(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
λ/4板の面内位相差Δndが95nm〜180nmであり、λ/2層の面内位相差Δndが190nm〜360nmである、請求項1から5のいずれかに記載の積層光学フィルムの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記のような状況に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、特に大型の画像表示装置に好適に用いられ、3次元画像を再現させる積層光学フィルムの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の積層光学フィルムの製造方法は、偏光板とλ/4板とを積層する工程と、λ/4板上に、部分的にλ/2層を形成する工程とを含み、偏光板の偏光子の吸収軸とλ/4板の遅相軸とのなす角度が実質的に45°となるように積層し、偏光子の吸収軸とλ/2層の遅相軸とのなす角度が実質的に45°となるように形成する。
好ましい実施形態においては、複数のλ/2板を積層することによりλ/2層を形成する。
好ましい実施形態においては、パターンが形成されたλ/2板を積層することによりλ/2層を形成する。
好ましい実施形態においては、上記パターン形成を、トムソン刃で打ち抜くことにより行う。
好ましい実施形態においては、上記パターン形成を、レーザー光を照射することにより行う。
好ましい実施形態においては、λ/4板の面内位相差Δndが95nm〜180nmであり、λ/2層の面内位相差Δndが190nm〜360nmである。
好ましい実施形態においては、λ/2層がストライプ状に形成されている。
好ましい実施形態においては、λ/2層で被覆されない非被覆部が略円形に形成されている。
本発明の別の局面によれば、LED表示装置が提供される。このLED表示装置は、上記製造方法により製造された積層光学フィルムを有する。
好ましい実施形態においては、10インチ以上の画面サイズを有する。
好ましい実施形態においては、50インチ以上の画面サイズを有する。
好ましい実施形態においては、100インチ以上の画面サイズを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明により得られる積層光学フィルムは、特に大型の画像表示装置に好適に用いられ、3次元画像を良好に再現させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれらの具体的な実施形態には限定されない。
【0010】
(用語および記号の定義)
本明細書における用語および記号の定義は下記の通りである:
(1)「nx」は面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、「ny」は面内で遅相軸に垂直な方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率であり、「nz」は厚み方向の屈折率である。
(2)「面内位相差Δnd」は、23℃における波長590nmの光で測定した層(フィルム)面内の位相差値をいう。Δndは、波長590nmにおける層(フィルム)の遅相軸方向、進相軸方向の屈折率をそれぞれ、nx、nyとし、d(nm)を層(フィルム)の厚みとしたとき、式:Δnd=(nx−ny)×dによって求められる。
【0011】
A.積層光学フィルム
図1は、本発明の好ましい実施形態による積層光学フィルム100の断面図であり、
図2はその分解平面図である。積層光学フィルム100は、偏光板10とλ/4板11とλ/2層12とをこの順に有する。λ/2層12は、λ/4板上に部分的に形成されている。言い換えれば、λ/4板11は、λ/2層12で部分的に被覆されている。図示例では、λ/2層12は、略一定の間隔をあけてストライプ状に形成され、λ/2層12で被覆されない非被覆部11aがスリット状に形成されている。このようにλ/2層は、λ/4板上に均一に形成されるのが好ましい。
【0012】
スリット状の非被覆部11aの幅および隣接する非被覆部11a,11aの間隔は、適用される画像表示装置のサイズ、画素等に応じて、任意の適切な値に設定される。非被覆部の幅は、好ましくは2mm〜200mmである。隣接する非被覆部の間隔は、好ましくは2mm〜200mmである。図示例では、横方向に沿ってスリット状の非被覆部が形成されているが、縦方向に沿って形成されてもよいし、斜め方向に沿って形成されてもよい。
【0013】
