(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の第1の実施の形態を、
図1〜
図4を参照しながら説明する。
【0020】
図1は、前記第1の実施の形態に係る油圧作業装置の全体構成を示す回路図であり、この装置は、エンジン1と、油圧ポンプ2と、第1油圧アクチュエータである第1油圧モータ4と、第1油圧モータ4を駆動するための第1油圧回路C1と、前記第1油圧モータ4の回転速度を操作するための第1操作装置6と、前記第1油圧回路C1の油路切換を行う第1コントロールバルブ3と、メータアウト流量制御器と、メータイン流量制御器と、第2油圧アクチュエータである第2油圧モータ104と、第2油圧モータ104を駆動するための第2油圧回路C2と、前記第2油圧モータ104の回転速度を操作するための第2操作装置106と、前記第2油圧回路C2の油路切換を行う第2コントロールバルブ103と、第1及び第2油圧回路C1,C2をこれらが直列に配置された状態で相互に接続するための接続ライン100と、第2油圧回路C2とタンクTとを接続するタンクライン180と、このタンクライン180に設けられる背圧弁15と、再生ライン12と、この再生ライン12に設けられるチェック弁13と、を備える。
【0021】
前記エンジン1は、前記油圧ポンプ2の動力源となるもので、前記油圧ポンプ2は、前記エンジン1により駆動され、これによりタンク内の作動油を吐出する。この実施の形態では、当該油圧ポンプ2に可変容量型油圧ポンプが用いられている。
【0022】
前記第1油圧モータ4は、本発明に係る第1油圧アクチュエータの一例であり、ウインチドラム5を有するウインチ装置に組み込まれ、当該ウインチドラム5を正逆両方向に回転させることで負荷である吊り荷7を昇降させる。具体的に、この第1油圧モータ4は、Aポート(巻下げ駆動時における入口ポート)4aとBポート(巻下げ駆動時における出口ポート)4bとを有し、前記Aポート4aに作動油が供給されるときには前記ウインチドラム5を巻下げ方向すなわち前記吊り荷7を降下させる方向に回転させて当該作動油を前記Bポート4bから排出する一方、前記Bポート4bに作動油が供給されるときには前記ウインチドラム5を巻上げ方向すなわち前記吊り荷7を上昇させる方向に回転させて当該作動油を前記Aポート4aから排出する。
【0023】
前記第1油圧回路は、前記第1油圧モータ4に対する作動油(油圧ポンプ2から吐出される作動油)の給排を行うためのもので、この回路を形成するためのライン(配管)として、前記油圧ポンプ2の吐出ポートと前記第1コントロールバルブ3とを接続するポンプライン8Pと、前記第1コントロールバルブ3と前記第1油圧モータ4のAポート4aとを接続する第1モータライン81Mと、前記第1コントロールバルブ3と前記第1油圧モータ4のBポート4bとを接続する第2モータライン82Mと、この第2モータライン82Mと並列に設けられるバイパスライン88と、前記第1コントロールバルブ3と接続ライン100とを接続するサブ接続ライン87と、前記ポンプライン8Pから分岐してタンクに至るブリードオフライン86と、を含む。
【0024】
前記第1コントロールバルブ3は、前記油圧ポンプ2と前記第1油圧モータ4との間に介在し、前記第1操作装置6の操作内容に応じて前記ウインチドラム5の駆動状態を巻下げ駆動状態と巻上げ駆動状態とに切換える。この実施の形態に係る第1コントロールバルブ3は巻下げ用パイロットポート3aと巻上げ用パイロットポート3bとを有する3位置パイロット切換弁により構成され、両パイロットポート3a,3bのいずれにもパイロット圧が供給されないときには中立位置P0に保たれ、巻下げ用パイロットポート3aにパイロット圧が供給されたときにはそのパイロット圧に対応したストロークで前記中立位置P0から巻下げ駆動位置P1側へ開弁動作し、巻上げ用パイロットポート3bにパイロット圧が供給されたときにはそのパイロット圧に対応したストロークで前記中立位置P0から巻上げ駆動位置P2側へ開弁動作する。
【0025】
前記第1コントロールバルブ3は、前記各位置において次のような流路を形成する。
【0026】
i)第1コントロールバルブ3は、前記中立位置P0では、前記油圧ポンプ2から吐出された作動油が前記第1油圧モータ4に供給されるのを阻止するとともに、前記サブ接続ライン87を通じて作動油を接続ライン100に導く第1ブリードオフ流路を形成する。また、第1コントロールバルブ3は、この中立位置P0ではブリードオフ流量を規定するためのブリードオフ絞り30を有し、このブリードオフ絞り30の開口面積Aboは、当該中立位置P0から離れるに従って減少する。
【0027】
ii)第1コントロールバルブ3は、前記巻下げ駆動位置P1では、前記ポンプライン8Pと前記第1モータライン81Mとを接続することにより、前記油圧ポンプ2から吐出された作動油を前記第1油圧モータ4のAポート4aに導く流路、すなわち、下げ駆動時の「メータイン流路」を開通するとともに、前記第2モータライン82Mと前記接続ライン100とを接続することにより、前記第1油圧モータ4のBポート4bから排出された作動油を流す流路、すなわち下げ駆動用の「メータアウト流路」を開通する。このメータアウト流路は前記接続ライン100を介して前記第2油圧回路C2に接続される。さらに、第1コントロールバルブ3は、この巻下げ駆動位置P1では、メータイン流路における作動油の流量であるメータイン流量を規定するためのメータイン絞り31を有し、このメータイン絞り31の開口面積Amiは前記中立位置P0からのストロークの増大に伴って増加する。
【0028】
