(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【技術分野】
【0001】
本発明は発光モジュールに関する。この発光モジュールはたとえば、光学式投影装置において使用するのに適している。本発明はさらに、この種の発光モジュールを備えた光学式投影装置にも関する。
【0002】
EP 100 30 62 A1には光学式投影装置について記載されている。
【0003】
本発明の解決すべき課題は、著しくコンパクトな発光モジュールを提供することにある。本発明の別の課題は、機械的耐性の高められた発光モジュールを提供することにある。さらに本発明の課題は、著しくコンパクトな光学式投影装置を提供することにある。
【0004】
本発明による発光モジュールの少なくとも1つの実施形態によれば、発光モジュールは少なくとも2つの光源を有している。その際、これらの光源は1つの共通の支持体上に取り付けられている。
【0005】
ここで支持体とはたとえば配線板である。この場合、支持体は導体路と接点個所を有しており、これらの接点個所を用いてモジュールの光源を電気的に接触接続することができる。さらにこの支持体が、光源動作時に発生する熱を逃がすのに適していると有利である。このため支持体は良好な熱伝導性を有している。さらにたとえば支持体はプリント配線板であり、殊に有利にはメタルコア基板であり、これには銅やアルミニウムのような金属が含まれている。
【0006】
本発明による発光モジュールの少なくとも1つの実施形態によれば、少なくとも1つの光源は少なくとも2つの発光ダイオードチップを有している。つまり少なくともこの光源には、光を発生する素子として2つまたはそれよりも多くの発光ダイオードチップが含まれており、これらは光源をいっしょに有利には同時に接触接続することで電磁放射を発生することができる。この場合、光源の各発光ダイオードチップを互いに別個に接触接続可能にすることもできる。光源の発光ダイオードチップはたとえば、N×M個の発光ダイオードチップから成る正方形または長方形のアレイとして配置されている。たとえば光源が2×3個の発光ダイオードチップを有するように構成できる。この場合、発光ダイオードチップは、発光ダイオードチップがそれぞれ3個ずつ2列で配置されている。発光モジュールのさらに別の光源が、単独の発光ダイオードチップまたは同様に複数の発光ダイオードチップをもつよう構成することができる。
【0007】
本発明による発光モジュールの少なくとも1つの実施形態によれば、モジュールの各光源の後方に光学素子の光学系ボディが配置されている。ここで「後方に配置」とは、光源の光学系ボディが光源の主方向で見て後ろに続く、ということを意味する。その際、光学系ボディは光源に対し相対的に次のように配置されている。すなわち、光源から動作中に発生する電磁放射の大部分が光学系ボディに入射し、この光学系ボディを通り抜けるときにそれによって光学的作用を及ぼすことができるように配置されている。
【0008】
有利には光源各々に、光学素子の1つの光学系ボディが一義的に割り当てられている。つまり、光学素子は複数の光学系ボディを有している。光学系ボディの個数は光源の個数に対応する。光源各々に、光学素子の1つの別個の光学系ボディが割り当てられている。つまりこのことは、少なくとも2つの発光ダイオードチップをもつ光源であるならば、それら複数の発光ダイオードチップの後方に1つの共通の光学系ボディが配置されている、ということも意味する。
【0009】
本発明による発光モジュールの少なくとも1つの実施形態によれば光学系ボディは、光源動作中に発生する電磁放射を光学素子の光出射面に案内するのに適したものである。つまり光学系ボディは、モジュールの光源から動作中に発生する電磁放射を各光源から光学素子の1つの光出射面へと導くように配置されている。その際、光学素子の光出射面を、光学素子において光学系ボディとは別個のコンポーネントに含めることができる。この目的で、光学素子の光出射面をたとえば光学素子のカバプレート表面により形成することができる。さらに光学素子の光出射面を光学系ボディの複数の光出射面により形成し、たとえばそれらを組み合わせることができる。
【0010】
この場合、光学系ボディの光出射面は、光学系ボディに入力結合された放射の大部分がそこを通って再び出るようにする面である。光学系ボディから出る方向で光学系ボディの光出射面を通過して発せられた電磁放射は、光学系ボディによってはもはや光学的に作用を及ぼされる可能性はない。
【0011】
光学系ボディが中空体として形成されているならば、光出射面を仮想または想像上の面とすることができる。光学系ボディから離れる方向で電磁放射がそれらの面を通過して発せられてしまえば、その放射に対し光学系ボディはもはや光学的に作用を及ぼすことはできなくなる。たとえば想像上の面は、光学系ボディにおいて光源とは反対側の上縁部によって区切られている。
【0012】
有利には、光学素子の光出射面および/または光学系ボディの光出射面は、それらを通る電磁放射に対し光学的に作用を及ぼすのに適している。この場合、これらの面を、光学素子を通過する電磁放射の放射を成形するために用いることができる。さらに、光学素子および/または光学系ボディの光出射面が、光学素子から放射が出射されるときの全反射に関する確率を低減するのに適するよう構成できる。その際、光出射面は、発光モジュールの放射出力を高めるために用いられる。さらに放射出射面を含む光学素子のコンポーネントを、接触または汚れに対するたとえば光源などの機械的保護部材も成すよう構成できる。