図3は、別の好ましい実施形態による積層光学フィルム200の分解平面図である。本実施形態では、λ/2層12で被覆されない非被覆部は、略円形とされ、略一定の間隔をあけて縦方向および横方向に沿って均一に形成されている。略円形の非被覆部の直径および隣接する非被覆部の間隔は、適用される画像表示装置のサイズ、画素等に応じて、任意の適切な値に設定される。非被覆部の直径は、例えば、画像表示装置の画素に対応して0.5mm〜50mmである。1つの実施形態では、隣接する非被覆部の間隔は、縦方向で1mm〜100mmであり、横方向で2mm〜200mmである。別の実施形態では、縦方向で0.5mm〜50mmであり、横方向で2mm〜200mmである。なお、大型の画像表示装置の画素は、通常、ミリメートルオーダーもしくはセンチメートルオーダーである。
【0014】
λ/4板のλ/2層による被覆率は、好ましくは20%〜95%、さらに好ましくは30%〜90%である。
【0015】
λ/4板は、その遅相軸と偏光板の偏光子の吸収軸とのなす角度が実質的に45°となるように積層されている。また、λ/2層は、その遅相軸と偏光板の偏光子の吸収軸とのなす角度が実質的に45°となるように積層されている。ここで、「実質的に45°」とは、45°±3.0°である場合を包含し、好ましくは45°±1.0°、さらに好ましくは45°±0.5°である。
【0016】
λ/4板の遅相軸とλ/2層の遅相軸とのなす角度は、特に限定されない。具体的には、実質的に直交または実質的に平行である。特に好ましくは、実質的に直交している。本明細書において、「実質的に直交」とは、90°±3.0°である場合を包含し、好ましくは90°±1.0°、さらに好ましくは90°±0.5°である。「実質的に平行」とは、0°±3.0°である場合を包含し、好ましくは0°±1.0°、さらに好ましくは0°±0.5°である。
【0017】
A−1.偏光板
偏光板は、少なくとも偏光子を有し、実用的には、偏光子と当該偏光子の少なくとも一方の側に配置された保護フィルムとを有する。偏光子と保護フィルムとは、任意の適切な接着剤または粘着剤を介して積層されている。
【0018】
偏光子としては、任意の適切な偏光子が用いられる。例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素などの二色性物質を吸着させて一軸延伸した偏光子が、偏光二色比が高く、特に好ましい。偏光子の厚みは、好ましくは、0.5〜80μmである。
【0019】
ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を吸着させて一軸延伸した偏光子は、代表的には、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製される。延伸は染色した後に行ってもよいし、染色しながら延伸してもよいし、延伸してから染色してもよい。延伸、染色以外にも、例えば、膨潤、架橋、調整、水洗、乾燥等の処理が施されて作製される。
【0020】
保護フィルムとしては、偏光子の保護フィルムとして使用できる、任意の適切なフィルムが用いられる。このようなフィルムの主成分となる材料の具体例としては、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂や、(メタ)アクリル系、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、ポリノルボルネン系、ポリオレフィン系、アセテート系等の透明樹脂等が挙げられる。また、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂等も挙げられる。この他にも、例えば、シロキサン系ポリマー等のガラス質系ポリマーも挙げられる。また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルムも使用できる。このフィルムの材料としては、例えば、側鎖に置換または非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換または非置換のフェニル基ならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が使用でき、例えば、イソブテンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物が挙げられる。上記ポリマーフィルムは、例えば、前記樹脂組成物の押出成形物であり得る。
【0021】
A−2.λ/4板