iii)第1コントロールバルブ3は、前記巻上げ駆動位置P2では、前記ポンプライン8Pを前記第2モータライン82M及びこれと並列に設けられたバイパスライン88に接続することにより、前記油圧ポンプ2から吐出された作動油を(後述のように専らバイパスライン88を通じて)第1油圧モータ4のBポート4bに導く流路を形成するとともに、前記第1モータライン81Mを前記接続ライン100に接続することにより、前記第1油圧モータ4のAポート4aから排出された作動油を前記第2油圧回路C2に流す流路を形成する。
【0029】
前記第1操作装置6は、パイロット油圧源9と、リモコン弁10と、巻下げ駆動用パイロットライン11aと、巻上げ駆動用パイロットライン11bと、を有する。
【0030】
リモコン弁10は、前記パイロット油圧源9と前記第1コントロールバルブ3の各パイロットポート3a,3bとの間に介在するとともに、オペレータにより操作される操作レバー10aと、この操作レバー10aに連結された弁本体10bと、を含む。弁本体10bは、巻下げ駆動用出力ポート及び巻上げ駆動用出力ポートを有し、これらの出力ポートがそれぞれ前記巻下げ駆動用パイロットライン11a及び前記巻上げ駆動用パイロットライン11bを介して前記第1コントロールバルブ3の両パイロットポート3a,3bに接続されている。当該弁本体10bは、前記両出力ポートのうち前記操作レバー10aの操作方向に対応した出力ポートから当該操作レバー10aの操作量に応じた大きさのパイロット圧を出力し、前記第1コントロールバルブ3の両パイロットポート3a,3bのうち前記出力ポートに対応するパイロットポートに当該パイロット圧を入力するように、当該操作レバー10aと連動する。
【0031】
前記のように、第1コントロールバルブ3がその中立位置P0から巻下げ駆動位置P1または巻上げ駆動位置P2へ作動するストロークは、入力されるパイロット圧の大きさに対応して増大するから、オペレータは、前記操作レバー10aの操作により、前記第1コントロールバルブ3の作動方向及びストロークを変えることができ、これにより、前記ブリードオフ絞り30及び前記メータイン絞り31の開口面積Abo,Amiを変えることができる。
図2の破線は、前記操作レバー10aの(巻下げ方向の)操作量とメータイン絞り31の開口面積Amiとの関係を示し、
図4は、前記操作量とブリードオフ絞り30及びメータイン絞り31の開口面積Abo,Amiとの関係を示している。
【0032】
前記メータイン流量制御器は、この実施の形態では、前記メータイン絞り31と、前記ブリードオフライン86に設けられたメータイン流量調節弁23と、で構成される。メータイン流量調節弁23は、前記ブリードオフライン86により構成される第2ブリードオフ流路の流量を変化させるように開閉作動することが可能であり、前記メータイン絞り31の上流側圧力と下流側圧力との差すなわち前後差圧を予め定められた設定差圧にするようにその開度が変化する。具体的には、前記前後差圧が大きくなると前記メータイン流量調節弁23が開弁方向に動作してブリードオフライン86での流量を増やし、これによりメータイン流量を抑える。この実施形態では、前記巻下げ駆動位置P1における前記第1コントロールバルブ3の二次圧すなわち前記メータイン絞り31の下流側の圧力と、前記メータイン流量調節弁23の一次圧すなわち前記メータイン絞り31の上流側圧力であるポンプ圧と、がそれぞれ圧力導入ライン22a,22bを通じて前記メータイン流量調節弁23に互いに反対の側から導入され、その両圧力のバランスによって前記メータイン流量調節弁23の開口面積及びこれに対応するブリードオフ流量が決定される。
【0033】
前記メータアウト流量制御器は、前記第1操作装置6における巻下げ駆動方向の操作量、具体的には前記リモコン弁10の操作レバー10aの操作量すなわちレバー操作量に対応して前記メータアウト流路での作動油の流量であるメータアウト流量を制御するものであり、この実施の形態では、前記第2モータライン82Mに設けられるメータアウト絞り弁36及びメータアウト流量調節弁14により構成される。
【0034】
前記メータアウト絞り弁36は、本発明に係るメータアウト絞りに相当するもので、開口面積が可変である絞り36aとパイロットポート36bとを有し、このパイロットポート36bには、前記巻下げ駆動用パイロットライン11aから分岐する分岐ライン11cを通じて前記巻下げ駆動用パイロット圧が入力される。すなわち、当該分岐ライン11cと、前記巻下げ駆動用パイロットライン11aのうち前記分岐ライン11cの分岐点よりも上流側の部分とが、巻下げ駆動用パイロット圧を前記パイロットポート36bに導くメータアウト用パイロットラインを構成する。前記メータアウト絞り弁36aは、前記パイロットポート36bに導入される巻下げ駆動用パイロット圧が大きいほど、すなわち前記リモコン弁10の操作レバー10aの巻下げ駆動方向の操作量が大きいほど、前記絞り36aの開口面積が増大し、当該操作量が0のときは前記開口面積が最小(好ましくは0)となる特性を有する。
【0035】
前記メータアウト流量調節弁14は、前記メータアウト絞り弁36とともに前記第2モータライン82Mに設けられ、当該メータアウト絞り弁36の前後差圧、すなわち、当該メータアウト絞り弁36の上流側圧力と下流側圧力との差、を予め定められた設定差圧にするように開閉作動する。具体的に、メータアウト流量調節弁14は、開閉可能な弁本体と、これを開弁方向に付勢するばね14aとを有し、前記メータアウト絞り弁36の上流側圧力が圧力導入ライン18aを通じて前記メータアウト流量調節弁14に対して前記ばね14aと反対の側から導入され、前記メータアウト絞り弁36の下流側圧力が圧力導入ライン18bを通じて前記メータアウト流量調節弁14に対して前記ばね14aと同じ側から導入される。従って、前記ばね14aにより特定される設定差圧と、前記上流側圧力と前記下流側圧力との差とにより、前記メータアウト流量調節弁14の開度及びこれに対応するメータアウト流量が決定される。このメータアウト流量調節弁14は、
