(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した特許文献1記載のスクリュキャップの回転補助機構を
図7(特許文献1の
図16)に示すと、回転補助部414と環状部412に、相互に対抗する位置に突起434と溝435を形成してあるので、製造後に両者を係合することによって製品としての形状は安定する。
しかし両者を繰り返して係合、離脱を行うと連結部の変形等が生じ、この変形に伴って掛かり具合が悪化し確実な係合が困難になるというおそれがあった。
また、この係合構造では、係合力が弱く比較的小さな衝撃や運搬、陳列等の作業中に意図しない離脱が起こるおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記のような課題を解決するために、本発明のスクリュキャップの回転補助機構は、スクリュキャップの胴筒部を囲繞する環状部と、環状部の外面に対して接近、乖離自在の回転補助腕とによって構成し、回転補助腕は、環状部にヒンジ状に連結して支点を成す連結部と、この連結部から比較的近い先端側に設けた回転止部と、連結部から比較的遠い先端側の自由端とを有し、連結部を支点として環状部に対して接近、乖離自在に構成し、環状部の中心軸から自由端までの距離が、乖離時には大きく、近接時には小さくなるように構成し、回転補助腕と環状部の一方には第一の係合部を、他方には第一の係合部に係合乖離自在な第二の係合部を形成し、連結部から第一の係合部までの距離と、連結部から第二の係合部までの距離を一致させずに寸法差乃至位置差を設け、この寸法差乃至位置差は、連結
部の変形によって吸収できる範囲であることを特徴とする。
また本発明のスクリュキャップの回転補助機構は、スクリュキャップの胴筒部を囲繞する環状部と、環状部の外面に対して接近、乖離自在の回転補助腕とによって構成し、回転補助腕は、環状部にヒンジ状に連結して支点を成す連結部と、この連結部から比較的近い先端側に設けた回転止部と、連結部から比較的遠い先端側の自由端とを有し、連結部を支点として環状部に対して接近、乖離自在に構成し、環状部の中心軸から自由端までの距離が、乖離時には大きく、近接時には小さくなるように構成し、回転補助腕と環状部の一方には第一の係合部を、他方には第一の係合部に係合乖離自在な第二の係合部を形成し、連結部から第一の係合部までの距離と、連結部から第二の係合部までの距離を一致させずに寸法差乃至位置差を設け、この寸法差乃至位置差は、連結部および回転補助腕の変形によって吸収できる範囲であることを特徴とする。
【0006】
また本発明のスクリュキャップの回転補助機構は、スクリュキャップ自体の胴筒部を構成する環状部と、環状部の外面に対して接近、乖離自在の回転補助腕とによって構成し、回転補助腕は、環状部にヒンジ状に連結して支点を成す連結部と、この連結部から比較的近い先端側に設けた回転止部と、連結部から比較的遠い先端側の自由端とを有し、連結部を支点として環状部に対して接近、乖離自在に構成し、環状部の中心軸から自由端までの距離が、乖離時には大きく、近接時には小さくなるように構成し、回転補助腕と環状部の一方には第一の係合部を、他方には第一の係合部に係合乖離自在な第二の係合部を形成し、連結部から第一の係合部までの距離と、連結部から第二の係合部までの距離を一致させずに寸法差乃至位置差を設け、この寸法差乃至位置差は、連結
部の変形によって吸収できる範囲であることを特徴とする。
また本発明のスクリュキャップの回転補助機構は、スクリュキャップ自体の胴筒部を構成する環状部と、環状部の外面に対して接近、乖離自在の回転補助腕とによって構成し、回転補助腕は、環状部にヒンジ状に連結して支点を成す連結部と、この連結部から比較的近い先端側に設けた回転止部と、連結部から比較的遠い先端側の自由端とを有し、連結部を支点として環状部に対して接近、乖離自在に構成し、環状部の中心軸から自由端までの距離が、乖離時には大きく、近接時には小さくなるように構成し、回転補助腕と環状部の一方には第一の係合部を、他方には第一の係合部に係合乖離自在な第二の係合部を形成し、連結部から第一の係合部までの距離と、連結部から第二の係合部までの距離を一致させずに寸法差乃至位置差を設け、この寸法差乃至位置差は、連結部および回転補助腕の変形によって吸収できる範囲であることを特徴とする。
【0007】
