(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
バッテリー電源に接続され電力の供給を許可又は遮断させるメインリレーと、前記メインリレーに接続された第1のリレー及び前記メインリレーに接続された第2のリレーを具備し互いのリレーの切換動作によって前記第1のリレーから出力される第1出力電圧及び前記第2のリレーから出力される第2出力電圧をそれぞれ複数段階に制御させるリレー回路と、前記第1のリレー及び前記第2のリレーの双方に接続され前記第1出力電圧及び前記第2出力電圧に応じて駆動制御される制御モータと、前記第1出力電圧及び前記第2出力電圧に基づいて検出信号を出力する電圧検出部と、前記検出信号に基づいて前記メインリレーを制御させる制御回路と、を備え、
前記リレー回路は、前記第1出力電圧及び前記第2出力電圧が共に高値とされる第1の切換状態と、前記第1出力電圧及び前記第2出力電圧が共に低値とされる第2の切換状態と、前記制御モータに通電電流が流れたときに前記第1出力電圧及び前記第2出力電圧の間で電位差を生じさせる第3の切換状態と、を実現させ、
前記電圧検出部は、分圧抵抗から成り、当該分圧抵抗のうち一端が前記第1のリレーに設けられた第1出力端子に接続され、他端が前記第2のリレーに設けられた第2出力端子に接続され、分圧点が前記制御回路に接続されており、
前記検出信号は、前記分圧点から出力され、前記第1のリレー及び前記第2のリレーの切換動作に応じて当該検出信号の電圧値が変動する信号であって、
前記制御回路は、前記検出信号の電圧値に基づいて前記制御モータに電流が流れているか否かを認識する負荷導通状態認識手段を備え、
前記負荷導通状態認識手段は、前記第3の切換状態の際に出力される検出信号の電圧値より高い電圧値を示す高値側閾値電圧情報と、前記第3の切換状態の際に出力される検出信号の電圧値より低い電圧値を示す低値側閾値電圧情報と、の情報を備え、前記電圧検出部から出力される検出信号の電圧値情報が前記低値側閾値電圧情報から前記高値側閾値電圧情報までの範囲に含まれる場合に導通状態と判定し、前記電圧検出部から出力される検出信号の電圧値が前記低値側閾値電圧情報より低く又は前記高値側閾値電圧情報より高くなる場合に非導通状態と判定する、ことを特徴とするモータ制御装置。
前記第3の切換状態は、前記第1出力電圧が高値とされ前記第2出力電圧が低値とされる第4の切換状態と、前記第1出力電圧が低値とされ前記第2出力電圧が高値とされる第5の切換状態と、から成ることを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
前記規定時間は、前記制御モータに電流が流れ始めた駆動開始時刻から前記制御モータの通常動作における駆動終了時刻までに経過するモータ駆動時間のうち最長のモータ駆動時間より長い時間に設定されることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のモータ制御装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施の形態につき図面を参照して説明する。尚、本実施の形態では、四輪駆動車のトランスファーで用いられるモータ制御装置について説明するが、本発明の技術的範囲は当該四輪駆動車のトランスファー用モータ制御装置に限定されるものではない。
【0023】
図1には、本実施の形態に適用される四輪駆動車の構成が示されている。図示の如く、四輪駆動車MVは、エンジンEGNとトランスミッションTRMとバッテリーBtrとリレー回路RYLCと4WD用トランスファーTRFとフロントディファレンシャル(以下、フロントデフと呼ぶ)DFFとリヤディファレンシャル(以下、リヤデフと呼ぶ)DFBとフロントタイヤTFR、TFLとリヤタイヤTBR、TBLと図示されない複数の電子制御ユニット(electric control unit)とから構成される。尚、同図では、かかる複数の電子制御ユニットのうち、4WD用トランスファーを制御させる電子制御ユニットECU0のみが示されている。
【0024】
エンジンEGNは、四輪駆動車のエンジンルームに格納され、化石燃料等をシリンダー内で燃焼させることで駆動トルクを出力させる。
【0025】
トランスミッションTRMは、複数のギヤ比を実現させるギヤボックスを備え、エンジンEGNから出力された駆動トルクを走行状態に合わせて調整させる。
【0026】
バッテリーBtrは、四輪駆動車の適宜なスペースに載置され、種々の装置に電力を供給する。
【0027】
リレー回路RYLCは、第1のリレーRYL1及び第2のリレーRYL2から構成され、バッテリーBtrの電力を適宜な設定状態で出力させる。尚、かかるリレー回路RYLCの構成及び動作については、追って詳述する。
【0028】
4WD用トランスファーTRFは、図示の如く、アクチュエータACTと可変速ハブHUB1と駆動切換ハブHUB2と主動側スプロケットFSPと従動側スプロケットDSPとチェーンCHとセンターデフDFCとフロントドライブシャフトDSFとリヤドライブシャフトDSBとから構成される。
【0029】
アクチュエータACTは、制御モータMとドライビングシャフトSHと駆動テーブルTTとから構成される(