図1に示されるようにメータアウト絞り弁36の下流側に設けられてもよいし、逆に上流側に設けられてもよい。
【0036】
前記メータイン流量制御器を構成するメータイン絞り31の開口面積すなわちメータイン開口面積Amiの特性、及び、前記メータアウト流量制御器を構成するメータアウト絞り弁36の開口面積すなわちメータアウト開口面積Amoの特性は、
図2に示すように、レバー操作量にかかわらずメータアウト開口面積Amoがメータイン開口面積Ami以上の流量となるように、より詳しくはレバー操作量が0及びその近傍の領域を除いてメータアウト開口面積Amoがメータイン開口面積Amiよりも大きくなるように、設定されている。これにより、この実施形態に係る装置では、
図3に示すように、レバー操作量にかかわらずメータアウト流量Qmoがメータイン流量Qmi以上の流量となるような流量特性、より詳しくは、レバー操作量が0及びその近傍の領域を除いてメータアウト流量Qmoがメータイン流量Qmiよりも大きくなるような流量特性が設定されている。
【0037】
前記接続ライン100は、前記第1コントロールバルブ3と前記第2コントロールバルブ103とを接続する。具体的に、接続ライン100は、前記第1コントロールバルブ3が前記巻下げ駆動位置P1に切換えられたときに前記第2モータライン82Mが形成するメータアウト流路を流れる作動油、及び、前記第1コントロールバルブ3が前記巻上げ駆動位置P2に切換えられたときに前記第1モータライン81Mが形成するメータアウト流路を流れる作動油を前記第2コントロールバルブ103の入口ポートに導入するように、前記第1コントロールバルブ3と前記第2コントロールバルブ103とにそれぞれ接続される。
【0038】
前記第2油圧モータ104は、本発明に係る第2油圧アクチュエータの一例であり、前記第1油圧モータ4と同様、Aポート104aと、Bポート104bと、を有し、そのうちの一方のポートに作動油が供給されることにより当該ポートに対応した方向に回転し、他方のポートから作動油を排出する。前記第2油圧回路C2は、第1モータライン181M及び第2モータライン182Mを有し、第1モータライン181Mは前記入口ポート104aを第2コントロールバルブ103に、第2モータライン182Mは前記出口ポート104bを第2コントロールバルブ103に、それぞれ接続する。
【0039】
前記第2コントロールバルブ103は、前記接続ライン100と前記第2油圧モータ4との間に介在し、前記第2操作装置106の操作内容に応じて第2油圧モータ104の駆動状態を切換える。具体的に、この第2コントロールバルブ103は、前記第1コントロールバルブ3と同様に一対のパイロットポート103a,103bを有する3位置パイロット切換弁により構成され、両パイロットポート103a,103bのいずれにもパイロット圧が供給されないときには中立位置P10に保たれ、パイロットポート103aまたは103bにパイロット圧が供給されたときには前記中立位置P10から駆動位置P11または駆動位置P12へそれぞれ開弁動作する。第2コントロールバルブ103は、前記中立位置P10では両モータライン181M,182Mをブロックして前記接続ライン100をタンクライン180に接続する油路を形成し、前記駆動位置P11では前記接続ライン100を前記第1モータライン181Mに接続して前記第2モータライン182Mをサブタンクライン170を介して前記タンクライン180に接続する油路を形成し、前記駆動位置P12では前記接続ライン100を前記第2モータライン182Mに接続して前記第1モータライン181Mをサブタンクライン170を介して前記タンクライン180に接続する油路を形成する。
【0040】
前記第2操作装置106は、前記パイロット油圧源9を利用してパイロット圧を出力するリモコン弁110を有する。リモコン弁110は、前記リモコン弁10と同じく操作レバー110a及び弁本体110bを有し、弁本体110bは、前記操作レバー110aが操作されたときに前記第2コントロールバルブ103の両パイロットポート103a,103bのうち前記操作レバー110aの操作方向に対応するパイロットポートに当該操作110aの操作量に対応した大きさのパイロット圧を出力する。
【0041】
前記背圧弁15は、圧力制御弁であり、前記第2油圧回路C2の下流側のタンクライン180において、当該背圧弁15の設定圧に相当する背圧を発生させる。この背圧弁15の設定圧は、常に一定であってもよいし、例えば第1油圧回路C1でのメータイン圧すなわち巻下げ駆動時におけるメータイン流路の圧力が上昇につれて低下するような特性を有するものでもよい。あるいは、背圧弁は、操作レバー10aの操作量の増加に伴って開口面積が増大するような可変絞り弁により構成されることも可能であり、この場合、その開口面積Abkは例えば次式(1)に示すような特性を有するように設定される。
【0042】
Abk=Qbk/{Cv×√ΔPbk} (1)
ここで、Cvは流量係数、ΔPbkは背圧弁の設定圧、Qbkは背圧弁を通過する作動油の流量であり、リーク分を無視すれば流量バランスにより前記流量Qbkはメータイン流量Qmiと一致する。
【0043】
