(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記水洗浄槽から排出された前記洗浄水の固体成分を除去する清澄濾過器と、前記清澄濾過器から排出された前記洗浄水中のキレート剤を吸着するキレート剤吸着装置と、前記キレート剤吸着装置から排出された前記洗浄水を前記水洗浄槽に還流させる洗浄水還流機構とを備えていることを特徴とする、請求項2に記載の汚染土壌浄化システム。
前記洗浄液又は前記酸液が排除された状態で前記洗浄液再生装置に水を流通させ、前記固相吸着材を水洗する固相吸着材水洗機構を備えていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1つに記載の汚染土壌浄化システム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面を参照しつつ本発明の実施形態を具体的に説明する。まず、本発明に係る汚染土壌浄化システムの概略的な構成及び機能を説明する。
図1に示すように、本発明に係る汚染土壌浄化システムS(以下、略して「浄化システムS」という。)は、土壌浄化部Aと、小径粒子回収部Bと、洗浄液再生部Cと、洗浄水処理部Dとを備えている。
【0016】
土壌洗浄部Aは、有害金属(有害金属元素及び/又はこれらの化合物)に汚染された土壌を、キレート剤を含有する洗浄液で洗浄することにより、土壌から有害金属を除去してキレート剤に捕捉させ、土壌を浄化する。土壌洗浄部Aにより浄化される土壌は、種々の粒径の土石ないしは土砂、例えば石(粒径:75mm以上)、礫(粒径:2〜75mm)、砂(粒径:0.075〜2mm)、シルト(粒径:0.005〜0.075mm)、粘土(粒径:0.005mm以下)等の一部のもの又は全部のものを含むものであり、これらは有害金属で汚染されている。
【0017】
ここで、有害金属としては、例えば、クロム、鉛、カドミウム、セレン、水銀、金属ヒ素及びこれらの化合物などが挙げられる。また、洗浄液に用いられるキレート剤としては、例えば、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、あるいは生分解性を有するHIDS(3−ヒドロキシ−2,2’−イミノジコハク酸)、IDS(2,2’−イミノジコハク酸)、MGDA(メチルグリシン二酢酸)、EDDS(エチレンジアミンジ酢酸)又はGLDA(L−グルタミン酸ジ酢酸)のナトリウム塩などが挙げられる。
【0018】
これらのキレート剤は、いずれも土壌に含まれる有害金属を該土壌からほぼ完全に除去して補足する(キレートする)ことができものである。また、後で詳しく説明するように、土壌洗浄部Aでは、土壌中の小径粒子、例えば砂、シルト、粘土等が、篩分により土壌から洗浄液中に離脱させられる。したがって、土壌洗浄部Aでは、基本的には、有害金属で汚染された土壌から、有害金属が除去された石、礫等の大径粒子(土石)と、有害金属が除去された砂、シルト、粘土等の小径粒子とが生成される。なお、土壌浄化部Aでは、有害金属が除去された大径粒子が洗浄水で洗浄され、大径粒子に付着している微量の洗浄液ないしはキレート剤が完全に除去される。このように洗浄された清浄な大径粒子は土壌洗浄部Aから排出され、コンクリートの骨材等として利用され、又は投棄される。
【0019】
小径粒子回収部Bでは、土壌洗浄部Aから排出された小径粒子を含む洗浄液が、沈降分離、遠心分離等の固液分離処理により、小径粒子を含まない洗浄液(上澄液)と、小径粒子を含むスラッジとに分離される。そして、小径粒子を含まない洗浄液は洗浄液再生部Cに導入される。他方、スラッジは、例えば濾過処理により脱液されてケークないしは固形物となる。濾過処理により生じた濾液は洗浄液再生部Cに導入される。なお、ケークないしは固形物を水と混合した上で、再度濾過処理を施し、小径粒子に付着している微量の洗浄液ないしはキレート剤を完全に除去するのが好ましい。この場合、ケークと混合する水は洗浄水処理部Dから供給し、濾液は洗浄水処理部Dに戻して処理(浄化)すればよい。小径粒子回収部Bから排出された清浄な小径粒子ないしは土砂は、必要があれば乾燥処理が施され、例えば植物の栽培土などとして使用され、又は投棄される。
