(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
物体側から順に、正の屈折力を備えた第1のレンズ群と、負の屈折力を備えた第2のレンズ群と、正の屈折力を備えた第3のレンズ群と、正の屈折力を備えた第4のレンズ群と、正の屈折力を備えた第5のレンズ群とから構成されるズームレンズシステムであって、
広角端から望遠端に変倍する際に、前記第2のレンズ群は物体側から像側へ動き、前記第4のレンズ群は像側から物体側へ動き、前記第5のレンズ群は物体側から像側へ動き、前記第3のレンズ群は像側から物体側へ動き、広角端と望遠端との中間以降において、まず物体側から像側へ動き、その後像側から物体側へ動き、
前記第5のレンズ群は、物体側から順に配置された両凹の負レンズと、前記負レンズの中心厚みよりも短い空気間隔を開けて配置された両凸の正レンズとから構成され、前記正レンズの両面は非球面であり、
広角端から望遠端に変倍する際に前記第1のレンズ群は動かず、前記第2のレンズ群、前記第3のレンズ群、前記第4のレンズ群および前記第5のレンズ群は動き、前記第5のレンズ群により焦点調整を行い、
前記第1のレンズ群の合成焦点距離f1と、広角端における当該ズームレンズシステムの合成焦点距離fwと、前記第5のレンズ群の前記負レンズの焦点距離f51と、前記第5のレンズ群の前記正レンズの焦点距離f52とが以下の条件を満たす、ズームレンズシステム。
13.5<f1/fw<17.5
1.0<|f51/f52|<1.5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
テレビ会議用やセキュリティ用のデジタル式のビデオカメラなどの用途において、高性能で、明るく、コンパクトなズームレンズが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様の1つは、物体側から順に、正の屈折力を備えた第1のレンズ群と、負の屈折力を備えた第2のレンズ群と、正の屈折力を備えた第3のレンズ群と、正の屈折力を備えた第4のレンズ群と、正の屈折力を備えた第5のレンズ群とから構成されるズームレンズシステムである。第5のレンズ群は、物体側から順に配置された両凹の負レンズと、負レンズの中心厚みよりも短い空気間隔を開けて配置された両凸の正レンズとから構成され、正レンズの両面は非球面である。広角端から望遠端に変倍する際に第1のレンズ群は動かず、第2のレンズ群、第3のレンズ群、第4のレンズ群および第5のレンズ群は動き、第5のレンズ群により焦点調整を行う。第1のレンズ群の合成焦点距離f1と、広角端における当該ズームレンズシステムの合成焦点距離fwと、第5のレンズ群の負レンズの焦点距離f51と、第5のレンズ群の正レンズの焦点距離f52とが以下の条件(1.1)および(1.2)を満たす。
13.5<f1/fw<17.5 ・・・(1.1)
1.0<|f51/f52|<1.5 ・・・(1.2)
【0006】
このズームレンズシステムにおいては、第1のレンズ群のパワーを条件(1.1)の範囲内として、第1のレンズ群を固定し、第2のレンズ群から第5のレンズ群までを動かすことによりズーミングを可能とし、さらに、両凹の負レンズと両凸の正レンズとを組み合わせたシンプルな2枚構成の第5のレンズ群により焦点調整および収差補正を可能としている。第5のレンズ群は、2枚のレンズを接合させずにレンズ面を確保しやすい構成とすることで設計の自由度を高めるとともに、条件(1.2)により負レンズと正レンズとのパワーバランスをほぼ等しくし、さらに、両レンズの空気間隔が負レンズの中心厚みよりも短くなるように近付けることにより、2枚のレンズの4つのレンズ面の収差補正機能を発揮させやすい構成としている。したがって、諸収差を良好に補正でき、明るく、コンパクトなズームレンズシステムを低コストで提供できる。
【0007】
条件(1.1)の上限を超えると、第1のレンズ群のパワーが全ズームレンズシステムに対して弱くなり、像面湾曲が増大しやすく、ズームレンズシステムをコンパクトにすることが困難となる。一方、条件(1.1)の下限を超えると、第1のレンズ群のパワーが全ズームレンズシステムに対して強くなり、球面収差およびコマ収差を含めた諸収差の補正が困難となり、望遠端におけるF値が大きくなりやすい。
【0008】