前記再生ライン12は、巻下げ駆動時におけるメータアウト流量Qmoとメータイン流量Qmi(≦Qmo)との差分に応じた流量で、タンクライン180を流れる作動油(すなわち第2油圧回路C2を流れた後の作動油)の一部を背圧弁15よりも上流側の位置から第1油圧回路C1でのメータイン流路側に補給するための油路を形成する。具体的に、この再生ライン12は前記タンクライン180から前記背圧弁15よりも上流側の位置で分岐して前記第1モータライン81Mに至る。前記チェック弁13は、この再生ライン12の途中に設けられ、当該再生ライン12における前記作動油の流れの方向を前記メータアウト流路から前記メータイン流路に向かう方向に限定する。
【0044】
前記第2モータライン82Mには、さらに、前記メータアウト絞り弁36及びメータアウト流量調節弁14の下流側に位置するチェック弁35が設けられている。このチェック弁35は、前記第1油圧モータ4から前記第1コントロールバルブ3に向かう方向への作動油の流れのみを許容し、その逆の流れを阻止する。すなわち、前記第1コントロールバルブ3が巻上げ駆動位置P2に切換えられたときに油圧ポンプ2から吐出される作動油が前記第2モータライン82M内に逆流するのを防ぐ。前記バイパスライン88は、その巻上げ駆動時に前記油圧ポンプ2から前記第1油圧モータ4のBポート4bに向かう供給流路を確保するためのもので、当該バイパスライン88には、前記チェック弁35とは逆に、前記第1コントロールバルブ3から前記第1油圧モータ4のBポート4bに向かう方向への作動油の流れのみを許容するチェック弁27が設けられている。
【0045】
次に、この装置の作用について説明する。
【0046】
まず、第1油圧モータ4について、第1操作装置6のリモコン弁10の操作レバー10aが巻上げ駆動側に操作された場合は、当該リモコン弁10の出力するリモコン圧が第1コントロールバルブ3の巻上げ用パイロットポート3bに入力されて第1コントロールバルブ3が中立位置P0から巻上げ駆動位置P2側に開弁作動する。これにより、油圧ポンプ2の吐出する作動油はバイパスライン88のチェック弁27を経由して第1油圧モータ4のBポート4bに供給され、この第1油圧モータ4を巻上げ駆動方向に回転させる。当該第1油圧モータ4のAポート4aから排出される作動油は、第1モータライン81M及び接続ライン100を通じて下流側の第2油圧回路C2に供給される。
【0047】
一方、前記操作レバー10aが巻下げ駆動側に操作されると、第1コントロールバルブ3が中立位置P0から巻下げ駆動位置P1側に開弁作動する。具体的には、前記操作レバー10aの操作量に対応した大きさの巻下げ駆動用パイロット圧が前記リモコン弁10から巻下げ駆動用パイロットライン11aを通じて巻下げ駆動用パイロットポート3aに入力され、これにより第1コントロールバルブ3は当該パイロット圧に対応したストロークだけ巻下げ駆動位置P1側に作動する。
【0048】
この作動に伴い、
図4に示すようにブリードオフ開口面積Aboが減少するとともにメータイン絞り31の開口面積であるメータイン開口面積Amiが増加してメータイン流量Qmiすなわち油圧ポンプ2から第1油圧モータ4のAポート4aに供給される作動油の流量が増える。これにより、第1油圧モータ4は巻下げ方向に回転し、Bポート4bから作動油を排出する。この排出された作動油は、メータアウト流路を構成する第2モータライン82M及び接続ライン100を通じてタンクに戻る。
【0049】
このとき、前記メータイン絞り31の開口面積すなわちメータイン開口面積Amiの増大に伴い、当該メータイン絞り31とメータイン流量調節弁23とで構成されるメータイン流量制御器はメータイン流量Qmiを
図3に示すように制御する。具体的に、前記メータイン流量調節弁23は、前記メータイン絞り31の前後差圧を予め設定された圧力すなわち設定差圧ΔPmiにするように開弁動作する(例えば当該前後差圧が大きくなると開弁方向に動作してブリードオフ流量を増やすことによりメータイン流量を減らす)。このようにして、メータイン流量Qmiは次式(2)に示すように制御される。
【0050】
Qmi=Cv×Ami×√(ΔPmi) (2)
一方、前記第2モータライン82Mに設けられているメータアウト絞り弁36の絞り36aの開口面積すなわちメータアウト開口面積Amoは、前記操作レバー10aの操作量に応じて
図2に示すようにメータイン開口面積Amiよりも大きい範囲で変化し、これに伴い、当該メータアウト絞り弁36とメータアウト流量調節弁14とで構成されるメータアウト流量制御器は、
図3に示すように、前記メータアウト流量Qmoをこのメータアウト流量Qmoが前記メータイン流量Qmi以上の流量となるように制御する。すなわち、前記メータアウト流量調節弁14が前記メータアウト絞り32の前後差圧を予め設定された圧力すなわち設定差圧ΔPmoにするように開弁動作することで、メータアウト流量Qmoは次式(3)に示すように制御される。
【0051】
Qmo=Cv×Amo×√(ΔPmo) (3)
このようにしてメータアウト流量Qmoが制御されながら、負荷(この実施の形態では吊り荷7)の大きさにかかわらず、操作レバー10aに対応した速度での巻下げ駆動が実行される。すなわち、このメータアウト流量制御器は、負荷である吊り荷7の重量変化にかかわらず、専ら操作レバー10aの操作量に対応したメータアウト流量の制御を行う。従って、負荷の重量の増減に起因する第1油圧モータ4の回転速度の変化を有効に抑止して操作性及び安全性の向上に寄与することができる。
【0052】
しかも、この装置では、前記メータアウト流量Qmoが常に前記メータイン流量Qmi以上の流量となるように制御されるため、メータイン流量Qmiの不足分に相当する流量(Qmo−Qmi)で、第2油圧回路C2の下流側で背圧弁15の上流側の接続位置Pcから再生ライン12を通じてメータイン流路である第1モータライン81Mに戻り油が補給される。すなわち、メータアウト流路から再生ラインを通じてのメータイン流路への作動油の流れが確実に行われ、かつ、その流れは両流量Qmi,Qmoの制御によって安定して保持される。これにより、メータイン圧が前記背圧弁15の設定圧以上の圧力に保持され、当該メータイン圧の低下に起因するキャビテーションが防止される。
