(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、図面を参照して本発明を適用したカード処理装置の実施の形態を説明する。本実施の形態に係るカード処理装置は遊技台用台間機に組み込まれるものであるが、本発明は遊技台用台間機以外の機器に用いるカード処理装置に対しても同様に適用可能なことは勿論である。
【0025】
(遊技台用台間機)
図1(a)は本発明を適用したカード処理装置が組み込まれた遊技台用台間機を示す斜視図であり、
図1(b)は遊技台用台間機の台間機本体を台間機ホルダーから引き出した状態を示す斜視図である。本実施の形態に係るカード処理装置1が組み込まれている遊技台用台間機100は、パチンコ店などの遊技施設において遊技島を構成している遊技台(図示せず)の間に配置されるものであり、遊技島構成枠(図示せず)に固定される台間機ホルダー101と、この台間機ホルダー101に対して前側から取り外し可能な状態で挿入されている台間機本体102とを備えている。
【0026】
台間機本体102は偏平で縦長の直方体形状の板金製のケース103と、この前面に取り付けたプラスチック製の前面パネル104とを備えており、ケース103の内部には、制御ユニット、電源ユニット、金銭処理ユニットと共に、カード処理装置1が組み込まれている。カード処理装置1の前面に位置する前面パネル104の部分にはカード挿入排出用のカードスロット105が形成されており、ここを介して、カード、本例ではRFICチップが搭載されている非接触型ICカードC(以下、単に「カードC」と呼ぶ場合もある。)の挿入、排出が行われる。なお、遊技台用台間機100の構成、動作は一般的に知られているものと同様であるので、これ以上の説明は省略する。
【0027】
(カード処理装置)
図2(a)は
図1の遊技台用台間機100に組み込まれているカード処理装置1を示す斜視図であり、
図2(b)はその分解斜視図である。これらの図を参照して説明すると、カード処理装置1は、全体として前後方向に長い偏平な直方体形状をしており、装置本体ユニット2と、この装置本体ユニット2に取り付けられた着脱式の開閉ユニット3とを備えている。装置本体ユニット2は装置前後方向に長い偏平な直方体形状をしたユニットであり、その一方の側面には前後方向に延びる一定幅で一定深さの凹部4が形成されている。開閉ユニット3は凹部4に丁度嵌り込む大きさの直方体形状をしており、その後端部における装置上下方向に延びる開閉中心軸線5を中心として、当該凹部4に装着された閉じ位置3Aから後述の開き位置3B(
図8(b)参照)までの範囲内で開閉可能であり、後述のロック機構によって閉じ位置3Aにロックされている。また、開閉ユニット3は装置本体ユニット2から取り外すことが可能である。凹部4の装置前面部分には、装置本体ユニット2に対して入口ガイドユニット6が固定ネジ7によって固定されている。
【0028】
図3(a)はカード処理装置1の内部構造を示す断面図であり、
図3(b)はその装置本体ユニット2の側の搬送路面を示す側面図である。
図2および
図3を参照してカード処理装置1の内部構造を説明する。カード処理装置1の前端面11には、その前端面11における幅方向の中央に上下に延びる一定幅のカード挿入排出口12が形成されている。本例では、装置本体ユニット2と、ここに形成した凹部4の前端部分に取り付けた入口ガイドユニット6との間にカード挿入排出口12が形成されている。カード挿入排出口12を介して、カードCをその長手方向に沿って挿入、排出することができる。
【0029】
カード処理装置1の内部には、カード挿入排出口12から後方に直線状に延びる一定幅のカード搬送路13が形成されている。カード搬送路13はカードCをその長手方向に1枚ずつ搬送可能な幅の通路であり、入口側カード搬送路13Aと、この入口側カード搬送路13Aの後端から後方に延びるカード搬送路13Bとを備えている。カード搬送路13Bの後端13bは、装置前後方向の中程の位置において、当該カード搬送路13Bよりも広幅のカードスタッカ14に繋がっており、当該後端13bがカードスタッカ14のカード送り出し口となっている。カードスタッカ14はカード搬送路13Bから送り込まれるカードCをカード搬送路13の搬送方向に直交する装置幅方向に重ねた状態、換言するとカードCの厚さ方向に重ねた状態で収納可能である。
【0030】
入口側カード搬送路13Aは装置本体ユニット2と入口ガイドユニット6の間に形成されており、後側のカード搬送路13Bは装置本体ユニット2と開閉ユニット3の間に形成されている。すなわち、入口側カード搬送路13Aは、装置本体ユニット2の凹部4の底面を規定している全体として平坦な第1搬送路面15の前側部分と、これに装置幅方向において一定の間隔で対峙している入口ガイドユニット6の内側側面によって規定される平坦な第2搬送路面部分16との間に形成されている。カード搬送路13Bは、装置本体ユニット2の側の第1搬送路面15と、これに対峙している開閉ユニット3の内側側面によって規定される平坦な第2搬送路面部分17との間に形成されている。第1搬送路面15の後側部分は第2搬送路面部分17の後端13b(カードスタッカ14のカード送り出し口)よりも後方に延びている後側搬送路面部分15aとなっている。この後側搬送路面部分15aには、開閉ユニット3の側に形成されているカードスタッカ14の矩形輪郭のスタッカ開口部14aが対峙している。
【0031】
カード搬送路13Bおよびカードスタッカ14にはカードCを搬送するためのカード搬送機構20が配置されている。カード搬送機構20は、第1搬送ローラー21および第2搬送ローラー22と、第1搬送ローラー21に押し付け可能なアイドラローラー23と、第1、第2搬送ローラー21、22を駆動するための駆動モーター24と、駆動モーター24の駆動力を第1、第2搬送ローラー21、22に伝達するための歯車列25とを備えている。駆動モーター24によって第1、第2搬送ローラー21、22が同期して回転駆動されるようになっている。また、第1搬送ローラー21はカード搬送路13B上に配置されているが、第2搬送ローラー22は、カードスタッカ14に対峙している後側搬送路面部分15aにおいて、カード搬送路13Bの後端13bの後側近傍位置に配置されている。また、第1、第2搬送ローラー21、22の間隔はカードCの搬送方向の長さよりも短い寸法に設定されている。カード搬送機構20の構成部品のうち、アイドラローラー23は開閉ユニット3の側に搭載されているが、それ以外は装置本体ユニット2の側に搭載されている。
