特許第5661186号(P5661186)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5661186工具無しで分解組立可能な低吐出量用液体材料噴射バルブ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5661186
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】工具無しで分解組立可能な低吐出量用液体材料噴射バルブ
(51)【国際特許分類】
   B05B 7/04 20060101AFI20150108BHJP
   B05B 7/10 20060101ALI20150108BHJP
   B05B 15/06 20060101ALI20150108BHJP
【FI】
   B05B7/04
   B05B7/10
   B05B15/06
【請求項の数】13
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-531203(P2013-531203)
(86)(22)【出願日】2012年8月14日
(86)【国際出願番号】JP2012070653
(87)【国際公開番号】WO2013031531
(87)【国際公開日】20130307
【審査請求日】2014年7月1日
(31)【優先権主張番号】特願2011-191169(P2011-191169)
(32)【優先日】2011年9月2日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513321308
【氏名又は名称】Shimada Appli合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147935
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 進介
(74)【代理人】
【識別番号】100080230
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 詔二
(72)【発明者】
【氏名】島田 ▲隆▼治
【審査官】 篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−532298(JP,A)
【文献】 特表2006−513029(JP,A)
【文献】 特開2004−243318(JP,A)
【文献】 特開2001−321701(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 7/04
B05B 7/10
B05B 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストン体を上下動可能に内装してなるシリンダ部と、前記シリンダ部の基端側に嵌着せしめられ、前記ピストン体を上下動せしめるためのマイクロアジャストメント機構を有するアジャスタ部と、前記シリンダ部の先端側に嵌着せしめられ、液体材料源からの液体材料を流入せしめる液体材料流入部と圧縮空気源からの圧縮空気を流入せしめるエアー流入部とを有するフルイドボディ部と、前記フルイドボディ部に連通して取り付けられ、開口部を有する吐出ノズルと、前記ピストン体の軸心に嵌挿せしめられ、先端が前記吐出ノズルの開口部まで到達するニードル体と、を備えた液体材料噴射バルブ本体と、前記アジャスタ部とフルイドボディ部がシリンダ部から外れるのを防止するため、アジャスタ部とフルイドボディ部とを固定するための抑え部材と、を含んでなり、前記アジャスタ部と前記フルイドボディ部とが円環状の外周を有し、前記円環状の外周に凹部を設けるとともに、前記抑え部材が前記凹部に係着する係着部材を有し、前記係着部材を前記凹部に係着せしめることで、前記液体材料噴射バルブ本体が前記抑え部材に嵌着支持されることを特徴とする工具無しで分解組立可能な低吐出量用液体材料噴射バルブ。
【請求項2】
前記抑え部材が、ベース部と、前記ベース部に下端部が回動自在に支持される第一及び第二U字状係着部材と、を有し、前記第一及び第二U字状係着部材の下端部の隙間に前記液体材料噴射バルブ本体を挿入して前記第一及び第二U字状係着部材の下端部を前記フルイドボディ部の円環状の外周の凹部に係着し、前記第一及び第二U字状係着部材の上端部を前記アジャスタ部の円環状の外周の凹部に係着せしめることにより、前記液体材料噴射バルブ本体を抑え部材に嵌着支持せしめるようにしたことを特徴とする請求項記載の工具無しで分解組立可能な低吐出量用液体材料噴射バルブ。
【請求項3】
前記フルイドボディ部に液体材料排出部を設け、前記液体材料流入部と前記液体材料排出部とを連通せしめ、前記液体材料流入部から流入した液体材料の余剰分が前記液体材料排出部から排出せしめられ、前記液体材料源へと戻すことで、前記液体材料が循環供給されるようにしてなることを特徴とする請求項1又は2記載の工具無しで分解組立可能な低吐出量用液体材料噴射バルブ。
【請求項4】
前記液体材料が、フィラー入り液体材料であり、前記フィラー入り液体材料を噴射するための低吐出量用液体材料噴射バルブであって、前記ニードル体が先端先細状とされ、前記吐出ノズルが前記ニードル体の先端の傾斜に対応する当接面を有する当接環状シート体をその先端に備え、前記ニードル体の先端が前記吐出ノズル先端から突出可能とされてなり、前記ニードル体の引き代を調節することにより、前記フィラー入り液体材料の吐出量を調整可能としてなることを特徴とする請求項1〜いずれか1項記載の工具無しで分解組立可能な低吐出量用液体材料噴射バルブ。
【請求項5】
前記ニードル体の先端角度が5°〜30°であることを特徴とする請求項記載の工具無しで分解組立可能な低吐出量用液体材料噴射バルブ。
【請求項6】
前記液体材料が、フィラー入り液体材料であり、前記フィラー入り液体材料を噴射するための低吐出量用液体材料噴射バルブであって、前記ニードル体が先端先細状とされ、前記吐出ノズルが、前記ニードル体の先端の傾斜に対応する当接部を有する当接リング体を備え、前記ニードル体の先端が前記吐出ノズル先端から突出不能とされてなり、前記ニードル体の引き代を調節することにより、前記フィラー入り液体材料の吐出量を調整可能としてなることを特徴とする請求項1〜いずれか1項記載の工具無しで分解組立可能な低吐出量用液体材料噴射バルブ。