【0053】
従来、このようなキャビテーションを防止する技術として、カウンタバランス弁を用いる技術が知られているが、このようなカウンタバランス弁の使用はメータイン圧のハンチングあるいは顕著なブースト圧の発生を伴うというデメリットがある。これに対して前記装置では、当該デメリットを伴うカウンタバランス弁を用いることなく前記キャビテーションを防止することが可能である。
【0054】
この点についての本発明装置の優位性を、第1比較例として
図5に示す装置との対比に基づいて詳述する。この
図5に示される装置は、
図1に示す装置と同様に、エンジン1、油圧ポンプ2、第1コントロールバルブ3、第1油圧モータ4、第1操作装置6、及び両モータライン81M,82Mを具備するものであるが、
図1に示す装置に含まれる再生ライン12、メータイン流量制御器、メータアウト流量制御器、及び背圧弁15に代え、外部パイロット式のカウンタバランス弁90を具備する。
【0055】
このカウンタバランス弁90には、巻下げ駆動時にメータイン流路を構成する第1モータライン81M内の圧力すなわちメータイン圧がライン92を通じてパイロット圧として導入される。カウンタバランス弁90は、その設定圧Pcbを決めるばね94を有し、当該カウンタバランス弁90に入力されるパイロット圧すなわち前記メータイン圧が前記設定圧Pcb未満のときは閉弁し、設定圧Pcb以上のときに開弁する。
【0056】
このカウンタバランス弁90も、メータイン流量の不足によるキャビテーションを防止することは可能である。例えば、吊り荷7の重量により第1油圧モータ4の回転速度が増加してその吸収流量が油圧ポンプ2からの供給流量を超えると、メータイン圧が低下するが、このメータイン圧がカウンタバランス弁90の設定圧Pcbまで低下した時点でカウンタバランス弁90が閉弁方向に作動することでメータアウト側が絞られ、これにより第1油圧モータ4にブレーキ力が与えられる。これにより、第1油圧モータ4の吸収流量が制限され、メータイン圧を設定圧Pcb以上に保つ制御が達成される。
【0057】
しかし、このカウンタバランス弁90を用いた制御では、計測点がメータイン流路にあるのに対して制御点はメータアウト流路にあることから、制御理論上コロケーションがなく、制御が不安定なものとなる。すなわち、前記計測点と前記制御点とのずれが制御を不安定なものにし、ハンチングを生じ易くする。具体的に、第1操作装置6におけるリモコン弁10の操作レバー10aが中立位置から時刻T0において巻下げ駆動方向に操作された場合、
図6(a)に示すようにカウンタバランス弁90の開度にハンチングが生じ、このハンチングは同図(b)に示すようにメータイン圧も振動的に変化させて第1油圧モータ4やウインチドラム5の回転速度を不安定にしてしまうおそれがある。
【0058】
このハンチングを抑止する手段として、前記
図5に示されるように前記ライン92の途中に絞り96を設けることが一般に考えられるが、この絞り96は、
図7(a)に示すように、操作レバー10aの操作が開始された時点TOから弁開度が適正な開度A1に至るまでに相当な応答遅れを生じさせる。さらに、カウンタバランス弁90が十分に開くまでの間はこれに大きな圧力損失が生じるから、
図7(b)に示すように前記操作開始時点TOから所定時刻T1に至るまでの間、メータイン圧が設定圧Pcbよりも高い状態、すなわち図中斜線で示すような無駄なブースト圧が発生する状態が続き、このことが運転効率を著しく低下させるというデメリットがある。
【0059】
これに対して
図1に示す装置に用いられるメータアウト流量制御器はメータアウト絞りの前後差圧に基づいてメータアウト流量を調整するものであってその計測点及び制御点がいずれもメータアウト流路にあることから、制御理論上コロケーションを有しており、安定した制御を行うことが可能である。背圧弁15において前記カウンタバランス弁90のようなハンチングはきわめて生じ難い。従って、当該ハンチングを防ぐための特別な絞りの付加は要さず、
図7(b)に示すような顕著なブースト圧の発生もない。従って、
図8(a)に実線(
図1に示す装置)及び破線(
図5に示す装置)に示されるとおり、メータイン圧が有効に抑止され、これにより油圧ポンプ2の駆動に必要なパワーも大幅に低減され、その結果、同図(b)に示すようにエンジンの燃料消費量も大幅に改善される。
【0060】
さらに、
図1に示す装置では、前記第1油圧回路C1のメータアウト流路と前記タンクとの間に介在する第2油圧回路C2が当該メータアウト流路を流れる作動油を第2油圧アクチュエータである第2油圧モータ104へ導くとともに当該第2油圧モータ104から排出される作動油をタンクに導くことにより、共通の油圧ポンプ2を用いて両油圧モータ4,104を駆動することが可能である。しかも、前記再生ライン12は、第1油圧回路C1のメータアウト流路を流れる作動油ではなくさらに第2油圧回路C2を流れて背圧弁に至る手前の作動油を第1油圧回路のメータイン流路に還元するものであるから、第2油圧アクチュエータである第2油圧モータ104の負荷にかかわらず圧力の安定した再生油を第1油圧回路C1のメータイン流路に供給することができる。
【0061】
この
図1に示される装置の優位性を、第2比較例として
図9に示す装置との対比に基づいて説明する。
図9に示す装置は、
