特許第5661177号(P5661177)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5661177ヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール誘導体、その製造方法及び用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5661177
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】ヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロール誘導体、その製造方法及び用途
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20150108BHJP
   A61K 31/407 20060101ALI20150108BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20150108BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20150108BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20150108BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20150108BHJP
【FI】
   C07D487/04 137
   C07D487/04CSP
   A61K31/407
   A61P43/00 111
   A61P3/10
   A61P3/04
   A61P3/06
【請求項の数】10
【全頁数】64
(21)【出願番号】特願2013-511511(P2013-511511)
(86)(22)【出願日】2011年1月28日
(65)【公表番号】特表2013-526588(P2013-526588A)
(43)【公表日】2013年6月24日
(86)【国際出願番号】CN2011070741
(87)【国際公開番号】WO2011147207
(87)【国際公開日】20111201
【審査請求日】2013年1月30日
(31)【優先権主張番号】201010181149.6
(32)【優先日】2010年5月24日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512278629
【氏名又は名称】上海▲陽▼帆医▲藥▼科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】▲盧▼ ▲鵬▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲鋭▼
(72)【発明者】
【氏名】於 万松
(72)【発明者】
【氏名】朱 明杰
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ ▲義▼朗
【審査官】 早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/015699(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/099940(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/135141(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/109336(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/100565(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 487/04
A61K 31/407
A61P 3/04〜10
A61P 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で示される化合物、その各光学異性体、または薬学的に許容される無機塩、有機塩、水和物もしくは溶媒和物。
【化1】

(式中、
Xは、
(1)-C1〜C3アルキレン基-、
(2)-C(O)-、
(3)-S(O)2-、
(4)-C(O)O-、
(5)-C(O)NR1-から選ばれ、
Rは、
(1)H、
(2)未置換またはフッ素、塩素および水酸基から選ばれる1〜3個の置換基で置換されたC1〜C6アルキル基、
(3)未置換またはC1〜C3アルキル基、フッ素、塩素、水酸基、シアノ基およびC(O)NH2から選ばれる1〜2個の置換基で置換されたC3〜C6シクロアルキル基、
(4)未置換またはC1〜C3アルキル基、フッ素、塩素、シアノ基およびS(O)2R2から選ばれる1〜3個の置換基で置換されたフェニル基、
(5)未置換またはC1〜C3アルキル基、フッ素、塩素、シアノ基およびS(O)2R2から選ばれる1〜3個の置換基で置換された、独立なN原子1〜2個を含有する6員複素環、から選ばれ、
R1はHまたはC1〜C3アルキル基であり、
R2はC1〜C3アルキル基である。)
【請求項2】
一般式(Ia)で示される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【化2】

(式中、
Xは、
(1)-C1〜C3アルキレン基-、
(2)-C(O)-、
(3)-S(O)2-、
(4)-C(O)O-、
(5)-C(O)NR1-から選ばれ、
Rは、
(1)H、
(2)未置換またはフッ素、塩素および水酸基から選ばれる1〜3個の置換基で置換されたC1〜C6アルキル基、
(3)未置換またはC1〜C3アルキル基、フッ素、塩素、水酸基、シアノ基およびC(O)NH2から選ばれる1〜2個の置換基で置換されたC3〜C6シクロアルキル基、
(4)未置換またはC1〜C3アルキル基、フッ素、塩素、シアノ基およびS(O)2R2から選ばれる1〜3個の置換基で置換されたフェニル基、
(5)未置換またはC1〜C3アルキル基、フッ素、塩素、シアノ基およびS(O)2R2から選ばれる1〜3個の置換基で置換された、N原子1〜2個を含有する6員複素環、から選ばれ、
R1はHまたはC1〜C3アルキル基であり、
R2はC1〜C3アルキル基である。)
【請求項3】
一般式(Ib)で示される、一般式(Ia)で示される化合物で形成される塩であることを特徴とする請求項2に記載の化合物。
【化3】

(式中、Aは塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、プロパン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、ピクリン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、アスパラギン酸およびグルタミン酸の酸基から選ばれる。)
【請求項4】
Xは-C(O)-であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
前記Rは、未置換またはフッ素、塩素および水酸基から選ばれる1〜3個の置換基で置換されたC1〜C6アルキル基;および、未置換またはC1〜C3アルキル基、フッ素、塩素、水酸基、シアノ基およびC(O)NH2から選ばれる1〜2個の置換基で置換されたC3〜C6シクロアルキル基、から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
表1
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
示される化合物またはその塩から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
薬理的に許容される賦形剤または担体と、請求項1に記載の化合物、その各光学異性体、または薬学的に許容される無機塩、有機塩、水和物もしくは溶媒和物とを含むことを特徴とする薬物組成物。
【請求項8】
(a)DPP-IV阻害剤の製造または(b)DPP-IV関連疾患を治療・予防・緩和する薬物の製造における、請求項1に記載の化合物、その各光学異性体、または薬学的に許容される無機塩、有機塩、水和物もしくは溶媒和物の使用。
【請求項9】
前記DPP-IV関連疾患が、糖尿病、肥満症、高脂血症から選択される、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
(a)不活性溶媒において、ペプチドカップリングの条件下で、式1cで示される化合物を式1dで示される化合物と反応させることにより、式1eで示される化合物を生成させる工程と、
【化4】

(b)不活性溶媒において、塩基性の条件下で、式1eで示される化合物から保護基であるトリフルオロアセチル基を脱離させることにより、式1fで示される化合物を生成させる工程と、
【化5】

(c)不活性溶媒において、式1fで示される化合物をカップリング又はアシル化反応させることにより、式(1g)で示される化合物を生成させる工程と、
【化6】

(d)不活性溶媒において、酸の存在下で、保護基を脱離させることにより、式(Ia)に示される化合物を得る工程と、
【化7】

(前記各式中、
Xは、
(1)-C1〜C3アルキレン基-、
(2)-C(O)-、
(3)-S(O)2-、
(4)-C(O)O-、
(5)-C(O)NR1-から選ばれ、
Rは、
(1)H、
(2)未置換またはフッ素、塩素および水酸基から選ばれる1〜3個の置換基で置換されたC1〜C6アルキル基、
(3)未置換またはC1〜C3アルキル基、フッ素、塩素、水酸基、シアノ基およびC(O)NH2から選ばれる1〜2個の置換基で置換されたC3〜C6シクロアルキル基、
(4)未置換またはC1〜C3アルキル基、フッ素、塩素、シアノ基およびS(O)2R2から選ばれる1〜3個の置換基で置換されたフェニル基、
(5)未置換またはC1〜C3アルキル基、フッ素、塩素、シアノ基およびS(O)2R2から選ばれる1〜3個の置換基で置換された、独立なN原子1〜2個を含有する6員複素環、から選ばれ、
R1はHまたはC1〜C3アルキル基であり、
R2はC1〜C3アルキル基である。)
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の式(I)で示される化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジペプチジルペプチダーゼIV(Dipeptidyl peptidases,DPP-IV)阻害剤である、新型のヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール誘導体に関する。また、本発明は、前記誘導体の製造方法およびジペプチジルペプチダーゼIV関連疾患、例えば糖尿病(特に2型糖尿病)、肥満症および高脂血症の治療・予防における前記誘導体の用途に関する。さらに、本発明は、これらの誘導体を含む薬物組成物、およびジペプチジルペプチダーゼIV関連疾患の予防または治療における前記組成物の用途に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、インスリン分泌不足またはインスリン抵抗性による炭水化物、脂肪やタンパク質の代謝異常であって、主に慢性高血糖(空腹時の血糖濃度が130mg/dL超)および糖尿を特徴とする臨床症候群である。高血糖が継続すると、多くの合併症、例えば、網膜、腎臓、神経系の病変および血管合併症が生じ、特に、心血管合併症は糖尿病患者にとって致死・障害の主な原因であるため、患者の血糖レベルをコントロールすることは合併症の発生を遅延・阻止させるのにとても重要である。
【0003】
2型糖尿病は高血糖を特徴とするよくある慢性疾患であり、それに伴って外周組織におけるインスリン抵抗性、体内におけるインスリン分泌の減少および肝臓における糖新生の増加が生じる[Exp. Opin. Ther. Patents, 2003, 13 (4):99-51]。
【0004】
現在、2型糖尿病を治療する薬物は、主に、インスリン、メトホルミンのようなビグアナイド系、グリメピリドのようなスルホニルウレア系、アカルボースのようなα-グルコシダーゼ阻害剤、ナテグリニドのようなグリニド系、ロシグリタゾンのようなグリタゾン系がある。しかし、これらの薬物は、治療効果が限られると同時に、明らかな副作用があるため、より有効で、より安全な新型の糖尿病治療薬が切望されている。大量の治療ターゲットが検討され、そのうち、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP-IV)をターゲットとする薬物の研究で得られた成果が特に注目されている[Medicinal Research Review, 2009, 29(1), 125-195]。
【0005】
グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)は、膵島α細胞や腸管L細胞に分泌され、グルコース依存的にインスリンの分泌を促進しまたインスリンの生合成を増加させる作用を持つため、GLP-1を使用する糖尿病の治療が科学者たちの注目を引き寄せた。GLP-1は、インスリンの分泌を促進する作用の他、β-細胞の増殖を促進し、β-細胞のアポトーシスを阻害し、グルカゴンとグリコーゲンの生成を抑制し、食欲を抑えて、胃腸内容物の排出速度を低減させ、神経細胞を守るなどの生理機能を有する[Trends Endocrinol Metab, 1999, 10(6):229-235]。GLP-1は、30個のアミノ酸を含有するポリペプチドであり、グルコースと脂肪の刺激で放出される。GLP-1はこれらの特徴によって理想の糖尿病治療薬とされている。GLP-1の継続静脈点滴は、糖尿病患者の血糖を降下させることができ、ひいてはスルホニルウレアによる治療が失敗した患者にも有効であるが、GLP-1の一回皮下注射では効果がなく、連続6週の皮下注射では効果が理想的である。この現象が発生する原因として、GLP-1は体内における半減期がわずか数分間で、すぐに内在性ジペプチジルペプチダーゼ(DPP-IV)によって分解され、N末端のジペプチドが取られることで、インスリンの分泌を促進する活性を失うためである[Expert Opin. Investing. Drugs, 2004, 13(9):1091-1102]。DPP-IVは、幅広く人体内に分布し、GLP-1の主な代謝酵素として、GLP-1活性の調節に重要な作用を発揮する。そのため、DPP-IVを阻害する活性化合物、即ちDPP-IV阻害剤は、GLP-1(インクレチン)の作用を強化することができ、新型の2型糖尿病治療薬として期待されている。
【0006】
このほか、DPP-IV阻害剤は、β-細胞の増殖を促進し、β-細胞のアポトーシスを阻害し、グルカゴンとグリコーゲンの生成を抑制し、食欲を抑えて、体重を維持し、胃腸内容物の排出速度を低減させ、神経細胞を守るなどの作用を有する[Trends Endocrinol Metab, 1999, 10(6):229-235]。そのため、DPP-IV阻害剤は、さらにジペプチジルペプチダーゼ関連の各疾患、例えば、肥満症や高脂血症の治療に用いることもできる[Diabetologia, 2007, 50(6):1148-1155; Regul Pept, 2008, 31(1):108-113]。
【0007】
既存の文献と特許に大量のDPP-IV阻害剤が公開された[Current Medicinal Chemistry, 1999, 6, 311-327;Biochemistry 1999, 38, 11597-11603;Expert Opin. Ther. Patents, 2003,13(4):499-510;Expert Opin. Investing. Drugs, 2005, 15(10):1387-1407]。WO00/34241には、アダマンタン部分が単置換または簡単アルキル置換である、DPP-IV阻害活性を有するN-置換-2-シアノピロール系化合物が公開された。US2003/0100563には、糖尿病を治療するためのβ-アミノ複素環系DPP-IV阻害剤が公開された。WO03/057666には、シクロプロパン化された2-シアノピロール系DPP-IV阻害剤が公開された。US2004/0171848には、gem-ジフェニル側鎖を含有する一連の2-シアノピロール化合物が公開された。WO2005/095381には、新しい構造の2,4-ジオキサ-3,4-ジヒドロピリミジン系DPP-IV阻害剤が公開された。
