特許第5661097号(P5661097)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5661097様々な材料でできている細粒混合物を静電分離する方法、およびこの方法を実施する装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5661097
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】様々な材料でできている細粒混合物を静電分離する方法、およびこの方法を実施する装置
(51)【国際特許分類】
   B03C 7/12 20060101AFI20150108BHJP
   B03C 7/02 20060101ALI20150108BHJP
【FI】
   B03C7/12
   B03C7/02 C
【請求項の数】21
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-501342(P2012-501342)
(86)(22)【出願日】2010年3月23日
(65)【公表番号】特表2012-521866(P2012-521866A)
(43)【公表日】2012年9月20日
(86)【国際出願番号】FR2010000245
(87)【国際公開番号】WO2010109096
(87)【国際公開日】20100930
【審査請求日】2013年1月24日
(31)【優先権主張番号】0901494
(32)【優先日】2009年3月27日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】511232097
【氏名又は名称】エーペーエール2
(73)【特許権者】
【識別番号】506155266
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ・ドゥ・ポワティエ
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE DE POITIERS
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カリン ラウル−フロランタン
(72)【発明者】
【氏名】ダスカルスク ルシアン
【審査官】 松井 裕典
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−042355(JP,A)
【文献】 特開平01−099680(JP,A)
【文献】 特開2000−117148(JP,A)
【文献】 特開平09−085128(JP,A)
【文献】 特開2000−140703(JP,A)
【文献】 特開2002−177820(JP,A)
【文献】 特開2002−306925(JP,A)
【文献】 特開昭59−082955(JP,A)
【文献】 特開2006−322683(JP,A)
【文献】 特開昭63−287568(JP,A)
【文献】 特開昭61−501899(JP,A)
【文献】 特開平10−057835(JP,A)
【文献】 特開2000−140700(JP,A)
【文献】 特開平06−063360(JP,A)
【文献】 仏国特許出願公開第01574621(FR,A1)
【文献】 米国特許第05885330(US,A)
【文献】 西独国特許第02643002(DE,B)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B03C 1/00−11/00
B07B 1/00−15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
様々な材料の細粒の混合物を静電分離する方法であって、
a)壁で画定され、空気取入口および空気排出口を備えた分離チャンバ内の2つの電極の間に流動化空気流を噴射するステップと、
b)前記様々な材料の細粒の混合物を前記流動化空気流の中に導入するステップと、
c)前記細粒が乱流モードの前記空気流中に浮かび上がり、前記細粒間の接触および/または前記分離チャンバの壁との接触によって帯電するように前記流動化空気流を制御するステップと、