【0020】
洗浄液再生部Cでは、有害金属を補足しているキレート剤を含む洗浄液が、キレート剤より錯生成力が高い固相吸着材と接触させられる。これにより、キレート剤に捕捉されている有害金属はキレート剤から離脱させられ、固相吸着材に吸着される。これにより、洗浄液から有害金属が除去・回収される一方、キレート剤は再び有害金属を補足することができる状態となり、洗浄液が再生される。このように再生された洗浄液は、土壌洗浄部Aに還流させられる。つまり、キレート剤を含有する洗浄液は、土壌の浄化と小径粒子の回収とキレート剤の再生とを繰り返しつつ、土壌洗浄部Aと小径粒子回収部Bと洗浄液再生部Cとを循環する。このようにキレート剤を再生しつつ循環使用するので、基本的にはキレート剤を供給する必要はなく、わずかな量の目減り分を適宜に補充するだけでよい。
【0021】
キレート剤より錯生成力が高い固相吸着材は、例えばゲル等の固体状のものであり、一般に、金属を補足しているキレート剤を含む水溶液と接触したときに、キレート剤と配位結合している金属イオンをキレート剤から離脱させて固相吸着材に移動させることができる程度の共有結合以外の強い結合力を有しているものである。このような固相吸着材は、例えばキレート剤としてEDTA(エチレンジアミン四酢酸)を用いる場合、濃度が10mM/lであるEDTA水溶液から、ほぼ100%の金属イオンを回収することができる強い結合力を有するものである。
【0022】
このような固相吸着材としては、例えばシリカゲルや樹脂等の担体に環状分子を密に担持させ、この環状分子にキレート配位子を修飾させたものなどが挙げられる。このような固相吸着材を用いる場合、隣り合う環状分子及びキレート配位子により、配位結合、水素結合などの複数の様々な結合や相互作用が生じて多点相互作用が生じ、金属イオンに対してキレート剤よりも強い化学結合が生じるとともに環状分子の性状により金属イオンを選択的に取り込むことができる。
【0023】
このような洗浄液の再生に伴って、固相吸着材における有害金属の吸着量は経時的に増加してゆくが、固相吸着材の吸着量には限界がある。このため、固相吸着材における有害金属の吸着量が飽和状態ないしはその近傍に達したときには、固相吸着材を酸液と接触させることにより、固相吸着材に吸着されている有害金属が酸液中に離脱させられる。すなわち、有害金属が酸液によって回収される一方、固相吸着材は再生されて再び有害金属を吸着することが可能な状態となる。なお、固相吸着材は、酸液によって再生された後、水洗により付着している微量の酸液が除去される。
【0024】
洗浄水処理部Dでは、土壌洗浄部Aから排出された洗浄水から不純物が除去され、不純物が除去された洗浄水は土壌洗浄部Aに還流させられる。土壌洗浄部Aから排出された洗浄水は、有害金属が除去された大径粒子を洗浄したものであり、若干の不溶性の浮遊物ないしは懸濁物(SS)と、微量のキレート剤等の水溶性不純物とを含んでいる。そこで、清澄濾過処理により洗浄水から浮遊物ないしは懸濁物を除去し、さらに吸着処理により洗浄水中の水溶性不純物を除去するようにしている。つまり、洗浄水は、大径粒子を洗浄しつつ、土壌洗浄部Aと洗浄水処理部Dとを循環する。このように洗浄水を処理しつつ循環使用するので、基本的には水を連続的に供給する必要はなく、目減り分を適宜に補給するだけでよい。
【0025】
以下、浄化システムSの具体的な構成及び機能を説明する。まず、土壌洗浄部Aの具体的な構成及び機能を説明する。
図1〜
図3に示すように、土壌洗浄部Aは、キレート剤を含有する洗浄液を収容しているキレート剤洗浄槽1と、洗浄水を収容している水洗浄槽2と、土壌搬送装置3とを備えている。土壌搬送装置3は、土壌を収容している複数の土壌容器4を、矢印Pで示す方向に連続的又は間欠的に搬送し、まずキレート剤洗浄槽1内の洗浄液に浸漬して水平方向に移動させ、次に水洗浄槽2内の洗浄水に浸漬して水平方向に移動させる。なお、以下では便宜上、土壌容器4の搬送方向P(
