(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5661179
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】コネクタ、流体用容器
(51)【国際特許分類】
A61M 39/02 20060101AFI20150108BHJP
A61J 1/10 20060101ALI20150108BHJP
【FI】
A61M5/14 459F
A61J1/00 335A
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-512575(P2013-512575)
(86)(22)【出願日】2011年5月19日
(65)【公表番号】特表2013-526399(P2013-526399A)
(43)【公表日】2013年6月24日
(86)【国際出願番号】SE2011050633
(87)【国際公開番号】WO2011146012
(87)【国際公開日】20111124
【審査請求日】2013年1月21日
(31)【優先権主張番号】PCT/SE2010/050555
(32)【優先日】2010年5月21日
(33)【優先権主張国】SE
(31)【優先権主張番号】12/784,985
(32)【優先日】2010年5月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503261731
【氏名又は名称】カルメル ファルマ アクチボラゲット
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トビアス ローゼンクイスト
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー シダースキオールド
(72)【発明者】
【氏名】ジョナス レフラー
(72)【発明者】
【氏名】ジョアンナ リンドストローム
【審査官】
安田 昌司
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2008/144447(WO,A2)
【文献】
特開2009−148561(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/010998(WO,A1)
【文献】
特開2001−198226(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0277021(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/00−39/10
A61J 1/00− 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の流体用容器(28)と第2の流体用容器との間の流体の移送を可能にするためのコネクタ(10)であって、このコネクタ(10)は、第1の流体用容器(28)に連結されるように構成された第1の構成要素(12)と、第2の流体用容器に連結されるように構成された第2の構成要素(14)とを備え、前記第1の構成要素(12)は、第2の流体用容器が前記第2の構成要素(14)に連結される前には、かつ/または第1の流体用容器(28)が前記第1の構成要素(12)に連結される前には、前記第2の構成要素(14)、または前記第2の構成要素(14)の一部分に、および第1の流体用容器(28)に、回転不能に連結されるように構成されている、コネクタ(10)において、
前記コネクタ(10)はロック/回転可能化要素(16)を備え、前記ロック/回転可能化要素(16)は、第2の流体用容器が前記第2の構成要素(14)に連結されると、かつ/または第1の流体用容器(28)が前記第1の構成要素(12)に連結されると作動するように構成されており、前記ロック/回転可能化要素(16)により、前記第1の構成要素(12)と前記第2の構成要素(14)とは互いに対して自由に回転可能になり、前記第1の構成要素(12)または前記第2の構成要素(14)のうちの一方は、前記第2の構成要素(14)への前記第1の構成要素(12)の連結を容易にする案内手段(18c)を備えることを特徴とするコネクタ(10)。
【請求項2】
前記第1の構成要素(12)または前記第2の構成要素(14)のうちの一方は、前記第1の構成要素(12)を前記第2の構成要素(14)に回転不能に連結させるために、前記第1の構成要素もしくは前記第2の構成要素(12、14)の他方または前記ロック/回転可能化要素(16)の少なくとも1つの対応するキャビティ(20)内に配置されるように構成されている少なくとも1つの突出部(18、18b)を備え、前記ロック/回転可能化要素(16)は、前記少なくとも1つの突出部(18、18b)を前記少なくとも1つの対応するキャビティ(20)の外に押し出すように構成されており、前記少なくとも1つの突出部(18、18b)が前記少なくとも1つの対応するキャビティ(20)の外に押し出されるときは、前記第1の構成要素(12)と前記第2の構成要素(14)とは互いに対して自由に回転可能になることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ(10)。