図1に示す装置と同じ基本構成を有するが、背圧弁15がタンクライン180ではなく第2モータライン82Mにおけるメータアウト流量調節弁14とチェック弁35との間の位置に設けられ、前記再生ライン12に代えて前記第2モータライン82Mの前記背圧弁15の上流側の作動油をメータイン流路すなわち第1モータライン81Mに供給するように配管された再生ライン12′が第1油圧回路C1内に組み込まれている点で、
図1に示す装置と相違するものである。
【0062】
この装置では、
図10(a)に示すように、前記再生ライン12′が還元する再生油の圧力は、背圧弁の設定圧だけでなくこれに第2油圧アクチュエータである第2油圧モータ104の負荷に相当するモータ差圧が加わった圧力つまり第2油圧回路C2のメータイン圧に相当する圧力(
図10(a)に示す「第2メータイン圧」)、となるため、当該第2油圧モータ104の負荷によっては(例えば第2油圧モータ104がウインチモータであって巻上げ方向に駆動される場合には)第1油圧回路C1のメータイン流路に第2油圧回路C1のメータイン圧である第2メータイン圧に相当する高圧の再生油が供給されて当該メータイン流路の圧力(
図10(a)に示す「第1メータイン圧」)を著しく上昇させる可能性がある。さらに、第1油圧モータ4が負荷である吊り荷7を下げ方向に移動させる向きに駆動される際には、メータアウト流路の圧力であるメータアウト圧(
図10(a)に示す「第1メータアウト圧」)は前記第1メータイン圧に前記負荷に対応する圧力すなわち前記吊り荷7を保持するための保持圧が加わった圧力となるので、当該メータアウト圧が過度に上昇してメータアウト流路を構成する配管や各種部品に悪影響を及ぼすおそれがある。換言すれば、このようなメータアウト圧の過度の上昇を回避するために第2油圧モータ104の負荷を著しく制限しなければならない場合が存する。
【0063】
これに対して
図1に示す再生ライン12は、第2油圧回路C2の下流側のタンクライン180内を流れる作動油であって背圧弁15の上流側の作動油を再生油としてメータイン流路に導くものであるから、前記再生油の圧力すなわち第2メータイン圧は、前記第2油圧モータ104の負荷にかかわらず背圧弁15の設定圧に相当する圧力に安定する。この背圧弁15の設定圧は、第1油圧モータ4のメータイン流路でのキャビテーションを防止できる程度の圧力で十分であり、低い圧力に抑えることができる。従って、
図10(b)に示すように、第2メータイン圧の大小にかかわらず、前記再生油の圧力の影響を受ける第1メータイン圧及びその下流側の第1メータアウト圧を低い値に抑えることができる。このことは、第1及び第2油圧モータ4,104が直列に配置されているにもかかわらず、第1油圧モータ4の巻下げ駆動を安定して行うことを可能にする。
【0064】
本発明の第2の実施の形態に係る装置を
図11に示す。この装置は、
図1に示す装置と比較して、メータアウト流量調節器の位置及び構成が相違する。具体的に、
図1に示す装置では、メータアウト絞りを構成するメータアウト絞り弁36及びメータアウト流量調節弁14がいずれも第1コントロールバルブ3の上流側の第2モータライン82Mに設けられているのに対し、
図11に示す装置では、メータイン絞り31と同様にメータアウト絞り32が第1コントロールバルブ3内に設けられ、メータアウト流量調節弁14が第1コントロールバルブ3の下流側で前記接続ライン100につながる流路に設けられている。
【0065】
図11に示す第1コントロールバルブ3は、
図1に示す第1コントロールバルブ3と同様に巻下げ駆動位置P1において第2モータライン82Mと接続ライン100とを接続する戻り流路を形成するが、この戻り流路が前記メータアウト絞り32を構成している。このメータアウト絞り32は、メータイン絞り31と同じく、第1コントロールバルブ3のストロークの増大に伴って当該メータアウト絞り32の開口面積が増大する特性を有する。当該メータアウト絞り32の前後差圧の取り出しについては、当該メータアウト絞り32の上流側の圧力が前記第1コントロールバルブ3からライン18aを通じて前記メータアウト流量調節弁14の入口ポートに導入されるとともに、メータアウト絞り32の下流側の圧力(
図11ではメータアウト流量調節弁14の一次圧)がライン18bを通じて前記メータアウト流量調節弁14の出口ポート(入口ポートと反対側のポート)に導入される。
【0066】
また、かかる配置のため、
図11に示す装置では
図1に示すチェック弁35及びバイパスライン88が不要である。その一方、背圧弁15の位置及びその上流側の再生ライン12の接続位置Pcは何ら変わらない。
【0067】
この装置においても、巻下げ駆動時には、操作レバー10aの操作量に応じて第1コントロールバルブ3が巻下げ駆動位置P1側にストロークすることにより、そのストロークに応じて当該第1コントロールバルブ3内のメータアウト絞り31の開口面積が変化し、その前後差圧を所定圧力に保つようにメータアウト流量調節弁14が作動することにより、負荷(吊り荷7)の大きさにかかわらず、操作内容に見合ったメータアウト流量の制御が行われる。また、タンクライン180から第1油圧回路C1のメータイン流路への作動油の還元も
図1に示される装置と同様に行われる。
【0068】
前記第1コントロールバルブ3はパイロット式油圧切換弁に限られず、例えば、3位置の電磁切換弁でもよい。この場合も、メータアウト流量制御器が操作装置における操作内容に応じてメータアウト流量を制御するもの、例えば、
図1に示すようなメータアウト絞り弁36及びメータアウト流量調節弁14の組合せからなるものであれば、安定した下げ駆動が実現される。
【0069】
