特許第5661362号(P5661362)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5661362
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】段ボール箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/10 20060101AFI20150108BHJP
【FI】
   B65D5/10 J
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2010-165927(P2010-165927)
(22)【出願日】2010年7月23日
(65)【公開番号】特開2012-25434(P2012-25434A)
(43)【公開日】2012年2月9日
【審査請求日】2013年7月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】503276300
【氏名又は名称】東北紙器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093148
【弁理士】
【氏名又は名称】丸岡 裕作
(72)【発明者】
【氏名】山本 直之
【審査官】 結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−001718(JP,A)
【文献】 特開2004−284669(JP,A)
【文献】 特公昭42−025259(JP,B1)
【文献】 実開昭52−080725(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/10
B65D 85/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の端壁から夫々連設された一対の上端フラップ及び一対の側壁から夫々連設された一対の上側フラップを有し、上記上側フラップの両側端部に上記上端フラップの外側の上外側角部が該上側フラップの表面側から差し込まれて係合する差込孔を形成し、上記上端フラップの上外側角部を上記差込孔に差し込んで上記上端フラップの両側端部及び上記上側フラップの両側端部を重ねた状態で、上記上端フラップの端縁及び上記上側フラップの端縁によって天面に開口を形成してなる段ボール箱において、
上記少なくとも何れか一方の上側フラップに、該上側フラップの上記開口を構成する端縁から切欠き形成されるとともに、少なくとも一方の上端フラップの端縁に沿う切欠き面を有し、上記上端フラップの端縁を手で支承したとき手の一部が挿入可能な切欠き部を設けたことを特徴とする段ボール箱。
【請求項2】
上記切欠き部を、上記一対の上端フラップの端縁に夫々対応して設けたことを特徴とする請求項1記載の段ボール箱。
【請求項3】
上記切欠き部を、上記開口の対角位置に設けたことを特徴とする請求項2記載の段ボール箱。
【請求項4】
上記差込孔の一部を構成するとともに上記上側フラップの上記側壁に対する上側連設線上に起立し上記上端フラップの上記上外側角部の外側縁に対峙する起立部を設けたことを特徴とする請求項1乃至3何れかに記載の段ボール箱。
【請求項5】
上記上端フラップの両側縁部に該上端フラップの端縁から左右対称位置に切り込みを入れ、該上端フラップの切り込みより外側に上記上外側角部を形成し、上記上端フラップの切り込みより内側に上中間片部を形成し、該上端フラップの上記端壁に対する上端連設線と上記上中間片部の端縁との間の距離を、上記上端連設線と上記上外側角部の端縁との間の距離より短く形成したことを特徴とする請求項1乃至4何れかに記載の段ボール箱。
【請求項6】
一対の端壁から夫々連設された一対の下端フラップ及び一対の側壁から夫々連設され互いの端縁が接合する一対の下側フラップを備えて構成し、上記下側フラップの両側端部に上記下端フラップの外側の下外側角部が該下側フラップの表面側から差し込まれて係合する差入孔を形成し、上記下端フラップの下外側角部を上記差入孔に差し込んで上記下端フラップの両側端部及び上記下側フラップの両側端部を重ねた状態で保持することを特徴とする請求項1乃至5何れかに記載の段ボール箱。
【請求項7】