図1〜
図3中の位置関係ではおおむね右向き)に関して、土壌容器4が進んで行く側(
図1〜
図3中の位置関係では右側)を「前」といい、これと反対側(
図2及び
図3中の位置関係では左側)を「後」ということにする。
【0026】
キレート剤洗浄槽1の形状ないしは寸法は、以下のように設定される。
図2から明らかなとおり、キレート剤洗浄槽1は、その後端部に位置する入口側傾斜部1aと、前端部に位置する出口側傾斜部1bと、両傾斜部1a、1b間に位置し深さが一定である水平部1cとを有している。そして、水平部1cの深さ(上下方向の寸法)は、土壌を収容している土壌容器4を、キレート剤洗浄槽1内の洗浄液中に完全に浸漬することができるように設定される。水平部1cの好ましい深さは、限定されるわけではないが、土壌容器4の高さ(上下方向の寸法)の2〜3倍である。
【0027】
キレート剤洗浄槽1の水平部1cの長さ(前後方向の寸法)は、土壌容器4の搬送速度に応じて、土壌容器4に収容されている土壌から有害金属をほぼ完全に除去してキレート剤に捕捉させることが可能な土壌浸漬時間を確保することができるように設定される。洗浄液への土壌浸漬時間は、土壌に含まれる有害金属の種類及び濃度、キレート剤洗浄槽1内における洗浄液の流動状態ないしは乱れ状態(レイノルズ数)、使用するキレート剤の種類ないしは化学的特性等に応じて、土壌から有害金属をほぼ完全に除去してキレート剤に捕捉させることができるように設定される。
【0028】
キレート剤洗浄槽1の幅(水平面内において前後方向と垂直な方向の寸法)は、キレート剤洗浄槽1が幅方向に余裕をもって土壌容器4を収容することができるように設定される。キレート剤洗浄槽1の好ましい幅は、これに限定されるわけではないが、例えば土壌容器4の幅の2〜3倍である。
【0029】
詳しくは図示していないが、キレート剤洗浄槽1の前端部又はその近傍へは、洗浄液再生部Cからキレート剤を含有する洗浄液が所定の流量で連続的に供給される一方、キレート剤洗浄槽1の後端部又はその近傍からは、土壌を洗浄した洗浄液が小径粒子回収部Bへ所定の流量(平均的には供給流量と同一)で連続的に排出される。洗浄液再生部Cからキレート剤洗浄槽1に供給される洗浄液に含まれるキレート剤は、後で詳しく説明するように再生されたものであり、有害金属を捕捉していない。
【0030】
その結果、キレート剤洗浄槽1内には、巨視的には前側から後側に向かう洗浄液の全体流れが生じる。その結果、土壌容器4内の土壌と洗浄液とは、前後方向に関して向流で固液接触する。この場合、キレート剤洗浄槽1の前端部近傍では、キレート剤洗浄槽1の後部ないし中部ですでに有害金属が大部分除去された土壌が、有害金属を捕捉していないキレート剤を含む洗浄液と接触するので、土壌中の有害金属をほぼ完全に除去することができる。
【0031】
水洗浄槽2の形状ないしは寸法は、以下のように設定される。
図3から明らかなとおり、水洗浄槽2は、基本的にはキレート剤洗浄槽1と同様に、その後端部に位置する後端傾斜部2aと、前端部に位置する前端傾斜部2bと、両傾斜部2a、2b間に位置し深さが一定である水平部2cとを有している。そして、水洗浄槽2の形状ないしは寸法は、以下のように設定される。
【0032】
まず、水洗浄槽2の水平部2c深さは、キレート剤洗浄槽1と同様に、土壌を収容している土壌容器4を、水洗浄槽2内の洗浄水中に完全に浸漬することができるように設定される(例えば、土壌容器4の高さの2〜3倍)。また、水洗浄槽2の幅は、キレート剤洗浄槽1と同様に、水洗浄槽2が幅方向に余裕をもって土壌容器4を収容することができるように設定される(例えば、土壌容器4の幅の2〜3倍)。
【0033】