条件(1.2)の上限を超えると、第5のレンズ群の正レンズのパワーが負レンズに対して強くなり、テレセントリック性が悪化しやすい。一方、条件(1.2)の下限を超えると、第5のレンズ群の正レンズのパワーが負レンズに対して弱くなり、ズームレンズシステムをコンパクトにすることが困難となる。
【0009】
さらに、第1のレンズ群は、物体側から順に配置された接合レンズと、物体側に凸の正メニスカスレンズとから構成され、接合レンズは、物体側から順に配置された物体側に凸の負メニスカスレンズと、両凸の正レンズとから構成されていることが好ましい。また、第2のレンズ群は、物体側から順に配置された物体側に凸の負メニスカスレンズと、両凹の負レンズと、両凸の正レンズと、像側に凸の負メニスカスレンズとから構成され、負メニスカスレンズの両面は非球面であることが好ましい。第3のレンズ群は、物体側から順に配置された物体側に凸の正メニスカスレンズと、両凸の正レンズと、物体側に凸の負メニスカスレンズとから構成され、正メニスカスレンズの両面は非球面であることが好ましい。第4のレンズ群は、両凸の正レンズと、像側に凸の負メニスカスレンズとから構成されていることが好ましい。第2のレンズ群の正レンズのアッベ数ν23と、第3のレンズ群の正レンズのアッベ数ν32と、第4のレンズ群の正レンズのアッベ数ν41とが以下の条件(2.1)〜(2.3)を満たすことが望ましい。
0<ν23<25.0 ・・・(2.1)
60.0<ν32<90.0 ・・・(2.2)
60.0<ν41<70.0 ・・・(2.3)
【0010】
このズームレンズシステムにおいては、第2のレンズ群、第3のレンズ群および第4のレンズ群に接合レンズが含まれていない安価な構成のため、色収差を補正するために条件(2.1)〜(2.3)を設定している。負の屈折力を備えた第2のレンズ群に強い分散力(高分散)を与えるために条件(2.1)を設定し、正の屈折力を備えた第3のレンズ群および第4のレンズ群に弱い分散力(低分散)を与えるために条件(2.2)および(2.3)を設定している。したがって、高分散で負の屈折力を備えた第2のレンズ群と、低分散で正の屈折力を備えた第3および第4のレンズ群とを組み合わせることにより、色収差の補正に有利な構成としている。
【0011】
このズームレンズシステムにおいては、広角端から望遠端に変倍する際に、第2のレンズ群は物体側から像側へ動き、第4のレンズ群は像側から物体側へ動き、第5のレンズ群は物体側から像側へ動き、第3のレンズ群は像側から物体側へ動き、広角端と望遠端との中間以降において、まず物体側から像側へ動き、その後像側から物体側へ
動く。第3のレンズ群は、物体側に凸状の軌跡から像側に凸状の軌跡へと変化しながら、S字状の軌跡でうねるように動くことが望ましい。このため、望遠端において第3のレンズ群を第2のレンズ群に近付けやすく、高変倍率化(高ズーム比化)に有利な構成としている。
【0012】
本発明の異なる態様の1つは、上記のズームレンズシステムと、ズームレンズシステムの結像位置に配置された撮像デバイスとを有する撮像装置である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に、本発明の実施形態に係るズームレンズシステムを用いた撮像装置の概略構成を示している。撮像装置1は、ズームレンズシステム10と、ズームレンズシステム10により結像させた像を電気信号(画像データ)に変換するCCDやCMOSなどの撮像デバイス(撮像素子、イメージセンサー)11とを備えている。ズームレンズシステム10は、物体側10aから順に、正の屈折力を備えた第1のレンズ群G1と、負の屈折力を備えた第2のレンズ群G2と、絞り(開口絞り)Sと、正の屈折力を備えた第3のレンズ群G3と、正の屈折力を備えた第4のレンズ群G4と、正の屈折力を備えた第5のレンズ群G5とから構成されている。撮像デバイス11は、画像データをパーソナルコンピュータなどのホスト装置に提供したり、コンピュータネットワークなどを介して外部の情報処理装置に伝送したりできる。
【0015】
図1(a)に、ズームレンズシステム10の広角端(WIDE)におけるレンズ配置を示し、
図1(b)に、ズームレンズシステム10の中間焦点状態(MIDD)におけるレンズ配置を示し、
図1(c)に、ズームレンズシステム10の望遠端(TELE)におけるレンズ配置を示している。
【0016】