λ/4板は、その面内位相差Δndが、好ましくは95nm〜180nm、さらに好ましくは110nm〜160nmである。λ/4板は、ある特定の波長の直線偏光を円偏光に(または、円偏光を直線偏光に)変換し得る。λ/4板は、好ましくは、nx>ny≧nzの屈折率楕円体を有する。本明細書において、「ny=nz」は、nyとnzが厳密に等しい場合のみならず、nyとnzが実質的に等しい場合も包含する。
【0022】
λ/4板は、好ましくは、高分子フィルムの延伸フィルムである。具体的には、ポリマーの種類、延伸処理(例えば、延伸方法、延伸温度、延伸倍率、延伸方向)を適切に選択することにより、λ/4板が得られる。
【0023】
上記高分子フィルムを形成する樹脂としては、任意の適切な樹脂が用いられる。具体例としては、ノルボルネン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリスルホン系樹脂等の正の複屈折フィルムを構成する樹脂が挙げられる。中でも、ノルボルネン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂が好ましい。
【0024】
上記ノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン系モノマーを重合単位として重合される樹脂である。当該ノルボルネン系モノマーとしては、例えば、ノルボルネン、およびそのアルキルおよび/またはアルキリデン置換体、例えば、5−メチル−2−ノルボルネン、5−ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン等、これらのハロゲン等の極性基置換体;ジシクロペンタジエン、2,3−ジヒドロジシクロペンタジエン等;ジメタノオクタヒドロナフタレン、そのアルキルおよび/またはアルキリデン置換体、およびハロゲン等の極性基置換体、例えば、6−メチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチリデン−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−クロロ−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−シアノ−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−ピリジル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−メトキシカルボニル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン等;シクロペンタジエンの3〜4量体、例えば、4,9:5,8−ジメタノ−3a,4,4a,5,8,8a,9,9a−オクタヒドロ−1H−ベンゾインデン、4,11:5,10:6,9−トリメタノ−3a,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a,11,11a−ドデカヒドロ−1H−シクロペンタアントラセン等が挙げられる。上記ノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン系モノマーと他のモノマーとの共重合体であってもよい。
【0025】
上記ポリカーボネート系樹脂としては、好ましくは、芳香族ポリカーボネートが用いられる。芳香族ポリカーボネートは、代表的には、カーボネート前駆物質と芳香族2価フェノール化合物との反応によって得ることができる。カーボネート前駆物質の具体例としては、ホスゲン、2価フェノール類のビスクロロホーメート、ジフェニルカーボネート、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−p−トリルカーボネート、ジ−p−クロロフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート等が挙げられる。これらの中でも、ホスゲン、ジフェニルカーボネートが好ましい。芳香族2価フェノール化合物の具体例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジプロピルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上組み合わせて用いてもよい。好ましくは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンが用いられる。特に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンとを共に使用することが好ましい。