【0008】
DPP-IV阻害剤であるシタグリプチン(MK-0431)とビルダグリプチン(LAF-237)は、それぞれ米国と欧州で市販され、2型糖尿病の治療に用いられる。
【0009】
【化1】
【0010】
しかしながら、先行技術に開示されたこれらの化合物は、ジペプチジルペプチダーゼに対する阻害活性がまだ満足できず、血糖とHbA1cを降下させる活性もメトホルミンより弱い[Medicinal Research Review, 2009, 29(1), 125-195]。従って、本分野では、ジペプチジルペプチダーゼ(DPP-IV)関連の各種疾患を治療するため、活性と選択性がより高いジペプチジルペプチダーゼ阻害剤の開発が切望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】WO00/34241
【特許文献2】US2003/0100563
【特許文献3】WO03/057666
【特許文献4】US2004/0171848
【特許文献5】WO2005/095381
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Exp. Opin. Ther. Patents, 2003, 13 (4):99-51
【非特許文献2】Medicinal Research Review, 2009, 29(1), 125-195
【非特許文献3】Trends Endocrinol Metab, 1999, 10(6):229-235
【非特許文献4】Expert Opin. Investing. Drugs, 2004, 13(9):1091-1102
【非特許文献5】Trends Endocrinol Metab, 1999, 10(6):229-235
【非特許文献6】Diabetologia, 2007, 50(6):1148-1155; Regul Pept, 2008, 31(1):108-113
【非特許文献7】Current Medicinal Chemistry, 1999, 6, 311-327
【非特許文献8】Biochemistry 1999, 38, 11597-11603
【非特許文献9】Expert Opin. Ther. Patents, 2003,13(4):499-510
【非特許文献10】Expert Opin. Investing. Drugs, 2005, 15(10):1387-1407
【非特許文献11】Medicinal Research Review, 2009, 29(1), 125-195
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、ジペプチジルペプチダーゼIV(Dipeptidyl peptidases,DPP-IV)阻害剤、その製造方法および用途を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第一、本発明は、式(I)に示される化合物、その各光学異性体、各結晶型、または薬学的に許容される無機塩、有機塩、水和物もしくは溶媒和物を提供する。
【0015】
【化2】
【0016】
式中、
Xは、
(1)-C1〜C3アルキレン基-、
(2)-C(O)-、
(3)-S(O)2-、
(4)-C(O)O-、
(5)-C(O)NR1-から選ばれ、
Rは、
(1)H、
(2)未置換またはフッ素、塩素および水酸基から選ばれる1〜3個の置換基で置換されたC1〜C6アルキル基、
(3)未置換またはC1〜C3アルキル基、フッ素、塩素、水酸基、シアノ基およびC(O)NH2から選ばれる1〜2個の置換基で置換されたC3〜C6シクロアルキル基、
(4)未置換またはC1〜C3アルキル基、フッ素、塩素、シアノ基およびS(O)2R2から選ばれる1〜3個の置換基で置換されたフェニル基、
(5)未置換またはC1〜C3アルキル基、フッ素、塩素、シアノ基およびS(O)2R2から選ばれる1〜3個の置換基で置換された、独立なN原子1〜2個を含有する6員複素環、から選ばれ、
R1はHまたはC1〜C3アルキル基であり、
R2はC1〜C3アルキル基である。
【0017】
別の好ましい例において、本発明は、立体化学的に好適な一般式(Ia)に示される化合物を提供する。
【0018】
【化3】
【0019】
式中、
Xは、
(1)-C1〜C3アルキレン基-、
(2)-C(O)-、
(3)-S(O)2-、
(4)-C(O)O-、
(5)-C(O)NR1-から選ばれ、
Rは、
(1)H、
(2)未置換またはフッ素、塩素および水酸基から選ばれる1〜3個の置換基で置換されたC1〜C6アルキル基、
(3)未置換またはC1〜C3アルキル基、フッ素、塩素、水酸基、シアノ基およびC(O)NH2から選ばれる1〜2個の置換基で置換されたC3〜C6シクロアルキル基、
(4)未置換またはC1〜C3アルキル基、フッ素、塩素、シアノ基およびS(O)2R2から選ばれる1〜3個の置換基で置換されたフェニル基、
(5)未置換またはC1〜C3アルキル基、フッ素、塩素、シアノ基およびS(O)2R2から選ばれる1〜3個の置換基で置換された、N原子1〜2個を含有する6員複素環、から選ばれ、
R1はHまたはC1〜C3アルキル基であり、
R2はC1〜C3アルキル基である。
【0020】
別の好ましい例において、本発明は、一般式(Ib)のような、一般式(Ia)に示される化合物の塩の様態を提供する。
【0021】
【化4】
【0022】
式中、Aは塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、プロパン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、ピクリン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、アスパラギン酸およびグルタミン酸の酸基(またはアニオン部分)から選ばれる。別の好ましい例において、前記塩は塩酸、リン酸、メタンスルホン酸、フマル酸から選ばれる。
【0023】
本発明の化合物は不斉炭素数が3個であるため、一般式(I)は、単一の光学異性体、単一のエナンチオマー、単一のジアステレオマー、ジアステレオマー混合物およびラセミ体混合物を含む。
【0024】
別の好ましい例において、前記Xは-C(O)-である。
【0025】
別の好ましい例において、前記Rは、未置換またはフッ素、塩素および水酸基から選ばれる1〜3個の置換基で置換されたC1〜C6アルキル基;および、未置換またはC1〜C3アルキル基、フッ素、塩素、水酸基、シアノ基およびC(O)NH2から選ばれる1〜2個の置換基で置換されたC3〜C6シクロアルキル基、から選ばれる。
【0026】
別の好ましい例において、前記R1は、水素または未置換のC1〜C3アルキル基である。
【0027】
別の好ましい例において、前記R2は、未置換のC1〜C3アルキル基である。
【0028】
別の好ましい例において、前記化合物は、表1に示される化合物またはその塩から選ばれる。
【0029】
第二、本発明は、薬理的に許容される賦形剤または担体と、本発明の前記化合物、その各光学異性体、各結晶型、または薬学的に許容される無機塩、有機塩、水和物もしくは溶媒和物とを含む薬物組成物を提供する。
【0030】
第三、本発明は、DPP-IV阻害剤の製造における、本発明の前記化合物、その各光学異性体、各結晶型、または薬学的に許容される無機塩、有機塩、水和物もしくは溶媒和物の用途を提供する。
【0031】
第四、本発明は、DPP-IV関連疾患を治療・予防・緩和する薬物の製造における、本発明の前記化合物、その各光学異性体、各結晶型、または薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の用途を提供する。
【0032】
別の好ましい例において、前記DPP-IV関連疾患は、糖尿病、肥満症、高脂血症から選ばれる。
【0033】
第五、本発明は、本発明の前記化合物、その各光学異性体、各結晶型、または薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の製造方法を提供する。該方法は、
(a)不活性溶媒において、ペプチドカップリングの条件下で、式1cに示される化合物を式1dに示される化合物と反応させることにより、式1eに示される化合物を生成させる工程と、
【0034】
【化5】
【0035】
(b)不活性溶媒において、塩基性の条件下で、式1eに示される化合物から保護基であるトリフルオロアセチル基を脱離させることにより、式1fに示される化合物を生成させる工程と、
【化6】
【0036】
(c)不活性溶媒において、式1fに示される化合物をカップリング又はアシル化反応させることにより、式(1g)に示される化合物を生成させる工程と、
【化7】
【0037】
(d)不活性溶媒において、酸の存在下で、保護基を脱離させることにより、式(Ia)に示される化合物を得る工程と、
【0038】
【化8】
【0039】
(前記各式中、
Xは、
(1)-C1〜C3アルキレン基-、
(2)-C(O)-、
(3)-S(O)2-、
(4)-C(O)O-、
(5)-C(O)NR1-から選ばれ、
Rは、
(1)H、
(2)無置換またはフッ素、塩素および水酸基から選ばれる1〜3個の置換基で置換されたC1〜C6アルキル基、
(3)無置換またはC1〜C3アルキル基、フッ素、塩素、水酸基、シアノ基およびC(O)NH2から選ばれる1〜2個の置換基で置換されたC3〜C6シクロアルキル基、
(4)無置換またはC1〜C3アルキル基、フッ素、塩素、シアノ基およびS(O)2R2から選ばれる1〜3個の置換基で置換されたフェニル基、
(5)無置換またはC1〜C3アルキル基、フッ素、塩素、シアノ基およびS(O)2R2から選ばれる1〜3個の置換基で置換された、独立なN原子1〜2個を含有する6員複素環、から選ばれ、
R1はHまたはC1〜C3アルキル基であり、
R2はC1〜C3アルキル基である。)
を含む。
【0040】
別の好ましい例において、前記方法は、さらに、式(Ia)に示される化合物を酸HAと反応させることにより(Ia)の塩の様態(Ib)を生成させる工程(e)を含む。
【0041】
【化9】
【0042】
(式中、Aは無機酸または有機酸の酸基を表す。)
【0043】
別の好ましい例において、前記方法は、不活性溶液において標準のペプチドカップリングの条件下で式1cに示される化合物を式1dに示される化合物と反応させ、さらに塩基性の条件下でトリフルオロアセチル基を脱離させ、カップリングさせ、酸性条件下でBoc保護基を脱離させることにより式(Ia)に示される化合物を生成させ、さらに酸と反応させ塩である式(Ib)に示される化合物を生成させる工程を含む。
【0044】
【化10】
【0045】
(式中、R、AおよびXは前記の通りである。)
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明者らは、構造活性相関について検討し、大量の化合物を合成し、且つ体外におけるスクリーニング、選択性、代謝、体内における糖降下活性などについて大量の系統的な研究を行ったところ、初めて一般式(I)に示される化合物がDPP-IVに対して高い阻害活性を持ち、DPP-IVの阻害剤として特に適することを見出して、本発明を完成するに至った。
【0047】
定義
特に説明しない限り、明細書と特許請求の範囲における以下の技術用語は下記意味を有する。
【0048】
「アルキル基」とは、飽和の脂肪族炭化水素基を指し、炭素数1〜6の直鎖及び分枝鎖の基を含む。炭素1〜6を含む中等大きさのアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、2-プロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、2,2-ジメチルプロピル基、ペンチル基などが好ましく、炭素1〜4を含む低級アルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、2-プロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基などがより好ましい。
【0049】
「アルキレン基」とは、炭素1〜6を含む直鎖または分枝鎖の2価炭化水素鎖を指す。炭素1〜3を含む中等大きさのアルキル基、例えばメチレン基、エチレン基やプロピレン基が好ましい。
【0050】
「シクロアルキル基」とは、一つ又は複数の環が一つ又は複数の二重結合を含み且つすべての環が完全共役のπ電子系を有さない、3〜8員全炭素単環基、全炭素5員/6員もしくは6員/6員の縮合環基または多環縮合環基を指す。シクロアルキル基の実例として、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキサン、シクロヘキサジエン、アダマンタン、シクロヘプタン、シクロヘプタトリエン等がある。シクロプロピル基、シクロブチル基がより好ましい。
【0051】
「フェニル基」とは、少なくとも一つの芳香環構造を有する基、即ち共役のπ電子系を有する芳香環を指し、炭素環アリール基、ヘテロアリール基を含む。
【0052】
「複素環」とは、酸素、硫黄、窒素を含むヘテロ原子1〜3個を環原子として有し、他の環原子が炭素であるアリール基を指す。前記環は、5員または6員環でもよい。複素環のアリール基の実例として、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピロール、N-アルキルピロリル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、トリアゾリル基、トリアジニル基を含むが、これらに限定されない。
【0053】
活性成分
本発明における「本発明の化合物」とは、式(I)に示される化合物を指す。この技術用語は、さらに、式(I)に示される化合物の各結晶型、薬学的に許容される無機塩、有機塩、水和物または溶媒和物を含む。
【0054】
本発明の化合物は、一つ又は複素の不斉中心を有することによって、メソ体、ラセミ体混合物、単一のエナンチオマー、ジアステレオマー化合物や単一のジアステレオマーの様態で現れても良い。存在し得る不斉中心は、分子における各置換基の性質によって決まる。不斉中心ごとに二つの光学異性体が独立で生じ、そして、全ての可能な光学異性体とジアステレオマー混合物および単離又は一部単離の化合物が本発明の範囲に含まれる。本発明は、これらの化合物の全てのこのような異性体の様態を含むようになっている。
【0055】
本発明の化合物は不斉炭素数が1個また数個であるため、一般式(I)には、ラセミ体、ラセミ混合物、単一のエナンチオマー、ジアステレオマー混合物および単一のジアステレオマーが含まれる。
【0056】
本発明に用いられる「薬学的に許容される塩」とは、薬学的に許容される塩であれば、特に制限されない。具体的に、酸と形成される塩が挙げられる。塩の形成に適切な酸としては、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸;ギ酸、酢酸、プロパン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、ピクリン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などの有機酸;およびアスパラギン酸およびグルタミン酸などの酸性アミノ酸を含むが、これらに限定されない。
【0057】
本発明の式(I)に示される化合物のうち、代表的な化合物の名称および構造式は以下の通りである。
【0058】
【化11】
【0059】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【0060】
製造方法
以下、本発明の構造式(I)化合物の製造方法を具体的に説明するが、これらの具体的な方法は本発明に対する制限にならない。また、反応条件、例えば反応物、溶媒、塩基、化合物の使用量、反応温度、反応の所要時間などが以下の解釈に限定されない。
【0061】
本発明の化合物は、本明細書に記載の又は本分野で公知の各種合成方法を任意に組合せて便利に製造することもでき、このような組合せは当業者にとって容易に実施することである。
【0062】
本発明の製造方法では、各反応は通常、不活性溶媒において0℃〜溶媒の還流温度(好ましくは室温〜80℃)で行われる。反応時間は通常、0.1時間〜60時間、好ましくは0.5〜48時間である。
