(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5661418
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】複軌条運搬車の副軌条支持構造
(51)【国際特許分類】
E01B 25/04 20060101AFI20150108BHJP
【FI】
E01B25/04
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-233151(P2010-233151)
(22)【出願日】2010年10月16日
(65)【公開番号】特開2012-87486(P2012-87486A)
(43)【公開日】2012年5月10日
【審査請求日】2013年8月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134981
【氏名又は名称】株式会社ニッカリ
(74)【代理人】
【識別番号】100088993
【弁理士】
【氏名又は名称】板野 嘉男
(74)【代理人】
【識別番号】100107917
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 英俊
(72)【発明者】
【氏名】石原 暉久
(72)【発明者】
【氏名】池田 彰美
【審査官】
石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−242105(JP,A)
【文献】
実開昭58−103201(JP,U)
【文献】
特開2005−048474(JP,A)
【文献】
特開2004−068545(JP,A)
【文献】
特開2000−110129(JP,A)
【文献】
特開平09−143906(JP,A)
【文献】
特開2003−176513(JP,A)
【文献】
特開2001−295443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 1/00−37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央に主軌条を敷設し、その両側に副軌条を敷設した軌条ベースを適当間隔で地上に架設し、軌条ベースの間に中間軌条ベースを挿入し、中間軌条ベースに設けられるベース間主軌条とベース間副軌条を軌条ベースの主軌条と副軌条に接続させた複軌条運搬車の副軌条支持構造において、中間軌条ベースに副軌条用支柱が上下に挿入される筒状の嵌合部と嵌合部に連続してベース間副軌条に沿う上方が開口した取付体を用い、取付体の所定の位置にベース間副軌条を挿入して固定ボルトで固定し、嵌合部にベース間副軌条の所定の位置で中間軌条ベースを支える副軌条用支柱を打ち込んだことを特徴とする複軌条運搬車の副軌条支持構造。
【請求項2】
固定ボルトが尖りボルトである請求項1の複軌条運搬車の副軌条支持構造。
複軌条運搬車の副軌条支持装置複
【請求項3】
副軌条が角パイプ又は丸パイプである請求項1又は2の複軌条運搬車の副軌条支持構造。支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主軌条と二本の副軌条とからなる複軌条運搬車の副軌条支持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下面にラックを貼設した角パイプ等からなる軌条を地上に架設し、ラックに噛み合って強制駆動されるピニオンを装備した牽引車で荷台車を牽引して軌条上を走行させる軌条運搬車は知られている。この軌条は、多くの場合は単軌条であるが、重量の重い荷物を運ぶ運搬車では、 下記特許文献1に示されるように、軌条の両側に副軌条を敷設し、この副軌条で荷台車の車輪を転動させている複軌条運搬車となっている。ただし、牽引車は中央の主軌条だけを走行させるものが多い。
【0003】
図4は複軌条の敷延状態を示す平面図、
図5は横断面図、
図6は主軌条と副軌条を支持する軌条ベースの斜視図であるが、主軌条1(1aは裏面に貼設されたラック)と副軌条2は四角形の枠体である軌条ベース3で支持される。軌条ベース3の長手方向(軌条の敷延方向)両端の略中央には上向したブラケット4を取り付けており、このブラケット4に主軌条1を支持する主軌条用支柱5を挿入している。一方、軌条ベース3の短手方向両端には上方が開口したコ字形の副軌条受け6を取り付けており、この副軌条受け6で副軌条2を支持している。この構成によれば、主軌条1は高く、副軌条2は左右同じレベルで低く設置されることになる。