【0032】
装置本体ユニット2において、入口側カード搬送路13Aにおけるカード挿入排出口12と第1搬送ローラー21の間には、ソレノイド駆動式の入口シャッター26が配置されている。入口シャッター26が開くとカードCの挿入が可能になり、挿入されたカードCにおける搬送路搬入方向の先端側の端面Caが第1搬送ローラー21およびアイドラローラー23のニップ部に押し込まれると、カード搬送機構20によるカード搬送が可能になる。
【0033】
装置本体ユニット2における第1搬送路面15の背面側には、これと平行に回路基板27が配置されている。回路基板27には、カード処理装置1の駆動制御を司る制御回路が搭載されていると共に、カードCに対して非接触状態で情報のリードライトを行うためのRFアンテナ28(リードライト部)が搭載されている。このRFアンテナ28は、
図3(b)において想像線で示すように、カード搬送路13Bにおける第1、第2搬送ローラー21、22の間の部位に対峙している回路基板27の表面に搭載されているループ状のアンテナである。
【0034】
ここで、回路基板27にはカードCの搬送制御を行うために用いる複数のカード検出器が搭載されている。主に
図3(b)を参照して、これらのカード検出器によるカード検出位置を説明する。まず、入口側カード搬送路13Aにおけるカード挿入排出口12の近傍位置には、フォトインタラプタ方式のカード検出器の入口レバー31が配置されている。入口レバー31は入口側カード搬送路13A内に突出した状態に付勢されており、カード挿入排出口12に挿入されるカードCによって装置幅方向に押されて入口側カード搬送路13Aから退避する方向に押し込み可能となっている。入口レバー31の動きによって、回路基板27に実装されているフォトインタラプタは、入口側カード搬送路13AにカードCが挿入されたこと、および、当該カード挿入排出口12からカードCが完全に引き抜かれたことを検出できる。
【0035】
入口側カード搬送路13Aにおける入口シャッター26と第1搬送ローラー21の間の部位には、入口側カード搬送路13Aにおける上端および下端に、一対のフォトセンサ32、33(第1検出器)が配置されている。これらのフォトセンサ32、33は、カードCがRFアンテナ28によるカードリードライト位置に位置したことを検出するためのものである。本例では、カードCがカードリードライト位置に位置決めされると、リードライト対象のカードC(28)における搬送路搬入方向の後端縁部分が、上側のフォトセンサ32の検出位置に位置し、下側のフォトセンサ33の検出位置からは搬入方向に外れた位置になる。これら双方のフォトセンサ32、33の検出信号に基づき、カードCがカードリードライト位置に位置決めされたことを検出できる。
【0036】
次に、カード搬送路13Bにおける第1搬送ローラー21およびアイドラローラー23のニップ位置に対応するカード搬送路13Bの下端の部位には、1個のフォトセンサ34(第2検出器)が配置されている。このフォトセンサ34の検出信号に基づき、カード挿入排出口12から挿入されたカードCの先端が第1搬送ローラー21、アイドラローラー23のニップ部にくわえ込まれたこと(搬送開始時点)、および、排出されるカードCが当該ニップ部を通過し終えたこと(搬送終了時点)を検出できる。
【0037】
カード搬送路13Bの後端13bには、その下端部分に1個のフォトセンサ35(第3検出器)が配置されている。このフォトセンサ35の検出信号に基づき、カード搬送路13Bに沿ってカードスタッカ14に送り込まれるカードCが当該カードスタッカ14内に収納され終わったことを検出できる。
【0038】
次に、主に
図3(a)を参照してカードスタッカ14の構造を説明する。開閉ユニット3に形成されているカードスタッカ14は、その第2搬送路面部分17の後側に形成されており、1枚のカードCを厚さ方向に挿入して積層状態で収納可能な矩形形状をした一定深さの凹部である。このカードスタッカ14のスタッカ開口部14aが装置本体ユニット2の側の第1搬送路面15の後側搬送路面部分15aに対峙している。カードスタッカ14には、後側搬送路面部分15aに対峙する状態で、カードスタッカ14の底面を規定している矩形のカード押し上げ板41(カード押し上げ部材)が配置されている。カード押し上げ板41は背面側から円錐台状の圧縮コイルバネ42(付勢部材)によって後側搬送路面部分15aに向けて押し上げられている。圧縮コイルバネ42による押し上げ位置42A(付勢位置)は、カード搬送方向に沿って見た場合に、カード押し上げ板41の中心位置あるいは当該中心位置よりも後方側の位置とされ、本例では中心位置に一致している。
【0039】
これに対して、後側搬送路面部分15aにおいては、カード搬送路13Bの後端13b(カード送り出し口)の近傍位置に第2搬送ローラー22が露出しており、この第2搬送ローラー22よりも後側の位置には、装置幅方向に沿ってカードスタッカ14内に突入可能な一対のソレノイド駆動式の押し下げ部材43、44(カード押し下げ機構)が配置されている。押し下げ部材43、44はカードスタッカ14の上下方向(収納されているICカードCの短辺方向)において対称の位置に配置されている。
【0040】
これらの押し下げ部材43、44は、非励磁状態では、
図3(a)に示すように、後側搬送路面部分15aの背面側に後退した退避位置にあり、励磁されると後側搬送路面部分15aからカードスタッカ14内に向けて、少なくともカードCの1枚分以上の厚さ寸法だけ突入したカード押し下げ位置に切り替わる。また、これらの押し下げ部材43、44によるカード押し下げ位置43Aは、カード搬送方向に沿って見た場合に、圧縮コイルバネ42の押し上げ位置42Aよりも装置前方側にオフセットした位置であり、第2搬送ローラー22の収納カードC(14)に対する当接位置22Aよりも装置後方側の位置となっている。
