(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも2枚の軟質プラスチックシートが貼りあわされることにより形成され、開閉式の開口部と、経腸栄養法で使用される液状物を収容するための収容部とを含み、少なくとも一方の主面に前記液状物の量を示す目盛りが表示された可撓性袋部材と、
前記可撓性袋部材に固定された排出用ポートと、
前記可撓性袋部材の両主面の各々に前記可撓性袋部材の右側または左側から片手の指を挿入するための、上縁部及び下縁部が各々前記軟質プラスチックシートに固定されたシート状の1対の開閉操作部を含み、
前記開閉操作部に挿入した片手の指を各々遠ざけるように開くことにより前記開口部の開口状態を維持できることを特徴とする医療用軟質容器。
前記可撓性袋部材は、前記2枚の軟質プラスチックシートとは別の、開口部の強度を高めるための軟質プラスチックシートにより補強されている請求項1に記載の医療用軟質容器。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の医療用軟質容器の一例について図面を用いて説明する。
【0016】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1の医療用軟質容器の一例の斜視図であり、
図2Aは、
図1に示された医療用軟質容器の正面図であり、
図2Bは、
図1に示された医療用軟質容器の側面図である。
【0017】
図1〜
図2Bに示された医療用軟質容器1は、開閉式の開口部4と、液状物を収容するための収容部21とを含む、平袋状の可撓性袋部材2と、可撓性袋部材2に固定された排出用ポート3とを備える。可撓性袋部材2は、その開口部4よりも上方に、医療用軟質容器1をスタンド等に吊り下げるための吊り下げ部6を有している。吊り下げ部6は、吊り下げ穴用6aを有する。
【0018】
可撓性袋部材2は、例えば、2枚の軟質プラスチックシート2a,2bを重ね、それらの外周縁部を相互に熱接着(ヒートシール)させることにより形成される。軟質プラスチックシート2aの主面の外側面には、可撓性袋部材2内に注入される液状物の量を確認するための目盛り2cが表示されている。以下、目盛り2cが表示された軟質プラスチックシート2aの主面、すなわち、可撓性袋部材2内に液状物が充填される際に、充填操作を行う作業者と向かい合う面を正面と称することとし、この正面を基準に左右の位置関係を説明する。可撓性袋部材2内に液状物が充填される際、開口部4は収納部21よりも上に位置する。
【0019】
排出用ポート3は、例えば、管状である。排出用ポート3は、可撓性袋部材2内外の連通を可能とするように、上記2枚の軟質プラスチックシート2a,2bの間に挟まれて、可撓性袋部材2に固定されている。排出用ポート3の可撓性袋部材2への固定は、例えば、上記2枚の軟質プラスチックシート2a,2bの間に排出用ポート3に配置して、軟質プラスチックシート2a,2bの外周縁部同士を熱接着させることで行える。
【0020】
開口部4には、例えば、開口部4を横切って、開口部4を開閉自在とするジップ4a(再開閉自在とする係合部、別名「チャックシール」とも言う。)を備えている。ジップ4aは、従来から公知の方法にて成形できる。
【0021】
可撓性袋部材2の形状について特に制限はなく、例えば、長方形状、楕円形状等であってもよいが、医療用軟質容器1内の液状物等が排出用ポート3に向かって流入しやすいように、収容部21の下側が排出用ポート3に向かって緩やかに傾斜していると好ましい。
【0022】
2枚の軟質プラスチックシート2a,2bの主面の外側面の各々には、各々開閉操作部5a,5bが固定されている。開閉操作部5a,5bは、例えば、各々シート状物からなるが、軟質プラスチックシート2a,2bとの間に、開口部4の右側または左側から指を挿入するための貫通路7a,7b(
図2B参照)が形成されるように、各々軟質プラスチックシート2a,2bに固定されている。すなわち、開閉操作部5a,5bを構成するシート状物の中央部がたるむように、各シート状物の上縁部51a,52a及び下縁部51b,52bが、各々軟質プラスチックシート2a,2bに固定されている。