図2参照)。ここで、制御モータMは、リレー回路RYLCを介して適宜に設定された電力が供給され、これにより、当該電力の状態に応じた動作を実現させる。駆動テーブルTTは、
図2に示す如く、制御モータMに接続されたドライビングシャフトSHからトルクを受け、制御モータMの動作に応じて回動する。また、駆動テーブルTTは、可変速ハブHUB1及び駆動切換ハブHUB2に機構的に接続され、駆動テーブルTTの動作に応じて、可変速ハブHUB1及び駆動切換ハブHUB2のポジションを適宜に切換えさせる。
【0030】
可変速ハブHUB1は、車軸の軸心方向へスライドすることで、車軸に設けられた二種類のギヤの何れか一方に噛合わされる。これにより、当該可変速ハブHUB1は、そのポジションに応じてギヤ比が変動し、後段車軸の駆動トルクを二段階に変速させる。ここで、ギヤ比の低い可変速ハブHUB1のポジションをドライビングポジションHと呼び、ギヤ比の高い可変速ハブHUB1のポジションをロードライブポジションLと呼ぶ。
【0031】
駆動切換ハブHUB2は、車軸の軸心方向へスライドすることで、車軸に設けられた複数のギヤとの噛合状態が三段階に切替えられる。具体的には、ハブロックポジション4Lと差動ポジション4Fとフリーハブポジション2Fとに切替えられる。ここで、ハブロックポジション4Lは、センターデフDFCを介さずに、駆動切換ハブHUB2の後段の車軸とリヤドライブシャフトDSBとを直結させ、駆動切換ハブHUB2の後段の車軸のトルクをリヤドライブシャフトDSBへ直接的に伝達させる。差動ポジション4Fは、センターデフDFCを介して、駆動切換ハブHUB2の後段の車軸とリヤドライブシャフトDSBとが間接的に連結され、センターデフDFCの差動機能によって、駆動切換ハブHUB2の後段の車軸回転速度とリヤドライブシャフトDSBの車軸回転速度とに差異を与える。フリーハブポジション2Fは、駆動切換ハブHUB2の後段車軸とリヤドライブシャフトDSBとの接続を断ち、後段の主動側スプロケットFSPのみに駆動トルクを与える。
【0032】
主動側スプロケットFSPは、図示の如く、駆動切換ハブHUB2の後段の車軸に固定される。かかる主動側スプロケットFSPは、駆動切換ハブHUB2のポジションに関わりなく、駆動切換ハブHUB2の後段の車軸から同一の駆動トルクを受ける。
【0033】
従動側スプロケットDSPは、主動側スプロケットFSPと並列に配置され、フロントドライブシャフトDSFに軸着される。また、従動側スプロケットDSPは、チェーンCHによって、主動側スプロケットFSPの駆動トルクを受け、これにより、フロントドライブシャフトDSFへ当該駆動トルクを伝達させる。
【0034】
センターデフDFCは、入力側に主動側スプロケットFSPの後段車軸が接続され出力側にリヤドライブシャフトDSBが接続され、これらの車軸がベアリング(図示なし)によって回動自在に軸支される。そして、センターデフDFCは、入力軸と出力軸との間に回転速度の差を与える差動機能を具備し、当該機能によって、主動側スプロケットFSPから駆動トルクが入力されると、内蔵されるギヤアセンブリのギヤ比に応じて当該駆動トルクを変換し、リヤドライブシャフトDSBへ伝達させる。即ち、センターデフDFCでは、主動側スプロケットFSP後段の車軸の駆動トルクをリヤドライブシャフトDSBへ伝達する際、当該駆動トルクを適宜に調整し、入力された駆動トルクと異なる駆動トルクを出力させる。
【0035】
フロントデフDFFは、フロントドライブシャフトDSF、右フロントタイヤTFR及び左フロントタイヤTFLの車輪軸に接続される。そして、フロントドライブシャフトDSFから受けた駆動トルクを適宜に分配し、かかる如く分配された駆動トルクを各フロントタイヤTFR、TFLに分配させる。
【0036】
リヤデフDFBは、リヤドライブシャフトDSB、右リヤタイヤTBR及び左リヤタイヤTBLの車輪軸に接続され、駆動トルクを双方のリヤタイヤTBR、TBLへ分配伝達させる。
【0037】
電子制御ユニットECU0は、信号ラインを介してリレー回路RYLCに接続される。そして、電子制御装置ECU0は、リレー回路RYLCを制御し、アクチュエータACTに設けられた制御モータMを適宜に駆動させる。尚、かかる電子制御ユニットECU0の詳細については追って詳述する。
【0038】
かかる構成を具備する四輪駆動車MVでは、トランスミッションTRMを介してエンジンEGNから駆動トルクが伝達され、当該駆動トルクが4WD用トランスファーTRFに入力される。このとき、アクチュエータACTは、電子制御ユニットECU0及びリレー回路RYLCによって制御され、可変速ハブHUB1のポジションと駆動切換ハブHUB2のポジションとを各々切換させ、これにより、4WD用トランスファーTRFでは、以下の動作を実現させる。
【0039】
先ず、可変速ハブHUB1のポジションがドライビングポジションHとされ、且つ、駆動切換ハブHUB2のポジションがフリーハブポジション2Fとされる場合、所謂、二輪ドライビングポジション2HFに設定される場合について説明する。かかる場合、四輪駆動車MVでは、可変速ハブHUB1のポジションがドライビングポジションHにセットされるので、高速のドライブモードにて駆動されることとなる。また、駆動切換ハブHUB2のポジションがフリーハブポジション2Fにセットされるので、リヤドライブシャフトDFBから切り離され、フロンドドライブシャフトDSFのみに駆動トルクが伝達され、フロントタイヤTFR、TFLのみを駆動させる。即ち、かかる場合、四輪駆動車MVは、駆動切換ハブHUB2のポジションによって、前輪駆動による走行を行うこととなる。