【0041】
カード押し下げ部材43、44をカードスタッカ14内に突出させると、押し上げ板41の押し上げ力に逆らって収納カードC(14)が押し下げられる。本例では、圧縮コイルバネ42による押し上げ板41の押し上げ位置42Aよりも装置前側にオフセットしたカード押し下げ位置43Aにおいて、カード押し上げ部材43、44によって収納カードC(14)が押し下げられる。この結果、収納カードC(14)における装置前側の部分が圧縮コイルバネ42による押し上げ位置42Aを支点にして押し下げられる。よって、収納カードC(14)の全体を押し下げる場合に比べて、小さな押し下げ力で確実に、後側搬送路面部分15aと収納カードC(14)の最上位カードC1との間に、カード搬送路13BからカードCを送り込むための隙間を形成できる。
【0042】
次に、カードスタッカ14における装置前後方向の後端部には、カードスタッカ14に収納されている収納カードC(14)のうち最も上に積層されている最上位カードC1を、そのカード厚さ方向に直交する押し出し方向、本例では後側搬送路面部分15aに沿ったカード搬送方向に押し出してカード搬送路13Bに送り出す収納カード繰り出し機構90が配置されている。収納カード繰り出し機構90は、後側搬送路面部分15aの後端部分から突出している一対のカード係合爪91、92と、これらのカード係合爪91、92を圧縮コイルバネ93、94を介して支持している爪スライド機構95とを備えている。
【0043】
カード係合爪91、92は、後側搬送路面部分15aにおいて上下方向の対称位置に配置されており、最上位カードC1の後側の端面に対して後側から係合可能である。また、カード係合爪91、92は、爪スライド機構95によって、装置前後方向に一定の範囲内で往復移動可能となっている。この構成の収納カード繰り出し機構90と、カード搬送機構20の第2搬送ローラー22とによって、カードスタッカ14に積層状態で収納されている収納カードC(14)から、その最上位カードC1を確実に分離し、当該カードC1をカード搬送路13Bに向けて送り出すことが可能である。
【0044】
(カード搬送路の長さ寸法)
上記構成のカード処理装置1において、RFアンテナ28によるカードリードライト位置に位置決めされたリードライト対象のICカードC(28)は、
図3に示すように、その搬送路搬入方向の先端部分がカードスタッカ14のカード送り出し口(カード搬送路13Bの後端13b)から所定の距離だけ奥に入り込んだ状態になる。このカードリードライト位置では、ICカードC(28)の搬送路搬入方向の先端側の端面Caが一対の押し下げ部材43、44の直前に位置し、その後端側の端面Cbが一対のフォトセンサ32、33の間に位置している。したがって、カードリードライト位置にあるICカードC(28)の搬送路搬入方向における先端部分は、カードスタッカ14に収納されている収納カードC(14)の最上位カードC1の搬送路搬入方向における後端部分に所定長さ分だけ重なった状態になる。また、リードライト位置にあるカードC(28)には双方の第1、第2搬送ローラー21、22が当接した状態となる。
【0045】
これらのカードの重なり寸法ΔLは、カードリードライト位置にあるカードC(28)をRFアンテナ28によってリードライトする際に、収納カードC(14)との間でコリジョンが発生しない最大寸法に設定されている。本例では、重なり寸法ΔLは、フォトセンサ32、33からカード挿入排出口12までの長さ寸法L(12)よりも大きい。したがって、カード搬送路13(13A、13B)の全長L(13)は、カードCの長手方向の長さ寸法L(C)よりも短い。また、カード挿入排出口12からカードスタッカ14の後端までの長さ寸法L(14)はカードCの長さ寸法L(C)の2倍よりも短く、装置前後方向の全長L(1)もカードCの長さ寸法L(C)の2倍あるいは、それよりも短い。
【0046】
このように、カード搬送路13(13A、13B)が短くて済むので、カード処理装置1の前後方向の長さ寸法を小さくすることができる。また、短いカード搬送路13に沿ってカードCを搬送すればよいので、搬送ベルトの代わりに、一対の搬送ローラー21、22を用いてカードCを搬送することができる。すなわち、一対の搬送ローラー21、22をカードCの搬送方向の長さL(C)よりも狭い間隔に配置してカード搬送を確実に行うことができる。搬送ベルトを使用する場合には長期使用によってベルトの伸びなどに起因して搬送不良、カード詰まりなどが発生するおそれが高いが、搬送ローラーを用いることにより搬送機構の耐久性を高めることができる。
【0047】
さらに、第2搬送ローラー22はカードスタッカ14に対峙している後側搬送路面部分15aに配置されている。したがって、第2搬送ローラー22は、
図3に示すように、リードライト位置にあるカードC(28)における後側の部分に当接する。また、リードライト位置にカードC(28)が無い場合には、収納カードC(14)の最も上に位置している最上位カードC1の前側の部分に当接する。したがって、第2搬送ローラー22を用いて、リードライト位置にあるカードC(28)をカードスタッカ14内に送り込むことができ、また、カードスタッカ14内のカードC1をカード搬送路13に向けて送り出すことができる(
図5、
図6参照)。
【0048】
(収納カード繰り出し機構)
図4(a)は収納カード繰り出し機構90が後退位置にある状態を示す斜視図であり、
図4(b)は収納カード繰り出し機構90が前進位置にある状態を示す斜視図であり、
図4(c)はその分解斜視図である。先に述べたように、収納カード繰り出し機構90は、収納カードC(14)の最も上に積層されている最上位のカードC1の後端面(カード搬送路搬入方向の先端面)に対して、その上下方向に離れた対称位置(カード短辺方向に離れた対称位置)において後側から係合可能な複数のカード係合爪、本例では、上下一対のカード係合爪91、92を備えている。カード係合爪91、92は、それぞれ、圧縮コイルバネ93、94を介して爪スライド機構95に搭載されている。