最も物体側10aの第1のレンズ群G1は、全体が正の屈折力を備えたレンズ群であり、物体側10aから順に配置された、2枚貼合の接合レンズ(バルサムレンズ)L1Bと、物体側10aに凸の正メニスカスレンズL13とから構成されている。接合レンズL1Bは、物体側10aから順に配置された、物体側10aに凸の負メニスカスレンズL11と、両凸の正レンズL12とから構成されている。接合レンズL1Bと正メニスカスレンズL13とは、ズームレンズシステム10の中でも最小の空気間隔d3、本例では0.150mmを開けて配置されている。さらに、第1のレンズ群G1は、ズームレンズシステム10の中でも最も大きな有効径(口径)の負メニスカスレンズL11を備えており、本例では、第1のレンズ群G1の負メニスカスレンズL11の有効径は、第2のレンズ群G2の負メニスカスレンズL21の有効径の2.4倍程度である。
【0017】
第2のレンズ群G2は、全体が負の屈折力を備えたレンズ群であり、物体側10aから順に配置された、物体側10aに凸の負メニスカスレンズL21と、両凹の負レンズL22と、両凸の正レンズL23と、像側10bに凸の負メニスカスレンズL24とから構成されている。負メニスカスレンズL24の両面、すなわち物体側10aの面S12および像側10bの面S13は非球面である。正レンズL23と負メニスカスレンズL24とは、ズームレンズシステム10の中でも最小の空気間隔d11、本例では0.150mmを開けて配置されている。
【0018】
第3のレンズ群G3は、全体が正の屈折力を備えたレンズ群であり、物体側10aから順に配置された、物体側10aに凸の正メニスカスレンズL31と、両凸の正レンズL32と、物体側10aに凸の負メニスカスレンズL33とから構成されている。正メニスカスレンズL31の両面、すなわち物体側10aの面S15および像側10bの面S16は非球面である。第3のレンズ群G3の物体側10aには、絞りSが配置されており、変倍中は第3のレンズ群G3とともに移動する。正レンズL32と負メニスカスレンズL33とは、ズームレンズシステム10の中でも最小の空気間隔d18、本例では0.150mmを開けて配置されている。
【0019】
第4のレンズ群G4は、全体が正の屈折力を備えたレンズ群であり、物体側10aから順に配置された、両凸の正レンズL41と、像側10bに凸の負メニスカスレンズL42とから構成されている。本例では、第4のレンズ群G4の正レンズL41の有効径は、第1のレンズ群G1の負メニスカスレンズL11の有効径の0.2倍程度、第5のレンズ群G5の正レンズL52の有効径の0.98倍程度である。
【0020】
最も像側10bの第5のレンズ群G5は、全体が正の屈折力を備えたレンズ群であり、物体側10aから順に配置された、両凹の負レンズL51と、負レンズL51の中心厚みd25よりも短い空気間隔d26を開けて配置された両凸の正レンズL52とから構成されている。正レンズL52の両面、すなわち物体側10aの面S27および像側10bの面S28は非球面である。第5のレンズ群G5の像側10bには、1枚のガラス製のカバーガラスCGを挟んで撮像デバイス11が配置されている。さらに、第5のレンズ群G5は、ズームレンズシステム10の中でも最も小さな有効径(口径)の負レンズL51を備えている。なお、カバーガラスCGは1枚に限定されず、複数枚配置されていてもよい。
【0021】
このズームレンズシステム10は、物体側10aから順に、正−負−正−正−正の屈折力を備えた5つのレンズ群G1〜G5により、像側10bをテレセントリックまたはそれに近い状態にできるので、撮像デバイス11が光軸方向にわずかに移動しても鮮明な像を生成することができる。
【0022】
図1(a)〜(c)に示すように、ズームレンズシステム10が広角端から望遠端に変倍する際に、第1のレンズ群G1は動かず固定されており、第2のレンズ群G2、第3のレンズ群G3および第4のレンズ群G4が相互に近付くように動き、第5のレンズ群は第4のレンズ群から離れるように動く。すなわち、変倍時には、第1のレンズ群G1を除いたレンズ群G2〜G5が不図示のレンズ駆動機構により駆動される。
【0023】