他方、水洗浄槽の水平部2cの長さは、土壌容器4を洗浄水中に短時間だけ完全に浸漬することができれば足り、さほど長くする必要はない。すなわち、水洗浄槽2では土壌容器4に収容されている土壌に付着している洗浄液をすすぐだけであり、土壌容器4を洗浄水に浸漬すれば土壌に付着している洗浄液は非常に短時間で、ないしはほぼ瞬時に除去される。したがって、水洗浄槽2の長さは、土壌容器4を短時間(例えば、数十秒)だけ洗浄水に浸漬することができるように設定すればよい。詳しくは図示していないが、水洗浄槽2の前端部又はその近傍へは、洗浄水処理部Dから洗浄水が所定の流量で連続的に供給される一方、水洗浄槽2の後端部又はその近傍からは、大径粒子(土壌)を洗浄した洗浄水が洗浄水処理部Dへ所定の流量(平均的には供給流量と同一)で連続的に排出される。
【0034】
土壌搬送装置3は、その一部がキレート剤洗浄槽1及び水洗浄槽2の上方に配置されたレール5と、レール5に沿って走行することができる複数の走行具6と、各走行具6に取り付けられ土壌容器4を保持するハンガー7と、各走行具6を牽引してレール5に沿って走行させる牽引チェーン8とを備えている。レール5は、詳しくは図示していないが、平面視ではループをなし、キレート剤洗浄槽1及び水洗浄槽2の上方では、土壌容器4をキレート剤洗浄槽内の洗浄液と水洗浄槽2内の洗浄水とに順次浸漬することができるような形態に形成されている。すなわち、キレート剤洗浄槽1及び水洗浄槽2の上方では、レール5はおおむねキレート剤洗浄槽1及び水洗浄槽2の底面の形状に対応して起伏している。かくして、走行具6がレール5に沿って矢印Pで示す方向に走行すると、土壌容器4は、まずキレート剤洗浄槽1内の洗浄液に浸漬され、キレート剤洗浄槽1を出た後、さらに水洗浄槽2内の洗浄水に浸漬される。
【0035】
図4に示すように、土壌容器4は、上部が開放された箱状ないしは直方体状のものであり、その骨格をなす枠体10(フレーム)と、この枠体10によって支持され土壌容器4の側面及び底面を覆う、例えば金網、プラスチック網等からなる篩網11とで形成されている。枠体10の上部には、土壌容器4をハンガー7に連結するためのハンガー連結部12が設けられている。詳しくは図示していないが、土壌容器4の底面は開閉可能な構造を有し、保持している土壌を、自動操作又は手動操作で任意に土壌容器4から下方に落下させることができるようになっている。なお、土壌容器4の上部が開放されているので、例えばキレート剤洗浄槽1の後方に配置されたベルトコンベア等を用いて、土壌を土壌容器4に容易に投入することができる。
【0036】
篩網11は、土壌を大径粒子と小径粒子とに篩分するためのものであり、その目開きは、得ようとする大径粒子の最小粒径ないしは得ようとする小径粒子の最大粒径に応じて好ましく設定される。例えば、石(粒径:75mm以上)、礫(粒径:2〜75mm)、砂(粒径:0.075〜2mm)及びシルト(粒径:0.005〜0.075mm)を含む土壌を、石及び礫を含む大径粒子と、砂及びシルトを含む小径粒子とに分離する場合は、目開きが2mm(10メッシュ)である篩網11を用いればよい。なお、このような粒径が2mm以上である大径粒子は、乾燥させた後、図示していない篩分装置を用いて、所望の粒径の石又は礫に篩分することができる。また、粒径が2mm未満である小径粒子も、乾燥させた後、図示していない篩分装置を用いて、所望の粒径の砂又はシルトに篩分することができる。
【0037】
かくして、土壌洗浄部Aにおいては、土壌搬装置3によって連続的又は間欠的に搬送されている土壌容器4は、まずキレート剤洗浄槽1に導入され、キレート剤洗浄槽1内の洗浄液中に浸漬された状態で、矢印Pで示す方向に水平に移動する。その際、土壌容器4内の有害金属で汚染された土壌が、キレート剤を含有する洗浄液によって洗浄される。このとき、土壌に含まれ又は付着している有害金属がキレート剤によって捕捉(キレート)される。その結果、土壌から有害金属が除去され、土壌が浄化される。前記のとおり、洗浄液が後向きに流れる一方、土壌容器4が前向きに移動するので、土壌と洗浄液とが向流で接触し、土壌容器4内の土壌と洗浄液との間での物質移動が促進され、土壌が効果的に浄化される。