【0023】
このように、開口部4に開閉操作部5a,5bが固定されていると、片方の貫通路7aに親指を、他方の貫通路7bに親指以外の指(例えば、人差し指)を挿入し、親指と人差し指とを各々遠ざけ、各々の指を開閉操作部5a,5bの内面に押し付けることにより、開口部4を構成する軟質プラスチックシート2a,2bを相互に引き離せば、
図3に示されるように、開口部4が開口した状態を片手で維持できる。また、親指と人差し指は、貫通路7a,7b(
図2B参照)内に挿入されていることから、開口部4について開いた状態を安定かつ容易に維持できる。また、医療用軟質容器1を落としてしまったり、開口部4の開口状態が保持できなくて液状物をこぼしてしまったりする恐れが低減される。よって、医療用軟質容器1への液状物の注入作業中に作業者が受ける精神的及び肉体的な負担を低減できる。
【0024】
開閉操作部5a,5bの固定位置は、開口部4について開口した状態を維持できれば特に制限はないが、開口部4がジップ4aを備える場合、片手による開閉操作部5a,5bの操作によりジップ4aの係合が解除可能であると好ましい。具体的には、例えば、貫通路7a,7bが、ジップ4aの周囲に存在し、かつ、ジップ4aの長手方向に沿って存在するように、開閉操作部5a,5bが各々軟質プラスチックシート2a,2bに固定されていると好ましい。即ち、1対の開閉操作部5a,5bは、各軟質プラスチックシート2a,2bとの間に、開口部4の右側または左側から指を挿入するための貫通路7a,7bを形成していると好ましい。より、具体的には、開閉操作部5a,5bの上縁部51a,52aは、開口部4のうちのジップ4a等の係合部よりも上方において、下縁部51b、52bはジップ4a等の係合部よりも下方において、各々軟質プラスチックシート2a,2bに固定されていると好ましい。
【0025】
開閉操作部5a,5bの上下方向の幅W1(上縁部51a,52aと下縁部51b、52bとの間の距離、
図2A、
図2B参照)は、指を挿入しやすく、片手による開閉操作部5a,5bの操作が可能であれば特に制限はない。
【0026】
開閉操作部5a,5bの左右方向の幅W2(
図2A参照)は、片手による開閉操作部5a,5bの操作が可能であれば特に制限はないが、例えば、20mm〜60mmであると好ましい。軟質プラスチックシート2a,2bとの接合面積を確保し易く、手の大小の如何にかかわらず開口部4の開口状態の維持が可能であるという観点からは、幅W2は、大きいと好ましい。一方、開口部4を構成する軟質プラスチックシート2a,2bに対して、これらを相互に引き離す力を効率的に作用させて、開口部4を大きく開口させ易いという観点から、幅W2は小さいと好ましい。
【0027】
開口部4を開口させる操作の操作性を向上させる観点から、開閉操作部5a,5bの少なくとも一方には、その長手方向が上下方向に向いたスリット5c等が形成されていると好ましく、開閉操作部5a,5bの両方に上記スリット5cが形成されているとより好ましい。開閉操作部5a,5bにスリットが形成されていると、例えば、開口部4を開口させる操作の際に、スリット5c内に指を突っ込んで行えば、開口部4をより大きく開口させることが容易に行えるからである。また、同様の理由から、スリット5cは、開閉操作部5a,5bの、開口部4の幅方向の中央部に対応する位置、特には中央に対応する位置に形成されているとさらに好ましい。
【0028】
尚、
図2Aに示された例では、スリット5cは、開口部4の幅方向に対して直交するように形成されているが、スリットの長手方向が上下方向に向いていれば、これに制限されず、スリットは左右の何れかに傾いていてもよい。1対の開閉操作部5a,5bは同一形状であってもよいが、相互に形状が異なっていてもよい。また、「開口部4を開口させる操作」とは、ジップ4a等によって開口部4が閉じられた状態を解除する操作のみならず、閉じられた状態が解除された開口部4を構成する軟質プラスチックシート2a,2bを相互に引き離す操作も含む。なお、ジップ4a等によって開口部4が閉じられた状態を解除してから、貫通路7a,7bに各々指を挿入し、開口部4を構成する軟質プラスチックシート2a,2bを相互に引き離す操作が行われることもある。よって、「開口部4を開口させる操作」とは、貫通路7a,7bに各々指を挿入し、開口部4を構成する軟質プラスチックシート2a,2bを相互に引き離す操作のみを意味する場合もある。
