(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5661245
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】患者の体内に制限を形成するための制限システム
(51)【国際特許分類】
A61B 17/00 20060101AFI20150108BHJP
【FI】
A61B17/00 320
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2009-15113(P2009-15113)
(22)【出願日】2009年1月27日
(65)【公開番号】特開2009-172388(P2009-172388A)
(43)【公開日】2009年8月6日
【審査請求日】2012年1月25日
(31)【優先権主張番号】12/020,867
(32)【優先日】2008年1月28日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】595057890
【氏名又は名称】エシコン・エンド−サージェリィ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Ethicon Endo−Surgery,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】マーク・エス・オルティス
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・エフ・ドラゴス・ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】エイミー・エル・マルコット
(72)【発明者】
【氏名】デビッド・エヌ・プレッシャ
(72)【発明者】
【氏名】デビッド・シー・イェイツ
【審査官】
木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】
特表2007−527735(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0173238(US,A1)
【文献】
特開昭63−249575(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/053
A61B 17/00 ― 17/94
A61F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の体内に制限を形成するための制限システムにおいて、
患者の体内に制限を形成するように構成された埋め込み型制限装置と、
前記埋め込み型制限装置の組織接触表面に配置された少なくとも2つのセンサー電極と、
前記センサー電極と電子的に通信し、かつ前記センサー電極間のインピーダンスを測定するように構成されたインピーダンス測定装置と、
を備え、
前記埋め込み型制限装置は、調整可能な胃バンドを備え、
前記インピーダンス測定装置は、測定された前記インピーダンスおよび直前に測定されたインピーダンス間の差異に基づき、突然のインピーダンスの増加が検出され、且つ、突然のインピーダンスの増加と同時に前記胃バンドによって患者の胃に加えられる制限量に対応する圧力の上昇が検出された場合に、脂肪組織の形態の変化と判断して、アラーム信号を作動させる、制限システム。
【請求項2】
請求項1に記載の制限システムにおいて、
前記センサー電極間で測定されたインピーダンスをある範囲のインピーダンス値と比較するように構成されたプロセッサをさらに備える、制限システム。
【請求項3】
請求項1に記載の制限システムにおいて、
前記センサー電極は、前記埋め込み型制限装置によって形成された前記制限に隣接した組織と接触するように構成され、前記インピーダンス測定装置は、前記組織のインピーダンスを測定するように構成されている、制限システム。
【請求項4】
請求項1に記載の制限システムにおいて、
前記インピーダンス測定装置が閾値インピーダンス値と異なる前記センサー電極間のインピーダンスを測定すれば、是正措置に関する信号を送るように構成されたプロセッサをさらに備える、制限システム。
【請求項5】
請求項4に記載の制限システムにおいて、
前記閾値インピーダンス値は、前記埋め込み型制限装置によって形成された前記制限に隣接した組織の基準量を反映する、制限システム。
【請求項6】
請求項4に記載の制限システムにおいて、
閾値インピーダンス値と異なる前記電極間の測定されたインピーダンス値は、患者の体重減少または患者の体重増加を示す、制限システム。
【請求項7】
請求項4に記載の制限システムにおいて、
前記プロセッサは、ある期間にわたって収集された測定されたインピーダンス値が各々実質的に一定の値であって体重減少の平坦域を示しているか決定し、かつ、そうであれば、アラーム信号を送るように構成されている、制限システム。
【請求項8】
請求項4に記載の制限システムにおいて、
前記是正措置は、前記埋め込み型制限装置内の圧力の変更を提案することを含む、制限システム。
【請求項9】
請求項4に記載の制限システムにおいて、
前記是正措置は、前記患者の治療計画の修正を提案することを含む、制限システム。
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、埋め込み型制限装置に関連したインピーダンスデータを収集するための装置および方法に関する。
【0002】
〔発明の背景〕
肥満は、太りすぎの人々の数が増加し続け、また肥満の健康への圧影響についてより多くのことが分ってきたので、特に米国において、懸念が増大しつつある。人が理想の体重を100ポンド(約45キロ)以上も超える病的肥満は特に、深刻な健康問題の重大な危険を提起する。よって、大きな関心が太りすぎの患者の治療に向けられている。病的肥満を治療する1つの方法は、胃の上部の周りに細長いバンドなどの制限装置をつけることである。胃バンドは、通例、両端が互いに固定される流体充填エラストマーバルーンであって、食道−胃接合部のすぐ下で胃を囲み、バンドの上に小さな胃嚢、および胃には縮小された小口開口部を形成するバルーンを備える。流体がバルーンに注ぎ込まれると、バンドは胃に当った状態で膨張し、胃に食物摂取制限個所または小口を作り出す。この制限を減少させるには、流体をバンドから取り除く。バンドの効果は、胃の有効容積、したがって、“腹いっぱい”になる前に飲食できる食物の量を、減少させることである。
【0003】
食物制限装置は、また、同様に胃の上部を囲む、機械的に調整されるバンドを備える。これらのバンドは、バンドを調整するための任意の数の弾性材料または歯車装置、ならびに駆動部材を含む。加えて、流体圧駆動および機械駆動の両方の要素を含む胃バンドが開発されている。そのような調整可能な胃バンドの一例は、2000年5月30日に発行され、参照して本明細書に組み入れる、“Mechanical Food Intake Restriction Device”と題された米国特許第6,067,991号に開示されている。また、胃内腔自体に膨張可能なエラストマーバルーンを埋め込むことによって胃内腔の有効食物容積を制限することも知られている。バルーンは、流体で充填され、胃に当たった状態で膨張し、それによって胃内の有効食物容積を減少させる。
【0004】
上述の各々の食物制限装置について、安全で有効な治療のために、装置が定期的に監視され、調整されて、胃に適用される制限の程度を変えることが必要とされる。バンド装置について、バンドの上の胃嚢は、最初の埋め込みの後で実質的にサイズが増加する。よって、胃の小口開口部は、最初は、胃がバンド装置に順応する間患者が十分な栄養をとれるように、十分大きくされなければならない。胃嚢のサイズが大きくなるにつれて、バンドは小口サイズを変更するために調整されてもよい。加えて、患者の身体の変化または治療計画の変更に対応するために、あるいはより緊急の場合では、障害物または深刻な食道拡張を取り除くために、小口サイズを変更することが望ましい。伝統的に、流体圧胃バンドの調整には、スケジュールに組み込まれた臨床医の訪問を必要とし、訪問時にはヒューバー針と注射器が使用されて、患者の皮膚を突き刺し、かつ注入ポートを介してバルーンに流体を加えまたは流体を取り除いていた。より最近では、非侵襲的なバンドの調整を可能にする埋め込み型ポンプが開発されている。外部プログラマが、埋め込まれたポンプとテレメトリーを使用して通信し、ポンプを制御する。スケジュールに組み込まれた訪問時、医師はプログラマの手持ち式部分を胃の埋め込み物に近づけ、埋め込み物に電流および命令信号を送信する。埋め込み物は次にバンド内の流体レベルを調整し、プログラマに応答命令を送信する。
【0005】
これらの胃バンド調整時、調整がどのように進行しているか、また調整が意図した効果を有するかを決定するのが困難であった。調整の有効性を決定しようとして、いくらかの医師は、調整が行われている時に、バリウムの飲み込みを伴う蛍光透視法を利用した。しかしながら、蛍光透視法は、高価でもあり、また医師および患者の両方が受ける放射線量のため望ましくもない。他の医師は、患者に調整の最中にまたは後に一杯の水を飲むように指示し、水が調整された小口を通過できるか見定めようとした。しかしながら、この方法は、患者が障害物でふさがれていないことを保証するのみで、調整の有効性についていかなる情報も提供するものではない。しばしば、医師は、彼らの以前の経験に基づいて、単に“経過をみてみよう(Try as you go)”法を採用することもあり、調整の結果は、数時間後または数日後に、患者が胃内腔への完全な障害を経験し、あるいはバンドが、バンドとの過度の接点圧力により胃の組織に侵食を引き起こすまで発見されないこともある。
【0006】
よって、埋め込み型制限装置と使用するための、特に埋め込み型制限装置に関連したインピーダンスデータを収集するための方法および装置が提供される。
【0007】
〔発明の概要〕
本発明は、概して、埋め込み型制限装置に関連したインピーダンスデータを収集するための方法および装置を提供する。1つの実施の形態において、患者の体内に制限を形成するように構成された埋め込み型制限装置(例えば、調整可能な胃バンド)を含む、患者の体内に制限を形成するための制限システムが提供される。このシステムはまた、前記埋め込み型制限装置の組織接触表面に配置された少なくとも2つのセンサー電極と、前記センサー電極と電子的に通信することもでき、かつ前記センサー電極間のインピーダンスを測定することもできるインピーダンス測定装置とを含む。いくらかの実施の形態において、前記センサー電極は、前記埋め込み型制限装置によって形成された前記制限に隣接した組織と接触することもでき、前記インピーダンス測定装置は前記組織のインピーダンスを測定することもできる。
【0008】