d)前記2つの電極の間で前記空気流の方向にほぼ垂直に電界を、ステップc)で帯電した前記細粒が、正に細粒が帯電している場合には電界の方向に、またはその電荷が負である場合には反対の方向に移されるように発生させるステップと
e)前記帯電した細粒を前記電極の表面に付着させるステップと、
f)各電極に付着した前記細粒を除去し、収集するステップとを含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
ステップa)で前記流動化空気流がほぼ垂直に上向きに噴射され、ステップb)で前記細粒混合物が自由落下によって、かつ前記流動化空気流に対して逆流で導入される、請求項1に記載の静電分離方法。
【請求項3】
ステップa)で前記分離チャンバの中に噴射された前記流動化空気流が、前記垂直に上向きの方向に負圧傾斜を示す、請求項2に記載の静電分離方法。
【請求項4】
ステップb)での前記細粒混合物の前記導入を、単位時間当たりに導入される細粒の質量で表される速度であって、ステップf)で単位時間当たりに収集される細粒の質量にほぼ等しい値に調節された速度で実行する、請求項1から3のいずれか一項に記載の静電分離方法。
【請求項5】
前記空気流が、前記分離チャンバの中に入る前にあらかじめ加熱される、請求項1から4のいずれか一項に記載の静電分離方法。
【請求項6】
前記空気流が、前記分離チャンバの中に入る際に均質化される、請求項1から5のいずれか一項に記載の静電分離方法。
【請求項7】
ステップf)が、導電性材料でできているコンベアベルト型電極によって実施され、前記細粒の除去が前記コンベアベルトを並進移動させることによって行われ、前記収集するステップがかき落としによって実行される、請求項1から6のいずれか一項に記載の静電分離方法。
【請求項8】
ステップf)の後に、前記電極をクリーニングするステップg)をさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の静電分離方法。
【請求項9】
様々な材料の細粒の混合物を静電分離する装置であって、
壁(101)で画定され、空気取入口(102)および空気排出口(103)を備えた分離チャンバ(100)と、
前記空気取入口と排出口の間で分離チャンバの中に延びる2つの電極(105、106)と、
前記2つの電極の間で、決定された方向(F1)に流動化空気流を噴射する手段(108、131)と、
前記流動化空気流の中に細粒の混合物(M)を導入する手段(109)と、
使用時に前記細粒が乱流モードの前記空気流中に浮かび上がり、前記細粒間の接触および/または前記分離チャンバの前記壁との接触によって帯電するように前記流動化空気流を制御する手段と、
前記2つの電極の間で、前記空気流の方向(F1)にほぼ垂直に電界(E)を発生する手段(107)と、
各電極に付着した前記細粒を除去し、(105〜106)収集する(110〜111〜112)手段とを備えることを特徴とする、装置。
【請求項10】
前記空気取入口(102)が、使用時に前記空気流がほぼ垂直に上向きになるように配置される、請求項9に記載の分離装置。
【請求項11】
前記細粒の混合物を導入する手段(109)が、前記細粒を前記分離チャンバの中に自由落下によって、かつ前記流動化空気流に対して逆流で導入するように配置される、請求項9または10の一項に記載の分離装置。
【請求項12】
前記電極(105、106)が、前記空気取入口(102)から前記空気排出口(103)に向かって広がるように配置される、請求項9から11のいずれか一項に記載の分離装置。
【請求項13】
前記分離チャンバ(100)の前記空気取入口(102)の上流に配置された、前記空気流を加熱する手段(120)を含む、請求項9から12のいずれか一項に記載の分離装置。
【請求項14】
前記分離チャンバの前記空気取入口(102)の下流に配置され、かつ前記空気流を均質化する手段(132)を含む空気チャンバ(130)を備える、請求項9から13のいずれか一項に記載の分離装置。
【請求項15】
前記空気流を均質化する前記手段がガラス球である、請求項14に記載の分離装置。
【請求項16】
前記細粒の導入速度を制御する手段を含む、請求項9から15のいずれか一項に記載の分離装置。
【請求項17】