【0004】
以上の軌条ベース3はベース支持金具7を介してベース用支柱8で地上に支持される。ベース支持金具7はベース用支柱8に嵌合されて固定される嵌合部7aと、軌条ベース3に沿って延ばされるプレート部7bとからなるもので、軌条ベース3の短手方向の端に水平にあけられた孔9にプレート部7bをボルト10で固定したものである。そして、嵌合部7aの芯の位置にベース用支柱8を地中に打ち込み、嵌合部7a(軌条ベース3)を上からベース用支柱8に嵌合して嵌合部7aに設けられたボルト11で固定している。
【0005】
このような軌条ベース3は適当設置され、その間にベース間主軌条12とベース間副軌条13
とを有する中間軌条ベース21が架設されている。これが路線の全長に亘って続くのであるが、この接続を主軌条1は中子式、副軌条2はコ時型をしたジョイントや副軌条6受での共受で行っている(図示省略)。ところで、主軌条12と副軌条13とからなる路線にはカーブがあるが、このカーブの部分で
中間軌条ベース21、つまり、ベース間主軌条12とベース間副軌条13を彎曲させている(軌条ベース3の彎曲は難しいから)。
【0006】
この場合、大きな荷重がかかるベース間副軌条13は地上に支持する必要があることから、副軌条支持金具14を介して地中に打ち込んだ副軌条用支柱15によって支持している。副軌条支持金具14は上記したベース支持金具7と同様に嵌合部14aとプレート部14bを有するもので、プレート部14bをベース間副軌条13に形成された水平な孔16にボルト10で止めておくとともに、副軌条用支柱15に嵌合部14aを嵌合してボルト11で固定している。この構成によれば、副軌条支持金具14はベース間副軌条13を直接支持することになり、ベース支持金具7よりも高い位置になっている。
【0007】
ところで、ベース間副軌条13の孔16は現地での加工は難しいため、工場で予めあけてある。しかし、副軌条2のカーブの外側と内側とでは孔16の位置が違って来ることになり、この違いはカーブの曲率で様々であることから、嵌合部14aの芯の位置に副軌条用支柱15を打ち込んでいたとしても、なかなか位置は合わない。すなわち、ベース間副軌条13と副軌条用支柱15の位置合わせは路線方向と間隔方向の両方を合わさなければならず、非常に難しい。また、孔16をあけておくと、カーブの内側では孔16が押し潰されたり、外側では亀裂が入ったりすることがある。さらに、孔16の存在で強度が弱くなったりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平09−207769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、副軌条に孔をあけることなく、副軌条用支柱とベース間副軌条の位置合わせが容易になるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の課題の下、本発明は、請求項1に記載した、中央に主軌条を
敷設し、その両側に副軌条を敷設した軌条ベースを適当間隔で地上に架設し、軌条ベース
の間に中間軌条ベースを挿入し、中間軌条ベースに設けられるベース間主軌条とベース間副軌条を軌条ベースの主軌条と副軌条に接続させた複軌条運搬車の副軌条支持構造において、
中間軌条ベースに副軌条用支柱が上下に挿入される筒状の嵌合部と嵌合部に連続してベース間副軌条に沿う上方が開口した取付体を用い、取付体の所定の位置にベース間副軌条を挿入して固定ボルトで固定し、嵌合部にベース間副軌条の所定の位置で中間軌条ベースを支える副軌条用支柱を打ち込んだことを特徴とする複軌条運搬車の副軌条支持構造を提供したものである。
【0011】
また、本発明は、以上の副軌条支持構造
において、請求項2記載した、固定ボルトが尖りボルトである手段、請求項3記載した、
副軌条が角パイプ又は丸パイプである手段を提供したものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によると、副軌条及び副軌条用支柱の強度バランスが崩れるのを抑えることができる。請求項2の手段によると、固定操作が簡単になる。請求項3の手段によると、副軌条の選択肢が広がる。