【請求項3】
前記ロック/回転可能化要素(16)は、前記少なくとも1つの突出部(18b)を前記少なくとも1つの対応するキャビティ(20)の外に押し出し、少なくとも1つのスロット(24)内に入れるように構成されており、前記少なくとも1つの突出部(18b)が前記少なくとも1つのスロット(24)内に配置されるときは、前記第1の構成要素(12)と前記第2の構成要素(14)とは互いに対して自由に回転可能になることを特徴とする請求項2に記載のコネクタ(10)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの突出部(18)は、前記案内手段(18c)を規定することを特徴とする請求項2または3に記載のコネクタ(10)。
【請求項5】
前記ロック/回転可能化要素(16)は、前記第2の流体用容器が前記第2の構成要素(14)に連結されるときに、かつ/または第1の流体用容器(28)が前記第1の構成要素(12)に連結されると自動で作動するように構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のコネクタ(10)。
【請求項6】
前記ロック/回転可能化要素(16)は、前記第2の流体用容器がその後前記第2の構成要素(14)に連結されるときに、前記ロック/回転可能化要素(16)が前記第2の流体用容器によって直接もしくは間接的に変位し、前記ロック/回転可能化要素(16)の前記変位により、前記少なくとも1つの突出部(18b)が前記少なくとも1つのキャビティ(20)の外に押し出されるときに、かつ/または前記第1の流体用容器(28)がその後前記第1の構成要素(12)に連結されるときに、前記ロック/回転可能化要素(16)が前記第1の流体用容器(28)によって直接もしくは間接的に変位し、前記ロック/回転可能化要素(16)の前記変位により、前記少なくとも1つの突出部(18b)が前記少なくとも1つのキャビティ(20)の外に押し出されるときに、自動で作動するように構成されていることを特徴とする請求項2から4のいずれかに従属するときに請求項5に記載のコネクタ(10)。
【請求項7】
前記ロック/回転可能化要素(16)は、前記第2の流体用容器が前記第2の構成要素(14)に連結された後で、かつ/または前記第1の流体用容器(28)が前記第1の構成要素(12)に連結されると、ユーザによる手作業で作動するように構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のコネクタ(10)。
【請求項8】
前記ロック/回転可能化要素(16)は、前記第2の流体用容器が前記第2の構成要素(14)に連結され、かつ/または前記第1の流体用容器(28)が前記第1の構成要素(12)に連結された後で、直接または間接的に前記ロック/回転可能化要素(16)を変位させるユーザによる手作業で作動するように構成されており、前記ロック/回転可能化要素(16)の前記変位により、前記少なくとも1つの突出部(18b)は前記少なくとも1つのキャビティ(20)の外に押し出されることを特徴とする請求項2から4のいずれかに従属するときに請求項7に記載のコネクタ(10)。
【請求項9】
前記第1の構成要素(12)を前記第2の構成要素(14)または前記流体可能化要素(16)に連結するスナップ嵌め機構(17)を備えることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のコネクタ(10)。
【請求項10】
前記第1の構成要素(12)は前記第2の構成要素(14)中にねじ込まれるように構成されていることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のコネクタ(10)。
【請求項11】
前記第1の構成要素(12)は前記第2の構成要素(14)中に摺動されるように構成されていることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のコネクタ(10)。
【請求項12】
前記第2の構成要素(14)および/または前記第1の構成要素(12)はメンブレンを備えることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載のコネクタ(10)。
【請求項13】
前記第1の流体用容器(28)と前記第2の流体用容器との間に漏出しない液密の連結を確実に行うシーリング手段(15)を備えることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載のコネクタ(10)。
【請求項14】
請求項1から13のいずれかに記載のコネクタ(10)の一体形成された第1の構成要素(12)を備えることを特徴とする流体用容器(28)。
【請求項15】