【0029】
また、
図2Aに示された例のように、開口部4が左右対称な形状をしている場合、スリット5cは、開閉操作部5a,5bの、開口部4の幅方向の中央に対応する位置に形成され、かつ、その長手方向は、開口部4の幅方向と略直交していると、利き手の如何に関わらず操作性がかわらないという理由から、より好ましい。
【0030】
スリット5cの数について、特に制限はないが、1つの開閉操作部に対して1つであってもよいが複数であってもよい。
【0031】
開閉操作部5a,5bの軟質プラスチックシート2a,2bへの固定方法について特に制限はなく、例えば、接着剤による接着、熱接着(ヒートシール)等が挙げられるが、美観が良好で、簡便な熱接着が好ましい。開閉操作部5a,5bの軟質プラスチックシート2a,2bへの固定を熱接着により行う場合は、可撓性袋部材2の成形と同時に、開閉操作部5a,5bを軟質プラスチックシート2a,2bへ固定することもできる。
【0032】
吊り下げ部6は、開口部4から延設されていてもよい。例えば、吊り下げ部6、開口部4及び収容部21を構成する背面側の軟質プラスチックシートとが、1枚の軟質プラスチックシート2bによって形成されていてもよい。または、正面側の軟質プラスチックシートのうちの、ジップ等の係合部よりも上の部分であって、係合部よりも右側及び/又は左側の部分が、背面側の軟質プラスチックシートと熱接着されることにより吊り下げ部6の一部をなしていてもよい。また、吊り下げ部6は、開口部4への固定しろを有したシート片を、開口部4へ固定することにより形成されてもよい。吊り下げ部6は、積層構造をしていてもよい。すなわち、吊り下げ部6の一部と、開口部4の一部と、収容部21の一部とが、1枚の軟質プラスチックシート2bからなり、当該吊り下げ部6の一部に、他のシートが積層されて補強されていてもよい。
【0033】
図1及び
図2Aに示されるように、吊り下げ用穴6aが、排出用ポート3の中心軸の延長線上にあり、排出用ポート3の中心軸が収容部21の下部におおける収容部21内を幅方向に2等分する垂直中心線の延長線と一致する場合は、収容部21の正面に表示された目盛りによって、収容部21内に収容された液状物の量を比較的正確に確認できる。
【0034】
図4に示されるように、吊り下げ部6の開口部4との境界近傍は、外側に折り曲げ容易、かつ、その状態を保持可能であると好ましい。この場合、液状物の収容部21への注入がより行いやすくなり好ましい。吊り下げ部6を、外側に折り曲げ容易、かつ、その状態を保持可能とするためには、例えば、吊り下げ部6を、開口部4を構成する軟質プラスチックシートよりも硬くすればよい。
【0035】
図5は、開口部4を開口させた状態で医療用軟質容器1を片手で保持しながら、液状物を収容部21内に注ぐ操作の様子を示している。医療用軟質容器1の正面は、作業者に面しており、医療用軟質容器1を保持している左手と、液状物が入った注入用の容器30を持つ右手(図示せず)は相互に対向している。そのため、液状物の注入の最中に目盛り2cが見やすく、かつ、医療用軟質容器1への液状物の注入が行い易い。尚、
図5に示された様子は、作業者の利き手が右手である場合を示している。
【0036】
液状物の注入後は、開口部4を、ジップ等の係合部により閉じる。このようにして液状物が充填された医療用軟質容器1を、開口部4よりも上方に配置された吊り下げ部6の吊り下げ用穴6aを利用してスタンドなどに吊り下げると、排出用ポート3が、例えば、最下方に位置するので、患者等に液状物を最後までスムーズに供給できる。
【0037】