このシステムはまた、前記センサー電極間で測定されたインピーダンスをある範囲のインピーダンス値と比較することもできるプロセッサを含むこともできる。いくらかの実施の形態において、このシステムは、前記インピーダンス測定装置が閾値インピーダンス値および/またはある範囲のインピーダンス値と異なる前記センサー電極間のインピーダンスを測定すれば、是正措置(例えば、前記埋め込み型制限装置内の圧力の変更および/または患者の治療計画の修正を提案する)に関する信号を送ることもできるプロセッサを含む。前記閾値インピーダンス値は、前記埋め込み型制限装置によって形成された前記制限に隣接した組織の基準量を反映することもできる。閾値インピーダンス値と異なる測定されたインピーダンス値は、患者の体重減少かまたは患者の体重増加を示すこともできる。プロセッサはまた、いくらかの実施の形態において、ある期間にわたって収集された測定されたインピーダンス値が各々実質的に一定の値であって体重減少の平坦域を示しているか決定することもでき、そうであれば、アラーム信号を送ることを決定することもできる。
【0009】
別の実施の形態において、患者の体内に制限を形成するための制限システムは、患者の体内に制限を形成することもできる埋め込み型制限装置と連絡することもできる埋め込み型測定装置を含む。埋め込み型測定装置はまた、患者の体重に関連したデータを収集することもできる。このシステムはまた、前記収集されたデータが前記患者の体重に関して変曲(inflection)、例えば患者の脂肪体(fat pad)の最小化を表わすプロット線の変曲、を示していれば、前記埋め込み型制限装置に関する患者の治療の調整に関する信号を送ることもできるコントローラを含む。前記患者の治療の調整に関する信号は、例えば、前記埋め込み型制限装置内の流体の量を調整するための、および/または前記患者の治療計画を修正するための信号を含むこともできる。いくらかの実施の形態において、このシステムはまた、前記埋め込み型制限装置内の流体の圧力を検知することもでき、かつ前記コントローラに圧力データを通信することもできる圧力センサーを含む。前記コントローラは、前記圧力データを使用して前記患者の体重に関する変曲を裏づけることもでき、かつ、そのように裏づけられれば、前記患者の治療の調整に関する信号を送ることもできる。いくらかの実施の形態において、前記測定装置は、前記埋め込み型制限装置の組織接触表面に配置された少なくとも2つのセンサー電極と、前記センサー電極と電子的に通信することもできかつ前記センサー電極間のインピーダンスを測定することもできるインピーダンス測定装置とを含む。前記センサー電極は、前記埋め込み型制限装置によって形成された前記制限に隣接した組織と接触することもでき、前記インピーダンス測定装置は前記組織のインピーダンスを測定することもできる。前記コントローラは、前記測定されたインピーダンスがあるインピーダンス値の範囲内に入っていれば、前記埋め込み型制限装置内の流体容積の変更に関する信号を送ることもできる。
【0010】
他の態様において、患者の体重減少を制御する方法が提供される。この方法は、患者の体内に埋め込まれることもでき、かつ組織接触表面に少なくとも2つの電極を有する制限装置を準備することを含む。この方法はまた、前記制限装置によって囲まれた組織のインピーダンスをインピーダンスセンサーで測定することを含む。いくらかの実施の形態において、この方法はまた、前記制限装置の組織接触表面に前記インピーダンスセンサーを連結することを含む。前記組織の前記測定されたインピーダンスと、前記組織の直前に測定されたインピーダンスとの差異は、食物塊、および前記2つの電極間の組織の折り重なりの少なくとも1つを示すこともできる。いくらかの実施の形態において、この方法はまた、前記測定されたインピーダンスが閾値インピーダンス値と異なっているか、あるインピーダンス値の範囲から外れているか、またはある期間にわたって収集された測定されたインピーダンス値が各々実質的に一定の値であって体重減少の平坦域を示していれば、アラーム信号を作動させることを含む。前記アラーム信号を作動させることは、前記測定されたインピーダンスが前記閾値インピーダンス値と異なっていること、あるインピーダンス値の範囲から外れていること、または体重減少の平坦域を示す通報を表示することもできる外部ディスプレイ装置に信号を送信することを含むこともできる。加えて、または代替的に、この方法は、アラーム信号が作動されれば、前記制限装置内の流体の量を調整することを含むこともできる。
【0011】
本発明は、以下の詳細な説明を添付図面と共に読むことによってより完全に理解されるであろう。
【0012】
〔発明の詳細な説明〕
本明細書に開示された装置ならびに方法の構造、機能、製造および使用の原理の全体的な理解を提供するために、いくらかの例示的な実施の形態を以下に説明する。これらの実施の形態の1つまたは複数の例は、添付の図面に図示されている。当業者は、本明細書に具体的に説明され、添付図面に図示された装置および方法は、非限定的な例示の実施の形態であり、本発明の範囲は特許請求の範囲のみによって規定されることを理解するであろう。1つの例示的な実施の形態に関して図示されまたは説明された特徴は、他の実施の形態の特徴と組み合わされてもよい。そのような修正例および変形例は本発明の範囲内に含まれることが意図されている。
【0013】
本発明は、概して、埋め込み型制限装置に関連したインピーダンスデータを収集するための装置および方法を提供する。一般に、これらの装置および方法は、患者の体内の埋め込み型制限装置の有効性を非侵襲的に監視し、かつ収集されたデータを考慮した患者の治療計画を特定し、修正し、および/または処方するために、患者、ヘルスケア提供者などが、収集されたデータをフィードバック機構として使用するのを可能にすることもできる。そのようなデータはまた、体重減少の進行に関し、例えば体重減少の変曲を特定することによって、患者に助言し、患者を奮起させるのに使用することもできる。インピーダンスデータは、制限装置に隣接した組織、例えば胃バンドと患者の胃の間の脂肪体に関して収集しかつ分析することもできる。組織は導電性であるので、また制限装置に使用される材料(例えば、シリコーン)は非導電性であるので、電流は組織に沿って移動することもできる。組織と接触した電極は、ゆえに、電極間のインピーダンスが組織のサイズが減少するにつれて(例えば、インピーダンスは脂肪細胞が小さくなるにつれて減少するので)、および/または組織が形態を変化させるにつれて変化するので、組織のインピーダンスを測定することもできる。その上、そのようなインピーダンスデータは、インピーダンスが最少の組織サイズを表わす最終の値に漸近的に収束するので、組織サイズを示すこともでき、そのため、インピーダンスデータは、脂肪体サイズを体重減少プロフィール、体重減少速度、および/または他の要素と相関させるなどの将来分析に使用することもできる。
【0014】
本発明は当該技術分野で知られているさまざまな制限システムと共に使用することもできるが、
図1Aは患者の体内で使用中の、1つの例示的な実施の形態の食物摂取制限システム10を示す。図示のように、システム10は、概して、埋め込み型部分10aと外部部分10bを含む。
図1Bは患者の外側における埋め込み型部分10aを示す。図示のように、埋め込み型部分10aは、患者の胃40の上部の周りに配されるように構成される調整可能な胃バンド20と、調整可能な胃バンド20に、例えばカテーテル50を介して流体連結される注入ポートハウジング30とを含む。注入ポート30は、流体が胃バンド20に導入されかつこれから取り除かれるのを可能にし、それによってバンド20のサイズ、したがって胃40に加えられる圧力を調整するように形成されている。注入ポート30は、したがって、組織を通じてアクセスできる身体内の場所に埋め込まれることもできる。通例、注入ポートは、皮膚および脂肪組織の層の下の、患者の腹部の側部肋骨下領域に配される。外科医はまた、通例、患者の胸骨上に注入ポートを埋め込む。
【0015】
検知または測定装置を、患者の体内に埋め込んで埋め込み型部分10aに含まれる1つまたは複数の要素を囲むまたは部分的に囲む組織と接触させることもできる。1つの実施の形態において、測定装置は、組織と接触し組織のインピーダンスを測定するように構成されたインピーダンス測定装置である。インピーダンス検知装置は、さまざまな構成を有することもでき、注入ポート30内を含む患者の体内のどこにでも配されることもできるが、図示の実施の形態において、インピーダンス検知装置は、センサーハウジング60内のインピーダンス測定装置の形をとっており、1つまたは複数のセンサー電極と電気的に通信する(有線または無線で)。センサー電極もまた、さまざまな構成を有し、任意の数であることも、任意の組織(例えば、脂肪組織、臓器等)と接触するように配置されることもできるが、この実施の形態において、2つのインピーダンス検知電極がバンド20の組織接触表面(例えば、外部表面)に配置されている。周方向アレイのセンサー電極は、個別の測定点の数を増加させることによって、より高い分解能を提供することもでき、それによって周囲組織の累積的な測定されたインピーダンスの精度および正確さを高める。
【0016】
閉鎖流体回路と流体連通している検知または測定装置は、埋め込み型部分10aに含まれることもできる。1つの実施の形態において、検知装置は、閉鎖流体回路の流体圧力を測定するように構成された圧力検知装置である。圧力測定装置はさまざまな構成を有することもでき、また、注入ポート30内を含む、内部部分10aに沿ったどこにでも配されることもできるが、図示の実施の形態において、圧力測定装置は、注入ポート30に隣接して配されたセンサーハウジング60内に配置される圧力センサーの形をとっている。カテーテル50は、胃バンド20およびセンサーハウジング60の間に連結される第1の部分と、センサーハウジング60および注入ポート30の間に連結される第2の部分とを含むこともできる。
【0017】
本明細書で説明する、内部部分10a内の流体圧力を検知することに加えて、食道および/または胃40内の流体圧力を、内視鏡圧力計などの任意の好適な装置を使用して検知することもできる。非限定的な例として、そのような流体圧力の測定値は、内部部分10a内の測定された流体圧力と、内部部分10a内の圧力の調整前に、最中に、および/または後に比較されることもできる。食道および/または胃40内の測定圧力の他の好適な使用法は、当業者によって認識されるであろう。
【0018】
当然のことながら、検知装置は、1つまたは複数の関連するパラメータに関連のあるデータを取得するように構成されることもできるが、概して、検知装置は本明細書においてインピーダンス検知装置および圧力検知装置の文脈で説明される。
【0019】
図1Aにさらに示すように、外部部分10bは、概して、データ読み取り装置70を含み、該読み取り装置は、厚い組織(例えば10cmを超える厚い組織)の下に埋め込まれることもできる埋め込まれた要素(例えば、バンド20、センサーハウジング60、ポートハウジング30等)の上の皮膚表面に配されて、非侵襲的にこの要素と通信し、それによってデータを得るように構成される。読み取り装置70は、随意に、コントロールボックス90に電気的に連結(無線で、または電気ケーブル組立体80を介するこの実施の形態のように有線で)されることもでき、該コントロールボックスは、圧力測定値、インピーダンス測定値、および/またはデータ読み取り装置70から得られた他のデータなどのデータを表示することもできる。コントロールボックス90は、この例では患者の近くに位置づけられて示されているが、以下にさらに説明するように、患者の近くの、または患者から隔たった、場所に置かれることもできる。
【0020】