【請求項7】
前記ニードル体の先端角度が45°〜120°であることを特徴とする請求項記載の工具無しで分解組立可能な低吐出量用液体材料噴射バルブ。
【請求項8】
前記吐出ノズルの開口部の下方に、出口開口部を有し、圧縮空気の流路を規制するためのエアーキャップが設けられ、前記液体材料が吐出される際に霧状のエアーの流れが形成されてなることを特徴とする請求項1〜いずれか1項記載の工具無しで分解組立可能な低吐出量用液体材料噴射バルブ。
【請求項9】
前記霧状のエアーの流れは、前記エアーキャップの内壁面に形成された内壁流路によって発生せしめられることを特徴とする請求項記載の工具無しで分解組立可能な低吐出量用液体材料噴射バルブ。
【請求項10】
前記内壁流路が、5つ以上形成された溝であり、前記溝が、前記エアーキャップの出口開口部に向かって集束せしめられてなり、前記出口開口部には、前記溝に対応した切り込みが形成されてなることを特徴とする請求項記載の工具無しで分解組立可能な低吐出量用液体材料噴射バルブ。
【請求項11】
前記霧状のエアーの流れは、前記エアーキャップの出口開口部の周囲に形成された周囲流路によって発生せしめられることを特徴とする請求項記載の工具無しで分解組立可能な低吐出量用液体材料噴射バルブ。
【請求項12】
前記エアーキャップが、内側キャップと外側キャップとを備え、前記内側キャップの外周面に外周流路が放射状に形成され、前記外周流路が前記出口開口部に向かって集束せしめられてなることを特徴とする請求項記載の工具無しで分解組立可能な低吐出量用液体材料噴射バルブ。
【請求項13】
前記霧状のエアーが旋回しながら前記エアーキャップの出口開口部からの液体材料と混ざり合って噴出せしめられることを特徴とする請求項12いずれか1項記載の工具無しで分解組立可能な低吐出量用液体材料噴射バルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体シリコンチップ、ガラス基板、各種樹脂基板、及び金属部材等の被塗布物に対し、液状フォトレジスト剤、表面保護膜や機能性塗布剤等の液体材料、特に粒状物質が入った液体材料(以下フィラー入り液体材料という)を極微細に霧化させて、薄い成膜を形成するための低吐出量用液体材料噴射バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体シリコンチップやガラス基板及び各種部材に、導電ペースト含有溶融剤や、蛍光体材料含有の液体材料を成膜する場合、ディスペンサーによる成膜や、スクリーン印刷による成膜等の塗布技術が既に利用されている。
【0003】
フィラー入り液体材料は、高粘度液体材料でないとフィラーの沈降や凝集がおきてしまうため、希釈溶剤等を混入させ低粘度にしてのスプレーや、ディスペンサー及びその他の塗布工法での薄膜塗布が不可能であった。
【0004】
そのためそれらの材料は、フィラーの沈降防止のため、高粘度の液体材料に含有させて塗布することになる。この高粘度材料ではスプレーは、低吐出量の安定霧化が不可能なため、フィラーが沈降しない500CPS以上の高粘度域の材料を、例えばディスペンサーや、スクリーン印刷方式で、チップが搭載された5mm角サイズ〜10mm角サイズのLEDデバイスなどの表面全体に塗布する方法がとられる。
【0005】
その場合、混合撹拌にはバブルの発生がないように真空脱泡しながら混合撹拌する必要がある。さらに塗布する際にも均等にフィラー材が成膜面に均一に分散積層されていなければならないため、吐出量管理、粘度管理等に費用がかさみ、また生産外での塗布機器の接液部の分解洗浄など多大なメンテナンス費用、稼働時間外の浪費が必要であった。
【0006】
例えば蛍光体は、GaNまたはInGaNの半導体で出来た2mm角サイズ〜3mm角サイズ相当のLEDチップの表面上に直接、接触させたほうが発光効率面では良いため、蛍光体粉末を溶剤などに混合させ、半導体チップ面に薄く直接塗布し、その後溶剤を蒸発させるのが望ましい。蛍光体粉末を溶剤又は一部絶縁材料も含んだ溶剤などに混合させた低粘度塗布材料を、沈降、凝集させずに撹拌させながら塗布する吐出バルブが考えられるが、スプレーガン自身で十分な撹拌をしながらスプレー出来る機器としては構造的に不可能である。そのため撹拌効果が得られる方法として低粘度液体を循環させる方法があるが、スプレーを制御する吐出ノズルとニードルの近くに循環回路を用意することも構造面で不可能であった。
【0007】
そこで、超音波霧化やエアブラシスプレイ方式で超微粒子形成するレベルと同等以上の液体や溶融体の微粒子を形成させ、所望される量の少量又は微量の液体の供給調整を容易かつ確実に行うことができ、また、被塗物に効率的に塗布付着することができ、半導体シリコンウェーハやガラス基板及び各種透明部材等の被塗物に、液状フォトレジスト剤や表面保護膜及び機能性塗布剤等の液体又は溶融体をスプレイ塗布で均一に薄く成膜する少量液体の噴霧装置が提案されている(特許文献1)。
【0008】
しかしながら、上述したような少量液体の噴霧装置は、フィラー入り液体材料を扱うため、目詰まりがし易く、一旦目詰まりが発生した場合、部品点数が多いため、分解して清掃や洗浄などのメンテナンス作業を行うのが大変であった。
【0009】
また、上述したような少量液体の噴霧装置は、産業用ロボットアームに取り付けて使用することが多いため、分解して清掃や洗浄などのメンテナンス作業を行うのはさらに大変であった。
【0010】
このように、従来2流体式エアスプレーバルブやエアブラシ型スプレーバルブにおいて、特に溶融液体を霧化微粒子に発生させるために圧縮エアを用いて遠隔動作させて断続動作での円形状パターンや連続的動作での線状パターンを形成する自動スプレーガンと呼ばれる自動噴射するバルブ(以下自動ガンと呼ぶ)は、機密性、機械的強度を保持するために幾種類かの締付ねじを使用し固定組付されていた。そのため塗布液の接液部の清掃をするためには固定用締付ねじをはずすことに時間を要し、さらに締付ねじ等の繰り返し動作による消耗劣化や、部品点数の多さによる部品紛失も生じるなどで保守性、コスト面等で難点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−28701