図6に示されるように、本発明の医療用軟質容器の一例は、例えば、経腸栄養供給システム50等の栄養供給システムの構成部品として使用される。経腸栄養供給システム50は、例えば、排出用ポート3に接続された可撓性チューブ51と、可撓性チューブ51を押圧して可撓性チューブ51内を流れる液状物の流量を調節するための流量調整器52、点滴筒53、コネクタ54、コネクタカバー55等を含む。しかし、本発明の経腸栄養供給システムは、
図6に示された構成に限定されるものではなく、従来公知の経腸栄養供給システムが備える構成部品をさらに含んでいてもよい。
【0038】
収容部21を構成する軟質プラスチックシート2a,2bの材料について特に制限はなく、医療用軟質容器に用いられる、従来公知の軟質プラスチックシートが使用できる。具体的には、例えば、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリブタジエン、ポリプロピレン、ポリアミド、エチレン−メタクリレート共重合体等からなる単層シート、又は上記単層シートが積層された積層シートが挙げられる。積層シートの具体的層構成としては、例えば、ナイロン/ポリエチレン、ナイロン/ポリプロピレン,ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン,ポリプロピレン/ポリエチレン、ナイロン/ポリプロピレン/ポリエチレン等が挙げられる。軟質プラスチックシートの厚さは、例えば、0.1〜0.6mm程度である。
【0039】
排出用ポート3の材料としては、環状ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。
【0040】
開閉操作部5a,5bの材料としては、例えば、収容部21を構成する上記軟質プラスチックシート2a,2bの材料と同じ材料が挙げられる。
【0041】
尚、
図1〜
図5を用いて説明した本発明の医療用軟質容器の一例では、軟質プラスチックシート2aのみに液状物の量を示す目盛りが表示されているが、目盛りは、プラスチックシート2bにも表示されていてもよい。この場合、作業者の利き手の如何にかかわらず、液状物の注入の最中に目盛りを見ながら、医療用軟質容器1への液状物の注入が安定して行える。なお、
図1〜
図5を用いて説明した本発明の医療用軟質容器の一例では、軟質プラスチックシート2a、2bの両方に目盛り2cが表示されている場合、いずれの軟質プラスチックシートの主面を正面と称してもよい。
【0042】
また、
図1〜
図5を用いて説明した本発明の医療用軟質容器の一例では、開口部4の開閉を可能とする手段が、ジップ(チャックシール)等の係合部であるが、開閉操作部5a,5bによる開口部の開口操作、開口状態の維持、及び液状物の収容部への注入操作性が妨げられない限り、開閉手段は従来から公知の他の開閉手段であってもよい。また、
図1〜
図5を用いて説明した本発明の医療用軟質容器の一例では、可撓性袋部材2が、2枚の軟質プラスチックシート2a,2bを用いて形成されているが、可撓性袋部材2は、少なくとも2枚の軟質プラスチックシートが貼りあわされることにより形成されていればよく、例えば、開口部4の強度を高めるべく、可撓性袋部材2の形成のために、軟質プラスチックシート2a,2bとは別に、開口部4を補強する軟質プラスチックシートが更に用いられてもよいし、吊り下げ部6を形成するべく軟質プラスチックシートが更に用いられてもよい。
【0043】
(実施形態2)
図7は本発明の実施形態2の医療用軟質容器の一例の斜視図であり、
図8は、
図7に示した医療用軟質容器の他の斜視図である。
【0044】
本実施形態の医療用軟質容器10は、吊り下げ部6の位置、排出用ポート3の位置、目盛り2cの角度が異なること以外は実施形態1の医療用軟質容器と同様の構成している。
図7及び
図8において、同一名称の部材については,実施形態1の医療用軟質容器の場合と同一の符号を付している。
【0045】
図7に示されるように、本実施形態の医療用軟質容器10では、吊り下げ用穴6aが開口部4の右側に形成されており、開口部4の上方には吊り下げ部がない。そのため、開口部4の上方に吊り下げ部6を有する実施形態1の医療用軟質容器よりも、液状物の収容部21への注入が容易であり、かつ、生産性が良好である点で好ましい。