【0049】
爪スライド機構95は、カード係合爪91、92を支持している共通のスライダ96と、このスライダ96をカード押し出し方向(カード搬送方向)に沿って、
図4(a)に示す後退位置から、
図4(b)に示す前進位置までの間をスライドさせるためのDCモーター97(共通の駆動源)と、DCモーター97の駆動力をスライダ96のスライド運動に変換する動力伝達機構98とを備えている。動力伝達機構98は、DCモーター97の回転を減速するギアボックス98aを介して駆動されるカムギア98bと、カムギア98bによって装置前後方向に一定の旋回角度範囲で揺動する揺動リンク98cとを備えており、揺動リンク98cの先端にスライダ96が連結されており、スライダ96は装置本体ユニット2に対して前後方向にスライド可能な状態で取り付けられている。
【0050】
一対のカード係合爪91、92は、圧縮コイルバネ93、94を介して、スライダ96に形成されている爪取り付け部96a、96bに対して装置幅方向(カード積層方向)に移動可能な状態で取り付けられている。カード係合爪91、92は、
図3から分かるように、装置本体ユニット2の後側搬送路面部分15aの後端部分に形成した開口を介して、カードスタッカ内に突出している。各カード係合爪91、92の先端面には、収納カードC(14)の最上位カードC1のカード表面の後端縁側の部分にバネ力によって押し付けられる当接面部分91a、92aが形成されている。
【0051】
この構成の収納カード繰り出し機構90は、カードC1の後端面に対して異なる位置で係合可能な一対のカード係合爪91、92を備えている。カードC1に反りなどの変形がある場合に、カード係合爪91、92の一方がカード後端面における変形している部分に係合できなくても、他方のカード係合爪をカード後端面における変形していない部分に係合させることができる。したがって、1枚ずつカードC1を押し出す動作を確実に行うことができる。
【0052】
また、一対のカード係合爪91、92は共通のスライダ96に搭載され、共通の駆動機構(DCモーター97、動力伝達機構98)によって同期駆動される。個別にスライダおよび駆動機構を配置する場合に比べて、スライド機構をシンプルで廉価な構成にすることができる。また、一対のカード係合爪91、92を同期させてスライドさせることにより、カードC1が傾いた状態に押し出されて、カードC1の搬送を円滑に行うことができなくなるという不具合も回避できる。
【0053】
さらに、各カード係合爪91、92はカードC1のカード表面に対して接近および離れる方向に移動可能な状態でスライダ96に取り付けられ、圧縮コイルバネ93、94によってカード表面に押し付けられている。したがって、各カード係合爪91、92は常にカード表面に当接して、カード係合爪91、92とカードC1との相対位置が当該カードC1の変形の有無に拘わりなく常に一定に保持される。これにより、カード係合爪91、92を常にカード後端面に係合した状態に保持でき、カードC1の押し出し動作を確実に行うことができる。
【0054】
これに加えて、一対のカード係合爪91、92は、カード押し出し方向に直交する方向(上下方向)において対称の位置に配置されている。したがって、カードC1が上側あるいは下側に傾くことなく前方に向けて正しい姿勢で押し出されるので、カードを円滑に繰り出すことができる。
【0055】
(カード処理動作)
次に、
図5はカード処理装置1におけるカード送り出し動作を示す説明図であり、
図6はカード処理装置1における待機状態からカード取り込み完了までの動作を示す説明図である。これらの図を参照して、カード処理装置1によるカード処理動作を説明する。まず、
図5(a1)〜(a3)に示すように、電源オフ状態においてカードスタッカ14内に複数枚の収納カードC(14)が収納された状態にあるものとする。この状態では、カードスタッカ14内の収納カードC(14)はカード押し上げ板41によって第1搬送路面15の後側搬送路面部分15aの側に押し上げられており、その最も上側に位置する最上位のカードC1が後側搬送路面部分15aと、ここからカードスタッカ14内に僅かに外周面が露出している第2搬送ローラー22に押し付けられている。また、最上位のカードC1の搬送路搬入方向の先端側の端面Caには一対のカード係合爪91、92が付勢され、これらが、カード先端側の端面Caに後側から係合している。
【0056】
電源がオンされると、
図5(b1)、(b2)に示すように、収納カード繰り出し機構90の一対のカード係合爪91、92が前方にスライドを開始し、これらが係合しているカードスタッカ14内の最上位のカードC1が前方に押し出される。これと同時に、カード搬送機構20が駆動され、第1、第2搬送ローラー21、22が反時計回りに回転を開始する。この結果、カードC1が、それ以外のカードC(14)から分離されてカードスタッカ14からカード搬送路13に送り出される。カードC1が所定距離だけ送り出された後は爪スライド機構95が後退して元の位置に戻る。これに対して、搬送ローラー21、22の回転は継続され、カードC1が継続して送り出される。
【0057】
送り出されたカードC1の送り出し側の端面Cbが一対のフォトセンサ32、33の間に位置する状態にまで前進すると、当該カードC1の搬送が止まる。これにより、カードC1はカードリードライト位置に位置決めされる。この結果、
図6(a1)、(a2)に示す待機状態が形成される。この状態では、第1、第2搬送ローラー21、22の双方が、カードリードライト位置にあるカードC1に当接している。
【0058】
待機状態にあるカード処理装置1において、
図6(b1)、(b2)に示すように、カード挿入排出口12からカードC2が挿入されると、当該カードC2の挿入が入口レバー31によって検知される。カード挿入が検知されると、カード搬送機構20が駆動され、カード搬送路13上のカードリードライト位置に保留されているカードC1を第1、第2搬送ローラー21、22によってカードスタッカ14の収納位置まで戻す。