【0013】
本発明による発光モジュールの少なくとも1つの実施形態によれば、発光モジュールは1つの共通の支持体上に取り付けられた少なくとも2つの光源を有している。この場合、これらの光源のうち少なくとも1つには2つのダイオードチップが含まれており、その際、各光源の後方には光学素子の光学系ボディが配置されており、それらの光学系ボディは、電磁放射を光学素子の光出射面へ導くのに適している。
【0014】
本発明による発光モジュールの少なくとも1つの実施形態によれば、光学素子における光学系ボディのうち少なくとも1つの光学系ボディは、結像を行わない非結像型の光学的集光器を有している。有利には光学素子のすべての光学系ボディは、非結像型の光学的集光器によって形成されている。有利にはこの光学的集光器は光源に向かって先細りに形成されており、この光源の後方に光学的集光器が配置されている。つまり換言すればこの光学的集光器の断面は、光源までの距離が広がるにつれて大きくなっている。その際に光学系ボディを1つの集光器によって構成することもできるし、あるいはこの集光器に加えて別のコンポーネントたとえばカバープレートを光学系ボディに設けることもできる。
【0015】
さらにこの光学的ボディを部分的に、以下の光学的基本要素のうち1つの形式に従い形成することができる:複合放物型集光器(CPC, Compound Parabolic Concentrator)、複合楕円型集光器(CEC, Compound Elliptic Concentrator)、複合双曲面型集光器(CHC, Compound Hyperbolic Concentrator)。つまりこの場合、光学系ボディの側面は、少なくとも部分的にこれらの光学的な基本素子のうち1つの形式で形成されている。
【0016】
さらには光学系ボディが少なくとも部分的に、光源に向かって先細りに形成された円錐断端形状またはピラミッド断端形状で成形されているようにすることも可能である。
【0017】
ここで述べるすべての実施形態において、光学系ボディをソリッドボディないしは中実体として構成することができる。このようなケースでは光学系ボディ内における電磁放射の案内は、少なくとも部分的にその側面に対する全反射によって行われる。これに加えて、ソリッドボディ表面に少なくとも部分的に反射材料をコーティングすることも可能である。
【0018】
さらに光学系ボディを中空体として構成することも可能であり、この中空体の内面は反射性で形成されている。たとえば光学系ボディの内面は、反射性となるよう金属でコーティングされている。光学系ボディが中空体により形成されているならば、光出射面は光学系ボディにおいて光源とは反対側の開口部を覆っている仮想の平坦な面となる。つまりこの面により、光学系ボディの側面が光出射面開口部とつながっている。
【0019】
本発明による発光モジュールの少なくとも1つの実施形態によれば、光学系ボディは、ピラミッド断端状部材として形成された非結像型の光学的集光器を有している。つまり光学系ボディはたとえば矩形の光入射面と矩形の光出射面を有しており、これらの出射面は光学系ボディの側面によって互いに結合されている。
【0020】
この場合、ピラミッド断端状部材を対称にすることができる。すなわちこれは、光入射面の幾何学的中心を通って延在し光入射面に対し垂直を成す中心軸に関して対称である。その際にこれらの中心軸は、光出射面の幾何学的中心も通過して延在している。さらに光学系ボディを非対称のピラミッド断端部材により構成することも可能であり、この場合には光入射面の幾何学的中心を通る中心軸は、光出射面の幾何学的中心を通る中心軸とは一致していない。
【0021】
上述の発光モジュールは殊に以下の認識を利用するものである。すなわち、それぞれ複数の発光ダイオードチップから成るグループの後方に配置された複数の光学的集光器を光学系ボディとして用いることによって、ならびに光学素子における1つの共通の光出射面によって、発光モジュールのすべての発光ダイオードの後方にただ1つの共通の光学的集光器が配置されている場合と同じ光学的作用を達成できる、という認識を利用している。このようなただ1つの光学的集光器に対し上述の発光モジュールは、光学素子の長さを約50%まで低減できる点で優れている。つまり複数の光学的集光器を利用することで、それらの集光器を短く構成することができる。それゆえこの種の光学素子によって、著しくコンパクトな発光モジュールを実現することができる。さらに光学素子の長さが短くなる結果、発光モジュールの機械的安定性も高められることになる。
【0022】
本発明による発光モジュールの少なくとも1つの実施形態によれば、光学系ボディは1つのソリッドボディすなわち中実体により形成されている。このことはたとえば、光学系ボディがピラミッド断端状部材として形成されている場合に殊に有利である。ソリッドボディとして構成されている光学系ボディには有利には、1.4よりも大きい屈折率をもつ透過性材料が含まれている。この場合、光学ボディの側面における反射は有利には全反射によって行われる。光学系ボディをたとえば、透過性のプラスチックまたはガラスにより構成することができる。光学系ボディが透過性プラスチックから成る場合には、有利にはこれは射出成型またはトランスファ成型されたものである。光学系ボディは有利には、以下の材料うち少なくとも1つの材料を含んでいるか、あるいは以下の材料のうち少なくとも1つの材料から成る:PMMA,PMMI,PC,COC(たとえばZeonexまたはTopas)、シリコーン。