【0063】
一つの好ましい例において、本発明の式(I)化合物は、以下の合成経路に従って製造することができる。
【0064】
【化12】
【0065】
合成経路:
【0066】
【化13】
【0067】
X、AおよびRの定義は、前記の通りである
(1) 化合物1a〜1cは、特許の方法に従って製造する[US20050101602]。
(2) 化合物1dは、文献の方法に従って製造する[J. Med. Chem. 2005, 48, 141]。
(3) 不活性の非プロトン性極性溶媒において、化合物1cと1dを、標準のペプチドカップリングの条件下で、例えば、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノ)カルボジイミドと1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(EDC/HOBT)、或いはヘキサフルオロリン酸 (7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウレアと1-ヒドロキシベンゾトリアゾールを使用し、1〜36h反応させ、化合物1eを得る。反応温度は、-20〜40℃である。非プロトン性極性溶媒は、塩化メチレン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、エチルエーテル、メチル-t-ブチルエーテル、1,6-ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル又はこれらの組合せを含むが、これらに限定されない。好適な条件は、塩化メチレンを溶媒とし、カップリング剤EDC/HOBTの存在下で、20〜40℃で12〜24時間反応させることである。
(4) 不活性の極性溶媒において、化合物1eを、塩基の存在下で-20〜40℃で1〜36h反応させ、化合物1fを生成させる。極性溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、水、テトラヒドロフランなどを含むが、これらに限定されない。塩基は、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを含むが、これらに限定されない。好適な条件は、メタノールと水の混合溶媒において、炭酸カリウムを入れ、20〜40℃で12〜24時間反応させることである。
(5) 一般式IA化合物は、以下に示される方法に従って製造することができる。
方法1:不活性の非プロトン性極性溶媒において、化合物1fを、標準のペプチドカップリングの条件下で、例えば、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノ)カルボジイミドと1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(EDC/HOBT)、或いはヘキサフルオロリン酸 (7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウレアと1-ヒドロキシベンゾトリアゾールを使用し、1〜36h反応させ、化合物IAを得る。反応温度は、-20〜40℃である。非プロトン性極性溶媒は、塩化メチレン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、エチルエーテル、メチル-t-ブチルエーテル、1,6-ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリルなどを含むが、これらに限定されない。好適な条件は、塩化メチレンを溶媒とし、カップリング剤EDC/HOBTの存在下で、20〜40℃で12〜24時間反応させることである。
方法2:不活性の非プロトン性極性溶媒において、化合物1fを各種アルキル基、アリール基アシルクロリドまたは酸無水物と、適宜の温度で塩基の存在下で反応させ、化合物Igを得る。非プロトン性極性溶媒は、塩化メチレン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、エチルエーテル、メチル-t-ブチルエーテル、1,4-ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリルなどを含むが、これらに限定されない。温度範囲は、0〜100℃である。塩基は、イミダゾール、トリエチルアミン、ピリジン、N-メチルモルホリン、モルホリン、N,N-ジイソプロピルエチルアミンなどを含むが、これらに限定されない。好適な条件は、トリエチルアミンを塩基とし、塩化メチレンを溶媒とし、20〜40℃で12〜24時間反応させることである。
(6) 不活性の非プロトン性極性溶媒において、化合物Igを酸の存在下で保護基を脱離させ、一般式(I)化合物を得る。非プロトン性極性溶媒は、塩化メチレン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、エチルエーテル、メチル-t-ブチルエーテル、1,4-ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリルなどを含むが、これらに限定されない。酸は、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、塩酸、メタンスルホン酸などを含むが、これらに限定されない。好適な条件は、塩化メチレンを溶媒とし、トリフルオロ酢酸を入れ、20〜40℃で0.5〜2時間反応させることである。
(7) 本発明の方法は、任意の塩形成工程を含んでもよい。例えば、不活性の極性溶媒において、一般式(Ia)化合物を酸と塩を生成させ、一般式(Ib)化合物を得ることができる。極性溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、水、酢酸エチル、アセトニトリルまたはこれらの組合せを含むが、これらに限定されない。酸は、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、リン酸などの無機酸;ギ酸、酢酸、プロパン酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、ピクリン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などの有機酸;およびアスパラギン酸、グルタミン酸などの酸性アミノ酸を含むが、これらに限定されない。好適な酸は、塩酸、リン酸、フマル酸、メタンスルホン酸などである。好適な条件は、エタノールにおいて、好適な酸と20〜40℃で0.5〜2時間反応させることである。
(8) そのエナンチオマーやジアステレオマーの合成は、適切なキラル原料を用いて前記製造方法によって得ることができる。
【0068】
薬物組成物および投与方法
本発明の化合物は優れたDPP-IV阻害作用を有するため、本発明の化合物およびその各結晶型、薬学的に許容される無機塩、有機塩、水和物もしくは溶媒和物、並びに本発明の化合物を主な活性成分として含有する薬物組成物は、DPP-IV関連疾患の治療、予防および緩和に有用である。先行技術によれば、本発明の化合物は、2型糖尿病、肥満症、高脂血症の治療に有用である。
【0069】
本発明の薬物組成物は、安全な有効量の範囲にある本発明の化合物またはその薬理的に許容される塩と、薬理的に許容される賦形剤または担体と含む。ここで、「安全な有効量」とは、化合物の量が病状の顕著な改善に充分であるが、重度な副作用が生じないことを指す。薬物組成物は通常、本発明の化合物を1〜1000mg/製剤で、好ましくは5〜500mg/製剤で、より好ましくは10〜200mg/製剤で含有する。
【0070】
本発明の化合物およびその薬理的に許容される塩は、各種の製剤とすることができる。前記製剤には、安全な有効量の範囲にある本発明の化合物または薬理的に許容される塩と、薬理的に許容される賦形剤または担体とが含まれる。ここで、「安全な有効量」とは、化合物の量が病状の顕著な改善に充分であるが、重度な副作用が生じないことを指す。化合物の安全な有効量は、治療対象の年齢、病状、治療段階などの具体的な状況によって決定する。
【0071】
「薬理的に許容される賦形剤または担体」とは、ヒトに適用し且つ十分な純度および充分に低い毒性を持つ、一種または複数種の適合性固体または液体フィラー或いはゲル物質を指す。ここで、「適合性」とは、組成物における各成分が本発明の化合物と、また各成分同士の間で配合することができ、化合物の効果を顕著に低下させないことを指す。薬理的に許容される賦形剤または担体の一部の例として、セルロースおよびその誘導体(例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースナトリウム、セルロースアセテートなど)、ゼラチン、タルク、固体潤滑剤(例えばステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム)、硫酸カルシウム、植物油(例えば大豆油、ゴマ油、落花生油、オリーブオイルなど)、多価アルコール(例えばプロピレングリコール、グリセリン、マンニトール、ソルビトールなど)、乳化剤(例えばTween(登録商標))、湿潤剤(例えばドデシル硫酸ナトリウム)、着色剤、調味剤、安定剤、酸化防止剤、防腐剤、発熱性物質除去蒸留水などがある。
【0072】
本発明の化合物は、経口、直腸、胃腸外(静脈内、筋肉内または皮下)、局部で投与することができる。
【0073】
経口投与に用いられる固体剤型は、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤および顆粒剤を含む。これらの固体剤型において、活性化合物は、少なくとも一種の通常の不活性賦形剤(又は担体)、例えばクエン酸ナトリウム又はリン酸二カルシウムと混合するか、或いは、(a)フィラー又は増容剤、例えばでん粉、乳糖、ショ糖、グルコース、マンニトールやケイ酸;(b)バインダー、例えばヒドロメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖やアラビアゴム;(c)保湿剤、例えばグリセリン;(d)崩壊剤、例えば寒天、炭酸カルシウム、馬鈴薯でん粉やタピオカでん粉、アルギン酸、ある複合ケイ酸塩や炭酸ナトリウム;(e)溶解遅延剤、例えばパラフィン;(f)吸収促進剤、例えば第4級アンモニウム化合物;(g)湿潤剤、例えばセタノール、グリセリンモノステアレート;(h)吸着剤、例えばカオリン;(i)潤滑剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ドデシル硫酸ナトリウム;またはこれらの混合物と混合する。カプセル剤、錠剤および丸剤には、緩衝剤を含んでもよい。
【0074】
固体剤型、例えば錠剤、ピル、カプセル剤、丸剤や顆粒剤は、コーディング材やシェル材、例えば腸溶コーティング材および本分野における他の公知材料を用いて、製造することができる。これらの固体剤型には、不透明剤が含まれてもよく、且つ組成物における活性物または化合物が遅延の様態で消化管の特定部分で放出されてもよい。成分包埋に用いられるものの実例として、重合物質やワックス系物質が挙げられる。必要に応じて、活性化合物は前記賦形剤のうちの一種または複数種とマイクロカプセルに形成してもよい。
【0075】
経口投与に用いられる液体剤型は、薬学的に許容される乳液、溶液、懸濁液、シロップまたはチンキ剤を含む。液体剤型は、活性化合物の他、本分野で通常使用される不活性の希釈剤、例えば水または他の溶媒、増容剤及び乳化剤を含んでもよい。不活性の希釈剤として、例えば、エタノール、イソプロパノール、炭酸エチル、酢酸エチル、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、ジメチルホルムアミドおよび油、特に綿実油、落花生油、コーン油、オリーブ油、ヒマシ油やゴマ油またはこれらの混合物などが挙げられる。
【0076】
組成物は、これら不活性の希釈剤の他、助剤、例えば湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、甘味料、矯味剤や香料を含んでもよい。
【0077】
懸濁液は、活性化合物の他、懸濁剤、例えばエトキシ化イソオクタデカノール、ポリオキシエチレンソルビトールやソルビタンエステル、微晶質セルロース、メトキシアルミニウムや寒天またはこれらの混合物などを含んでもよい。
【0078】
胃腸外注射用組成物は、生理的に許容される無菌水含有溶液または無水溶液、分散液、懸濁液や乳液、及び再溶解して無菌の注射可能な溶液または分散液にするための無菌粉末を含む。適切な水含有担体または非水性担体、希釈剤、溶媒または賦形剤は、水、エタノール、多価アルコールおよびそれらの適切な混合物を含む。
【0079】
本発明の化合物の局部投与用剤型は、軟膏剤、散剤、湿布剤、噴霧剤や吸入剤を含む。活性成分は、無菌条件で生理的に許容される担体および任意の防腐剤、緩衝剤、または必要に応じて駆出剤と一緒に混合する。
【0080】
本発明の化合物は、単独で投与してもよいし、他の薬学的に許容される化合物と併用して投与してもよい。
【0081】
薬物組成物を使用する際、本発明の化合物を安全な有効量で治療必要のある哺乳動物(例えばヒト)に投与する。薬学上で効果があるとされる投与量で使用し、体重60kgのヒトの場合、毎日の投与量は、通常1〜1,000mg、好ましくは20〜500mgである。勿論、具体的な投与量は、投与経路、患者の健康状況などの要素を考えるべきで、すべて熟練の医者の技能範囲以内である。
【0082】
本発明の主な利点は以下の通りである。
(1) 本発明の化合物は、ジペプチジルペプチダーゼ(DPP-IV)に対してより強い阻害活性および体内における糖降下活性を持つ。
(2) 本発明の化合物は、新型のジペプチジルペプチダーゼ(DPP-IV)阻害剤である。
(3) 本発明の化合物は、製造方法が簡単、製造コストが低い。
【実施例】
【0083】
以下、具体的な実施例によって本発明をさらに説明するが、これらの実施例は本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を制限するものではないと理解すべきである。以下の実施例において、具体的な条件が記載されていない実験方法は、通常、通常の条件或いはメーカーの薦めの条件で行われた。特に説明しない限り、部と百分率はそれぞれ重量部と重量百分率である。
【0084】
すべての実施例において、融点はMEL-TEMP融点測定装置で測定され、温度計が校正されなかった。1H-NMRは核磁気共鳴装置Varian Mercury 400で記録され、化学シフトがδ(ppm)で表示された。分離はシリカゲルを使用し、説明が無い限り、200〜300メッシュを使用し、カラムクロマトグラフィとTLC検出に使用される展開溶媒の比率は体積比であった。
【0085】
実施例1
工程1:(3aR,6aR)-1-[(1R)-1-フェネチル]-5-(トリフルオロアセチル)オクタヒドロピロロ[3,4-b]ピロール1bの製造
【0086】
【化14】
【0087】
氷浴下で、(3aS,6aS)-オクタヒドロ-1-[(R)-1-フェネチル]ピロロ[3,4-b]ピロール1a(390 mg. 1.80 mmol)を塩化メチレン(10 mL)に溶解させ、N,N-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(40 mg, 0.18 mmol)およびトリエチルアミン(TEA)(0.39 mL, 2.70 mmol)を入れ、さらにトリフルオロ酢酸無水物(TFAA)(0.38 mL, 2.7 mmol)を滴下し、室温で一晩撹拌し、水を入れ、水相を塩化メチレンで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、回転乾燥し、カラムクロマトグラフィで(塩化メチレン:メタノール=50:1)精製し、標題の化合物1bを黄色の油状物(250 mg, 45 %)として得た。1H NMR (CDCl3, 400 MHz): 1.40 (t, 3H), 1.60 (m, 1H), 2.07 (m, 1H), 2.53 (m, 1H), 2.76-2.84 (m, 2H), 2.99 (m, 1H), 3.09 (m, 1H), 3.39 (m, 1H), 3.62 (m, 3H), 7.27 (m, 5H).