前記速度を制御する前記手段に連結された、収集された細粒の質量を測定する手段を含み、前記速度を制御する前記手段が、前記測定手段によって測定された質量に応じて前記細粒の導入速度を制御するように適合される、請求項16に記載の分離装置。
【請求項18】
前記細粒を収集する前記手段がスクレーパ(110)である、請求項9から17のいずれか一項に記載の分離装置。
【請求項19】
前記電極をクリーニングする手段(113)を含む、請求項9から18のいずれか一項に記載の分離装置。
【請求項20】
前記電極がコンベアベルト型である、請求項9から19のいずれか一項に記載の分離装置。
【請求項21】
前記電界を発生する手段(107)が調整可能である、請求項9から20のいずれか一項に記載の分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細粒状材料を静電分離する方法、およびこの方法を実施する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
静電分離法は、例えば産業廃棄物の粉砕により生じる混合細粒状材料を選別するために既に使用されている。これらの材料は、絶縁材料であることが好ましい。
【0003】
すなわち、電気および/または電子廃棄物のリサイクルには、様々な構成材料を分離することが、得られた材料を評価できるまで必然的に伴う。この分離は、得られる材料のほぼ一定の特性を得るために、可能な限り効果的なものでなければならない。したがって、これらの材料を評価するための下流ラインを作り出し、将来の保証をすることは、検討するだけの価値がある。例えば、電気および/または電子廃棄物から回収されたプラスチック材料は、テラス外形板の製造に使用することができる。この行為の将来を保証するには、この板がほぼ不変の特性および色を有する必要がある。
【0004】
様々な種類のプラスチック材料を効果的かつ自動的に分離し回収することができる必要もまたある。
【0005】
光学的な方法または浮揚をベースとする方法など、いくつかのタイプの方法が提案されてきた。しかし、これらの方法では、精度が十分でないとともに、あまりに多くの不純物が発生する。
【0006】
別の解決策は、絶縁材料を粉砕して細粒にし、第1のステップで、これらの細粒を振動装置または回転装置内で摩擦電気効果によって帯電させることである。第2のステップで、帯電した細粒は静電選別装置まで搬送され、その中で電界によって分離される。
【0007】
この目的を達成するために、細粒は選別装置の上部から射出され、2つの平行で垂直の電極の間に重力によって落下する。
【0008】
今後、本出願では「垂直」という語は、重力にほぼ平行な方向を意味すると理解されたい。同様に、「水平」という語は、重力にほぼ垂直な方向を意味すると理解されたい。
【0009】
正に帯電した細粒は陰極(負極)に引き寄せられるのに対し、負に帯電した細粒は陽極(正極)に引き寄せられる。
【0010】
こうして落下中に偏向された細粒は分離され、装置の底部に電極と同一線上に配置された2つの別々の収集器の中に落下する。
【0011】
電極に引き寄せられなかった細粒は、第3の中央の収集器の中に落下し、そこで回収される。これらは次に、選別装置の中へ再循環させることができる。
【0012】
これらの細粒は、摩擦帯電装置と選別装置の間の搬送中にその電荷を失っていることがある。細粒はまた、獲得した電荷があまりに弱くて電極に引き寄せられないこともある。
【0013】
実際のところ、上記の装置で細粒が獲得する電荷は均一ではない。一部の細粒はうまく適切に帯電し、したがって適正な強さの電界中で分離できるのに対して、他のものは、分離できるには不十分な帯電レベルで摩擦帯電装置を離れる。その結果、相当な量の分離されなかった細粒が回収され、その後に摩擦帯電装置に戻されなければならないことになる。細粒を摩擦帯電装置の中に戻すことで新しい細粒が帯電することが制限されるので、この方法の生産性は低い。
【0014】
細粒の帯電状態は、摩擦帯電処理の継続時間を増加させることによって改善することができる。しかし、細粒が摩擦帯電装置内に長くとどまることになり、そのため時間およびエネルギーが消費されるので、この方法の生産性は改善されない。
【0015】