本発明において、第2油圧アクチュエータの具体的な構成や用途、さらに当該第2油圧アクチュエータを駆動するための第2油圧回路の具体的な構成は問わない。例えば、当該第2油圧アクチュエータは前記第1油圧アクチュエータと同じく負荷を下げ方向に移動させるためのもの(例えば油圧ウインチのモータ)であってもよい。その場合、第2油圧回路は、第1油圧回路と同じくメータイン流路及びメータアウト流路を有し、そのメータイン流路及びメータアウト流路についてそれぞれメータイン流量制御器及びメータアウト流量制御器が設けられてメータアウト流量がメータイン流量よりも大きくなるようにこれらの流量が制御され、かつ、その差分の作動油がメータアウト流路からメータイン流路に再生されることにより、第1油圧アクチュエータの駆動について得られる前記の効果を第2油圧アクチュエータの駆動についても同様に得ることができる。
【0070】
その例を第3の実施の形態として
図12に示す。この
図12に示す装置において、接続ライン100よりも上流側の部分、すなわち、第1油圧モータ4に関わる部分は
図1に示す装置と全く同様である。一方、接続ライン100よりも下流側の部分は、吊り荷207の巻下げ及び巻上げを行うウインチドラム205を回転させる第2油圧モータ204を駆動するためのもので、第2油圧モータ204を駆動するための第2油圧回路C2と、前記第2油圧モータ204の回転速度を操作するための第2操作装置206と、前記第2油圧回路C2の油路切換を行う第2コントロールバルブ203と、第2メータアウト流量制御器と、第2メータイン流量制御器と、を備える。
【0071】
前記第2油圧モータ204は、前記第1油圧モータ4と同じくAポート(巻下げ駆動時における第2入口ポート)204aとBポート(巻下げ駆動時における第2出口ポート)204bとを有し、前記Aポート204aに作動油が供給されるときには前記ウインチドラム205を巻下げ方向すなわち前記吊り荷207を降下させる方向に回転させて当該作動油を前記Bポート204bから排出する一方、前記Bポート204bに作動油が供給されるときには前記ウインチドラム205を巻上げ方向すなわち前記吊り荷207を上昇させる方向に回転させて当該作動油を前記Aポート204aから排出する。
【0072】
前記第2油圧回路C2は、前記第1油圧回路C1と同様、前記第2コントロールバルブ203と前記第2油圧モータ204のAポート204aとを接続する第1モータライン281Mと、前記第2コントロールバルブ203と前記第2油圧モータ4のBポート204bとを接続する第2モータライン282Mと、この第2モータライン282Mと並列に設けられるバイパスライン288と、前記第2コントロールバルブ203とタンクライン180とを接続するサブタンクライン170と、前記接続ライン100から分岐してタンクに至るブリードオフライン286と、を含む。
【0073】
前記第2コントロールバルブ203は、前記接続ライン100と前記第2油圧モータ204との間に介在し、前記第2操作装置206の操作内容に応じて前記ウインチドラム205の駆動状態を巻下げ駆動状態と巻上げ駆動状態とに切換える。第2コントロールバルブ203は、前記第1コントロールバルブ3と同様、巻下げ用パイロットポート203aと巻上げ用パイロットポート203bとを有する3位置パイロット切換弁により構成され、両パイロットポート203a,203bのいずれにもパイロット圧が供給されないときには中立位置P20に保たれ、巻下げ用パイロットポート203aにパイロット圧が供給されたときにはそのパイロット圧に対応したストロークで前記中立位置P20から巻下げ駆動位置P21側へ開弁動作し、巻上げ用パイロットポート3bにパイロット圧が供給されたときにはそのパイロット圧に対応したストロークで前記中立位置P20から巻上げ駆動位置P22側へ開弁動作する。
【0074】
第2コントロールバルブ203は、前記各位置において前記第1コントロールバルブ3と同様の油路の形成を行う。具体的に、第2コントロールバルブ203は、前記中立位置P20では、接続ライン100を流れる作動油が前記第2油圧モータ204に供給されるのを阻止するとともに、前記サブ接続ライン170を通じて作動油をタンクライン180に導く第1ブリードオフ流路を形成し、さらに、この中立位置P20ではその開口面積が中立位置P20から離れるに従って減少するブリードオフ絞り230を有する。第2コントロールバルブ203は、前記巻下げ駆動位置P21では、前記接続ライン100と前記第1モータライン281Mとを接続することにより、接続ライン100を流れる作動油を第2油圧モータ204のAポート204aに導く流路、すなわち、下げ駆動時の「メータイン流路」を開通するとともに、前記第2モータライン282Mと前記サブタンクライン170(さらにはタンクライン180)とを接続して下げ駆動用の「メータアウト流路」を開通し、さらに、この巻下げ駆動位置P21では、その開口面積が前記中立位置P20からのストロークの増大に伴って増加するメータイン絞り231を有する。また、第2コントロールバルブ203は、前記巻上げ駆動位置P22では、前記接続ライン100を前記第2モータライン282M及びこれと並列に設けられたバイパスライン288に接続することにより、前記接続ライン100を流れる作動油を専らバイパスライン288を通じて第2油圧モータ204のBポート204bに導く流路を形成するとともに、前記第1モータライン281Mを前記サブ接続ライン170に接続する。
【0075】
前記第2操作装置206は、前記パイロット油圧源9と、リモコン弁210と、巻下げ駆動用パイロットライン211aと、巻上げ駆動用パイロットライン211bと、を有する。前記リモコン弁210は、前記リモコン弁10と同様に操作レバー210aと弁本体210bとを含み、操作レバー210aが巻下げ駆動側及び巻上げ駆動側にそれぞれ操作されたときにパイロットライン211a,211bをそれぞれ通じて第2コントロールバルブ203のパイロットポート203a,203bにそれぞれパイロット圧を入力する。前記操作レバー210aの(巻下げ方向の)操作量とメータイン絞り231の開口面積との関係、及び、前記操作量とブリードオフ絞り30及びメータイン絞り31の開口面積との関係は、