【0023】
光学系ボディの光出射面は、ソリッドボディとして構成された光学系ボディの場合、有利には光学系ボディと一体に形成されている。これを滑らかな面あるいは湾曲をもつ面として形成することができる。
【0024】
本発明による発光モジュールの少なくとも1つの実施形態によれば、光学素子はワンピースで形成されている。つまり光学素子における光学系ボディはおよび場合によっては光学素子におけるさらに別のコンポーネントは、互いに一体的に結合されている。この目的で光学素子は、たとえば射出成型法またはトランスファ成型法によって形成される。その際、光学素子における個々の光学系ボディ間において製造プロセスに起因して生じるウェブの幅は、有利にはできるかぎり小さく選定される。このようにすることで、光学素子の光学特性がウェブによってもできるかぎり僅かにしか影響を及ぼさないようにすることができる。ワンピースとして形成された光学素子の優れている点は、それがコンパクトであることゆえに光学素子を発光モジュールの支持体に取り付ける際に取り扱いがきわめて簡単なことである。
【0025】
本発明による発光モジュールの少なくとも1つの実施形態によれば、光学素子はマルチピースとして形成されている。つまり光学素子のコンポーネントは互いに別個に製造されている。これらのコンポーネントもたとえば射出成型またはトランスファ成形により形成することができる。その際に有利には、光学素子の光学系ボディは互いに別個に製造されている。組み合わせられて光学素子が形成されたときにその光学素子の光出射面を成す光出射面を、光学系ボディに設けることができる。さらに、光学素子の光出射面を含むコンポーネントを光学系ボディとは別個に製造することも可能であるし、あるいは光学系ボディを互いに別個に製造し、光学素子の光出射面を含むコンポーネントして製造することもできる。別個に形成された光学系ボディの場合、有利には光学系ボディ間のウェブをなくすことができる。
【0026】
本発明による発光モジュールの少なくとも1つの実施形態によれば、光学素子の光出射面は凸状の面により形成されており、この面は光学系ボディの光出射面の上に延在している。この場合、光学素子の光出射面を、たとえば光学素子の光学系ボディの上で湾曲させることができる。換言すれば、光学系ボディの光出射面はドーム状に張設されている。この実施形態の場合には光出射面を、光学素子における別個のコンポーネントの一部分とすることができ、これは光学系ボディとは別個に製造され、たとえば光学素子における湾曲したカバープレートとすることができる。
【0027】
さらに光学素子の光出射面を、部分的に光学系ボディの複数の光出射面により形成することも可能である。このケースでは、光学素子の光出射面は光学系ボディの複数の光出射面から組み合わせられる。たとえば光学系ボディの各々に、光学素子の光出射面の一部分を成す1つの光出射面を設けることができる。この場合、組み合わせられた光学素子は1つの光出射面を有しており、この光出射面は光学系ボディの光出射面にわたり延在しており、それらによって構成されている。
【0028】
本発明による発光モジュールの少なくとも1つの実施形態によれば、このモジュールの発光素子は凸状の部分領域を備えた1つの光出射面を有しており、それら凸状の部分領域は凹状の部分領域により互いに結合されている。その際、これらの部分領域が複数の光学系ボディにおける光出射面の上に延在するよう構成することができる。さらに、凸状の部分領域が複数の光学系ボディにそれぞれ一義的に対応づけられているように構成することも可能である。このケースではたとえば、光学系ボディ各々の後方に光学素子における光出射面の湾曲部を配置させることができ、この場合、光学素子は主としてそれらの光学系ボディを通って発せられる電磁放射に対し光学的作用を及ぼす。その際、凸状の部分領域を互いに結合する凹状の部分領域には、光学素子の光出射面において凹状に湾曲した部分領域も、光出射面の先端、ノッチならびに他の湾入部も含まれている。さらに可能であるのは、凸状の部分領域を光学素子における光出射面の平坦な面の区間によって互いに結合することである。
【0029】
これらの光学的特性のほか、湾曲した出射面は光学系ボディの製造においても有利であることが明らかである。光学系ボディがソリッドボディないしは中実体である場合、平坦な光出射面を備えた光学系ボディの製造にあたり、光学系ボディの硬化に際してコントロール不可能な製造変動が生じる可能性がある。つまりこの場合、光出射面はまえもって設定可能ではないかたちで、凸状および凹状に湾曲した部分領域を有することになる。これに対し、まえもって設定した曲率半径で湾曲した光出射面であれば、光出射面自体を安定化させることができる。このため有利には、光出射面における湾曲した部分領域は少なくとも100mmの曲率半径を有しており、有利には少なくとも50mmの曲率半径を有している。
【0030】
本発明による発光モジュールの少なくとも1つの実施形態によれば、光学素子の光出射面は光学系ボディの複数の光出射面により組み合わせられている。つまり光学素子の光出射面は光学素子の別個のコンポーネントではなく、それ自体で光学系ボディの光出射面をそれぞれ成している複数の部分から合成されている。これが有利となるケースは、光学素子がマルチパートで形成されおり光学系ボディが互いに別個に製造されている場合である。この場合、光学系ボディはたとえば凸状に湾曲した光出射面をそれぞれ有している。この目的で光学系ボディは、光学素子が組み合わせられている場合に光学系ボディの光出射面が噛み合って光学素子の光出射面を補うように構成されている。