【0088】
工程2:2,2,2-トリフルオロ-1-((3aR,6aR)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-5(1H)-イル)エタノン1cの製造
【0089】
【化15】
【0090】
(3aR,6aR)-1-[(1R)-1-フェネチル]-5-(トリフルオロアセチル)オクタヒドロピロロ[3,4-b]ピロール1b(250 mg, 0.80 mmol)をメタノール(10 mL)に溶解させ、Pd(OH)2(100 mg)を入れ、室温で一晩触媒作用で水素化させ、ろ過し、乾燥まで濃縮し、塩化メチレンを入れ、さらに乾燥まで濃縮し、標題の化合物1cを無色の油状物(272 mg, 100 %)として得た。1H NMR (CDCl3, 400 MHz): 1.46 (s 9H), 1.80 (m, 1H), 2.07 (m, 1H), 2.53 (m, 1H), 2.76-2.84 (m, 2H), 2.99 (m, 1H), 3.09 (m, 1.5H), 3.39 (m, 1.5H), 3.62 (m, 1H). MS m/z (ESI):209.1 (M+1)。
【0091】
工程3:(R)-4-((3aS,6aS)-5-(2,2,2-トリフルオロアセチル)ヘキサピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル1eの製造
【0092】
【化16】
【0093】
(R)-3-(t-ブトキシカルボニルアミノ)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン酸1d(435 mg, 1.30 mmol)および2,2,2-トリフルオロ-1-((3aR,6aR)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-5(1H)-イル)エタノン1c(272 mg, 1.30 mmol)を塩化メチレン(10 mL)に溶解させ、順に1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)(202 mg, 1.50 mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)(288 mg, 1.50 mmol)およびトリエチルアミン(151 mg, 1.50 mmol)を入れ、室温で撹拌して4時間反応させた。有機相を順に1N希塩酸(10 mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィで精製し、標題の化合物1e(578 mg, 85%)を白色固体として得た。MS m/z (ESI):524.2(M+1)。
【0094】
工程4:(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル1fの製造
【0095】
【化17】
【0096】
(R)-4-((3aS,6aS)-5-(2,2,2-トリフルオロアセチル)ヘキサピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル1e(578 mg, 1.1 mmol)をメタノール/水(5:1, 12 mL)に溶解させ、炭酸カリウム(167 mg, 1.2 mmol)を入れ、室温で2h撹拌し、乾燥まで濃縮し、水を入れ、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、乾燥まで濃縮して標題の化合物1f(470 mg, 100%)を白色固体として得た。MS m/z (ESI):428.2(M+1)。
【0097】
工程5:(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロ-5-メチルピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル1gの製造
【0098】
【化18】
【0099】
(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル1f(200 mg, 0.46 mmol)を36%のホルムアルデヒド溶液(10 mL)に溶解させ、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(100 mg, 0.46 mmol)を入れ、室温で20時間撹拌した。溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(25 mL)を入れて反応を中止させ、水層を塩化メチレンで抽出し(20 mL × 3)、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィで精製し、標題の化合物1g(145 mg, 72%)を無色の油状物として得た。MS m/z (ESI):441.2 (M+1)。
【0100】
工程6:(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロ-5-メチルピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン フマル酸塩である化合物1の製造
【0101】
【化19】
【0102】
(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロ-5-メチルピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル1g(145 mg, 0.33 mmol)を塩化メチレン(1mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(TFA)(1 mL)を滴下し、室温で撹拌して1時間反応させ、TLCのモニタリングで反応終了がわかった後、濃縮し、塩化メチレン(15 mL)を入れ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(15 mL)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、残留物をエタノールに溶解させ、フマル酸(20 mg, 0.17 mmol)を入れ、室温で30min撹拌し、固体が析出し、吸引ろ過で標題の化合物1(360 mg, 91%)を白色固体として得た。MS m/z (ESI):342.2 (M+1)。1H NMR (D2O, 400 MHz): δ 1.78 (m, 1H), 2.00 (m, 1H), 2.65-2.77 (m, 5H), 2.86-2.99 (m, 2H), 3.41-3.48 (m, 5H), 3.83 (m, 3H), 4.24-4.33 (m, 1H), 7.00-7.05 (m, 2H)。
【0103】
実施例2
工程1:(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロ-5-メトキシホルミルピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル2aの製造
【0104】
【化20】
【0105】
(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル1f(250 mg, 0.58 mmol)を塩化メチレン(20 mL)に溶解させ、順にトリエチルアミン(59 mg, 0.58 mmol)およびクロロギ酸メチル(55 mg, 0.58 mmol)を入れ、室温で一晩撹拌した。反応液に水(10 mL)を入れ、有機相を分離し、水層を塩化メチレン(20 mL)で抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィで精製し、標題の化合物2a(278 mg, 99%)を無色の油状物として得た。MS m/z (ESI):486.2(M+1)。
【0106】
工程2:(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-メトキシカルボニルヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン フマル酸塩である化合物2の製造
【0107】
【化21】
【0108】
実施例1の工程6と類似の操作に従って、(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロ-5-メトキシカルボニルピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル2a(278 mg, 0.57 mmol)を塩化メチレン(1mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(TFA)(1 mL)を滴下し、反応終了後、フマル酸(33 mg, 0.29 mmol)を入れ、標題の化合物2(180 mg, 82%)を白色固体として得た。MS m/z (ESI):386.2 (M+1)。1H NMR (D2O, 400 MHz):δ 1.86 (m, 1H), 2.22 (m, 1H), 2.76-3.24 (m, 6H) 3.45-3.63 (m, 4H), 3.75 (s, 3H), 3.80-4.25 (m, 4H), 4.50 (m, 1H), 6.63 (s, 1H), 6.78 (m, 1H), 7.23 (m, 1H)。
【0109】
実施例3
工程1:(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロ-5-(N,N-ジメチルアミノホルミル)-ピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル3aの製造
【0110】
【化22】
【0111】
(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル1f(210 mg, 0.49 mmol)を塩化メチレン(20 mL)に溶解させ、順にジメチルアミノホルミルクロリド(52 mg, 0.49 mmol)およびトリエチルアミン(49 mg, 0.49 mmol)を入れ、室温で一晩撹拌した。反応液に水(10 mL)を入れ、有機相を分離し、水層を塩化メチレン(20 mL)で抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィで精製し、標題の化合物3a(151 mg, 62%)を無色の油状物として得た。MS m/z (ESI):499.2 (M+1)。
【0112】
工程3:(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(N,N-ジメチルアミノホルミル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン フマル酸塩である化合物3の製造
【0113】
【化23】
【0114】
実施例1の工程6と類似の操作に従って、(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロ-5-(N,N-ジメチルアミノホルミル)-ピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル3a(151 mg, 0.30 mmol)を塩化メチレン(1mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(TFA)(1 mL)を滴下し、反応終了後、フマル酸(17 mg, 0.15 mmol)を入れ、標題の化合物3(77 mg, 56%)を白色固体として得た。MS m/z (ESI):399.2 (M+1)。1H NMR (D2O, 400 MHz):δ 1.95 (m, 1H), 2.19 (m, 1H), 2.64-3.18 (m, 12H) 3.38-3.62 (m, 4H), 3.68-4.15 (m, 4H), 4.45 (m, 1H), 6.61 (s, 1H), 6.78 (m, 1H), 7.23 (m, 1H)。
【0115】
実施例4
工程1:(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロ-5-(クロロホルミル)-ピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル4aの製造
【0116】
【化24】
【0117】
(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル1f(400 mg, 0.93 mmol)を塩化メチレン(20 mL)に溶解させ、固体のトリホスゲン(92 mg, 0.31 mmol)を入れ、-10℃でトリエチルアミン(94 mg, 0.93 mmol)を滴下し、室温で3h撹拌した。反応液に水(10 mL)を入れ、有機相を分離し、水層を塩化メチレン(20 mL)で抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して標題の化合物4a(432 mg, 95%)を無色の油状物として得た。精製せず、直接次ぎの反応に入った。
【0118】
工程2:(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロ-5-(メチルアミノホルミル)-ピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル4bの製造
【0119】
【化25】
【0120】
(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロ-5-(クロロホルミル)-ピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル4a(432 mg, 0.88 mmol)をエタノール(5 mL)に溶解させ、33%のメチルアミン/エタノール溶液(5 mL)を入れ、室温で2h撹拌し、減圧で溶媒を除去し、残留物をカラムクロマトグラフィで精製し、標題の化合物4b(225 mg, 53%)を無色の油状物として得た。MS m/z (ESI):485.2 (M+1)。
【0121】
工程3:(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(N-メチルアミノホルミル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン フマル酸塩である化合物4の製造
【0122】
【化26】
【0123】
実施例1の工程6と類似の操作に従って、(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロ-5-(メチルアミノホルミル)-ピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル4b(225 mg, 0.46 mmol)を塩化メチレン(1mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(TFA)(1 mL)を滴下し、反応終了後、フマル酸(27 mg, 0.23 mmol)を入れ、標題の化合物4(95 mg, 47%)を白色固体として得た。MS m/z (ESI):385.2 (M+1)。1H NMR (D2O, 400 MHz):δ 1.93 (m, 1H), 2.17 (m, 1H), 2.63-3.15 (m, 9H) 3.36-3.60 (m, 4H), 3.66-4.14 (m, 4H), 4.45 (m, 1H), 6.60 (s, 1H), 6.78 (m, 1H), 7.23 (m, 1H)。
【0124】
実施例5
工程1:(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロ-5-(アミノホルミル)-ピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル5aの製造
【0125】
【化27】
【0126】
(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロ-5-(クロロホルミル)-ピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル4a(489 mg, 1.00 mmol)をアンモニアのメタノール溶液(10 mL)に溶解させ、室温で一晩撹拌し、減圧で溶媒を除去し、残留物をカラムクロマトグラフィで精製し、標題の化合物5a(329 mg, 70%)を無色の油状物として得た。MS m/z (ESI):471.1 (M+1)。
【0127】
工程2:(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(アミノホルミル)ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン フマル酸塩である化合物5の製造
【0128】
【化28】
【0129】
実施例1の工程6と類似の操作に従って、(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロ-5-(アミノホルミル)-ピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル5a(329 mg, 0.70 mmol)を塩化メチレン(1mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(TFA)(1 mL)を滴下し、反応終了後、フマル酸(41 mg, 0.35 mmol)を入れ、標題の化合物5(78 mg, 26%)を白色固体として得た。MS m/z (ESI):371.2 (M+1)。1H NMR (D2O, 400 MHz): δ 1.92 (m, 1H), 2.15 (m, 1H), 2.63-3.11 (m, 6H) 3.36-3.55 (m, 4H), 3.61-4.12 (m, 4H), 4.42 (m, 1H), 6.58 (s, 1H), 6.78 (m, 1H), 7.23 (m, 1H)。