【0026】
延伸方法としては、例えば、横一軸延伸、固定端二軸延伸、逐次二軸延伸が挙げられる。固定端二軸延伸の具体例としては、高分子フィルムを長手方向に走行させながら、短手方向(横方向)に延伸させる方法が挙げられる。この方法は、見かけ上は横一軸延伸であり得る。また、斜め延伸も採用することができる。斜め延伸を採用することにより、幅方向に対して所定の角度の配向軸(遅相軸)を有する長尺状の延伸フィルムを得ることができる。
【0027】
延伸フィルムの厚みは、代表的には5〜80μm、好ましくは15〜60μm、さらに好ましくは25〜45μmである。
【0028】
A−3.λ/2層
λ/2層は、その面内位相差Δndが、好ましくは190nm〜360nm、さらに好ましくは220nm〜330nmである。λ/2層は、特定の振動方向を有する直線偏光を、当該直線偏光の振動方向とは直交する振動方向を有する直線偏光に変換し得、右円偏光を左円偏光に(または、左円偏光を右円偏光に)変換し得る。λ/2層は、好ましくは、nx>ny≧nzの屈折率楕円体を有する。
【0029】
λ/2層は、好ましくは、λ/4板と同様、高分子フィルムの延伸フィルムである。詳細は、A−2項で上述したとおりである。
【0030】
B.製造方法
本発明の積層光学フィルムは、偏光板とλ/4板とを積層し、λ/4板上に、部分的にλ/2層を形成することにより作製される。ここで、偏光板の偏光子の吸収軸とλ/4板の遅相軸とのなす角度が実質的に45°となるように積層し、偏光子の吸収軸とλ/2層の遅相軸とのなす角度が実質的に45°となるように積層する。
【0031】
各層の積層は、代表的には、任意の適切な粘着剤層または接着剤層を介して行う。粘着剤層を形成する粘着剤としては、好ましくは、アクリル系粘着剤が用いられる。粘着剤層の厚みとしては、好ましくは4〜30μmである。接着剤層の厚みとしては、好ましくは1〜10μmである。
【0032】
λ/2層は、λ/4板上に部分的に形成される。部分的に形成する方法としては、任意の適切な方法が採用される。1つの実施形態においては、パターンが形成されたλ/2板をλ/4板上に積層する方法が挙げられる。パターンの形成方法としては、例えば、所定のパターンが形成されるようにλ/2板をトムソン刃で打ち抜く方法、所定のパターンが形成されるようにλ/2板にレーザー光(例えば、CO
2レーザー)を照射する方法が挙げられる。これらの方法は、特別な薬品を使用しないので、λ/2板の光学特性に影響を与えたり、劣化させたりすることがない。なお、トムソン刃もしくはレーザー光照射により切断された切断片は、例えば、吹き付けおよび/または吸引により除去される。
【0033】
次いで、所定のパターンが形成されたλ/2板を、任意の適切な粘着剤層または接着剤層を介してλ/4板に積層する。粘着剤層または接着剤層は、予め、λ/2板に形成することが好ましい。
【0034】
別の実施形態においては、複数のλ/2板をλ/4板上に粘着剤層または接着剤層を介して積層することにより、λ/2層を形成する。複数のλ/2板の各々の形状は、所定のパターンを有するλ/2層が形成される限り、任意の適切な形状に設計される。
【0035】
なお、偏光板とλ/4板とλ/2板とを積層した後、不要な部位を切断して除いてもよい。
【0036】
C.用途
本発明の積層光学フィルムは、画像表示装置に用いられ、偏光眼鏡を使用することにより、3次元画像(立体画像)を再現させることができる。画像表示装置の中でも、LED表示装置に好適に用いられる。
【0037】
偏光眼鏡としては、好ましくは、左目領域と右目領域とで偏光方向が逆の円偏光を持たせた眼鏡が用いられる。具体例としては、偏光板とλ/4板との積層体とを有し、左目領域と右目領域とで、偏光板(偏光子)の吸収軸に対し異なる角度をなすようにλ/4板が積層された偏光眼鏡が挙げられる。偏光板(偏光子)の吸収軸とλ/4板の遅相軸とのなす角度は、好ましくは、実質的に45°である。左目領域のλ/4板の遅相軸と右目領域のλ/4板の遅相軸とは、好ましくは、実質的に直交する。
【0038】
本発明の積層光学フィルムは、好ましくは、10インチ以上の画面サイズを有する画像表示装置に対応可能であり、さらに好ましくは50インチ以上、特に好ましくは100インチ以上である。
【実施例】
【0039】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
【0040】
[実施例1]
(λ/4板)