上記下端フラップの両側縁部に該下端フラップの端縁から左右対称位置に切り込みを入れ、該下端フラップの切り込みより外側に上記下外側角部を形成し、上記下端フラップの切り込みより内側に下中間片部を形成し、該下端フラップの上記端壁に対する下端連設線と上記下中間片部の端縁との間の距離を、上記下端連設線と上記下外側角部の端縁との間の距離より短く形成したことを特徴とする請求項6記載の段ボール箱。
【請求項8】
上記一対の上端フラップ及び一対の上側フラップの少なくとも何れかの表面に防滑剤を塗布したことを特徴とする請求項1乃至7何れかに記載の段ボール箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レタス等の野菜を始め種々の品物を収納する段ボール箱に係り、特に、天面に開口を形成して内部の品物が見えるようにした段ボール箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の段ボール箱としては、例えば、特許文献1(特開2003−312639号公報)に記載されたものが知られている。
図9及び図10に示すように、この従来の段ボール箱Baは、一対の端壁100から夫々連設された一対の上端フラップ101及び一対の側壁110から夫々連設された一対の上側フラップ111を有し、上側フラップ111の両側端部112に上端フラップ101の外側の上外側角部102が上側フラップ111の表面側から差し込まれて係合する差込孔113を形成し、上端フラップ101の上外側角部102を差込孔113に差し込んで上端フラップ101の両側端部103及び上側フラップ111の両側端部112を重ねた状態で、上端フラップ101の端縁104及び上側フラップ111の端縁114によって天面120に開口121を形成してなる。また、上端フラップ101には、段ボール箱Baの内部に品物が収容された状態で段ボール箱Baを持ち運ぶ際に把持する把持孔105が形成されている。
【0003】
この段ボール箱Baにおいて内部に品物を収納した状態で天面120を閉じる際は、上側フラップ111の差込孔113に上端フラップ101の上外側角部102を上側フラップ111の表面側から差し込んで上側フラップ111の両側端部112に上端フラップ101の両側端部103を夫々重ねる。これにより、上端フラップ101が上側フラップ111によって押えられ、上側フラップ111が上端フラップ101によって押えられ、天面120に開口121が形成されて、天面120が閉じられる。
そして、この従来の段ボール箱Baの内部に品物を収容した状態で段ボール箱Baを持ち運ぶときは、上端フラップ101に形成された把持孔105に手を挿入し、把持孔105を構成する壁部105aを手で支承して段ボール箱を持ち上げることにより行なう。この場合、両方の把持孔105にそれぞれ手を挿入して両手で持ち、あるいは、一方の把持孔105のみに手を挿入して片手で持つようにする。ところで、この片手で持つやり方においては、把持孔105の幅が狭いので、持ちにくいことから、例えば、図10に示すように、開口121に手を入れて上端フラップ101の端縁104を手で支承して持つことも行なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−312639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この従来の段ボール箱Baにおいて、開口121に手を入れて上端フラップ101の端縁104を手で支承して持つ場合、上端フラップ101を手で支承することはできるが、上側フラップ111は手で支承できないので、差込孔113から上外側角部102が抜けて外れることがあるという問題があった。