【0038】
また、このように土壌容器4がキレート剤洗浄槽1内の洗浄液中を矢印Pで示す方向に水平に移動する際に、小径粒子、すなわち篩網11の目開きの寸法より小径の土壌が、篩網11の目を通り抜けて土壌容器4外に出る。そして、土壌容器4外の小径粒子は、洗浄液に随伴して流動し、キレート剤洗浄槽1から小径粒子回収部Bに排出される。なお、小径粒子中の比較的粒径の大きい粒子は、キレート洗浄槽1の底部に沈殿した状態で後方に流動するが、このような粒径の大きい小径粒子の流動を促進するために、キレート洗浄槽1の底部に排泥装置、例えばスクリューコンベア等を設けてもよい。このように土壌容器4がキレート剤洗浄槽1内の洗浄液中を移動する際に小径粒子が離脱するので、土壌容器4内には大径粒子、すなわち篩網11の目開きの寸法より大径の土壌のみが残留する。
【0039】
有害金属が除去された大径粒子を収容している土壌容器4は、土壌搬送装置3によってさらに搬送され、キレート剤洗浄槽1を出て、水洗浄槽2に導入される。そして、土壌容器4は水洗浄槽2内の洗浄水に浸漬された状態で、矢印Pで示す方向に水平に移動する。その際、土壌容器4内の大径粒子が洗浄水によって洗浄され、大径粒子に付着している洗浄液が除去される。この後、土壌容器4は、土壌搬送装置3によってさらに搬送され、水洗浄槽2を出る。そして、所定の位置で土壌容器4の底部が開かれ、清浄な大径粒子が所定の保管場所に載置され又は収容される。
【0040】
図2及び
図3に示す土壌洗浄部A(キレート剤洗浄槽1、水洗浄槽2、土壌搬送装置3等)の構成は単なる例示であり、土壌洗浄部Aとしては、
図2及び
図3に示すもののほか種々の形態のものを用いることができる。以下、
図5及び
図6を参照しつつ、
図2及び
図3に示す土壌洗浄部Aとは異なる構成の土壌洗浄部A’を説明する。ただし、この土壌洗浄部A’において、洗浄液及び土壌容器4は、
図2及び
図3に示す土壌洗浄部Aで用いられるものと同様であるので、その詳しい説明は省略する。また、土壌洗浄部A’において「前」及び「後」の意味するところは、
図2及び
図3に示す土壌洗浄部Aの場合と同様である。
【0041】
図5及び
図6に示すように、土壌洗浄部A’は、キレート剤を含有する洗浄液を収容しているキレート剤洗浄槽13と、洗浄水を収容している水洗浄槽14と、土壌搬送装置15とを備えている。土壌搬送装置15は、土壌を収容している複数の土壌容器4を矢印Qで示す方向に連続的又は間欠的に搬送し、まずキレート剤洗浄槽13内の洗浄液に浸漬して水平方向に移動させ、次に水洗浄槽14内の洗浄水に浸漬して水平方向に移動させる。
【0042】
キレート剤洗浄槽13は、
図2に示すキレート剤洗浄槽1とは異なり、その前端部及び後端部には傾斜部は設けられず直方体状である。キレート剤洗浄槽13の深さ(上下方向の寸法)は、
図2に示すキレート剤洗浄槽1の水平部1cの深さと同様である。また、キレート剤洗浄槽13の長さ(前後方向の寸法)及び幅(水平面内において前後方向と垂直な方向の寸法)は、それぞれ、
図2に示すキレート剤洗浄槽1ないしはその水平部1cの長さ及び幅と同様である。
【0043】
キレート剤洗浄槽13に対する洗浄液の供給手法及び排出手法は、
図2に示すキレート剤洗浄槽1と同様である。したがって、キレート剤洗浄槽13内には、巨視的には前側から後側に向かう洗浄液の全体流れが生じ、土壌容器4内の土壌と洗浄液とは前後方向に関して向流で固液接触するので、土壌中の有害金属をほぼ完全に除去することができる。
【0044】
水洗浄槽14は、基本的にはキレート剤洗浄槽13と同様に、その前端部及び後端部に傾斜部は設けられず直方体状である。水洗浄槽14の深さは、
図3に示す水洗浄槽2の水平部2cの深さと同様である。また、水洗浄槽14の長さ及び幅は、それぞれ、