【0046】
(実施形態3)
図9は本発明の実施形態3の医療用軟質容器の一例の斜視図である。
【0047】
本実施形態の医療用軟質容器11は、排出用ポート3に接続された可撓性チューブ(図示せず)等の送液回路を挿入可能とする、回路一時保持穴8を有していること、及び開閉操作部の幅W2(
図2A参照)が狭いこと、開閉操作部にスリットが形成されていないこと以外は実施形態1の医療用軟質容器1と同様の構成している。
図9において、同一名称の部材については,実施形態1の医療用軟質容器の場合と同一の符号を付している。
【0048】
医療用軟質容器11の回路一時保持穴8に、例えば、折り曲げた可撓性チューブを挿入すれば、医療用軟質容器11をスタンドに吊るす際や、医療用軟質容器11の収容部21に液状物を充填する際等に、経腸栄養供給システムの下流側を構成する部品(例えば、コネクタ54、コネクタカバー55等、
図6参照)が床に付くことを防止できる。
【0049】
(実施形態4)
図10は、本発明の実施形態4の医療用軟質容器の一例の斜視図であり、
図11Aは、
図10に示された医療用軟質容器の正面図であり、
図11Bは、
図10に示された医療用軟質容器の側面図であり、
図11Cは、
図10に示された医療用軟質容器の背面図である。
【0050】
本実施形態の医療用軟質容器12は、開閉操作部5bの上縁部52aの固定位置、吊り下げ用孔6aの形状、開閉操作部5a,5bの左右方向の幅W2(
図2A参照)がより小さいこと、開閉操作部5aにスリット5c(
図1参照)に代えて左右方向に所定の幅を有した孔5dが形成されていること、及び軟質プラスチックシート2a、2bの両方に目盛り2cが表示されていること以外は実施形態1の医療用軟質容器と同様の構成している。
図10〜
図12において、同一名称の部材については、実施形態1の医療用軟質容器の場合と同一の符号を付している。
【0051】
図11B及び
図11Cに示されるように、本実施形態の医療用軟質容器12では、開閉操作部5bの上縁部52aが吊り下げ部6の背面に固定されているので、
図12に示されるように、医療用軟質容器12を片手で把持し、その開口部4を開口させた時に、吊り下げ部6が開閉操作部5bによって下方に引っ張られる。故に、医療用軟質容器12では、貫通路7a,7bに各々指を挿入し、開口部4を構成する軟質プラスチックシート2a,2bを相互に引き離せば、おのずと吊り下げ部6が開口部4の外側に倒れ、且つ、その状態を保持できる。よって、医療用軟質容器12では、液状物の収容部21への注入がより行いやすくなり、好ましい。
【0052】
開閉操作部5bの上縁部52aの固定位置については、開閉操作部5bにより吊り下げ部6が効果的に下方に引っ張られる限り特に制限はないが、貫通路7a,7bに各々指を挿入し、開口部4を構成する軟質プラスチックシート2a,2bを相互に引き離した際に吊り下げ部6が開口部4の外側に倒れやすいという理由から、
図11Cに示されるように、吊り下げ部6の基端から上縁部52a迄の距離W3が15mm以上である好ましい。
【0053】
(実施形態5)
図13は、本発明の実施形態5の医療用軟質容器の一例の斜視図であり、
図14Aは、
図13に示された医療用軟質容器の正面図であり、
図14Bは、
図13に示された医療用軟質容器の側面図である。
【0054】
本実施形態の医療用軟質容器13は、開口部4の形状、吊り下げ用孔6aの形状、開閉操作部5a、5bにスリット5c(
図1参照)が形成されていないこと、及び、開閉操作部5a、5bの左右方向の幅W2(
図2A参照)がより小さいこと以外は実施形態1の医療用軟質容器と同様の構成している。
図13〜
図15において、同一名称の部材については,実施形態1の医療用軟質容器の場合と同一の符号を付している。
【0055】
本実施形態の医療用軟質容器13では、開口部4がその両側部にまち(脇まち)41a,41bを有していることから、