前記第2の流体用容器が前記第2の構成要素(14)に連結され、および/または、前記第1の流体用容器(28)が前記第1の構成要素(12)に連結されると、前記第2の構成要素(14)に対して摺動自在に変位するように構成されているロック/回転可能化要素(16)を備えることを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載のコネクタ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンジまたは針保護具など、第1の流体用容器と第2の流体用容器との間の流体の移送を可能にするためのコネクタに関する。本発明は、こうしたコネクタの少なくとも一部分を備える流体用容器にも関する。
【背景技術】
【0002】
多くの医用コネクタがメス型のルアーロック要素を有する第1の構成要素を備えており、そうしたメス型のルアーロック要素は、例えば医用ラインに取り付けられた第2のコネクタ構成要素の対応するオス型のルアーロック要素にしっかりと接合されるように構成されている。したがって、オス型のルアーロック要素を、メス型のルアーロック要素中に自由にねじ込み、そこから抜き取ることができる。しかし、オス型のルアーロック要素がコネクタのメス型のルアーロック要素中にねじ込まれていると、コネクタ構成要素が偶発的にまたは意図せずに抜き取られることができるリスクがあり、それが、流体ラインの連結解除につながることがある。これは、患者および/または連結解除された医用コネクタの近くの任意の他の人にとって深刻な汚染のリスクを伴うことがある。このような連結解除のリスクは、細胞増殖抑制剤などの毒性の流体を投与するときは、特に避けなければならない。
【0003】
一部の医用コネクタは、例えば医用ラインに連結されると連結解除できないように構成されている。このようなコネクタの不利な点は、医用ラインと第2の流体用容器との間の流体の移送を可能にするために、シリンジまたは針保護具など、第2の流体用容器がコネクタに固定されるときに医用ラインに望ましくないねじれが含まれる恐れがあることである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一目的は、従来技術の欠点のうちの少なくとも1つを克服もしくは改善すること、または有用な代替形態を提供することである。本発明の他の目的は、第1の流体用容器と、シリンジまたは針保護具など、第2の流体用容器との間の流体の移送を可能にするための安全で信頼できるコネクタを提供することである。
【0005】
これらの目的のうちの少なくとも1つは、第1の流体用容器に連結されるように構成された第1の構成要素と、第2の流体用容器に連結されるように構成された第2の構成要素とを備えるコネクタによって実現される。第1の構成要素は、第2の流体用容器が第2の構成要素に連結される前には、かつ/または第1の流体用容器が第1の構成要素に連結される前には、第2の構成要素、または第2の構成要素の一部分に、および第1の流体用容器に、回転不能に連結されるように構成されている。コネクタはロック/回転可能化要素を備え、そのロック/回転可能化要素は、第2の流体用容器が第2の構成要素に連結されると、かつ/または第1の流体用容器が第1の要素に連結されると作動するように構成されており、そのロック/回転可能化要素により、第1の構成要素と第2の構成要素とが互いに対して自由に回転可能になり、すなわち、一方向もしくは複数の方向に支障なく自由に回転可能になるか、または1回転の少なくとも一部もしくはさらに回転することが防止される前に任意の回転数だけ一方向または複数の方向に自由に回転可能になる。ロック/回転可能化要素が作動していると、第1の構成要素を第2の構成要素から偶発的にまたは意図せずに連結解除することが不可能になり、第1の構成要素と第2の構成要素とのロックは元に戻らない。本発明の代替的実施形態によれば、第1の構成要素は、ロック/回転可能化要素が作動していると第2の構成要素から連結解除可能になるように構成されており、第1の構成要素と第2の構成要素とのロックは逆にすることができる。
【0006】
「first fluid container(第1の流体用容器)」および「second fluid container(第2の流体用容器)」という表現は、この書類で使用される場合、バイアル、医用ライン、チューブ、または輸液ボトルもしくは輸液バッグなどの輸液流体用容器、シリンジ、あるいは針保護用具など、少なくとも一時的に流体を収容できる任意の入れ物を意味するものである。「a locking and rotation−enabling element that is arranged to be activated once a second fluid container has been connected to the second component and/or once a first fluid container has been connected to the first component(第2の流体用容器が第2の構成要素に連結されると、かつ/または第1の流体用容器が第1の構成要素に連結されると作動するように構成されているロックおよび回転を可能にするための要素(以下、ロック/回転可能化要素))」という表現は、ロック/回転可能化要素が、入れ物のうちの一方または両方がコネクタに連結されようとするときに作動するように構成されていることを意味するものである。例えば、ロック/回転可能化要素が、例えばコネクタの長手方向に特定の距離だけ線形に、非線形に、または回転式に変位したときに作動するように構成されている場合は、ロック/回転可能化要素を必要な距離だけ変位させるために、前記入れ物の一方もしくは両方の連結および/またはユーザによる手作業の作動が必要になるようにコネクタを構成することができる。