【0031】
その際にたとえば、湾曲面としてすべての光学系ボディの上に延在する光学素子の光出射面を、光学系ボディの光出射面により形成することができる。このようにすれば、光入射面を通って1つの光学系ボディに入る光を、たとえば隣り合って配置された別の光学系ボディの放射出射面を所定の角度で通って送出させることができる。
【0032】
全体として、光学素子の合成された光出射面は光学素子全体に対する光学的な基本素子たとえば集光器レンズを成している。つまり本発明によるモジュールにおけるすべての光源の光に対する1つの共通の集光器レンズは、個々の光学系ボディを組み合わせて合成することによってはじめて形成されることになる。換言すれば光学素子における光出射面の光学特性は、単独の光学系ボディにおける光出射面の光学特性を単純に付加することで得られるものではない。
【0033】
本発明による発光モジュールの少なくとも1つの実施形態によれば発光モジュールは、反射防止コーティングが施された光入射面をもつ少なくとも1つの光学系ボディを有しており、この反射防止コーティングは誘電材料を有している。このコーティングは光学系ボディにおける光入射面を反射させないようにする役割を果たしており、これによって光学系ボディへの光の入射の確率が高められる。光学素子におけるすべての光学系ボディの光入射面がこのようにしてコーティングされていると有利である。さらに光学系ボディの光出射面および/または光学素子の光出射面にも、この種のコーティングを設けることができる。たとえば光学素子の光出射面のコーティングを、浸漬被覆法により行うことができる。このためには殊に多孔のゾル−ゲル層が適しており、この層により光学素子のコンポーネントの製造材料を成すプラスチックまたはガラスから成る格別安価な層が実現される。
【0034】
本発明による発光モジュールの少なくとも1つの実施形態によれば、少なくとも1つの光学系ボディにおける光入射面は周期的なマイクロ構造を有しており、このようなマイクロ構造は電磁放射の反射を低減するのに適したものである。この種の周期的なマイクロ構造をたとえば反射防止コーティングに対し択一的に、またはこれに加えて設けることができる。周期的なマイクロ構造の周期ならびに深さを整合させることにより、反射防止状態を所望の波長領域に合わせて最適化することができる。周期的なマイクロ構造がたとえば、3〜7μmの周期および6〜9μmの深さで波状に構成されていると、10〜12μmの波長領域における反射防止に格別良好に適している。それ相応に選定されたマイクロ構造の周期によって、可視領域における反射防止も可能となる。この場合、構造形成の周期長を、反射を防止すべき波長よりも小さくすると有利である。
【0035】
たとえばこの構造を、光学系ボディの材料にホログラフで生成されるスタンプを刻印することによって行うことができ、この場合、光学系ボディがリッドボディとして構成されていると有利である。光学系ボディの光入射面のほかに、光学系ボディおよび/または光学素子の光出射面のように光学素子における他の光貫通面にも、反射防止のためにこの種の周期的なマイクロ構造を設けることができる。
【0036】
本発明による発光モジュールの少なくとも1つの実施形態によれば、モジュールにおける発光ダイオードチップの少なくとも1つには封止材料は用いられない。つまりこの発光ダイオードチップの後方には、たとえばエポキシ樹脂またはシリコーンを含有する封止材料が設けられていない。つまり発光ダイオードチップは封止材料に埋め込まれていない。発光ダイオードチップの光出力結合面を自由に取り扱うことができる。この発光ダイオードチップの後方には光学系ボディの光入射面が配置されており、これによって発光ダイオードチップの光は光学系ボディに入射し、その前に封止材料を通って放射することはない。これによって、電磁放射が封止材料において部分的に吸収されてしまうことなく、光学系ボディに電磁放射を入射させることができる。さらに封止材料の劣化あるいは剥離が生じる可能性もない。
【0037】
本発明による発光モジュールの少なくとも1つの実施形態によれば、発光モジュールの発光ダイオードチップの光出力結合面と発光ダイオードチップに対応づけられた光学系ボディの放射入射面との間に、空隙が設けられている。つまり、光学系ボディの光入射面と発光ダイオードチップの光出射面は、封止材料または屈折率を整合させるための材料たとえば屈折率整合ゲルなどによって互いに結合されているのではなく、それらの面の間には間隙が存在しており、この間隙は有利には空気で満たされている。この場合、発光ダイオードチップは、光学系ボディの光入射面までは延在していない薄い封止部材を有しており、あるいは発光ダイオードチップには封止部材は設けられていない。
【0038】
