(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光触媒方式の空気浄化装置が配置されるべき空気通路には、各種の開口面積を有するものがあり、エアーハンドリングユニットにおける空気通路の開口面積は大きく、このエアーハンドリングユニットにおける空気通路の開口面積にも、各種の大きさのものがある。開口面積が異なるこれらの空気通路ごとに、これらの開口面積と対応する大きさを有する光触媒方式の空気浄化装置を用意することは、空気浄化装置の製造、管理が面倒で煩雑になるため、開口面積が異なっている各種の空気通路に対して有効に対処できるようになる光触媒式空気浄化装置が求められる。
【0005】
本発明の目的は、開口面積が異なっている各種の空気通路に対して有効に対処できるようになる光触媒式空気浄化装置及び光触媒ユニットを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る光触媒式空気浄化装置は、空気が流通する空気通路に、空気が通過する光触媒フィルタと、この光触媒フィルタの光触媒を励起するための発光源とが配置された光触媒式空気浄化装置において、前記空気通路に、この空気通路における空気流通方向と直交する方向に複数個のユニットが並べられて配置され、これらのユニットのなかには、同じ構造で構成されている複数個の光触媒ユニットが含まれており、これらの光触媒ユニットは、これらの光触媒ユニットのケースに形成され、前記空気流通方向の上流側と下流側のうちの一方に向かって開口している第1開口部と、前記ケースの内部に配置されたそれぞれ少なくとも1個の前記光触媒フィルタ及び前記発光源と、前記第1開口部に対してそれぞれが直角をなして前記ケースに形成され、互いに対向している第2開口部及び第3開口部と、を有しているとともに、前記光触媒フィルタは、これらの第2開口部と第3開口部の間において、前記第1開口部と角度をなして前記空気が通過可能となって配置されており、前記空気通路における空気流通方向と直交する方向に並べられて配置されている全部の前記光触媒ユニットについて、互いに隣接している2個の前記光触媒ユニットのうち、一方の光触媒ユニットは前記第1開口部を前記空気流通方向の上流側に向けて配置され、他方の光触媒ユニットは前記第1開口部を前記空気流通方向の下流側に向けて配置されているとともに、前記一方の光触媒ユニットの前記第2開口部と前記第3開口部のうちの一方の開口部と、前記他方の光触媒ユニットの前記第2開口部と前記第3開口部のうちの他方の開口部とが対面していることを特徴とするものである。
【0007】
この光触媒式空気浄化装置における複数個のユニットのうち、同じ構造で構成されているそれぞれの光触媒ユニットは、この光触媒ユニットのケースに形成され、空気流通方向の上流側と下流側のうちの一方に向かって開口している第1開口部と、ケースの内部に配置されたそれぞれ少なくとも1個の光触媒フィルタ及び発光源と、第1開口部に対してそれぞれが直角をなしてケースに形成され、互いに対向している第2開口部及び第3開口部と、を有しており、光触媒フィルタは、これらの第2開口部と第3開口部の間において、第1開口部と角度をなして空気が通過可能となって配置されている。そして、同じ構造で構成されている複数個の光触媒ユニットを空気通路における空気流通方向と直交する方向に並べて配置するに際して、互いに隣接する2個の光触媒ユニットのうち、一方の光触媒ユニットを、第1開口部を空気流通方向の上流側に向けて配置し、他方の光触媒ユニットを、第1開口部を空気流通方向の下流側に向けて配置するとともに、上記2個の光触媒ユニットのうち、一方の光触媒ユニットの第2開口部と第3開口部のうちの一方の開口部と、他方の光触媒ユニットの第2開口部と第3開口部のうちの他方の開口部とを対面させる。これにより、上記2個の光触媒ユニットの第1開口部のうち、空気流通方向の上流側に向けている第1開口部から流入した空気は、第2及び第3開口部を通過した後に、空気流通方向の下流側に向けている第1開口部から流出することになる。
【0008】
このように空気流通方向の上流側に向けている第1開口部から流入した空気が、空気流通方向の下流側に向けている第1開口部から流出することにより、上記2個の光触媒ユニットの内部を通過しているときに、これらの光触媒ユニットの内部に配置されている光触媒フィルタを空気が通過することになり、これにより、発光源からの光が光触媒フィルタの光触媒にあたることによって生ずる酸化作用により、空気中に存在する細菌及び臭気成分や有害成分となっている有機化合物が分解されることになる。
【0009】
そして、本発明によると、空気通路に空気流通方向と直交する方向に複数個が並べられて配置されるユニットのなかには、同じ構造で構成されている複数個の光触媒ユニットが含まれているため、用いる光触媒ユニットの個数を選択することにより、開口面積が異なっている各種の空気通路に対して有効に対処できるようになる。しかも、これらの光触媒ユニットは同じ構造で構成されているため、これらの光触媒ユニットを容易に製造できる。
【0010】
なお、光触媒ユニットの第2開口部と第3開口部の間において第1開口部と角度をなして配置される光触媒フィルタの配置位置は、第2開口部や第3開口部が形成されている位置と一致させてもよく、第2開口部や第3開口部から光触媒ユニットの内側へずれた位置でもよい。
【0011】
また、光触媒フィルタが第1開口部となす角度は90度でもよく、これ以外の角度でもよい。
【0012】
また、同じ構造で構成されているそれぞれの光触媒ユニットの上記ケースの全体形状は、任意な形状でよく、その1つの例は、六面体の箱形状である。
【0013】
さらに、光触媒ユニットのケースに第1〜第3開口部を設ける位置も、任意な位置でよく、その一例は、六面体の箱形状で形成されているケースの1つの面に第1開口部を形成するとともに、第2開口部と第3開口部を、上記1つの面と直角をなして互いに対向している2つの面に形成することである。
【0014】
また、第1開口部を上記1つの面に設ける場合にも、第1開口部をこの1つの面の任意な部分に設けることができる。第1開口部を上記1つの面の任意な部分に設けることについての1つの例は、上記1つの面における第3開口部の側に片寄った部分に第1開口部を設けることである。この例の場合には、上記1つの面のうち、第1開口部を除く部分は、空気が通過不能となった閉塞部となり、少なくとも1個の前記光触媒フィルタは、この閉塞部と対応する位置において、ケースの内部に配置されることになる。