さらに、固定された帯電継続時間では、細粒が実際に獲得する電荷量は、細粒の表面状態、より具体的にはそのサイズにより大きく変化しうる。偶然に2つの異なるサイズの細粒が衝突したとき、これらは、同じ値で反対の2つの電荷を獲得する。しかし、この値は、最小の細粒が一方の電極に引き寄せられるには十分であるのに対して、最大の細粒がもう一方の電極に引き寄せられるには不十分である。その場合、最大の細粒は除去され、帯電装置へと再び導かれる。
【0016】
したがって、細粒が摩擦帯電する特性を改善するために、知られている施設では、細粒サイズによってふるい分けをする、摩擦帯電装置の上流に配置された手段を有することが好ましい。次に、それぞれの種類の細粒が帯電され、その後に電気的に分離される。
【0017】
細粒が実際に獲得する電荷量はまた、周囲温度および湿度により著しく変わりうる。
【0018】
大気状態の問題を解決するには、周囲大気と細粒の湿度および温度を制御する手段を用いることが望ましい。
【0019】
しかし、これらの追加設備により、施設全体の管理が大幅に複雑になり、この方法のコストが著しく増大する。
【0020】
細粒状絶縁材料を分離するための知られている施設の生産性はかなり低く、得られる製品の特性は、顧客の要件にいつも適合するとは限らない。現在の方法は、大気状態と、分離されるべき細粒の物理化学的特性とのランダムな変化の影響をあまりに受けやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明は、上記の欠点を克服することを目指し、摩擦帯電および選別の特性、ならびに生産性の面で効率的な、細粒状絶縁材料を静電分離する方法およびこの方法を実施する装置を提案する。これらは多目的であり、エネルギーの面で経済的であるとともに、周囲大気状態と、分離されるべき細粒の物理化学的特性とに容易に適合させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0022】
この目的のために、本発明は、同一の筐体内で細粒を帯電させることと静電分離することを同時に可能にする方法および装置を提案する。
【0023】
すなわち本発明の主題は、様々な材料の細粒の混合物を静電分離する方法であり、方法は、
a)壁で画定され、空気取入口および空気排出口を備えた分離チャンバ内の2つの電極の間に流動化空気流を噴射するステップと、
b)様々な材料の細粒の混合物を流動化空気流の中に導入するステップと、
c)細粒が乱流モードの空気流中に浮かび上がり、細粒間の接触および/または分離チャンバの壁との接触によって帯電するように流動化空気流を制御するステップと、
d)2つの電極の間で空気流の方向にほぼ垂直に電界を、ステップc)で帯電した細粒が、正に細粒が帯電している場合には電界の方向に、またはその電荷が負である場合には反対の方向に移動するように発生させるステップと、
e)帯電した細粒を電極の表面に付着させるステップと、
f)各電極に付着した細粒を除去し、収集するステップとを含む。
【0024】
他の実施形態によれば、
ステップa)で流動化空気流は、ほぼ垂直に上向きに噴射することができ、ステップb)で細粒混合物は、自由落下によって、かつ流動化空気流に対して逆流で導入され、
ステップa)で分離チャンバの中に噴射された流動化空気流は、垂直に上向きの方向に負圧傾斜を示すことができ、
ステップb)での細粒混合物の導入を、単位時間当たりに導入される細粒の質量で表される速度であって、ステップf)で単位時間当たりに収集される細粒の質量にほぼ等しい値に調節された速度で実行することができ、
空気流は、分離チャンバの中に入る前にあらかじめ加熱することができ、
空気流は、分離チャンバの中に入る際に均質化することができ、
ステップf)は、導電性材料でできているコンベアベルト型電極によって実施することができ、細粒の除去は、コンベアベルトを並進移動させることによって行われ、収集するステップは、かき落としによって実行することができ、かつ/または、
この方法はまた、ステップf)の後に、電極をクリーニングするステップg)を含むこともできる。
【0025】
本発明の主題はまた、様々な材料の細粒の混合物を静電分離する装置であり、
壁で画定され、空気取入口および空気排出口を備えた分離チャンバと、