本発明による発光モジュールの少なくとも1つの実施形態によれば、光学素子における光学系ボディの光入射面と少なくとも1つの発光ダイオードチップの光出射面との間隔は最大で250μmであり、有利には最大で200μm、殊に有利には最大で100μmである。その際、封止材料の設けられていない発光ダイオードチップであればこの間隔は、場合によっては用いられる接触ワイヤによってのみ制約されるものであり、このような接触ワイヤを介して発光ダイオードチップはたとえばn側で電気的に接触接続される。光学系ボディの光入射面と発光ダイオードチップの光出力結合面との間の間隔がこのように僅かであることによって、発光ダイオードチップから放出される光のできるかぎり多くの部分を光学系ボディへ入力結合させることができるようになる。
【0039】
本発明による発光モジュールの少なくとも1つの実施形態によれば、光学素子はホルダを有しており、このホルダに光学系ボディが取り付けられている。このホルダをたとえば光学素子における別個のコンポーネントとすることができるし、あるいはホルダは光学素子といっしょにワンピースで形成されている。有利には光学系ボディは、それらの光入射面とは反対側でこのホルダに取り付けられている。光学系ボディをたとえばホルダに接着することができ、あるいは係合または挿入することができる。さらに、光学系ボディをホルダと一体的に結合することができる。この事例では、光学系ボディをホルダといっしょに射出成型法あるいはトランスファ成型法で製造することができる。さらに、光学素子の1つのコンポーネントたとえば光学素子の光出射面に含まれているカバープレートもホルダに取り付けることができ、あるいはこのホルダと一体的に形成することができる。
【0040】
ホルダは有利にはフレーム状、ボックス状に構成されており、あるいは円形また楕円形の底面をもつ中空シリンダ状に構成されている。この場合、光学素子のコンポーネントたとえば光学系ボディは有利には、ホルダにおいてモジュール支持体とは反対側でそこに取り付けられている。
【0041】
フレーム状のホルダは殊に、光学素子の熱的な歪みがこの種のホルダによって良好に補償されるという認識を利用するものである。光源動作時にたとえば光学素子が加熱されると、支持体上に固定されているホルダーは支持体から離れるように方向に膨張する。有利にはホルダにおいて支持体とは反対側に取り付けられている光学系ボディは、ホルダにおいて支持体とは反対側から支持体の方に向かって膨張する。このようにして、支持体から離れる方向でのホルダーの熱膨張および支持体に向かう方向での光学系ボディの熱膨張を補償することができる。このようにして、発光ダイオードチップの光出力結合面と光学系ボディの光入射面との間隔が少なくともほぼ一定に保たれる。その際に有利には、ホルダと光学系ボディは互いに整合された熱膨張係数を有しており、この目的でたとえば同じ材料から形成されている。
【0042】
本発明による発光モジュールの少なくとも1つの実施形態によれば、ホルダは光学素子の光学系ボディを少なくとも4つの側から取り囲んでいる。このケースでは、ホルダの側面は光学系ボディに沿って延在している。このためにホルダをたとえばボックス状たとえば中空シリンダ形状で構成することができる。
【0043】
本発明による発光モジュールの少なくとも1つの実施形態によれば、ホルダは光源を少なくとも4つの側から取り囲んでいる。このために、ホルダをたとえばボックス状に構成することができる。ホルダ側面はこのため少なくとも部分的にモジュール支持体と接触しており、たとえば支持体上に配置されている。このようにしてホルダは光源の機械的保護部材を成しており、これはたとえば封止材料の設けられていない発光ダイオードチップを取り囲んでいる。
【0044】
さらに本発明は光学式投影装置に関する。有利には光学式投影装置は、上述の実施形態のうち少なくとも1つの実施形態による少なくとも1つの発光モジュールを有している。有利には光学式投影装置はこの種の発光モジュールを複数有しており、それらの発光モジュールをたとえばそれぞれ異なる色の光の生成に適したものとすることができる。つまりこれらのモジュールのうち1つのモジュールを、緑色のスペクトル領域で光を送出するのに適したものとすることができる。さらに別のモジュールを、赤色のスペクトル領域で光を送出するのに適したものとすることができる。さらに3つめのモジュールを、青色のスペクトル領域で光を送出するのに適したものとすることができる。
【0045】
本発明による光学式投影装置の少なくとも1つの実施形態によれば、発光モジュールはダイクロイックビームスプリッタ(Xキューブ)の側面に配置されている。このXキューブに対し3つの異なる側面のところで赤と青と緑の光を同時に適切な強度で入射すると、さらに別の側面を通ってXキューブから白色の混合光が送出される。
【0046】
本発明による光学式投影装置の少なくとも1つの実施形態によればこの光学式投影装置にさらに、画像形成ユニットたとえば別個に駆動制御可能な複数のマイクロミラーから成るアレイ(ディジタルミラーデバイスdigital mirror device DMD)またはLCDパネルを設けることができる。
【0047】
本発明による光学式投影装置の少なくとも1つの実施形態によれば、この光学式投影装置に投影レンズを設けることができ、このレンズは、少なくとも1つの発光モジュールからの光を投影面に投影させるのに適したものである。
【0048】
次に、図面に示された実施例に基づき、発光モジュールならびに光学式統制装置の有利な実施形態について説明する。
【0049】
図1は、以下で説明する発光モジュールの第1の実施例の斜視図である。
【0050】
図2Aは、以下で説明する発光モジュールの第2の実施例の斜視図である。
【0051】
図2Bは、発光モジュールの第2の実施例のための光学素子の斜視図である。