【0040】
次に、可変速ハブHUB1のポジションがドライビングポジションHとされ、且つ、駆動切換ハブHUB2のポジションが差動ポジション4Fとされる場合、所謂、四輪ドライビングポジション4HFに設定される場合について説明する。かかる場合、四輪駆動車MVでは、可変速ハブHUB1がドライビングポジションHとされるので高速ドライブモードにて駆動される。また、駆動切換ハブHUB2のポジションが差動ポジション4Fとされるので、リヤドライブシャフトDFBとフロントドライブシャフトDSFとが間接的に連結され、これにより、駆動切換ハブHUB2から出力される駆動トルクが双方のドライブシャフトへ差動的に分配される。即ち、かかる場合、四輪駆動車MVは、フロントタイヤTFR,TFLとリヤタイヤTBR,TBLとの間に差動を伴いつつ、四輪駆動状態にて走行を行うこととなる。
【0041】
更に、可変速ハブHUB1のポジションがドライビングポジションHとされ、且つ、駆動切換ハブHUB2のポジションがハブロックポジション4Lとされる場合、所謂、直結型高速四輪ドライビングポジション4HLに設定される場合について説明する。かかる場合、四輪駆動車MVでは、可変速ハブHUB1がドライビングポジションHとされるので高速ドライブモードにて駆動される。また、駆動切換ハブHUB2のポジションがハブロックポジション4Lとされるので、リヤドライブシャフトDFBとフロントドライブシャフトDSFとが直結される。即ち、かかる場合、四輪駆動車MVは、フロントタイヤTFR,TFLとリヤタイヤTBR,TBLとの双方に共通の駆動トルクを与える四輪駆動に切換えられ、高速状態にて走行を行うこととなる。
【0042】
更に、可変速ハブHUB1のポジションがロードライブポジションLとされ、且つ、駆動切換ハブHUB2のポジションがハブロックポジション4Lとされる場合、所謂、直結型低速四輪ドライビングポジション4LLに設定される場合について説明する。かかる場合、四輪駆動車MVでは、可変速ハブHUB1がロードライブポジションLとされるので低速ドライブモードにて駆動される。また、駆動切換ハブHUB2のポジションがハブロックポジション4Lとされるので、リヤドライブシャフトDFBとフロントドライブシャフトDSFとが直結される。即ち、かかる場合、四輪駆動車MVは、フロントタイヤTFR,TFLとリヤタイヤTBR,TBLとの双方に共通の駆動トルクを与える四輪駆動とされ、低速状態に切替えられて走行を行うこととなる。
【0043】
図2には、本実施の形態に係るモータ制御装置MCの構成が示されている。図示の如く、モータ制御装置MCは、バッテリー電源BrtとメインリレーRYL0とリレー回路RYLCと電圧検出部RiとアクチュエータACTと駆動切換スイッチTSWと制御回路CTRを内蔵する電子制御ユニットECU0と分圧抵抗Rd及びツェナーダイオードDzと定電圧回路Regと通信ラインSTとから構成される。
【0044】
バッテリー電源Btrは、メインリレーRYL0及び定電圧回路Regに接続され、各々に電力を供給させる。
【0045】
定電圧回路Regは、バッテリー電源Btrから供給された電力を安定化させ、所望の電圧値に変換させた定電力を制御回路CTRへ出力させる。尚、かかる定電圧回路Regは、制御回路CTRに内蔵されたものを用いても良い。
【0046】
メインリレーRYL0は、制御回路CTRから受信する駆動信号に応じて駆動され、駆動信号がHigh状態のときバッテリー電源Btrの電力供給を許可させ、これにより、当該電力をリレー回路RYLCへ供給させる。一方、メインリレー回路RYL0は、駆動信号がLow状態のとき、バッテリー電源Btrの電力供給を遮断させる。
【0047】
リレー回路RYLCは、第1のリレーRYL1及び第2のリレーRYL2を具備し、当該第1のリレーRYL1及び第2のリレーRYL2は、各々がメインリレーRYL0に接続されている。第1のリレーを例にとり具体的に説明すると、当該第1のリレーRYL1には、図示の如く、ON接点とOFF接点と出力端子(以下、第1のリレーに設けられた出力端子を第1出力端子と呼び、第2のリレーに設けられた出力端子を第2出力端子と呼ぶ)とが設けられており、ON接点がメインリレーRYL0の出力端に接続され、OFF接点がアースへ接続される。そして、リレーに設けられたスイッチのON/OFF制御による切換動作が実施されると、出力端子がON接点又はOFF接点の何れか一方に導通されることとなる。ここで、スイッチのON/OFF制御は、後述する制御回路CTRから出力されるH−L信号によって実現される。尚、第2のリレー回路RYL2にあっても同様の構成とされ、ON接点がメインリレーRYL0の出力端に接続され、OFF接点がアースへ接続される。
【0048】