【0130】
実施例6
工程1:シクロプロピル((3aR,6aR)-ヘキサヒドロ-1-[(R)-1-フェネチル]ピロロ[3,4-b]ピロール-5(1H)-イル)メチルケトン6bの製造
【0131】
【化29】
【0132】
(3aR,6aR)-オクタヒドロ-1-[(R)-1-フェネチル]ピロロ[3,4-b]ピロール6a(米国特許第20050101602号に従って製造したもの)(340 mg, 1.57 mmol)およびシクロプロピルギ酸(135 mg, 1.57 mmol)を塩化メチレン(20 mL)に溶解させ、順にHOBt(255 mg, 1.89 mmol)、EDC(362 mg, 1.89 mmol)およびトリエチルアミン(191 mg, 1.89 mmol)を入れ、室温で一晩撹拌した。反応液に水(10 mL)を入れ、有機相を分離し、水層を塩化メチレン(20 mL)で抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィで精製し、シクロプロピル(3aR,6aR)-ヘキサヒドロ-1-[(R)-1-フェネチル]ピロロ[3,4-b]ピロール-5(1H)-メチルケトン6b(330 mg, 75%)を無色の油状物として得た。MS m/z (ESI):285.2(M+1)。
【0133】
工程2:シクロプロピル((3aR,6aR)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-5(1H)-イル)メチルケトン6cの製造
【0134】
【化30】
シクロプロピル((3aR,6aR)-ヘキサヒドロ-1-[(R)-1-フェネチル]ピロロ[3,4-b]ピロール-5(1H)-メチルケトン6b(330 mg, 1.16 mmol)を無水メタノール(10 mL)に溶解させ、水酸化パラジウム/炭素(90 mg)を入れ、室温で触媒作用で3時間水素化させ、濃縮してシクロプロピル((3aR,6aR)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-5(1H)-イル)メチルケトン6c(200 mg, 96%)を無色の油状物として得た。MS m/z (ESI):181.1(M+1)。
【0135】
工程3:(R)-3-アミノ-1-((3aR,6aR)-5-(シクロプロピルカルボニル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン フマル酸塩である化合物6の製造
【0136】
【化31】
【0137】
(R)-3-(t-ブトキシカルボニルアミノ)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン酸(369 mg, 1.11 mmol)およびシクロプロピル((3aR,6aR)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-5(1H)-イル)メチルケトン6c(200 mg, 1.11 mmol)を塩化メチレン(10 mL)に溶解させ、順に1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)(175 mg, 1.30 mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)(250 mg, 1.30 mmol)およびトリエチルアミン(151 mg, 1.50 mmol)を入れ、室温で撹拌して4時間反応させた。有機相を順に1N希塩酸(10 mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィで精製し、得られた製品を無水エタノール(5 mL)に溶解させ、フマル酸(64 mg, 0.55 mmol)を入れ、30min撹拌し、固体が析出し、ろ過し、乾燥して標題の化合物6(276 mg, 55%)を白色固体として得た。MS m/z (ESI):396.2 (M+1)。1H NMR(CD3OD, 600 MHz): δ 0.87-0.93 (m, 4H), 1.75-1.97 (m, 2H), 2.11-2.21 (m, 1H), 2.52-2.63 (m, 1H), 2.71-2.82 (m, 1H), 2.95-3.12 (m, 2H), 3.55-3.78 (m, 5H), 3.83 (m, 2H), 3.91-4.15 (m, 1H), 4.31-4.55 (m, 1H), 6.78 (m, 1H), 7.23 (m, 1H)。
【0138】
実施例7
工程1:(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロ-5-(2-フルオロ-2-メチルプロピオニル)-ピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル7aの製造
【0139】
【化32】
【0140】
(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル1f(250 mg, 0.58 mmol)および2-フルオロ-2-メチルプロパン酸(百霊威科技有限公司から購入)(61 mg, 0.58 mmol)を塩化メチレン(10 mL)に溶解させ、順にHOBt(88 mg, 0.65 mmol)、EDC(125 mg, 0.65 mmol)およびトリエチルアミン(71 mg, 0.70 mmol)を入れ、室温で一晩撹拌した。反応液に水(10 mL)を入れ、有機相を分離し、水層を塩化メチレン(20 mL)で抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィで精製し、標題の化合物7a(268 mg, 90%)を無色の油状物として得た。MS m/z (ESI):516.2(M+1)。
【0141】
工程2:(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(2-フルオロ-2-メチルプロピオニル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オンである化合物7の製造
【0142】
【化33】
【0143】
(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロ-5-(2-フルオロ-2-メチルプロピオニル)-ピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル7a(268 mg, 0.52 mmol)を塩化メチレン(1mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(TFA)(1 mL)を滴下し、室温で撹拌して1時間反応させ、TLCのモニタリングで反応終了がわかった後、濃縮し、塩化メチレン(15 mL)を入れ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(15 mL)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィで精製し、標題の化合物7(215 mg, 100%)を白色固体として得た。MS m/z (ESI):416.4 (M+1),438.2 (M+Na)。1H NMR (D2O, 400 MHz):δ 1.62 (m, 6H), 1.96 (m, 1H), 2.20 (m, 1H), 2.78-2.91 (m, 2H), 3.05-3.30 (m, 3H), 3.42-3.83 (m, 6H), 3.96 (m, 2H), 7.20 (m, 1H), 7.35 (m, 1H)。
【0144】
実施例8
(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(2-フルオロ-2-メチルプロピオニル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン フマル酸塩
【0145】
【化34】
【0146】
実施例7で得られた遊離塩基(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(2-フルオロ-2-メチルプロピオニル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オンである化合物7(100 mg, 0.24 mmol)をエタノールに溶解させ、フマル酸(14 mg, 0.12 mmol)を入れ、室温で30min撹拌し、固体が析出し、吸引ろ過で(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(2-フルオロ-2-メチルプロピオニル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン フマル酸塩である化合物8(60 mg, 53%)を白色固体として得た。MS m/z (ESI):416.4 (M+1), 438.2 (M+Na)。1H NMR (D2O, 400 MHz):δ 1.62 (m, 6H), 1.96 (m, 1H), 2.20 (m, 1H), 2.78-2.91 (m, 2H), 3.05-3.30 (m, 3H), 3.42-3.83 (m, 6H), 3.96 (m, 2H), 6.68 (s, 1H), 7.20 (m, 1H), 7.35 (m, 1H)。
【0147】
実施例9
(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(2-フルオロ-2-メチルプロピオニル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン 塩酸塩
【0148】
【化35】
【0149】
実施例7で得られた遊離塩基(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(2-フルオロ-2-メチルプロピオニル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オンである化合物7(100 mg, 0.24 mmol)をエタノール(0.5 mL)に溶解させ、飽和塩化水素のエチルエーテル溶液(0.5 mL)を入れ、撹拌して白色固体が析出し、氷浴で4時間静置し、ろ過して (R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(2-フルオロ-2-メチルプロピオニル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン 塩酸塩である化合物9(68 mg, 0.63%)を白色粉末として得た。MS m/z (ESI):416.4 (M+1),438.2 (M+Na)。1H NMR (D2O, 400 MHz):δ1.62 (m, 6H), 1.96 (m, 1H), 2.20 (m, 1H), 2.78-2.91 (m, 2H), 3.05-3.30 (m, 3H), 3.42-3.83 (m, 6H), 3.96 (m, 2H), 7.20 (m, 1H), 7.35 (m, 1H)。
【0150】
実施例10
(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(2-フルオロ-2-メチルプロピオニル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン リン酸塩
【0151】
【化36】
【0152】
実施例7で得られた遊離塩基(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(2-フルオロ-2-メチルプロピオニル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オンである化合物7(100 mg, 0.24 mmol)をエタノール(0.5 mL)に溶解させ、リン酸(24mg, 0.24 mmol)のエタノール溶液(1 mL)に滴下し、白色固体が析出するまで撹拌し、ろ過して(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(2-フルオロ-2-メチルプロピオニル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン リン酸塩である化合物10(84 mg, 84%)を白色粉末として得た。MS m/z (ESI):416.4 (M+1),438.2 (M+Na)。1H NMR (D2O, 400 MHz):δ1.62 (m, 6H), 1.96 (m, 1H), 2.20 (m, 1H), 2.78-2.91 (m, 2H), 3.05-3.30 (m, 3H), 3.42-3.83 (m, 6H), 3.96 (m, 2H), 7.20 (m, 1H), 7.35 (m, 1H)。
【0153】
実施例11
(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(2-フルオロ-2-メチルプロピオニル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン メタンスルホン酸塩
【0154】
【化37】
【0155】
実施例7で得られた遊離塩基(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(2-フルオロ-2-メチルプロピオニル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オンである化合物7(100 mg, 0.24 mmol)をイソプロパノール(0.5 mL)に溶解させ、メタンスルホン酸(23 mg, 0.24 mmol)のイソプロパノール溶液(1 mL)に滴下し、白色固体が析出するまで撹拌し、ろ過して(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(4-シアノピリジン-2-イル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン メタンスルホン酸塩である化合物11(68 mg, 69%)を白色粉末として得た。MS m/z (ESI):416.4 (M+1),438.2 (M+Na)。1H NMR (D2O, 400 MHz):δ 1.62 (m, 6H), 1.96 (m, 1H), 2.20 (m, 1H), 2.78-2.91 (m, 2H), 3.05-3.30 (m, 3H), 3.42-3.83 (m, 6H), 3.96 (m, 2H), 7.20 (m, 1H), 7.35 (m, 1H)。
【0156】
実施例12
工程1:(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロ-5-(シクロプロピルホルミル)-ピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル12aの製造
【0157】
【化38】
【0158】
(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル1f(200 mg, 0.46 mmol)およびシクロプロピルギ酸(40 mg, 0.46 mmol)を塩化メチレン(10 mL)に溶解させ、順にHOBt(88 mg, 0.65 mmol)、EDC(125 mg, 0.65 mmol)およびトリエチルアミン(71 mg, 0.70 mmol)を入れ、室温で一晩撹拌した。反応液に水(10 mL)を入れ、有機相を分離し、水層を塩化メチレン(20 mL)で抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィで精製し、標題の化合物7a(205 mg, 90%)を白色固体として得た。MS m/z (ESI):496.2(M+1)。
【0159】
工程2:(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(シクロプロピルカルボニル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン フマル酸塩である化合物12の製造
【0160】
【化39】
【0161】
実施例1の工程6と類似の操作に従って、(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロ-5-(シクロプロピルホルミル)-ピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル12a(205 mg, 0.41 mmol)を塩化メチレン(1mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(TFA)(1 mL)を滴下し、反応終了後、フマル酸(23 mg, 0.20 mmol)を入れ、標題の化合物12(132 mg, 74%)を白色固体として得た。MS m/z (ESI):396.2 (M+1)。1H NMR(CD3OD, 600 MHz): δ 0.87-0.95 (m, 4H), 1.71-1.95 (m, 2H), 2.12-2.21 (m, 1H), 2.52-2.64 (m, 1H), 2.71-2.83 (m, 1H), 2.95-3.13 (m, 2H), 3.55-3.75 (m, 5H), 3.82 (m, 2H), 3.90-4.13 (m, 1H), 4.30-4.54 (m, 1H), 6.68 (s, 1H), 7.20 (m, 1H), 7.35 (m, 1H)。
【0162】
実施例13
(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(1-フルオロシクロプロピルカルボニル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン フマル酸塩である化合物13の製造
【0163】
【化40】
【0164】