【0015】
光触媒ユニットがこのように構成される場合には、空気通路における空気流通方向と直交する方向に並べられて配置される全部のユニットを、同じ構造で構成されている光触媒ユニットとすることができる。
【0016】
また、空気通路における空気流通方向と直交する方向に並べられて配置される全部のユニットを、同じ構造で構成されている光触媒ユニットとする場合には、光触媒ユニットの個数は、空気通路の開口寸法に応じて、奇数としてもよく、偶数としてもよい。
【0017】
光触媒ユニットの個数が奇数である場合には、言い換えると、全部の光触媒ユニットのうち、空気通路における空気流通方向と直交する方向の両方の端部に配置される2個の光触媒ユニットの第1開口部が、互いに空気流通方向の同じ側に向く場合には、全部の光触媒ユニットのうち、空気通路における空気流通方向と直交する方向の一方の端部に配置されている1個の光触媒ユニットと、空気通路の通路内面との間に、空気が流通可能となった空気流通可能路が設けられ、この空気流通可能路に、上記両方の端部に配置されている2個の光触媒ユニットの第1開口部と対応する位置において、空気の流通を遮断するための空気流通遮断部材が配置される。
【0018】
これに対して光触媒ユニットの個数が偶数である場合には、言い換えると、全部の光触媒ユニットのうち、空気通路における空気流通方向と直交する方向の両方の端部に配置されている2個の光触媒ユニットの第1開口部が、互いに空気流通方向の反対側に向く場合には、全部の光触媒ユニットのうち、空気通路における空気流通方向と直交する方向の一方の端部に配置されている1個の光触媒ユニットと、空気通路の通路内面との間に、空気が流通可能となった空気流通可能路が設けられ、この空気流通可能路に、通路内面との間で空気流通可能路を形成している上記1個の光触媒ユニットの第1開口部と対応する位置において、空気の流通を遮断するための空気流通遮断部材が配置される。
【0019】
これらの場合によると、空気が空気通路の上流側から下流側へ光触媒ユニットの内部を通過して流れるときに、それぞれのルートで流れる空気が通過する光触媒フィルタの個数を同じにすることができる。また、空気流通遮断部材は、空気通路における空気流通方向と直交する方向に複数個が並べられて配置される光触媒ユニットの合計寸法と、空気通路の開口寸法との相違を調整するための部材としても利用することができる。
【0020】
また、光触媒ユニットの六面体の箱形状となっているケースの1つの面に第1開口部を設けることについての他の例は、第1開口部を、前記第2開口部と前記第3開口部との間の上記1つの面での中間部分において形成することである。この例の場合には、上記1つの面のうち、この第1開口部を除く部分が、空気が通過不能となった閉塞部となり、少なくとも1個の光触媒フィルタが、第2開口部及び第3開口部の側に片寄った部分に設けられているそれぞれの閉塞部と対応する位置ごとに、ケースの内部に配置される。
【0021】
光触媒ユニットがこのように構成される場合には、空気通路における空気流通方向と直交する方向に並べられて配置される全部の前記ユニットのうち、一部のユニットは、同じ構造で構成されている複数個の前記光触媒ユニットとなり、他のユニットは、2個の第1補助ユニットと、1個の第2補助ユニットとになる。
【0022】
これらの第1及び第2補助ユニットのケースの全体形状は、任意な形状でよく、その1つの例は、六面体の箱形状である。
【0023】
第1補助ユニットのケースの全体形状が六面体の箱形状とされる場合には、このケースには、それぞれが同じ構造で構成されている光触媒ユニットの第2開口部及び第3開口部と対応する2個の開口部が形成されるとともに、このケースの内部には、これらの開口部の間において、空気が通過可能となっている少なくとも1個の光触媒フィルタが配置される。また、第2補助ユニットのケースの全体形状が六面体の箱形状とされる場合には、このケースには、それぞれが同じ構造で構成されている光触媒ユニットの第1開口部と対応する1個の第1開口部と、これらの光触媒ユニットの第2開口部又は第3開口部と対応する1個の第2開口部とが形成される。
【0024】
以上のように、空気通路における空気流通方向と直交する方向に並べられて配置される全部の前記ユニットのうち、一部のユニットを、同じ構造で構成されている複数個の光触媒ユニットとし、他のユニットを、2個の第1補助ユニットと、1個の第2補助ユニットとにする場合にも、光触媒ユニットの個数は、空気通路の開口寸法に応じて、奇数としてもよく、偶数としてもよい。
【0025】
光触媒ユニットの個数が奇数である場合には、言い換えると、同じ構造で構成されている複数個の前記光触媒ユニットのうち、空気通路における空気流通方向と直交する方向の両方の端部に配置される2個の光触媒ユニットの第1開口部が、互いに前記空気流通方向の同じ側に向く場合には、上記両方の端部に配置される2個の光触媒ユニットの外側に、2個の第1補助ユニットが配置され、これらの第1補助ユニットは、これらの第1補助ユニットの前記2個の開口部のうち、一方の開口部が、上記両方の端部に配置されている2個の光触媒ユニットの第2開口部及び第3開口部と対面して配置され、2個の第1補助ユニットのうち、一方の第1補助ユニットの外側に1個の第2補助ユニットが配置され、この第2補助ユニットは、この第2補助ユニットの第1開口部が、空気通路における空気流通方向と直交する方向に複数個が並べられて配置されている光触媒ユニットのうち、第2補助ユニットに最も近い位置に配置されている光触媒ユニットの第1開口部とは空気流通方向の反対側に向いて配置され、2個の前記第1補助ユニットのうち、他方の第1補助ユニットと、空気通路の通路内面との間に、空気が流通可能となった空気流通可能路が設けられ、この空気流通可能路に、複数個の光触媒ユニットのうちの空気流通可能路に最も近い位置に配置されている光触媒ユニットの第1開口部と対応する位置において、空気の流通を遮断するための空気流通遮断部材が配置される。
【0026】