【0052】
図2Cは、
図2Aに示した光学素子を第1の方向から見た断面図である。
【0053】
図2Dは、
図2Aに示した光学素子を第2の方向から見た断面図である。
【0054】
図3は、以下で説明する発光モジュールの第3の実施例の斜視図である。
【0055】
図4Aは、以下で説明する発光モジュールの第4の実施例の斜視図である。
【0056】
図4Bおよび
図4Cは、第4の実施例の光学素子の光学系ボディの斜視図である。
【0057】
図4Dは、本発明によるモジュールの第4の実施例において用いられる光学系ボディの断面図である。
【0058】
図5は、光学素子の実施例のための最適な出射面に関する経過特性を示す図である。
【0059】
図6Aおよび
図6Bは、光学素子の実施例のための光学系ボディの断面図である。
【0060】
図7A、
図7Bおよび
図7Cは、光学素子の実施例のための光学系ボディの断面図である。
【0061】
図8は、以下で説明する光学式投影装置に関する実施例の断面図である。
【0062】
実施例および図面において、同一の構成要素または同じ働きをもつ構成要素にはそれぞれ同じ参照符号が付されている。図示されている構成要素ならびにそれらの構成要素相互の大きさの比率は縮尺通りに示していない。むしろ図面における幾つかの細部は理解しやすいよう誇張して大きく描かれている。
【0063】
図1には、以下で説明する発光モジュールの第1の実施例の斜視図が描かれている。
【0064】
第1の実施例の発光モジュール20は2つの光源1を有している。これらの光源1には、それぞれ2×3の配置で発光ダイオードチップ2が含まれている。各光源1の後方には、光学素子5の光学系ボディ3が配置されている。
【0065】
図1に示した実施例の光学系ボディ3は結像を行わない非結像型集光器であり、これは上述のCPC光学系の形式に従い構成されている。有利にはこれらの集光器は中実体ないしはソリッドボディとして構成されているので、側壁は内部全反射により放射入射面から放射出射面4へと案内されることになる。
【0066】
光学系ボディ3は光源1の光を光学素子5のカバープレートに向かって案内し、このカバープレートには光学素子5の放射出射面4が含まれている。この場合、光学素子5の放射出射面は、光学系ボディ3の放射出射面40の後方に配置されている。光学系ボディ3および放射出射面4はホルダ13に取り付けられており、このホルダは嵌合ピン8を有している。嵌合ピン8は、発光モジュール20における支持体7の対応する切り欠きに係入する。その際、嵌合ピン8は、支持体7への光学素子5の機械的な取り付けおよび/または調整の役割を果たす。
【0067】
支持体7はたとえばメタルコア基板により形成されており、このメタルコア基板には孔12を設けることができ、これらの孔12を介して支持体7がモジュール支持体(図示せず)上に取り付けられ、たとえば螺合することができる。この場合、メタルコア基板に、アルミニウムや銅といった熱伝導性の良好な金属を含めると有利である。
【0068】
支持体7は導体路9を有しており、この導体路9によって差込接続部10が光源1と接続され、この差込接続部を介してモジュールを外部から電気的に接触接続することができる。
【0069】
光源1の発光ダイオードチップ2はたとえばセラミック支持体11に取り付けられており、このセラミック支持体はスルーホール(ビア)を有しており、その目的は発光ダイオードチップ2を支持体7の導体路9と接触接続させるためである。光源1の発光ダイオードチップ2における放射出力結合面はたとえば約1mm
2の面積を有している。光源1における発光ダイオードチップ2相互の間隔は、有利には100μmよりも小さい。
【0070】
発光ダイオードチップ2は、殊に有利にはいわゆる薄膜発光ダイオードチップである。つまり少なくとも1つの発光ダイオードチップは光出力結合面を有しており、この光出力結合面を通って、発光ダイオードチップ2から放出された電磁放射の大部分が出力結合される。殊に有利には、発光ダイオードチップ2から放出される放射全体が、光出力結合面を通って出力結合される。光出力結合面はたとえば、発光ダイオードチップ2における表面の一部分により形成されている。有利には、放射出力結合面は発光ダイオードチップ2の主表面によって形成されており、この主表面はたとえば、電磁放射の生成に適した発光ダイオードチップ2のエピタキシャル層列に対し平行に配置されている。
【0071】
この目的でエピタキシャル層列にたとえばpn接合、ダブルヘテロ構造、単一量子井戸構造(SQW)あるいは多重量子井戸構造(MQW構造)をもたせることができる。量子井戸構造の概念には、電荷キャリアが閉じこめ("confinement")によりそのエネルギ状態の量子化を受けるあらゆる構造を含めることができる。たとえば量子井戸構造の概念には、量子化の次元数に関する規定は含まれていない。したがって量子化には殊に、量子箱、量子細線、量子点およびこれらの構造のあらゆる組み合わせが含まれる。
【0072】
有利にはこの発光ダイオードチップ2は、成長基板が少なくとも部分的に取り除かれていてもとの成長基板とは反対側の表面に支持部材が取り付けられた発光ダイオードチップである。支持部材は成長基板よりも比較的自由に選択できる。その際、温度膨張係数に関して放射発生エピタキシャル層列にきわめて良好に整合された支持部材を選択するのが有利である。さらに支持部材に、熱伝導性の著しく良好な材料を含ませることができる。このようにして動作中、発光ダイオードチップ2から生じた熱がきわめて効果的に支持体7へ逃がされる。