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、工具無しで容易に分解組立が可能であり、清掃や洗浄などのメンテナンス作業のし易い低吐出量用液体材料噴射バルブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、このような問題を解決するために鋭意検討した結果、エアスプレーでも特殊なスプレー方式であるエアブラシと呼ばれるスプレー方式に、ドライバーやレンチなどの工具を使わずにワンタッチで分解、組立が出来る低吐出量用液体材料噴射バルブとすることによって、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成させた。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の工具無しで分解組立可能な低吐出量用液体材料噴射バルブは、ピストン体を上下動可能に内装してなるシリンダ部と、前記シリンダ部の基端側に嵌着せしめられ、前記ピストン体を上下動せしめるためのマイクロアジャストメント機構を有するアジャスタ部と、前記シリンダ部の先端側に嵌着せしめられ、液体材料源からの液体材料を流入せしめる液体材料流入部と圧縮空気源からの圧縮空気を流入せしめるエアー流入部とを有するフルイドボディ部と、前記フルイドボディ部に連通して取り付けられ、開口部を有する吐出ノズルと、前記ピストン体の軸心に嵌挿せしめられ、先端が前記吐出ノズルの開口部まで到達するニードル体と、を備えた液体材料噴射バルブ本体と、前記アジャスタ部とフルイドボディ部がシリンダ部から外れるのを防止するため、アジャスタ部とフルイドボディ部とを固定するための抑え部材と、を含んでなり、前記アジャスタ部と前記フルイドボディ部とが円環状の外周を有し、前記円環状の外周に凹部を設けるとともに、前記抑え部材が前記凹部に係着する係着部材を有し、前記係着部材を前記凹部に係着せしめることで、前記液体材料噴射バルブ本体が前記抑え部材に嵌着支持されることを特徴とする。
【0015】
本明細書において、前記低吐出量とは、毎分0.1cc〜5cc程度の吐出量をいう。
【0016】
上記のように構成することで、工具無しで容易に分解組立をすることができるので、清掃や洗浄などのメンテナンス作業がし易いという利点がある。
【0017】
さらに、前記抑え部材が、ベース部と、前記ベース部に下端部が回動自在に支持される第一及び第二U字状係着部材と、を有し、前記第一及び第二U字状係着部材の下端部の隙間に前記液体材料噴射バルブ本体を挿入して前記第一及び第二U字状係着部材の下端部を前記フルイドボディ部の円環状の外周の凹部に係着し、前記第一及び第二U字状係着部材の上端部を前記アジャスタ部の円環状の外周の凹部に係着せしめることにより、前記液体材料噴射バルブ本体を抑え部材に嵌着支持せしめる構成とするのが好ましい。
【0018】
さらにまた、前記フルイドボディ部に液体材料排出部を設け、前記液体材料流入部と前記液体材料排出部とを連通せしめ、前記液体材料流入部から流入した液体材料の余剰分が前記液体材料排出部から排出せしめられ、前記液体材料源へと戻すことで、液体材料が循環供給されるようにしてなる構成とすることもできる。
【0019】
また、前記液体材料が、フィラー入り液体材料であり、前記フィラー入り液体材料を噴射するための低吐出量用液体材料噴射バルブであって、前記ニードル体が先端先細状とされ、前記吐出ノズルが前記ニードル体の先端の傾斜に対応する当接面を有する当接環状シート体をその先端に備え、前記ニードル体の先端が前記吐出ノズル先端から突出可能とされてなり、前記ニードル体の引き代を調節することにより、前記フィラー入り液体材料の吐出量を調整可能としてなるようにするのが好適である。かかる構成は、特にフィラーサイズの平均粒径が8〜10μm前後であり最大粒径が30μmの場合に特に好適に用いられる。また、この場合、前記ニードル体の先端角度が5°〜30°であるのが好適である。なお、フィラーの粒度分布については、動的光散乱式粒子径分布測定装置などを用いて動的光散乱法によって測定することができる。
【0020】
前記液体材料が、フィラー入り液体材料であり、前記フィラー入り液体材料を噴射するための低吐出量用液体材料噴射バルブであって、前記ニードル体が先端先細状とされ、前記吐出ノズルが、前記ニードル体の先端の傾斜に対応する当接部を有する当接環状リング体を備え、前記ニードル体の先端が前記吐出ノズル先端から突出不能とされてなり、前記ニードル体の引き代を調節することにより、前記フィラー入り液体材料の吐出量を調整可能としてなる構成とすることもできる。かかる構成は、特にフィラーサイズの平均粒径が20〜30μm前後であり最大粒径が80μmの場合に特に好適に用いられる。また、この場合、前記ニードル体の先端角度が45°〜120°であるのが好適である。
【0021】
前記吐出ノズルの開口部の下方に、圧縮空気の流路を規制するためのエアーキャップが設けられ、前記液体材料が吐出される際に霧状のエアーの流れが形成されてなるようにするのが好ましい。
【0022】
前記霧状のエアーの流れは、前記エアーキャップの内壁面に形成された内壁流路によって発生せしめられるのが好適である。
【0023】
そして、前記内壁流路が、5つ以上形成された溝であり、前記溝が、前記エアーキャップの出口開口部に向かって集束せしめられてなり、前記出口開口部には、前記溝に対応した切り込みが形成されてなるのが好適である。
【0024】
また、前記霧状のエアーの流れは、前記エアーキャップの出口開口部の周囲に形成された周囲流路によって発生せしめられるようにしてもよい。
【0025】
さらに、前記エアーキャップが、内側キャップと外側キャップとを備え、前記内側キャップの外周面に外周流路が放射状に形成され、前記外周流路が前記出口開口部に向かって集束せしめられてなるようにしてもよい。
【0026】
前記霧状のエアーが旋回しながら前記エアーキャップの出口開口部からの液体材料と混ざり合って噴出せしめられるのがさらに好適である。