空気取入口と排出口の間で分離チャンバの中に延びる2つの電極と、
2つの電極の間で、決定された方向に流動化空気流を噴射する手段と、
流動化空気流の中に細粒の混合物を導入する手段と、
使用時に細粒が乱流モードの空気流中に浮かび上がり、細粒間の接触および/または分離チャンバの壁との接触によって帯電するように流動化空気流を制御する手段と、
2つの電極の間で、空気流の方向にほぼ垂直に電界を発生する手段と、
各電極に付着した細粒を除去し、収集する手段とを
備えることを特徴とする。
【0026】
他の実施形態によれば、
空気取入口は、使用時に空気流がほぼ垂直に上向きになるように配置することができ、
細粒の混合物を導入する手段は、細粒を分離チャンバの中に自由落下によって、かつ流動化空気流に対して逆流で導入するように配置することができ、
電極は、空気取入口から空気排出口に向かって広がるように配置することができ、
分離装置は、分離チャンバの空気取入口の上流に配置された、空気流を加熱する手段を含むことができ、
分離装置は、分離チャンバの空気取入口の下流に配置され、かつ空気流を均質化する手段を含む空気チャンバを含むことができ、
空気流を均質化する手段はガラス球とすることができ、
分離装置は、細粒の導入速度を制御する手段を含むことができ、
分離装置は、速度を制御する手段に連結された、収集された細粒の質量を測定する手段を含むことができ、この速度を制御する手段は、測定手段によって測定された質量に応じて細粒の導入速度を制御するように適合され、
細粒を収集する手段はスクレーパとすることができ、
分離装置は、電極をクリーニングする手段を含むことができ、
電極は、コンベアベルト型とすることができ、かつ/または
電界を発生する手段は、調整可能とすることができる。
【0027】
本発明による方法および装置は、摩擦電気効果による細粒の帯電と、電界中での細粒の分離とを同時に実行することによって前述の欠点を取り除くことを可能にする。すなわち、細粒は、帯電する時点と電界を受ける時点との間で、その電荷を失うおそれがない。
【0028】
さらに、空気流で細粒がサイズによって分離され、そのため摩擦帯電は、それがほぼ同じサイズの細粒に対して行われるので、最適になる。
【0029】
さらに、各細粒は、それが一方の電極に引き寄せられるのに十分な摩擦帯電を獲得するのに必要な最小時間しか空気流の中にとどまらない。帯電されなかった細粒は空気流から出ることができず、そのため、収集される細粒の純度を確保することができる。すなわち、本発明による方法および装置は、選別効率を最適にするとともに、各細粒に必然的に適応する。
【0030】
最後に、帯電と分離が同時に同一の筐体内で行われるので、周囲大気状態を容易に、経済的に制御することが可能である。
【0031】
すなわち、本発明による装置は、同等の有効寸法の最先端装置と比較して著しく向上した選別の効率および品質を提供する。
【0032】
本発明の他の特徴については、図を参照して提示する以下の詳細な説明の中で述べる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明による静電分離装置の第1の実施形態の縦方向断面の概略図である。
図2】本発明による静電分離装置の第2の実施形態の縦方向断面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1を参照すると、本発明による静電分離装置は分離チャンバ100を備え、この分離チャンバは、側壁101(2つだけ図示)によって画定され、圧縮空気の吸気および排気をそれぞれ可能にする空気取入口102および空気排出口103が設けられている。
【0035】
好ましくは、空気取入口102には空気拡散器102aが設けられ、空気排出口103にはフィルタ103aが設けられる。
【0036】
2つの電極105〜106が、空気取入口と排出口の間でいずれの側にも、分離チャンバの中に延びる。したがって、空気取入口と空気排出口の間で循環する空気流は、電極105〜106の間に位置する。これらの電極は、調整可能なことが好ましい直流高電圧発生器107に連結され、電極105は発生器107の負端子に連結され、電極106は発生器107の正端子に連結される。この構成により、2つの電極105〜106の間に、電流が流れるときに電界が発生する。