【0007】
「locking and rotation−enabling element(ロック/回転可能化要素)」という表現が、単一の構成要素または複数の構成要素が第2の構成要素に対して第1の構成要素をロックするように、さらに回転可能にするように構成されていることを意味するものであることを留意されたい。
【0008】
したがって、本発明によるコネクタの第1の構成要素と第2の構成要素とを、第2の流体用容器および/または第1の流体用容器がコネクタに連結されるまで互いに対して回転しないように互いに連結することができる。第2の流体用容器および/または第1の流体用容器の連結の際には、ロック/回転可能化要素が作動し、第1の構成要素と第2の構成要素とが互いに対して自由に回転できるようになる。自由に回転することは、解除不能な連結が行われたこと、すなわち、コネクタを破壊することなく、過剰な力を用いることなく、またはコネクタを誤用することなく、第1の構成要素と第2の構成要素とを分離することはできないことをユーザに明確に示すことになる。さらに、第1の流体用容器または第2の流体用容器の望ましくないねじれがあればそれを、コネクタの第1および/または第2の構成要素を回転させることによって補正することもできる。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、第1の構成要素または第2の構成要素のうちの一方は、第1の構成要素を第2の構成要素(またはその一部分)に回転不能に連結させるために、第1の構成要素もしくは第2の構成要素のうちの他方またはロック/回転可能化要素の少なくとも1つの対応するキャビティ内に配置されるように構成されている少なくとも1つの突出部を備える。ロック/回転可能化要素は、少なくとも1つの突出部を少なくとも1つの対応するキャビティの外に押し出すように構成されており、少なくとも1つの突出部が少なくとも1つの対応するキャビティの外に押し出されるときは、第1の構成要素と第2の構成要素とが互いに対して自由に回転可能になる。
【0010】
本発明の別の実施形態によれば、ロック/回転可能化要素は、少なくとも1つの突出部を少なくとも1つの対応するキャビティの外に押し出し、少なくとも1つのスロット内に入れるように構成されており、少なくとも1つの突出部が少なくとも1つのスロット内に配置されるときは、第1の構成要素と第2の構成要素とが互いに対して自由に回転可能になる。
【0011】
本発明の別の実施形態によれば、少なくとも1つの突出部は、少なくとも1つの案内エッジなどの案内手段を備え、その案内手段は、第1の構成要素と第2の構成要素とが互いに連結されている間に第1の構成要素の突出部を確実にロック/回転可能化要素と接触したままにすることによって、第1の構成要素に対してロック/回転可能化要素を案内して、第2の構成要素への第1の構成要素の連結を容易にし第1の構成要素と第2の構成要素とを確実に正確に連結するように構成されている。こうした案内手段を設けると、第1の構成要素の製造を単純にすることができ、それにより、製造時間およびコストが削減される。
【0012】
本発明の他の形態によれは、ロック/回転可能化要素は、第2の流体用容器および/または第1の流体用容器がコネクタに連結されるときに自動で作動するように構成されている。本発明の一実施形態によれば、ロック/回転可能化要素の構成は、第2の流体用容器および/または第1の流体用容器がその後コネクタに連結されるときに、ロック/回転可能化要素が第2の流体用容器および/または第1の流体用容器によって直接または間接的に変位し、ロック/回転可能化要素の変位により、少なくとも1つの突出部が少なくとも1つのキャビティの外に押し出されるときに、自動で作動するようになっている。
【0013】
あるいは、本発明によるコネクタにおいては、ロック/回転可能化要素は、第2の流体用容器および/または第1の流体用容器がコネクタに連結された後で、ユーザによる手作業で作動するように構成されている。本発明の一実施形態によれば、ロック/回転可能化要素は、第2の流体用容器および/または第1の流体用容器がコネクタに連結された後で、直接または間接的にロック/回転可能化要素を変位させるユーザによる手作業で作動するように構成されており、ロック/回転可能化要素の変位により、少なくとも1つの突出部が少なくとも1つのキャビティの外に押し出される。
【0014】