【0027】
本発明の低吐出量用液体材料噴射バルブを用いることで、半導体シリコンチップ、ガラス基板、各種樹脂基板、及び金属部材等の被塗布物に対し、液状フォトレジスト剤、表面保護膜や機能性塗布剤等の液体材料、特に粒状物質が入ったフィラー入り液体材料を極微細に霧化させて、薄い成膜を形成することができる。
【0028】
例えばLEDを利用した白色照明技術においても、GaNまたはInGaNチップを実装したLEDデバイスに対して、沈降しやすいYAG蛍光体含有液体材料を液体循環しながら塗布することで白色LEDを製作することができ、照明効率のアップ、品質改善及び生産性の向上に大きく貢献する。
【0029】
このようなフィラー入り液体材料を塗布する際、液体材料噴射スプレーバルブの動作終了後には、接液回路部分を洗浄液による押し出し洗浄することが、詰まり防止のために必要であり、さらに接液部を分解して、接液部の凹部箇所を念入りに清掃する必要がある。本発明の低吐出量用液体材料噴射バルブでは、その清掃を工具無しで容易に短時間で分解、組付けが出来ることにより、塗布作業以外のメンテナンスの低減とスループット向上に役立つという利点がある。
【発明の効果】
【0030】
本発明の工具無しで分解組立可能な低吐出量用液体材料噴射バルブによれば、工具無しで容易に分解組立が可能であり、清掃や洗浄などのメンテナンス作業のし易い低吐出量用液体材料噴射バルブを提供することができるという著大な効果を奏する。
【0031】
また、本発明の工具無しで分解組立可能な低吐出量用液体材料噴射バルブによれば、部品点数を少なくして各部品の組立に必要とする固定用ねじを極力無くし、人間の手作業によってワンタッチで分解組立が出来るという効果がある。
【0032】
さらに本発明の工具無しで分解組立可能な低吐出量用液体材料噴射バルブによれば、半導体シリコンチップやガラス基板及び各種部材へ、特に導電ペースト含有溶融剤や、LEDを形成する際に使用する蛍光体を含有した絶縁性液体材料などを、スプレー塗布で均一に薄く直径10mm以下、特に2mm〜9mm程度の円形状パターンや10mm幅以下、特に1mm〜9mm程度の線状パターンの成膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の工具無しで分解組立可能な低吐出量用液体材料噴射バルブの一つの実施の形態を示す斜視図である。
図2】本発明の工具無しで分解組立可能な低吐出量用液体材料噴射バルブの一つの実施の形態を示す分解斜視図である。
図3図1に示した工具無しで分解組立可能な低吐出量用液体材料噴射バルブの分解組立説明図である。
図4図1に示した工具無しで分解組立可能な低吐出量用液体材料噴射バルブの分解組立説明図である。
図5図1に示した低吐出量用液体材料噴射バルブの抑え部材を除いた断面図である。
図6】バルブ動作を示すブロック図である。
図7】本発明の工具無しで分解組立可能な低吐出量用液体材料噴射バルブを用いた使用状態概略図である。
図8】液体材料を塗布した後の測定結果を示すグラフであり、塗布幅と膜厚の関係を示すグラフである。
図9】本発明の工具無しで分解組立可能な低吐出量用液体材料噴射バルブの別の実施の形態を示す断面図であって、抑え部材を除いた断面図である。
図10】本発明の低吐出量用液体材料噴射バルブに用いられるエアーキャップの一つの実施の形態を正面側からみた斜視図である。
図11】本発明の低吐出量用液体材料噴射バルブに用いられるエアーキャップの一つの実施の形態を裏面側からみた斜視図である。
図12】本発明の低吐出量用液体材料噴射バルブに用いられるエアーキャップの別の実施の形態を示す平面図である。
図13】本発明の低吐出量用液体材料噴射バルブに用いられるエアーキャップのさらに別の実施の形態を示す平面図である。
図14】本発明の低吐出量用液体材料噴射バルブに用いられるエアーキャップの他の実施の形態を示す平面図である。
図15】本発明の低吐出量用液体材料噴射バルブに用いられるエアーキャップのさらに他の実施の形態を示す斜視図であって、内側キャップを示す。
図16図15に示したエアーキャップの内側キャップに外側キャップを取り付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、これら実施の形態は例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことはいうまでもない。
【0035】
図において、符号10は本発明の工具無しで分解組立可能な低吐出量用液体材料噴射バルブの一つの実施の形態を示す。
【0036】
低吐出量用液体材料噴射バルブ10は、図1及び図2によく示される如く、ピストン体12を上下動可能に内装してなるシリンダ部14と、前記シリンダ部14の基端側に嵌着せしめられ、前記ピストン体12を上下動せしめるためのマイクロアジャストメント機構を有するアジャスタ部16と、前記シリンダ部14の先端側に嵌着せしめられ、液体材料源からの液体材料を流入せしめる液体材料流入部18と圧縮空気源からの圧縮空気を流入せしめるエアー流入部20とを有するフルイドボディ部22と、前記フルイドボディ部22に連通して取り付けられ、開口部77を有する吐出ノズル74と、前記ピストン体12の軸心に嵌挿せしめられ、先端が前記吐出ノズル74の開口部77まで到達するニードル体26と、を備えた液体材料噴射バルブ本体28と、前記アジャスタ部16とフルイドボディ部22がシリンダ部14から外れるのを防止するため、アジャスタ部16とフルイドボディ部22とを固定するための抑え部材30と、を含む構成とされている。
【0037】
前記アジャスタ部16は、図2によく示される如く、アジャストリング32に嵌挿されるアジャストスクリュー34と、前記アジャストスクリュー34をOリング36を介して受け入れるアッパーボディ部38と、を備えており、マイクロアジャストメント機構によってマイクロアジャストが可能とされている。
【0038】
前記アジャスタ部16の下端部にある前記アッパーボディ部38は円環状の外周40を有しており、前記円環状の外周40には凹部42が設けられている。なお、符号44は、組み付けを強固にするためのインターロックリングである。
【0039】