電圧検出部Riは、抵抗Ri1及び抵抗Ri2から成る分圧抵抗とされ、当該分圧抵抗のうち一端taが第1のリレーRYL1に設けられた第1出力端子Tmfに接続され、他端tbが第2のリレーRYL2に設けられた第2出力端子Tmsに接続される。また、抵抗Ri1及び抵抗Ri2の接点とされる分圧点tcでは、信号ラインを介して制御回路CTRに接続され、当該制御回路CTRに対して検出信号Siを出力させる。かかる検出信号Siは、第1のリレーRYL1及び第2のリレーRYL2の切換動作に応じて当該検出信号Siの電圧値Viが変動する。尚、かかる検出信号Siの電圧値については、
図3において詳述することとする。
【0049】
アクチュエータACTは、上述の如く、駆動テーブルTTを駆動させる制御モータMを備えている。かかる制御モータMは、第1のリレーRYL1及び第2のリレーRYL2の双方に接続され、第1出力端子Tmfから出力される第1出力電圧V1と第2出力端子Tmsから出力される第2出力電圧V2とに応じて、正転動作又は反転動作又は停止状態に駆動制御される。
【0050】
駆動切換スイッチTSWは、四輪駆動車の操縦パネルに配置されるものであって、図示の如く、ダイヤル機構と複数の信号ラインとを備え、ダイヤル部のポジションに応じて適宜な信号を出力させる構成とされている。ダイヤル機構は、手動によって回動されるダイヤル部と当該ダイヤル部の周りに固定される表示部とから成る。当該表示部の表面には、二輪ドライビングポジション2HF、四輪ドライビングポジション4HF、直結型高速四輪ドライビングポジション4HL、直結型低速四輪ドライビングポジション4LLがそれぞれ刻印されており、当該表示部の裏面には、これらのドライビングポジションに対応する接触端子が設けられている。一方、ダイヤル部は、表面にダイヤル部の方向を示す方向矢が示されており、裏面には方向矢の位置に応じてスライドするスライド端子が設けられている。ここで、ダイヤル部を回動させると、スライド端子は表示部の接触端子に当接し、所定の電力が信号として信号ラインから出力される。従って、ダイヤル部の方向矢が所定のドライビングポジションにセットされると、駆動切換スイッチTSWに設けられた複数の信号ラインでは信号状態がHigh値又はLow値に各々設定され、かかる信号状態の組合せから成る信号を所定のドライビングポジションに対応させて出力させる。即ち、操縦者が操縦席でドライビングポジションの操作を行うと、駆動切換スイッチTSWでは、操縦者の指令に応じて当該ドライビングポジションに応じた信号を生成し、当該信号を制御回路CTRに対して出力させる。
【0051】
電子制御ユニットECU0には、少なくとも制御回路CTRが設けられている。かかる制御回路CTRは、図示の如く、A/D変換装置と記憶装置MRYと中央演算装置(Central Processing Unit)CPUとクロック回路CLとを少なくとも備えるコンピュータを具備する。A/D変換装置は、電圧検出部Riから受信した検出信号Si及び駆動切換スイッチTSWから受信した信号が入力され、それぞれの信号をクロックタイミング毎にデジタル値に変換させる。記憶装置MRYは、図示の如く、不揮発性記憶装置ROMと揮発性記憶装置RAMとから構成される。ここで、不揮発性記憶装置ROMは、マスクROM又はEPROM又はEEPROM等が用いられ、コンピュータの動作を規定するプログラムとされるソフトウェアが格納される。尚、かかるソフトウェアの詳細については、追って詳述する。一方、中央演算装置CPUは、ソフトウェアを始めとする種々のプログラムに基づく動作手段を実現させる。また、クロック回路CLは、基本クロックを生成させ、当該基本クロックは、コンピュータの各装置に供される。かかる構成を具備する制御回路CTRでは、電圧検出部Riから受信した検出信号Si及び駆動切換スイッチTSWから受信した信号がI/O回路(図示なし)に入力されると、かかる信号の受入がI/O回路によって許可された際に、A/D変換装置では各信号をデジタル信号に変換させ、これによって、検出信号Siに関する情報と指定されたドライビングポジションに関する情報とを揮発性記憶装置RAMに書き込ませる。その後、中央演算処理CPUでは、不揮発性記憶装置ROMに記憶されたソフトウェアに基づいて情報処理を実施させ、具体的には、指定されたドライビングポジションに関する情報に基づき第1のリレーRYL1及び第2のリレーRYL2の動作に関する情報を生成させ、一方、検出信号Siに関する情報に基づきメインリレーRYL0の動作に関する情報を生成させる。そして、これらの情報は揮発性記憶装置RAMに格納され、I/O回路において成される信号の出力許可に応じて、かかる情報に対応した信号、即ち、メインリレーRYL0又は第1のリレーRYL1又は第2のリレーRYL2の各駆動信号を出力させる。
【0052】
分圧抵抗Rdは、電圧検出部Riから出力される検出信号Siの電圧値Viを分圧させ、これにより、制御回路CTRで使用可能な電圧値に調整される。一方、ツェナーダイオードDzは、分圧抵抗Rdから出力された検出信号Siに高周波成分が重畳される場合、かかる高周波成分のみをグランドへアースさせる。
【0053】
通信ラインSTは、他の装置に設けられたECU又は表示パネル等に接続される。かかる通信ラインは、故障状態又はエラー状態等を他のECUと共有させる信号ラインであって、シリアル通信ライン、CAN通信ライン(Controller Area Network)、LIN通信ライン(Local
Interconnect Network)、この他、適宜な通信ラインが適用される。
