808は、512ビット単位で構成されている。フレーム808は、プリアンブル801として4ビット、境界ディスクリプタ802として4ビット、同期データチャネル803a及び803b、非同期データチャネル804、制御チャネル805として16ビット、フレーム制御ビット806として7ビット、パリティビット807として1ビットを有している。
【0014】
境界ディスクリプタ802は、同期データと非同期データの境界を示すものである。パリティビット807は、フレーム制御ビット806と合わせてデータの誤り検出に用いられる。なお、同期データチャネル803(803a、803b)は、192ビットから480ビットの範囲で可変する事が可能であり、非同期データチャネル804と合わせて480ビットのデータ長に決められている。
【0015】
図9は、MOSTの代表的な接続形態を示している。図9のごとく、MOSTでは、リング形状の結線形式が多く用いられている。クロックマスター901と呼ばれる機器が基準クロック905を送出し、ネットワーク上のスレーブノード902、903、904はこの基準クロックを元にデータの送受信を行う。基準クロックは44.1kHzまたは48kHzが用いられる。
【0016】
ここで、ネットワークに接続される電子機器などの通信機器を含む、ネットワークを構成する各要素のことを「ノード」と呼ぶことにする。図9のネットワーク構成において、クロックマスター(マスターノード)901はマスターとして動作する機器、スレーブノード902、903、904はスレーブとして動作する機器である。
【0017】
スレーブノードとして接続された各機器は、それぞれ隣の機器から前記のフレーム単位でデータを受け取る。この時、フレームの先頭がどのデータになるのか判断するために、フレームの先頭にはプリアンブル801が存在する。MOST上に複数の機器が接続された状態で、それぞれの機器が必要量のデータを送信するための手段としては、3種類の方法がある。
【0018】
1つ目は制御チャネル805を用いる方法である。この制御チャネル805は、1フレームで16ビットと限られたデータ量のため、主にコマンド等の制御系の情報伝達に用いられる。
【0019】
2つ目は非同期データチャネル804を用いる方法である。
この非同期データチャネル804は、各機器が必要なときにいつでも使う事ができるが、送信のタイミングによっては、すでに他の機器のデータが送られていて空きがない場合、次のフレームまで送信を見送る必要がある。
【0020】
つまり伝送レートが常に一定ではなく、データの込み具合で速度が左右される事から、PCデータのダウンロード等の等時性を必要としないデータの送受信に適している。
【0021】
3つ目は同期データチャネル803aまたは803bを用いる方法である。この同期データチャネル803a、803bを使用するためには予め使用するデータ幅を予約する必要がある。
【0022】
この予約作業はアロケーションと呼ばれ、機器の電源投入時に行われる。例えばスレーブノード902の機器用に同期データチャネル803a、スレーブノード903の機器用に同期データチャネル803bといった形である。
【0023】
ここで予約されたデータ幅は各機器専用に割り当てられ、他の機器が使用する事が出来ない。このため、常に一定のデータレートが確保されるため、等時性が求められる通信、例えば音楽データ等の通信に用いられる。
【0024】
以上、MOSTについて簡単に説明したが、MOST以外でも帯域保証型の同期伝送を用いるネットワーク、例えばIDB-1394等でも適用可能である。また、外部インターフェースとして、HDMI以外にも、USB(Universal Serial Bus)、DVI(Digital Visual Interface)等のインターフェースを利用して接続される機器等が想定される。
【0025】
図10は、MOSTと外部機器との接続例を示す図である。図10において、車載ネットワーク伝送路としてのMOSTには、マスターノードにあたるヘッドユニット(HU)1001と、スレーブノードにあたる車載ネットワーク機器として、アンプ(AMP)1002、コントローラ1003、RSE(リアシートエンターテイメント)機器1004が接続されている。
【0026】
この内、RSE機器1004には、HDMI受信部を有し、HDMIケーブル1005を介して、HDMI機器としてHDMI送信部を備えたBD(Blu-ray Disc)(商標)プレーヤー1006が接続されている。
【0027】
図10のように、HDMI等の外部インターフェースを介して外部機器を接続する場合、HDMIではお互いの機器認証を必要とするため、接続の確立に数秒を有することがある。
【0028】
これに対し、MOSTでは電源投入後100ミリ秒程度で接続機器を認識するため、起動直後にはHDMI機器の存在が認識されないケースが考えられる。上述したように、MOSTでは予め使用するデータ幅を宣言して予約する必要があるため、どのような機器が接続されていて、どれだけのデータ幅を必要とするのかを認識する必要があるが、HDMI機器については認識できないケースがあり得る。
【0029】
そこで、以下の実施の形態において、MOST等の車載ネットワークの起動時に、HDMI等の外部インターフェースを利用して接続される外部接続機器の接続状態を認識可能とした例を示す。