このズームレンズシステム10においては、第1のレンズ群G1を固定し、第2のレンズ群G2から第5のレンズ群G5までを動かすことによりズーミングを行い、さらに、両凹の負レンズL51と両凸の正レンズL52とを組み合わせたシンプルな2枚構成の第5のレンズ群G5により焦点調整を行っている。第5のレンズ群G5は、2枚のレンズL51およびL52を接合させずに収差補正に有効な複数のレンズ面を確保しやすい構成とすることで設計の自由度を高めている。さらに、両レンズL51およびL52の空気間隔d26が負レンズL51の中心厚みd25よりも短くなるように近付けることにより、2枚のレンズL51およびL52の4つのレンズ面S25、S26、S27およびS28の収差補正機能を発揮させやすい構成としている。また、ズームレンズシステム10の最終のレンズである正レンズL52の両面S27およびS28を非球面とすることにより、良好な収差補正を可能としている。
【0024】
このズームレンズシステム10においては、変倍時に、第1のレンズ群G1が固定されている。このため、ズームレンズシステム10の中でもレンズの有効径が最も大きな、本例では47.10mm程度の負メニスカスレンズL11を含む、レンズ重量の大きな第1のレンズ群G1を動かす必要がなく、ズーミングのための駆動機構を簡素化できる。したがって、ズームレンズシステム10を撮像装置1に実装する際の機械的、電気的な負荷を軽減しやすく、鏡筒および撮像装置1のコンパクト化を図りやすい。
【0025】
さらに、このズームレンズシステム10においては、変倍時に、最も物体側10aの第1のレンズ群G1は動かず、最も像側10bの第5のレンズ群G5も物体側10aから像側10bへわずかしか動かない。このため、レンズ系全体が長大化することを防止でき、コンパクトなズームレンズシステム10を提供できる。
【0026】
さらに、このズームレンズシステム10においては、変倍時に、第2のレンズ群G2は物体側10aから像側10bへ単調に動き、第4のレンズ群G4は像側10bから物体側10aへ単調に動く。第3のレンズ群G3は像側10bから物体側10aへ動き、広角端と望遠端との中間(中間焦点状態)以降において、まず物体側10aから像側10bへ動き、その後像側10bから物体側10aへ動く。すなわち、第3のレンズ群G3は広角端から中間焦点状態に変倍する際に、像側10bから物体側10aへ比較的大きく動き、その後、中間焦点状態から望遠端に変倍する際に、物体側10aから像側10bへ比較的大きく戻るように動き、最後に像側10bから物体側10aへわずかに動く。このため、第3のレンズ群G3は、広角端から望遠端に変倍する際に、物体側10aに凸状の軌跡から像側10bに凸状の軌跡へと緩やかに変化するように動き、全体的にS字状の軌跡でうねるように移動する。
【0027】
したがって、第3のレンズ群G3は、広角端から中間焦点状態に変倍する際に、第2のレンズ群G2に近付き、その後、中間焦点状態から望遠端に変倍する際に、第4のレンズ群G4に近付き、最後に第4のレンズ群G4とともに第2のレンズ群G2に近付くように動く。このように、広角端から望遠端に変倍する際に、S字状の軌跡でうねる第3のレンズ群G3の動きは、像側10bから物体側10aへ単調に動く場合や、物体側10aに凸状の軌跡で動く場合と比べて、レンズ群G2、G3およびG4の空気間隔d13およびd20を短くしやすい。このため、望遠端において第2のレンズ群G2、第3レンズ群G3および第4のレンズ群G4を相互に近付けることができるので、高変倍率化(高ズーム比化)に有利な構成となっている。
【0028】
さらに、広角端から望遠端に変倍する際に、第3のレンズ群G3がS字状の軌跡でうねるように動くことにより、望遠端において第3のレンズ群G3を第2のレンズ群G2にいっそう接近させることができる。このため、変倍のために第2のレンズ群G2を移動させる距離も最小限に短くすることができるので、望遠端においても十分な画角を確保することができ、広画角で、かつコンパクトなズームレンズシステム10を提供できる。
【0029】
第1のレンズ群G1は、物体側10aから順に、物体側10aに凸の負メニスカスレンズL11と、両凸の正レンズL12と、物体側10aに凸の正メニスカスレンズL13とから構成されている。このため、第1のレンズ群G1の主点位置を像側10b、すなわち第2のレンズ群G2の側に配置できる。したがって、
