特許第5661378号(P5661378)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5661378線形機構を有する多機能制御ハンドル付きカテーテル
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5661378
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】線形機構を有する多機能制御ハンドル付きカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/092 20060101AFI20150108BHJP
   A61M 25/00 20060101ALI20150108BHJP
   A61B 17/00 20060101ALI20150108BHJP
   A61B 5/0408 20060101ALI20150108BHJP
   A61B 5/0478 20060101ALI20150108BHJP
   A61B 5/0492 20060101ALI20150108BHJP
【FI】
   A61M25/00 309B
   A61M25/00 314
   A61B17/00 320
   A61B5/04 300J
【請求項の数】20
【外国語出願】
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2010-190478(P2010-190478)
(22)【出願日】2010年8月27日
(65)【公開番号】特開2011-45720(P2011-45720A)
(43)【公開日】2011年3月10日
【審査請求日】2013年5月30日
(31)【優先権主張番号】12/550,204
(32)【優先日】2009年8月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508080229
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・ウィリアム・シュルツ
【審査官】 金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0288656(US,A1)
【文献】 特開平02−283347(JP,A)
【文献】 米国特許第06491681(US,B1)
【文献】 特開2006−000649(JP,A)
【文献】 特表2006−504473(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/092
A61B 5/0408
A61B 5/0478
A61B 5/0492
A61B 17/00
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル本体と、
前記カテーテル本体の遠位にある偏向可能な中間区域と、
前記中間区域の遠位にあるマッピングアセンブリであって、該マッピングアセンブリはほぼ円形の部分を有する、マッピングアセンブリと、
前記カテーテル本体の近位にある制御ハンドルであって、該制御ハンドルは長手方向軸を有し、
偏向制御アセンブリ、並びに、
制御部材、内側回転部材、及び、前記制御ハンドルに固定されているカムを有する線形制御アセンブリを含み、該制御部材は該制御ハンドルの該長手方向軸に沿う線形運動に適合化された、制御ハンドルと、
前記中間区域を偏向させるように適合化された前記偏向制御アセンブリに反応する第1及び第2の牽引部材と、
前記マッピングアセンブリの前記ほぼ円形の部分を収縮させるように適合化された前記線形制御アセンブリに反応する第3の牽引部材と、
を含み、
前記制御部材が前記線形運動した場合に、前記内側回転部材が前記長手方向軸の周りに回転し、前記内側回転部材の回転に応じて、前記第3の牽引部材が、前記カム上に形成されたカム軌道に沿って、前記長手方向軸の方向に移動しつつ前記内側回転部材の回転方向に移動するようになっている、カテーテル。
【請求項2】
前記第3の牽引部材の近位端が、使用者による前記長手方向軸に沿う前記制御部材の線形運動が前記カテーテル本体に対して長手方向に前記第3の牽引部材を動かすように、前記線形制御アセンブリ内に係留される、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記内側回転部材が前記カム上に回転可能に搭載され、前記制御部材は前記内側回転部材を回転させるように適合化された突出部を有し、
前記線形制御アセンブリは前記第3の牽引部材の前記近位端が係留される従動部を含み、前記従動部は前記カム上に形成される前記カム軌道で摺動するように前記内側回転部材の動きに従うように適合化されている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記カム軌道が前記カムの本体の周りの螺旋形である、請求項3に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記突出部が、前記内側回転部材上に形成される軌道内に収容され、前記線形制御部材が前記長手方向軸に沿って前記制御ハンドルに対して動くと前記内側回転部材を回転させるように適合化されている、請求項3に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記突出部が、前記内側回転部材上に形成される前記軌道に到達するように、前記制御ハンドル内の凹開口部を通って伸びる、請求項5に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記突出部が、前記制御ハンドルの筐体と摺動可能に係合する、より幅広い部分を有する、請求項5に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記カム及び前記内側回転部材が共通の回転軸を有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記内側回転部材上の前記軌道が螺旋形である、請求項5に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記線形制御アセンブリが前記偏向制御アセンブリの近位にある、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記偏向制御アセンブリの張力を調整するように適合化された張力制御アセンブリを更に含む、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項12】
患者の心臓における使用のための多機能カテーテル制御ハンドルであって、
筐体と、
偏向アーム及びロッカー部材を有する偏向制御アセンブリと、
線形制御部材、内側回転部材、及び、前記制御ハンドルに固定されているカムを有し、該内側回転部材がカム上に回転可能に搭載されている、線形制御アセンブリと、
前記偏向制御アセンブリに係留された近位端を有する少なくとも1つの第1の牽引部材と、
前記線形制御アセンブリに係留された近位端を有する追加的な牽引部材と、
を含み、
前記線形制御部材が前記制御ハンドルの長手方向軸に沿って線形運動した場合に、前記内側回転部材が前記長手方向軸の周りに回転し、前記内側回転部材の回転に応じて、前記追加的な牽引部材が、前記カム上に形成されたカム軌道に沿って、前記長手方向軸の方向に移動しつつ前記内側回転部材の回転方向に移動するようになっている、多機能カテーテル制御ハンドル。
【請求項13】
前記線形制御部材が前記筐体上に搭載され、前記線形制御部材が、
前記筐体と摺動可能に係合する部分と、
前記筐体内の開口部を通って前記内側回転部材と係合する突出部と、
を有する、請求項12に記載の制御ハンドル。
【請求項14】
前記線形制御部材の線形運動が前記内側回転部材を回転させるように、前記突出部が前記内側回転部材上に形成される軌道内に収容される、請求項13に記載の制御ハンドル。
【請求項15】
前記線形制御アセンブリは、前記追加的な牽引部材の前記近位端が係留される従動部を含み、前記マッピングアセンブリを伸長又は収縮させるために前記カテーテル本体に対して前記追加的な牽引部材を動かすと、前記従動部は、前記カム上に形成される前記カム軌道で摺動するように前記内側回転部材の回転の動きに反応する、請求項14に記載の制御ハンドル。