図2Aは胃バンド20をより詳細に示す。胃バンド20はさまざまな構成を有することもでき、当該技術分野で現在知られているさまざまな胃バンドを本発明と共に使用することもできるが、図示の実施の形態において、胃バンド20は支持構造体22を備えた全体的に細長い形状を有しており、該支持構造体は、第1および第2の対向する端部20a、20bであって、ループ状に互いに固定されるように形成されることもできる端部を有する。さまざまな結合技術を使用して端部20a、20bを互いに固定することもできる。図示の実施の形態において、端部20a、20bは、一方が他方の上に置かれて互いに結合するストラップの形をとっている。例えば
図1Bおよび2Bに示す別の実施の形態において、胃バンド20の一端部の支持構造体は開口部を含むこともでき、胃バンド20の他端部はこの開口部を通って両端部を互いに固定することもできる。胃バンド20はまた、膨張可能なバルーン24などの可変容積部材を含むこともでき、該可変容積部材は、支持構造体22の一側面に配置または形成され、かつ組織に隣接して配されるように構成される。バルーン24は、胃の外壁に対して膨張または収縮して、胃への食物摂取を制御可能に制限するための調整可能な小口を形成する。
【0021】
当業者は、胃バンドがさまざまな他の構成を有することもできることを認識するであろう。その上、本明細書に開示されたさまざまな方法および装置は他のタイプの埋め込み型バンドに等しく適用可能である。例えば、バンドは、参照して本明細書に組み入れる米国特許第6,461,292号に記載されているように、便失禁の治療のために使用される。バンドはまた、参照して本明細書に組み入れる米国特許出願公報第2003/0105385号に記載されているように、尿失禁を治療するのに使用されることもできる。バンドはまた、参照して本明細書に組み入れる米国特許第6,470,892号に開示されているように、胸焼けおよび/または胃酸逆流を治療するのに使用されることもできる。バンドはまた、参照して本明細書に組み入れる米国特許出願公報第2003/0114729号に記載されているように、インポテンスを治療するのに使用されることもできる。
【0022】
図2Bは、患者の胃−食道接合部の周りに適用された調整可能な胃バンド20を示す。図示のように、バンド20は、患者の食道42との接合部の近くで少なくとも実質的に胃40の上部を取り囲んでいる。バンド20が好ましくは流体をほとんどまたは全く包含しないしぼんだ形態で埋め込まれた後に、バンド20は、小口開口部のサイズを小さくするために、例えば生理食塩水を使用して膨張されることもできる。当業者は、バンド20を調整するために、機械的および電気的技術を含むさまざまな技術を使用することもできることを認識するであろう。
【0023】
流体注入ポート30はさまざまな構成を有することもできる。
図3に示す実施の形態において、注入ポート30は、遠位のまたは底部の表面と周壁とを備える全体的に筒状のハウジングを有し、該周壁は底部表面から近位方向に延びて、近位開口部32を規定する。近位開口部32は、該開口部にまたがって延び、ハウジング内に形成された流体リザーバ(
図3では不可視)へのアクセスを提供する針貫通可能な隔膜34を含むこともできる。隔膜34は、好ましくは、リザーバの深さがヒューバー針などの針の開口先端をさらすのに十分であって、そのため流体移動が行われるように、十分近位方向の位置に置かれる。隔膜34は、好ましくは、針によって穴を開けられ、針が引っ込められた後に、自動封止するように配列される。
図3にさらに示すように、ポート30は、さらに、リザーバと流体連通し、かつカテーテル(例えば、カテーテル50)に連結するように構成されるカテーテルチューブ接続部材36を含むこともできる。当業者は、ハウジングが、ステンレス鋼、チタニウム、またはポリマー材料を含む任意の数の材料から製作されることもでき、また隔膜34が同様にシリコーンを含む任意の数の材料から製作されることもできることを認識するであろう。
【0024】
読み取り装置70はさまざまな構成を有することもでき、1つの例示的な圧力読み取り装置は、参照して本明細書に組み入れる、同一所有者の米国特許出願公報第2006/0189888号および米国特許出願公報第2006/0199997号により詳細に開示されている。一般に、読み取り装置70は、圧力検知装置が厚い(少なくとも10cmを超える)皮下脂肪組織の下に埋め込まれたときにも、非侵襲的に埋め込み部分10a内の流体圧力を測定することもできる。医師は、センサーハウジング60の場所、他の圧力検知装置の場所(単数または複数)、および/または以下にさらに説明するインピーダンスシステムなどの他のデータ収集装置の場所(単数または複数)の近くの患者の皮膚に読み取り装置70をあてがい、コントロールボックス90のディスプレイ上で圧力読み取り値を観察することもできる。読み取り装置70はまた、以下にさらに説明するように、長期にわたる検査時などに、ストラップ、接着剤および他のよく知られている方法を使用して、患者に着脱式に取り付けられることもできる。読み取り装置70は、従来の布または紙の外科用ドレープを通じて動作することもでき、また患者ごとに交換してもよい使い捨てカバー(図示せず)を含むこともできる。
【0025】
上述のように、システム10はまた、圧力測定装置であって、閉鎖流体回路と連絡しかつ調整可能な胃バンド20によって患者の胃40に加えられる制限量に対応する圧力(例えば、流体圧力)を測定するように構成された圧力測定装置を含むこともできる。圧力の測定は、バンド調整によって作出された制限の有効性および機能性の評価を可能にすることもできる。図示の実施の形態において、
図4に示すように、圧力測定装置はセンサーハウジング60内に配置された圧力センサー62の形をとっている。しかしながら、圧力測定装置は、埋め込み型部分の閉鎖流体圧回路内のどこにでも配置されることもでき、さまざまな例示的な場所および構成が2006年3月7日に出願され、参照して本明細書に組み入れる、“Non-Invasive Pressure Measurement In a Fluid Adjustable Restrictive Device”と題された、同一所有者の米国特許出願公報第2006/0211913号により詳細に開示されている。
【0026】
一般に、図示のセンサーハウジング60は、埋め込み型部分10a内の流体と流体連通する入口60aおよび出口60bを含む。すでに埋め込まれたカテーテル50は、カテーテル50を切断しかつあご付きコネクタ(またはクランプ、クリップ、接着剤、溶接等などの任意の他のコネクタ)をカテーテル50の切断された両端部に挿入することなどによって、センサーハウジング60に後付けされることもできる。センサー62は、ハウジング60内に配置されることもでき、また流体圧回路内の流体圧力変化に応答し、これらの圧力変化を使用可能なデータの形に変換するように構成されることもできる。以下にさらに説明するように、圧力検知システムはまた、マイクロコントローラ(例えば、プロセッサ)、TET/テレメトリーコイル、およびコンデンサを含むこともできる。随意に、圧力検知システムはさらに温度センサーを備えることもできる。マイクロコントローラ、TET/テレメトリーコイル、およびコンデンサは、回路基板を介してまたは任意の他の好適な構成部品(単数または複数)を介して、通信することもできる。TET/テレメトリーコイルとコンデンサは共同で、外部部分10bから電力を受信しかつ読取装置70にデータを送信するための同調タンク回路を形成することもできることは、認識されるであろう。その上、テレメトリー構成部品が何らかの支援なしに患者の外部のテレメトリー装置に届くことができない限り、そのような支援は任意の好適な数のリレー(図示せず)または他の装置によって提供されることもできる。
【0027】
米国ジョージア州、AtlantaのCardioMEMS社により提供される無線圧力センサーなどの、当該技術分野で知られているさまざまな圧力センサーを圧力センサー62として使用することもできるが、好適なMEMS圧力センサーは、非限定的に、米国ミシガン州、YpsilantiのIntegrated Sensing Systems社(ISSYS)および米国マサチューセッツ州、WalthamのRemon Medical Technologies社を含む任意の他の供給源から得ることもできる。1つの例示的なMEMS圧力センサーは、その開示内容が参照して例示目的のためにのみ本明細書に組み入れられる米国特許第6,855,115号に記載されている。当業者はまた、好適な圧力センサーが、非限定的に、容量式、圧電抵抗式、シリコンストレインゲージ、または超音波式(音響式)圧力センサー、ならびに圧力を測定できるさまざまな他の装置を含むこともできることを認識するであろう。
【0028】
図5は、食物摂取制限システム10の内部および外部部分10a、10bに含まれる構成部品の1つの実施の形態を図示する。
図5に示すように、外部部品10bは、内部部分10aに電力信号132を送信するための一次TETコイル130を含む。テレメトリーコイル144も内部部分10aにデータ信号を送信するために含まれる。一次TETコイル130とテレメトリーコイル144は結合してアンテナ、例えば読み取り装置70を形成する。例えばコントロールボックス90に配置される外部部分10bは、一次TETコイル130への電力の印加を制御するためのTET駆動回路134を含む。TET駆動回路134は、関連したメモリー138を有するマイクロプロセッサ136によって制御される。グラフィカルユーザーインターフェース140が、患者情報を入力し、データおよび医師の指示を表示し、および/またはデータおよび医師の指示を印刷するためにマイクロプロセッサ136に接続される。ユーザーインターフェース140を通じて、患者または臨床医などのユーザーは、医師に調整要求を送信することもでき、またその要求の理由を入力することもできる。加えて、ユーザーインターフェース140は、以下にさらに述べるように、患者が医師からの指示および/または警報を読み取り、これに応答するのを可能にすることもできる。
【0029】
外部部分10bはまた、埋め込まれたマイクロコントローラ65に問合せ命令を送信しかつ該コントローラから検知インピーダンスデータおよび検知圧力データを含む応答データを受信するための一次テレメトリー送受信器142を含む。一次送受信器142は、命令およびデータの信号を入力し、受信するためにマイクロプロセッサ136に電気的に接続される。一次送受信器142は、テレメトリーコイル144を選ばれたRF通信周波数で共振するように駆動する。共振回路は、マイクロコントローラ65に命令データを送信するダウンリンク交番磁界146を生成することもできる。代替的に、送受信器142は、内部部分10a内の二次TET/テレメトリーコイル114から送信されたテレメトリー信号を受信することもできる。受信データの任意のまたはすべての部分はマイクロプロセッサ136と関連したメモリー138に記憶されることもできる。電力供給装置150は、内部部分10a内の要素(単数または複数)に電力を供給するために、コントロールボックス90にエネルギーを供給することもできる。周囲圧力センサー152はマイクロプロセッサ136に接続される。マイクロプロセッサ136は、例えば気圧条件または高度の変動による気圧変動に対して受信圧力測定値を調整して、圧力測定値の精度を高めるために、周囲圧力センサー152からの信号を使用することもできる。