【0054】
図3には、リレー回路に設けられた第1のリレー及び第2のリレーの制御状態が各々示されている。尚、同図では、
図3(a)〜
図3(d)において、メインリレーRYL0をON状態とさせる駆動信号が出力され、バッテリー電源Btrの電力がリレー回路RYLCに印加されている状態が示されている。また、バッテリー電源Btrの電源電圧は5Vであるとする。更に、本実施の形態では、第1出力電圧V1が5Vの場合、特許請求の範囲における第1出力電圧が高値である場合に対応する。同様に、第2出力電圧V2が5Vの場合、特許請求の範囲における第2出力電圧が高値である場合に対応する。一方、本実施の形態では、第1出力電圧V1が0Vの場合、特許請求の範囲における第1出力電圧が低値である場合に対応する。同様に、第2出力電圧V2が0Vの場合、特許請求の範囲における第2出力電圧が低値である場合に対応する。
【0055】
図3(a)では、第1のリレーRYL1及び第2のリレーRYL2の双方をON状態とさせる駆動信号が制御回路CTRから出力されている。かかる場合、第1のリレーRYL1は、ON接点と第1出力端子Tmfとが導通されるので、当該第1出力端子Tmfから出力される第1出力電圧V1は5Vとされる。一方、第2のリレーRYL2は、ON接点と第2出力端子Tmsとが導通されるので、当該第2出力端子Tmsから出力される第2出力電圧V2についても5Vとされる。即ち、
図3(a)に示されるリレーの切換状態を第1の切換状態とすると、当該第1の切換状態では、第1出力電圧V1及び第2出力電圧V2が共に高値とされることとなる。また、第1の切換状態の場合、各リレーから印加される第1出力電圧V1及び第2出力電圧V2が共に5Vとされるので、検出信号Siの電圧値Viは5Vとされる。このとき、制御モータMでは、両端電圧が同電位とされるので停止状態となる。
【0056】
図3(b)では、第1のリレーRYL1をON状態とさせる駆動信号と第2のリレーRYL2をOFF状態とさせる駆動信号とが制御回路CTRから出力されている。かかる場合、第1のリレーRYL1は、第1出力端子Tmfから出力される第1出力電圧V1は5Vとされる。一方、第2のリレーRYL2は、ON接点と第2出力端子Tmsとが非導通とされるので、当該第2出力端子Tmsから出力される第2出力電圧V2については0Vとされる。即ち、
図3(b)に示されるリレーの切換状態を第4の切換状態とすると、当該第4の切換状態では、第1出力電圧V1及び第2出力電圧V2の間に電位差を生じさせ、具体的には、第1出力電圧V1が高値とされ第2出力電圧V2が低値とされることとなる。また、第4の切換状態の場合、第1出力電圧V1が5Vとされ第2出力電圧V2が0Vとされるので、検出信号Siの電圧値Viは2.5Vとされる。このとき、制御モータMは、両端電圧の電位差が+5Vとされるので順方向の回転力を出力させる。尚、両端電圧の電位差は、第1出力電圧V1から第2出力電圧を差し引いた値をいい、当該両端電圧の電位差が正の場合、制御モータMが順方向の回転力を出力させ、負の場合、制御モータMが逆方向の回転力を出力させる。
【0057】
図3(c)では、第1のリレーRYL1をOFF状態とさせる駆動信号と第2のリレーRYL2をON状態とさせる駆動信号とが制御回路CTRから出力されている。かかる場合、第1のリレーRYL1は、第1出力端子Tmfから出力される第1出力電圧V1は0Vとされる。一方、第2のリレーRYL2は、第2出力端子Tmsから出力される第2出力電圧V2は5Vとされる。即ち、
図3(c)に示されるリレーの切換状態を第5の切換状態とすると、当該第5の切換状態では、第1出力電圧V1及び第2出力電圧V2の間に電位差を生じさせ、具体的には、第1出力電圧V1が低値とされ第2出力電圧V2が高値とされることとなる。また、第5の切換状態の場合、第1出力電圧V1が0Vとされ第2出力電圧V2が5Vとされるので、検出信号Siの電圧値Viは2.5Vとされる。このとき、制御モータMは、両端電圧の電位差が−5Vとされるので逆方向の回転力を出力させる。
【0058】
図3(d)では、第1のリレーRYL1及び第2のリレーRYL2の双方をOFF状態とさせる駆動信号が制御回路CTRから出力されている。かかる場合、第1のリレーRYL1は、第1出力端子Tmfから出力される第1出力電圧V1が0Vとされる。一方、第2のリレーRYL2は、第2出力端子Tmsから出力される第2出力電圧V2が0Vとされる。即ち、
図3(d)に示されるリレーの切換状態を第2の切換状態とすると、当該第2の切換状態では、第1出力電圧V1及び第2出力電圧V2が共に低値とされることとなる。また、第2の切換状態の場合、各リレーから印加される第1出力電圧V1及び第2出力電圧V2が共に0Vとされるので、検出信号Siの電圧値Viは0Vとされる。このとき、制御モータMでは、両端電圧が同電位とされるので停止状態となる。
【0059】
上述の如く、本実施の形態に用いられるリレー回路RYLCは、第1のリレー回路RYL1から出力される第1出力電圧V1を5V及び0Vの2段階に制御させ、第2のリレー回路RYL2から出力される第2出力電圧V2についても5V及び0Vの2段階に制御させる。そして、リレー回路RYLCは、制御回路CTRによって各リレーが制御され、第1の切換状態、第2の切換状態、第4の切換状態、第5の切換状態から成る4種類の切換状態を実現させる。尚、本実施の形態では、リレーから出力される出力電圧を2段階に設定しているが、これに限らず、当該リレーの構成を適宜変更させ、3種類以上の多段階の電圧値を出力させるようにしても良い。