【請求項16】
前記従動部が前記内側回転部材において形成される溝に位置し、前記溝が、前記追加的な牽引部材を前進又は後退させるように前記従動部の動きを誘導する、請求項15に記載の制御ハンドル。
【請求項17】
前記内側回転部材上の前記軌道が螺旋形である、請求項14に記載の制御ハンドル。
【請求項18】
前記カム軌道が螺旋形である、請求項15に記載の制御ハンドル。
【請求項19】
前記内側回転部材及び前記カムが、前記制御ハンドルの長手方向軸と、軸上で、共通の長手方向軸を有する、請求項12に記載の制御ハンドル。
【請求項20】
張力制御アセンブリを更に含む、請求項12に記載の制御ハンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテル、特に、このカテーテルの部分を偏向及び収縮させるための多重制御機構を有する制御ハンドル付きカテーテル、に関する。
【背景技術】
【0002】
電極カテーテルは医療業務において多年にわたり一般に用いられている。それらは心臓内の電気的活動を刺激及びマッピングすることに用いられ、更に異常な電気的活動の部位を除去することに用いられている。心房細動は、一般的な持続性心不整脈であり、脳卒中の主要な原因である。この症状は、リエントリーウェーブレットが異常心房組織基質内で伝播することにより、永続化される。ウェーブレットを遮断するために、外科的又はカテーテル媒介心房切開などの様々なアプローチが開発されてきた。症状の処置に先立って、最初にウェーブレットの位置を決定しなければならない。このような決定を行うために、構造の内部環境について、肺静脈、冠動脈洞又は他の管状構造内の活性を測定するのに適合化されているマッピングアセンブリ付きのカテーテルの使用などの様々な技術が提案されてきた。1つのこのようなマッピングアセンブリは、カテーテル本体に対してほぼ横断方向で遠位にあるほぼ円形の主領域を一般に含み、外周及び主領域に対して遠位にあるほぼ真っ直ぐな遠位領域を有する、管状構造を有する。管状構造は、マッピングアセンブリの少なくとも主領域を覆う非導電性カバーを含む。形状記憶を有する支持部材は、マッピングアセンブリの少なくとも主領域内に配置される。各々2つのリング電極を含む複数の電極対は、マッピングアセンブリのほぼ円形の主領域により支持される。
【0003】
使用中、電極カテーテルは、主要な静脈又は動脈、例えば大腿動脈、に配置されたガイドシースの中に挿入され、心室に誘導される。心室内で、カテーテルは、ガイドシースの遠位端を通って伸び、マッピングアセンブリを露出する。カテーテルは、マッピングアセンブリが心室内の管状領域に配置されるように、カテーテルの遠位部分の偏向を含む動きを介して操作される。カテーテルの正確な位置及び向き、並びにまたマッピングアセンブリの配置を制御する能力は、重大な意味を持ち、そのカテーテルがどれだけ有用であるかを主として決定する。
【0004】
可動型カテーテルは、一般に周知である。例えば、米国再発行特許第34,502号は、遠位端にピストンチャンバを有する筐体を含む制御ハンドルを持つカテーテルを記載している。ピストンは、ピストンチャンバ内に搭載され、長手方向の動きが可能である。細長いカテーテル本体の近位端は、ピストンに取り付けられる。牽引ワイヤは、筐体に取り付けられ、ピストンを通り、カテーテル本体を通って、カテーテル本体の遠位端の先端区域の中に伸びる。牽引ワイヤの遠位端は、カテーテルの先端区域に係留される。この構成では、筐体に対するピストンの長手方向の動きは、カテーテル先端区域の偏向を生じる。
【0005】
米国再発行特許第34,502号に記載されている設計は、1本の牽引ワイヤを有するカテーテルにほぼ限定される。二方向の偏向が所望される場合、1本を超える牽引ワイヤが必要となる。更に、マッピングアセンブリの収縮などのより多くの制御が所望される場合、追加的な牽引ワイヤが必要とされる。空間は制御ハンドル内に制限され、牽引ワイヤ制御機構の操作は、リードワイヤ、ケーブル及び灌流チューブなどの、制御ハンドルを通って伸びる構成要素に干渉してはならない。更に、カテーテルが使用者により片手で操作できるように、制御機構は調整されることが望ましい。したがって、好ましくは使用者の片手操作による、カテーテルシャフトの二方向偏向、及び、マッピングアセンブリの収縮などの少なくとも2つの独立した動きのために3つの牽引ワイヤを動かすことができる制御ハンドルに対して、必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、患者の心臓において使用するための、特に心臓の管状領域をマッピングするための、カテーテルを目的とする。一実施形態では、カテーテルは、カテーテル本体と、カテーテル本体の遠位にある偏向可能な中間区域と、を有する。心臓の管状領域上又は内に位置するように適合化されたほぼ円形の部分を有するマッピングアセンブリは、中間区域の遠位にある。カテーテルの制御ハンドルは、偏向制御アセンブリ及び線形制御アセンブリにより、中間区域を偏向させ、マッピングアセンブリを収縮させることができる様々な制御機構の片手操作を可能にする。偏向制御アセンブリは、偏向アーム及びロッカー部材を有する。線形制御アセンブリは、線形制御部材、内側回転部材及びカムを有する。一対の牽引部材は、偏向制御アセンブリに反応して、中間区域を二方向で偏向させる。第3の牽引部材は、線形制御アセンブリに反応して、マッピングアセンブリのほぼ円形の部分を収縮させる。
【0007】
より詳細な実施形態では、第3の牽引部材の近位端は、使用者による線形制御部材の作動がカテーテル本体に対して長手方向に第3の牽引部材を動かすように、線形制御アセンブリ内に係留される。線形制御部材は、制御ハンドルの筐体と摺動可能に係合する部分、及び、内側回転部材上に形成される軌道内に収容される突出部を有し、その結果、制御ハンドルの長手方向軸に沿う制御部材の遠位及び近位の動きが内側回転部材を回転させて、マッピングアセンブリを伸張又は後退させる。内側回転部材とカムとの間に位置して、第3の牽引部材の近位端が係留される従動部は、カム上に形成されるカム軌道で摺動するように内側回転部材内に形成される溝により誘導される。カム軌道と、内側回転部材上に形成される軌道は、どちらも螺旋形であって、マッピングアセンブリを伸張及び収縮するのに望ましい線形運動を得るために、制御ハンドル内で比較的小さな空間を占めることにおいて線形制御アセンブリの効率性を最大化する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明のこれらの及び他の特徴並びに利点は、添付図面と合わせて考慮するとき、以下の詳細な説明を参照することにより、より十分に理解されるであろう。選択された構造及び特徴は、残りの構造及び特徴の良好な展望を提供するために特定の図面に示されているのではないことが理解される。
図1】本発明のカテーテルの一実施形態の上面図。
図2a】第1の直径に沿った、カテーテル本体と中間区域との連結部の実施形態の側断面図。
図2b】第1の直径にほぼ垂直な第2の直径に沿った、図2aの連結部の実施形態の側断面図。
図3】中間区域とマッピングアセンブリとを含む、図1のカテーテルの遠位部分の側面図。
図4】線4−4に沿った、図3の中間区域の長手方向断面図。
図5】リング電極の一構成を示すマッピングアセンブリの概略図。
図6】線6−6に沿った、図3のマッピングアセンブリの長手方向断面図。
図7図3のマッピングアセンブリの遠位端の実施形態の側面断面図。
図8a】第1の直径に沿った、中間区域とマッピングアセンブリとの間の連結部の実施形態の側面断面図。
図8b】第1の直径にほぼ垂直な第2の直径に沿った、中間区域とマッピングアセンブリとの間の連結部の実施形態の側面断面図。
図9】偏向制御アセンブリの実施形態を含む制御ハンドルの筐体の半分体の実施形態の上面図。
図10】偏向制御アセンブリのロッカー部材の実施形態の平面斜視図。
図11】ロッカー部材の一実施形態の底面斜視図。
図12】偏向制御アセンブリの滑車の実施形態の側面図。
図13a】中立及び回転形状の偏向制御アセンブリの実施形態の概略図。
図13b】中立及び回転形状の偏向制御アセンブリの実施形態の概略図。
図13c】中立及び回転形状の偏向制御アセンブリの実施形態の概略図。
図14】制御ハンドル上に搭載された偏向制御アセンブリ及び張力制御アセンブリの実施形態の長手方向断面図。