本発明の別の実施形態によれば、コネクタは、第1の構成要素を第2の構成要素に連結するスナップ嵌め機構を備える。スナップ嵌め機構は自己ロック式の継ぎ手であり、その嵌め合い部品はカム動作を行い、一方の部分が他方の部分の上にある隆起したリップを超えてスリップするまで湾曲して、それらの分離が防止される。
【0015】
本発明の他の実施形態によれば、第1の構成要素は第2の構成要素中にねじ込まれるように構成されている。あるいは、第1の構成要素は第2の構成要素へ摺動するように構成されている。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、第1の構成要素および/または第2の構成要素は少なくとも1つのメンブレンを備える。第2の流体用容器または第1の流体用容器の(1つまたは複数の)メンブレンは、漏出のない流体の移送を実現するために、2重/多重のメンブレンを形成するようにコネクタ構成要素の(1つまたは複数の)メンブレンに押し付けられることができ、次いで、針などの穿孔部材が2重/多重のメンブレンを貫通することができる。本発明の実施形態のいずれかによるコネクタのメンブレンは全て、必ずしも同じ機械的特性および/または化学的特性を有し、ならびに/あるいは同じ材料を含む必要はないことに留意されたい。さらに、前記メンブレンのうちの1つまたは複数を、その機械的特性および/または化学的特性を変更/改変するために少なくとも部分的にコーティングすることができる。少なくとも1つのメンブレンは、例えば、耐薬品性のコーティングを備えることができる。
【0017】
本発明の別の実施形態によれば、コネクタは、第1の流体用容器と第2の流体用容器との間に漏出しない液密の連結を確実に行う少なくとも1つのOリングまたはガスケットなどのシーリング手段を備える。
【0018】
本発明は、本発明の実施形態のいずれかによりコネクタの一体形成された第1の構成要素を備える流体用容器にも関する。しかし、本発明によるコネクタを、任意の流体用容器に連結されるように構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
添付の概略図を参照しながら非限定的な例を用いて、本発明を本明細書で以下にさらに説明する。
【
図1】本発明の一実施形態によるコネクタの分解図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるコネクタのロック/回転可能化要素を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるコネクタの第1の構成要素を示す図である。
【
図4】第1の構成要素がロック/回転可能化要素に回転不能に連結されるところを示す図である。
【
図5】第1の構成要素がロック/回転可能化要素に対して自由に回転できるようにロック/回転可能化要素に連結されるところを示す図である。
【
図6】第1の構成要素がロック/回転可能化要素に対して自由に回転できるようにロック/回転可能化要素に連結されるところを示す図である。
【
図7】第1の構成要素と第2の構成要素とが回転不能に連結された、本発明の一実施形態によるコネクタを示す図である。
【
図8】第1の構成要素と第2の構成要素とが回転可能に連結された、本発明の一実施形態によるコネクタを示す図である。
【
図9】本発明の異なる実施形態によるコネクタの第2の構成要素を示す図である。
【
図10】本発明の異なる実施形態によるコネクタの第2の構成要素を示す図である。
【
図11】本発明によるコネクタの構成要素を少なくとも1つ備える流体用容器を示す図である。
【
図12】本発明によるコネクタの構成要素を少なくとも1つ備える流体用容器を示す図である。
【
図13】本発明の一実施形態によるコネクタの第1の構成要素を示す図である。
【
図14】第1の構成要素と第2の構成要素とが回転不能に連結された、本発明の一実施形態によるコネクタを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面の縮尺は正確ではなく、明確にするために特定の特徴部の寸法を誇張していることに留意されたい。
【0021】
図1に、第1の流体用容器と第2の流体用容器との間の流体の移送を可能にするためのコネクタ10の分解図を示す。コネクタ10は、第1の流体用容器に連結されるように構成された第1の構成要素12と、第2の流体用容器に連結されるように構成された第2の構成要素14をと備える。例示の実施形態における第1の構成要素12および第2の構成要素14は、チューブ状であり、少なくとも1つの流体用チャネル(図示せず)を備え、そのチャネルを通って流体がコネクタ中を流れることができる。コネクタ10は、第1の流体用容器と第2の流体用容器との間に漏出しない液密の連結を確実に行うために少なくとも1つのOリング15を備える。
【0022】