【0059】
フォトセンサ35によってカードC1がカードスタッカ14内に戻ったことが検知されると、
図6(c1)、(c2)に示すように、入口シャッター26が開き、カードC2を第1搬送ローラー21のニップ位置まで挿入可能になる。カードC2を押し込むと、回転している第1搬送ローラー21によってカードC2が取り込まれ、カード搬送路13に沿って後側に向けて搬送される。
【0060】
ここで、第1搬送ローラー21のニップ部に配置されているフォトセンサ34によってカードC2の取り込みが検知されると、カードスタッカ14においてはカード押し下げ部材43、44がカードスタッカ14内に突出して、収納カードCを第1搬送路面15から離れる方向に押し込む。この結果、
図6(d1)、(d2)に示すように、カードスタッカ14において、後側搬送路面部分15aの側には、取り込まれたカードC2を挿入可能な隙間が形成される。取り込まれたカードC2の送り込み側の先端部分がカードスタッカ14内に挿入され、その送り込み方向の後側の端面Cbが一対のフォトセンサ32、33の間に至ると、カード搬送が止まり、カード取り込みが完了する。
【0061】
このようにしてカードリードライト位置に取り込まれたカードC2に対する情報のリードライトが行われる。取り込まれたカードC2の搬送路搬入方向の先端側の端面Caは、カード押し下げ位置43Aに突出している一対のカード押し下げ部材43、44に当たり、カードリードライト位置に位置決めされる。したがって、カード押し下げ部材43、44は、取り込まれたカードC2をカードリードライト位置に位置決めするためのストッパとしても機能する。
【0062】
(フォトセンサの構成および搭載位置)
次に、
図7(a)はカード処理装置1における各フォトセンサ32〜35の構成部品の搭載位置を示すための分解斜視図であり、
図7(b)は各フォトセンサ32〜35の構成を示す斜視図であり、
図7(c)は各フォトセンサ32〜35の発光素子および受光素子と直角プリズムの配置関係を示す説明図である。これらの図を参照して、カード搬送路13(13A、13B)上におけるカードCの位置を検出するための4組のフォトセンサ32〜35の構成および搭載位置を説明する。
【0063】
これらのフォトセンサ32〜35は同一構成のプリズム回帰式の透過型センサであり、発光素子32a〜35aと、受光素子32b〜35bと、発光素子32a〜35aからの射出光を受光素子32b〜35bに向けて反射する直角プリズム32c〜35cとを備えている。発光素子32a〜35aおよび受光素子32b〜35bは装置本体ユニット2に配置されている単一の回路基板27に搭載されている。これに対して、直角プリズム32c、33cは入口ガイドユニットの側に搭載されており、直角プリズム34c、35cは開閉ユニット3の側に搭載されている。
【0064】
発光素子32a〜35aからの射出光は、第1搬送路面15に形成されている透過窓からカード搬送路13(13A、13B)を横切って直角プリズム32c〜35cにおけるそれぞれの一対の反射面で反射される。反射光は、再びカード搬送路13を横切って受光素子32b〜35bに入射する。カード搬送路13における各フォトセンサ32〜35の検出位置にカードCが存在しない場合には、検出光が受光素子32b〜35bで受光され、検出位置にカードCが存在する場合には検出光がカードCによって遮断されるので、受光の有無によってカードCの有無を検出できる。
【0065】
このように、回路基板27の側との配線が必要な発光素子32a〜35a、受光素子32b〜35aがすべて回路基板27に搭載されており、回路基板27との間の配線が不要な直角プリズム32c〜35cが入口ガイドユニットおよび開閉ユニットの側に搭載されている。開閉ユニット3および入口ガイドユニット6の側には電装部品が搭載されていないので、開閉ユニット3および入口ガイドユニット6を装置本体ユニット2から取り外す際に、フォトセンサ32〜35の配線が障害となることがない。また、これらのフォトセンサ32〜35は単一の共通回路基板27に搭載されているので、従来のように、個別のセンサ基板に搭載されているフォトセンサを組み込む場合とは異なり、配線引き回しが不要であり、これらの組み付け作業も簡単になる。
【0066】
また、各フォトセンサ32〜35は、発光素子32a〜35aと受光素子32b〜35bとを、カードCの搬送方向に対して直交する方向に並設している。直角プリズム32c〜35cもこれに倣ってカードCの搬送方向に対して直交する方向に一対の反射面が並ぶように配置されている。これにより、カードCの端面をライン状に検出することができ、カードCの位置をより正確に検知することができる。
【0067】
(開閉ユニットの開閉・着脱機構、ロック機構)
図8(a)は着脱式の開閉ユニット3のロックを解除した状態を示す斜視図であり、
図8(b)は開閉ユニット3を開けた状態を示す斜視図であり、
図8(c)は開閉ユニット3を装置本体ユニット2から外した状態を示す分解斜視図であり、
図8(d)は取り外した開閉ユニット3を内側から見た場合の斜視図である。これらの図を参照して開閉ユニット3の開閉・着脱機構を説明する。
【0068】
開閉ユニット3には、その上面部分3aおよび下面部分3bの後端側の部位に、上下に突出したピボット軸51、52が同軸状態に形成されている。装置本体ユニット2の側には、その凹部4の上側の下面部分4aおよび下側の上面部分4bにおける後端側の部位に、軸装着溝53、54が上下対称の状態に形成されている。後述のロック機構によるロックが解除された状態では、これらの軸装着溝53、54に着脱可能に装着したピボット軸51、52(開閉中心軸線5)を中心として、開閉ユニット3は装置本体ユニット2の凹部4に嵌り込んだ閉じ位置3A(
図2(a)参照)から
図8(b)に示す略90度開いた開き位置3Bまでの間を開閉可能である。
【0069】