【0073】
成長基板の除去により製造されるこの種の発光ダイオードチップ2はしばしば薄膜発光ダイオードチップと称され、有利には以下の特徴のうち少なくとも1つの特徴ゆえに優れたものである。
−支持部材に向けられている放射生成エピタキシャル層列の第1の主面のところに反射層または反射層列が取り付けられているかまたは形成されており、これはエピタキシャル層列内で生成された電磁放射の少なくとも一部分をそこに反射して戻す。
−エピタキシャル層列は、有利には最大で20μmの厚さを有しており、殊に有利には、最大で10μmの厚さを有している。
−さらに有利にはエピタキシャル層列には、混合構造を有する少なくとも1つの面を備えた少なくとも1つの半導体層が含まれている。理想的なケースでは、この混合構造によってエピタキシャル層列内にほぼエルゴード的な光分布を生じさせ、つまりこの光分布は、できるかぎりエルゴード的な確率分散特性を有している。この種の薄膜発光ダイオードチップの原理については、たとえばI. Schnitzer等によるAppl. Phys. Lett. 63 (16), 1993年10月18日刊、第2174〜2176頁に記載されており、薄膜発光ダイオードチップの基本原理に関してその開示内容を本願の参考文献とする。
【0074】
発光モジュール20の2つの光源1のセンタ間の間隔は、
図1の実施例の場合には5〜6mmである。
【0075】
図2Aには、ここで述べる発光モジュール20の第2の実施例の斜視図が略示されている。
【0076】
図1を参照しながら説明した実施例とは異なり
図2Aの発光モジュール20は、光学素子5のホルダ13がボックス状に形成されていることである。つまり光学素子5は、光源1と光学系ボディ3が4つの面で取り囲まれたホルダ13を有している(
図2BのラインAA′に沿った断面図および
図2CのラインBB′に沿った断面図も参照)。この場合、ホルダ13の側面は場所によっては支持体7の上に位置している。したがって
図2Aの光学素子5は、発光ダイオードチップ2と光学系ボディ3の機械的保護部材を成している。このため発光ダイオードチップ2をたとえばモールドなしとすることができる。光学系ボディ3の光入射面14は、発光ダイオードチップ2の放射出力結合面から有利には100〜250μm隔てて配置されている。発光ダイオードチップ2と光入射面14との間のギャップは、有利には空気で満たされている。
【0077】
図2Aの実施例の場合、光学素子5の光学系ボディ3は有利には互いに別個に製造されたソリッドボディであり、これはホルダ13に取り付けられている。これらはそれぞれ放射出射面40を有している。光学系ボディ30の放射出射面40によって、光学素子5の放射出射面4が補われている(
図2Cおよび
図2Dの断面図も参照)。この場合、光学系ボディ3の放射入射面14を通って入射する光は、他の光学系ボディの放射出射面を通って光学素子5から出射する。光学系ボディ3はたとえばピラミッド断端形状の光学系である。この場合、2つの光源1に分割された発光ダイオードチップ1におけるアレイの光は光学系ボディ3により集光され、光学素子5における方形の光出射面4に向けて再分配される。
【0078】
光学素子5は有利には星形断面を有する嵌合ピン8によって支持体7に取り付けられ、および/またはそこで調整される。支持体7の長さは、
図2Aを参照しながら示した発光モジュール20の実施例の場合には約4.0cmであり、その幅は約2.5cmである。光学素子5の高さは、支持体から放射出射面4の頂点まで約2.5cmである。その際、光学系ボディ3各々は2×3個の発光ダイオードチップ2から成るアレイの後方に配置されている。これと比べて、12個の発光ダイオードチップの後方に配置される単一の光学系ボディ3であると、
図2Bを参照しながら説明した光学素子5と同じ光学的作用を達成するためには、約2倍の長さをもっていなければならない。
図3には、以下で説明する発光モジュールの第3の実施例の斜視図が示されている。この実施例によれば、光学素子5はワンピースですなわち一体的に構成されている。ピラミッド断端状に形成された各光学系ボディ3の間に、製造プロセスに起因してウェブ17が位置することになる。有利にはウェブ17は、光学素子5の光学特性にできるかぎりわずかにしか作用が及ぼされないよう、著しく薄く選定されている。有利にはウェブ17の幅は最大で0.25mmである。
【0079】
図4Aには、以下で説明する発光モジュールの第4の実施例の斜視図が示されている。
図4Bおよび
図4Cには、このモジュールの光学系ボディ3の斜視図が示されている。光学系ボディ3はホルダ13に取り付けられている。その光出射面40によって、光学素子3の光出射面4が補われている。この場合、一方の光学系ボディ3の光入射面14に入力結合される放射が、他方の光学系ボディの放射出射面40を通ってモジュールから出射される。したがって組み合わされたこれらの光出射面4は、モジュール20全体に対する1つの光出射面を成している。
【0080】
光学素子5の光学系ボディ3は、この実施例では光学的集光器として非対称のピラミッド断端状部材3aを有している。つまり、放射入射面14に対し垂直にその幾何学的中心を通って延在する中心軸は、光出射面40の幾何学的中心を通って延在する中心軸とは一致しない。その際、光学素子の光出射面4は有利には集光レンズとして用いられる。光学系ボディ3の放射入射面14に対し相対的にこれを偏心させて配置することにより、光学系ボディ3を成すピラミッド断端状部材3aの非対称性が補償される。