図14a】保持ナット及び締めネジの実施形態を含む図14の部分の詳細図。
図15】第1の制御ハンドルの筐体の半分体の実施形態の部分斜視図。
図16】偏向アームの実施形態の斜視図。
図17】張力制御ダイヤルの斜視図。
図18】係止プレートの一実施形態の斜視図。
図19】制御ハンドルの実施形態の部分の部分斜視図。
図20】制御ハンドル上に搭載された偏向アーム及び張力制御部材の実施形態の部分の部分斜視図。
図21】第2の制御ハンドルの筐体の半分体及び保持ナットの部分の部分斜視図であり、この第2の制御ハンドルの筐体の半分体は、第1の制御ハンドルの筐体の半分体に対向するように適合化されている。
図22】組み立てたときの図17の張力制御ダイヤル及び図18の係止プレートの斜視図。
図23】線形制御アセンブリの実施形態の分解斜視図。
図24】制御ハンドル上に組み立てたときの図23の線形制御アセンブリの側面断面図。
図25】線a−aに沿った、図24の線形制御アセンブリの長手方向断面図。
図26】線b−bに沿った、図24の線形制御アセンブリの長手方向断面図。
図27】線c−cに沿った、図24の線形制御アセンブリの長手方向断面図。
図28】制御ハンドル上に組み立てたときの線形制御アセンブリの代替的実施形態の側面断面図。
図29】線a−aに沿った、図28の線形制御アセンブリの長手方向断面図。
図30】線b−bに沿った、図28の線形制御アセンブリの長手方向断面図。
図31】線c−cに沿った、図28の線形制御アセンブリの長手方向断面図。
図32】制御ハンドル筐体半分体の代替的実施形態の部分斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1を参照すると、本発明は、心臓のマッピング及び/又はアブレーションのための多重制御性能を有するカテーテル10を目的とする。図1に示された実施形態では、カテーテル10は、カテーテルの部分の制御、例えば、中間区域14の偏向及びマッピングアセンブリ17の収縮、のために、細長いカテーテル本体12と、カテーテル本体12の遠位端で偏向可能な中間区域14と、中間区域14の遠位端にマッピングアセンブリ17を含む先端区域15と、カテーテル本体12の近位端に多重機能制御ハンドル16と、を含む。
【0010】
図2A及び2Bを参照すると、カテーテル本体12は、単一の中央又は軸方向管腔18を含む。カテーテル本体12は可撓性があり、すなわち曲がることができるが、その長さに沿って実質的に圧縮不可能である。カテーテル本体12は、任意の好適な構造をなし、任意の好適な材料で作製することができる。一実施形態では、カテーテル本体12は、ポリウレタン又はナイロン製の外壁22を含む。外壁22は、ステンレス鋼などの埋め込まれた編みメッシュを含み、カテーテル本体12のねじり剛性を上昇させ、その結果、制御ハンドル16が回転するとき、カテーテル10の先端区域は対応する方向に回転する。
【0011】
カテーテル本体12の外径は重要ではないが、好ましくは約0.267cm(8フレンチ)以下である。同様に外壁22の厚さも重要ではない。外壁22の内面は、任意の好適な材料、好ましくはポリイミドで作製できる補強管20で裏打ちされる。補強管20は、カテーテル本体12の近位端において、外壁22に対して適所で保持される。第1の糊接合23は、第1の乾燥糊、例えば、Super Glue.RTM.、により、補強管20の遠位端と外壁22との間に作られる。その後、第2の糊接合25が、よりゆっくりとした乾燥だがより強力な糊、例えば、ポリウレタン、を使用して、補強管20の近位端と外壁22との間に形成される。
【0012】
編みこまれた外壁22に沿った補強管は、改善されたねじれ安定性を提供し、一方で、それと同時にカテーテルの壁厚を最小化し、それにより、単一管腔の直径を最大化する。補強管20の外径は、外壁22の内径とほぼ同一であるか又はわずかにそれよりも小さい。ポリイミドチューブは、非常に薄い壁で取り囲まれ得るが、一方で、それでも非常に良好な剛性を提供し得るので、好適である。これは、強度及び剛性を犠牲にすることなく、中央管腔18の直径を最大化する。ポリイミド材料は、曲がったときによじれる傾向のために、典型的には、補強管に使用されない。しかしながら、特にステンレス鋼編みメッシュを有する、ポリウレタン、ナイロン又は他の同様な材料の外壁22と組み合わせると、ポリイミド補強管20が曲がったときによじれる傾向は、カテーテルが使用される用途に関して、本質的に除去される。
【0013】
一実施形態では、外壁22は、約0.2337cm(0.092インチ)の外径と約0.160cm(0.063インチ)の内径とを有し、ポリイミド補強管20は、約0.1562cm(0.0615インチ)の外径と約0.1321cm(0.052インチ)の内径とを有する。
【0014】
図2A、2B及び4に示されるように、中間区域14は、複数の軸外管腔、例えば、第1の管腔30、第2の管腔31、第3の管腔32及び第四の管腔33、を有するチューブ19のより短い区域を含む。チューブ19は、好ましくはカテーテル本体12よりも好ましくは可撓性である好適な非毒性材料で作製される。チューブ19に好適な材料は、編み込まれたステンレス鋼などの埋込みメッシュを有する編み込みポリウレタンである。中間区域14の外径は、カテーテル本体12の外径のように、好ましくは約0.267cm(8フレンチ)以下である。管腔の寸法は、重要ではない。一実施形態では、中間区域は約0.2337cm(7フレンチ、0.092インチ)の外径を有し、管腔は、ほぼ同一の寸法であり、約0.0559cm(0.022インチ)の直径を有し、選択された管腔は、約0.0914cm(0.036インチ)のわずかに大きな直径を有することができる。
【0015】
カテーテル本体12を中間部分14に取り付ける手段が、図2a及び2bに示されている。中間区域14の近位端は、ポリイミド補強材20の外面を受容する内側座ぐり孔24を含む。中間部分14とカテーテル本体12は、糊29などで取り付けられる。
【0016】
図2A及び2Bに示されるように、例えば、リードワイヤ及び複数の牽引部材及び任意の他のワイヤ又はケーブルといった様々な構成要素が、カテーテル本体12の単一管腔18を通って伸びる。カテーテル本体12に対する牽引部材の長手方向の動きは、使用者が制御ハンドルを介してカテーテルの様々な部分を制御するのを可能にする。一実施形態では、牽引部材は、中間区域14を偏向させるための一対の偏向牽引部材42と、先端区域15のマッピングアセンブリ17を調整するための収縮牽引部材35と、を含む。
【0017】
単一管腔カテーテル本体12は、単一管腔18本体が、カテーテル10を回転させるときにより良好な先端制御を可能にすることができるので、複数管腔本体よりも好ましいものであり得る。単一管腔18は、これを通過する構成要素がカテーテル本体内で自由に浮くのを許容する。このような構成要素が複数管腔内に制限される場合、これらはハンドル16が回転されるときにエネルギーを蓄積でき、その結果、カテーテル本体12は、例えば、ハンドルを放すと、又は曲線の周りに曲げると、逆回転して、反転する傾向を有し、これらはまた、望ましくない性能特性である。
【0018】
偏向牽引部材42は、カテーテル本体12の中央管腔18を通って、中間区域14の第2管腔31の中に伸びる。別の偏向牽引部材42は、中央管腔18を通って、中間区域14の第四管腔33の中に伸びる。偏向牽引部材42の遠位端は、T−アンカー83(図8B)により、中間区域14の遠位端の近くでチューブ19の壁に係留される。中間区域14では、各偏向牽引部材42は、中間区域14が偏向させられるときに偏向牽引部材42が中間区域14のチューブ19の壁の中に食い込むのを防止するプラスチック、例えば、Teflon.RTM.、のシース81を通って伸びる。
【0019】
図2Bに示されるように、偏向牽引部材42を取り囲む関係の圧縮コイル44は、カテーテル本体12の近位端から中間区域14の近位端まで伸びる。圧縮コイル44は、好適な金属、例えば、ステンレス鋼、で作製される。圧縮コイル44は、可撓性を提供するため、すなわち、曲がるが圧縮に耐えるように、それ自身に緊密に巻かれる。圧縮コイル44の内径は、好ましくは、牽引ワイヤ42の直径よりもわずかに大きい。例えば、牽引部材42が約0.0178cm(0.007インチ)の直径を有するとき、圧縮コイル44は、好ましくは、約0.0203cm(0.008インチ)の内径を有する。牽引部材42上のTeflon.RTM.コーティングは、これらが圧縮コイル44内で自由に摺動するのを可能にする。圧縮コイル44の外面は、圧縮コイル44と、リードワイヤ及びケーブルなどのような他の構成要素との間の接触を防止するために、可撓性で非導電性のシース27により被覆される。一実施形態では、非導電シースは、ポリイミドチューブで作製される。