図3に示す水洗浄槽1ないしはその水平部2cの長さ及び幅と同様である。なお、水洗浄槽14に対する洗浄水の供給手法及び排出手法並びに水洗浄槽14の機能は、
図3に示す水洗浄槽2と同様である。
【0045】
土壌搬送装置15は、その一部がキレート剤洗浄槽13及び水洗浄槽14の上方に配置されたレール16と、レール16に沿って走行することができる複数の走行具17と、各走行具17に取り付けられ土壌容器4を保持するハンガー18とを備えている。レール16は、詳しくは図示していないが、平面視ではループをなしている。レール16は、キレート剤洗浄槽13又は水洗浄槽14の上方又は近傍では起伏せず、その高さは一定である。ハンガー18は、上下方向に伸縮して土壌容器4を昇降させることができるようになっている。ハンガー18は、収縮したときには土壌容器4をキレート剤洗浄槽13又は水洗浄槽14の上方に保持する一方、伸長したときには土壌容器4をキレート剤洗浄槽13内の洗浄液又は水洗浄槽14内の洗浄水に浸漬することができるように構成されている。ハンガー18の伸縮機構としては、例えばピストン・シリンダ機構を用いることができる。
【0046】
かくして、土壌洗浄部A’では、収縮した状態で土壌容器4を保持しているハンガー20が、キレート剤洗浄槽13の後端部のやや前方に移動したときに伸長し、土壌容器4はキレート剤洗浄槽13内の洗浄液に浸漬される。そして、このハンガー18は、キレート剤洗浄槽13の前端部のやや後方に到達したときに収縮し、土壌容器4は上方に移動させられ洗浄液から取り出される。
【0047】
この後、ハンガー18は、水洗浄槽16の後端部のやや前方に移動したときに伸長し、土壌容器4は水洗浄槽14内の洗浄水に浸漬される。そして、このハンガー18は、水洗浄槽14の前端部のやや後方に到達したときに収縮し、土壌容器4は上方に移動させられ洗浄水から取り出される。
図5及び
図6に示す土壌洗浄部A’においても、
図2及び
図3に示す土壌洗浄部Aと同様に、土壌中の有害金属が除去され、かつ土壌が大径粒子と小径粒子とに篩分される。
【0048】
以下、小径粒子回収部Bの具体的な構成及び機能を説明する。再び
図1に示すように、小径粒子回収部Bは、固液分離装置20と、第1濾過器21と、混合器22と、第2濾過器23とを備えている。
固液分離装置20は、キレート剤洗浄槽1から排出された小径粒子を含む洗浄液を受け入れて、小径粒子を含まない洗浄液(上澄液)と、小径粒子を含むスラッジとに分離する。固液分離装置20としては、例えば沈降分離装置、遠心分離装置などを用いることができる。固液分離装置20から排出された小径粒子を含まない洗浄液は洗浄液再生部Cの洗浄液再生装置24に導入され、スラッジは第1濾過器21に導入される。
【0049】
第1濾過器21はスラッジを連続操作又は間欠操作で濾過し、濾液とケークとを生成する。第1濾過器21としては、例えば真空濾過器(オリバーフィルタ)、加圧濾過器(フィルタープレス)などを用いることができる。第1濾過器21から排出された濾液は、固液分離装置20から排出された小径粒子を含まない洗浄液とともに、洗浄液再生部Cの洗浄液再生装置24に導入される。他方、第1濾過器21から排出されたケークは混合器22に導入される。
【0050】
混合器22へは、第1濾過器21からケークが導入される一方、洗浄水処理部Dの洗浄水貯槽32から洗浄水が導入される。混合器22としては、例えば容器とスクリュー型の攪拌機とを備えた混合槽を用いることができる。かくして混合器22では、ケークすなわち小径粒子と洗浄水とが攪拌・混合され、小径粒子は洗浄水によって洗浄される。混合器22へは、ケークと洗浄水とが連続的又は間欠的に供給される一方、小径粒子と洗浄水の混合物(スラリー)は連続的又は間欠的に混合器22から排出される。
【0051】