また、開口121の幅には限界があり、手を挿入しにくいことがあるので、それだけ、段ボール箱Baを持ちにくいという問題もある。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、開口に手を入れて上端フラップの端縁を手で支承して持つ場合に、差込孔から上外側角部を外れにくくして持つことができるようにするとともに、手を容易に入れて支承しやすくした段ボール箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するため、本発明の段ボール箱は、一対の端壁から夫々連設された一対の上端フラップ及び一対の側壁から夫々連設された一対の上側フラップを有し、上記上側フラップの両側端部に上記上端フラップの外側の上外側角部が該上側フラップの表面側から差し込まれて係合する差込孔を形成し、上記上端フラップの上外側角部を上記差込孔に差し込んで上記上端フラップの両側端部及び上記上側フラップの両側端部を重ねた状態で、上記上端フラップの端縁及び上記上側フラップの端縁によって天面に開口を形成してなる段ボール箱において、上記少なくとも何れか一方の上側フラップに、該上側フラップの上記開口を構成する端縁から切欠き形成されるとともに、少なくとも一方の上端フラップの端縁に沿う切欠き面を有し、上記上端フラップの端縁を手で支承したとき手の一部が挿入可能な切欠き部を設けた構成としている。
【0008】
これにより、本段ボール箱において内部に品物を収納した状態で天面を閉じる際は、上側フラップの差込孔に上端フラップの上外側角部を上側フラップの表面側から差し込んで上側フラップの両側端部に上端フラップの上外側角部を夫々重ねる。これにより、上端フラップが上側フラップによって押えられ、上側フラップが上端フラップによって押えられ、天面に開口が形成されて、天面が閉じられる。
【0009】
そして、この段ボール箱の内部に品物を収容した状態で段ボール箱を持ち運ぶときは、例えば、開口に手を入れて上端フラップの端縁を手で支承して持つことも行なう。この際、切欠き部に手の一部を挿入して、上端フラップの端縁とともに切欠き部の切欠き面を手で支承するようにする。
【0010】
この場合、開口を構成する上端フラップの端縁のみならず、切欠き部の切欠き面も手で把持可能なので、即ち、上端フラップの端縁と切欠き部の切欠き面とを手で同時に支承するので、段ボール箱を持った際に、差込孔から上外側角部が抜けて外れる事態を防止することができる。
また、切欠き面が上端フラップの端縁に沿って形成されているので、開口の幅を大きくすることができ、そのため、手を挿入して支承しやすくなるので、段ボール箱を持ちやすくすることができる。
【0011】
そして、必要に応じ、上記切欠き部を、上記一対の上端フラップの端縁に夫々対応して設けた構成としている。
これにより、一対の上端フラップのどちら側を把持しても良いので、操作性を向上させることができる。
【0012】
また、必要に応じ、上記切欠き部を、上記開口の対角位置に設けた構成としている。
これにより、一方の上側フラップだけではなく、両方の上側フラップに切欠き部が設けられることになるので、バランスが良くなり、そのため、上側フラップの強度の不均衡を抑止することができる。
【0013】
更に、必要に応じ、上記差込孔の一部を構成するとともに上記上側フラップの上記側壁に対する上側連設線上に起立し上記上端フラップの上記上外側角部の外側縁に対峙する起立部を設けた構成としている。
【0014】
これにより、上端フラップを差込孔に差し込むと、上端フラップの上外側角部の外側縁が起立部に対峙するようになるので、開口に手を入れて上端フラップの端縁を手で支承して持った際、上端フラップが、その端縁に沿う方向に移動しようとしても、上端フラップの上外側角部の外側縁が起立部に衝突して係止されるようになるので、上端フラップの端縁に沿う方向への移動を防止することができ、そのため、手で上端フラップを確実に支承することができる。また、上端フラップが移動しにくくなるので、段ボール箱の保持強度が損なわれることを防止することができる。
【0015】
更にまた、必要に応じ、上記上端フラップの両側縁部に該上端フラップの端縁から左右対称位置に切り込みを入れ、該上端フラップの切り込みより外側に上記上外側角部を形成し、上記上端フラップの切り込みより内側に上中間片部を形成し、該上端フラップの上記端壁に対する上端連設線と上記上中間片部の端縁との間の距離を、上記上端連設線と上記上外側角部の端縁との間の距離より短く形成した構成としている。
【0016】