【0030】
(実施の形態)
以下、本発明の実施の形態における車載ネットワーク機器について図面を参照しながら説明する。
【0031】
図1は本発明の実施の形態における車載ネットワーク機器のブロック図を示している。
【0032】
車載ネットワーク伝送路101には、車載ネットワークの1つのノードとして機能し、情報の送受信を行う車載ネットワーク機器102が接続される。この車載ネットワーク機器102は、ディスプレイ機器、カーナビゲーション機器、オーディオ機器等の自動車内に搭載される車載の電子機器である。ここでは、特に車載マルチメディア機器を想定する。
【0033】
また、外部インターフェースとしてはHDMIを利用し、外部接続機器としてHDMIソース機器を接続してAVデータ等のデータを送受信する場合の構成例を説明する。
【0034】
車載ネットワーク機器102は、車載ネットワークインターフェース部103、制御処理部としての制御マイコン104、状態判定部105、外部インターフェース受信部としてのHDMI受信部106、内部電源107、プルアップ抵抗108、選択スイッチ109を備えている。車載ネットワーク機器102は、HDMI伝送ケーブル110を介して、HDMIソース機器114と接続されるようになっている。
【0035】
HDMI伝送ケーブル110は、差動伝送ライン111、DDC(Display Data Channel)/CEC(Consumer Electronics Control)グランドライン112、+5Vパワーライン113、ホットプラグディテクト(HPD:Hot Plug Detect)ライン117を有している。本実施の形態では、+5Vパワーライン113を第1の信号線として用い、DDC/CECグランドライン112を第2の信号線として用いる。HDMIソース機器114は、直流電圧発生回路115、HDMI送信部116を備えている。
【0036】
以下、動作について説明する。
車載ネットワーク機器102は、例えば車載モニター等のエンターテイメント機器等であり、例えばMOST等の車載ネットワーク伝送路101を介して、他のネットワーク機器と繋がっている。ここで通信を行うための装置が車載ネットワークインターフェース部103であり、制御マイコン104によってコントロールされている。ここでは、車載ネットワーク機器102がMOST機器の場合を想定する。
【0037】
MOST機器は前述のごとく電源投入時に接続を確認する必要がある。図1のように、通常のHDMI接続によって外部機器、例えばHDMIソース機器114等が接続されている場合、HDMI接続の機器認証は直流電圧発生回路115から出力される+5Vパワーライン113の直流電圧をHDMI受信部106が検知することによってのみ行われる。
【0038】
この直流電圧の検知後、HDMI受信部106からホットプラグディテクトライン117によって検知完了を通知することで、HDMI送信部116から接続確立を示す信号が出力される。しかしながら、この認証動作は非常に遅く、数秒程度の時間を要するのが一般的である。そこで本実施の形態では、通常GNDとして用いられるDDC/CECグランドライン112を検出に用いて、検出時間の高速化を図っている。
【0039】
図2は、HDMIのピン配列を示す図である。DDC/CECグランドライン112は、ピン番号17番にあたる。なおここで、ピン番号1番から12番は、図1で差動伝送ライン111として記載してあるTMDS(Transition Minimized Differential Signaling)ライン、18番が+5Vパワーライン113、19番がホットプラグディテクトライン117である。
【0040】
図3(a)は本発明の実施の形態における車載ネットワーク機器のHDMI伝送ケーブル110が未接続時の詳細説明図を示している。HDMI受信部106は、プルダウン抵抗301、HDMIマイコン302、HDMI LSI306を備えている。
【0041】
状態判定部105は、NAND回路303、インバータ回路304を備えている。その他の部位は図1と同様である。
【0042】
ここで、差動伝送ライン111は、HDMI LSI306と接続される。第1の信号線である+5Vパワーライン113は、プルダウン抵抗301の一端、HDMIマイコン302、インバータ回路304の入力端、及び選択スイッチ109の制御端子と接続される。
【0043】
プルダウン抵抗301の他端はグランド(GND)に接地されている。第2の信号線であるDDC/CECグランドライン112は、選択スイッチ109の共通端子(入力端)と接続される。選択スイッチ109の切替端子(2つの出力端)は、一方がグランド(GND)に接地され、他方が、プルアップ抵抗108を介して内部電源107と接続されると共に、NAND回路303の一方の入力端と接続される。
【0044】
NAND回路303の他方の入力端は、インバータ回路304の出力端と接続され、NAND回路303の出力端は、制御マイコン104と接続される。
【0045】
図3(a)ではHDMI伝送ケーブル110が未接続であるため、DDC/CECグランドライン112及び+5Vパワーライン113は、どちらの電位も負荷(HDMIソース機器)側ではオープンとなっている。
【0046】