シリンダ部14は、図2によく示される如く、ニードル体26を保持するためのニードルリテイナー46と、スプリング48が外挿せしめられるピストン体12と、O大リング50が取り付けられ、前記ピストン体12が収容されるシリンダ体52と、前記シリンダ体52に螺着又は嵌着せしめられ、エアーを前記ピストン体12の下部に供給し、前記ピストン体12を上方へ付勢するためのミドルボディ部54と、を有している。
【0040】
前記ミドルボディ部54は、中央部に開口部53を有しており、ニードル体26は、ニードルリテイナー46を介してピストン体12の軸心へと挿通され、O小リング56を介してミドルボディ部54へと挿通される。
【0041】
前記ミドルボディ部54には、圧縮空気の入口継手58が取り付けられており、圧縮空気供給源からの圧縮空気によって、ピストン体12は上方に付勢される。このようにして、圧縮空気の供給量を調節することで、ピストン体12が上下動可能とされている。
【0042】
前記シリンダ部14の先端側である前記ミドルボディ部54の下端部には、フルイドボディ部22が嵌着せしめられる。前記フルイドボディ部22の側面には、液体材料の戻り菅を接続するための入口継手60が取り付けられるほか、前記液体材料流入部18には、シールリング62、締付ナット64を介して、液循環用継手66が螺着され、前記液循環用継手66には嵌着されたRアダプタ68を介して、塗布する液体材料を収容するための液容器70が取り付けられる。
【0043】
また、フルイドボディ部22には液体材料排出部92を設け、液体材料流入部18と液体材料排出部92とは流路94によって連通せしめられており、液体材料流入部18から流入した液体材料の余剰分が液体材料排出部92から排出せしめられ、液体材料源へと戻されることで、液体材料が循環供給されるように構成されている。
【0044】
また、前記フルイドボディ部22の側面に設けられたエアー流入部20には、圧縮空気のためのエア継手72が取り付けられており、圧縮空気供給源から圧縮空気が供給される。
【0045】
前記フルイドボディ部22の下面中央には、中央にニードル体26が挿通され、前記液体材料がエアーとともに吐出される吐出ノズル74及びニードル体26をカバーするニードルカバー24、そして圧縮空気の流路を規制するためのエアーキャップ78がそれぞれ螺着せしめられる。
【0046】
前記抑え部材30は、ベース部80と、前記ベース部80に下端部が回動自在に支持される第一U字状係着部材82及び第二U字状係着部材84と、を有し、前記第一U字状係着部材82及び第二U字状係着部材84の下端部の隙間86に前記液体材料噴射バルブ本体28を挿入して前記第一U字状係着部材82及び第二U字状係着部材84の下端部を前記フルイドボディ部22の円環状の外周の凹部88に係着し、前記第一U字状係着部材82及び第二U字状係着部材84の上端部を前記アジャスタ部16の円環状の外周の凹部42に係着せしめることにより、前記液体材料噴射バルブ本体28が抑え部材30に嵌着支持せしめられる。なお、抑え部材30は、取付用ボルト90によって、所望の場所に取り付けられる。
【0047】
次に、上述した本発明の低吐出量用液体材料噴射バルブ10の組立て例を図3及び図4に示す。
【0048】
吐出ノズル74やニードルカバー24とエアーキャップ78がねじ込まれたフルイドボディ部22をミドルボディ部54と嵌着して組み合わせて、抑え部材30の第一U字状係着部材82及び第二U字状係着部材84の下端部の隙間86に挿入して前記第一U字状係着部材82及び第二U字状係着部材84の下端部を前記フルイドボディ部22の円環状の外周の凹部88に係着し、固定する(図3(a)及び(b))。
【0049】
そして、ピストン体12及びスプリング48をシリンダ体52に挿入してミドルボディ部54と嵌着して組付け、続けてアッパーボディ部38を嵌着して組付ける(図3(c)〜(e))。
【0050】
次に、抑え部材30の第一U字状係着部材82及び第二U字状係着部材84の上端部をアジャスタ部16の円環状の外周の凹部42に係着せしめる(図3(f)及び(g))。
【0051】
ニードル体26をニードルリテイナー46によりピストン体12に固定した後、ピストン体12を上下動させて液体材料の液量調整を行うためのアジャスタ部16をシリンダ部14にねじ込みして組付ける(図3(h)〜(k))。
【0052】
このように、嵌着又は螺着することによりすべての部品を組み付けることができ、また、部品点数も少ないため組立が容易であり、一連の組立作業が2分以内で完了する。
【0053】
当然、分解も組付けと逆の順序のプロセスにて、作業することで進められる。分解作業時間も組付け時間の半分の時間(およそ1分程度)で終えることが可能となった。
【0054】
また、図示したフルイドボディ部22は、循環タイプのものを示した。吐出ノズル74の手前のフルイドボディ部22に入口継手60を介して細い循環回路を接続させることで、フィラー入り液体材料の沈降防止効果が図られている。エアブラシは、よくプラスチック模型部品や、小型商品を塗装する時に使用する小型スプレー手持ちバルブとして利用されている方式である。
【0055】
その吐出ノズル74の開口部直径は0.5mm以下で、塗料の噴出制御に使用されるニードル体26は針形状を有しており、針形状のニードル体26に沿って塗液(液体材料)が流れ出す時に、まわりの圧縮空気のエゼクター効果により霧化する(図5(a)及び図5(b)など参照)。
【0056】
液体材料の吐出量は、手作業で行うニードル体26の引き加減により可能で、定量的な制御調整には、かなりの熟練を要し、塗布した霧化パターンの幅は、吐出ノズル74先端と被塗面間との距離が20〜40mm前後の場合で10mm前後と狭い。
【0057】
しかし、吐出量としては毎分1cc以下に絞ることができ、吐出ノズル74の先端を10mm前後まで被塗面に近づけても、10μm以下の液体微細粒子の形成も可能であり、塗着効率は吐出ノズル74が近いため80%以上の高効率で被塗物に塗装することが可能である。
【0058】
本発明では、上記した手塗り作業用エアブラシの方式を自動塗布ノズル機構に利用し、またその吐出ノズル74の手前に細くて小さい循環回路を追加して、例えば沈降しやすいフィラー入り液体材料を均一スプレー塗布することに成功した。