下側の軸装着溝54は、装置本体ユニット2の凹部4の上面部分4bにおいて装置幅方向に延びる矩形断面の直線状の溝部分54aを備え、この溝部分54aの端は装置本体ユニット2の側面2aに開口している溝開口端54bとなっている。溝部分54aの奥側の端は装置後方に直角折れ曲がった方向に延びる溝部分54cとなっている。上側の軸装着溝53も同様な構成となっているのでその説明を省略し、対応する部位については軸装着溝54における部位に使用した符号を用いて説明する。開閉ユニット3が閉じ位置3Aに位置している状態では、その上下のピボット軸51、52は、上下の軸装着溝53、54における奥の溝部分54cに回転可能な状態で装着されている。開閉ユニット3のロックを解除した後に(
図8(a)参照)、上下のピボット軸51、52を対応する軸装着溝53、54に沿って一旦装置前方にスライドさせた後に、装置幅方向にスライドさせることにより、これらを軸装着溝53、54の溝開口端54bから取り外すことができる。これにより、開閉ユニット3を
図8(c)に示すように、装置本体ユニット2から完全に外すことができる。
【0070】
ここで、ロックが解除されて開閉可能となった開閉ユニット3は、下向きにした場合等において、自重によって装置本体ユニット2側の軸装着溝53、54から外れて落下するおそれがある。不用意に開閉ユニット3が装置本体ユニット2から外れることのないようにするためには、ピボット軸51、52を、それらの突出方向に向けて圧縮コイルバネなどの弾性付勢部材によって付勢しておくことが望ましい。このようにすれば、ピボット軸51、52は軸装着溝53、54の溝底面に押し付けられ、溝底面に対して所定の係合力で係合した状態になる。よって、係合力を適切な値に設定しておくことにより、自重によって開閉ユニット3が装置本体ユニット2からずり落ちてしまうなどの弊害を防止できる。
【0071】
次に、
図8を参照して、開閉ユニット3を装置本体ユニット2にロックしているロック機構を説明する。ロック機構は、開閉ユニット3の側に配置した一対のロックピン55、56と、装置本体ユニット2の側に配置した一対のロック溝57、58とを備えている。ロックピン55、56は、開閉ユニット3の上面部分3a、下面部分3bにおける前端側の部位に、それぞれ上方および下方に向けて同軸状態で突出している。ロック溝57、58は、装置本体ユニット2の凹部4における上側の下面部分4a、下側の上面部分4bにそれぞれ形成されており、ロックピン55、56を側面2aの側から挿入可能である。
【0072】
ロック溝58は広幅の溝開口端58aと、ここから装置幅方向に延びている溝部分58bを備えており、この溝部分58bにおける装置前側の端面には装置後方に突出した係合面58cが形成されている。ロックピン56は装置後方にスライド可能であり、不図示の弾性付勢部材によって常に装置前方に付勢されている。上側のロック溝57およびロックピン55も同様である(以下の説明においては、ロック溝57の各部位についてはロック溝58における各部位に使用した符号を用いて説明する。)。したがって、開閉ユニット3が閉じ位置3Aにある状態では、ロックピン55、56がロック溝57、58の係合面58cに係合し、開閉ユニット3が閉じ位置3Aにロックされる。
【0073】
ここで、開閉ユニット3の外側の側面3cにおける前端側の部位には、ロック機構によるロックを解除するためのロック解除レバー59が取り付けられている。ロック解除レバー59はロックピン55、56に連結されている。ロックピン55、56に作用している付勢力に逆らってロック解除レバー59を装置後方に押し込むと、ロックピン55、56がロック溝57、58の係合面58cから外れる。したがって、ロック解除レバー59を押し込みながら開閉ユニット3を側方に引くと、
図8(a)に示すように、ロックピン55、56をロック溝57、58から側方に外すことができる。
【0074】
このようにしてロックを解除した後は、
図8(b)に示すように、開閉ユニット3をその後端部の開閉中心軸線5を中心として略90度開いた開き位置3Bまで開くことができる。開閉ユニット3を開くと、カード挿入排出口12の側の入口側カード搬送路13Aを除き、カード搬送路13Bが開放状態に切り替わる。また、ロックを解除した後は、
図8(c)に示すように、開閉ユニット3の後端部の上下のピボット軸51、52を装置本体ユニット2の側の軸装着溝53、54から側方に外すことができ、これにより、開閉ユニット3を装置本体ユニット2から完全に切り離すことができる。開閉ユニット3を装置本体ユニット2から外すと、
図8(d)に示すように、開閉ユニット3の内側表面のカードスタッカ14のスタッカ開口部14aが露出する。
【0075】
したがって、開閉ユニット3を開けることにより、カード搬送路13Bに詰まったカードの除去作業を簡単に行うことができる。また、カード搬送路13Bの各部分に付着した埃、汚れなどの清掃を簡単に行うことができる。さらに、開閉ユニット3を装置本体ユニット2から取り外せば、開閉ユニット3の側の清掃作業、カードスタッカ14の各部のメンテナンスなどを簡単に行うことができる。
【0076】
これに加えて、カード処理装置1を遊技台用台間機100から取り外した場合には、
図2(b)に示すように、工具を用いて固定ネジ7を緩めて入口ガイドユニット6を装置本体ユニット2から取り外して、カード挿入排出口12および入口側カード搬送路13Aを開放状態に切り替えることができる。よって、これらの部分の清掃作業なども簡単に行うことができる。
【0077】
一方、本例の入口ガイドユニット6には、以下に述べるように、ガイドカートリッジ60が着脱可能に取り付けられている(
図9参照)。遊技台用台間機100にカード処理装置1が組み付けられている状態において、入口ガイドユニット6からガイドカートリッジ60を取り外すことにより、入口ガイドユニット6によって覆われている入口側カード搬送路13Aの部分のメンテナンスなどを簡単に行うことができる。
【0078】
(ガイドカートリッジ)