また本発明のスクリュキャップの回転補助機構は、前記のスクリュキャップの回転補助機構において、環状部と回転補助腕との間に、未使用時には両者を一時的に連結して固定状態とする、破断可能に設けた一時固定手段を有し、環状部と回転補助腕とを一時的に連結固定すると共に、使用時にはこの一時固手段を断裂させて環状部から回転補助腕を離脱状態とすることができるように構成しことを特徴とする。
【0008】
また本発明のスクリュキャップの回転補助機構は、前記のスクリュキャップの回転補助機構において一時固定手段が、接点状或いは短線状又は薄板状を成すことを特徴とする。
【0009】
また本発明のスクリュキャップの回転補助機構は、前記のスクリュキャップの回転補助機構において、一時固定部は、第一の係合部乃至第二の係合部上あるいは第一の係合部乃至第二の係合部と一体的に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のスクリュキャップの回転補助機構は以上説明したような構成により、次のような効果を得ることができる。
<1>第一の係合部と第二の係合部との相対的な位置差を設け、回転補助腕を環状部に接近させて第一の係合部と第二の係合部とを係合させた状態においては第一の係合部と第二の係合部とが互いに離脱し難くなる向きに付勢力が生じるように構成したことにより、係合状態を保持する力が向上し、装着時や保管時、運搬時、陳列時、鞄やポケット等に対する収容時、自動販売機等に対する収容時や動作時における意図しない離脱を高度に抑制することができる。
<2>第一の係合部と第二の係合部の位置をあえてずらしてあるので、使用者は多少の力を入れて押し込む必要があり、両者が係合する際には、適度なクリック感が得られると共に、係合部周辺の衝接によって「プチッ」というような衝接音を発生させることができる。このために両者の係合状態を、手指への抵抗感と音で確認でき、使用者は安心して使用することができる。
<3>両者を離脱させる場合も同様であり、その手指に伝わる軽い衝撃が快感となり、高い商品価値を提供することができる。
<4>更に、連結部とは別途に、未使用状態において回転補助腕と環状部とを互いに連結して一時的に固定する一時固定部を設け、使用時にはこの一時固定部を断裂させて環状部から回転補助腕を離脱状態とすることができるように構成したことにより、装着時や保管時、運搬時、陳列時、鞄やポケット等に対する収容時、自動販売機等に対する収容時や動作時における意図しない離脱を防止することができる上、未使用か使用済みかを判別することができる。
<5>特に、第一の係合部と第二の係合部とを寸法差乃至位置差をもって構成したことにより、一時固定部の設定部位を第一の係合部上乃至第二の係合部上にとることができ、未使用時には安定的に回転補助腕を保持させ、使用時には一時固定部を容易に断裂させることができるようになると共に、断裂した一時固定部の断裂片を、第一の係合部乃至第二の係合部として活用することができるように構成することも可能となる。
<6>一時固定部を設定して成形する場合には、第一の係合部と第二の係合部とを予め係合しておくという出荷前における初回の操作が不要となる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下図面を参照にしながら本発明のスクリュキャップの回転補助機構の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
<1>全体の特徴。
本発明のスクリュキャップAの回転補助機構Bは、環状部1と回転補助腕2とより構成するが、特に回転補助腕2を環状部1に係合自在に構成した点に特徴を有する。
したがって、環状部1がスクリュキャップA自体である場合にも、また環状部1をスクリュキャップAとは別の部品として製造しておき、必要に応じてスクリュキャップAに装着して使用する場合にも適用することができる。
以下では、環状部1をスクリュキャップAとは別部品として製造した場合について説明するが、以下の説明の「環状部」を「スクリュキャップ自体」に置き換えれば、両者が一体のタイプでも同様の構成を採用することができる。
【0014】
<2>環状部。
環状部1は、合成樹脂などの多少の弾性を備えた材料で製造した環状を成す部材である。
ただし、素材の限定などは特になく、合成樹脂の他、例えば金属などの剛性の素材を用いて構成することも可能である。
この環状部1の内径は、スクリュキャップAの胴筒部を囲繞することができるよう、一般のスクリュキャップAの胴筒部の外径同等以上の寸法に設定される。
【0015】
<3>圧接部。
環状部1は環状を成し、スクリュキャップAへの装着時にはスクリュキャップAの胴筒部を囲繞し、使用時には共回りさせるので、その内面の数か所に圧接部3を突設する。