混合器22から連続的又は間欠的に排出された小径粒子と洗浄水の混合物は、第2濾過器23に導入される。そして、第2濾過器23は、小径粒子と洗浄水の混合物を、連続操作又は間欠操作で濾過して濾液とケークとを生成する。第2濾過器23としては、例えば真空濾過器(オリバーフィルタ)、加圧濾過器(フィルタープレス)などを用いることができる。第2濾過器23から排出された濾液は、洗浄水処理部Dの清澄濾過器30に導入される。他方、第2濾過器23から排出されたケーク、すなわち清浄な小径粒子は、必要があれば乾燥処理が施され、例えば植物の栽培土などとして利用され、又は投棄される。
【0052】
以下、洗浄液再生部Cの具体的な構成及び機能を説明する。洗浄液再生部Cは、洗浄液再生装置24(キレート剤再生装置)と、洗浄液貯槽25と、酸液貯槽26と、水槽27と、第1流路切替装置28と、第2流路切替装置29とを備えている。
洗浄液再生装置24は、その内部に固相吸着材の小塊又は粒子が充填された充填塔である。なお、洗浄液再生装置24として、その内部に固相吸着材の小径の粒子を保持している液系流動層を用いてもよい。
【0053】
かくして、洗浄液再生装置24内では、有害金属を補足しているキレート剤を含む洗浄液が、キレート剤より錯生成力が高い固相吸着材と接触させられる。その結果、キレート剤に捕捉されている有害金属がキレート剤から離脱させられ、固相吸着材に吸着される。これにより、洗浄液から有害金属が除去・回収される一方、キレート剤は再び有害金属を補足することができる状態となり、洗浄液が再生される。このように再生された洗浄液は、洗浄液貯槽25に貯留される。
【0054】
この状態においては、第1流路切替装置28は、固液分離装置20から排出された洗浄液及び第1濾過器21から排出された濾液が洗浄液再生装置24に導入されるようにセットされる。第1流路切替装置28は、洗浄液再生装置24の入口部につながる各配管に介設された複数のバルブ及びその制御器を有し、これらのバルブの開閉状態を制御することにより、流路を切り替えるようになっている。また、第2流路切替装置29は、洗浄液再生装置24から排出された洗浄液が洗浄液貯槽25に導入されるようにセットされる。第2流路切替装置29は、洗浄液再生装置24の出口部につながる各配管に介設された複数のバルブ及びその制御器を有し、これらのバルブの開閉状態を制御することにより、流路を切り替えるようになっている。
【0055】
そして、洗浄液剤再生装置24に充填されている固相吸着材における有害金属の吸着量が飽和状態ないしはその近傍に達したときには、洗浄液再生装置24への洗浄液の導入は一時的に停止される。なお、複数の洗浄液再生装置24を並列に配設すれば、一部の洗浄液再生装置24への洗浄液が停止されているときでも、洗浄液を連続的に再生することができる。固相吸着材の有害金属吸着量が飽和状態ないしはその近傍に達したか否かは、洗浄液再生装置24から排出された洗浄液中の有害金属の含有量を検出することにより判定することができる。
【0056】
このように洗浄液再生装置24への洗浄液の導入が停止された後、酸液貯槽26内の酸液が、所定の時間だけ洗浄液再生装置24に導入される。なお、酸液を導入する時間は、洗浄液再生装置24の寸法ないしは形状、固相吸着材粒子の寸法等に応じて好ましく設定される。酸液は、酸液貯槽26と洗浄液再生装置24とを循環して流れる。その際、洗浄液再生装置24内の固相吸着材は酸液と接触し、固相吸着材に吸着されている有害金属が酸液中に離脱させられる。すなわち、有害金属が酸液によって回収される一方、固相吸着材は再生されて再び有害金属を吸着することが可能な状態となる。この状態においては、第1流路切替装置28は、酸液貯槽26内の酸液が洗浄液再生装置24に導入されるようにセットされる。また、第2流路切替装置29は、洗浄液再生装置24から排出された酸液が酸液貯槽26に導入されるようにセットされる。
【0057】