図9はカード処理装置1におけるガイドカートリッジ60を示す説明図であり、(a)は開閉ユニット3を開けた状態を示す斜視図、(b)はガイドカートリッジ60を入口ガイドユニット6から装置後側に引き出した状態を示す斜視図であり、(c)は入口ガイドユニット6からガイドカートリッジ60が取り外された後の状態を示す斜視図であり、(d)は取り外したガイドカートリッジ60をその搬送路面側から見た場合の斜視図である。
【0079】
ガイドカートリッジ60は、入口ガイドユニット6に対して、その装置後側の後端面6aの側から装置前方に差し込むことにより取り付けることが可能であり、装置後方に引き出すことにより取り外すことが可能となっている。
図9(c)、(d)に示すように、ガイドカートリッジ60はカートリッジ本体部材61を備えており、このカートリッジ本体部材61には、入口ガイドユニット6に差し込まれた状態において装置本体ユニット側の第1搬送路面15に平行に対峙可能な搬送路面部分62が形成されている。この搬送路面部分62によって、入口ガイドユニット6の第2搬送路面部分16における後側部分が形成されている。
【0080】
カートリッジ本体部材61における搬送路面部分62の後端縁は、装置幅方向に直角に延びる後端面63に繋がっている。この後端面63における上下方向の中央には、ガイドカートリッジ60を入口ガイドユニット6から引き出す際に用いる把手状の係合部64が形成されている。また、カートリッジ本体部材61における搬送路面部分62とは反対側の外側面には、上下一対の位置決め用の係合爪65、66が形成されている。入口ガイドユニット6の外側面には、これら係合爪65、66が装置後側から差し込み可能な上下一対の位置決め用の差し込み溝6b、6cが形成されている。さらに、カートリッジ本体部材61には、入口ガイドユニット6の内部に形成した不図示の係合部分に対して装置後側から前方に差し込むことよってスナップフィットする弾性変形可能な上下一対の係合爪67、68が形成されている。
【0081】
次に、カートリッジ本体部材61には、フォトセンサ32、33の直角プリズム32c、33cが搭載されている。上側のフォトセンサ32の直角プリズム32cは、搬送路面部分62の上端部に形成されている縦長の矩形の透過窓62aから露出しており、下側のフォトセンサ33の直角プリズム33cは、搬送路面部分62の下端部に形成されている縦長の矩形の透過窓62bから露出している。これに加えて、搬送路面部分62の上下方向の中央には、入口シャッター26の先端を差し込み可能な差し込み溝62cが形成されている。
【0082】
ここで、ガイドカートリッジ60の後端面63の表面形状は開閉ユニット3の前端面3dの表面形状と相補的な形状をしている。また、開閉ユニット3の前端面3dにおける第2搬送路面部分17の側の縁には矩形の切り欠き部3eが形成されており、ガイドカートリッジ60の側の係合部64に干渉しないようになっている。開閉ユニット3を閉じた状態においては、開閉ユニット3の前端面3dが僅かの間隔で、入口ガイドユニット6に取り付けられているガイドカートリッジ60の後端面63に対峙した状態が形成される。
【0083】
このように、ガイドカートリッジ60は、入口ガイドユニット6に対して、その後端側から装置前方に差し込むことにより当該入口ガイドユニット6に取り付けることができ、装置後方に引き出すことにより入口ガイドユニット6から取り外すことができる。開閉ユニット3が閉じられている場合には、開閉ユニット3の前端面3dによってガイドカートリッジ60が装置後方に抜け出ないように保持される。
【0084】
開閉ユニット3を
図9(a)に示すように開くと、入口ガイドユニット6からガイドカートリッジ60を装置後方に引き出すことが可能になる。この状態で、ガイドカートリッジ60の後端面63から突出している係合部64に指先などを掛けて装置後方に引くと、ガイドカートリッジ60の一対の係合爪67、68が入口ガイドユニット6から外れ、
図9(b)に示すように、ガイドカートリッジ60が後方に引き出される。したがって、ガイドカートリッジ60を
図9(c)に示すように、入口ガイドユニット6から取り外すことができる。
【0085】
取り外したガイドカートリッジ60には、入口側カード搬送路13Aの一部を規定している搬送路面部分62が形成されており、ここには、上下一対のフォトセンサ32、33の直角プリズム32c、33cが搭載されている。したがって、これらに付着した埃、汚れなどの除去作業、搬送路面部分62の清掃作業などを簡単に行うことができる。換言すると、カード処理装置1を遊技台用台間機100から取り外すことなく、カード挿入排出口12の側のカード搬送路部分のメンテナンス作業、直角プリズムの交換作業などを行うことができる。
【0086】
なお、本例のガイドカートリッジ60にはフォトセンサ32、33の構成部品の直角プリズム32c、33cが搭載されているが、これと共に、あるいは、この代わりに、カード搬送機構20の構成部品、例えば、アイドラローラー23あるいはカードガイドローラーを搭載しておくことも可能である。
【0087】
(カードスタッカのフル検出器)
次に、上記のように着脱可能な開閉ユニット3に形成されているカードスタッカ14には、当該カードスタッカ14が満杯状態になったことを検出するためのフル検出器が取り付けられている。
図10はフル検出器の構成および検出動作を示す図であり、(a1)から(a4)はフル検出器の検出レバーの動きを示す説明図、(b1)および(b2)はカードスタッカ14のカード押し上げ板41とフル検出器の検出レバーの当接部分を示す説明図であり、(c1)および(c2)はカード押し上げ板41を示す表面側斜視図および裏面側斜視図であり、(d1)および(d2)はそれぞれ検出レバーを示す斜視図である。
【0088】
これらの図を参照して説明すると、フル検出器70はフォトインタラプタ方式の検出器であり、旋回式の検出レバー71と、検出レバー71をカード押し上げ板41に押し付けた状態に保持している引張コイルバネ72と、カードスタッカ14が満杯になると検出レバー71によって光通過路が遮断される発光素子および受光素子からなる検出部73を備えている。
【0089】
検出レバー71は装置本体ユニット2の側に旋回可能に取り付けられており、