第1の構成要素12は、第2の流体用容器が第2の構成要素14に連結される前には第2の構成要素14および第1の流体用容器に回転不能に連結されるように構成されている。コネクタ10はロック/回転可能化要素16を備え、そのロック/回転可能化要素16は、続いて第2の流体用容器がその後第2の構成要素14に連結されると作動するように構成されている。例示の実施形態では、ロック/回転可能化要素16は、第2の構成要素14の一部を構成しており、第2の構成要素14に対して回転不能であり摺動自在に変位することができる。ロック/回転可能化要素16が直接または間接的に(自動または手作業で)作動しているときは、そのロック/回転可能化要素16により、第1の構成要素12と第2の構成要素14とが互いに対して自由に回転することが可能になる。
【0023】
図1〜
図3を参照すると、第1の構成要素12は、2つの高さの突出部18aおよび18bを備える。低い方の突出部18bは、第1の構成要素12を第2の構成要素14に回転不能に連結させるために、第2の構成要素14のロック/回転可能化要素16の対応するキャビティ20内に配置されるように構成されている(それにより、第1の構成要素12に回す力を加えると、その力がロック/回転可能化要素16に伝達される)。高い方の突出部18aは、例えばスナップ嵌めした状態で、ロック/回転可能化要素16上の(
図1に示す)1列の突出部22に隣接して配置されるように構成されている。
【0024】
図4に、第1の構成要素12がロック/回転可能化要素16に連結され、低い方の突出部18bがロック/回転可能化要素16のキャビティ20内に配置されるところを示す。
【0025】
第2の流体用容器が第2の構成要素14に連結されるときに、ロック/回転可能化要素16は、
図5に示す位置まで下向きに摺動自在に変位し、低い方の突出部18bをキャビティ20の外に押し出し、それにより、第1の構成要素12とロック/回転可能化要素16(したがって、第2の構成要素14)とが互いに対して自由に回転することができる。
【0026】
図6に、第1の構成要素12が
図6の矢印の方向に回転した位置にあり、ロック/回転可能化要素16のキャビティ20が低い方の突出部18bの少し右側に配置されるところを示す。コネクタ10が
図6の矢印の方向の反対の方向に回転できるように構成されていることに留意されたい。本発明の一実施形態によれば、コネクタ10は、第1の構成要素12と第2の構成要素14とが互いに対して回転できないロック解除姿勢に戻るのを防止する手段を備えることができる。例えば、
図6に例示した実施形態では、コネクタ10は、突出部18bがキャビティ20中に戻るように変位するのを防止するばね仕掛けの機構を備えることができる。
【0027】
図7に、第1の構成要素12と第2の構成要素14とが互いに対して回転不能に連結されるときの、すなわち、低い方の突出部18bがロック/回転可能化要素16のキャビティ20内に配置されるときの、第1の構成要素12とロック/回転可能化要素16を含む第2の構成要素14の断面図を示す。高い方の突出部18aは、ロック/回転可能化要素16の突出部22に寄りかかっている。
図7に示すコネクタは、低い方の突出部18bのすぐ下にスロット24を備える。
【0028】
ロック/回転可能化要素16は、作動するときに、
図7の下向きに、
図8に示す姿勢まで変位する。この姿勢では、低い方の突出部18bは、スロット24内に配置され、高い方の突出部18aは、もはやロック/回転可能化要素16の突出部22に寄りかかっていない。したがって、第1の構成要素12は、ロック/回転可能化要素16に対して、したがって、第2の構成要素14に対して自由に回転することができる。さらに、ロック/回転可能化要素16の突出部22は今や上の方の突出部18aと下の方の突出部18bとの間に配置されているので、第1の構成要素12は、常時、第2の構成要素14に連結されたままになり、好ましくは、コネクタ10を破壊することなく、過剰な力を用いることなく、またはコネクタ10を誤用することなく、そこから分離されることはない。例示の実施形態では、第2の構成要素14はメンブレン26を備え、そのメンブレン26を、第2の流体用容器と第2の構成要素14との間で漏出させずに確実に流体を移送するように、針保護具など、第2の流体用容器のメンブレンに対して密着して並置して配置することができる。
【0029】
図1〜
図8に示すコネクタの実施形態では、ロック/回転可能化要素16は、第2の流体用容器が第2の構成要素14に連結されるときに直接かつ自動的に作動するように構成されている。すなわち、第2の流体用容器を第2の構成要素14に連結すると、ロック/回転可能化要素16が長手方向に(
図1〜
図8の下向きに)摺動自在に変位して、第1の構成要素12を第2の構成要素14に対して自由に回転可能にさせることができる。あるいは、このように摺動自在な変位は、例えば、第2の流体用容器が第2の構成要素14に連結されると、ユーザがコネクタ側のレバーを手作業で作動させ、そのレバーがロック/回転可能化要素16を作動させることによって実現することができる。
【0030】
図9に、スナップ嵌め機構17を備えるコネクタ10を示す。