【0037】
好ましくは、図1および図2に示されているように、これらの電極は、空気取入口から空気排出口に向かって広がるように配置される。
【0038】
この装置はまた、2つの電極105〜106の間に、矢印F1で表されている決定された方向に空気流を噴射する手段108も含む。したがって空気流は、空気取入口102と空気排出口103の間で分離チャンバ100を通過する。この空気流は流動床を形成する。空気取入口102は、有利には、使用時に空気流がほぼ垂直に上へ向かうように配置される。
【0039】
手段109が、細粒の混合物Mを流動化空気流の中に導入することができるように配置される。
【0040】
好ましくは、細粒の混合物Mを導入する手段109は、細粒を分離チャンバ100の中に自由落下によって、流動化空気流に対して逆流で導入するように配置される。
【0041】
手段109は、速度制御手段(図示せず)によって制御される可変速手段であることが好ましい。
【0042】
混合物Mは、少なくとも2つの異なる材料M1〜M2を含み、図では、白丸でM1、黒丸でM2が示されている。細粒はサイズが異なりうる。図には、2つのサイズ(小さいサイズがM1pおよびM2p、大きいサイズがM1gおよびM2g)が示されているが、実際には、本発明による方法および装置では、非常に多くのサイズの細粒を効果的に分離することができる。
【0043】
流動化空気流を噴射する手段108は、使用時に細粒が乱流モードの空気流中に浮かび上がり、細粒間の接触および/または分離チャンバ100の壁101との接触によって帯電するように流動化空気流を制御する手段と連結される。
【0044】
本発明による装置は、様々な材料の細粒の混合物を静電分離する本発明による方法を実施することを可能にする。この方法は、以下のステップを含む。
【0045】
ステップa)で、流動化空気流が2つの電極の間に噴射される。この空気流は、空気取入口102から来て空気排出口103を通して除去される。図1および図2に示された有利な構成では、流動化空気流は、おおよそ垂直に上向きに噴出される。この上向き流と組み合わされて、広がる電極の構成により、垂直に上方向の負圧傾斜が生じる。言い換えると、空気圧は、空気流の方向に減少する。すなわち、チャンバ100の上部にある空気排出口103の空気圧は、チャンバ100の底部にある空気取入口102の空気圧よりも低い。
【0046】
ステップb)で、様々な材料の細粒の混合物Mが流動化空気流の中に導入される。上記の有利な構成では、細粒の混合物が自由落下によって、流動化空気流に対して逆流で導入される。
【0047】
同時にステップc)で、流動化空気流は、細粒が乱流モードの空気流中に浮かび上がり、細粒間の接触および/または分離チャンバの壁との接触によって帯電するように制御される。
【0048】
負圧傾斜により細粒をその寸法と相関的な様々な高さに分布させることが可能になり、大きいまたは重い細粒は底部に残るのに対して、小さいまたは軽い細粒は流動床の中へとより大きく上昇する。流動床の上限は、最小または最軽量の細粒によって定まるが、空気流は、好ましくは、この上限が分離チャンバ100の高さの3分の2を超えないように制御される。
【0049】
したがって、本発明の方法および装置では、細粒の質量による自然分散が実際にチャンバ内で可能になる。したがって、選別チャンバ100の中に導入する前に、混合物Mのサイズによるふるい分けの必要が全くない。混合物Mの細粒の特徴的な直径は、有利には0.5〜5mmの間にあり得る。
【0050】
したがって、本発明による方法および装置では、互いに接触する細粒の寸法均一性を得ることが可能になる。これにより、おおよそ同じ質量であるが異なる材料の2つの細粒が同じ値で反対の電荷を獲得するので、最良の摩擦帯電状態が確保される。こうして、細粒それぞれが電極に引き寄せられることが可能になる。
【0051】
細粒M1p〜M2p、M1g〜M2gが流動化空気流の中に浮かび上がり、摩擦帯電により帯電する間、ステップd)で、電界Eが2つの電極の間に、空気流の方向F1におおよそ垂直に、また陰極から陽極に向かって発生する。
【0052】