【0020】
圧縮コイル44は、これらの近位端において糊接合50(図2B)によりカテーテル本体12内の補強管20の近位端に、並びに、その遠位端において糊接合49(図2B)により第2の管腔31及び第四の管腔33の中で中間区域14の近位端の近くに、係留される。
【0021】
図3を参照すると、中間区域14の遠位端はマッピングアセンブリ17である。マッピングアセンブリ17は、ほぼ直線の近位領域38及びほぼ円形の主領域39を含む。近位領域38は、以下により詳細に記載されるように中間区域14上に搭載され、その結果、その軸は中間区域14の線形軸方向の伸びであり得る。近位領域38は、例えば、中間区域14内に収容されない、露出した長さを有し、約3mm〜約12mm、より好ましくは約3mm〜約8mm、更に好ましくは約5mmで変動するが、必要に応じて変えることができる。
【0022】
ほぼ円形の主領域39は、カテーテル本体12及び中間区域14に対して、たとえ垂直ではないにしても、ほぼ横断している。ほぼ円形の主領域39は、平坦な円を形成することができるか、又は、非常にわずかにねじれることができる。主領域39は、外径が、好ましくは約10mm〜約25mm、より好ましくは12mm〜約20mmの範囲にある。ほぼ円形の主領域39は、時計方向又は反時計方向に曲がることができる。図5、6及び7に示されるように、マッピングアセンブリ17は、所望されるような任意の断面形状を有することができる非導電性カバー又はチューブ52で形成される。非導電性カバー52は、任意の好適な材料で作製でき、好ましくはポリウレタン又はPEBAXなどの生体適合性プラスチックで作製される。非導電性カバー52は、ほぼ円形の主領域39の所望されるほぼ円形の形状に予め形成することができる。あるいは、ほぼ円形の主領域39の形状は、非導電性カバー52を通って伸びるワイヤ又は他の構成要素により画定することができる。
【0023】
示された実施形態では、予め形成された支持部材54は、ほぼ円形の主領域39の形状を画定するために、非導電性カバー52を通って伸びる。支持部材54は、形状記憶を有する材料で作製され、すなわち、力が行使される際にその元の形状から外れて真っ直ぐになる又は曲がることができ、並びに、力が除去される際にはその元の形状に実質的に戻ることができる。支持部材54に好適な材料は、ニッケル/チタン合金である。そのような合金は通常、ニッケルを約55%、チタンを約45%含むが、ニッケルを約54%〜約57%含み、残りがチタンであってもよい。好適なニッケル/チタン合金はNitinolであり、これは耐久性、強度、腐食耐性、電気抵抗及び温度安定性と共に、優れた形状記憶性を有する。
【0024】
一連のリング電極26は、図5に示されるように、マッピングアセンブリ17のほぼ円形の主領域39の非導電性カバー52上に搭載される。リング電極26は、白金又は金、好ましくは白金及びイリジウムの組み合わせのような任意の好適な固体導電性材料で作製でき、糊などで非導電性カバー52上に搭載することができる。あるいは、リング電極26は、白金、金及び/又はイリジウムのような導電性材料で非導電性カバー52をコーティングすることにより、形成することができる。コーティングは、スパッタリング、イオンビーム蒸着、又は等価な技術を用いて施されることができる。好適なマッピングアセンブリは、米国特許第7274957号に記載されており、その全開示は本明細書に参照により組み込まれる。所望される場合には、追加的な電極(図示せず)が中間区域14及び/又はほぼ直線の近位区域38に沿って搭載され得る。
【0025】
例えば、収縮牽引ワイヤといった収縮牽引部材35が、ほぼ円形の主領域39を収縮させ、これにより、例えば、心臓の円形若しくは管状領域のマッピング又はアブレーションを行うときに、その直径を変化又は低減するために、提供される。収縮ワイヤ35は、以下に更に記載されるように収縮ワイヤを操作するために使用される制御ハンドル16内に係留された近位端を有する。収縮ワイヤ35は、カテーテル本体12の中央管腔18を通り、中間区域14の第3の管腔32を通り、マッピングアセンブリ17の非導電性カバー52の中に伸びる。非導電性カバー52を通って伸びる収縮ワイヤ35の部分は、図6に最もよく示されているように、ほぼ円形の主領域の中心により近いほぼ円形の主領域39の側面上に配置される。ほぼ円形の主領域の中心は、ほぼ円形の主領域により形成される円の中心を指す。この構成について、ほぼ円形の主領域39の収縮は、収縮ワイヤ35の位置がそれほど制御されない構成に比べて劇的に改善されている。
【0026】
図5及び6に示されるように、マッピングアセンブリ17内では、収縮ワイヤ35は、プラスチックチューブ55を通って伸びる。一実施形態では、プラスチックチューブ55は3つの層を含み、これにはポリイミドの内層が含まれ、その上には編み込まれた層が形成され、この編み込まれた層は、一般に当該技術分野で既知であるような編み込まれたステンレス鋼メッシュなどを含む。編み込まれた層は、プラスチックチューブ55の強度を高め、収縮ワイヤ35がマッピングアセンブリ17の予め形成された曲線を真っ直ぐにする傾向を低減する。ポリテトラフルオロエチレンの薄いプラスチック層は、編み込まれた層が非導電性カバー52内のリードワイヤ40ともつれるのを防止するために、編み込まれた層の上に提供される。プラスチックチューブ55は、糊などにより、第3の管腔32内で中間区域14の遠位端に係留される近位端を有する(図8a)。支持部材54は、収縮ワイヤ35を有するプラスチックチューブ55を通って伸びる(図8a)。支持部材54及び収縮ワイヤ35の遠位端は、小さなステンレス鋼チューブ53にハンダ付けされるかないしは別の方法で取り付けられる(図7)。この構成では、収縮ワイヤ35及び支持部材54の相対位置は、上記のように、収縮ワイヤがほぼ円形の領域39の中心により近いほぼ円形の領域39の側面上に配置できるように、制御することができる。曲線の内側上の収縮ワイヤ35は、支持部材54を曲線の内側に牽引し、ほぼ円形の領域39の収縮を強める。更に、プラスチックチューブ55は、編み込まれた層を含み、収縮ワイヤ35が非導電性カバー52を引き裂かないようにする。
【0027】
第3の圧縮コイル46は、カテーテル本体12内、及び、収縮ワイヤ35を取り囲む関係の中間区域シャフト14内に位置する(図2A)。第3の圧縮コイル46は、カテーテル本体12の近位端から中間区域14の第3の管腔32の遠位端の近くまで伸びる。第3の圧縮コイル46は、ステンレス鋼などの任意の好適な金属で作製され、可撓性を提供するため、すなわち、曲がるが圧縮に耐えるように、それ自身に緊密に巻かれる。第3の圧縮コイル46の内径は、好ましくは、収縮ワイヤ35の直径よりもわずかに大きい。圧縮コイル46の外面は、例えばポリイミドチューブ製の、可撓性の非電導性シース68で被覆される。第3の圧縮コイル46は、好ましくは、正方形又は矩形断面積を有するワイヤで形成され、これにより、円形の断面積を有するワイヤから形成される圧縮コイルよりも圧縮性が小さくなる。結果として、第3の圧縮コイル46はより多くの圧縮を吸収するので、収縮ワイヤ35を操作してマッピングアセンブリ17を収縮させるとき、第3の圧縮コイル46は、カテーテル本体12、特に中間区域14、が偏向しないようにする。
【0028】
第3の圧縮コイル46は、その近位端において近位糊接合50によりカテーテル本体12の外壁20に、及び、遠位糊接合72により中間区域14に係留される。
【0029】
カテーテル10を通る糊接合は、ポリウレタン糊などを含むことが理解される。糊は、注射器などによりチューブ壁に作製された孔を通して適用され得る。このような孔は、例えば、チューブ壁を穿孔する針などにより形成され得、ここで、針は永続的な孔を形成するために十分に加熱される。次に、糊は、孔を通して導入され、チューブ内の構成要素を取り込んで、構成要素の周囲全体にわたって糊接合を形成する。
【0030】