λ/4板として、ポリカーボネート製位相差板(日東電工社製、商品名:NRF−R138)を用いた。この位相差板の厚みは60μm、面内位相差Δndは137.5nmであった。
【0041】
(λ/2板)
λ/2板として、ポリカーボネート製位相差板(日東電工社製、商品名:NRF−R280)を用いた。この位相差板の厚みは60μm、面内位相差Δndは275nmであった。
【0042】
(パターンの形成)
図1および
図2に示すように、λ/2板(縦191mm、横384mm)に、幅6mmのスリットを6mm間隔にて刃型で打ち抜いて形成し、パターンを形成した。
【0043】
(積層光学フィルムの作製)
偏光板(日東電工社製、商品名:SEG5425DU)とλ/4板とをアクリル系粘着剤(厚み20μm)を介して積層した。ここで、λ/4板の遅相軸が、偏光板の偏光子の吸収軸に対して時計回りに45°となるように積層した。
次に、パターン形成されたλ/2板をλ/4板上にアクリル系粘着剤(厚み20μm)を介して積層し、λ/2層を部分的に形成した。ここで、λ/2層の遅相軸が、偏光板の偏光子の吸収軸に対して時計回りに135°となるように形成した。
【0044】
[実施例2]
λ/4板の遅相軸が偏光子の吸収軸に対して時計回りに135°となるように積層し、λ/2層の遅相軸が偏光子の吸収軸に対して時計回りに45°となるように形成したこと以外は実施例1と同様にして、積層光学フィルムを作製した。
【0045】
[実施例3]
λ/4板の遅相軸が偏光子の吸収軸に対して時計回りに45°となるように積層し、λ/2層の遅相軸が偏光子の吸収軸に対して時計回りに45°となるように形成したこと以外は実施例1と同様にして、積層光学フィルムを作製した。
【0046】
[実施例4]
λ/4板の遅相軸が偏光子の吸収軸に対して時計回りに135°となるように積層し、λ/2層の遅相軸が偏光子の吸収軸に対して時計回りに135°となるように形成したこと以外は実施例1と同様にして、積層光学フィルムを作製した。
【0047】
[実施例5]
λ/2板に、
図3に示すように、縦方向および横方向に12mm間隔で、直径4mmの円形のパターンを形成してλ/2層としたこと以外は実施例1と同様にして、積層光学フィルムを作製した。
【0048】
[実施例6]
λ/4板の遅相軸が偏光子の吸収軸に対して時計回りに135°となるように積層し、λ/2層の遅相軸が偏光子の吸収軸に対して時計回りに45°となるように形成したこと以外は、実施例5と同様にして積層光学フィルムを作製した。
【0049】
(比較例1)
λ/4板の遅相軸が偏光子の吸収軸に対して平行となるように積層し、λ/2層の遅相軸が偏光子の吸収軸に対して平行となるように形成したこと以外は実施例1と同様にして、積層光学フィルムを作製した。
【0050】
(比較例2)
λ/2層の遅相軸が偏光子の吸収軸に対して平行となるように形成したこと以外は実施例1と同様にして、積層光学フィルムを作製した。
【0051】
(比較例3)
λ/4板の遅相軸が偏光子の吸収軸に対して平行となるように積層し、λ/2層の遅相軸が偏光子の吸収軸に対して時計回りに45°となるように形成したこと以外は実施例1と同様にして、積層光学フィルムを作製した。
【0052】
(比較例4)
λ/4板の遅相軸が偏光子の吸収軸に対して時計回りに22.5°となるように積層し、λ/2層の遅相軸が偏光子の吸収軸に対して時計回りに45°となるように形成したこと以外は実施例1と同様にして、積層光学フィルムを作製した。
【0053】
(比較例5)
λ/2層の遅相軸が偏光子の吸収軸に対して時計回りに22.5°となるように形成したこと以外は実施例1と同様にして、積層光学フィルムを作製した。
【0054】
各実施例および比較例で得られた積層光学フィルムを、LED表示装置(東芝社製、TECHNO RAINBOW TR2006R)の前面に装着し、以下に示す眼鏡をかけて、画像表示特性を評価した。評価結果を表1に示す。
(偏光眼鏡)
偏光板(日東電工社製、商品名:SEG5425DU)と上記λ/4板とをアクリル系粘着剤(厚み20μm)を介して積層した積層フィルムを用いて偏光眼鏡を作製した。ここで、右目領域では、λ/4板の遅相軸が、偏光板の偏光子の吸収軸に対して時計回りに45°となるように積層した。一方、左目領域では、λ/4板の遅相軸が、偏光板の偏光子の吸収軸に対して時計回りに135°となるように積層した。
なお、表1に示す表示特性の評価結果の詳細は以下のとおりである。
◎:高いコントラストで立体表示を認識できた
○:低いコントラストで立体表示を認識できた
×:立体表示を認識することができなかった(円偏光が射出されないか、片方の円偏光しか射出されなかった)
【0055】
【表1】