本発明を実施するために必要な電界は、1kV/cmより大きいことが好ましい。この電界は、通常は4〜5kV/cmの間である。
【0053】
したがって、ステップc)で帯電した細粒は、正に帯電している場合は電界の方向に、また帯電が負である場合には反対の方向に移動する。図1および図2で、細粒M1pおよびM1gは負に帯電しており、陰極106に向けて電界Eと反対の方向に移動する。細粒M2pおよびM2gは正に帯電しており、陽極105に向けて電界Eと同じ方向に移動する。
【0054】
電気影像力の作用を受けると、正に帯電した細粒M2pおよびM2gは、ステップe)で陽極105に付着する。同様に、負に帯電した細粒M1pおよびM1gは、ステップe)で陰極106に付着する。
【0055】
本発明による方法は、各電極に付着した細粒を除去および収集するステップf)を含む。
【0056】
好ましい一実施形態によれば、このステップf)は、有利には金属などの導電性材料でできているコンベアベルト型の電極を使用して実施される。好ましくは、このコンベアベルトは、表面が平滑なステンレス鋼でできている。金属製の挿入物を伴うプラスチック材料でできたコンベアベルトを使用することもまた、想定することができる。
【0057】
図1および図2に示された実施形態によれば、コンベアベルト型の電極105および106は、その表面に堆積された細粒を除去するために、空気流とおおよそ同じ方向である矢印F2で図示された方向に並進移動する。コンベアベルトを逆の方向、つまり空気流に対しておおよそ逆流で駆動することもまた可能である。しかし、コンベアベルトの表面に付着した細粒が空気流によってはがれる危険がある。
【0058】
コンベアベルトは、電極に対して空気流の反対側に細粒を除去する。次に、細粒は、スクレーパ110を使用してかき落とすことによって、コンベアベルト上に集められる。スクレーパは、細粒をコンベアベルトからはがし、収集器111〜112に導く。
【0059】
ベルトの速度は、細粒の混合物Mを導入する手段109から来る細粒の速度、分離されるべき細粒状混合物の最初の組成、およびベルトの幅と相関関係がある。
【0060】
この速度は、電極に引き寄せられる細粒がベルトの表面に単一の層のみを形成するのに十分であることが必要である。十分でないと電気影像力は、細粒をベルトに付着させるのに十分なだけ大きくならない。
【0061】
さらに、あまりに低い速度を使用することによって、細粒が放電するのに十分な長い間、細粒が電極のベルトと接触したままになる。こうなると、細粒をベルトの表面に付着させる電気影像力を低下させるという影響がある。その場合、細粒には、収集器111〜112で回収できる前にベルトから引き離され、落下して電極の基部に戻るという危険が伴う。空気流が各電極の基部を分離している距離ほど幅広い場合には、落下して戻る細粒を空気流の循環内に返すことができる。そうしなければ細粒は、チャンバ100の底部に落ちてから回収され、次に、手段109によってチャンバの中に再導入されなければならない。
【0062】
一例として、コンピュータ廃棄物から生じるプラスチック材料、約300kg/時の速度、および幅が1mのベルトでは、約5m/分の速度が十分となり得る。
【0063】
本発明による方法はまた、電極をクリーニングするステップg)をステップf)の後に含むこともできる。この目的のために、本発明による分離装置は、図1および図2にブラシ113で図示されている、電極をクリーニングする手段を含む。これらのブラシは、スクレーパ110ではがされていない可能性のある細粒をはがすために使用される。これらは、具体的には、本方法の実施によって不可避的に発生するほこりPをコンベアベルトから除去するために使用される。実際のところ、摩擦帯電中に細粒が互いに衝突すると、ほこりの形を取るこれらの細粒の侵食がいくらか起こる。これはコンベアベルト上に蓄積し、電気影像力による細粒の付着を低減させる可能性がある。ブラシ113は、このほこりをベルトから除去して引力および付着力を装置の動作継続期間の全体にわたって維持するために使用される。
【0064】
好ましくは、図1に示されるように、収集器111〜112は、ほこりを集めてチャンバ100から除去するために、対応するコンベアベルト106〜105に密着している。あるいは、図2に示されるように、ほこりPを専用の収集器114によって除去することもできる。