図15に示されるように、医療用軟質容器13を片手で把持し、その開口部4を開口させた時に、開口部4を大きく開くことできる。故に、医療用軟質容器13では、液状物の収容部21への注入がより行いやすくなり、好ましい。開口部4が開口されていないとき、まち41a,41bは、各々、折りたたまれて、軟質プラスチックシート2a,2bの間に挟まれている。
図14Aに示された例では、開口部4が開口されていないときに、医療用軟質容器13を正面から見た場合に見える、まち41a,41bの形状は、三角形であり、折り目411a,411bが1つ(
図15参照)であるが、折りたたまれたまち41a,41bの平面形状は、三角形に限定されず四角形でもよいし、折り目も一つ以上又は複数であってもよい。
【0056】
(実施形態6)
図16Aは、本発明の実施形態6の医療用軟質容器の一例の斜視図であり、
図16Bは、
図16Aに示された医療用軟質容器の開口部を開口させた状態における開口部を説明する模式平面図であり、
図17Aは、
図16Aに示された医療用軟質容器の正面図であり、
図17Bは、
図A16に示された医療用軟質容器の側面図である。
【0057】
本実施形態の医療用軟質容器14は、吊り下げ用孔6aの形状、開閉操作部5a,5bの形状、及び、開閉操作部5a,5bにスリット5c(
図1参照)が形成されていないこと以外は実施形態1の医療用軟質容器1と同様の構成している。
図16A〜
図17Bにおいて、同一名称の部材については,実施形態1の医療用軟質容器の場合と同一の符号を付している。
【0058】
本実施形態の医療用軟質容器14では、開閉操作部5a,5bの上縁部51a,52aにおける左右方向の幅W2
uが、例えば、実施形態1の医療用軟質容器1のそれより大きく、且つ、開閉操作部5a,5bの幅が下方に向かって漸次狭くなっている。この場合、軟質プラスチックシート2a,2bが相互に離れるように、開閉操作部5a,5bによってプラスチックシート2a,2bを引っ張ると、開口部4の左縁部付近42bおよび右縁部付近42aには、上記中央部42c側(例えば、矢印Yの方向)へ引っ張られる強い力が作用する。一方、開口部4の中央部42cは、左縁部付近42bおよび右縁部付近42aが矢印Yへ引っ張られる結果、軟質プラスチックシート2a,2bの距離が最も離れた箇所及びその近傍となり、しかも中央部42cにおける軟質プラスチックシート2a,2bの外形は、
図16Bに示されるように、自然なカーブを有する円弧状となり、例えば、開閉操作部5a,5bの幅が上下方向に一定であり、その幅が
図16Aに示した医療用軟質容器14の開閉操作部5a,5bの上縁部51a,52aにおける幅W2
uと等しい医療用軟質容器よりも、中央部42cにおける2枚のシート間の距離は大きくなる。また、開口部4が開口した状態の外形は、円または楕円に似た形状である。このように、医療用軟質容器14では、開口部4を大きく開くことができ、また、開口部4が開口した状態の外形も、液状物を注ぎやすい形状であり、好ましい。尚、幅W2
uが上下方向に一定でない場合は、最大幅をW2
uとする。
【0059】
尚、1対の開閉操作部5a,5bのうちの一方のみについて、開閉操作部5a,5bの上縁部51a,52aにおける左右方向の幅W2
uが、例えば、実施形態1の医療用軟質容器1のそれより大きく、且つ、開閉操作部5a,5bの幅が下方に向かって漸次狭くなっていてもよい。この場合も、開口部4を大きく開くことができ好ましい。
【0060】
幅W2
uの開口部4の幅(熱接着された部分の幅は含まれない。)W4に対する比(W2
u/W4)と、幅W2
uの開閉操作部5a,5bの下縁部51b,52bにおける左右方向の幅W2
d(上縁部51a,52aに近い側の辺の長さ)に対する比(W2
u/W2
d)は、開口部4を大きく開くことができるという理由から、各々、5/10〜10/10(=(W2
u/W4))、10/3〜10/7(=(W2
u/W2
d))が好ましく、より好ましくは6/10〜8/10、10/4〜10/6である。幅W2
uの長さは、操作者の手の大きさに応じて異なるが、例えば、5〜9cmが好ましく、より好ましくは6〜8cmである。
【0061】
尚、
図16A〜