また、請求項1の発明によると、副軌条用支柱によってベース間副軌条を正確に支持するためには、この両者の間隔だけに留意すればよく、ベース間副軌条の路線方向の位置合わせは不要になる。したがって、副軌条用支柱の打ち込みが容易で迅速になる。また、ベース間副軌条には孔をあけておく必用はないので彎曲させたために孔が潰れたり、亀裂が入ったりしないとともに、請求項2の手段によると、ベース間副軌条の4固定が容易であるし、請求項2の手段によると、副軌条の選択の自由度が増す。
中央に主軌条を
敷設し、その両側に副軌条を敷設した軌条ベースを適当間隔で地上に架設し、軌条ベース
の間に中間軌条ベースを挿入し、中間軌条ベースに設けられるベース間主軌条とベース間副軌条を軌条ベースの主軌条と副軌条に接続させた複軌条運搬車の複軌条支持構造において、中間軌条ベースに副軌条用支柱が上下に挿入される筒状の嵌合部と嵌合部に連続してベース間副軌条に沿う上方が開口した取付体を用い、取付体の所低の位置にベース間副軌条を挿入して固定ボルトで固定し、嵌合部にベース間副軌条の所定の 位置で中間軌条ベースを支える副軌条用支柱を打ち込んだことを特徴とする複軌条運搬車の副軌条支持構造。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】本発明に係る軌条の他の例の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明するが、従来例と変更がない部材、要素については上記した符号をそのまま使用する。
図1は本発明に係る軌条の横断面図、
図2は側面図であるが、本発明は上記した副軌条支持金具14とは形状、構造が異なった別の副軌条支持金具17を使用するものである。この副軌条支持金具17は、ベース間副軌条13を収受する収受体18と、副軌条用支柱15に嵌合されて収受体18と結合される取付体19とからなる。
【0015】
このうち、収受体18は上方が開口してコ字形をした収受部18aと下面に垂下する取付部18bを有しているものであり、収受部18aにベース間副軌条13を受け入れて側面から挿入される固定ボルト20で固定するものである。取付体19は副軌条用支柱15に嵌合される嵌合部19aと収受体18の取付部18b側に延ばされるプレート部19aを有するものであり、収受体18の取付部18aと取付体19のプレート部19aをボルト10で固定しておき、取付体19の嵌合部19aの芯を狙って打ち込まれた副軌条用支柱14に嵌合部19aを嵌合してボルト11で固定するものである。
【0016】
これによったとしても、副軌条用支柱14と取付体19の嵌合部19aの芯合わせが難しいが、少なくとも、ベース間副軌条13の路線方向の位置を合わさなくてもよい利点がある。すなわち、副軌条用支柱15とベース間副軌条13の間隔だけを合わせておけば、収受体18の収受部18aが存在する位置で固定ボルト20を締めればよいことになるからである。この点で、副軌条用支柱15の打込みはベース間副軌条13との距離・間隔だけに気をつければよいから、作業が楽で迅速である。また、ベース間副軌条13には孔をあける必要はないから、これを彎曲させるときにその孔を潰したり、亀裂が入るようなこともないし、強度の低下も起こらない。なお、上記した固定ボルト20は先端がベース間副軌条13に食い込んで固定が強化される尖り先ボルトが好ましい。
【0017】
図3は本発明の他の例を示す軌条の横断面図であるが、副軌条2やベース間副軌条13は安価で施工の容易な丸パイプを使用することがある。このような場合でも、本発明の収受体18と取付体19とからなる副軌条支持金具17はそのまま使用できる。
【符号の説明】
【0018】
1 主軌条
1a ラック
2 副軌条
3 軌条ベース
4 ブラケット
5 主軌条用支柱
6 副軌条受け
7 ベース支持金具
7a 〃 の嵌合部
7b 〃 のプレート部
8 ベース用支柱
9 孔
10 ボルト
11 ボルト
12 ベース間主軌条
13 ベース間副軌条
14 副軌条支持金具
14a 〃 の嵌合部
14b 〃 のプレート部
15 副軌条用支柱
16 孔
17 副軌条支持金具
18 収受体
18a 〃 の収受部
18b 〃 の取付部
19 取付体
19a 〃 の嵌合部
19b 〃 のプレート部
20 固定ボルト