実施例12と類似の操作に従って、(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル1f(200 mg, 0.46 mmol)を1-フルオロシクロプロピルギ酸(48 mg, 0.46 mmol) (Alfa Aesar(天津)有限公司から購入)と反応させ、カラムクロマトグラフィで精製して中間体を得、さらにフマル酸(28 mg, 0.24 mmol)を入れ、目的化合物13(76 mg, 35%)を得た。MS m/z (ESI):414.4 (M+1),436.4 (M+Na)。1H NMR (CD3OD, 600 MHz): δ 7.35 (m, 1H), 7.20 (m, 1H), 6.68 (s, 1H), 4.50 (m, 1H), 3.96 (m, 3H), 3.42-3.83 (m, 6H), 3.05-3.30 (m, 3H), 2.78-2.91 (m, 2H), 2.20 (m, 1H), 1.96 (m, 1H), 1.01 (m, 2H), 0.95(m, 2H)。
【0165】
実施例14
(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(1-ヒドロキシシクロプロピルカルボニル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン フマル酸塩である化合物14の製造
【0166】
【化41】
【0167】
実施例12と類似の操作に従って、(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル1f(200 mg, 0.46 mmol)を1-ヒドロキシシクロプロピルギ酸(47 mg, 0.46 mmol) (Alfa Aesar(天津)有限公司から購入)と反応させ、カラムクロマトグラフィで精製して中間体を得、さらにフマル酸(28 mg, 0.24 mmol)を入れ、目的化合物14(95 mg, 44%)を得た。MS m/z (ESI):412.4 (M+1), 434.4 (M+Na)。1H NMR (CD3OD, 600 MHz): δ 7.35 (m, 1H), 7.20 (m, 1H), 6.68 (s, 1H), 4.51 (m, 1H), 3.94 (m, 3H), 3.40-3.81 (m, 6H), 3.15-3.32 (m, 3H), 2.75-2.92 (m, 2H), 2.24 (m, 1H), 1.97 (m, 1H), 1.03 (m, 2H), 0.95 (m, 2H)。
【0168】
実施例15
(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(1-メチルシクロプロピルカルボニル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン フマル酸塩である化合物15の製造
【0169】
【化42】
【0170】
実施例12と類似の操作に従って、(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル1f(200 mg, 0.46 mmol)(シグマアルドリッチ(上海)貿易有限公司から購入)を1-メチルシクロプロピルギ酸(46 mg, 0.46 mmol)と反応させ、カラムクロマトグラフィで精製して中間体を得、さらにフマル酸(28 mg, 0.24 mmol)を入れ、目的化合物15(111 mg, 51%)を得た。MS m/z (ESI):410.4 (M+1), 432.4 (M+Na)。1H NMR (CD3OD, 600 MHz): δ 7.34 (m, 1H), 7.21 (m, 1H), 6.68 (s, 1H), 4.51 (m, 1H), 3.94 (m, 3H), 3.41-3.80 (m, 6H), 3.11-3.30 (m, 3H), 2.71-2.90 (m, 2H), 2.22 (m, 1H), 1.95 (m, 1H), 1.29 (s, 3H), 1.01 (m, 2H), 0.91 (m, 2H)。
【0171】
実施例16
(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(シクロプロピルメチレンカルボニル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン フマル酸塩である化合物16の製造
【0172】
【化43】
【0173】
実施例12と類似の操作に従って、(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル1f(200 mg, 0.46 mmol)を2-シクロプロピル酢酸(46 mg, 0.46 mmol)と反応させ、カラムクロマトグラフィで精製して中間体を得、さらにフマル酸(28 mg, 0.24 mmol)を入れ、目的化合物16(50 mg, 23%)を得た。MS m/z (ESI):410.4 (M+1), 432.4 (M+Na)。1H NMR (CD3OD, 600 MHz): δ 7.33 (m, 1H), 7.20 (m, 1H), 6.68 (s, 1H), 4.50 (m, 1H), 3.93 (m, 3H), 3.41-3.76 (m, 6H), 3.11-3.26 (m, 3H), 2.70-2.88 (m, 2H), 2.22 (m, 1H), 2.14 (m, 2H), 1.95 (m, 1H), 1.11 (m, 1H), 0.95 (m, 2H), 0.83 (m, 2H)。
【0174】
実施例17
(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(1-シアノシクロプロピルカルボニル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン フマル酸塩である化合物17の製造
【0175】
【化44】
【0176】
実施例12と類似の操作に従って、(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル1f(200 mg, 0.46 mmol)を1-シアノシクロプロピルギ酸(51 mg, 0.46 mmol)と反応させ、カラムクロマトグラフィで精製して中間体を得、さらにフマル酸(28 mg, 0.24 mmol)を入れ、目的化合物17(85 mg, 39%)を得た。MS m/z (ESI):421.4 (M+1)。1H NMR (CD3OD, 600 MHz): δ 1.57 (m, 2H), 1.63-1.70 (m, 2H), 1.89 (m, 1H),2.13 (m, 1H), 2.63-2.82 (m, 2H), 2.90-3.25 (m, 4H), 3.52-3.69 (m, 4H), 4.04 (m, 2H), 4.34 (m, 1H), 6.68 (s, 1H), 7.17 (m, 1H), 7.29 (m, 1H)。
【0177】
実施例18
(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(イソプロピルカルボニル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン フマル酸塩である化合物18の製造
【0178】
【化45】
【0179】
実施例12と類似の操作に従って、(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル1f(200 mg, 0.46 mmol)をイソブタン酸(41 mg, 0.46 mmol)と反応させ、カラムクロマトグラフィで精製して中間体を得、さらにフマル酸(28 mg, 0.24 mmol)を入れ、目的化合物18(92 mg, 42%)を得た。MS m/z (ESI):398.4 (M+1)。1H NMR (CD3OD, 600 MHz): δ 1.08 (m, 6H), 1.90 (m, 1H), 2.16 (m, 1H), 2.88 (m, 1H), 3.14 (m, 3H), 3.44 (m, 1H), 3.68 (m, 5H), 3.88 (m, 2H), 4.01 (m, 1H), 4.50 (m, 1H), 6.68 (s, 1H), 7.23 (m, 1H), 7.34 (m, 1H)。
【0180】
実施例19
(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(3-メチルブチリル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン フマル酸塩である化合物19の製造
【0181】
【化46】
【0182】
実施例12と類似の操作に従って、(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル1f(200 mg, 0.46 mmol)を3-メチルブタン酸(51 mg, 0.46 mmol)と反応させ、カラムクロマトグラフィで精製して中間体を得、さらにフマル酸(28 mg, 0.24 mmol)を入れ、目的化合物19(97 mg, 45%)を得た。MS m/z (ESI):412.4 (M+1)。1H NMR(CD3OD, 600 MHz): δ 0.88-0.99 (m, 6H), 1.82-1.91 (m, 1H), 1.94-2.22 (m, 4H), 2.60-2.70 (m, 2H), 2.93-3.09 (m, 4H), 3.31-3.45 (m, 2H), 3.47-3.69 (m, 3H), 3.70-3.83 (m, 2H), 4.44 (m, 1H), 6.68 (s, 1H), 7.18-7.40 (m, 2H)。
【0183】
実施例20
(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(t-ピバロイル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン フマル酸塩である化合物20の製造
【0184】
【化47】
【0185】
実施例12と類似の操作に従って、(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル1f(200 mg, 0.46 mmol)をt-ブタン酸(47 mg, 0.46 mmol)と反応させ、カラムクロマトグラフィで精製して中間体を得、さらにフマル酸(28 mg, 0.24 mmol)を入れ、目的化合物20(82 mg, 38%)を得た。MS m/z (ESI):412.4 (M+1)。1H NMR(CD3OD, 600 MHz): δ 1.19 (s, 9H), 1.84 (m, 1H), 2.04-2.17 (m, 1H), 2.87 (m, 3H), 3.41 (m, 2H), 3.53 (m, 3H), 3.62 (m, 2H), 3.69 (m, 2H), 3.83-3.94 (m, 1H), 4.42 (m, 1H), 6.95 (m, 1H), 7.17 (m, 1H)。
【0186】
実施例21
(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-(3,3-ジメチルブチリル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン フマル酸塩である化合物21の製造
【0187】
【化48】
【0188】
実施例12と類似の操作に従って、(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル1f(200 mg, 0.46 mmol)を3,3-ジメチルブタン酸(47 mg, 0.46 mmol)と反応させ、カラムクロマトグラフィで精製して中間体を得、さらにフマル酸(27 mg, 0.24 mmol)を入れ、目的化合物21(111 mg, 50%)を得た。MS m/z (ESI):426.4 (M+1),448.4 (M+Na)。1H NMR (CD3OD, 600 MHz): δ 1.06 (s, 9H), 1.84 (m, 1H), 2.04-2.17 (m, 3H), 2.88 (m, 3H), 3.42 (m, 2H), 3.54 (m, 3H), 3.65 (m, 2H), 3.71 (m, 2H), 3.83-3.94 (m, 1H), 4.42 (m, 1H), 6.95 (m, 1H), 7.17 (m, 1H)。
【0189】
実施例22
(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン フマル酸塩である化合物22の製造
【0190】
【化49】
【0191】
実施例12と類似の操作に従って、(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル1f(200 mg, 0.46 mmol)を2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン酸(49 mg, 0.46 mmol)と反応させ、カラムクロマトグラフィで精製して中間体を得、さらにフマル酸(27 mg, 0.24 mmol)を入れ、目的化合物22(56 mg, 26%)を得た。MS m/z (ESI):414.4 (M+1)。1H NMR (CD3OD, 600 MHz): δ1.26 (m, 6H), 1.91 (m, 1H), 2.18 (m, 1H), 2.90 (m, 1H), 3.15 (m, 3H), 3.45 (m, 1H), 3.69 (m, 5H), 3.89 (m, 2H), 4.06 (m, 1H), 4.55 (m, 1H), 6.68 (s, 1H), 7.23 (m, 1H), 7.34 (m, 1H)。
【0192】
実施例23
(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(ヒドロキシアセチル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン フマル酸塩である化合物23の製造
【0193】
【化50】
【0194】
実施例12と類似の操作に従って、(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル1f(200 mg, 0.46 mmol)を2-ヒドロキシ酢酸(35 mg, 0.46 mmol)と反応させ、カラムクロマトグラフィで精製して中間体を得、さらにフマル酸(27 mg, 0.24 mmol)を入れ、目的化合物23(74 mg, 36%)を得た。MS m/z (ESI):386.3 (M+1)。1H NMR (CD3OD, 600 MHz): δ 1.72-1.94 (m, 1H), 2.00-2.20 (m, 1H), 2.67 (m, 1H), 2.93-3.10 (m, 4H), 3.33-3.50 (m, 1H), 3.50-3.64 (m, 4H), 3.70-3.87 (m, 2H), 4.36-4.55 (m, 3H), 6.68 (s, 1H), 7.19 (m, 1H) , 7.35 (m, 1H)。
【0195】
実施例24
(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(1-ヒドロキシメチル-2-ヒドロキシプロピオニル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン フマル酸塩である化合物24の製造
【0196】
【化51】
【0197】
実施例12と類似の操作に従って、(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル1f(200 mg, 0.46 mmol)を3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン酸(55 mg, 0.46 mmol)(百霊威科技有限公司から購入)と反応させ、カラムクロマトグラフィで精製して中間体を得、さらにフマル酸(27 mg, 0.24 mmol)を入れ、目的化合物24(33 mg, 15%)を得た。MS m/z (ESI):430.3 (M+1)。1H NMR (CD3OD, 600 MHz): δ 1.78-1.94 (m, 1H), 2.05-2.20 (m, 1H), 2.62 (m, 1H), 2.68 (m, 1H), 2.94-3.11 (m, 4H), 3.31-3.51 (m, 1H), 3.50-3.64 (m, 4H), 3.71-3.87 (m, 6H), 4.35-4.54 (m, 1H), 6.68 (s, 1H), 7.19 (m, 1H) , 7.35 (m, 1H)。
【0198】
実施例25
(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(ピリジン-2-イル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン フマル酸塩である化合物25の製造
【0199】
【化52】
【0200】
実施例12と類似の操作に従って、(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル1f(200 mg, 0.46 mmol)をピコリン酸(56 mg, 0.46 mmol)と反応させ、カラムクロマトグラフィで精製して中間体を得、さらにフマル酸(53 mg, 0.46 mmol)を入れ、目的化合物25(42 mg, 17%)を得た。MS m/z (ESI):433.4 (M+1)。1H NMR(CD3OD, 600 MHz): δ 1.96 (m, 1H), 2.16 (m, 1H), 2.80-2.91 (m, 2H), 2.97-3.43 (m, 3H), 3.44-3.85 (m, 5H), 3.90 (m, 2H), 4.43 (m, 1H), 6.62 (s, 1H), 6.70 (m, 1H) , 7.18 (m, 1H) , 7.88 (m, 1H), 8.09-8.32 (m, 3H)。
【0201】
実施例26