圧接部3は、峰状の突出構造であってセレート状に構成する。
そしてこの圧接部3は、その個々が環状部1の中心軸に向かって起伏を有して形成し、環状部1の中心軸とほぼ平行に、一連に延設し、条状を成す。
環状部1の内面に、複数条にわたって圧接部3を突設することによって、スクリュキャップAを環状部1で囲繞して回転を与えた場合に、環状部1の回転が良好にスクリュキャップAに伝達して、環状部1の空回りを防止できる。
勿論、環状部1がスクリュキャップAの胴筒部を成す形態の場合においては、圧接部3は不要となる。
【0016】
<4>回転補助腕。
環状部1の外面には回転補助腕2を設ける。
この回転補助腕2は、環状部1に接近、乖離自在に取り付けたレバー状の部材であって、好ましくは長尺状に設定する。
回転補助腕2は、その中間の連結部21と、この連結部21に比較的近い側の先端部分の回転止部22と、連結部21から比較的遠い側の先端の自由端23を備えている。
【0017】
<5>連結部。
回転補助腕2は、環状部1の外周面に連結部21を支点として取り付ける。
連結部21は、ヒンジ機能を備えたものであって、環状部1の外表面に、環状部1の上端側から下端側にかけて、あるいは中間等に設けて構成する。
すなわち連結部21は、回転補助腕2の中間に位置して環状部1と連結しており、回転補助腕2の回転の際の支点となる。
連結部21の形状は帯状の薄板とし、その表裏面が成す平面形状における両線が、略双曲線状を成すような構成を採用することもできる。
さらに図示省略するが、連結部21は各種の形状の板や筒体、あるいは軸ピンを用いて蝶番状に構成することもできる。
【0018】
<6>回転補助腕の機能。
回転補助腕2は以上のように構成してある。
そのために
図3に示すように、回転補助腕2は、その自由端23に対して環状部1から離れる方向に力を作用させた場合に、連結部21を支点として回転し、他端の作用点としての回転止部22が環状部1の側面へ接近して当接する。
【0019】
<7>回転補助腕の寸法。
上記の回転補助腕2を有効に作用させるために、一定の寸法の関係を満たすことが好ましい。
すなわち、連結部21から自由端23までの距離は、連結部21から回転止部22までの距離より長く設定する。
その結果、梃子の原理のとおり、より小さな力でより大きな回転力を環状部1に与えることができる。
【0020】
<8>天部。
環状部1は、スクリュキャップAの上面をも囲繞することができるように、環状部1の上部を閉塞する天部4を設けることができる。この場合、広告等の表示領域をより広く確保することができる。
勿論、天部4の構成は、上述のように環状部1の上端を閉塞するものに限られるものではなく、環状部1の上端縁に沿って半径方向内向きに延びた「ひさし」状の環状天部4を形成した構成を採用することもできる。
天部4を設けない構造の場合には、異なったサイズのキャップへの対応性が向上する。
【0021】
<9>一時固定部。(
図6)
一時固定部5は、未使用状態において環状部1に対して回転補助腕2を一時的に固定するための部分である。
その形状は、環状部1と回転補助腕2との間を連結した接点状、あるいは短線状、または薄板状等のように形成する。
特に、一時固定部5の設定部位は、第一の係合部乃至第二の係合部上あるいは第一の係合部乃至第二の係合部と一体的に構成することもできる。
このように一時固定部5によって、環状部1と回転補助腕2とを連結部21以外の箇所で互いを連結し安定的に固定していることにより、環状部1と回転補助腕2とは一体状態となっている。
そのために未使用時には、回転補助腕2が自動販売機の内部やカバンの内部、あるいは保管時、運搬時等に意図せずして回動したり、引っ掛かったりてしまうことが防止される。
使用時には、設定値以上の外力を回転補助腕2に与えて一時固定部5を断裂させる。
この断裂の感覚によって、回転補助機構が未使用であることを確認することができる。特に、環状部1が容器のスクリュキャップの胴筒部を成す場合には、この断裂の感覚によって、スクリュキャップが未開封であることを確認することができる。
【0022】
<10>回転補助腕の仮固定。
回転補助腕2が意図せず連結部21を中心として回動することを防止するために、回転補助腕2を環状部1に対して仮固定する。
仮固定のために、回転補助腕2側には第一の係合部を、環状部1側にはほぼ対向位置に第二の係合部を形成する。
係合部としては、一方を凹設した係合溝6とし、他方を突設した係合突起7として構成することができる。