図17Bを用いて説明した例では、開口部4および開閉操作部5a,5bは、排出用ポート3の中心軸の延長線を対称軸として左右対称な形状をしているので、利き手の如何に関わらず操作性がかわらないという理由から、より好ましい。しかし、本実施形態の医療用軟質容器14では、これに限定されず、例えば、
図18に示されるように、開閉操作部5a,5bは、各々非対称な形状であってもよい。
【0062】
(実施形態7)
図19は、本発明の実施形態7の医療用軟質容器の一例の斜視図であり、
図20Aは、
図19に示された医療用軟質容器の正面図であり、
図20Bは、
図19に示された医療用軟質容器の側面図であり、
図21は、
図19に示された医療用軟質容器を片手で把持し、その開口部を開口させた状態を示した図である。
【0063】
本実施形態の医療用軟質容器15は、開口部4の形状、および、開閉操作部5a,5bの形状以外は実施形態5の医療用軟質容器と同様の構成している。
図19〜
図21において、同一名称の部材については,実施形態5の医療用軟質容器の場合と同一の符号を付している。
【0064】
本実施形態の医療用軟質容器15では、実施形態5の医療用軟質容器と同様に、開口部4がその両側部にまち(脇まち)41a,41bを有している。
図21に示されているように、一方のまち41bの収容部21内に面する面411dの面積の方が、他方のまち41aの収容部21内に面する面411cの面積よりも小さい。そのため、例えば、指が短い人でも、まち41b側(開口部4の左側)から、貫通路7a,7bに各々指を挿入してまち41bを操作者の手のひらの近くに配置した状態で、プラスチックシート2a,2bを相互に引き離す操作を行えば、医療用軟質容器15のまち41a側において、軟質プラスチックシート2a,2bを相互に引き離す力を効率的に作用させることができる。故に、医療用軟質容器15は、指の長さの長短にかかわらず、大きな開口を確保でき、液状物の注入操作が行い易く、好ましい。
【0065】
ところで、収納部21内に液状物を注ぐ際、開口のうちの、2枚の軟質プラスチックシート2a,2b間の距離が最も離れた箇所及びその近傍に、液状物が入った容器の注ぎ口を位置させた状態で液状物を注入すると、注入作業が行い易い。しかし、注ぎ口の位置が医療用軟質容器を持つ手に近いと、液状物を注ぎにくい。
【0066】
図21に示されるように、医療用軟質容器15では、面411dの面積よりも、面411cの面積の方が大きいので、開口部4の幅方向のうち、医療用軟質容器15を持つ手に近いまち41b側よりも、医療用軟質容器15を持つ手から遠いまち41a側の方が、軟質プラスチックシート2a,2b間の距離が大きくなるように、開口部4を開口させることができる。故に、医療用軟質容器15では、医療用軟質容器を持つ手から遠いまち41aの近傍に液状物が入った容器の注ぎ口を位置させることで、液状物の注入操作を容易に行える。
【0067】
医療用軟質容器15では、実施形態6の医療用軟質容器14と同様に、開閉操作部5a,5bの上縁部における左右方向の幅W2
uが、例えば、実施形態1の医療用軟質容器1のそれより大きく、且つ、開閉操作部5a,5bの幅は、下方に向かって漸次狭くなっている。医療用軟質容器15では、幅W2
uの幅は、開口部4における未接着部分の幅W4とほぼ等しい。このように、幅W2
uが大きいと、指が短い人でも、医療用軟質容器15の41a側(手の平から遠い側)において軟質プラスチックシート2a,2b間の距離が大きくなるように、開口部4を開口させることがより容易に行えるので、好ましい。
【0068】
尚、
図21に示された様子は、作業者の利き手が右手であり左手で医療用軟質容器15を持つ場合を示している。しかし、軟質プラスチックシート2a、2bの両方に目盛り2cが表示されていれば、作業者の利き手の如何にかかわらず、液状物の注入の最中に目盛りを見ながら、医療用軟質容器15の液状物の注入が安定して行える。
【0069】
(実施形態8)
図22は、本発明の実施形態8の医療用軟質容器の一例の斜視図であり、
図23Aは、
図22に示された医療用軟質容器の正面図であり、
図23Bは、