(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(3-メタンスルホニルベンゾイル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン フマル酸塩である化合物26の製造
【0202】
【化53】
【0203】
実施例12と類似の操作に従って、(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル1f(200 mg, 0.46 mmol)を3-メタンスルホニル安息香酸(92 mg, 0.46 mmol)と反応させ、カラムクロマトグラフィで精製して中間体を得、さらにフマル酸(27 mg, 0.23 mmol)を入れ、目的化合物26(23 mg, 9%)を得た。MS m/z (ESI):510.5 (M+1),532.5 (M+Na)。1H NMR (CD3OD, 600 MHz): δ 2.75-3.05 (m, 5H), 3.07-3.42 (m, 5H), 3.55-4.18 (m, 7H), 4.42 (m, 1H), 6.68 (s, 1H), 7.16-7.36 (m, 2H), 7.72-8.14 (m, 4H)。
【0204】
実施例27
(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(3-アセチルベンゾイル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン フマル酸塩である化合物27の製造
【0205】
【化54】
【0206】
実施例12と類似の操作に従って、(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル1f(200 mg, 0.46 mmol)を3-アセチル安息香酸(75 mg, 0.46 mmol)と反応させ、カラムクロマトグラフィで精製して中間体を得、さらにフマル酸(27 mg, 0.23 mmol)を入れ、目的化合物27(37 mg, 15%)を得た。MS m/z (ESI):474.5 (M+1)。1H NMR(CD3OD, 600 MHz): δ 1.74-2.76 (m, 2H), 2.65 (s, 3H), 2.71 (m, 1H), 2.88 (m, 1H), 2.96 (m, 1H), 3.15 (m, 1H), 3.38 (m, 1H), 3.53-3.64 (m, 4H), 3.65-3.86 (m, 3H), 4.40 (m, 1H), 6.64 (s, 1H), 7.08-7.33 (m, 2H), 7.55-7.75 (m, 2H), 7.92-8.12 (m, 2H)。
【0207】
実施例28
工程1:(R)-4-((3aS,6aS)-5-(1-アミノカルボニルシクロプロピルカルボニル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-カルボニル-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル28aの製造
【0208】
【化55】
【0209】
(R)-4-((3aS,6aS)-5-(1-シアノシクロプロピルカルボニル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-カルボニル-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル17a(300 mg, 0.58 mmol)をDMSO(5 mL)に溶解させ、0℃で30%の二酸化水素水溶液(0.5 mL)および炭酸カリウム(160 mg, 1.16 mmol)を入れ、反応液を室温に上昇させて5min撹拌し、水(20 mL)を入れ、塩化メチレンで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィで精製し、(R)-4-((3aS,6aS)-5-(1-アミノカルボニルシクロプロピルカルボニル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-カルボニル-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル28a(265 mg, 85%)を白色の泡状固体として得た。MS m/z (ESI):539.2(M+1)。
【0210】
工程2:(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(1-アミノカルボニルシクロプロピルカルボニル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン フマル酸塩である化合物28の製造
【0211】
【化56】
【0212】
実施例12と類似の操作に従って、(R)-4-((3aS,6aS)-5-(1-アミノカルボニルシクロプロピルカルボニル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-カルボニル-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル28a(265 mg, 0.49 mmol)をトリフルオロ酢酸(5 mL)に溶解させ、得られた化合物をフマル酸(29 mg, 0.25 mmol)と塩を生成させ、標題の化合物28(136 mg, 56%)を白色固体として得た。MS m/z (ESI):497.2 (M+1)。1H NMR (CD3OD, 600 MHz): δ 1.58 (m, 2H), 1.65 (m, 2H), 1.91 (m, 1H),2.15 (m, 1H), 2.63-2.81 (m, 2H), 2.91-3.26 (m, 4H), 3.53-3.65 (m, 4H), 4.05 (m, 2H), 4.37 (m, 1H), 6.69 (s, 1H), 7.17 (m, 1H), 7.29 (m, 1H)。
【0213】
実施例29
工程1:(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロ-5-(アセチル)-ピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル29aの製造
【0214】
【化57】
【0215】
(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル1f(200 mg, 0.46 mmol)を塩化メチレン(20 mL)に溶解させ、順にトリエチルアミン(46 mg, 0.46 mmol)および塩化アセチル(36 mg, 0.46 mmol)を入れ、室温で一晩撹拌した。反応液に水(10 mL)を入れ、有機相を分離し、水層を塩化メチレン(20 mL)で抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィで精製し、標題の化合物29a(207 mg, 96%)を白色固体として得た。MS m/z (ESI):470.2(M+1)。
【0216】
工程2:(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(アセチル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン フマル酸塩である化合物29の製造
【0217】
【化58】
【0218】
(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロ-5-(アセチル)-ピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル29a(207 mg, 0.44 mmol)を塩化メチレン(1mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(TFA)(1 mL)を滴下し、室温で撹拌して1時間反応させ、TLCのモニタリングで反応終了がわかった後、濃縮し、塩化メチレン(15 mL)を入れ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(15 mL)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、残留物をエタノールに溶解させ、フマル酸(23 mg, 0.22 mmol)を入れ、室温で30分間撹拌し、固体が析出し、吸引ろ過で標題の化合物29(118 mg, 63%)を白色固体として得た。MS m/z (ESI):370.4 (M+1)。1H NMR (D2O, 400 MHz): δ 1.72-1.94 (m, 1H), 2.03 (d, 3H), 2.00-2.20 (m, 2H), 2.67 (m, 2H), 2.93-3.10 (m, 4H), 3.33-3.50 (m, 1H), 3.50-3.64 (m, 2H), 3.70-3.87 (m, 2H), 4.36-4.55 (m, 1H), 6.69 (s, 1H), 7.18-7.28 (m, 1H) , 7.28-7.40 (m, 1H)。
【0219】
実施例30
(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(トリフルオロアセチル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン フマル酸塩である化合物30の製造
【0220】
【化59】
【0221】
実施例29と類似の操作に従って、(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル1f(200 mg, 0.46 mmol)をトリフルオロ酢酸無水物(97 mg, 0.46 mmol)と反応させ、カラムクロマトグラフィで精製して中間体を得、さらにフマル酸(27 mg, 0.23 mmol)を入れ、目的化合物30(91 mg, 41%)を得た。MS m/z (ESI):424.4 (M+1), 446.4 (M+Na)。1H NMR (CD3OD, 600 MHz): δ 1.80-2.22 (m, 2H), 2.72-2.90 (m, 2H), 3.00-3.25 (m, 3H), 3.47-3.70 (m, 4H), 3.85 (m, 1H), 3.96-4.08 (m, 2H), 4.19-4.41 (m, 1H), 6.69 (s, 1H), 7.15-7.34 (m, 2H)。
【0222】
実施例31
(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(3,3,3-トリフルオロプロピオニル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン フマル酸塩である化合物31の製造
【0223】
【化60】
【0224】
実施例12と類似の操作に従って、(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル1f(200 mg, 0.46 mmol)をトリフルオロプロパン酸(59 mg, 0.46 mmol) (Alfa Aesar(天津)有限公司から購入)と反応させ、カラムクロマトグラフィで精製して中間体を得、さらにフマル酸(27 mg, 0.23 mmol)を入れ、目的化合物31(50 mg, 22%)を得た。MS m/z (ESI):438.4 (M+1)。1H NMR (CD3OD, 600 MHz): δ 1.85-2.21 (m, 2H), 2.70 (s, 2H), 2.75-2.94 (m, 2H), 3.05-3.29 (m, 3H), 3.47-3.74 (m, 4H), 3.84 (m, 1H), 3.96-4.07 (m, 2H), 4.31 (m, 1H), 6.69 (s, 1H), 7.15-7.34 (m, 2H)。
【0225】
実施例32
(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(ベンゾイル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン フマル酸塩である化合物32の製造
【0226】
【化61】
【0227】
実施例29と類似の操作に従って、(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル1f(200 mg, 0.46 mmol)を塩化ベンゾイル(65 mg, 0.46 mmol)と反応させ、カラムクロマトグラフィで精製して中間体を得、さらにフマル酸(27 mg, 0.23 mmol)を入れ、目的化合物32(81 mg, 36%)を得た。MS m/z (ESI):432.5 (M+1), 454.4 (M+Na)。1H NMR (CD3OD, 600 MHz): δ 1.80-2.22 (m, 2H), 2.76-3.24 (m, 4H) 3.45-4.18 (m, 8H), 4.46 (m, 1H), 6.59 (s, 1H), 7.19-7.55 (m, 7H)。
【0228】
実施例33
(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(3-フルオロベンゾイル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン フマル酸塩である化合物33の製造
【0229】
【化62】
【0230】
実施例29と類似の操作に従って、(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル1f(200 mg, 0.46 mmol)を3-フルオロベンゾイルクロリド(73 mg, 0.46 mmol)と反応させ、カラムクロマトグラフィで精製して中間体を得、さらにフマル酸(27 mg, 0.23 mmol)を入れ、目的化合物33(84 mg, 36%)を得た。MS m/z (ESI):450.4 (M+1),472.4 (M+Na)。1H NMR (CD3OD, 600 MHz): δ 1.78-1.98 (m, 1H), 2.02-2.20 (m, 1H), 2.59-2.66 (m, 2H), 2.89-3.11 (m, 4H), 3.53-3.69 (m, 4H), 3.71-3.87 (m, 2H), 4.40-4.12 (dd, 1H), 6.66 (s, 1H), 7.19-7.34 (m, 5H), 7.45 (m, 1H)。
【0231】
実施例34
(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(3-クロロベンゾイル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン フマル酸塩である化合物34の製造
【0232】
【化63】
【0233】
実施例29と類似の操作に従って、(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル1f(200 mg, 0.46 mmol)を3-クロロベンゾイルクロリド(80 mg, 0.46 mmol)と反応させ、カラムクロマトグラフィで精製して中間体を得、さらにフマル酸(27 mg, 0.23 mmol)を入れ、目的化合物34(89 mg, 37%)を得た。MS m/z (ESI):466.4 (M+1)。1H NMR (CD3OD, 600 MHz): δ 1.61-1.92 (m, 1H), 1.94-2.19 (m, 1H), 2.71 (m, 2H), 2.90-2.95 (m, 2H), 3.04-3.24 (m, 2H), 3.36-3.40 (m, 2H), 3.73-3.99 (m, 2H), 4.38 (br, 1H), 6.52 (s, 1H), 7.00-7.16 (m, 2H), 7.27 (m, 2H), 7.33-7.40 (m, 1H), 7.42-7.46 (m, 1H)。
【0234】
実施例35
(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(3-メチルベンゾイル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン フマル酸塩である化合物35の製造
【0235】
【化64】
【0236】
実施例29と類似の操作に従って、(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル1f(200 mg, 0.46 mmol)を3-メチルベンゾイルクロリド(62 mg, 0.46 mmol)と反応させ、カラムクロマトグラフィで精製して中間体を得、さらにフマル酸(27 mg, 0.23 mmol)を入れ、目的化合物35(116 mg, 50%)を得た。MS m/z (ESI):446.4 (M+1)。1H NMR (CD3OD, 600 MHz): δ 1.78-1.95 (m, 1H), 2.14-2.19 (m, 1H), 2.33-2.38 (d, 3H), 2.58-2.70 (m, 2H), 2.88-2.91 (m, 1H), 2.97-3.08 (m, 2H), 3.56-3.69 (m, 1H), 3.76-3.85 (m, 2H), 4.39-4.49 (dd, 1H), 6.66 (s, 1H), 7.20-7.35 (m, 6H)。
【0237】
実施例36
(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(3-シアノベンゾイル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン フマル酸塩である化合物36の製造
【0238】
【化65】
【0239】