また、光触媒ユニットの個数が偶数である場合には、言い換えると、同じ構造で構成されている複数個の光触媒ユニットのうち、空気通路における空気流通方向と直交する方向の両方の端部に配置される2個の光触媒ユニットの第1開口部が、互いに空気流通方向の反対側に向く場合には、上記両方の端部に配置されている2個の光触媒ユニットの外側に、2個の第1補助ユニットが配置され、これらの第1補助ユニットは、これらの第1補助ユニットの2個の開口部のうち、一方の開口部が、上記両方の端部に配置されている2個の光触媒ユニットの第2開口部及び第3開口部と対面して配置され、2個の第1補助ユニットのうち、一方の第1補助ユニットの外側に1個の第2補助ユニットが配置され、この第2補助ユニットは、この第2補助ユニットの第1開口部が、空気通路における空気流通方向と直交する方向に複数個が並べられて配置されている光触媒ユニットのうち、第2補助ユニットに最も近い位置に配置されている光触媒ユニットの第1開口部とは空気流通方向の反対側に向いて配置され、2個の前記第1補助ユニットのうち、他方の前記第1補助ユニットと、空気通路の通路内面との間に、空気が流通可能となった空気流通可能路が設けられ、この空気流通可能路に、複数個の光触媒ユニットのうちの空気流通可能路に最も近い位置に配置されている光触媒ユニットの第1開口部と対応する位置において、空気の流通を遮断するための空気流通遮断部材が配置される。
【0027】
これらの場合における空気流通遮断部材も、空気通路における空気流通方向と直交する方向に複数個が並べられて配置される光触媒ユニットの合計寸法と、空気通路の開口寸法との相違を調整するための部材としても利用することができる。
【0028】
また、これらの場合において、光触媒ユニットのケースの内部に、それぞれの前記閉塞部と対応する位置ごとに配置される光触媒フィルタの個数と、第1補助ユニットのケースの内部に、この第1補助ユニットの前記2個の開口部の間において配置される光触媒フィルタの個数とを同じにすることが好ましい。
【0029】
これによると、それぞれのルートで空気が流れるときに、それぞれのルートの空気が通過する光触媒フィルタの個数を同じにすることができる。
【0030】
本発明において、空気通路における空気流通方向と直交する方向に複数個の前記ユニットが並べられて配置されている方向は、空気通路における空気流通方向と直交する方向であれば、1つの方向でもよく、あるいは、互いに直交する2つの方向でもよい。
【0031】
また、空気通路における空気流通方向と直交する方向に複数個が並べられて配置されているユニットは、空気通路に単に結合して配置してよく、あるいは、空気通路に保持枠体を配置し、複数個のユニットを、この保持枠体に保持させて空気通路に配置してもよい。
【0032】
後者によると、保持枠体の保持力により、それぞれのユニットの並び状態を確実に維持してこれらのユニットを空気通路に配置することができる。
【0033】
さらに、複数個のユニットが並べられて配置されている方向が、空気通路における空気流通方向と直交し、かつ互いに直交している2つの方向になっていて、これらのユニットが、空気通路に配置された保持枠体に保持されて空気通路に配置される場合には、上記2つの方向のうち、少なくとも1つの方向において、複数個の前記ユニットを仕切って配置するための仕切り部を保持枠体に設けてもよい。
【0034】
本発明に係る光触媒ユニットは、空気が流通する空気通路に、空気が通過する光触媒フィルタと、この光触媒フィルタの光触媒を励起するための発光源とを配置するために、ケースの内部に前記光触媒フィルタと前記発光源とが配置された複数個のユニットのうちの1個として、前記空気通路に配置される光触媒ユニットとなっており、この光触媒ユニットは、前記ケースに形成され、前記空気流通方向の上流側と下流側のうちの一方に向かって開口する第1開口部と、前記ケースの内部に配置されたそれぞれ少なくとも1個の前記光触媒フィルタ及び前記発光源と、前記第1開口部に対してそれぞれが直角をなして前記ケースに形成され、互いに対向している第2開口部及び3開口部と、を有しており、前記光触媒フィルタは、前記第2開口部と前記第3開口部の間において、前記第1開口部と角度をなして前記空気が通過可能となって配置されている。
【0035】
この光触媒ユニットを空気通路における空気流通方向と直交する方向に複数個並べて配置し、用いる光触媒ユニットの個数を選択することにより、開口面積が異なっている各種の空気通路に対して有効に対処できるようになる。
【0036】
本発明に係る光触媒式空気浄化装置は、以上説明したユニット等だけによって構成されたものでもよく、あるいは、ユニット等に、他の機能を有する手段、例えば、除塵手段や温度調整手段を付加することによって構成されたものでもよい。
【0037】
さらに、本発明に係る光触媒式空気浄化装置及び光触媒ユニットは、任意な空気通路に適用することができ、本発明に係る光触媒式空気浄化装置が適用される一般的な空気通路は、空調装置の空気通路であり、この空調装置には、エアーハンドリングユニットが含まれる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によると、開口面積が異なっている各種の空気通路に対して有効に対処できるという効果を得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。本実施形態に係る光触媒式空気浄化装置は、建物内のそれぞれの空間の空気を集中して管理する中央ダクト方式の空調装置となっているエアーハンドリングユニットに適用されている。
【0042】
図1は、このエアーハンドリングユニット1の全体を示す側面図である。エアーハンドリングユニット1には、建物内のそれぞれの空間から戻ってくるリターン空気2と、建物の外部の新鮮空気3とが合流するミキシングチャンバ4と、第1除塵手段5、光触媒式浄化手段6及び第2除塵手段7が配置されたフィルタセクション8と、空気温度及び空気湿度を調整するための冷温水コイル9が配置されたコイルセクション10と、建物内のそれぞれの空間へダクトを介して空気11を送り出すためのファン12が配置されたファンセクション13と、が空気流通方向の上流側から下流側へ順次設けられている。
【0043】
図2は、
図1のS2−S2線断面図であって、本実施形態に係る光触媒式空気浄化装置となっている光触媒式浄化手段6の部分におけるエアーハンドリングユニット1の断面図を示している。この
図2に示されているように、光触媒式浄化手段6は、フィルタセクション8における空気通路14に複数個の光触媒ユニット20を上下方向と左右方向に並設して配置することにより、構成されている。これらの上下方向と左右方向は、