示された図7の実施形態では、マッピングアセンブリ17の遠位端は、ポリウレタン糊などのドーム51で密封して閉じられる。金属又はプラスチック、好ましくはポリアミドで作製された短いリング56を、非導電性カバー52の遠位端内に搭載する。短いリング56は、非導電性カバー52の遠位端が崩壊するのを防ぎ、それにより遠位端の非導電性カバーの直径を維持する。
【0031】
図8a及び8bに示すように、中間区域14とマッピングアセンブリ17との連結部において、非導電性カバー52は、糊などにより中間区域14に取り付けられる。プラスチックチューブ55は、その近位端が中間区域14の遠位端に挿入及び糊付けされている。プラスチックチューブ55からの糊(図示せず)は更に、第3の管腔32内の適所で第3の圧縮コイル46の遠位端を係留するのに役立つことができる。支持部材54は、第3の管腔32から非導電性カバー52内のプラスチックチューブ55の中に伸びる。支持部材54の近位端は、中間区域14が偏向する能力に悪影響を与えないように、第3の管腔32の遠位から近位の短距離、およそ約5mm、で終結する。しかしながら、所望される場合には、支持部材54の近位端は、中間区域14及び/又はカテーテル本体12の中へと更に近位に伸びることができる。
【0032】
リング電極26に取り付けられたリードワイヤ40は、中間区域14の第1の管腔30を通り(図2A)、カテーテル本体12の中央管腔18を通り、制御ハンドル16を通って伸び、コネクタ(図示せず)内のこれらの近位端で終結し、このコネクタは、リング電極26から受信される情報を受信及び表示するための適切なモニター又は他の装置に連結される。カテーテル本体12の中央管腔18、制御ハンドル16及び中間区域14の近位端を通って伸びるリードワイヤ40の部分は、任意の好適な材料、好ましくはポリイミドで作製できる保護シース62内に封入される。保護シース62は、その遠位端において、リードワイヤ管腔30内でそれをポリウレタン糊などで糊付けして糊接合73を形成することによって、中間区域14の近位端に係留される。
【0033】
リードワイヤ40は、任意の従来技術により、リング電極26に取り付けられる。一実施形態では、各リング電極26は、まず非導電性カバー52内に孔を形成することにより搭載される。電極リードワイヤ40は孔を通して送り込まれ、リング電極26はリードワイヤ及び非導電性カバー52の適所で溶接される。
【0034】
図1を参照すると、制御ハンドル16は、好適な鋳造処理により作製されるプラスチックのような任意の適切な剛性材料によって作製できる、ほぼ細長いハンドル筐体を含む。図示された実施形態では、筐体は2つの対向する半分体16a及び16bを含み、これらは概ね互いに鏡像関係にあり、糊、超音波接合、又は他の適切な手段により、筐体の周囲の長手方向の周囲継ぎ目28に沿って接合される。図示された実施形態では、対向する半分体により形成されるハンドル16の断面は、ハンドルの長さに沿って変化する。より遠位の部分112は、より小さなほぼ矩形の断面を有する。中位部分114は、より大きなほぼ矩形の断面を有する。より近位の部分116は、ほぼ円形の断面積を有する。
【0035】
図1及び9に示された実施形態では、制御ハンドル16は、中位部分114内に偏向制御アセンブリ74の構成要素を収容する。偏向制御アセンブリは、中間区域14の偏向を制御するために操作者により直接操作できる偏向部材又はアーム75を含む。偏向アーム75は、制御ハンドルの長手方向軸に対して概ね横方向又は直角である軸76の周りを回転できる。偏向制御アセンブリ74は、偏向牽引部材42に作用して中間区域14を偏向させる回転可能なロッカー部材78を有する。ロッカー部材78は、長さLの寸法、幅Wの寸法及び厚さTの寸法を有する(図10及び11)。
【0036】
ロッカー部材78は、その厚さ寸法Tに沿って、その全厚を通して伸びる中央孔又は通路143を画定する2つの対向する環状構造140a及び140bを有して構成されている。中央孔143は、偏向アーム75の回転軸76に位置合わせされている。ロッカー部材78は、その長さ寸法Lに沿って、中央孔143を挟んで互いに対向する2つのより小さな孔146も有する。各孔には、例えば、軸76に平行な回転軸を有するスナップベアリング(図12)のような滑車147が位置している。各偏向牽引部材42は、溝148を通ってロッカー部材に入り、一部分が各滑車147に巻きつけられている。
【0037】
当業者により理解されるように、ロッカー部材78及び滑車147は、軸76の周りのロッカー部材の一方向への回転が1つの牽引部材42を引き戻して、中間区域14をその方向へ偏向させるように配置されている。図13a〜13cを参照すると、ロッカー部材78が偏向アームにより回転させられる(線75により表されているように)と、滑車147は、中立位置(図13a)から転位され、1つの滑車147は牽引部材42をその係留された近位端に対してカテーテル本体12の片側で引き出して、その側へ中間区域14を偏向させる(図13b及び13c)。
【0038】
各偏向牽引部材42は、複数の区画を含み得る。図9に示されているように、各偏向牽引部材は、遠位牽引ワイヤ42aと近位繊維42bとを有し、これらは、ロッカー部材78の遠位の制御ハンドル16内の位置で接合又は接続されている。各偏向牽引部材の牽引ワイヤ42a及び引張繊維42bは、例えば収縮チューブで被覆された圧着真鍮継ぎ手などのコネクタ154により互いに接続又は固定されている。各牽引ワイヤ42aは、カテーテル本体12及び中間区域14を通って伸びる。各引張繊維42bは、制御ハンドル16の内部を伸びる。このやり方で、滑車147と相互作用し、偏向操作の間繰り返される曲げ及び伸長を受けるのは、より柔軟である引張繊維42bであるが、それらは曲げ応力及び疲れ破損を受けにくいためである。
【0039】
各牽引ワイヤ42aは、ステンレス鋼又はNitinolのような任意の適切な金属で作製される。好ましくは、各引きワイヤはテフロンRTM(Teflon. RTM)などの低摩擦被覆を有する。各牽引ワイヤは、好ましくは約0.0152cm(0.006インチ)〜約0.0305cm(0.012インチ)の範囲の直径を有する。好ましくは、両方の引きワイヤは同一の直径を有する。平坦な引きワイヤを丸い引きワイヤの代わりに用いてもよい。それらの断面の寸法は、丸い引きワイヤに相当する引張強度を与えることができるものであるべきである。
【0040】
各引張繊維42bは、好ましくは実質的に2480〜3200Mpa(412〜463ksi)の範囲の最大引張強度を有する、例えば高分子密度ポリエチレン(例えば、Spectra(商標)又はDyneema(商標))、紡績パラ−アラミド繊維ポリマー(例えば、Kevlar(商標))、又は溶融紡績液晶ポリマー繊維ロープ(melt spun liquid crystal polymer fiber rope)(例えば、Vectran(商標))、又は高強度セラミック繊維(例えば、Nextel(商標))などの、高弾性率の繊維で形成され得る。「繊維」(fiber)という用語は、引張繊維(tensile fiber)が織られた又は編まれた構造体であり得るという点で、本願では複数形の繊維(fibers)と互換性を持って使用される。いかなる場合においても、これらの材料は可撓性である傾向を有し、より大きな噛み合わせのために滑車などとの巻き付き係合に使用されるときに、適切な耐久性を提供する。更に、それらは実質的に非伸縮性であり、非伸縮性であることが制御ハンドルの操作に対する反応性を増大させ、またMRIで概ね透明に見えるように非磁性である。材料が低密度であることは、その材料をX線機器に対してほぼ透明にする。材料は短絡を防止するために非電導性であることもできる。例えば、Vectran(商標)は、高い強度、高い耐摩耗性を有して、電気絶縁体、非磁性のポリマーであり、持続した負荷状態の下で低い伸長を示す。
【0041】