このとき、+5Vパワーライン113は、HDMIマイコン302及びインバータ回路304に入力するためにプルダウン抵抗301を用いて、L電位(ローレベル)に保たれている。DDC/CECグランドライン112は、+5Vパワーライン113によって切替制御された選択スイッチ109を介して、内部電源107に接続されたプルアップ抵抗108に繋がれているため、H電位(ハイレベル)に保たれている。
【0047】
これら2つのラインの信号レベル(H/L電位)に基づき、外部接続機器であるHDMIソース機器の接続状態(接続の有無)及び動作状態(起動の有無)を示す信号レベル(H/L電位)を、NAND回路303及びインバータ回路304から成る状態判定部105を介して出力する。図3(a)の場合、状態判定部105より制御マイコン104にはL電位が出力される。
【0048】
図4はHDMI伝送ケーブル110を介してHDMIソース機器114が接続された状態を示している。ただしHDMIソース機器114は電源が未投入の状態であるとする。このとき、DDC/CECグランドライン112は、HDMIソース機器114によってGND電位に接続され、L電位となる。
【0049】
+5Vパワーライン113は、HDMIソース機器114の電源が未投入であることから、L電位から変化しない。この状態では、NAND回路303の一方の入力はH電位からL電位に変化し、状態判定部105の出力電位はH電位となる。
【0050】
この状態判定部105の出力信号レベルに基づき、制御マイコン104は、HDMIソース機器114が接続されていることを認識する事ができる。
【0051】
図5図4の状態からHDMIソース機器114の電源を投入した状態を示している。この時、+5Vパワーライン113はH電位となり、選択スイッチ109はGND電位に接続された他方の出力端に切り替えられる。これにより、DDC/CECグランドライン112はGND電位に固定され、本来のDDC及びCEC通信用のGNDラインとして使用可能になる。
【0052】
同時に、NAND回路303の一方の入力は内部電源107に接続されたプルアップ抵抗108によってH電位に遷移する。また、+5Vパワーライン113がH電位となることで、インバータ回路304への入力電位もL電位からH電位へ遷移し、NAND回路303の他方の入力がL電位に遷移する。このため、状態判定部105の出力はH電位を保持する。
【0053】
以上、図3から図5に示した車載ネットワーク機器の各部の動作状態についてまとめたものを図6に示す。図6では、HDMIソース機器114の状態として、接続なし、起動前(接続のみ)、起動後のそれぞれの状態に対する、各部の動作状態を示している。
【0054】
+5Vパワーライン113は、HDMIソース機器114が接続なしの場合はオープン、起動前の場合もオープン、起動後の場合はH電位となる。DDC/CECグランドライン112は、HDMIソース機器114が接続なしの場合はオープン、起動前はL電位、起動後もL電位となる。
【0055】
選択スイッチ109は、HDMIソース機器114が接続なしの場合はプルアップ抵抗108側、起動前もプルアップ抵抗108側、起動後はGND電位側となる。これらの状態により、状態判定部105の一方の入力(NAND回路303の一方の入力)は、HDMIソース機器114が接続なしの場合はH電位、起動前はL電位、起動後はH電位となる。
【0056】
また、状態判定部105の他方の入力(インバータ回路304の入力)は、HDMIソース機器114が接続なしの場合はL電位、起動前はL電位、起動後はH電位となる。したがって、状態判定部105の出力(制御マイコン104の入力)は、HDMIソース機器114が接続なしの場合はL電位、起動前はH電位、起動後はH電位となる。
【0057】
状態判定部105においては、インバータ回路304の入力がL電位の場合はHDMIソース機器114が未起動であり、H電位の場合はHDMIソース機器114が起動していることを判定できる。
【0058】
制御マイコン104は、状態判定部105の出力がH電位であることによって、HDMI伝送ケーブル110を介してHDMIソース機器114が接続されていることを認識することができる。
【0059】
この際、HDMIソース機器114の動作状態に関係なく、車載ネットワーク機器102の電源投入直後など、HDMIソース機器114の電源が未投入あるいは起動前であっても、HDMIソース機器114の接続有無を検知可能である。
【0060】
これによって、瞬時に外部機器の接続状態を認識し、MOST等の車載ネットワーク内での認証状態を反映する事が可能になる。
【0061】
なお、上記実施の形態の構成における状態判定部105の構成としては、図3(a)に示す様にNAND回路303とインバータ回路304を用いた例で説明したが、これ以外にも図3(b)に示すように、OR回路305とインバータ回路306の組み合わせを用いて状態判定部105を構成しても同様の効果が得られる。
【0062】
(変形例)
なお、上記実施の形態の構成において、DDC/CECグランドライン112の代わりに、ユーティリティライン701を使用することで同様な作用、効果を得る事ができる。ユーティリティライン701は、図2のHDMIのピン配列では14番ピンにあたる。
【0063】