図2のS6−S6線断面図である
図6に示されているように、空気通路14における空気流通方向Aと直交し、かつ互いに直交している2つの方向になっている。なお、
図6は、
図1に示されている第1及び第2除塵手段5,7が省略された図となっている。
【0044】
図2に示されているように、光触媒式浄化手段6を構成している複数個の光触媒ユニット20は、保持枠体50で保持されて空気通路14に配置されている。この保持枠体50は、
図3に示すとおり、空気流通方向Aにおける上流側の枠部材51と、下流側の枠部材52と、これらの枠部材51,52を連結する連結部材53とを含んで構成され、この連結部材53は、空気流通方向Aの正面視でそれぞれ四角形となっている枠部材51,52のそれぞれの角部に設けられている。また、枠部材51,52の上辺部と下辺部との間には、四角枠状の仕切り部材54が架設され、左右方向に2個設けられている仕切り部材54によって形成されている仕切り部により、保持枠体50の内部には、左右方向に等間隔で仕切られた3個の収納空間部Sが設けられている。
【0045】
図2で示されている全部の光触媒ユニット20の大きさ、形状及び構造は同じになっている。
図4には、これらの光触媒ユニット20のうち、1個の光触媒ユニット20の縦断面図が示されている。この
図4と、光触媒ユニット20の斜視図が示されている
図5とに基づいて、以下に光触媒ユニット20の構造を説明する。
【0046】
光触媒ユニット20のケース21は、六面体の箱形状に形成されており、このケース21は、例えば、板金の折り曲げで形成されている。ケース21は、空気通路14における空気流通方向Aの上流側と下流側のうち、一方に向いている第1閉塞部31及び第1開口部41が設けられている第1面a1と、空気通路14における空気流通方向Aの上流側と下流側のうち、他方に向いている第2閉塞部32が設けられている第2面a2と、これらの第1面a1及び第2面a2と直角をなし、左右方向に向いていて、互いに対向している2つの第3閉塞部33が設けられている第3面a3及び第4面a4と、ケース21の上下面、言い換えると、第1〜第4面a1〜a4に対してそれぞれが直角をなしていて、第2及び第3開口部42,43が設けられている第5面a5及び第6面a6とからなる。本実施形態では、第2面a2の全体が第2閉塞部32となっており、第3面a3及び第4面a4の全体が第3閉塞部33となっており、第5面a5及び第6面a6の全体が第2開口部42及び第3開口部43となっている。それぞれの閉塞部31〜33は、空気が通過不能となっている部分である。
【0047】
図5に示されているように、第2閉塞部32の上下寸法と第3閉塞部33の上下寸法は同じであるが、第1閉塞部31の上下寸法は第2及び3閉塞部32,33の上下寸法よりも短くなっており、これにより、第1閉塞部31の下部は、第1開口部41となっている。言い換えると、第1面a1における第3開口部43の側に片寄った部分において、第1開口部41が形成され、この第1開口部41は、第3開口部43と接続された状態で形成されている。
【0048】
光触媒ユニット20の内部には、空気が通過可能となっている光触媒フィルタ22と、この光触媒フィルタ22が担持している光触媒を励起するための発光源23とが収納配置されており、光触媒フィルタ22は、厚さを有するパネル状となっている多孔質のセラミック製フィルタに酸化チタンによる光触媒を担持させたものであり、また、発光源23は紫外線ランプである。
【0049】
光触媒フィルタ22は、
図4に示されているように、第2開口部42と第3開口部43との間において、それぞれが第1開口部41と角度をなして2個22A,22B配置されている。本実施形態では、これらの光触媒フィルタ22A,22Bのうち、上側の光触媒フィルタ22Aは、第2開口部42と同じ位置に配置されている。また、2個の光触媒フィルタ22A,22Bは互いに平行となっているとともに、これらの光触媒フィルタ22A,22Bと第1開口部41とがなす角度は、90度になっている。
【0050】
さらに、本実施形態に係る光触媒ユニット20では、2個の光触媒フィルタ22A,22Bは第1開口部41の上部に配置されているため、これらの光触媒フィルタ22A,22Bは、第1閉塞部31と対応する位置において、ケース21の内部に配置されている。
【0051】
発光源23は、2つの第3閉塞部33の間に架設されているとともに、この発光源23は、
図4に示されているように、2個の光触媒フィルタ22A,22Bのうち、下側の光触媒フィルタ22Bの上下に配置されているとともに、空気通路14における空気流通方向Aに複数個並設されている。また、これらの発光源23は、光触媒フィルタ22Bの上下において、空気流通方向Aにジグザグに配置されている。
【0052】
以上のように構成されている光触媒ユニット20は、
図3で示した保持枠体50の収納空間部Sに、上下方向に積み重ねられて、言い換えると、空気通路14における空気流通方向Aと直交する2つの方向のうち、1つの方向となっている上下方向に並べられて収納配置され、この収納配置は、保持枠体50の収納空間部Sごとに行われる。本実施形態では、上下方向に並べられる光触媒ユニット20の個数は、奇数の7個となっている。
また、本実施形態の収納空間部Sの個数は3個となっているため、光触媒ユニット20は、空気通路14における空気流通方向Aと直交する2つの方向のうち、もう1つの方向となっている左右方向には3個並べられることになる。
【0053】
7個の光触媒ユニット20を上下方向に並べて収納空間部Sに収納配置する際に、1個おきごとに、空気通路14における空気流通方向Aに対する光触媒ユニット20の向きを同じとする。すなわち、
図2、図5及び図6から分かるように、それぞれの光触媒ユニット20は、交互に第1開口部41の向きを逆にして空気通路14に配置される。これにより、空気通路14における空気流通方向Aと直交する上下方向に並べられて配置される合計7個の全部の光触媒ユニット20について、互いに隣接している2個の光触媒ユニット20のうち、一方の光触媒ユニット20は、第1開口部41を空気流通方向Aの上流側に向けて配置され、他方の光触媒ユニット20は、第1開口部41を空気流通方向Aの下流側に向けて配置されることになる。
【0054】