【0030】
図5はまた、構成部品を含む内部部分10aであって、該構成部品が、この実施の形態において、以下に述べるバンド20上に配される第1および第2の電極72、74を除いて、センサーハウジング60内に含まれる内部部分を示す。
図5に示すように、二次TET/テレメトリーコイル114は、外部アンテナから電力/通信信号132を受信する。二次コイル114は、誘導的に一次TETコイル130と連結されて埋め込み物に電力を供給するかまたは一次テレメトリーコイル144と連結されてデータを受送信する同調タンク回路を形成する。テレメトリー送受信器158は二次コイル114とのデータ交換を制御する。加えて、内部部分10aは、整流器/電力レギュレータ160、マイクロコントローラ65、マイクロコントローラ65と関連するメモリー162、温度センサー112、圧力センサー62、センサー電極72、74、および信号調節回路164を含む。埋め込まれた構成部品は、センサー62および/または電極72、74からのデータを(温度等による調整をしてまたはしないで)、アンテナ(一次TETコイル130およびテレメトリーコイル144)を介してコントロールボックス90に送信することもできる。データは、メモリー138に記憶され、周囲圧力に対して調整され、コントロールボックス90のディスプレイに示され、および/または患者から遠隔の場所の遠隔監視ステーションに、場合によりリアルタイムで、送信されることもできる。
【0031】
胃バンド20であって、該バンドの組織接触表面に配置(例えば、脂肪組織76と接触して)されたセンサー電極72、74を含む胃バンド20の1つの実施の形態を
図6に示す。一般に、電極72、74は、インピーダンス測定装置、例えばマイクロコントローラ65などのプロセッサ、に測定されたデータを(有線でまたは無線で)通信することもでき、該インピーダンス測定装置は概して電極72、74間のインピーダンスを測定することもできる。マイクロコントローラ65は、電極72、74から受信した任意のまたはすべてのデータをメモリー162に記憶することも、任意のまたはすべてのデータを分析することも、および/または外部装置、例えばコントロールボックス90に任意のまたはすべてのデータを読み取り装置70を介してテレメータ式に送信することもできる。電極72、74は、この図示の実施の形態において、バンド20の外表面に配置されているが、電極72、74は埋め込み部分10aのどこか違った場所に、バンド20の表面に配置されようがされまいが、配置されることもできる。例えば、電極72、74は、身体内に組織と接触するように配置された検知専用装置の一部として含まれることもできる。その上、電極72、74は、この実施の形態で、脂肪組織76と接触し、脂肪組織76のインピーダンスに関連したデータを収集するが、電極72、74は脂肪でない組織(好ましくは、しかし必ずではないが、患者の体内に形成された制限に隣接した位置の)と接触することもでき、そのような組織に関連した任意の検知インピーダンスを本明細書で述べるように取り扱うこともできる。
【0032】
電極72、74は、組織のインピーダンスを測定できる任意の材料から製作されることもできる。電極72、74は、ポリマー、生体適合性金属、および他の類似のタイプの材料などの、身体内で使用するのに適した任意の生体適合性材料から製作されることもできる。非限定的な材料の例は、銅、金、ステンレス鋼、チタン、銀、および白金−イリジウム(Pl-Ir)を含む。さらに、電極72、74は任意のサイズおよび形状を有することもできる。電極72、74の例は、ペースメーカーに広く使用され、ペースメーカー用に市販されている電極を含む。
【0033】
電極72、74を絶縁し、防水処理して、電極72、74の流体漏出、および起こりうる短絡を回避するために、コーティングを使用することもできる。コーティングは、身体内で使用するのに適し、電極72、74の機能と干渉しない任意の生体適合性材料から製作されることもできる。非限定的な例として、好適な材料は、ポリウレタン、シリコーン、溶剤型ポリマー溶液、および電極72、74に付着する任意の他のポリマーを含むこともできる。コーティングを施すための好適な技術は、吹付け塗布および浸漬塗布を含む。電極72、74は、異なったコーティングで別々に、または一度の塗布で一緒に塗布されることもでき、またバンド20の表面に配置する前にまたは後に塗布されることもできる。接着剤または任意の他の結合技術を使用して、バンド20に電極72、74を固着させてまたは着脱式に連結することもできる。
【0034】
2つの電極72、74がバンド20上に示されているが、任意の数の電極をバンド20に(および/または埋め込み部分10aの他の場所に)配置することもできる。バンド20が2つより多くの電極72、74を含めば、複数のインピーダンス測定値がこれらの電極のうちの異なった電極間で得られ、電極72、74からマイクロコントローラ65に通信され、マイクロコントローラ65によって分析され、および/またはマイクロコントローラ65から外部装置に通信されることもできる。
【0035】
電極72、74は、
図7に示すように、最初の一定の距離Dを置いて直線的に整列されることもできる。患者が体重を減少するにつれて、脂肪組織76はサイズが減少することもでき(脂肪組織76中の脂肪細胞が小さくなるにつれて)、それによって電極72、74を互いに引き寄せ(例えば、
図8に示すように、最初の距離Dよりも短い距離D2まで)、それに応じて電極72、74間のインピーダンスを変化させる。最初の一定の距離Dは、ゆえに、電極72、74が、患者が体重を減らすときに、ある距離だけ離れて止まる(例えば、互いに接触しない)のを可能にする。しかしながら、いくらかの実施の形態において、電極72、74間の距離は、例えば、バンド20の表面の異なった場所に電極72、74を移動させることにより、バンド20を異なった間隔の電極72、74を有するバンドと取り替えることにより、1つまたは複数の追加の電極を埋め込むことにより、位置を調整されることもできる。電極72、74間の距離が大きければ大きいほど、通例、電極電位は高くなる。2つより多くの電極72、74を包含する構成において、インピーダンス測定は隣接しない電極間で行うこともでき、それによって、距離Dが、いずれの電極の場所も物理的に変えることなしに、変更されるのを可能にする。代替的に、電極72、74間の静電容量の変化を、以下にさらに述べるように、電極72、74間の共鳴励起周波数の変化を測定することによって測定することもできる。
【0036】
使用時、電極72、74はデータを収集して測定信号をマイクロコントローラ65に送信することもできる。電極72、74は、この実施の形態におけるほぼ20Hzなどの任意の更新速度でテータを提供することもできる。そのような速度は、ほぼ50msごとにテレメトリー/TETモードサイクルの完了を提供することもできる。例えば、TET/テレメトリーコイル114は、センサーハウジング60に電力を供給するためにほぼ45msの間センサーハウジング60にTETを提供することもでき、その後でほぼ5msの間データのテレメトリーを提供することもできる。もちろん、任意の他の切り替えトポロジーを使用することもできる。例えば、組織76のインピーダンスは、通例、ゆっくり時間をかけて変化するので、インピーダンスデータの自動テレメトリーは、たとえマイクロコントローラ65が他の収集データをより速いまたは遅い速度で送信するとしても、遅い速度で、例えば一日に一回提供されることもできる。また、TETとテレメトリーの切り替えを不必要としてもよいことも認識されるであろう。例えば、センサーハウジング60が能動的であることもでき、その場合TETは必要とされない。別の例として、第2のコイル(図示せず)をセンサーハウジング60に追加してセンサーハウジング60内のコイルの一方をTET専用とし、他方をテレメトリー専用とすることもできる。
【0037】
電極72、74はさまざまなやり方でインピーダンスデータを収集することもできる。組織のインピーダンスを測定するのに使用することもできる例示的なインピーダンス測定システムは、参照して本明細書に組み入れる、同一所有者の米国特許第5,817,093号により詳細に開示されている。一般に、組織76は、電極72、74の周りに、および/または間に、電場を作出するために、電圧または電流励起源によって刺激されることもでき、またインピーダンスは、結果として生じる電流および電圧、|Z|=V
rms/I
rmsから計算されることもできる。この実施の形態において、1つの周波数(通例、神経筋刺激の範囲外の周波数)が使用されて組織76を励起するが、多数の周波数を使用することもでき、その場合、組織インピーダンスのスペクトル応答の収集が可能となることによって、インピーダンス測定の精度を高めることもできる。励起源は、埋め込み型部分10aに、または外部部分10bに(例えば、読み取り装置70を通じてコントロールボックス90により供給)含まれることもできる。いくらかの実施の形態において、電極72、74は、例えば、電極72、74が内部源によって励起されたときに自動的にデータを収集し、また、外部源によって励起されたときに要求に応じてデータを収集するのを可能にするために、埋め込み励起源および外部励起源の両方を使用して刺激されることもできる。自動的にデータを収集するためには、電極72、74には電力が供給(例えば、埋め込み型部分10aに含まれたバッテリまたはコンデンサなどの電力源から)されるべきである。
図9は一例の回路78を図示し、該回路は、組織76を励起し、電極72、74間で電流が測定されるのを可能にするのに使用されることもできるAC/DC電圧源80を含む。
図10は別の例の回路80を図示し、該回路は、組織76を励起し、電極72、74間で電圧が測定されるのを可能にするのに使用されることもできる電流源84を含む。さらに他の代替例および変形例は当業者によって認識されるであろう。
【0038】
電極72、74から検出データを受信すると、マイクロコントローラ65は、データの任意のまたはすべての部分をメモリー162に記憶することもできる。非限定的に、1つまたは複数の揮発性(例えば、SRAM等)、不揮発性(例えば、フラッシュ、ハードドライブ等)、または他のメモリーを含む任意のタイプのメモリーを、メモリー162に使用することもできる。さらに、メモリー162は、予め選ばれた情報または予め選ばれたタイプの情報を記憶するのに使用されることもできる。例えば、メモリー162は、最大限度の、最少限度の、および基準の測定データ(インピーダンス、圧力等に関する)、圧力測定値、患者の体重、患者が飲み込むときの蛍光透視画像または映像、および/または当業者によって認識されるであろう、メモリー162に記憶するのに好適な任意の他の情報を記憶することもできる。
【0039】