これにより、上端フラップの上外側角部を差込孔に差し込んで上端フラップを差込孔に差し込むと、上中間片部は上側フラップに重なるようになるが、このとき、差込孔の周縁部が切り込みに入り込み、上中間片部は切り込みにより上外側角部とは別に移動して上側フラップに重なるようになる。この場合、上端フラップの上端連設線と上中間片部の端縁との間の距離を上端連設線と上外側角部の端縁との間の距離よりも短く形成しているので、上外側角部がある程度差込孔に差し込まれてから上中間片部が上側フラップに重なるようになるので、邪魔にならず、そのため、上端フラップを差込孔に差し込みやすくすることができる。
【0017】
そして、また、必要に応じ、一対の端壁から夫々連設された一対の下端フラップ及び一対の側壁から夫々連設され互いの端縁が接合する一対の下側フラップを備えて構成し、上記下側フラップの両側端部に上記下端フラップの外側の下外側角部が該下側フラップの表面側から差し込まれて係合する差入孔を形成し、上記下端フラップの下外側角部を上記差入孔に差し込んで上記下端フラップの両側端部及び上記下側フラップの両側端部を重ねた状態で保持する構成としている。
【0018】
これにより、段ボール箱を組み立てて段ボール箱の底壁を構築するときは、一対の下側フラップの互いの端縁を接合させ、下側フラップの差入孔に下端フラップの下外側角部を下側フラップの表面側から差し込んで下側フラップの両側端部に下端フラップの下外側角部を夫々重ねて保持する。これにより、下端フラップが下側フラップによって押えられ、下側フラップが下端フラップによって押えられるので、底壁の強度を向上させることができる。
【0019】
また、必要に応じ、上記下端フラップの両側縁部に該下端フラップの端縁から左右対称位置に切り込みを入れ、該下端フラップの切り込みより外側に上記下外側角部を形成し、上記下端フラップの切り込みより内側に下中間片部を形成し、該下端フラップの上記端壁に対する下端連設線と上記下中間片部の端縁との間の距離を、上記下端連設線と上記下外側角部の端縁との間の距離より短く形成した構成としている。
【0020】
これにより、下端フラップの下外側角部を差入孔に差し込んで下端フラップを差入孔に差し込むと、下中間片部は下側フラップに重なるようになるが、このとき、差入孔の周縁部が切り込みに入り込み、下中間片部は切り込みにより下外側角部とは別に移動して下側フラップに重なるようになる。この場合、下端フラップの下端連設線と下中間片部の端縁との間の距離を下端連設線と下外側角部の端縁との間の距離よりも短く形成しているので、下外側角部がある程度差入孔に差し込まれてから下中間片部が下側フラップに重なるようになるので、邪魔にならず、そのため、下端フラップを差入孔に差し込みやすくすることができる。
【0021】
更に、必要に応じ、上記一対の上端フラップ及び一対の上側フラップの少なくとも何れかの表面に防滑剤を塗布した構成としている。
これにより、段ボール箱の天面に防滑剤が塗布されるので、段ボール箱を積み上げたときに、上側に位置する段ボール箱の底壁が下側に位置する段ボール箱の天面に対して滑らなくなり、そのため、段ボール箱の積み上げ時の安定性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の段ボール箱によれば、上側フラップの差込孔に上端フラップの上外側角部を上側フラップの表面側から差し込んで上側フラップの両側端部に上端フラップの上外側角部を夫々重ねた状態で、内部に品物を収容して持ち運ぶときは、例えば、開口に手を入れて上端フラップの端縁を手で支承して持つことも行なう。この際、切欠き部に手の一部を挿入して、上端フラップの端縁とともに切欠き部の切欠き面を手で支承するようにする。この場合、開口を構成する上端フラップの端縁のみならず、切欠き部の切欠き面も手で把持可能なので、即ち、上端フラップの端縁と切欠き部の切欠き面とを手で同時に支承するので、段ボール箱を持った際に、差込孔から上外側角部が抜けて外れる事態を防止することができる。また、切欠き面が上端フラップの端縁に沿って形成されているので、開口の幅を大きくすることができ、そのため、手を挿入して支承しやすくなるので、段ボール箱を持ちやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施の形態に係る段ボール箱を示す斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係る段ボール箱を示す展開図である。