【0059】
例えば、粘度50CPS 以下の希釈溶剤が含有された樹脂に、体積比で約30%前後に混合させて作られた低粘度液体材料でも、塗着効率を下げずに直径10mm以下の円形状パターンや10mm幅以下の線状パターンの成膜をも可能となる。
【0060】
また、本発明の低吐出量用液体材料噴射バルブ10では、直径0.5mm穴径以下の吐出ノズル74に対し、液体材料吐出を制御する機構としての役割であるニードル体26の先端部が角度10°以下の鋭角な構造を有しており、吐出ノズル74の出口穴のニードルカバー24の中心穴にまで突き出させ、液体材料を吐出させる際、ニードル体26の引き代としての開度を10μm単位で調整可能な構造にしてエアー霧化をするようにしている。
【0061】
このように、10μm単位でニードル体26の引き代が調整可能なアジャストスクリュー34を取付ける事によりバルブ開閉毎の吐出量の再現性が確保され、安定吐出が得られる。
【0062】
液体材料の吐出は、極細のニードル体26の先端部に沿って液体材料がにじみ出るとき、その周囲の0.2MPa以下の圧縮空気流により負圧効果で液体材料が霧化されて、穴径0.5mm以下の吐出ノズル74から噴出され、口径2.0mm以下のニードルカバー24から圧縮圧0.2Mpa以下の旋回型空気流により衝突拡散によってさらなる液体材料の微粒化促進と霧化パターン領域を拡散出来るようにもした。
【0063】
また、図5の例では、ニードル体26の先端は先細状とされ、先端角度θ1は5°とされており、吐出ノズル74は、ニードル体26の先端角度θ1に対応する当接面を有する当接環状シート体75をその先端に備えてなり、前記ニードル体26の先端が前記吐出ノズル74の先端から突出可能とされてなり、前記ニードル体26の引き代を調節することにより、フィラー入り液体材料の吐出量を調整可能としてなる(図5(c)及び図5(d))。かかる構成は、液体材料がフィラー入り液体材料であり、フィラーサイズが小さい場合、とりわけフィラーサイズの平均粒径が8〜10μm前後であり最大粒径が30μmの場合に特に好適に用いられる。
【0064】
図6に示すように、低吐出量用液体材料噴射バルブ10は、電磁スターラー96により常に撹拌遊動されたフィラー入り液体材料が入った液体材料源である液体材料タンク98から、貯蔵された液体材料を液体材料定量供給ポンプ100により定量供給されるための液体材料供給管102を有し、常に液体材料を液体材料タンク98に戻すための液体材料戻り管104が用意され、低吐出量用液体材料噴射バルブ10の動作に関係なく常に液体材料は液体材料タンク98に戻される。液体材料供給管102は、液容器70に接続されており、液体材料戻り管104は入口継手60を介して液体材料排出部92に接続されている。
【0065】
低吐出量用液体材料噴射バルブ10で吐出する際の吐出圧力は、液体材料定量供給ポンプ100の圧力に液体材料戻り配管の抵抗圧力も加わった圧力になる。更に、低吐出量用液体材料噴射バルブ10のミドルボディ部54には、入口継手58を介してバルブ動作用圧縮空気供給配管106が接続され、且つフルイドボディ部22には、エア継手72を介して霧化用圧縮空気供給配管108が接続され、それぞれの空気調圧器にて圧縮空気圧力が調整可能となっている。
【0066】
それぞれの電磁弁の動作順序としては、例えば、通常霧化用電磁弁では、動作開始後約100ms後にバルブ動作用電磁弁が作動開始され、吐出を終える場合はバルブ動作用電磁弁を先に作動終了させ、約50ms後に霧化用電磁弁を動作終了するという順序が、液体材料の最適霧化に適している。
【0067】
低吐出量用液体材料噴射バルブ10は、バルブ動作用電磁弁が動作することにより、バルブ動作用圧縮空気供給配管106からピストン体12が挿入されたシリンダ体52の中に圧縮空気が流れ、ピストン体12をアジャストスクリュー34側に動作せしめ、ピストン体12と連結されているニードル体26の後端部がアジャストスクリュー34に突き当てられてニードル体26のストロークが定位置で停止される。
【0068】
そして、ニードル体26の先端部が、吐出ノズル74から離れフルイドボディ部22内の液体材料供給部110にある液体材料が、液体材料定量供給ポンプ100の圧送圧力により、液体材料の沈降防止のために管内液体材料流速を秒速3000mm〜6000mmに設定可能なように、フルイドボディ部22内の液体材料供給部110の流路73は直径1.5mm以下の細管にされており、吐出ノズル74内部からニードル体26の先端部表面に押出されると同時に、バルブの霧化用圧縮空気供給配管108から流れ出る霧化用圧縮空気のエゼクター効果により、ニードル体26の先端部表面の液体材料は、図7に示すように、エアーキャップ78の中心出口へ霧化用圧縮空気流112とともに霧化されて霧化パターンが形成される。
【0069】
このようにして、図7に示すように、LEDデバイス114内部の特にLED チップ116に付着される。塗布されない液体材料は、直径1.0mm前後の細管で作られた液体材料戻り管104に入り液体材料タンク98に戻る。
【0070】
霧化された粒子は、LED デバイス114内部に設けてあるLED チップ116に付着することはもちろんのこと、その周囲に構成されている接続用細線ワイヤーやリフレクターと呼ばれる反射板等にスプレーの端部のオーバースプレー分が薄く付着される。この成膜範囲は霧化用圧縮空気供給圧力と霧化パターン用圧縮空気供給圧力(又は流量)によって調整が可能である。
【0071】
霧化パターン径を狭くしたい場合は霧化パターン用圧縮空気供給圧力(又は流量)を少なくし、低吐出量用液体材料噴射バルブ10との被塗物間距離を狭くし、広くしたい場合は霧化パターン用圧縮空気供給圧力(又は流量)を大きくし低吐出量用液体材料噴射バルブ10との被塗物間距離を広くする。
【0072】
成膜量、すなわち吐出量の調整は、低吐出量用液体材料噴射バルブ10の後端部に設けてあるアジャストスクリュー34の開閉量に関係する。アジャストスクリュー34を開くと吐出量が多くなり、閉め込むと吐出量は少なくなる。
【0073】