図9に示された実施形態では、各引張繊維42bは、コネクタ154からロッカー部材78に向かって近位に伸び、ロッカー部材78において各々は対応する滑車147に巻きつけられ、約180度回転して、制御ハンドルの遠位端に向かって逆戻りする。引張繊維42bの各近位端は、一対のラック92、スラグ94及びストップ96を含むアンカーアセンブリ90により係留される。一対のラック92により画定される導管91と、各引張繊維の近位端と、の間に伸びる各引張繊維42bの近位端は、導管91内に嵌合し平行移動可能な寸法にされた鋳造部材又はスラグ94の中に包み込まれる。スラグの近位には、ラック92に沿って選択された位置に、例えば動きに対して着脱可能に選択された場所に固定する、ラック及びストップ内に形成された互いに噛み合う歯98などの手段により、調節可能に位置決めされたストップ96がある。ストップ96は、各引張繊維42bが、その中又はその下を通って摺動可能であるが、一方で、スラグ94がストップ96を通過して近位に動くことを阻止するように、形成されている。したがって、ストップ96は、スラグ94の近位への動きを制限し、引張繊維42bの近位端を係留して、各々が偏向制御アセンブリ74により近位に引き戻されたときに偏向を達成させる。制御ハンドル16を組み立てる際、2つの筐体の半分体16a、16bを結合する前に、各引張部材での望ましい張力を達成するために、ストップ96はラック92の間に選択的に配置される。ラック92の相互に噛み合う歯98及びストップ96は、張力の微調整を可能にする。
【0042】
偏向アーム75と制御ハンドル16上の張力調整部材101とを含む偏向制御アセンブリ74の構成及び組み立ては、以下のように説明される。図14及び14aを参照すると、アセンブリ74のロッカー部材78は、制御ハンドル16の2つの半分体16aと16bとの間に位置し、その環状構成体140a及び140bは各々、各筐体半分体16a及び16bの遠位部分114内に形成される開口部120a、120bを通って伸びる。
【0043】
環状構成体140aは、偏向アーム75とロッカー部材78とを回転結合するための、偏向アーム75の接面154から突出する突出部152(図16)を収容する、開口部120a(図15)を通して露出される凹部160(図10)を有する。突出部152は凹部160にスナップ式に嵌め込むことができ、及び/又は接着剤、糊、超音波接合などにより固定されることができる。偏向アーム75からの中央円形突出部156は、ロッカー部材78の環状構成体140aにより外接される孔143に嵌合する。好適な偏向アセンブリ及び制御ハンドルは、同時係属中の米国特許出願第12/346,834号(2008年12月30日出願)、表題「DEFLECTABLE SHEATH INTRODUCER」に記載されており、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。偏向感度を有する別の好適な偏向アセンブリは、同時係属中の米国特許出願第12/211,728号(2008年9月16日出願)、表題「CATHETER WITH ADJUSTABLE DEFLECTION SENSITIVITY」に記載されており、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。そこでは、偏向感度ノブに反応を示すカムは、2つの滑車147間の分離距離を変えることができ、それにより、偏向アームの偏向感度を変える。
【0044】
様々な機構及び部品によりロッカー部材78と結合及び間接的に係合している偏向張力調整部材又はダイヤル101(図17及び20)は、偏向アーム75に対向しており、偏向アーム75が回転できることで操作者は容易に調整することができる。主に筐体半分体16b上に搭載された、図示された張力調整アセンブリ100の実施形態は、調整ダイヤル101(図17)、係止プレート102(図18)、締め押えネジ(tension cap screw)103、保持ナット136及びワッシャ119(図14及び図14aを参照)を含む。使用者は、ダイヤル101を回転して、ワッシャ119(例えば、Belleville型)及び制御ハンドル筐体半分体16bに対してロッカー部材78を効果的に圧迫する又は緩めることにより、偏向アーム75の回転運動のきつさ又は張力を調整する。
【0045】
ダイヤル101はほぼ円形の断面を有し、周縁115は摩擦を生じる表面を有する(図17)。ダイヤルの直径に沿って位置する中央円形突出部105及び複数の突起106(図17)は、ダイヤル101の表面104から突出する。
【0046】
係止プレート102は、ダイヤル101とハンドル筐体16bとの間に挟まれる(図20)。係止プレート102(図18)は、中央のより大きな孔107と2つのより小さな孔108とを有し、これらの3つ全ては、係止プレートの全厚を通して伸びる。ダイヤル101の2つの突起106は、プレート102内のより小さな孔108(図21)を通して挿入されるように、並びに、筐体半分体16bの外面に形成された半円形の溝109(図19)に収容されるように、適合化されている。溝109は、時計方向及び反時計方向のダイヤル101の回転の程度を制限する。プレート102の中央孔107(図18)は、より大きな円形断面107a及びより小さな円形断面107bを含む異なる断面を有する。より大きな円形断面107aは押えネジ103の頭112を収容し、より小さな円形断面107bは押えネジ103のネジ付き本体115を収容する(図14a)。
【0047】
係止プレート102の中央孔107を通って伸びる押えネジ103のネジ付き本体115は、ロッカー部材78の開口部143内に位置する保持ナット136と係合する。ナットの頭115は、ロッカー部材78の開口部143の内面に形成されるくびれ部132に接触し、それに対して係留される。筐体半分体16b内の開口部120b(図21)は、より大きな断面122とより小さな断面124を有する。より小さな断面124は、ナット136が筐体ハンドル16bに関する回転に対して有効に係止されるように、ナット136の多角形(例えば、六角形)の縁部126に一致する多角形の形状を有する。
【0048】
ダイヤル101の中央突出部105(図17)は、押えネジ103の頭112と圧力又は締まり嵌めを形成して、これらの2つの構成要素間の回転位置合わせを形成する。ダイヤル101の突起106は、ダイヤル101と係止プレート102を係止及び回転結合し、押えネジ103は係止プレート102に回転結合される。ダイヤル101及び係止プレート102の結合は、この2つの構成要素を共に溶接することによっても達成され得る。この場合、突起106は、ダイヤル101から突出する必要はなく、その代わりに係止プレート102から伸びることができる。
【0049】
ナット136の多角形の縁部126と筐体ハンドル16bとの間にワッシャ119はあり、ナット136及び筐体ハンドル16bに対するワッシャ119の圧縮はダイヤル101の使用者による回転により調整可能であり、ダイヤル101は押えネジ103とナット136との間の係合を締め又は緩め、これにより、ロッカー部材78及びしたがって偏向アーム75が回転できる容易さを増やす又は減らす。
【0050】
例えば、リードワイヤ40及び収縮ワイヤ35などの制御ハンドルを通って伸びる構成要素はまた、遠位端で制御ハンドルに入る。図9に示された実施形態では、これらの構成要素は、制御ハンドルの長手方向軸に沿って伸びる。構成要素がその中を通って伸びる保護チューブ152は、2つの偏向牽引部材42の間に位置し、並びに、ロッカー部材78の幅寸法Wに沿って形成される導管150を通る(図11)位置で、提供される。導管150の遠位及び近位部分には、ロッカー部材78が所定の角度範囲内で、例えば制御ハンドル16の長手方向軸に対して約±45度で、チューブ152及びそれを通る構成要素による妨害なしに自由に回転することを可能にするために、例えば三角形又は楔型のへこみ151(図9及び11)を有する。
【0051】
あるいは、制御ハンドルを通って伸びる構成要素は、収縮ワイヤ35を除き、制御ハンドル16の遠位端の中への入口で偏向牽引部材42から分岐する軸外通路153上に進路を取る。それゆえに、構成要素は筐体ハンドルの周縁に沿って伸び、ロッカー部材78を迂回する。
【0052】
中間区域14内の圧縮コイル44の遠位端と各偏向牽引部材42の遠位係留部位との間の距離は、偏向牽引部材の方向での中間区域14の湾曲を決定する。例えば、2つの偏向牽引部材42が圧縮コイル44の遠位端からの異なる距離で係留される構成は、第1の平面内に長いリーチの曲線を、並びに、第1の平面から90度の平面内に短いリーチの曲線を、可能にし、すなわち、第1の曲線は中間区域14が偏向される前に中間区域14の軸にほぼ沿う1つの平面内にあり、第1の曲線に対して遠位にある第2の曲線は第1の平面に対して横断する、好ましくは垂直の、平面内にある。カテーテル中間区域14の高トルク性は、一方向における偏向が他方向における偏向を変形させる傾向を低減する。このようなカテーテルでの使用に好適な偏向制御ハンドル及びその部分は、米国特許出願第08/924,611号(1997年9月5日出願)、表題「Omni−Directional Steerable Catheter」、同第09/130,359号(1998年8月7日出願)、表題「Bi−Directional Control Handle for Steerable Catheter」、及び同第09/143,426号(1998年8月28日出願)、表題「Bidirectional Steerable Catheter with Bidirectional Control Handle」に記載されており、これらの全開示は本明細書に参照により組み込まれる。