図10に、第2の構成要素14を、第2の流体用容器中にねじ込まれるように構成できることを示す。第1の構成要素12を、第1の流体用容器中に摺動するかまたはねじ込まれるように構成できることにも留意されたい。さらに、第1の構成要素12を、第2の構成要素14中に摺動するかまたはねじ込まれるように構成することができ、ロック/回転可能化要素16を、線形に、非線形に、または回転可能に変位するように構成することができる。
【0031】
本発明の実施形態のいずれかによるコネクタ10が、コネクタの把持を容易にするためにテクスチャード加工面、コーティング面、または粗い面などの把持手段を備えることができることに留意されたい。第1の構成要素12の上側部分は、例えば、少なくとも
図9に示す位置に把持手段11を備えることができる。
【0032】
図11に、本発明に従って一体形成されたコネクタ10を備える第1の流体用容器28、すなわち、輸液バッグを示す。あるいは、こうしたコネクタ10を、標準的な輸液バッグの輸液ポートまたは注入ポートに一時的にまたは常時連結されるように構成することができる。
【0033】
図12に、本発明に従って一体形成されたコネクタ10の第1の構成要素12を備える第1の流体用容器28、すなわち、輸液バッグを示す。あるいは、こうした第1の構成要素12を、標準的な輸液バッグの輸液ポートまたは注入ポートに一時的にまたは常時連結されるように構成することができる。
【0034】
図13に、本発明の別の実施形態によるコネクタの第1の構成要素12を示す。その実施形態では、第1の構成要素12がくさび様の突出部18を備えており、そのくさび様の突出部18は、第2の構成要素14への第1の構成要素12の回転不能な連結を容易にするように構成されている。突出部がどんな形状のものでもよいことに留意されたい。突出部18は、少なくとも1つの案内エッジ18cを備え、その案内エッジ18cは、実質的に突出部18の全長に沿って延在する。少なくとも1つの案内エッジ18cは、第1の構成要素と第2の構成要素とが連結されている間にロック/回転可能化要素16との接触を維持し、それにより、第1の構成要素12に対してロック/回転可能化要素16を案内するように構成されている。突出部18は、第1の構成要素12を第2の構成要素14に回転不能に連結させるために、第2の構成要素14のロック/回転可能化要素16の対応するキャビティ20内に配置されるように構成されている(それにより、第1の構成要素12に回す力を加えると、その力がロック/回転可能化要素16に伝達される)。
【0035】
図14に、第1の構成要素12と第2の構成要素14とが互いに対して回転不能に連結されるときの、すなわち、突出部18がロック/回転可能化要素16のキャビティ20内に配置されるときの、
図13に示す第1の構成要素12とロック/回転可能化要素16を含む第2の構成要素14の断面図を示す。突出部18の上側部分は、ロック/回転可能化要素16の突出部22に寄りかかっている。
図7に示すコネクタは、突出部18の下側部分のすぐ下にスロット24を備える。
【0036】
ロック/回転可能化要素16は、作動するときに、
図14の下向きに変位する。この姿勢では、突出部18の下側部分は、スロット24内に配置され、突出部18の上側部分は、もはやロック/回転可能化要素16の突出部22に寄りかかっていない。したがって、第1の構成要素12は、ロック/回転可能化要素16に対して、したがって、第2の構成要素14に対して自由に回転することができる。さらに、ロック/回転可能化要素16の突出部22は突出部18の上側部分と下側部分との間に配置および案内されているので、第1の構成要素12は、常時、第2の構成要素14に連結されたままになり、好ましくは、コネクタ10を破壊することなく、過剰な力を用いることなく、またはコネクタ10を誤用することなく、そこから分離されることはない。例示の実施形態では、第2の構成要素14はメンブレン26を備え、そのメンブレン26を、第2の流体用容器と第2の構成要素14との間で漏出させずに確実に流体を移送するように、針保護具など、第2の流体用容器のメンブレンに対して密着して並置して配置することができる。
【0037】
特許請求項の範囲内に包含される本発明の他の改変形態が当業者には明らかである。例えば、第1の構成要素12および第2の構成要素14は、任意の2つの入れ物の間を連結することができ、それらの入れ物の間を流体が移送されることが望ましい。第1の構成要素12を、任意の適切な方式で第2の構成要素14(またはロック/回転可能化要素16など、その一部分)に連結されるように構成することができる。第2の流体用容器および/または医療用容器がコネクタに連結されるときにコネクタ10の第1の構成要素12と第2の構成要素14とを互いに自由に回転できるようにするロック/回転可能化要素16の設計および構成には多くの手法がある。図に示す設計および構成は、本発明の原理を例示するために、単にこのような一例を提示するだけである。さらに、第2の流体用容器および/または第1の流体用容器をコネクタ10に連結することで直接作動するロック/回転可能化要素16を製造する方が簡単であるが、コネクタは、間接的に自動または手作業でロック/回転可能化要素16を作動させる追加の機構を備えることができることに留意されたい。