図5によく示されるように、図示例として示した低吐出量用液体材料噴射バルブ10は、液体材料を循環させて使用する循環タイプであり、上述したように、液体材料がフィラー入り液体材料であり、フィラーサイズが小さい場合、とりわけフィラーサイズの平均粒径が8〜10μm前後であり最大粒径が30μmの場合に特に好適に用いられる。
【0074】
一方、液体材料がフィラー入り液体材料であり、フィラーサイズが大きい場合、とりわけフィラーサイズの平均粒径が20〜30μm前後であり最大粒径が80μmの場合に好適に用いられる低吐出量用液体材料噴射バルブを図9に示す。
【0075】
図9において、符号118は、低吐出量用液体材料噴射バルブの別の実施の形態を示す。低吐出量用液体材料噴射バルブ118は、ニードル体120が先端先細状とされているが、前記ニードル体120の先端角度が低吐出量用液体材料噴射バルブ10のニードル体26よりも大きくされている。図9の例では、前記ニードル体120の先端角度θ2が45°の例を示した。
【0076】
低吐出量用液体材料噴射バルブ118は、開口部123を有する吐出ノズル122が、前記ニードル体120の先端の傾斜に対応する当接部を有する当接環状リング体124(図示例ではOリング)を備え、前記ニードル体120の先端が前記吐出ノズル122の先端から突出不能とされてなり、前記ニードル体120の引き代を調節することにより、フィラー入り液体材料の吐出量を調整可能としてなる(図9(c)及び図9(d))。
【0077】
前記フルイドボディ部22の下面中央には、中央にニードル体120が挿通され、前記液体材料がエアーとともに吐出される吐出ノズル122が取り付けられ、ニードルカバー兼エアーキャップであるカバー部材126が螺着せしめられている。
【0078】
低吐出量用液体材料噴射バルブ118は、その他の構成については、上述した低吐出量用液体材料噴射バルブ10と同様の構成であるため、再度の詳細な説明は省略する。
【0079】
次に、本発明の低吐出量用液体材料噴射バルブ10,118に用いられるエアーキャップ76又はカバー部材126として好ましい実施の形態を示す。なお、カバー部材126はニードルカバー兼エアーキャップであるので、エアーキャップの作用を果たす限り、本願明細書にいうエアーキャップに含まれる。
【0080】
図10及び図11に、本発明の低吐出量用液体材料噴射バルブ10,118に用いられるエアーキャップの一つの実施の形態を示す。エアーキャップ128は、前記吐出ノズル74,122の開口部の下方に設けられ、圧縮空気の流路を規制するためのエアーキャップであり、前記液体材料が吐出される際に前記液体材料と共に霧状のエアーの流れが形成されてなるようにされている。
【0081】
図示例では、エアーキャップ128は、ベース部130と、ベース部130に設けられた凸部132と、前記凸部132に開穿された出口開口部134と、を有している。そして、図10によく示される如く、出口開口部134は星形とされており、切り込み136が5つ形成されている。
【0082】
そして、その裏面側には、図11によく示される如く、内壁流路138が形成されている。この内壁流路138は、前記切り込み136と対応した溝となっており、前記エアーキャップ128の出口開口部134に向かって集束せしめられてなる。前記出口開口部134には、前記溝に対応した切り込み136とされている。図11の例では、内壁流路138である溝が5つ形成されている。このため、前記液体材料が吐出される際に前記液体材料と共に、圧縮空気源からの霧化されたエアーが、内壁流路138を伝って、切り込み136から吐出されることで、前記液体材料と共に霧状のエアーの流れが形成されてなるように構成されている。そして、前記霧状のエアーが旋回しながら前記エアーキャップ128の出口開口部134からの液体材料と混ざり合って噴出せしめられる。
【0083】
なお、図10及び図11の例では、切り込み136及び内壁流路138がそれぞれ5つ形成された星形の例を示したが、切り込み及び内壁流路が形成される限り、例えば、図12図13のような形態でも適用可能である。
【0084】
図12において、エアーキャップ140は、ベース部142と、ベース部142に設けられた凸部144と、前記凸部144に開穿された出口開口部146と、を有している。そして、図12によく示される如く、出口開口部146は、切り込み148が8つ形成されている。そして、その切り込み148に対応して内壁流路が形成されている。このように、内壁流路である溝が5つ以上形成され、それに対応して5つ以上の切り込みが形成されるのが好適である。
【0085】
図13において、エアーキャップ150は、ベース部152と、ベース部152に設けられた凸部154と、前記凸部154に開穿された出口開口部156と、を有している。そして、図13によく示される如く、出口開口部156は、切り込み158が5つ形成されている。切り込み158は、矩形状の切り込みが放射状に拡がった形をしているが、このような形状の切り込みでも、適用可能である。そして、その切り込み158に対応して内壁流路が形成されている。このように、内壁流路である溝が5つ以上形成され、それに対応して5つ以上の切り込みが形成されるのが好適である。
【0086】
次に、図14に、本発明の低吐出量用液体材料噴射バルブ10,118に用いられるエアーキャップの他の実施の形態を示す。
【0087】
エアーキャップ160は、ベース部162と、ベース部162に設けられた出口開口部164と、出口開口部164の周囲に形成された複数の周囲流路166と、を有している。前記霧状のエアーの流れが、エアーキャップ160の出口開口部164の周囲に形成された複数の周囲流路166によって発生せしめられる。これにより、前記液体材料と共に霧状のエアーの流れが形成されてなるように構成されている。そして、前記霧状のエアーが旋回しながら前記エアーキャップ160の出口開口部164からの液体材料と混ざり合って噴出せしめられる。
【0088】
次に、図15及び図16に、本発明の低吐出量用液体材料噴射バルブ10,118に用いられるエアーキャップの他の実施の形態を示す。
【0089】