図3】本発明の実施の形態に係る段ボール箱を、その天面を閉じた状態で示す斜視図である。
図4】本発明の実施の形態に係る段ボール箱を底壁側から見た斜視図である。
図5】本発明の実施の形態に係る段ボール箱を、その底壁を構築した状態で底壁側から見た斜視図である。
図6】本発明の実施の形態に係る段ボール箱の組み立て手順を示す斜視図である。
図7】本発明の実施の形態に係る段ボール箱を手で持った状態で示す斜視図である。
図8】本発明の実施の形態に係る段ボール箱を、開口に手を挿入して持つ際の要部拡大図である。
図9】従来の段ボール箱の一例を示す斜視図である。
図10】従来の段ボール箱を、開口に手を入れて上端フラップの端縁を手で支承して持った状態で示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施の形態に係る段ボール箱を説明する。
図1乃至図8には、本発明の実施の形態に係る段ボール箱Bを示している。この段ボール箱Bは、一対の矩形状の端壁1から夫々連設された一対の上端フラップ10及び一対の矩形状の側壁20から夫々連設された一対の上側フラップ30を有し、上側フラップ30の両側端部31に上端フラップ10の外側の上外側角部11が上側フラップ30の表面側から差し込まれて係合する差込孔32が形成され、上端フラップ10の上外側角部11を差込孔32に差し込んで上端フラップ10の両側端部12及び上側フラップ30の両側端部31を重ねた状態で、上端フラップ10の端縁13及び上側フラップ30の端縁33によって天面40に開口41を形成するものである。一対の端壁1には、段ボール箱Bを両手で持つ際に、手が挿入される把手孔4が形成されている。
【0025】
一対の上端フラップ10は、矩形状に形成され、その両側縁部12に上端フラップ10の端縁13から左右対称位置に切り込み14が入れられており、この切り込み14より外側に上外側角部11が形成され、切り込み14より内側に上中間片部15が形成されている。また、上端フラップ10の端壁1に対する上端連設線2と上中間片部15の端縁13との間の距離L1が、上端連設線2と上外側角部11の端縁13との間の距離L2より短く形成されている。更に、この上端フラップ10の表面には、その上中間片部15に、例えばニス等の防滑剤42が塗布されている。
【0026】
一対の上側フラップ30は、矩形状に形成され、上側フラップ30の開口41を構成する端縁33から切欠き形成されるとともに、上端フラップ10の端縁33に沿う切欠き面34aを有し、上端フラップ10の端縁13を手で支承したとき手の一部が挿入可能な切欠き部34が設けられている。この切欠き部34は、一対の上端フラップ10の端縁13に夫々対応して、開口41の対角位置に一対設けられている。
【0027】
この上側フラップ30には差込孔32が一対形成されている。この差込孔32は、凸型に形成されており、上側フラップ30に一端32a以外が切り込まれて形成されている。また、差込孔32の一端32aから上側フラップ30の下側に向けて垂れて舌片35が形成されている。この差込孔32には、差込孔32の一部を構成するとともに上側フラップ30の側壁20に対する上側連設線21上に起立し上端フラップ10の上外側角部11の外側縁11aに対峙する起立部36が設けられている。
また、この上側フラップ30の表面には、一対の差込孔32の間に、例えばニス等の防滑剤42が塗布されている。
【0028】
また、本段ボール箱Bは、一対の端壁1から夫々連設された一対の下端フラップ50及び一対の側壁20から夫々連設され互いの端縁63が接合する一対の下側フラップ60を備えて構成されている。この下側フラップ60の両側端部61に下端フラップ50の外側の下外側角部51が下側フラップ60の表面側から差し込まれて係合する差入孔62が形成され、下端フラップ50の下外側角部51を差入孔62に差し込んで下端フラップ50の両側端部52及び下側フラップ60の両側端部61を重ねた状態で保持している。
【0029】
一対の下端フラップ50は、矩形状に形成され、その両側縁部52に下端フラップ50の端縁53から左右対称位置に切り込み54が入れられており、この切り込み54より外側に下外側角部51が形成され、切り込み54より内側に下中間片部55が形成されている。また、下端フラップ50の端壁1に対する下端連設線3と下中間片部55の端縁53との間の距離L3が、下端連設線3と下外側角部51の端縁53との間の距離L4より短く形成されている。