図7は、本発明の実施の形態の変形例の構成を示すブロック図である。変形例の車載ネットワーク機器702は、状態判定部105の入力に+5Vパワーライン113とユーティリティライン701とを接続した構成となっている。
【0064】
このユーティリティライン701を用いた構成によれば、HDMIソース機器114の状態に応じてDDC/CECグランドライン112の状態を切り替える必要がないため、選択スイッチを設ける必要が無い。
【0065】
よって、装置構成をより簡単にできる。ただし、この構成では、ユーティリティライン701をHDMIソース機器114側でGND電位に固定することによって可能である。その他の構成は図1に示した実施の形態1と同様である。
【0066】
図2に示したHDMIのピン配列において、ユーティリティラインは、本来特定の機能が割りつけられており、一般のHDMI対応機器を接続する際には、本変形例の如くGND電位に接地する使い方ができないケースもある。しかしながら、車載機器等のように接続される機器が既知の場合には、接続検出のための構成が容易に実現可能である。
【0067】
本発明に係る実施形態の種々の態様として、以下のものが含まれる。
車載ネットワーク伝送路に接続され、車載ネットワークの構成要素であるノードとして情報の送受信を行う車載ネットワーク機器であって、前記車載ネットワークに対して情報の送受信を行う車載ネットワークインターフェース部と、前記車載ネットワークインターフェース部に接続され、情報の送受信を制御する制御処理部と、前記制御処理部に接続され、外部インターフェースを介して送信されるデータを受信し、前記制御処理部に受信状態を通知する外部インターフェース受信部と、前記外部インターフェースにおける第1の信号線及び第2の信号線のそれぞれの信号レベルに基づき、前記外部インターフェースを介して接続される外部接続機器の接続有無を判定し、前記制御処理部に通知する状態判定部とを有し、前記第1の信号線は、前記外部インターフェースにおける直流電圧伝送ラインであり、前記第2の信号線は、当該機器の内部電源にプルアップ抵抗を介して接続される車載ネットワーク機器。
上記構成により、外部インターフェースにおける第1の信号線及び第2の信号線のそれぞれの信号レベルに基づき、外部インターフェースを介して接続される外部接続機器の接続有無を判定可能である。この場合、制御処理部において、外部接続機器の動作状態(起動の有無)に関わらず、電源投入直後であっても、第1の信号線と第2の信号線のそれぞれの信号レベルの組合せによって、外部接続機器が接続されているかどうかを判定し、接続されている機器を認識できる。
【0068】
上記の車載ネットワーク機器であって、前記第2の信号線と前記プルアップ抵抗との間に、少なくとも1つの入力と2つの出力と1つの制御端子を有する選択スイッチを設け、
前記選択スイッチは、前記入力には前記第2の信号線が、一方の前記出力には前記プルアップ抵抗が、他方の前記出力にはグランドが接続され、前記制御端子には前記第1の信号線が接続されている、車載ネットワーク機器。
上記構成により、制御端子に入力される第1の信号線の信号レベルによって、外部接続機器の起動前と起動後とで選択スイッチの出力が切り替わるため、状態判定部において、外部接続機器の起動の有無を判定可能である。ここで、状態判定部の出力は、選択スイッチの切替状態に関係なく、外部接続機器の接続の有無によって決定されるため、制御処理部において、外部接続機器の起動の有無に関わらず、外部接続機器の接続状態(接続の有無)を認識できる。
【0069】
なお、本発明は、本発明の趣旨ならびに範囲を逸脱することなく、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が様々な変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0070】
車載ネットワーク機器を外部機器と接続する外部インターフェースとしては、HDMIだけでなく、DVI、USB等、直流電圧伝送ラインとグランドラインとを有するものであれば、適用可能である。また、車載ネットワークとしては、MOSTだけでなく、IDB−1394等、他の車載ネットワークにも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、車載ネットワークの起動時に、外部接続機器の起動状態に関わらず、外部接続機器の接続有無を認識する事が可能となる効果を有し、例えばMOST等の車載ネットワークに接続される車載ネットワーク機器等として有用である。特に、例えばHDMI等のAVネットワークを介して外部接続機器を使用する構成において有用である。
【符号の説明】
【0072】
101 車載ネットワーク伝送路
102、702 車載ネットワーク機器
103 車載ネットワークインターフェース部
104 制御マイコン
105 状態判定部
106 HDMI受信部
107 内部電源
108 プルアップ抵抗
109 選択スイッチ
110 HDMI伝送ケーブル
111 差動伝送ライン
112 DDC/CECグランドライン
113 +5Vパワーライン
114 HDMIソース機器
115 直流電圧発生回路
116 HDMI送信部
117 ホットプラグディテクトライン
701 ユーティリティライン
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10