また、このようにそれぞれの光触媒ユニット20を上下方向に並べて収納空間部Sに収納配置すると、上下方向に互いに隣接している2個の光触媒ユニット20のうち、一方の光触媒ユニット20の第2開口部42と第3開口部43のうちの一方の開口部と、他方の光触媒ユニット20の第2開口部42と第3開口部43のうちの他方の開口部とが、上下方向に対面することになる。また、それぞれの光触媒ユニット20の第3閉塞部33は、左右方向に向くことになる。
【0055】
本実施形態では、
図2及び
図6に示されているように、上下に段積み状態となって並べられている7個の光触媒ユニット20A〜20Gのうち、下から2段目と4段目と6段目の光触媒ユニット20B,20D,20Fは、第1開口部41を空気流通方向Aの上流側に向けて配置され、下から1段目(最下段)と3段目と5段目と7段目(最上段)の光触媒ユニット20A,20C,20E,20Gは、第1開口部41を空気流通方向Aの下流側に向けて配置されている。
【0056】
このことから分かるように、上下に段積み状態となって並べられる光触媒ユニット20の個数が、例えば、7個のように奇数となっている場合には、最下段と最上段の2個の光触媒ユニット20A,20Gの第1開口部41は、空気流通方向Aの同じ側に向くことになる。
【0057】
それぞれの光触媒ユニット20の間には、
図5に示されているシール部材24が介在される。弾性材料からなるこのシール部材24は、それぞれの光触媒ユニット20のケース21における前述した第2閉塞部32の下面と、2つの第3閉塞部33の下面とに対応する3個の辺部24A,24B,24Cからなる平面視でコ字形状となっている。これらのシール部材24により、それぞれの光触媒ユニット20を上下に段積みしたときに、上下に隣接している2個の光触媒ユニット20の第2開口部42と第3開口部43との間の通気性が確保されながら、これらの光触媒ユニット20のケース21同士の間の気密性が確保されるようになっている。
【0058】
本実施形態では、このようなシール部材24は、
図2及び
図6に示されているように、下から1段目の光触媒ユニット20Aの下面と、下から7段目の光触媒ユニット20Gの上面にも設けられ、これにより、保持枠体50と、光触媒ユニット20A,20Gとの間の気密性も確保されるようになっている。
【0059】
上下に段積みされる光触媒ユニット20は、それぞれの間にシール部材24が配置されながら保持枠体50の収納空間部Sに収納配置され、この後に、これらの光触媒ユニット20は、光触媒ユニット20のケース21の左右の第3閉塞部33が保持枠体50や前述の仕切り部材54にビス等の止着具で止着されることにより、保持枠体50に取り付けられ、光触媒ユニット20についてのこの取り付けは、保持枠体50のそれぞれの収納空間部Sごとに行われる。
【0060】
このよう
にしてそれぞれの光触媒ユニット20を保持した保持枠体50は、
図2及び
図6で示す空気通路14に搬入される。この搬入作業は、
図1のエアーハンドリングユニット1が既存のものである場合には、例えば、内部に空気通路14が形成されているエアーハンドリングユニット1の一部を一時的に切断することにより行われる。
【0061】
次いで、保持枠体50は、
図2及び
図6で示す空気通路14の通路下部内面14Aにボルト等の結合具又は溶接又は結合金具等により結合される。また、それぞれの光触媒ユニット20の発光源23に電気を供給するための配線作業も行われる。
【0062】
図6に示されているように、保持枠体50が配置される位置での空気通路14の上下寸法は、保持枠体50に収納配置されたときの7個の光触媒ユニット20の分と保持枠体50の分との合計の上下寸法よりも大きくなっている。このため、空気通路14の通路上部内面14Bとの間には、空気が流通可能となった空気流通可能路30が設けられることになり、この空気流通可能路30には、空気の流通を遮断するための空気流通遮断部材25が配置される。空気流通方向Aの長さを有している空気流通可能路30において、この空気流通遮断部材25が配置される位置は、最下段と最上段の2個の光触媒ユニット20A,20Gの第1開口部41と対応する位置である。
【0063】
空気流通遮断部材25は、保持枠体50の上面と通路上部内面14Bとに、ボルト等の結合具又は溶接又は結合金具等により結合される。
【0064】
また、
図2に示されているように、空気通路14の左右寸法が保持枠体50の左右寸法より大きい場合には、保持枠体50と、空気通路14の通路左右内面14Cとの間に空気流通遮断部材26を配置する。なお、空気流通遮断部材26は保持枠体50の左右両側に設けてもよいが、保持枠体50を空気通路14の左右どちらかの側に寄せて配置することにより、空気流通遮断部材26の個数を1個としてもよい。
【0065】
以上において、保持枠体50の大きさは、空気通路14に配置できる光触媒ユニット20の最大個数に適合する大きさに設定され、そして、上述の空気流通遮断部材25,26が、保持枠体50と、通路内面14B,14Cとの間に配置される。このため、これらの空気流通遮断部材25,26は、空気通路14の開口寸法と保持枠体50の寸法との違いを調整するための調整部材としても利用され、また、空気流通遮断部材25,26により、保持枠体50を空気通路14の通路内面14B,14Cに結合することもできる。
【0066】
なお、このような空気流通遮断部材25,26のうち、空気流通遮断部材25は、上述したように、空気流通方向Aの長さを有している空気流通可能路30において、最下段と最上段の2個の光触媒ユニット20A,20Gの第1開口部41と対応する位置に配置されるが、空気流通遮断部材26は、空気流通方向Aの長さを有している保持枠体50のうちの任意な部分に配置してよい。
【0067】
次に、空気通路14に空気が流通したときにおける光触媒ユニット20での空気の流れについて、
図6に基づいて説明する。
【0068】
下から1段目と2段目の光触媒ユニット20A,20Bについては、下から2段目の光触媒ユニット20Bの第1開口部41が、空気通路14における空気流通方向Aの上流側に向かって開口しているため、この空気はこの第1開口部41から光触媒ユニット20Bの内部に流入し、この後、光触媒ユニット20Bの第3開口部43から、光触媒ユニット20Aの第2開口部42を経てこの光触媒ユニット20Aの内部に入り、次いで、空気は、光触媒ユニット20Aにおける空気流通方向Aの下流側に向かって開口している第1開口部41から流出する。このように空気が下から1段目と2段目の光触媒ユニット20A,20Bの内部を通るときに、この空気は光触媒ユニット20Aの内部に配置されている2個の光触媒フィルタ22A,22Bを通過するため、除菌や消臭等の空気浄化が行われる。