【0030】
一対の下側フラップ60は、矩形状に形成され、差入孔62が一対形成されている。この差入孔62は、凸型に形成されており、下側フラップ60に一端62a以外が切り込まれて形成されている。また、差入孔62の一端62aから垂れて舌片64が形成されている。
【0031】
本発明の実施の形態に係る段ボール箱Bを製造するときは、例えば、段ボール紙を一つの段ボール箱Bに必要な大きさに一枚ずつ裁断し、この裁断した段ボール紙の組み立て時に外側面を形成する表面に、例えば、青色や緑色等の色付きインクを用いて文字を印字し、その後、一対の上端フラップ10及び一対の上側フラップ30の印字部分以外の部分に、ニス等の防滑剤42を塗布し、それから、上端フラップ10に切り込み14を入れて上中間片部15の端縁13側を切断するとともに上側フラップ30に差込孔32が形成されるように切り込みを入れ、下端フラップ50に切り込み54を入れて下中間片部55の端縁53側を切断するとともに下側フラップ60に差入孔62が形成されるように切り込みを入れ、端壁1に把手孔4が形成されるように端壁1を刳り貫き、この段ボール紙を折り畳むことにより行なう。
【0032】
従って、本発明の実施の形態に係る段ボール箱Bにおいて、内部に品物を収納した状態で天面40を閉じる際は、以下のようにして行なう。
先ず、底壁70を構築して段ボール箱Bを組み立てる。組み立ては、図4及び図5に示すように、一対の下側フラップ60の互いの端縁63を接合させ、下側フラップ60の差入孔62に下端フラップ50の下外側角部51を下側フラップ60の表面側から差し込んで下側フラップ60の両側端部61に下端フラップ50の両側端部52を夫々重ねて保持する。この場合、下端フラップ50の下外側角部51を差入孔62に差し込んで下端フラップ50を差入孔62に差し込むと、下中間片部55は下側フラップ60に重なるようになるが、このとき、差入孔62の周縁部が切り込み54に入り込み、下中間片部55は切り込み54により下外側角部51とは別に移動して下側フラップ60に重なるようになる。この場合、下端フラップ50の下端連設線3と下中間片部55の端縁53との間の距離L3を下端連設線3と下外側角部51の端縁53との間の距離L4よりも短く形成しているので、下外側角部51がある程度差入孔62に差し込まれてから下中間片部55が下側フラップ60に重なるようになるので、邪魔にならず、そのため、下端フラップ50を差入孔62に差し込みやすくすることができる。
これにより、下端フラップ50が下側フラップ60によって押えられ、下側フラップ60が下端フラップ50によって押えられるので、底壁70の強度を向上させることができる。
【0033】
そして、内部に品物を収納し、天面40を閉じる。詳しくは、図6に示すように、上側フラップ30の差込孔32に上端フラップ10の上外側角部11を上側フラップ30の表面側から差し込んで上側フラップ30の両側端部31に上端フラップ10の両側端部12を夫々重ねる。この場合、上端フラップ10の上外側角部11を差込孔32に差し込んで上端フラップ10を差込孔32に差し込むと、上中間片部15は上側フラップ30に重なるようになるが、このとき、差込孔32の周縁部が切り込み14に入り込み、上中間片部15は切り込み14により上外側角部11とは別に移動して上側フラップ30に重なるようになる。この場合、上端フラップ10の上端連設線2と上中間片部15の端縁13との間の距離L1を上端連設線2と上外側角部11の端縁13との間の距離L2よりも短く形成しているので、上外側角部11がある程度差込孔32に差し込まれてから上中間片部15が上側フラップ30に重なるようになるので、邪魔にならず、そのため、上端フラップ10を差込孔32に差し込みやすくすることができる。
これにより、上端フラップ10が上側フラップ30によって押えられ、上側フラップ30が上端フラップ10によって押えられ、天面40に開口41が形成されて、天面40が閉じられる。
【0034】