【0060】
また、電圧検出部Riは、上述の如く、第1出力電圧V1及び前記第2出力電圧V2に基づいて検出信号を検出する。具体的に説明すると、第1のリレーRYL1及び第2のリレーRYL2が共にON状態とされる場合、第1出力電圧V1が5Vとされ且つ第2出力電圧V2が5Vとされる。このとき、電圧検出部Riは、第1出力電圧V1及び第2出力電圧V2の電圧値に基づいて5Vの検出信号を出力させる。また、第1のリレーRYL1及び第2のリレーRYL2が共にOFF状態とされる場合、第1出力電圧V1が0Vとされ且つ第2出力電圧V2が0Vとされる。このとき、電圧検出部Riは、第1出力電圧V1及び第2出力電圧V2の電圧値に基づいて0Vの検出信号を出力させる。また、第1のリレーRYL1及び第2のリレーRYL2が第4の切換状態又は第5の切換状態とされる場合、電圧検出部Riは、第1出力電圧V1及び第2出力電圧V2の電圧値に基づいて2.5Vの検出信号を出力させる。
【0061】
尚、本実施の形態では、制御モータMを順転方向及び逆転方向に制御させることとしたため、第4の切換状態と第5の切換状態とをリレー回路RYLCに実施させている。しかし、これに限定させることなく、制御モータMを何れか一方の方向に回転させれば良い場合には、リレー回路RYLCの配線を簡素化させ、第1出力電圧V1及び第2出力電圧V2の間に正又は負の何れか一方の電位差を生じさせる切換状態を実現させることとしても良い。
【0062】
図4には、制御回路CTRから出力されたリレー回路に対する駆動信号と電圧検出部Riの検出信号Siの状態が示されている。尚、同図には、低値側閾値電圧Vca及び高値側閾値電圧Vcbと、低値側閾値電圧Vcaから高値側閾値電圧Vcbまでの範囲Vcが追加図示されている。
【0063】
先ず、第1のリレーをONにさせる駆動信号SH1と第2のリレーをONにさせる駆動信号SH2とが制御回路CTRから出力される場合、第1のリレーRYL1及び第2のリレーRYL2が各駆動信号に基づいて正しく駆動されるときには、電圧検出部Riから出力される検出信号Siは、電圧値Viが適正電圧値Vrの5Vに一致され、制御モータMは停止される。しかし、第1のリレーRYL1又は第2のリレーRYL2の何れか一方が各駆動信号に基づいて正しく駆動されないとき、かかる何れか一方のリレーがOFF状態とされるので、制御モータMでは、両端電圧に電位差が発生し駆動トルクを出力させてしまう。そして、制御モータMが一定時間以上駆動されると、内蔵されるコイル等に発熱が生じ、当該制御モータMを損傷させてしまう。即ち、かかるリレーの誤動作が生じている場合には、制御モータMの駆動時間を測定させ所定時間内に停止させる制御を実施させるのが好ましい。尚、制御モータMを駆動させる際の検出信号Siの電圧値Viは、上述の如く、2.5Vとされる。
【0064】
次に、第1のリレーをOFFにさせる駆動信号SL1と第2のリレーをONにさせる駆動信号SH2とが制御回路CTRから出力される場合、第1のリレーRYL1及び第2のリレーRYL2が各駆動信号に基づいて正しく駆動されるときには、電圧検出部Riから出力される検出信号Siは、電圧値Viが適正電圧値Vrの2.5Vに一致し、このとき、制御モータMは駆動される。しかし、何らかの不具合が生じて制御モータMが駆動され続けると、上述の如く制御モータが損傷してしまう。そこで、第1のリレーRYL1及び第2のリレーRYL2が適正に駆動されている場合であっても、制御モータMの駆動時間を測定させ所定時間内に停止させる制御を実施させるのが好ましい。尚、第1のリレーをONにさせる駆動信号SH1と第2のリレーをOFFにさせる駆動信号SL2とが制御回路CTRから出力される場合にあっても、制御モータMが長時間駆動され続ける危険性が有るので、同様に、制御モータMの駆動時間を測定させ所定時間内に停止させる制御を実施させるのが好ましい。
【0065】
更に、第1のリレーをOFFにさせる駆動信号SL1と第2のリレーをOFFにさせる駆動信号SL2とが制御回路CTRから出力される場合、第1のリレーRYL1及び第2のリレーRYL2が各駆動信号に基づいて正しく駆動されるときには、電圧検出部Riから出力される検出信号Siは、電圧値Viが適正電圧値Vrの0Vに一致され、制御モータMは停止される。しかし、第1のリレーRYL1又は第2のリレーRYL2の何れか一方が各駆動信号に基づいて正しく駆動されないとき、制御モータMでは両端電圧に電位差が発生し駆動トルクを出力させてしまい、制御モータMが一定時間以上駆動されると、当該制御モータMを損傷させてしまう。よって、かかる場合にあっても、制御モータMの駆動時間を測定させ所定時間内に停止させる制御を実施させるのが好ましい。
【0066】
即ち、第1のリレーの駆動信号及び第2のリレーの駆動信号が如何なる状態にあっても、電圧検出部Riから出力される検出信号Siの電圧値Viが何ボルトであるかを制御回路CTRによって検出し、当該電圧値Viが2.5Vである場合には、かかる制御回路CTRは、制御モータMの駆動時間に応じて、当該制御モータMへの電力供給を停止させるのが好ましい。