またこれらの係合部の構成は、溝と突起の対でなければならないというものではなく、適度な係合力で互いを着脱可能に係合させることができればよく、例えば、位置をずらした突起と突起の対として構成したり、突起と穴の組合せによって構成することができる。あるいは磁石によって構成することができる。
【0023】
<11>寸法差、位置差。
本願発明の構成は、
図4、5に示すように、係合溝6と係合突起7とを係合させていない状態においては、上記両者の距離を異るように設定し、あえて寸法差乃至位置差aを設けて構成する点に特徴を有する。
両者の寸法について、
図5に示すように分かりやすく直線の状態で説明する。
図5aに示すように、支点である連結部21から係合溝6までの距離と、係合突起7までの距離の間に寸法差乃至位置差aを設定する。
この寸法差乃至位置差aが存在することによって、回転補助腕2の自由端23を環状部1に接近させた時に、係合溝6と係合突起7とは互いに係合できない位置関係となる。
【0024】
<12>寸法差乃至位置差の吸収。
そのために、使用者はさらに回転補助腕2の長手方向の中央部から自由端23の間の部位を環状部1側に向けて加圧する。
すると、回転補助腕2と連結部21は、弾性があって特に連結部21の可撓性から、これらが回転補助腕2の自由端23側に距離b分だけ変形する。
その結果、回転補助腕2の係合溝6は自由端23側に移動して係合突起7がその係合溝6の内部に係合する。
このように寸法差乃至位置差aは、回転補助腕2と連結部21の変形量bによって吸収できる範囲に設定してあることを特徴とする。
【0025】
<13>係合感。
寸法差を吸収して両者が係合する際、係合部分周辺の衝接によって、係合部分周辺から「プチッ」というような衝接音が発せされる。
それと共に、使用者には適度なクリック感が得られ、体感性の良好な係合感が得られる。
【0026】
<14>係合状態の高度な保持性。
勿論、係合状態においては、連結部21周辺には弾性変形による付勢力が作用する上、係合突起7の先端と係合溝6の溝底が、平面的に見て回転補助腕2の自由端23側に傾斜して設けられていることによって、回転補助腕2を環状部1に仮固定する高度な保持力が得られる。
【0027】
<15>使用方法。
次に実際の使用方法について説明する。
【0028】
<16>準備。
例えば、出荷時には回転補助腕2と環状部1は係合溝6と係合突起7が互いに係合した状態、あるいは係合溝6と係合突起7とは互いに係合していないが一時固定部5によって回転補助腕2が環状部1に対してしっかりと一時的に固定されている状態にあり、荷姿は安定している。
使用に際してはまずこの環状部1をスクリュキャップAの上から嵌合する。
次に回転補助腕2の自由端23側に適当な手指を当て、他の手等でボトルを押さえて自由端23を押し出す。
すると係合溝6から係合突起7が「パッ」という音を発して離脱する。
回転補助腕2が一時固定部5によって環状部1に対して固定されている場合には、指の押出しによって一時固定部が「プチッ」と破断して環状部から回転補助腕が解放される。
【0029】
<17>回転の付与。
回転補助腕2を引き離したら、そのまま手あるいは手指を回転補助腕2に掛けて回転力を加えれば、環状部1に回転を与えることができる。
その結果、環状部1が嵌合しているキャップに回転を与えることができ、より小さな力でキャップを回し外すことができる。
回転の付与は指先だけではなく、あごや物の角を利用しても行うことができる。
このように、容器のキャップの操作が苦手な人にとってはその操作が極めて容易となるが、若者にとってもひとつのファッションとして利用される可能性の高い製品である。
使用後には再度、回転補助腕2を環状部1に近づけ、多少の圧力を加えれば、係合突起7と係合溝6との寸法差aを、連結部21の変形量bで吸収して、両者を「パチッ」という音とともに係合させることができる。
【0030】
<18>スクリュキャップ本体として。(
図2)
上記の説明は、スクリュキャップAとは別の部材として環状部1を製造し、使用時には環状部1をスクリュキャップAに嵌合して使用する構成を中心に行った。
しかし前記したように環状部1をスクリュキャップAと別部材で構成することは必須の要件ではなく、スクリュキャップA自体を環状部1として構成し、スクリュキャップAの側面に上記の構成の回転補助腕2を取り付ける構成を採用することもできる。
したがって本願発明の「環状部1」とは、スクリュキャップAと独立した部材である場合も、スクリュキャップA自体の構成要素である場合も含むものである。