そして、この段ボール箱Bの内部に品物を収容した状態で段ボール箱Bを持ち運ぶときは、例えば、一対の端壁1に形成された把手孔4にそれぞれ手を挿入して両手で段ボール箱Bを持つ、あるいは、例えば、図7に示すように、開口41に手を入れて上端フラップ10の端縁13を片手で支承して持つことも行なう。この片手で持つ際は、切欠き部34に手の一部を挿入して、上端フラップ10の端縁13とともに切欠き部34の切欠き面34aを手で支承するようにする。
【0035】
この場合、開口41を構成する上端フラップ10の端縁13のみならず、切欠き部34の切欠き面34aも手で把持可能なので、即ち、上端フラップ10の端縁13と切欠き部34の切欠き面34aとを手で同時に支承するので、段ボール箱Bを持った際に、差込孔32から上外側角部11が抜けて外れる事態を防止することができる。
【0036】
また、切欠き面34aが上端フラップ10の端縁13に沿って形成されているので、開口41の幅を大きくすることができ、そのため、手を挿入して上端フラップ10の端縁13及び切欠き部34の切欠き面34aを支承しやすくなるので、段ボール箱Bを持ちやすくすることができる。
【0037】
更に、上端フラップ10を差込孔32に差し込むと、図8に示すように、上端フラップ10の上外側角部11の外側縁11aが起立部36に対峙するようになるので、開口41に手を入れて上端フラップ10の端縁13を手で支承して持った際、上端フラップ10が、その端縁13に沿う方向に移動しようとしても、上端フラップ10の上外側角部11の外側縁11aが起立部36に衝突して係止されるようになるので、上端フラップ10の端縁13に沿う方向への移動を防止することができ、そのため、手で上端フラップ10を確実に支承することができる。また、上端フラップ10が移動しにくくなるので、段ボール箱Bの保持強度が損なわれることを防止することができる。
【0038】
更にまた、切欠き部34が一対の上端フラップ10の端縁13に夫々対応して設けられているので、一対の上端フラップ10のどちら側でも把持することができるようになり、そのため、操作性を向上させることができる。また、切欠き部34が開口41の対角位置に設けられているので、一方の上側フラップ30だけでなく、両方の上側フラップ30に切欠き部34が設けられることになり、そのため、バランスが良くなり、それだけ、上側フラップ30の強度の不均衡を抑止することができる。
【0039】
そして、この段ボール箱Bは、例えば倉庫等において、積み重ねられて保管される。このとき、段ボール箱Bの天面40に防滑剤42が塗布されているので、段ボール箱Bを積み上げた際に、上側に位置する段ボール箱Bの底壁70が下側に位置する段ボール箱Bの天面40に対して滑らなくなり、そのため、段ボール箱Bの積み上げ時の安定性を向上させることができる。
【0040】
尚、上記実施の形態において、段ボール箱Bを上記の手順で製造したが、必ずしもこれに限定されるものではない。
尚また、上記実施の形態において、防滑剤42を上端フラップ10と上側フラップ30との表面に塗布したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、下端フラップ50及び下側フラップ60の表面にも塗布して良く、適宜変更して差し支えない。この場合、天面40と底壁70とに防滑剤42が塗布されるようになるので、段ボール箱Bを積み重ねた際に、上側に位置する段ボール箱Bの底壁70が下側に位置する段ボール箱Bの天面40に対してより一層滑らなくなり、そのため、段ボール箱Bの積み上げ時の安定性をより一層向上させることができる。また、防滑剤42を下端フラップ50及び下側フラップ60の表面のみに塗布しても良い。
【符号の説明】
【0041】
B 段ボール箱
1 端壁
2 上端連設線
3 下端連設線
4 把手孔
10 上端フラップ
11 上外側角部
12 側端部
13 端縁
14 切り込み
15 上中間片部
20 側壁
21 上側連設線
30 上側フラップ
31 側端部
32 差込孔
33 端縁
34 切欠き部
34a 切欠き面
35 舌片
36 起立部
40 天面
41 開口
42 防滑剤
50 下端フラップ
51 下外側角部
52 側端部
53 端縁
54 切り込み
55 下中間片部
60 下側フラップ
61 側端部
62 差入孔
63 端縁
64 舌片
70 底壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10