マイクロコントローラ65は、マイクロコントローラのプログラミング次第で、電極72、74から受信したデータを、さまざまなやり方で、任意に組合せてまたは別々に分析することもできる。通例、マイクロコントローラ65は、すべての個別の測定値を分析するのではなく、ある期間にわたって測定されたデータ値のシーケンスを分析し、それによって経時的な傾向の分析を可能にし、かつ、必ずしも連続的に入力データを分析しなくてもよいようにすることによって、資源の処理を節約する。マイクロコントローラ65は、しかしながら、個別のデータ測定値(および/またはある範囲のデータ)を無効データに関して評価することもでき、任意の無効データを破棄することを決定することもできる。さらに、マイクロコントローラ65は、受信したすべての検知データをメモリー162に記憶することもでき、その後でそのデータの任意の部分を任意の分析頻度で分析、例えば、“X”分ごとに、検出された圧力変化に対応する時々に、および外部装置から信号があると、記憶データを分析することもできる。マイクロコントローラ65は、外部装置に送信するために電極72、74から受信したすべての測定値を記憶することもできるが、測定値の抽出サンプルについてのみインピーダンスを算出することもできる。
【0040】
インピーダンスデータの分析は、例えば、電極72、74からのデータを使用してインピーダンスを測定することを含むこともできる。マイクロコントローラ65は、電極72、74から受信したいくらかのまたはすべての測定値からインピーダンスを推論することによって、例えば、電極72、74がマイクロコントローラ65に電圧データを送信するならば、2つの電極72、74間の電圧差を測定することによって、インピーダンスを測定することもできる。別の例として、マイクロコントローラ65は、電極72、74間で測定されたインピーダンスをある範囲のインピーダンス値と比較することによってデータを分析することもでき、それによって閉ループフィードバックシステムを形成する。マイクロコントローラ65は、各々のインピーダンス読み取り値が、通例正常なまたは基準のインピーダンスを表示する閾値インピーダンス値から変動しているか決定することもできる。マイクロコントローラ65が測定されたインピーダンス値(単数または複数)と比較するある範囲のインピーダンス値および/または閾値インピーダンス値は、通例、その患者における過去の実績に基づいて、患者の体内へのバンド20の埋め込みと同時にまたはその少し後に測ったインピーダンス読み取り値に基づいて、または、特にバンドが最近埋め込まれた患者に関しては、典型的な患者におけるこれらの値に基づいて、医師によりマイクロコントローラ65にプログラムされる。ある患者のためのある範囲のインピーダンス値および閾値インピーダンス値は、経時的に、例えば、患者が体重を増加させまたは減少させるにつれて、変化することもでき、また異なった患者は異なった範囲および閾値を有することもできる。インピーダンス読み取り値が閾値よりも大きいかまたは等しければ(または、閾値次第で閾値よりも低いかまたは等しければ)、あるいはインピーダンスがその範囲のインピーダンス値を外れれば、測定されたインピーダンスは、分析目的のために潜在的に重要な事象、例えば、バンド圧の変化、組織形態の変化、体重の変化、バンドのずれ、組織の侵食、電子回路のエラー等を表わすこともある。
【0041】
マイクロコントローラ65はまた、いずれかのデータがアラームまたは警報を作動させるかどうか決定することもできる。データはさまざまなやり方で警報を作動させることもでき、警報を作動させる1つまたは複数の条件はマイクロコントローラ65にプログラムされることもできる。そのような条件は、患者によって異なることもでき、特定の患者について、患者の治療計画が変化した場合や、患者が体重を増加させまたは減少させたときなどに、経時的に変化することもできる。例えば、マイクロコントローラ65がいずれかのインピーダンスデータがある範囲のインピーダンス値から外れていると、および/または閾値インピーダンス値よりも大きいまたは小さいと決定すれば、マイクロコントローラ65は、医師、患者、および/または任意の数の他の人々に警報を提供することもできる。それというのは、そのような範囲外のインピーダンス値は、考えられる内部問題、または患者の治療計画を調整する必要を指示する患者の身体的な変化(例えば、体重増加または減少)を表わすこともあるからである(例えば、バンド20内の流体容積を変えるなどの内部調整、あるいは患者に運動の量を変えるように忠告し、または患者の栄養計画を変えるなどの外部調整)。別の例として、マイクロコントローラ65は、ある期間にわたって測定されたインピーダンス値が実質的に一定であって、通例、電極72、74間の組織の量が実質的に変化しておらず、体重減少の平坦域を表わすものであることを決定することもできる。警報を作動して、そのような平坦域の通報を提供することは、例えば、患者の治療計画への任意の適切な変更(例えば、バンド20の圧力を調整するなどの内部調整、または患者に食べる量を減らすように忠告するなどの外部調整)を医師が決定するのを助けることもできる。
【0042】
別の例において、マイクロコントローラ65は、プロット線の変曲に関して、患者の体重に関連した収集データ(例えば、脂肪組織76のインピーダンス、連続したさまざまな時々における患者の体重、圧力データ、および患者の体重に関連したこれらのまたは他のデータの任意の組み合わせ)を分析することもできる。
図11は、患者の脂肪体の最少サイズまでの縮小を示す、そのようなプロット線900の一例を図示し、ここで患者の体重の変曲は、約体重192および時間9のところで発生している。(
図11の体重、時間、および変曲は例示にすぎない。)プロット線900の変曲は、脂肪組織76の最小化と、患者の治療計画を調整すべきこと(例えば、脂肪が失われた分バンド20をきつくするなどの内部調整)を示すこともある。いくらかの実施の形態において、マイクロコントローラ65は、一組のデータ値(例えば、
図11に示すような患者の体重)からプロット線900を生成することもでき、かつ、プロット線900の変曲を裏づけるために、1つまたは複数の追加の組のデータ値(例えば、圧力およびインピーダンスなどの検知データ)を使用することもできる。1つまたは複数の追加の組のデータ値によって変曲が裏づけられれば、マイクロコントローラ65は警報を作動させることもできる。
【0043】
さらに別の例において、マイクロコントローラ65は、測定されたインピーダンスが以前に測定されたインピーダンス、通例直前に測定されたインピーダンスから増加しているか、決定することもできる。増加したインピーダンスは、概して、電流がより長い通路に沿ってより多くの組織中を移動することになるので、より大きな電極72、74間の距離に対応する。インピーダンスの増加は、例えば、患者の体重増加(脂肪細胞サイズの増加)、または電極72、74間の脂肪組織76の形態の変化(例えば、組織の折り重なりまたは食物塊によってもたらされた電極72、74間のより多くの組織)によってもたらされることもできる。同様に、インピーダンスの減少は、例えば、患者の体重減少、または電極72、74間の組織の縮小によってもたらされることもできる。
図12は、制限システムの別の実施の形態を図示し、1つの組の電極1002および対向組の電極1004の間の正常なインピーダンス通路1000と、組織1008の折り重なりまたは食物塊のため変更された電極1002、1004間のインピーダンス通路1006とを示す。再び先に述べた実施の形態を参照すると、脂肪組織76の形態の変化は、通例、漸進的な体重増加と通例関連する漸近的な増加とは対照的に、突然のインピーダンス増加を生じさせるので、マイクロコントローラ65は突然のインピーダンス増加を検出するように構成されることもできる。組織形態の変化は、マイクロコントローラ65を用い、例えば、センサー62により収集された圧力データなどの1つまたは複数の追加データ値を分析することによって、非侵襲的に裏づけられることもできる。センサー62が突然のインピーダンス増加の時間に対応する圧力上昇を検出したら、マイクロコントローラ65は脂肪組織76が形態を変化させたと結論づけることもでき、それに応じて警報を作動させることもできる。
【0044】
マイクロコントローラ65は警報を、例えば、関連するデータを示し、警報の通報を作動させる信号を外部装置(例えば、コントロールボックス90)に通信することによって、提供することもできる。警報は以下のうち任意の1つまたは複数のものを含むこともできる。すなわち、電子メール、電話、テキストメッセージ、可聴信号、外部装置に表示されたメッセージ、または任意の他のタイプの警報。2つまたは3つ以上の警報を類似の状況にある多数の人々に提供することもできるが、警報は多数の人々に同時に提供されなくてもよい。警報のための条件および/または警報のタイプはまた、警報の受取人との関係で変えることもできる。例えば、医師に対する警報に関し、そのような警報は、電極72、74が調整不良であることを示す事象のときに提供される警報に限定されてもよい。例えば、患者がバンド20を正常な蠕動圧力に戻そうとして食物塊を飲み込んでも是正できなかった組織76の折り重なりのための調整不良である。患者に対する警報に関し、そのような警報は、患者が体重を減少させまたは増加させていることの表示のときに提供される警報などの、患者の活動に限定されてもよい。医師、患者、および/または別の人に向けて警報を送り出すこともできるさまざまな他の条件は、当業者によって理解されるであろう。警報のきっかけを検出するための他の好適なプロセス、ならびに警報を提供することもできるやり方は、当業者によって認識されるであろう。
【0045】
メモリー162に記憶されたデータは、外部装置に通信されることもできる。いくらかの実施の形態において、マイクロコントローラ65はデータを絶えず通信し(テレメトリー送受信器158および二次コイル114を介して)、このデータは、アンテナ(一次TETコイル130およびテレメトリーコイル144)などの適切な受信装置が該データに十分近づいた時にのみ受信される。いくらかの実施の形態において、メモリー162からのデータのダウンロードは、外部装置(例えば、読み取り装置70)がセンサーハウジング60にテレメータ式に電力を供給した時に、例えば、外部装置がセンサーハウジング60の近傍に入った時に、作動416されることもできる。外部装置は可動式であることも(例えば、振ってまたは別の方法でセンサーハウジング60の近傍に置かれるワンドまたは手持ち式ユニット)、または据え置き型であることもできる(たとえば、患者が近づくこともできるベッドわきの、机上設置型の、または車載型のボックス)。センサーハウジング60にテレメータ式に電力を供給することにより、ダウンロードの通信電力が外部部分10bによって供給されるので、内部部分10aの電力を節約することもできる。
【0046】
外部装置は、センサーハウジング60から受信したデータを記憶するように構成されることもできる。外部装置は、さらに、患者から遠隔の場所のベースユニットなどの別の外部装置にデータを通信するように構成されることもできる。外部装置(通例、コントロールボックス90、あるいは警報を表示しまたは別の方法で提供する機能を有する他の装置)は、内部部分10aが警報を表わす信号を通信したか検出することもでき、適宜警報を提供することもできる(例えば、警告通報を表示する、電子メールメッセージを送る等)。
【0047】