図2及び
図4に示されているものと全く同様である。
【0076】
前記第2メータイン流量制御器は、前記第1油圧モータ4について設けられた前記メータイン流量制御器(第1メータイン流量制御器)と同様、前記メータイン絞り231と、前記ブリードオフライン286に設けられたメータイン流量調節弁223と、で構成され、メータイン流量調節弁223は、前記メータイン流量調節弁23と同様に、前記メータイン絞り231の上流側圧力と下流側圧力との差すなわち前後差圧を予め定められた設定差圧にするようにその開度が変化する。すなわち、前記前後差圧が大きくなると開弁方向に動作してブリードオフライン286での流量を増やし、これによりメータイン流量を抑える。
【0077】
前記第2メータアウト流量制御器は、前記第1油圧モータ4について設けられた前記メータアウト流量制御器(第1メータアウト流量制御器)と同様、前記リモコン弁210の操作レバー210aの操作量すなわちレバー操作量に対応して前記メータアウト流路での作動油の流量であるメータアウト流量を制御するものであり、前記第2モータライン282Mに設けられるメータアウト絞り弁236及びメータアウト流量調節弁214により構成される。メータアウト絞り弁236は、開口面積が可変の絞り236aと、前記巻下げ駆動用パイロットライン211aから分岐する分岐ライン211cを通じて巻下げ駆動用パイロット圧が入力されるパイロットポート236bと、を有し、その入力されるパイロット圧が大きいほど前記絞り236aの開口面積が増大し、当該操作量が0のときは前記開口面積が最小(好ましくは0)となるように作動する。前記メータアウト流量調節弁214は、前記メータアウト流量調節弁14と同じく、前記メータアウト絞り弁236の前後差圧を予め定められた設定差圧にするように開閉作動する。具体的に、メータアウト流量調節弁214は、開閉可能な弁本体と、これを開弁方向に付勢するばね214aとを有し、前記メータアウト絞り弁236の上流側圧力が圧力導入ライン218aを通じて前記メータアウト流量調節弁214に対して前記ばね214aと反対の側から導入され、前記メータアウト絞り弁236の下流側圧力が圧力導入ライン218bを通じて前記メータアウト流量調節弁214に対して前記ばね214aと同じ側から導入される。
【0078】
前記第2メータイン流量制御器を構成するメータイン絞り231の開口面積の特性、及び、前記メータアウト流量制御器を構成するメータアウト絞り弁236の開口面積の特性は、前記第1メータイン流量制御器及び前記第2メータアウト流量制御器と同様、
図2に示す特性と同じ特性、すなわち、レバー操作量にかかわらずメータアウト開口面積がメータイン開口面積以上の流量となるように、より詳しくはレバー操作量が0及びその近傍の領域を除いてメータアウト開口面積がメータイン開口面積よりも大きくなるように、設定されている。
【0079】
この第3の実施形態に係る再生ライン12は、前記タンクライン180を流れる作動油を第1油圧回路C1のメータイン流路に還元するのみならず、第2油圧回路C2のメータイン流路にも還元するように、すなわち前記作動油を前記両メータイン流路に分配するように、配管されている。具体的に、
図12に示される再生ライン12は、前記タンクライン180から前記背圧弁15よりも上流側の接続位置Pcで分岐する共通油路120と、この共通油路120からさらに分岐する第1分岐油路121及び第2分岐油路122と、を有する。前記第1分岐油路121は第1油圧回路C1の第1モータライン81Mに接続され、第2分岐油路122は第2油圧回路C2の第2モータライン281Mに接続され、各分岐油路121,122には当該分岐油路を流れる作動油の方向を前記第1及び第2メータイン流路にそれぞれ向かう方向に限定するチェック弁13,213が設けられている。この再生ライン12は、前記タンクライン180から互いに独立した位置でそれぞれ分岐して第1及び第2油圧回路C1,C2のメータイン流路に至る2本のライン、すなわち互いに並列に配置された2本のライン、で構成されてもよい。
【0080】
前記第2油圧回路C2では、前記第1油圧回路C1と同様、常にメータアウト流量がメータイン流量以上となるように両流量が制御されるとともに、両流量の差分に相当する流量で、タンクライン180を流れる作動油の一部が再生ライン12の共通油路120及び第2分岐油路122を通じてメータイン流路に補給される。これにより、第1油圧モータ4と同じく、キャビテーションを防止しながらの第2油圧モータ204の良好な巻下げ駆動が実現される。しかも、この第3の実施形態においても、各油圧回路C1,C2に補給される再生油の圧力は、第2油圧回路C2を流れた後の作動油の圧力であって背圧弁15の設定圧に相当する低い圧力であるから、メータアウト圧の過度の上昇が各油圧回路C1,C2を構成する配管や部品に及ぼすことが、防がれる。
【0081】
なお、本発明に係る第1及び第2油圧アクチュエータは、油圧モータに限定されず、例えば作業装置のアタッチメントを回動させる油圧シリンダであってもよい。この場合も、負荷である前記アタッチメントをその自重により降下する方向と同じ方向である下げ方向に移動させるように前記油圧シリンダを駆動する場合に、本発明を有効に適用することが可能である。あるいは、前記第1または第2油圧アクチュエータは可変容量モータであっても良い。