【0053】
例えば、収縮ワイヤ35といった第3の牽引部材によるマッピングアセンブリ17の調整のために、制御ハンドル16内の2つの偏向牽引部材42の間に伸びる収縮ワイヤの遠位端は、制御ハンドルの近位部分116内に収容されている線形制御アセンブリ300による作動のために制御ハンドル内に係留される。図23に示される実施形態では、線形制御アセンブリ300は、線形制御部材302、固定されたカム306を含み、固定されたカム306の本体307は回転部材304を支持し、この組み合わせは例えば、マッピングアセンブリ17を収縮及び伸長させるための、カテーテル本体12に対する収縮ワイヤ35の長手方向の動きを実行する。開示されている実施形態では、線形制御アセンブリ300は、偏向制御アセンブリ74の近位に配置されるが、これは偏向制御アセンブリ74の遠位に配置することもできると考えられる。
【0054】
図23〜27を参照すると、線形制御アセンブリが収容されている制御ハンドル16の近位部分116は、内径D1及び外径D2のほぼ円形の断面を有する。カム306は、カラー309及び円筒形本体307を有する。カラーは、制御ハンドル筐体半分体16a及び16b内に形成される内周溝260(図15)に収容できるように、寸法決めされる。カラーは、カムが制御ハンドル16に対して固定されるように、そこに糊などで固定される。回転部材304は、それが制御ハンドルの長手方向軸310に沿う制御部材302の線形運動に反応してカム上で回転できるように、カム36の本体307上に搭載される。
【0055】
線形制御部材302の線形運動を回転部材304の回転運動に変換するために、部材304は、部材304の遠位端と近位端との間に伸びるその外面内に形成される螺旋形軌道305を有する。線形制御部材302は、外側部分311、より細い部分312、より幅広い部分314及び突出部303を有する(図24)。制御部材と内側回転部材とを結合するために、突出部303は、より細い部分312用に各制御ハンドル筐体半分体16a、16bに形成される凹開口部350により形成される開口部を通る軌道305に収容される(図15)。より幅広い部分314は、線形制御部材302が制御ハンドル16から脱離しないように、筐体半分体16a、16b内の凹開口部350の下の切り取り構成体307(図15)にぴったり一致する幅寸法(図26及び27においてより良好に理解される)を有する。どちらも線形制御部材302の長さを超える凹部350及び307の長手方向寸法は、制御部材及び制御ハンドルが互いに摺動可能に係合することを可能にし、それゆえに、使用者により作動されると第3の牽引部材を前進又は後退させるような、長手方向軸に沿う制御部材の遠位及び近位線形運動を可能にする。
【0056】
回転部材304がその上に支持されているカム306の本体307はまた、本体307の外面内に形成される螺旋形軌道332を有する。軌道332は、カラー309と本体の近位端との間に伸びる。ほぼカム306と内側回転部材304との間に位置する従動部340の指状部(finger)341は軌道332に乗っており、その動きは、螺旋形軌道305に収容される突出部303により回転部材が線形制御部材302によって回転するように、回転部材304内に形成される軸溝342により誘導される。収縮ワイヤ35の遠位端は、従動部340がカテーテル本体12に対して長手方向に収縮ワイヤ35を動かすことができるように、指状部341に係留される。
【0057】
使用者が長手方向軸310に沿って線形に制御部材302を動かすと、突出部303は回転部材304を、その上の軌道305により、回転する。回転部材304及びその軸溝342が回転すると、溝342内で従動部340も回転し、3つ全てはカムの長手方向軸及び制御ハンドル16を周回する。従動部340が周回すると、その指状部341は螺旋形軌道332内を摺動して、制御ハンドル16に対して遠位又は近位に動く。従動部340が遠位に摺動すると、収縮ワイヤ35は遠位に押し出されて、マッピングアセンブリ17を伸長させる。従動部340が近位に摺動すると、収縮ワイヤは近位に引き戻されて、マッピングアセンブリ17を収縮させる。こういった方法により、制御部材302の線形運動は、収縮牽引部材35を制御ハンドル内で前進又は後退させる回転運動に変換される。有利なことに、従動部340が螺旋形軌道332に沿って移動できる距離は円筒形本体307の長さに制限されず、実際、収縮ワイヤ35により制御されるカテーテル構成要素におけるより大きな範囲又は角度の動きのために、円筒形本体307の長さよりもはるかに大きいものであることができる。ただし、従動部340が円筒形本体307に沿って移動できる距離(すなわち、収縮ワイヤ35が移動できる量)は、螺旋形軌道332のピッチ(例えば、1つの螺旋回転全体の幅)及び円筒形本体207の直径に依存する。
【0058】
カム306のカラー309は、半径方向の刻み目344を有し、この中を収縮ワイヤ35は通過して本体307に到達する。突起縁349は、本体307上に回転部材304を保持するためのスナップ嵌め機構として、カム306の本体307の近位端に形成される。軸の刻み目346は、カム307の近位端の変形又は偏向がスナップ嵌め機構を強化するのを可能にする。保護チューブ152を通って伸びるリードワイヤ及び他の構成要素(例えば、熱電対ワイヤ、ケーブル、灌流チューブ)は、カムの通路348を通過することができる。
【0059】
代替的実施形態では、線形制御アセンブリは、図28〜31に示されるように、制御ハンドル16において第1の線形制御部材302aと直径方向で対向する第2の線形制御部材302bを含む。各線形制御部材は、内側回転部材304上に提供される二重の螺旋形軌道305a及び305bのうちの1つと各々係合する突出部303a、303bを有する。図32に示されるように、線形制御部材302a、302bは、対向する切り取り構成体307a、307bにより、制御ハンドル筐体半分体と摺動可能に各々係合し、突出部303a、303bは各々凹開口部350a、350bを通って内側回転部材304に到達する。それゆえに、使用者は、いずれかの線形制御部材を使用して、マッピングアセンブリを伸長又は収縮させることができ、どちらの線形制御部材も、使用者によるいずれかの線形制御部材の作動に反応して、同様に及び同時に動く。
【0060】
以上の実施形態のいずれかにおいて、使用者が線形制御部材を押す又は引くと、線形制御部材上の突出部は、線形で遠位又は近位に動き、回転部材上の螺旋形軌道内を摺動して、回転部材を回転させる。回転部材がカムの周りを回転すると、その軸溝は従動部を誘導してカムの周りを周回させる。従動部はカム軌道を摺動し、制御ハンドルに対して遠位又は近位に動く。従動部が遠位に摺動すると、収縮ワイヤは遠位に押し出されて、例えば、マッピングアセンブリを伸長させる。従動部が近位に摺動すると、収縮ワイヤは近位に引き戻されて、例えば、マッピングアセンブリを収縮させる。
【0061】
制御アセンブリの構成要素の相対的な寸法決めは例示された実施形態に限定されないことが理解される。有利なことに、制御アセンブリは、制御部材の線形運動を、収縮ワイヤを線形に後退及び前進させる(又は緩める)内側部材の回転運動に変換することにより、マッピングアセンブリの収縮及び伸長を最大化するために、制御ハンドル内の最小限の空間を利用する。いずれの実施形態についても、カムの周りのカム軌道の好適な長さLは、L=Pi×(D−D)であることができる(式中、Dはマッピングアセンブリ17のほぼ円形の主部分39の伸長した直径であり、Dはほぼ円形の主部分39の収縮した直径である)。
【0062】