図13に示す1つの実施の形態のプロセスで図示するように、使用時、センサーは、概して、バンド20によって形成された制限に関連したデータを収集することもでき、マイクロコントローラ65は、検知データが基準のまたは典型的なデータから変動しているか決定するために、検知データを分析することもできる。マイクロコントローラ65はまた、コントロールボックス90に(例えば、読み取り装置70を通じて)その変動を示す警報を提供することもでき、コントロールボックス90はこの変動を、例えばこの警報を表示(例えば、ユーザーインターフェース140を使用して)することによって、ユーザーに提供することもできる。そのようなデータ変動の検出および通知は、患者、医師、および/または任意の他のユーザーに、任意の望ましくない検知データを是正するための考えられる解決策を含むバンド20の有効性の評価を提供することもでき、それによってバンドの機能性の改善、問題が悪化しまたは患者の意気込みに悪影響を及ぼす前での問題への適時の(場合により、リアルタイムの)注意喚起、および/または他の診断または治療上の利点を可能にする。
【0048】
図13に示すプロセスを、インピーダンスの分析および
図1A〜8に含まれる要素に関連して述べるが、当業者は、このプロセスがより多くのまたは少ない要素を、再編成されてまたはされずに、含むように修正されることもでき、また、このプロセスがシステム10で、または別の、他の類似の要素を有する類似のシステムで実行されることもできることを理解するであろう。電極72、74は、この実施の形態では脂肪組織76のインピーダンスを測定するが、本明細書で述べるように、任意の組織インピーダンスを取り扱うこともできる。この実施の形態ではマイクロコントローラ65が指示を処理するが、システムのために指示を処理するように構成された任意のプロセッサ(例えば、中央処理ユニット、マイクロプロセッサ、状態機械、特定用途向け集積回路(ASICs)、アナログコンピュータ、光またはフォトニックコンピュータ、論理回路等)を使用することもできる。さらに、センサー62はこの図示の実施の形態では流体圧力を測定するが、本明細書で述べるように、バンド20に関連した任意の検知された圧力データを取り扱うこともできる。
【0049】
電極72、74は組織76のインピーダンスに関連したデータを収集1100することもできる。電場が電極72、74の周りに印加されることもでき、そのため脂肪組織76のインピーダンスを電極72、74で測定することもできる。電場は、電極72、74に時間と共に変化する信号、たとえば交流電流を供給することもできるセンサーハウジング60内に(例えば、マイクロコントローラ65と同じ基板上に)配置された励起源を介してなど、任意のやり方で印加されることもできる。電極72、74はマイクロコントローラ65に収集データを送信1102することもできる。検知データを受信すると、マイクロコントローラ65は、上述のように、データを記憶1104することも、データを分析1106することも、かつ、必要ならば、警報を作動1108することもできる。
【0050】
上述のように、圧力履歴(例えば、センサー62によって収集された圧力データ)、インピーダンス履歴(例えば、電極72、74によって収集されたインピーダンスデータ)、および/または他のデータは、ある指定された期間にわたる患者の治療および/または内部部分10aに含まれた要素の動作を人が物理的に評価しおよび/または電子的に評価するのを可能にするために、コントロールボックス90(および/または患者の近くにまたは遠隔に位置づけられた他のユニット)にアップロードされることもできる。
図14は、ある期間にわたるインピーダンス測定値、圧力測定値、および/または任意の他のデータを記憶するための外部記憶機構として使用することもできる外部装置、すなわちデータロガー270の1つの実施の形態を図示する。データロガー270は、上述の着脱式に取り付けられた読み取り装置70として機能することもできる。この例において、データロガー270は、患者の外部でベルト274に装着された装着型のパックであって、データロガー270が通信相手としてもよい要素(単数または複数)が患者の体内で埋め込まれる領域(単数または複数)の通信範囲の上に、または内に、配されるパックを含む。代替的に、データロガー270は、注入ポート30が患者の胸骨上に埋め込まれかつポート30が圧力検知装置を含むときなどに、装置270’によって示すように、患者の首の周りに装着されることもできる。別の実施の形態において、データロガー270はまた患者の体内に埋め込まれる。
【0051】
図14に示すように、データロガー270は、内部部分10aに隣接して位置するように患者が装着することもできるTETコイル285とテレメトリーコイル272とを含む。TETコイル285は埋め込み物に電力を供給することもでき、テレメトリーコイル272は、埋め込まれた部分10aの二次テレメトリーコイル114を介して埋め込み物に問い合わせることもでき、かつ圧力測定値およびインピーダンス測定値を含むデータ信号を受信することもできる。別の実施の形態において、TETコイル285とテレメトリーコイル272は、単一のコイルに統合されて、任意の好適な持続期間の間任意の好適な割合でTETとテレメトリーの機能を交互に行うこともできる。
【0052】
組織のインピーダンスは、繰り返し測定されることも、規則的な間隔で測定されることも、マイクロコントローラ65から信号を受け取り次第測定されることも、および/または当業者によって理解される任意の他の間隔で測定されることもできる。インピーダンス測定値は、同様に、インピーダンスを監視するのに十分な任意の更新速度でデータロガー270に送信されることもできる。
【0053】
バンド20内の圧力は、バンド20に対する蠕動パルスを測定するのに十分な更新速度で、繰返し検知しデータロガー270に送信することもできる。通例、この更新速度は毎秒10〜20回の圧力測定の範囲であるが、任意の更新範囲を使用することもできる。データロガー270は、通例、覚醒期間中に装着されて、患者の食事および日常の作業中の圧力変動を記録する。一日の終りに、または別の設定された時間帯に、データロガー270を取り外すこともでき、記録された圧力データを外部メモリー138にダウンロードすることもできる。圧力履歴は、その後の通信セッション時にメモリー138から1つまたは複数の通信リンクを通じて遠隔のユニットにアップロードされることもできる。代替的に、圧力データは、1つまたは複数の通信リンクを使用して、データロガー270から直接遠隔のユニットにアップロードされることもできる。通信リンクは、高速ケーブルまたはダイアルアップ接続を利用するウェブベースのシステム、公衆電話線、無線RFネットワーク、ブルートゥース、ウルトラワイドバンド(UWB)、人工衛星、T1線、あるいは遠隔の場所間でデータを送信するのに好適な任意の他のタイプの通信媒体、を含むデータ送信媒体の任意の1個、あるいは2つまたは3つ以上の組合せを含むこともできる。データロガー270は、データロガー270からデータ通信を受信しかつ受信したデータを遠隔ユニットに送信するように構成される別の装置、例えばドッキングステーションに合体するように構成されることもできる。
【0054】
図15はデータロガー270をより詳細に示す。
図15に示すように、データロガー270は、内部部分10aとのテレメトリー通信を制御するためのマイクロプロセッサ276を含む。マイクロプロセッサ276は、内部部分10aからのデータを記憶するためのメモリー280に接続されている。この実施の形態において、メモリー280は、40MBのSRAMを含み、100時間のタイムスタンプされた圧力データを記憶するように構成されるが、任意の他のタイプの記憶装置を使用することもできる。メモリー280は、任意の量のおよび任意のタイプのデータを記憶することもできる。非限定的な例として、非限定的にフラッシュメモリー、ハードドライブメモリー等を含む、任意の他のタイプの揮発性メモリーまたは任意のタイプの不揮発性メモリーを使用することもできる。この例におけるデータロガー270が動作中に、データは、マイクロプロセッサ276によって制御された指定のデータ速度で読み取られ、メモリー280に記憶されることもできる。
【0055】
マイクロプロセッサ276は、電力供給装置282によって通電されることもできる。1つの実施の形態において、電力供給装置282は再充電式バッテリーなどの再充電式電池(図示せず)を含む。いくらかの実施の形態において、再充電式電池は取り外し可能であり、再充電ユニットを使用して再充電することもでき、かつ消耗した電池を再充電する間に別の再充電式電池と交換することもできる。他の実施の形態において、再充電式電池は再充電アダプターをデータロガー270と壁ユニットに差し込むことによって再充電されることもできる。さらに別の実施の形態において、再充電式電池は無線再充電ユニットによって無線で再充電されることもできる。なお別の実施の形態において、電力供給装置282は超コンデンサを含み、該コンデンサも再充電されることもできる。もちろん、任意の他のタイプの電力供給装置を使用することもできる。
【0056】
圧力を記録するために、マイクロプロセッサ276は、最初に電力信号をTET駆動回路283およびTETコイル285を介して内部部分10aに送信することもできる。電力信号を送信した後に、マイクロプロセッサ276は、テレメトリー送受信器284とテレメトリーコイル272を介して内部部分10aに問合せ信号を送信することもできる。問合せ信号は、テレメトリーコイル114によってインターセプトされ、マイクロコントローラ65に送信されることもできる。マイクロコントローラ65は、センサー72、74からのインピーダンス読み取り値などの応答データ信号を、またはセンサー62からの応答の、随意に温度調整された圧力読み取り値を、送受信器158および二次テレメトリーコイル114を介して送ることもできる。データ信号はテレメトリーコイル272を通じて受信されることもでき、送受信器284によってマイクロプロセッサ276に向けて送られることもできる。マイクロプロセッサ276は、そのデータを記憶して次の問合せ要求を起動することもできる。当てはまる場合には、マイクロプロセッサ276はまた、マイクロコントローラ65によって特定された警報に、視覚警報(例えば、データロガー270上のライトを点滅させる、ユーザーインターフェース292にメッセージを表示する、等)および/または可聴警報などで応答することもできる。ユーザーインターフェース292は、非限定的に、スピーカー、LED、LCDディスプレイ、オン/オフスイッチ、等を含む任意の数のおよびタイプの機能を含むこともできる。いくらかの実施の形態において、ユーザーインターフェース292は、患者に出力のみを提供するように構成され、患者がデータロガー270に入力を行うのを許容しない。ユーザーインターフェース292は、したがって、LEDであって、点灯された時に電力供給装置282が十分に充電されていること示すLEDと、別の、異なった色の、電力供給装置282の再充電が必要なことを示すLEDとを含むが、そのような電力表示は、電力残量が低くなると明るくなる1つのライト、可聴警報、電子メール警報等などの任意のタイプのおよび任意の組合せの表示を使用して示すこともできる。他の実施の形態において、ユーザーインターフェース292は、患者がデータロガー270に入力できるようにすることもでき、それに応じて任意の好適な構成部品および機能を含むこともできる。
【0057】