洗浄液再生装置24内の固相吸着材の再生が終了すれば、洗浄液再生装置24への酸液の導入は停止される。そして、水槽27内の水が洗浄液再生装置24に導入される。水は、水槽27と洗浄液再生装置24との間を循環して流れる。その際、洗浄液再生装置24内の固相吸着材は水と接触し、固相吸着材に付着している酸液が洗浄される。この状態においては、第1流路切替装置28は、水槽27内の酸液が洗浄液再生装置24に導入されるようにセットされる。また、第2流路切替装置29は、洗浄液再生装置24から排出された水が水槽27に導入されるようにセットされる。固相吸着材の水洗が終了すれば、固液分離装置20から排出された洗浄液及び第1濾過器21から排出された濾液が洗浄液再生装置24に導入され、洗浄液の再生が再開される。
【0058】
以下、洗浄水処理部Dの具体的な構成及び機能を説明する。洗浄水処理部Dは、清澄濾過器30と、キレート剤吸着装置31と、洗浄水貯槽32とを備えている。
清澄濾過器30は、水洗浄槽2から排出された洗浄水を濾過し、洗浄水中に含まれている微量の不溶性の浮遊物ないしは懸濁物(SS)を除去する。清澄濾過器30としては、例えば砂濾過器(例えば、急速深層濾過器)、ディスクフィルタ、カートリッジフィルタなどを用いることができる。不溶性の浮遊物ないしは懸濁物が除去された洗浄水は、キレート剤吸着装置31に導入される。
【0059】
キレート剤吸着装置31は、その内部に吸着材の小塊又は粒子が充填された充填塔である。吸着材としては、例えば活性炭を用いることができる。キレート剤吸着装置31では、洗浄水中に含まれる微量のキレート剤等の水溶性不純物が、吸着材に吸着されて除去される。水溶性不純物が除去された洗浄水は、洗浄水貯槽32に貯留される。洗浄水貯槽32に貯留された洗浄水は、土壌洗浄部Aの水洗浄槽2と、小径粒子回収部Bの混合器22とに供給される。そして、水洗浄槽2に供給された洗浄水は大径粒子を洗浄した後、清澄濾過器30に戻って処理(浄化)され、また混合器22に供給された洗浄水は小径粒子を洗浄した後、清澄濾過器30に戻って処理(浄化)される。このように、洗浄水は大径粒子及び小径粒子を洗浄しつつ循環使用されるので、基本的には洗浄水処理部Dに水を連続的に供給する必要はなく、目減り分を適宜に補給するだけでよい。
【0060】
本発明に係る浄化システムSによれば、有害金属で汚染された土壌を収容している土壌容器4を、土壌搬送装置3、15により、キレート剤洗浄槽1、13内の洗浄液に浸漬された状態で水平方向に搬送する際に、土壌に含まれている有害金属をほぼ完全に除去することができるので、有害金属で汚染された大量の土壌を、迅速かつ連続的に浄化して清浄な土壌を生成することができる。また、土壌容器4の底部及び側部が、小径粒子を通過させる一方小径粒子より大径の粒子を通過させない目開きの篩網11で形成されているので、篩網11の目開きを好ましく設定することにより、任意の粒径の大径粒子及び小径粒子を得ることができ、これらを例えば骨材等の建設資材、植栽土等として有効に利用することができる。
【0061】
また、キレート剤洗浄槽1、13で使用される洗浄液を循環させる途中で、洗浄液中のキレート剤に捕捉されている有害金属を洗浄液再生装置24内の固相吸着材により吸着して除去することができ、かつ適宜に固相吸着材に吸着されている有害金属を酸液で除去することができる。このため、キレート剤をほとんど補充することなく、有害金属で汚染された大量の土壌を連続的に浄化して清浄な土壌を生成することができる。
【解決手段】浄化システムSは、土壌浄化部Aと、小径粒子回収部Bと、洗浄液再生部Cと、洗浄水処理部Dとを備えている。土壌洗浄部Aは、有害金属に汚染された土壌を、キレート剤を含有する洗浄液で洗浄することにより、土壌から有害金属を除去してキレート剤に捕捉させ、土壌を浄化する。土壌洗浄部Aでは、土壌が、大径粒子と小径粒子に篩分される。小径粒子回収部Bでは、小径粒子を含む洗浄液が、小径粒子を含まない洗浄液と、小径粒子を含むスラッジとに分離される。洗浄液再生部Cでは、有害金属を補足しているキレート剤を含む洗浄液が固相吸着材と接触させられ、キレート剤に捕捉されている有害金属が固相吸着材に吸着され、洗浄液から有害金属が除去され、洗浄液が再生される。