実施例29と類似の操作に従って、(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル1f(200 mg, 0.46 mmol)を3-シアノベンゾイルクロリド(76 mg, 0.46 mmol)と反応させ、カラムクロマトグラフィで精製して中間体を得、さらにフマル酸(27 mg, 0.23 mmol)を入れ、目的化合物36(78 mg, 33%)を得た。MS m/z (ESI):457.4(M+1) 479.5(M+23)。1H NMR (CD3OD, 600 MHz): δ 2.00-2.17 (m, 1H), 2.71-3.10 (m, 4H), 3.16 (m, 1H), 3.56-3.69 (m, 1H), 3.33-3.41 (m, 1H), 3.52-3.74 (m, 5H), 3.80-3.88 (m, 2H), 4.07-4.42 (m, 1H), 6.66 (s, 1H), 7.15-7.36 (m, 2H), 7.60-7.70 (m, 1H), 7.73-7.84 (m, 1H), 7.89-7.94 (m, 2H)。
【0240】
実施例37
工程1:(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロ-5-(シクロプロピルスルホニル)-ピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル37aの製造
【0241】
【化66】
【0242】
(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル1f(200 mg, 0.46 mmol)を塩化メチレン(20 mL)に溶解させ、順にトリエチルアミン(46 mg, 0.46 mmol)およびシクロプロピルスルホニルクロリド(64 mg, 0.46 mmol)を入れ、室温で一晩撹拌した。反応液に水(10 mL)を入れ、有機相を分離し、水層を塩化メチレン(20 mL)で抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィで精製し、標題37a(260 mg, 70%)を白色固体として得た。MS m/z (ESI):532.2(M+1)。
【0243】
工程2:(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(シクロプロピルスルホニル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン フマル酸塩である化合物37の製造
【0244】
【化67】
【0245】
(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロ-5-(シクロプロピルスルホニル)-ピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル37a(260 mg, 0.48 mmol)を塩化メチレン(1mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(TFA)(1 mL)を滴下し、室温で撹拌して1時間反応させ、TLCのモニタリングで反応終了がわかった後、濃縮し、塩化メチレン(15 mL)を入れ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(15 mL)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、残留物をエタノールに溶解させ、フマル酸(28 mg, 0.24 mmol)を入れ、室温で30min撹拌し、固体が析出し、吸引ろ過で標題の化合物37(82 mg, 35%)を白色固体として得た。MS m/z (ESI):432.4 (M+1)。1H NMR (D2O, 400 MHz): δ 1.35 (m, 4H), 1.94 (m, 1H), 2.20 (m, 1H), 2.68 (m, 1H), 2.83 (m, 1H), 3.15 (m, 4H), 3.29 (m, 1H), 3.40 (m, 1H), 3.62 (m, 3H), 4.01 (m, 1H), 4.52 (m, 1H), 4.66 (m, 2H), 6.66 (s, 1H), 7.23 (m, 1H), 7.34 (m, 1H)。
【0246】
実施例38
(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(メタンスルホニル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン フマル酸塩である化合物38の製造
【0247】
【化68】
【0248】
実施例37と類似の操作に従って、(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル1f(200 mg, 0.46 mmol)をメタンスルホニルクロリド(52 mg, 0.46 mmol)と反応させ、カラムクロマトグラフィで精製して中間体を得、さらにフマル酸(27 mg, 0.23 mmol)を入れ、目的化合物38(55 mg, 26%)を得た。MS m/z (ESI):406.3 (M+1)。1H NMR (CD3OD, 600 MHz): δ 1.92 (m, 1H), 2.15 (m, 1H), 2.71-2.85 (m, 2H), 3.10-3.00 (m, 5H), 3.26 (m, 1H), 3.32 (m, 1H), 3.49 (m, 2H), 3.65 (m, 2H), 3.98 (m, 1H), 4.46 (m, 1H), 6.64 (s, 1H), 7.16-7.32 (m, 2H)。
【0249】
実施例39
(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(トリフルオロメタンスルホニル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン フマル酸塩である化合物39の製造
【0250】
【化69】
【0251】
実施例37と類似の操作に従って、(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル1f(200 mg, 0.46 mmol)をトリフルオロメタンスルホニルクロリド(67 mg, 0.46 mmol)と反応させ、カラムクロマトグラフィで精製して中間体を得、さらにフマル酸(27 mg, 0.23 mmol)を入れ、目的化合物39(107 mg, 45%)を得た。MS m/z (ESI):460.4 (M+1)。1H NMR (CD3OD, 600 MHz): δ 1.94 (m, 1H), 2.17 (m, 1H), 2.77 (m, 2H), 3.04-3.19 (m, 3H), 3.45-3.72 (m, 4H), 3.84 (m, 2H), 3.98 (m, 1H), 4.52 (m, 1H), 6.52 (s, 1H), 7.17-7.28 (m, 2H)。
【0252】
実施例40
(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(ベンゼンスルホニル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン フマル酸塩である化合物40の製造
【0253】
【化70】
【0254】
実施例37と類似の操作に従って、(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル1f(200 mg, 0.46 mmol)をベンゼンスルホニルクロリド(81 mg, 0.46 mmol)と反応させ、カラムクロマトグラフィで精製して中間体を得、さらにフマル酸(27 mg, 0.23 mmol)を入れ、目的化合物40(123 mg, 51%)を得た。MS m/z (ESI):468.4 (M+1)。1H NMR (CD3OD, 600 MHz): δ 1.87 (m, 1H), 2.07 (m, 1H) , 2.58 (m, 2H), 3.03-3.16 (m, 3H), 3.22 (m, 1H), 3.44-3.51 (m, 4H), 3.55 (m, 1H), 3.92 (m, 1H), 4.33 (m, 1H), 7.29 (m, 2H), 7.66 (m, 3H), 7.89 (m, 2H)。
【0255】
実施例41
(R)-3-アミノ-1-((3aS,6aS)-5-(p-トルエンスルホニル)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン フマル酸塩である化合物41の製造
【0256】
【化71】
【0257】
実施例37と類似の操作に従って、(R)-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)-4-((3aS,6aS)-ヘキサヒドロピロロ[3,4-b]ピロール-1(2H)-イル)-4-オキソブタン-2-イルカルバミン酸-t-ブチルエステル1f(200 mg, 0.46 mmol)をp-トルエンスルホニルクロリド(87 mg, 0.46 mmol)と反応させ、カラムクロマトグラフィで精製して中間体を得、さらにフマル酸(27 mg, 0.23 mmol)を入れ、目的化合物41(131 mg, 53%)を得た。MS m/z (ESI):482.4 (M+1), 504.4 (M+Na)。1H NMR (CD3OD, 600 MHz): δ 1.86 (m, 1H), 2.07 (m, 1H), 2.44 (d, 3H), 3.18 (m, 3H), 3.39-3.51 (m, 5H), 3.54 (m, 2H), 3.97 (m, 2H), 4.32 (m, 1H), 6.65 (s, 1 H), 7.20-7.33 (m, 2H), 7.52 (d, 2H), 7.76 (d, 2H)。
【0258】
実施例42:化合物のDPP-IV阻害活性
DPP-IV阻害活性の測定は、通常の方法で行うことができる。DPP-IVは、バキュロウイルス発現システムによって発現して精製された酵素で、精製酵素のKm、Kcatがいずれも文献の記載と一致するため、発現して精製されたDPP-IV精製酵素は酵素学的性質が完全に正常であることが示された。反応系はpH7.5の緩衝液の中で行われ、酵素反応の基質はアラニン-プロリン-7-アミノ-4-メチルクマリン(Ala-Pro-AMC)であった。
【0259】
DPP-IVは、基質であるAla-Pro-AMCを分解し、産物であるAMCを生成させることができる。AMCは355nmの紫外線によって励起されて460nmの放出光が生じる。AMCの460nmにおける蛍光値の上昇速度を動的に測量することで、DPP-IVの活性を測定した。
【0260】
被試化合物、酵素および反応緩衝液を均一に混合し、37℃で15minインキュベートし、基質を入れて反応を開始させ、AMCの460nmにおける蛍光値を継続して5min測定した。同時に、基質添加なしの空白対照グループ、被試化合物をDMSOに変えた溶媒対照グループ、およびビルダグリプチン(LAF-237)とシタグリプチン(MK-0431)[Bioorg. Med. Chem. Lett., 2005, 15, 4770-4773]を使用した陽性対照グループを設けた。反応の最終体積は、いずれも100μLであった。各サンプルの各濃度は、それぞれ、ウェルを3つ設けた。
【0261】
まず、酵素の初期速度の期間内における単位時間あたりの蛍光強度の増加量(単位:RFU/sec)を酵素の初期速度として算出し、そしてサンプルの各濃度グループの活性百分率を以下の式によって算出した。
【0262】
【数1】
【0263】
ここで、vサンプルはサンプルの各濃度グループの初期速度を、vDMSOはDMSOグループの初期速度を表す。
【0264】
濃度の対数値を活性百分率に対してグラフを作り、そして非線形回帰を使用して回帰曲線を算出し、IC50値を算出した。
【0265】
本発明の代表的な化合物の分子構造および化合物の生物活性の測定結果を表2に示す。
【0266】
【表2-1】
【表2-2】
【0267】
表2のデータからわかるように、本発明の化合物は、DPP-IVに対する阻害活性が顕著にビルダグリプチンより強く、一部の化合物の阻害活性がシタグリプチンよりも優れた。特に化合物26は、DPP-IV阻害活性がビルダグリプチンより30倍、シタグリプチンより8倍強い。従って、本発明の化合物は、既存の薬物よりも優れた生物活性を有する。
【0268】
実施例43:化合物のDPP-IVに対する選択性
近年、研究によると、人体内には、DPP8、DPP9およびFAPなどを含む、DPP-IVの活性及び/又は構造と類似のタンパク質(DASH)がある。前臨床試験では、これらのDASHメンバーの活性を抑制することで毒性が生じ、ひいては致死することが示された。そのため、高選択性、高効率のDPP-IV阻害剤をスクリーニングすることは、糖尿病の治療には重要な価値がある。
【0269】
昆虫発現システムを使用して発現することにより、DPP-IV、DPP8、DPP9およびFAPの組換えタンパク質を得た(上海今邁生物科技有限公司から購入)。蛍光基質を用いてこの5種類の酵素活性を検出した。各化合物の酵素活性に対する阻害を観察し、化合物の阻害効果を評価した。使用された陽性対照薬物は、ビルダグリプチン(LAF-237)であった。実験方法は、文献J. Med. Chem. 2006, 49, 3520-3535に記載された方法に準じて行った。結果は表3と表4に示す。
【0270】
【表3】
【0271】
【表4】
【0272】
表3および表4のデータからわかるように、化合物8、20及び26は、DPP8、DPP9およびFAPに対する選択比がいずれも陽性薬物であるビルダグリプチンより高いため、本発明の化合物は既存の陽性対照薬物より優れた安全性を有し、既存の薬物よりもジペプチジルペプチダーゼIV関連疾患、例えば糖尿病などの治療または予防に適する。
【0273】
実施例44:化合物8および20のラット体内における薬物動態学実験
実験方法:
体重200〜220gの健康な雄ラット12匹をランダムに3グループ(各グループ4匹ずつ)に分けた。具体的に下記表に示す。
【0274】
試験前、12h断食し、水を自由に飲ませた。薬物を投与してから2h後、一緒に食事をさせた。
【0275】
採血の時点およびサンプルの処理:投与後0.25、0.5、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0、7.0、9.0和24hを経た時点でラットの眼球後静脈叢から静脈血0.3mLを採血し、ヘパリンで処理した試験管にいれ、3000rpmで10min遠心し、血漿を分離し、-20℃の冷蔵庫で冷凍した。液体クロマトグラフィ-タンデム質量分析法で血漿における遊離型薬物の濃度を測定した。
【0276】
【表5】
【0277】
表5に示されるように、化合物8および20は、ラットに20mg/kgで胃内投与する場合、陽性対照薬であるシタグリプチンと比べ、より大きい体内暴露量(AUC)及びより長い体内半減期(t1/2)を有する。本発明の化合物は、現在市販薬物のシタグリプチンよりも優れた体内薬物動態学特性を有するがわかる。
【0278】
実施例45:化合物の体内糖降下活性
実験動物:
浙江大学実験動物センターによって提供された、体重20.0〜24.0gのクリーン級雄ICRマウス70匹。実験動物生産許可証号:SCXK[浙]2007-0039。実験動物使用許可証号:SYXK(浙)2007-0098。
【0279】
動物飼養条件:SPF級動物実験施設の要求に満足し、温度が20〜25℃で、湿度が40〜70%で、光照射が明暗各12hで、換気回数が10〜20回/時間、水(都市飲用水)を自由に飲むようにして、光照射が昼夜で明暗12h/12h交替であった。
【0280】
実験方法:
体重20.0〜24.0gの検疫合格のクリーン級雄マウス50匹を、10匹ずつとなるようにランダムに5グループに分けて、それぞれ、溶媒対照グループ、モデルグループ、化合物投与グループ(3.0mg/kg)とした。
【0281】
各グループのマウスを12h断食させた後、尻尾を切って0.08mLを採血し、血清を取ってマウスの空腹時の血糖値を測定した。採血後、各投与グループは相応投与量の薬液を0.1ml/10gの投与体積で胃内投与し、溶媒対照グループおよびモデルグループは同体積の蒸留水を投与した。投与してから60min後、各グループで0.08mLを採血し、マウスの投与60min後の血糖値を測定した。採血後、溶媒対照グループ以外の各グループは5.0mg/kgのグルコースを0.2ml/10gの投与体積で胃内投与し、且つグルコース投与してから20 min、40 min、60 min、120 minの時点でそれぞれ採血し、6000rpmで10min遠心し、血清を分離し、各時点の血糖値を測定し、血糖濃度から血糖曲線下面積を算出した。
【0282】
【表6】
t検定では、CMC-Na溶媒対照グループに比べて*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001であった。
【0283】
表6からわかるように、化合物8および20は、3mg/kgの投与量で正常ICRラットの血糖AUCに対する抑制率がそれぞれ63.0%および38.3%でシタグリプチンより顕著に優れたため、本発明の化合物は現在市販薬物よりも強い体内糖降下活性を有する。
【0284】
実施例46:薬物組成物
化合物8 20g
でん粉 140g
微晶質セルロース 60g
通常の方法で、前記薬物組成物の各成分を均一に混合した後、普通のゼラチンカプセルに入れ、カプセル1000個を得た。
類似の方法で、それぞれ化合物8を含むカプセルを製造した。
【0285】
実施例47:カプセル剤の製造
化合物20 50g
でん粉 400g
微晶質セルロース 200g
通常の方法で、前記薬物組成物の各成分を均一に混合した後、普通のゼラチンカプセルに入れ、カプセル1000個を得た。
類似の方法で、それぞれ化合物20を含むカプセルを製造した。
【0286】
各文献がそれぞれ単独に引用されるように、本発明に係るすべての文献は本出願で参考として引用する。また、当業者は、本発明の前記内容を読み終わった後、本発明に対し各種の変動や修正をすることができるが、それらの等価の様態のものも本発明の特許請求の範囲に含まれることを理解すべきである。