エアーキャップ170は、内側キャップ172と外側キャップ184とを備え、前記内側キャップ172の外周面に外周流路174が放射状に形成され、前記外周流路174が内側出口開口部176に向かって集束せしめられている。内側キャップ172は、ベース部178と、ベース部178に設けられた複数の放射状凸部180と、その外周面に形成された外周流路174と、から構成されている。外側キャップ184は、その中央に外側出口開口部182を備える。そして、外側キャップ184を嵌合せしめることで、圧縮空気の流路が規制される。これにより、前記液体材料と共に霧状のエアーの流れが形成されてなるように構成されている。そして、前記霧状のエアーが旋回しながら前記エアーキャップ170の内側出口開口部176及び外側出口開口部182からの液体材料と混ざり合って噴出せしめられる。
【0090】
塗布する液体材料は、低吐出量用液体材料噴射バルブのニードル体の後部から静電気を印加させることにより、スプレー後の微粒化した液体粒子サイズがさらに微細化される。上記説明した本発明に係る低吐出量用液体材料噴射バルブは、ニードル体以外の部品を、体積固有抵抗値1013Ω・cm以上の絶縁性部品で製作して、ニードル体の後部から、DC−10000Vの直流高電圧を印加させるための高電圧被覆配線を接続させて、特にフィラー入りでない液体材料を10Ω・cm以下の体積固有抵抗値以下に設定させるよう極性溶剤を加え、導電率を10mS/cm以下にすることで、静電気を有した低吐出量塗布が可能となった。液体材料の小さい液体粒子は、固形分含有量が大幅に上がるため、被塗布物に対しては付着しづらい欠点があったが、静電気力により、付着されやすくなり、塗着効率が良好になった。静電印加した場合としない場合の塗着効率の差は5〜10%程度となった。
【0091】
また、液体材料が体積固有抵抗値として10Ω・cm以下の水性材料でも、導電率を5mS/cm以下にすることで微細粒子の飛散が抑えられた。
【実施例】
【0092】
上記のように構成された低吐出量用液体材料噴射バルブ10の測定実験結果を下記に説明する。
(実施例1)霧化パターンの流量分布の測定(1) 液体材料の粘度を30CPSに設定した。重量比1のシリコーン封止剤原液(NV値100%で粘度3000CPS)に対し重量比4の希釈溶剤(メチルエチルケトンとトルエンの重量比1:1の混合溶剤)を加え、重量比1のYAG蛍光体を加えて固形分比率30%(約体積NV値17%)で粘度30CPSの液体材料を得た。
(2)液体材料の比重は1.3であった。
(3)液体材料定量供給ポンプ100はチューブポンプで液圧0 .01 Mpa、吐出量は60cc/分とした。
(4)吐出ノズル74から被塗物(200mm角サイズのフラットガラス板)までの距離は20mmとした。
(5)霧化用圧縮空気圧力を0.1Mpa〜0.2Mpaにそれぞれ変化させた。
(6) 吐出時間は100msとした。
(7) 低吐出量用液体材料噴射バルブのアジャストスクリュー34によるニードル体26のストローク量を1mmにし、吐出量を0.002mgとした。
(8) 低吐出量用液体材料噴射バルブを固定して、直下の膜厚分布を測定実施した。結果を図8に示す。
【0093】
図8中のA〜Cにおける塗布条件を下記に示す。
【0094】
【表1】
【0095】
上記の諸条件による実験の結果は、図8に示すように、いずれも幅10mm以内で膜厚25μm以下となり、所望する良い塗布状態が得られた。
【0096】
(実施例2)導電性基板への塗布性能評価
(1)被塗布材料:表面電気抵抗値10Ω・cmにした導電性基板
(2)塗布した液体材料:固形分が26.2%(容積比)の水性エマルジョンである水性液状防湿絶縁剤材料(日東シンコー(株)製)
(3)液体材料粘度:10mPas
(4)液体材料導電率:2mS/cm
(5)エマルジョン粒子サイズ:0.2〜6μm微小球
(6)低吐出量用液体材料噴射バルブ吐出量:4.6cc/min
(7)低吐出量用液体材料噴射バルブの移動速度:200mm/秒基準
(8)1ストローク時の塗布幅:8±0.5mm(飛散ほとんどなし)
(9)低吐出量用液体材料噴射バルブと基板面との距離30mm基準
(10)コーティング塗り重ねピッチ:7.5mm
(11)ニードル体の後部から印加した静電圧:DC−10000V、短絡電流値60μA
【0097】
上記した条件で、液体材料を導電性基板に塗布したところ、膜厚11〜13μmの平滑なコーティング面が得られた。また、塗着効率は95%であった。
【符号の説明】
【0098】
10,118:工具無しで分解組立可能な低吐出量用液体材料噴射バルブ、12:ピストン体、14:シリンダ部、16:アジャスタ部、18:液体材料流入部、20:エアー流入部、22:フルイドボディ部、24:ニードルカバー、26,120:ニードル体、28:液体材料噴射バルブ本体、30:抑え部材、32:アジャストリング、34:アジャストスクリュー、36:Oリング、38:アッパーボディ部、40:外周、42,88:凹部、44:インターロックリング、46:ニードルリテイナー、48:スプリング、50:O大リング、52:シリンダ体、53,77,123:開口部、54:ミドルボディ部、56:O小リング、58,60:入口継手、62:シールリング、64:締付ナット、66:液循環用継手、68:Rアダプタ、70:液容器、72::エア継手、73:流路、74,122:吐出ノズル、75:当接環状シート体、78,128,140,150,160,170:エアーキャップ、80:ベース部、82:第一U字状係着部材、84:第二U字状係着部材、86:隙間、90:取付用ボルト、92:液体材料排出部、94:流路、96:電磁スターラー、98:液体材料タンク、100:液体材料定量供給ポンプ、102:液体材料供給管、104:液体材料戻り管、106:バルブ動作用圧縮空気供給配管、108:霧化用圧縮空気供給配管、110:液体材料供給部、112:霧化用圧縮空気流、114:デバイス、116:チップ、124:当接環状リング体、126:カバー部材、130,142,152,162,178:ベース部、130、132,144,154:凸部、134,146,156,164:出口開口部、136,148,158:切り込み、138:内壁流路、166:周囲流路、172:内側キャップ、174:外周流路、176:内側出口開口部、180:放射状凸部、182:外側出口開口部、184:外側キャップ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16