図4Dには、偏心させたレンズ状の光出射面40によって非対称のピラミッド断端部材3aにおける非対称性をどのようにして補償できるのかが、例として挙げた放射に基づき光学素子3の断面図として示されている。
【0081】
図5には、
図6Aおよび
図6Bと関連させて例示されているような光学系ボディに関して、放射出射面40の最適化された経過特性が示されている。
図5には、中心から周縁までの放射出射面40の経過特性が示されている。
図5には、ザグ量(Sag)と半径との関係がmmで書き込まれている。光学系ボディ3の光出射面40は、たとえばレイトレーシング手法によって最適化されている。さらに表1には、光学系ボディ3の放射出射面40において選択された点の座標が示されている。
【0082】
【表1】
【0083】
図6Aには、放射出射面40をもつ光学系ボディ3の断面図が示されている。ピラミッド断端部材3aの長さはたとえば約18mmである。ピラミッド断端状部材3aの後方に続き有利にはこれと一体的に形成されているカバープレート3bの厚さは、約2.5mmである。放射入射面14から放射出射面40の頂点までの光学系ボディ3の長さは約22mmである。その際、
図6Aに示されているような光学系ボディ3の放射出射面40は凸状の湾曲部15を有している。
図6Bには光学系ボディ3の断面図が示されており、これらの光学系ボディ3はその放射出射面40のところで互いに接続されている。光学系ボディ3の放射出射面40は光学素子5の放射出射面4を補っている。光学素子の放射出射面4は凸状に湾曲した部分領域15と凹状に湾曲した部分領域16を有している。
【0084】
図7A、
図7Bおよび
図7Cには光学素子5の断面図が示されており、これらはそれぞれ2つの光源の後方に配置されている。
【0085】
図7Aの光学系ボディ3はそれぞれ平坦な光出射面40を有しており、これらは合わさって光学素子5における1つの平坦な光出射面4を成している。
【0086】
図7Bには、それぞれ1つの湾曲した光出射面40を有する2つの光学系ボディ3が示されている。光学系ボディ3の光出射面40は光学素子5の光出射面4を補っており、これは2つの光学系ボディ3の上で湾曲しており、光学系ボディ3の上でドーム状に延在している。
【0087】
図7Cには、光出射面40がそれぞれレンズ状に湾曲された2つの光学系ボディ3が示されている。これらの光学系ボディ3の光出射面40により組み合わされた光学素子5の光出射面は、凸状の部分領域15とこれらの部分領域15を互いに結合する凹状の部分領域16を有している。凹状の部分領域16は光学系ボディ3と接触する個所で先の尖った溝となっており、この溝は光学素子5の放射出射面4において延在している。
【0088】
有利には
図7A〜
図7Bの光学素子5はそれぞれ2つの部分で構成されており、光学系ボディ3の放射出射面40のところで組み合わさっている。光学系ボディ3を互いに接着させることができ、および/またはそれらをホルダ13により一体にすることができる。
【0089】
光学系ボディ3の放射入射面14ならびに放射出射面40に付加的なコーティング(図示せず)を設けることができ、あるいはこれらの光通過面の反射防止処理に適した周期的なマイクロ構造(「複眼構造」)を設けることができる。光学系ボディ3において殊に光入射面14のコーティングにあたっては、動作中に熱を発生する光源の近くにあることから、耐熱性および熱変動に対する耐性について留意する必要がある。
【0090】
図8には、以下で説明する光学式投影装置の実施例に関する断面図が示されている。この光学式投影装置は、たとえばこれまでの実施例で説明してきた3つの発光モジュール20を有している。これらのモジュールのうちモジュール20aは、たとえば赤色光の生成に適している。別のモジュール20bを、青色光の生成に適したものとすることができる。3つめのモジュール20cを、緑色光の生成に適したものとすることができる。モジュール20a〜20cはXキューブ(X-Cube)30の側面に配置されており、そこに各モジュールが光を入射することができる。モジュールのいずれが同時に発光するのかによって、放射34がXキューブ30から出て行く。放射34は互いに別個に駆動制御可能な複数のマイクロミラー31から成るアレイに当射し、このアレイはイメージング素子としての役割を果たす。択一的に、モジュール20a〜20cとXキューブとの間に、イメージング素子としてLCDパネルを配置させることができる。マイクロミラーから反射した放射の一部分35は投影レンズ32に入り、そこから投影スクリーンに投影される。
【0091】
本願は、ドイツ連邦共和国特許出願第102005041319.6号および102005054955.1-51号の優先権を主張するものであり、その開示内容は参照により本願に含まれるものとする。
【0092】
なお、本発明は実施例に基づく既述の説明によって限定されるものではない。すなわち本発明はあらゆる新規の特徴ならびにそれらの特徴のあらゆる組み合わせを含むものであり、これには殊に特許請求の範囲に記載した特徴の組み合わせ各々が含まれ、このことはそのような組み合わせ自体が特許請求の範囲あるいは実施例に明示的には記載されていないにしてもあてはまる。