【0069】
また、下から2段目と3段目の光触媒ユニット20B,20Cについては、下から2段目の光触媒ユニット20Bの第1開口部41が、空気通路14における空気流通方向Aの上流側に向かって開口しているため、この第1開口部41から光触媒ユニット20Bの内部に流入した空気は、光触媒ユニット20Bの第2開口部42から、光触媒ユニット20Cの第3開口部43を経てこの光触媒ユニット20Cの内部に入り、次いで、空気は、光触媒ユニット20Cにおける空気流通方向Aの下流側に向かって開口している第1開口部41から流出する。このように空気が下から2段目と3段目の光触媒ユニット20B,20Cの内部を通るときに、この空気は光触媒ユニット20Bの内部に配置されている2個の光触媒フィルタ22A,22Bを通過するため、除菌や消臭等の空気浄化が行われる。
【0070】
下から3段目と4段目、下から4段目と5段目、及び下から5段目と6段目の光触媒ユニット20D〜20Fについても、以上と同様にして空気は流れる。
【0071】
そして、第1開口部41が空気流通方向Aの下流側に向かって開口している下から3段目と5段目の光触媒ユニット20C,20Eについては、これらの光触媒ユニット20C,20Eの上下に配置され、第1開口部41が空気流通方向Aの上流側に向かって開口している2個の光触媒ユニット20Bと20D及び20Dと20Fから空気が流入し、これらの空気は、光触媒ユニット20C,20Eの内部で合流した後に、これらの光触媒ユニット20C,20Eの第1開口部41から下流側へ流出する。
【0072】
また、最上段の光触媒ユニット20Gについては、この光触媒ユニット20Gの上部に前述した空気流通可能路30が設けられており、空気流通遮断部材25は、空気流通可能路30において、最下段と最上段の2個の光触媒ユニット20A,20Gの第1開口部41と対応する位置に配置されているため、空気通路14の上流側から空気流通可能路30に流入した空気は、光触媒ユニット20Gの第3開口部43からこの光触媒ユニット20Gの内部に入り、次いで、この空気は、光触媒ユニット20Gにおける空気流通方向Aの下流側に向かって開口している第1開口部41から下流側へ流出するとともに、この空気は、光触媒ユニット20Fの第1開口部41からこの光触媒ユニット20の内部に入った空気と合流した後に、光触媒ユニット20Gの第1開口部41から下流側へ流出する。
【0073】
そして、空気通路14の上流側から空気流通可能路30に流入した空気も、光触媒ユニット20Gの内部に配置されている2個の光触媒フィルタ22A,22Bを通過するため、除菌や消臭等の空気浄化が行われる。
【0074】
以上説明した本実施形態によると、光触媒ユニット20を空気通路14における空気流通方向Aと直交する方向に複数個並べて配置することにより、
図1で示した光触媒式浄化手段6が構成されているため、用いる光触媒ユニット20の個数を空気通路14の開口面積に対応させることができるとともに、開口面積が異なっている各種の空気通路14に対しては、光触媒ユニット20の個数を選択することにより、有効に対処できるようになる。また、それぞれの光触媒ユニット20の構造は同じになっているため、これらの光触媒ユニット20を容易に製造することができる。
【0075】
また、全部の光触媒ユニット20の大きさ、形状及び構造は同じであるため、開口面積が大きい空気通路14についても光触媒式浄化手段6の全体の構造を簡単化することができる。
【0076】
また、それぞれの光触媒ユニット20の内部に配置されている光触媒フィルタ22の個数は2個22A,22Bとなっているとともに、これらの光触媒フィルタ22A,22Bは、光触媒ユニット20の内部での空気の流れ方向に並べられて配置され、空気はこれらの光触媒フィルタ22A,22Bを通過するため、光触媒ユニット20による光触媒式浄化機能を向上させることができる。
【0077】
また、それぞれの光触媒ユニット20は、保持枠体50で保持されて空気通路14に配置されているため、この保持枠体50の保持力により、それぞれの光触媒ユニット20の並び状態を確実に維持することができる。
【0078】
また、それぞれの光触媒ユニット20には、空気通路14における空気流通方向Aと7個の光触媒ユニット20A〜20Gの並び方向との両方に直交する第3閉塞部33が設けられているとともに、保持枠体50には、これらの第3閉塞部33と対面する仕切り部材54が設けられているため、この仕切り部材54で仕切られて保持枠体50の内部に形成されているそれぞれの収納空間部Sごとに、光触媒ユニット20A〜20Gを収納配置することができる。
【0079】
さらに、空気通路14の上流側から下流側へ流れる空気が、光触媒ユニット20B,20D,20Fの第1開口部41と空気流通可能路30ごとのそれぞれのルートに分かれても、これらのルートの空気は、光触媒ユニット20A〜20Gに設けられている合計14個の光触媒フィルタ22のうち、2個の光触媒フィルタ22を必ず通過することになる。したがって、この実施形態によると、発光源23からの光が光触媒フィルタ22の光触媒にあたることによって生ずる酸化作用による除菌、脱臭等の空気浄化は、空気通路14の上流側から下流側へ流れる空気全体について均一に行われることになる。
【0080】
また、空気通路14の上流側から下流側へ流れる空気がそれぞれの光触媒ユニット20を通過する際に、空気が流れる方向は直角に転換されるため、空気流通速度は低下することになる。このため、この空気流通速度の低下により、上述の酸化作用による除菌、脱臭等の空気浄化の効果を高めることができる。
【0081】
図2の実施形態では、それぞれの光触媒ユニット20が、上下方向と左右方向のうち、左右方向の寸法が長くなる横置き型の姿勢として空気通路14に配置されていたが、
図7は、それぞれの光触媒ユニット20が、上下方向の寸法が長くなる縦置き型の姿勢として空気通路114に配置された実施形態を示している。それぞれの光触媒ユニット20を、
図2と