【0067】
図5には、制御回路CTRで実現される動作手段が機能ブロックにて示されている。図示の如く、本実施の形態に用いられる記憶装置MRYには、検出信号認識手段Cm1と負荷導通状態認識手段Cm2と規定時間計数手段Cm3とエラー判定手段Cm4と故障報知手段Cm5とリレー設定手段Cm6とを実現させるプログラムが格納されている。尚、かかる動作手段は、当然の如く、記憶手段MRYに格納されたソフトウェアと制御回路CTRに設けられた各種ハードウェアとが協働して実現されるものである。
【0068】
検出信号認識手段Cm1は、検出信号Siの電圧値Viを認識する。かかる動作手段の一例を具体的に説明すると、検出信号Siの電圧値ViをA/D変換回路によってデジタル値に変換させ、かかるデジタル値化された検出信号Siの電圧値Viを揮発性記憶装置RAMへクロックタイミング毎に格納させる。
【0069】
負荷導通状態認識手段Cm2は、検出信号Siの電圧値Viに基づいて制御モータMに電流が流れているか否かを認識する。かかる動作手段の一例を具体的に説明すると、記憶装置MRYに格納された検出信号Siの電圧値Vi、低値側閾値電圧Vca、高値側閾値電圧値Vcbを読み込み、中央演算処理CPUによって、検出信号Siの電圧値Viが、低値側閾値電圧Vcaより低い電圧値とされるか、又は、低値側閾値電圧Vcaより高く高値側閾値電圧値Vcbより低い電圧値とされるか、高値側閾値電圧Vcbより高い電圧値とされるかを判断する。尚、低値側閾値電圧Vcaとは、
図4に示す如く、第4の切換状態又は第5の切換状態(特許請求の範囲における第3の切換状態を含む)の際に出力される検出信号の電圧値より低い電圧値、即ち、本実施例における2.5Vより低い電圧値をいう。また、高値側閾値電圧Vcbとは、
図4に示す如く、第4の切換状態又は第5の切換状態(特許請求の範囲における第3の切換状態を含む)の際に出力される検出信号の電圧値より高い電圧値、即ち、本実施例における2.5Vより高い電圧値をいう。
【0070】
規定時間計数手段Cm3は、制御モータMに電流が流れている場合に当該電流の連続的に流れる導通時間Tacを計数し、当該導通時間Tacが所定の規定時間Tadを上回るか否かを判定する。ここで、規定時間とは、制御モータMに電流が流れ始めた駆動開始時刻から制御モータMの通常動作における駆動終了時刻までに経過するモータ駆動時間のうち最長のモータ駆動時間以上に設定されるのが好ましい。これにより、導通時間Tacが規定時間Tadより短時間であるとき、当該導通時間Tacは制御モータMを異常発熱させない範囲にあると判断され、一方、導通時間Tacが規定時間Tadより長時間であるとき、当該導通時間Tacは制御モータMを異常発熱させる危険範囲にあると判断される。かかる動作手段の一例を具体的に説明すると、負荷導通状態認識手段Cm2において、検出信号Siの電圧値Viが低値側閾値電圧Vcaより高く高値側閾値電圧値Vcbより低い電圧値とされるとき、導通時間Tacのカウントを開始させ、当該導通時間Tacのカウントが継続していることを条件として基本クロックを積算させ、これにより、かかる導通時間Tacを算出させる。そして、かかる如く算出された導通時間Tcaと記憶装置MRYから予め読込んでおいた規定時間Tadと比較させる。尚、規定時間計数手段Cm3では、
図6に示される処理S003、S004、S005を実行させる。
【0071】
エラー判定手段Cm4は、規定時間計数手段Cm3において導通時間Tacが規定時間Tadを上回った場合、導通時間Tacに関するエラーフラグFcの状態を「1」とさせ、かかるフラグFcを記憶装置MRYに記録させる。尚、導通時間Tacが規定時間Tadを下回る場合、導通時間Tacに関するエラーフラグFcの状態は「0」とされる。
【0072】
故障報知手段Cm5は、エラーフラグFcが「1」であることを認識した際、これに対応する信号を通信ラインSTへ出力させる。
【0073】
リレー設定手段Cm6は、制御モータMに電流が流れていると判断され且つ導通時間Tacが規定時間Tadを上回ると判断された場合に、メインリレーRYL0を駆動させて電力の供給を遮断させる。かかる動作手段の一例を具体的に説明すると、中央演算装置CPUでは、記憶装置MRYのエラーフラグFcの記録されているアドレスへアクセスし、読込んだエラーフラグFcが「1」とされる場合、メインリレーRYL0をOFF状態にさせる駆動信号を出力させ、これにより、バッテリー電源Btrとリレー回路RYLCとの間の電源ラインが遮断され、電力はリレー回路RYLCへ供給されなくなる。また、かかるリレー設定手段Cm6では、駆動切換スイッチTSWから受信した信号に応じて、リレーRYL1をONまたはOFF状態に切替える駆動信号と、リレーRYL2をONまたはOFF状態に切替える駆動信号とを出力させる。
【0074】