図10(d1)、(d2)に示すように、所定の角度で折れ曲った第1腕部74および第2腕部75を備えたL状のレバーである。これらの腕部74、75の折れ曲がり部には、これらに直交する方向に、検出レバー71の旋回中心を規定している旋回軸部76が突出している。第1腕部74の先端および第2腕部75の先端にも、それぞれ、先端軸部77および当接用軸部78が、旋回軸部76と同一方向に突出した状態に取り付けられている。また、先端軸部77の外周面には、引張コイルバネ72のバネ掛け79と、検出部73の光通過路を遮断可能な検出片80が形成されている。
【0090】
この形状の検出レバー71は、装置本体ユニット2における開閉ユニット3のカードスタッカ14の側面に対峙する部分に内蔵されている。すなわち、
図10(b1)、(b2)に示すように、検出レバー71は、開閉ユニット3の上面部分3aの後端部分に対峙している装置本体ユニット2の下面部分4aの内側の部位に、装置幅方向に向く状態に取り付けられており、旋回軸部76を中心として装置幅方向(開閉ユニット3の開閉方向)に旋回可能である。また、検出レバー71は、装置幅方向において、回路基板27の表面側(開閉ユニットの側)に旋回軸部76および第2腕部75が位置しており、第1腕部74は回路基板27の背面側に突出しており、回路基板27の背面に検出部73が実装されている。
【0091】
引張コイルバネ72は、回路基板27の背面側において、検出レバー71の第1腕部74のバネ掛け79と装置本体ユニット2の後端部の間に架け渡されており、その引張バネ力によって検出レバー71は旋回軸部76を中心として反時計回りに付勢される。第2腕部75の先端の当接用軸部78は、装置本体ユニット2の下面部分4aに形成されている装置幅方向に延びる凹部81の底面に形成した開口部81aから突出している。開閉ユニット3の上面部分3aにおける開口部81aに対峙する部位には、その幅方向に延びる開口部82が形成されている。この開口部82からは、カードスタッカ14の押し上げ部材41の側縁に形成した当接片83が突出している。この当接片83に対して、検出レバー71の当接用軸部78は、開閉ユニット3の開き方向に当接しており、開閉ユニット3が閉じ位置にロックされている状態では、引張コイルバネ72のバネ力によって常に当接片83に押し付けられた状態に保持される。
【0092】
ここで、
図10(c1)、(c2)に示すように、カード押し上げ板41は、その両側の長辺縁にそれぞれ一対のスライド用突起84が形成されており、これらの突起84が、開閉ユニット3の上面部分3aおよび下面部分3bにそれぞれ一対ずつ形成されているガイド溝85に沿ってスライド可能である。かかるスライドガイド機構によって、カード押し上げ板41は、カードCの送り出し動作および収納動作に応じて、装置本体ユニット2の側の後側搬送路面部分15aに対して接近および離れる方向にスライドする。上記のように、カード押し上げ板41の当接片83は検出レバー71の当接用軸部78に当接しているので、カード押し上げ板41の移動に連動して検出レバー71が旋回軸部76を中心として旋回する。
【0093】
カードスタッカ14がカードCで満杯になった場合には、カード押し上げ板41は装置本体ユニット2側の後側搬送路面部分15aから最も離れた位置まで押し下げられる。例えば、最大収納枚数が11枚であるとすると、
図10(a3)に示すようにカード押し上げ板41が押し下げられた状態になる。この状態において、引張コイルバネ72のバネ力によってカード押し上げ板41に連動して反時計回りに旋回した検出レバー71の旋回位置は、その第1腕部74の先端に取り付けた検出片80が検出部73の光通過路を遮断した位置となるように設定されている。すなわち、検出部73の発光素子と受光素子の間が遮断されるので、受光素子の出力に基づきカードスタッカ14が満杯状態になったことを検出できる。
【0094】
なお、本例では、検出レバー71による満杯検出位置が当該検出レバー71の旋回限界位置となっている。したがって、開閉ユニット3を開けた場合あるいは取り外した場合には、検出レバー71は引張コイルバネ72のバネ力によって旋回限界位置まで旋回した状態に保持される。よって、フル検出器70は、開閉ユニット3が開いている状態あるいは取り外されている状態では満杯検知状態になる。
【0095】
このように構成したフル検出器70の検出動作を以下に纏めて説明する。
図10(a1)に示すエンプティ時においては、カード押し上げ板41が圧縮コイルバネ42によって最も押し上げられた位置にあり、検出レバー71は時計回りに最も旋回した位置にある。カードスタッカ14にカードCが収納されるとカード押し上げ板41は収納カードCによって押し下げられる。例えば、満杯直前の10枚のカードCが収納された時(10枚ストック時)には
図10(a2)に示す状態になる。カードスタッカ14に11枚のカードCが収納された満杯時(11枚ストック時)には、
図10(a3)に示すように、検出レバー71が反時計回りの旋回限界位置まで旋回し、その検出片80が回路基板27上の検出部73によって検出された状態になる。また、
図10(a4)に示すように、開閉ユニット3が開いた時にも検出レバー71が満杯時と同様な旋回位置まで旋回して満杯を検出した状態になる。
【0096】
このように、フル検出器70では、装置本体ユニット2の側に旋回可能に配置した検出レバー71を、開閉ユニット3のカード押し上げ板41に当接可能な位置まで延ばし、当該カード押し上げ板41に対して開閉ユニット開き方向に押し付けた状態を形成している。開閉ユニット3にはフル検出器70の電装部品が搭載されていないので、開閉ユニット3の側に検出機構を組む込む場合とは異なり、配線ケーブルを開閉ユニット3から装置本体ユニット2の側の回路基板27に引き回す必要がない。また、検出レバー71はカード押し上げ板41に対して開閉ユニット開き方向に押し付けられているので、開閉ユニット3を開ける際に検出レバー71が障害になることがなく、開閉ユニット3を閉じると検出レバー71がカード押し上げ板41に押し付けられた状態が自動的に形成されるので、開閉ユニット3の開閉にも支障がない。