図7のうちのどちらの姿勢にして空気通路14,114に配置するかは、これらの空気通路14,114の開口形状に応じて任意に決めることができる。
【0082】
なお、
図7の実施形態の場合における保持枠体150の仕切り部材154は、保持枠体150の内部を上下方向に等間隔で仕切るためのものとなっている。
【0083】
図8は、空気通路214の上下寸法が、
図6の空気通路14の上下寸法よりも小さいため、保持枠体250に収納保持させて、上下に段積み状態となって空気通路214に配置される光触媒ユニット20の個数を6個とした場合を示している。この場合には、最下段と最上段の2個の光触媒ユニット20A,20Fの第1開口部41は、互いに空気流通方向Aの反対側に向くことになる。
【0084】
このことから分かるように、上下に段積み状態となって並べられる光触媒ユニット20の個数が、例えば、6個のように偶数となる場合には、最下段と最上段の2個の光触媒ユニット20A,20Fの第1開口部41は、互いに空気流通方向Aの反対側に向くことになる。
【0085】
また、
図8の場合にも、保持枠体250が配置される位置での空気通路14の上下寸法は、保持枠体250に収納配置されたときの6個の光触媒ユニット20の分と保持枠体250の分との合計の上下寸法よりも大きくなっている。このため、空気通路214の通路上部内面214Bとの間には、空気が流通可能となった空気流通可能路230が設けられ、この空気流通可能路230には、空気の流通を遮断するための空気流通遮断部材225が配置される。空気流通方向Aの長さを有している空気流通可能路230において、この空気流通遮断部材225が配置される位置は、最上段の光触媒ユニット20Fの第1開口部41と対応する位置である。
【0086】
図8の場合には、最上段の光触媒ユニット20Fの第1開口部41から流入した空気の一部は、この光触媒ユニット20Fの第2開口部42を経て空気流通可能路230に達し、この後に、空気流通可能路230から下流側へ流出する。
【0087】
この場合でも、空気通路214の上流側から下流側へ流れる空気が、光触媒ユニット20B,20D,20Fの第1開口部41ごとのそれぞれのルートに分かれても、これらのルートの空気は、光触媒ユニット20A〜20Fに設けられている合計12個のフィルタ22のうち、2個のフィルタ22を必ず通過することになる。したがって、
図6の場合と同様に、発光源23からの光が光触媒フィルタ22の光触媒にあたることによって生ずる酸化作用による除菌、脱臭等の空気浄化を、空気通路214の上流側から下流側へ流れる空気全体について均一に行うことができる。
【0088】
図9は、以上説明した光触媒ユニット20とは異なる構造となっている光触媒ユニット120と、この光触媒ユニット120が複数個用いられる実施形態で使用される第1補助ユニット160及び第2補助ユニット170とを示している。これらのユニット120,160,170のケース121,161,171は、光触媒ユニット20のケース21と同様に、六面体の箱形状に形成されている。
【0089】
光触媒ユニット120のケース121の6つの面のうち、空気通路314における空気流通方向Aの上流側と下流側のうち、一方に向いている1つの面には、2つの第1閉塞部131A,131Bと第1開口部141とが設けられ、空気通路314における空気流通方向Aの上流側と下流側のうち、他方に向いている面には、第2閉塞部132が設けられ、これらの面と直角をなし、左右方向に向いていて互いに対向している2つの面には、第3閉塞部133が設けられ、ケース121の上下の2つの面には、第2及び第3開口部142,143が設けられている。
【0090】
光触媒ユニット120の内部には、空気が通過可能となっている光触媒フィルタ22と、この光触媒フィルタ22が担持している光触媒を励起するための発光源23とが収納配置されており、光触媒フィルタ22は、第2開口部142と第3開口部143との間において、それぞれが第1開口部41と角度をなして2個22C,22D配置されている。本実施形態では、これらの光触媒フィルタ22C,22Dのうち、上側の光触媒フィルタ22Cは、第2開口部142と同じ位置に配置され、下側の光触媒フィルタ22Dは、第3開口部143と同じ位置に配置されている。また、2個の光触媒フィルタ22C,22Dは互いに平行となっているとともに、これらの光触媒フィルタ22C,22Dと第1開口部141とがなす角度は、90度になっている。
【0091】
さらに、光触媒ユニット120では、第1開口部141が、第2開口部142と第3開口部143との間の上記1つの面での中間部分において形成され、言い換えると、第1開口部141は、上記1つの面において、2つの第1閉塞部131Aと131Bとの間の中間部分において形成されている。このため、光触媒フィルタ22C,22Dは、第1開口部141が設けられている上記1つの面のうち、第2開口部142及び第3開口部143の側に片寄った部分に設けられているそれぞれの第1閉塞部131A,131Bと対応する位置において、ケース121の内部に配置されていることになる。
【0092】
第1補助ユニット160のケース161には、光触媒ユニット120の第2開口部142及び第3開口部143と対応する2個の開口部162,163が形成されているとともに、このケース161の内部には、これらの開口部162,163の間において、空気が通過可能となっている1個の光触媒フィルタ22Eと、複数個の発光源23とが収納配置されており、光触媒フィルタ22Eは、2個の開口部162,163のうち、上側の開口部162と同じ位置に配置されている。また、開口部162,163以外のケース161の部分は、閉塞部となっている。
【0093】
第2補助ユニット170のケース171には、光触媒ユニット120の第1開口部141と対応する1個の第1開口部172、言い換えると、光触媒ユニット120の第1開口部141と同様に、空気通路214における空気流通方向Aの上流側と下流側のうち、一方に向かって開口している1個の第1開口部172と、光触媒ユニット120の第2開口部142又は第3開口部143と対応する1個の第2開口部173とが形成されている。また、これらの開口部172,173以外のケース171の部分は、閉塞部となっている。
【0094】
図10は、同じ構造で構成されている複数個の光触媒ユニット120と、2個の第1補助ユニット160と、1個の第2補助ユニット170とを保持枠体350に収納保持させて、空気通路314に配置した場合を示している。