図6には、前図にて説明された動作手段が実行される際のフローチャートが示されている。先ず、イグニッションキーが回されると、これに応じてモータ制御装置MCに電力が供給される(STAND−BY)。その後、制御回路CTRでは、入力された検出信号Siの電圧値ViをA/D変換装置によって測定し、当該電圧値Viを記憶装置MRYへ格納させる(S001)。かかる後、中央演算装置CPUでは、高値側閾値電圧Vca及び低値側閾値電圧Vcbと電圧値Viとを比較させる(S002)。このとき、導通状態判定処理S002では、電圧値Viが低値側閾値電圧Vcaより低いとする処理結果を得た場合又は電圧値Viが高値側閾値電圧Vcbより高いとする処理結果を得た場合、制御モータMが非導通状態であると認識し、導通時間Tacのカウントを開始させることなく(S004)、所定時間の経過を待って再度電圧値Viの認識処理(S001)を実行させる。一方、導通状態判定処理S002では、電圧値Viが低値側閾値電圧Vcaより高く且つ高値側閾値電圧Vcbより低いとする処理結果を得た場合、制御モータMが導通状態であると認識し、基本クロックを加算(インクリメント)させることで得られる導通時間Tacのカウントを開始させ(S003)、導通時間Tacが規定時間Tadを上回っているか否かの判定処理を実行させる(S005)。このとき、規定時間判定処理S005では、導通時間Tacが規定時間Tadを下回っている旨の処理結果を得た場合、記憶装置MRYに記録されたエラーフラグFcを「0」から変更させることなく、所定時間の経過を待って再度電圧値Viの認識処理(S001)を実行させる。その後、導通状態判定処理S002→導通時間インクリメントS003→規定時間判定処理S005→リレー検出電圧Viの認識処理S001から成るループを数回繰り返し、規定時間判定処理S005において、導通時間Tacが規定時間Tadを上回っている旨の処理結果を得ると、記憶装置MRYに記録されたエラーフラグFcを「1」に書き換え(S006)、故障信号Swcを通信ラインSTに出力させ(S007)、併せて、メインリレーRYL0の駆動信号をOFF状態に切替える(S008)。かかる場合、故障信号Swcの出力によって操縦パネルに当該故障状態が表示され、かかる故障状態を操縦者が認識することとなる。また、メインリレーRYL0をOFF状態に切替えることにより、制御モータMに規定時間Tad以上電流を導通させることなく、これにより、制御モータMの保護が図られる。
【0075】
尚、導通状態判定処理S002において、低値側閾値電圧Vca<電圧値Vi<高値側閾値電圧Vcbの関係が持続的に維持されると、先に説明した如く、導通状態判定処理S002→導通時間インクリメントS003→規定時間判定処理S005→リレー検出電圧Viの認識処理S001から成るループを数回繰り返し、これに応じて、導通時間Tacの加算(インクリメント)が繰り返される。このとき、導通時間Tacが規定時間Tadを上回る前に、検出信号Siの電圧値Viが、低値側閾値電圧Vca>電圧値Vi、又は、電圧値Vi>高値側閾値電圧Vcb、の状態に変化すると、図示の如く、今までカウントしていた導通時間Tacを消去(クリヤ)させ、その後、検出信号Siにおける電圧値Viの認識処理S001を実行させる。即ち、制御モータMが適正な駆動時間内に動作を終了させる場合、当該制御モータMの発熱の危険性が無いので、電源の供給をそのまま継続させる処理が実行されることとなる。
【0076】
本実施の形態に係るモータ制御装置MCによると、バッテリー電源Btrとリレー回路RYLCとを遮断させるメインリレーRYL0が設けられているので、リレー回路RYLCを構成する何れかのリレーが故障して、リレー回路RYLCを駆動させても制御モータMに流れる電流を止めることができない場合、制御回路CTRによってメインリレーRYL0を操作し、リレー回路RYLCへの電力供給を中断させることで、制御モータMに流れる電流を緊急的に停止させることが可能となる。
【0077】
また、本実施の形態に係る電圧検出部Riを用いることにより、複数の切換状態を実現させるリレー回路を用いる場合であっても、各々のリレーに検出回路を設けることなく、簡素な回路構成にてリレー回路RYLCの切換状態を報知させることが可能となる。そして、制御回路CTRは、電圧検出部Riから出力される検出信号Siが一つの信号ラインで送られるので、かかる一つの検出信号Siに基づいて各リレーの切換状態を認識でき、これにより、メインリレーRYL0の動作を規定する処理が簡素化される。
【0078】
更に、本実施例に係る制御回路CTRでは、簡素な検出信号に基づいて、負荷導通状態認識手段Cm2の処理を実行させるので、複数の信号を扱うような複雑な処理が排除され、これにより、負荷導通状態認識手段Cm2における情報処理の簡素化が図られる。また、制御回路CTRでは、負荷導通状態認識手段Cm2によって制御モータMに電流が流れたか否か判断させた後に、規定時間計数手段Cm3によって制御モータMの駆動時間を測定させるので、制御モータMの動作が異常発熱を起こす危険の無い場合については緊急停止させず、制御モータMの動作が異常発熱を起こす場合についてのみ緊急停止を実施させる。
【0079】
尚、本実施の形態では、上述の如く、四輪駆動車に設けられるトランスファーのアクチュエータを制御する装置について説明したが、本発明は、かかる技術に限定されるものではない。例えば、車両に搭載されるミラー又はパワーウィンドウのアクチュエータに適用させても良く、羽根車式ポンプまたは送風機等のアクチュエータに適用させても良く、この他、一般産業機器、搬送用機器、工作機械、医療機器、FA等の各々に用いられるアクチュエータに適用させることが可能である。