データの測定と記録が済んだら、データロガー270は患者からおよび/またはベルト274から取り外すこともでき、記録されたデータはコントロールボックス90(および/または任意の他の外部装置)にダウンロードされることもできる。データロガー270は、通信リンクを使用して直接遠隔のベースユニットにデータを送信するためのモデム286を含むこともできる。例えば、患者は、電話線(または他の通信リンク)にモデム286を接続し、医師のモデムをダイアルし(必要ならば)、かつユーザーインターフェース292の“送る”ボタンを選ぶこともできる。一たび接続されたら、マイクロプロセッサ276は、記憶された圧力履歴を遠隔ユニットに含まれるマイクロプロセッサに電話線を通じて送信することもできる。代替的に、データロガー270は、コントロールボックス90にロガー270を接続するためのUSBポート290を含むこともできる。ロガーのUSBポート290はコントロールボックス90に含まれるUSBポートに接続されることもでき、かつ、コントロールボックス90内のメモリー138にデータをダウンロードするため、“送る”スイッチを起動することもできる。データがダウンロードされた後に、ロガー270はユーザーインターフェース292を通じてオフにされることも、あるいは連続した測定のためにリセットされて患者におよび/またはベルト274に戻されることもできる。
【0058】
代替的な実施の形態のデータロギングシステム300を
図16に示す。この例では、データロギングシステム300は、コイルヘッド354とデータロガー370を含む。コイルヘッド354とデータロガー370は、着脱式ケーブル365を介して通信する。非限定的に無線送信/受信システムを含む任意の1つまたは複数の好適な代替的な通信リンクをケーブル356の代りに使用することもできる。図示の実施の形態において、コイルヘッド354は患者の首の周りに装着され、全体として注入ポート30の上にかつセンサーハウジング60の通信範囲内に配されている。データロガー370は患者のウエストの周りのベルト274に装着されている。もちろん、これらのそれぞれの場所は単に例示であり、コイルヘッド354とデータロガー370のいずれかまたは両方を他の場所に配することもできる。非限定的な例として、注入ポート30が患者の腹部に埋め込まれるときは、コイルヘッド354はベルト274に装着することもできる。コイルヘッド354とデータロガー370は、説明のためにのみ
図16において単純なブロックとして表されており、コイルヘッド354またはデータロガー370のいずれも、さまざまな形状、サイズ、および構成で設けられることもできる。
【0059】
データロギングシステム300の例示的な構成部品を
図17に示す。図示のように、データロガー370は、マイクロプロセッサ276、メモリー280、電力供給装置282、USBポート290、およびユーザーインターフェース292を含んでいる。コイルヘッド354は、TET駆動回路283、テレメトリー送受信器284、TETコイル285、およびテレメトリーコイル272を含んでいる。TET駆動回路283は、電力供給装置282からケーブル356を介して電力を受信するように構成されている。TET駆動回路283は、さらに、マイクロプロセッサ276からケーブル356を介して信号を受信するように構成されている。テレメトリー送受信器284は、ケーブル356を介して、マイクロプロセッサ276から信号を受信し、マイクロプロセッサ276に信号を送信するように構成されている。別の実施の形態において、テレメトリー送受信器284はマイクロプロセッサ276に信号を送信するようにのみ構成される。
図15を参照した上述の構成部品の説明はまた、
図17に示す構成部品に当てはめられることもできる。
図17に図示する実施の形態において、コイルヘッド354とデータロガー370は、データロガー270(上述の)を含む構成部品を2つの物理的に別のユニットに分離したものと見ることもできる。
図17に示す構成部品のいずれも、ならびにそれらの関係、機能等も任意の好適なやり方で変更することもできることは、当業者によって認識されるであろう。
【0060】
本例において、コイルヘッド354は、上述のアンテナ(一次TETコイル130およびテレメトリーコイル144)に類似して構成され、また類似したやり方で機能する。コイルヘッド354のTETコイル285は、注入ポート30に電力を供給するように構成される。もちろん、TETコイル285から電力を受信するように構成される任意の他の装置(例えば、ポンプ等)が患者の体内に埋め込まれる限り、TETコイル285はまた、そのような装置に電力を供給することもできる。TETコイル285によって供給される電力は、TET駆動回路283により、かつ該駆動回路に調整されてTETコイル285に供給されることもでき、TET駆動回路自体は電力供給装置282からケーブル356を介して電力を受信することもできる。TET駆動回路283に提供されるそのような電力は、ケーブル356を介してマイクロプロセッサ276によって調整されることもできる。加えて、または代替的に、マイクロプロセッサ276は、TET駆動回路283がTETコイル285に電力を供給するやり方を調整することもできる。本例はTETコイル285を通じたRF信号方式の使用を考えるが、任意の他のタイプの電力供給技術、ならびに代替的な電力伝達器を使用することもできる。これらの構成部品の他の好適な構成および相互関係、ならびにこれらの構成部品が動作する代替的なやり方は、当業者によって認識されるであろう。
【0061】
コイルヘッド354のテレメトリーコイル272は、コイル114から信号を受信するように構成され、該信号には、システム10におけるインピーダンス(例えば、脂肪組織のインピーダンス、胃組織のインピーダンス、食道組織のインピーダンス等)を表示する信号、埋め込まれたバンドシステム内の圧力(例えば、注入ポート30内の、カテーテル50内の、および/または調整可能なバンド20内の流体圧力、すなわち圧力センサー62を使用して取得される圧力、等)を表示する信号、温度を表示する信号、および/または任意の他の源からの任意の他のタイプの情報を表す任意の他のタイプの信号が含まれる。テレメトリーコイル272によって受信された信号はテレメトリー送受信器284に通信されることもでき、該送受信器はそのような信号をマイクロプロセッサ276にケーブル356を介して通信することもできる。テレメトリー送受信器284は、マイクロプロセッサ276に信号を通信する前に、テレメトリーコイル272から受信した信号の任意の適切な変換または処理を行うこともできる。これらの構成部品の他の好適な構成および相互関係、ならびにこれらの構成部品が動作する代替的なやり方は、当業者によって認識されるであろう。また、構成部品が組み合わされてもよいことも認識されるであろう。非限定的な例として、TETコイル285とテレメトリーコイル272は、単一のコイルに統合されて、任意の好適な持続期間の間任意の好適な割合でTETとテレメトリーの機能を交互に行うこともできる。加えて、本例はテレメトリーコイル272を通じたRF信号方式の使用を考えるが、任意の他のタイプの伝達技術(例えば、超音波、磁気等)、ならびにコイル以外の代替的な伝達器を使用することもできることは認識されるであろう。
【0062】
1つの例示的な使用法において、患者はコイルヘッド354およびデータロガー370を一日中装着して、メモリー280にデータを記録する。夜に、患者はコイルヘッド354からデータロガー370を切り離して、ドッキングステーション、例えばコントロールボックス90にデータロガー370を連結することもできる。データロガー370とコントロールボックス90が連結されている間、コントロールボックス90はデータロガー370から受信したデータを遠隔のユニットに送信することもできる。電力供給装置282が再充電式電池を含んでいる限り、コントロールボックス90は、データロガー370がコントロールボックス90と連結されている間、電池を再充電することもできる。しかしながら、患者はデータロガー370をコントロールボックス90と連結するために必ずしもデータロガー370をコイルヘッド354から切り離す必要はない。その上、インピーダンスなどのデータおよび圧力測定値は、日中に記録することに加えて、またはその代替として、夜間にメモリー280に記録されることもでき、またデータは一日24時間記録されることもできる。このようにして、測定および記録のタイミングは昼間のみに限定される必要はない。
【0063】
上述のように、データロガー370は、制限システム内のインピーダンスに、および圧力に関連するデータを受信し、記憶し、および通信することもできる。しかしながら、データロガー370は、さまざまな他のタイプのデータを受信し、記憶し、および/または通信することもできる。非限定的な例として、データロガー370はまた、温度、EKG測定、患者のものを食べる頻度、患者が食べた食事の量、患者が行った歩行の量、等に関連するデータを受信し、処理し、記憶し、および/または通信することもできる。ゆえに、当業者は、データロガー370が、受信したデータを処理して、コントロールボックス90に通信するための追加のデータを作成するように構成されることもできることを認識するであろう。例えば、データロガー370は、コイルヘッド354を介して取得したインピーダンスデータを処理して、患者が減らした体重を表示するデータを作成することも、また、コイルヘッド354を介して取得した圧力データを処理して、患者のものを食べる頻度を表示するデータを作成することもできる。データロガー370が圧力でない、インピーダンスでないデータを取得するために追加の構成部品を含むこともできることを当業者は認識するであろう。例えば、データロガー370は、患者が行った歩行の量に関連するデータを取得するために、歩数計または加速度計を含むこともできる。そのような追加の構成部品によって取得されたデータは、メモリー280に記憶されることもでき、かつ上述のやり方と類似のやり方でコントロールボックス90に通信されることもできる。データロガー370はまた、さまざまな条件が圧力に及ぼす影響を説明するために、内部圧力測定値と共に計算に入れられるデータを取得するための構成部品を含むこともできる。例えば、データロガー370は気圧を測定するための気圧計を含むこともできる。いくらかの実施の形態において、データロガー370は、患者が方向づけられている角度(例えば、立っている、横になっている等)を決定するための傾斜計または類似の装置を含んでおり、この角度を、患者の方向づけによってもたらされる静水圧効果を説明するために、圧力データに織り込むこともできる。代替的に、圧力でないデータを取得するための傾斜計または他の装置は、データロガー370から物理的に離す(例えば、埋め込む)こともできる。さらに他のタイプのデータ、そのようなデータの取得方法、およびそのようなデータの使用方法は当業者によって認識されるであろう。
【0064】