図10で上下に段積み状態となって並べられている光触媒ユニット120の個数は、奇数である5個120A〜120Eとなっている。また、この実施形態でも、
図6及び
図8と同様に、5個の光触媒ユニット120を上下方向に並べて保持枠体350に収納保持させる際に、1個おきごとに、空気通路314における空気流通方向Aに対する光触媒ユニット120の向きを同じとし、互いに隣接している2個の光触媒ユニット120では、第1開口部141の向きを逆としている。
【0095】
このため、5個の光触媒ユニット120A〜120Eのうち、最下段と最上段の光触媒ユニット120A,120Eの第1開口部141は、互いに空気通路314における空気流通方向Aの同じ側に向くことになる。
図10では、この向きは、空気流通方向Aの上流側となっている。
【0096】
5個の光触媒ユニット120A〜120Eのうち、最下段と最上段の光触媒ユニット120A,120Eの外側に、言い換えると、最下段の光触媒ユニット120Aの下側と最上段の光触媒ユニット120Eの上側に、2個の第1補助ユニット160が配置され、これらの第1補助ユニット160は、これらの第1補助ユニット160の
図9で示した2個の開口部162,163のうち、一方の開口部が、最下段と最上段の光触媒ユニット120A,120Eの第2開口部142及び第3開口部143と対面して配置される。本実施形態では、2個の第1補助ユニット160のうち、下側の第1補助ユニット160Aの開口部162が最下段の光触媒ユニット120Aの第3開口部143と対面し、上側の第1補助ユニット160Bは、下側の第1補助ユニット160Aに対して上下逆とされることにより、上側の第1補助ユニット160Bの開口部162が最上段の光触媒ユニット120Eの第2開口部142と対面している。
【0097】
また、下側の第1補助ユニット160Aの外側に、言い換えると、下側の第1補助ユニット160Aのさらに下側に、第2補助ユニット170が配置され、この第2補助ユニット170は、第2補助ユニット170の
図9で示されている第1開口部172が、5個の光触媒ユニット120A〜120Eのうち、第2補助ユニット170に最も近い位置に配置されている最下段の光触媒ユニット120Aの第1開口部141とは空気流通方向Aの反対側に向いて配置される。
【0098】
上側の第1補助ユニット160Bと、空気通路314の通路上部内面314Bとの間に、空気が流通可能となった空気流通可能路330が設けられ、この空気流通可能路330に、5個の光触媒ユニット120A〜120Eのうち、空気流通可能路330に最も近い位置に配置されている最上段の光触媒ユニット120Eの第1開口部141と対応する位置において、空気の流通を遮断するための空気流通遮断部材325が配置される。
【0099】
この実施形態においては、光触媒ユニット120A,120C,120Eの第1開口部141からこれらの光触媒ユニット120A,120C,120Eに流入する空気は、それぞれの光触媒ユニット120A〜120Eの内部と、第1補助ユニット160の内部と、第2補助ユニット170の内部とを通過して、空気流通方向Aの下流側に流出する。そして、それぞれのルートで流れる空気は、必ず2個の光触媒フィルタ22を通過することになる。
【0100】
図11は、2個の第1補助ユニット160及び1個の第2補助ユニット170と共に保持枠体450に収納保持されて空気通路414に上下に段積み状態で配置される光触媒ユニット120の個数が、偶数である6個120A〜120Fとなっている場合を示している。
【0101】
この場合には、6個の光触媒ユニット120A〜120Fのうち、最下段と最上段の光触媒ユニット120A,120Fの第1開口部141は、互いに空気通路414における空気流通方向Aの反対側に向くことになる。
【0102】
そして、
図10の場合と同様に、6個の光触媒ユニット120A〜120Fのうち、最下段の光触媒ユニット120Aの下側と最上段の光触媒ユニット120Fの上側に、2個の第1補助ユニット160が配置される。また、下側の第1補助ユニット160Aのさらに下側に、第2補助ユニット170が配置され、この第2補助ユニット170は、第1開口部172が、6個の光触媒ユニット120A〜120Fのうち、第2補助ユニット170に最も近い位置に配置されている最下段の光触媒ユニット120Aの第1開口部141とは空気流通方向Aの反対側に向いて配置される。そして、上側の第1補助ユニット160Bと、空気通路414の通路上部内面414Bとの間に、空気が流通可能となった空気流通可能路430が設けられ、この空気流通可能路430に、6個の光触媒ユニット120A〜120Fのうち、空気流通可能路430に最も近い位置に配置されている最上段の光触媒ユニット120Fの第1開口部141と対応する位置において、空気の流通を遮断するための空気流通遮断部材425が配置される。
【0103】
図11の場合には、空気通路414を流通する空気のうち、大部分の空気が、光触媒ユニット120A,120C,120Eの第1開口部141からこれらの光触媒ユニット120A,120C,120Eに流入するとともに、残りの空気は、空気流通可能路430を経て、最上段の光触媒ユニット120Fに流入する。そして、
図11の場合にも、それぞれのルートで流れる空気は、必ず2個の光触媒フィルタ22を通過することになる。
【0104】
図12は、さらに別実施形態に係る光触媒ユニット220と、この別実施形態で用いられる第1及び第2補助ユニット260,270とを示している。光触媒ユニット220と第1及び第2補助ユニット260,270の基本構造は、
図9の光触媒ユニット120と第1及び第2補助ユニット160,170の基本構造と同じであり、相違している点は、光触媒ユニット220及び第1補助ユニット260の内部に配置されている光触媒フィルタ22及び発光源23の個数である。
【0105】
この実施形態では、それぞれのルートにより光触媒ユニット220と第1及び第2補助ユニット260,270との内部を通過して空気通路514を流通する空気が、必ず4個の光触媒フィルタ22を通過するようにしているため、光触媒ユニット220の内部に配置されている光触媒フィルタ22の個数が4個となっており、第1補助ユニット260の内部に配置されている光触媒フィルタ22の個数が2個となっている。