図22に示された医療用軟質容器の側面図であり、
図23Cは、
図22に示された医療用軟質容器の背面図である。
【0070】
本実施形態の医療用軟質容器16は、可撓性袋部材2の上部および開口部4の形状、および、吊り下げ用孔6aの形状が丸ではなく三角であること、開閉操作部5aに孔が形成されていないこと以外は実施形態4の医療用軟質容器と同様の構成している。
図22〜
図23Cにおいて、同一名称の部材については,実施形態4の医療用軟質容器の場合と同一の符号を付している。
【0071】
図23Aおよび
図23Cに示されるように、本実施形態の医療用軟質容器16では、可撓性袋部材2のうちの、1対の開閉操作部5a、5bと上下方向同位置の部分において、各開閉操作部5a,5bから可撓性袋部材2の一方の側縁22bまでの長さW6、W8の方が、可撓性袋部材2の他方の側縁22aまでの長さW7、W9よりも短い。そのため、開閉操作部5a,5bまでの距離が短い可撓性袋部材2の側縁側から(
図23Aにおいては、開口部4の左側から)貫通路7a、7bに指を各々挿入し、軟質プラスチックシート2a,2bが相互に離れるように、指を各開閉操作部5a,5bの内面に押し付ければ、指が短い人でも、軟質プラスチックシート2a,2b間の距離が大きくなるように、開口部4を開口させることがより容易に行える。
【0072】
このように、可撓性袋部材2の形状が左右非対称である場合、吊り下げ用穴6aは、上記延長線40上にあると好ましい。この場合、医療用軟質容器16をスタンド等に吊るしたときに、収容部21の正面に表示された目盛りによって、収容部21内に収容された液状物の量を比較的正確に確認できる。
【0073】
また、上記延長線40は、各開閉操作部5a,5bを幅方向に2等分する中心線でもあるので、手で医療用軟質容器16を支えながら液状物を医療用軟質容器16内に注入する操作の安定性が高い。
【0074】
尚、各開閉操作部5a,5bを幅方向に2等分する中心線と、上記延長線40とは必ずしも一致していなくてもよい。
【0075】
(実施形態9)
図24は、本発明の実施形態9の医療用軟質容器の一例の斜視図であり、
図25Aは、
図24に示された医療用軟質容器の正面図であり、
図25Bは、
図24に示された医療用軟質容器の側面図である。
【0076】
本実施形態の医療用軟質容器17は、可撓性袋部材2の上部および開口部4の形状、および、開閉操作部5a、5bの取り付け位置および形状以外は実施形態8の医療用軟質容器と同様の構成している。
図24〜
図25Bにおいて、同一名称の部材については,実施形態8の医療用軟質容器の場合と同一の符号を付している。
【0077】
医療用軟質容器17は、可撓性袋部材2の幅が、可撓性袋部材2の上端部から下方に向かって漸次狭くなった部分A、部分Aよりも下方に配置され、開閉操作部5a、5bよりも下方の所定の箇所から可撓性袋部材2の上端部における幅とほぼ等しくなるまで漸次広くなった部分B、部分Bよりも下方に配置され、その幅が上下方向にほぼ一定であり可撓性袋部材2の上端部における幅と等しい部分Cとからなる。
【0078】
医療用軟質容器17は、実施形態8の医療用軟質容器16よりも可撓性袋部材2の上端部における幅が広いので、液状物の収納部21への注入が行い易い。また、医療用軟質容器17では、手が小さい人および/または指が短い人でも、開口部4の開口操作が行い易いように、部分Aのうちの可撓性袋部材2の幅がある程度狭くなった箇所に開閉操作部5a,5bが固定されている。具体的には、開閉操作部5a,5bの下縁部51b、52bのみならず上縁部51a,52aも、ジップ4a等の係合部よりも下方において、各々軟質プラスチックシート2a,2bに固定されている。
【0079】
本実施形態の医療用軟質容器において、ジップ4aと開閉操作部5a,5bとの位置関係については、開口部4の開口操作が容易に行える限り、
図24〜
図25Bに記載された例に限定されない。
【0080】
尚、実施形態1〜9の医療用軟質容器を例に挙げて本発明の医療用軟質容器を説明したが、各実施形態の医療用軟質容器の吊り下げ用穴6aの形状は、図示された形状に限定されない。