当業者はまた、本明細書に記載した1つまたは複数の実施の形態が、ヘルスケア提供者などが、患者に対する食事の忠告を特定し、仕立て、および/または処方するために、インピーダンスおよび/または圧力のデータをフィードバック機構として使用するのを可能にすることもできる、ことを認識するであろう。そのようなフィードバック機構は、多数のやり方でデータを提供することも、または使用されることもできる。例えば、圧力フィードバックは、患者が特定の量の食物を飲み込む時に得ることもでき、そのような圧力フィードバックに基づいて、患者にもっと少ない量、もっと多い量、またはテスト量と等しい量を食べるように忠告しまたは教えることもできる。もちろん、そのように処方された食物の量は、患者が処方された量の食物を飲み込む時に得られる圧力フィードバックを評価することによって、テストされることもでき、食物量の処方を反復を通じて洗練してもよい。別の例として、脂肪組織のインピーダンス測定値は、脂肪体サイズと、患者の体重減少プロフィールまたは体重減少速度などの1つまたは複数の患者の特質とを相関させるために、使用されることもできる。さらに別の例として、患者は一人前の分量と共に圧力フィードバックに基づいて、および/または任意の他のパラメータに基づいて、好きな食べ物が適切かどうかテストすることもできる。また、当業者は、連続的なインピーダンスデータおよび/または圧力データの監視が、一人前の分量、食物の粘度(例えば、流動食対固形食)、ものを食べる頻度、および/または他の患者の活動を監視するために、その場所でおよび/または遠隔で行うこともできることを認識するであろう。
【0065】
当業者は、本発明が従来の内視鏡器具および開放手術器具に、ならびにロボット支援手術に適用できることを認識するであろう。
【0066】
本明細書に開示した装置は、1回の使用後に廃棄されるように設計されることもでき、または多数回使用されるように設計されることもできる。どちらの場合でも、しかしながら、この装置は少なくとも1回の使用後に再使用のために再調節されることもできる。再調節は、装置の分解ステップ、それに続く特定の部品の洗浄または交換ステップ、およびその後の再組み立てステップの任意の組合せを含むこともできる。特に、装置を分解することもでき、装置の任意の数の特定の部品またはパーツを任意の組合せで選択的に交換しまたは取り外すこともできる。特定のパーツを洗浄および/または交換し次第、再調節施設で、または外科処置の直前に外科チームによって、その後の使用のために装置を再組み立てすることもできる。当業者は、装置の再調節は、分解、洗浄/交換、および再組み立てのためのさまざまな技術を利用することもできることを認識するであろう。そのような技術の使用、およびその結果の再調節装置は、すべて本願の範囲内のものである。
【0067】
好ましくは、本明細書に記載した発明は手術前に処理される。まず、新品のまたは使用された器具を用意し、必要ならば洗浄する。器具はその後で滅菌されることもできる。1つの滅菌技術において、器具はプラスチックまたはタイベックの袋などの密閉容器に入れられる。容器と器具は、その後で、ガンマ線、X線、または高エネルギー電子などの、容器を貫くこともできる放射線場に入れられる。放射線は器具の上のおよび容器内のバクテリアを死滅させる。滅菌された器具はその後で無菌容器に保管される。封止容器は該容器が医療施設内で開封されるまで器具を無菌状態に維持する。
【0068】
装置は滅菌されることは好ましい。滅菌は、ベータ線またはガンマ線、エチレンオキシド、蒸気を含む、当業者に知られている任意の数のやり方で行うこともできる。
【0069】
当業者は、上述の実施の形態に基づき本発明のさらなる特徴および利点を認識するであろう。よって、本発明は、添付の特許請求の範囲によって示されている場合を除き、特に図示しまた記載したものによって限定されるべきでない。本明細書で引用したすべての刊行物および参考文献は、参照してその全体が本明細書に明示的に組み入れられる。
【0070】
〔実施の態様〕
(1) 患者の体内に制限を形成するための制限システムにおいて、
患者の体内に制限を形成するように構成された埋め込み型制限装置と、
前記埋め込み型制限装置の組織接触表面に配置された少なくとも2つのセンサー電極と、
前記センサー電極と電子的に通信し、かつ前記センサー電極間のインピーダンスを測定するように構成されたインピーダンス測定装置と、
を備える、システム。
(2) 実施態様1に記載のシステムにおいて、
前記埋め込み型制限装置は、調整可能な胃バンドを備える、システム。
(3) 実施態様1に記載のシステムにおいて、
前記センサー電極間で測定されたインピーダンスをある範囲のインピーダンス値と比較するように構成されたプロセッサをさらに備える、システム。
(4) 実施態様1に記載のシステムにおいて、
前記センサー電極は、前記埋め込み型制限装置によって形成された前記制限に隣接した組織と接触するように構成され、前記インピーダンス測定装置は、前記組織のインピーダンスを測定するように構成されている、システム。
【0071】
(5) 実施態様1に記載のシステムにおいて、
前記インピーダンス測定装置が閾値インピーダンス値と異なる前記センサー電極間のインピーダンスを測定すれば、是正措置に関する信号を送るように構成されたプロセッサをさらに備える、システム。
(6) 実施態様5に記載のシステムにおいて、
前記閾値インピーダンス値は、前記埋め込み型制限装置によって形成された前記制限に隣接した組織の基準量を反映する、システム。
(7) 実施態様5に記載のシステムにおいて、
閾値インピーダンス値と異なる前記電極間の測定されたインピーダンス値は、患者の体重減少または患者の体重増加を示す、システム。
(8) 実施態様5に記載のシステムにおいて、
前記プロセッサは、ある期間にわたって収集された測定されたインピーダンス値が各々実質的に一定の値であって体重減少の平坦域を示しているか決定し、かつ、そうであれば、アラーム信号を送るように構成されている、システム。
(9) 実施態様5に記載のシステムにおいて、
前記是正措置は、前記埋め込み型制限装置内の圧力の変更を提案することを含む、システム。
(10) 実施態様5に記載のシステムにおいて、
前記是正措置は、前記患者の治療計画の修正を提案することを含む、システム。
【0072】
(11) 患者の体内に制限を形成するための制限システムにおいて、
患者の体内に制限を形成するように構成された埋め込み型制限装置と連絡し、かつ前記患者の体重に関連したデータを収集するように構成された埋め込み型測定装置と、
前記収集されたデータが前記患者の前記体重に関して変曲(inflection)を示していれば、前記埋め込み型制限装置に関する前記患者の治療の調整に関する信号を送るように構成されたコントローラと、
を備える、システム。
(12) 実施態様11に記載のシステムにおいて、
前記測定装置は、前記埋め込み型制限装置の組織接触表面に配置された少なくとも2つのセンサー電極と、前記センサー電極と電子的に通信し、かつ前記センサー電極間のインピーダンスを測定するように構成されたインピーダンス測定装置と、を含む、システム。
(13) 実施態様12に記載のシステムにおいて、
前記センサー電極は、前記埋め込み型制限装置によって形成された前記制限に隣接した組織と接触するように構成され、前記インピーダンス測定装置は、前記組織のインピーダンスを測定するように構成される、システム。
(14) 実施態様13に記載のシステムにおいて、
前記コントローラは、前記測定されたインピーダンスがあるインピーダンス値の範囲内に入っていれば、前記埋め込み型制限装置内の流体容積の変更に関する信号を送るように構成されている、システム。
(15) 実施態様11に記載のシステムにおいて、
前記コントローラは、前記患者の脂肪体の最小化を表わすプロット線の変曲に関して前記収集されたデータを分析するように構成されている、システム。
【0073】
(16) 実施態様11に記載のシステムにおいて、
前記埋め込み型制限装置内の流体の圧力を検知し、かつ前記コントローラに圧力データを通信するように構成された圧力センサーをさらに備え、前記コントローラは、前記圧力データを使用して前記患者の前記体重に関する変曲を裏づけ、かつ、そのように裏づけられれば、前記患者の治療の調整に関する信号を送るように構成されている、システム。
(17) 実施態様11に記載のシステムにおいて、
前記患者の治療の調整に関する前記信号は、前記埋め込み型制限装置内の流体の量を調整するための信号を含む、システム。
(18) 実施態様11に記載のシステムにおいて、
前記患者の治療の調整に関する前記信号は、前記患者の治療計画を修正するための信号を含む、システム。
(19) 患者の体重減少を制御する方法において、
患者の体内に埋め込まれるように構成され、かつ組織接触表面に少なくとも2つの電極を有する制限装置を準備することと、
前記制限装置によって囲まれた組織のインピーダンスをインピーダンスセンサーで測定することと、
を備える、方法。
(20) 実施態様19に記載の方法において、
前記制限装置の組織接触表面に前記インピーダンスセンサーを連結することをさらに備える、方法。
【0074】
(21) 実施態様19に記載の方法において、
前記測定されたインピーダンスが閾値インピーダンス値と異なっているか、またはあるインピーダンス値の範囲から外れていれば、アラーム信号を作動させることをさらに備える、方法。
(22) 実施態様21に記載の方法において、
前記アラーム信号を作動させることは、前記測定されたインピーダンスが前記閾値インピーダンス値と異なっているか、またはあるインピーダンス値の範囲から外れている、ことを示す通報を表示するように構成された外部ディスプレイ装置に信号を送信することを含む、方法。
(23) 実施態様21に記載の方法において、
アラーム信号が作動されれば、前記制限装置内の流体の量を調整することをさらに備える、方法。
(24) 実施態様19に記載の方法において、
ある期間にわたって収集された測定されたインピーダンス値が各々実質的に一定の値であって体重減少の平坦域を示していれば、アラーム信号を作動させることをさらに備える、方法。
(25) 実施態様19に記載の方法において、
前記組織の前記測定されたインピーダンスと、前記組織の直前に測定されたインピーダンスとの差異が、食物塊、および前記2つの電極間の組織の折り重なりの少なくとも1つを示す、方法。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【
図1A】食物摂取制限システムの実施の形態の略図である。
【
図1B】
図1Aの食物摂取制限システムの埋め込み型部分の実施の形態の斜視図である。
【
図2B】患者の胃−食道接合部の周りに適用された
図2Aの食物摂取制限装置の略図である。
【
図3】
図1Aの注入ポートハウジングの実施の形態の斜視図である。
【
図4】
図1Aのセンサーハウジングの実施の形態の斜視図である。
【
図5】
図1Aの食物摂取制限装置の内部および外部の構成部品の実施の形態を示すブロック図である。
【
図6】
図1Aの食物摂取制限装置に連結された電極の実施の形態の略図である。
【
図7】
図6の電極および食物制限装置の部分図である。
【
図8】
図6の電極および食物制限装置の別の部分図である。
【
図10】電流励起源を含む回路の実施の形態である。
【
図11】測定された患者の体重減少の変曲の実施の形態のグラフ図である。
【
図12】組織と接触している電極の実施の形態の略図である。
【
図13】
図6の電極によって収集されたデータのデータ分析プロトコルの実施の形態を示すフロー図である。
【
図14】
図1Aの食物摂取制限装置に関連した圧力測定値を記録するデータロガーの実施の形態の略図である。
【
図15】
図14のデータロガーの構成部品の実施の形態を示すブロック図である。
【
図16】
図1Aの食物摂取制限装置に関連した圧力測定値を記録するデータロギングシステムの実施の形態の略図である。
【
図17】
図16のデータロギングシステムの構成部品の実施の形態を示すブロック図である。