【0065】
各電極に付着した細粒の除去および収集が可能であるなら、他の手段を使用することもできる。例えば、電極に対して流動化空気流の反対側に配置されたスクレーパと組み合わせた回転電極を使用することが可能である。動かない電極に対して可動である除去および収集手段を使用することもまた可能である。
【0066】
本発明による方法および装置では、帯電は実際には分離チャンバ内で行われ、そのため細粒には、電界を受ける前に電荷を失うという危険が伴わない。
【0067】
さらに、細粒は、帯電するとすぐに反対極性の電極に引き寄せられる。したがって各細粒は、電極に引き寄せられるのに十分な電荷の獲得に必要な時間しか摩擦帯電空気流の中にとどまらない。このため最適の効率が、他の細粒のために空間を残すことによって、また摩擦帯電の獲得のために厳密に必要な空気流の機械的エネルギーだけを使用することによって、得られる。
【0068】
最後に、細粒が電極に付着するとすぐに除去されることによっても、効率が最適になる。というのは細粒には、その電荷を失う時間がなく、他の細粒が電極に付着するための空間が残るからである。
【0069】
好ましくは、本装置は、収集器111〜112によって収集された細粒の質量を測定する手段(図示せず)に連結される、細粒の導入速度を制御する手段を含む。
【0070】
すなわち、ステップb)の細粒の混合物の導入を、単位時間当たりに導入される細粒の質量で表される速度であって、ステップf)で単位時間当たりに収集される細粒の質量にほぼ等しい値に調節された速度で実行する。言い換えると、速度を制御する手段は、測定手段によって測定された質量に応じて細粒の導入速度を制御するように適合される。
【0071】
図2に示された実施形態によれば、空気流は、分離チャンバの中に入る前にあらかじめ加熱される。この目的のために、本発明による静電分離装置は、分離チャンバ100の空気取入口102の上流に配置された、空気流を加熱する手段120を含む。この加熱手段120は、流動化空気の温度を最適温度に調節して、細粒の表面湿気を低減し、摩擦帯電効果による帯電の条件を改善するために使用することができる。例えば、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)材料とHIPS(高衝撃ポリスチレン)材料の細粒の混合物で、1.5〜3mmのサイズでは、この最適温度は35℃と45℃の間にある。
【0072】
本発明による静電分離装置はまた、空気チャンバ130も含み、これは、分離チャンバ100の空気取入口102の下流に配置され、分離チャンバ100の中に入る空気流を均質化する手段を含む。好ましくは、この空気チャンバ130は、空気拡散器102aの上流に配置され、圧縮機131に接続される。
【0073】
空気流を均質化する手段は、例えばガラス球132である。それが空気チャンバ130の中に分布することにより、圧縮空気流を分けることが可能になり、その結果、空気流がチャンバ100の中に入るときにその幅全体にわたって均一になり、分離チャンバ100の中で均一な水平の圧力が確保されることになる。
【0074】
他の実施形態によれば、細粒の導入は、空気流(および、場合により空気の補充流)を用いた分離チャンバの底部からの射出によって、上向きに射出された細粒が乱流モードの空気流中に浮かび上がり、互いの接触および/または分離チャンバの壁との接触によって帯電するように行うことができる。
【符号の説明】
【0075】
100 分離チャンバ
101 壁
102 空気取入口
102a 空気拡散器
103 空気排出口
103a フィルタ
105 電極
106 電極
107 電界を発生する手段
108 空気流を噴射する手段
109 細粒の混合物を導入する手段
110 スクレーパ
111 収集器
112 収集器
113 ブラシ
114 収集器
120 空気流を加熱する手段
130 空気チャンバ
131 圧縮機
132 空気流を均質化する手段
E 電界
F1 矢印、空気流を噴射する方向
F2 矢印、コンベアベルト並進移動方向
M 混合物
M1g 細粒大(負に帯電)
M1p 細粒小(負に帯電)
M2g 細粒大(正に帯電)
M2p 細粒小(正に帯電)
P ほこり
図1
図2