使用中、好適なガイドシースは、所望されるマッピング位置に配置されたその遠位端で患者に挿入される。本発明に関連して使用するのに好適なガイドシースの例が、バイオセンスウェブスター社(カリフォルニア州ダイアモンドバー(Diamond Bar))から市販されているPreface(商標)Braiding Guiding Sheathである。シースの遠位端は、例えば、心房といった心室の1つの中に誘導される。本発明によるカテーテルは、その遠位端がガイドシースの遠位端の外に伸びるまで、ガイドシースを通して送り込まれる。カテーテルがガイドシースを通して送り込まれると、マッピングアセンブリ17はシースを通って嵌合するように真っ直ぐになる。いったんカテーテルの遠位端が所望されるマッピング位置に配置されると、ガイドシースは近位に牽引され、これにより、偏向可能な中間区域14及びマッピングアセンブリ17はシースの外へ伸びることができ、支持部材54の形状記憶によってマッピングアセンブリ17はその元の形状に戻る。
【0063】
次に、中間区域14を偏向させるために偏向制御アセンブリ74の偏向アーム75を操作する及び回転させることにより、マッピングアセンブリ17は、アセンブリ17のほぼ円形の主領域39の外周が管状領域の内周に接触するように、肺静脈又は他の管状領域(上大静脈又は下大静脈など)の中に挿入される。偏向アーム75を一方向に回すことにより、中間区域14をその方向に偏向させる。反対方向への偏向75に回すことにより、中間区域14を反対方向に偏向させる。偏向75の張力は、ダイヤル101の操作及び回転により調整される。ダイヤル101を一方向に回すと張力が増加する。ダイヤル101を反対方向に回すと張力が減少する。好ましくは少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約70%、更により好ましくは少なくとも約80%の、ほぼ円形である主領域の円周は、管状領域の内側の円周に接触する。
【0064】
電極26の円形構成により、管状構造のこうした周囲における電気活性の測定が可能になり、その結果、電極間の異所性拍動が同定できるようになる。ほぼ円形の主領域39の寸法は、肺静脈又は心臓若しくは心臓近傍の他の管状構造の直径に沿った電気活性の測定を可能にするが、それは円形主領域が肺静脈又は他の管状構造のものにほぼ相当する直径を有するからである。制御アセンブリ、特にアセンブリ17、の線形制御部材を操作することにより、ほぼ円形の主領域39は、肺静脈又は他の環状構造に嵌合するように調整される。ほぼ円形の領域39の直径を締め付け、低減するために、線形制御部材を引き戻すことにより、収縮ワイヤは近位に引き戻される。ほぼ円形の領域39を緩め、その直径を伸長させるために、線形制御部材を押し出すことにより、収縮ワイヤは遠位に押し出される。
【0065】
前述の説明は、本発明の現在好ましい実施形態を参照して提示されてきた。当業者は、記載した構造の代替及び変更が、本発明の原理、趣旨及び範囲を大きく逸脱することなく実施できることを理解するであろう。例えば、カテーテルは、第3の牽引部材がガイドワイヤ又は針などの別の構成要素を前進及び後退させるように、適合化することができる。当業者により理解されるように、図面は必ずしも縮尺通りではない。したがって、上述の記載は、記述され以下の添付図に説明された厳密な構造のみに関係付けられるものとして読解されるべきではなく、むしろ、最も完全で公正な範囲を有するとされる以下の特許請求の範囲と一致し、かつそれらを補助するものとして読解されるべきである。
【0066】
〔実施の態様〕
(1) カテーテル本体と、
前記カテーテル本体の遠位にある偏向可能な中間区域と、
前記中間区域の遠位にあるマッピングアセンブリであって、該マッピングアセンブリはほぼ円形の部分を有する、マッピングアセンブリと、
前記カテーテル本体の近位にある制御ハンドルであって、該制御ハンドルは長手方向軸を有し、
偏向制御アセンブリ、並びに、
制御部材、内側回転部材及びカムを有する線形制御アセンブリを含み、該制御部材は該制御ハンドルの該長手方向軸に沿う線形運動に適合化された、制御ハンドルと、
前記中間区域を偏向させるように適合化された前記偏向制御アセンブリに反応する第1及び第2の牽引部材と、
前記マッピングアセンブリの前記ほぼ円形の部分を収縮させるように適合化された前記線形制御アセンブリに反応する第3の牽引部材と、
を含む、カテーテル。
(2) 前記第3の牽引部材の近位端が、使用者による前記長手方向軸に沿う前記制御部材の線形運動が前記カテーテル本体に対して長手方向に前記第3の牽引部材を動かすように、前記線形制御アセンブリ内に係留される、実施態様1に記載のカテーテル。
(3) 前記内側回転部材が前記カム上に回転可能に搭載され、前記制御部材は前記内側回転部材を回転させるように適合化された突出部を有し、
前記線形制御アセンブリは前記第3の牽引部材の前記近位端が係留される従動部を含み、前記従動部は前記カム上に形成されるカム軌道で摺動するように前記内側回転部材の動きに従うように適合化されている、実施態様1に記載のカテーテル。
(4) 前記カム軌道が前記カムの本体の周りの螺旋形である、実施態様3に記載のカテーテル。
(5) 前記突出部が、前記内側回転部材上に形成される軌道内に収容され、前記線形制御部材が前記長手方向軸に沿って前記制御ハンドルに対して動くと前記内側回転部材を回転させるように適合化されている、実施態様3に記載のカテーテル。
(6) 前記突出部が、前記内側回転部材上に形成される前記軌道に到達するように、前記制御ハンドル内の凹開口部を通って伸びる、実施態様5に記載のカテーテル。
(7) 前記突出部が、前記制御ハンドルの筐体と摺動可能に係合する、より幅広い部分を有する、実施態様5に記載のカテーテル。
(8) 前記カム及び前記内側回転部材が共通の回転軸を有する、実施態様1に記載のカテーテル。
(9) 前記内側回転部材上の前記軌道が螺旋形である、実施態様5に記載のカテーテル。
(10) 前記線形制御アセンブリが前記偏向制御アセンブリの近位にある、実施態様1に記載のカテーテル。
【0067】
(11) 前記偏向制御アセンブリの張力を調整するように適合化された張力制御アセンブリを更に含む、実施態様1に記載のカテーテル。
(12) 患者の心臓における使用のための多機能カテーテル制御ハンドルであって、
筐体と、
偏向アーム及びロッカー部材を有する偏向制御アセンブリと、
線形制御部材、内側回転部材及びカムを有し、該内側回転部材がカム上に回転可能に搭載されている、線形制御アセンブリと、
前記偏向制御アセンブリに係留された近位端を有する少なくとも1つの第1の牽引部材と、
前記線形制御アセンブリに係留された近位端を有する追加的な牽引部材と、
を含む、多機能カテーテル制御ハンドル。
(13) 前記線形制御部材が前記筐体上に搭載され、前記線形制御部材が、
前記筐体と摺動可能に係合する部分と、
前記筐体内の開口部を通って前記内側回転部材と係合する突出部と、
を有する、実施態様12に記載の制御ハンドル。
(14) 前記線形制御部材の線形運動が前記内側回転部材を回転させるように、前記突出部が前記内側回転部材上に形成される軌道内に収容される、実施態様13に記載の制御ハンドル。
(15) 前記線形制御アセンブリは、前記追加的な牽引部材の前記近位端が係留される従動部を含み、前記マッピングアセンブリを伸長又は収縮させるために前記カテーテル本体に対して前記追加的な牽引部材を動かすと、前記従動部は、前記カム上に形成されるカム軌道で摺動するように前記内側回転部材の回転の動きに反応する、実施態様14に記載の制御ハンドル。
(16) 前記従動部が前記内側回転部材において形成される溝に位置し、前記溝が、前記追加的な牽引部材を前進又は後退させるように前記従動部の動きを誘導する、実施態様15に記載の制御ハンドル。
(17) 前記内側回転部材上の前記軌道が螺旋形である、実施態様14に記載の制御ハンドル。
(18) 前記カム軌道が螺旋形である、実施態様15に記載の制御ハンドル。
(19) 前記内側回転部材及び前記カムが、前記制御ハンドルの長手方向軸と、軸上で、共通の長手方向軸を有する、実施態様12に記載の制御ハンドル。
(20) 張力制御アセンブリを更に含む、実施態様12に記載の制御ハンドル。
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図9
図10
図11
図12
図13a
図13b
図13c
図14
図14a
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32