図1(a)に示すように、広角端における第1のレンズ群G1と第2のレンズ群G2との主点間隔を短くできる。一方、第3のレンズ群G3は、物体側10aから順に、物体側10aに凸の正メニスカスレンズL31と、両凸の正レンズL32と、物体側10aに凸の負メニスカスレンズL33とから構成されている。このため、第3のレンズ群G3の主点位置を物体側10a、すなわち第2のレンズ群G2の側に配置できる。さらに、第3のレンズ群G3がS字状の軌跡でうねるように動くため、望遠端において第3のレンズ群G3を第2のレンズ群G2にいっそう接近させることができる。したがって、
図1(c)に示すように、望遠端における第3のレンズ群G3と第2のレンズ群G2との主点間隔を短くできる。
【0030】
したがって、広角端における第1のレンズ群G1と第2のレンズ群G2との主点間隔を最小限に短縮し、望遠端における第3のレンズ群G3と第2のレンズ群G2との主点間隔を最小限に短縮することにより、変倍時の主点間隔の変位(変化率)を最大にすることができる。このため、第1のレンズ群G1が固定されていながら、約12倍という高変倍率(高ズーム比)のズームレンズシステム10を提供できる。
【0031】
さらに、このズームレンズシステム10においては、変倍後の焦点調整は、両凹の負レンズL51と両凸の正レンズL52とを組み合わせたシンプルな2枚構成の第5のレンズ群G5であって、ズームレンズシステム10の中でもレンズの有効径が最も小さい、本例では8.90mm程度の負レンズL51を含む、レンズ重量の小さい第5のレンズ群G5が前後に動くことにより行われる。さらに、焦点調整(フォーカシング)を行う第5のレンズ群G5が、変倍(ズーミング)を行うレンズ群G2〜G5(変倍群、ズーミング群)の間に挟まれることなく、変倍群の最も像側10bに配置されている。このため、フォーカシングのための駆動機構を簡素化でき、撮像装置1への機械的な負荷を軽減しやすく、撮像装置1のコンパクト化を図りやすい。
【0032】
さらに、このズームレンズシステム10においては、変倍時に固定され移動しない第1のレンズ群G1に接合レンズL1Bが含まれており、変倍時に移動するレンズ群G2〜G5には接合レンズが含まれていない。このため、レンズ群G2〜G5においてレンズ枚数およびレンズ面を増やすことができ、収差補正のための設計の自由度を向上させやすい。したがって、高性能化および高変倍率化に有利な構成であって、レンズ群G2〜G5に接合レンズを含まない低コストのズームレンズシステム10を提供できる。
【0033】
さらに、第4のレンズ群G4は、物体側10aから順に、両凸の正レンズL41と、像側10bに凸の負メニスカスレンズL42とから構成され、第5のレンズ群G5は、物体側10aから順に、両凹の負レンズL51と、両凸の正レンズL52とから構成されている。このため、正−負の第4の構成のレンズ群G4と、負−正の構成の第5のレンズ群G5とをズームレンズシステム10の像側10bに配置できる。このように、有効径がほぼ等しく、対称的なレンズ配置の2つの群G4およびG5を、像側10bに近い第4のレンズ群および第5のレンズ群に配置するレンズ構成は、諸収差を補正するのに有効である。
【0034】
さらに、変倍時の主点間隔の変位が大きな第2のレンズ群G2および第3のレンズ群G3において、第2のレンズ群G2の最も像側10bに配置された負メニスカスレンズL24の両面S12およびS13と、第3のレンズ群G3の最も物体側10aに配置された正メニスカスレンズL31の両面S15およびS16とは、非球面となっている。物体側10aから像側10bに向かって、第2のレンズ群G2の最終のレンズである負メニスカスレンズL24の両面S12およびS13を非球面としているため、球面収差やコマ収差の発生を抑制できる。さらに、物体側10aから像側10bに向かって、第3のレンズ群G3の最初のレンズである正メニスカスレンズL31の両面S15およびS16を非球面としているため、諸収差を補正するのに有効である。
【0035】
このように、絞りSを挟んで、絞りSの直前に配置された負メニスカスレンズL24の両面S12およびS13と、絞りSの直後に配置された正メニスカスレンズL31の両面S15およびS16とを非球面とするレンズ構成は、諸収差の発生を抑制し、かつ諸収差を補正するのに有効である。さらに、絞りSを挟んで、両面S12およびS13を非球面とした負メニスカスレンズL24と、両面S15およびS16を非球面とした正メニスカスレンズL31とを配置した対称的なレンズ配置は、歪曲収差を補正するのに有効である。
【0036】
このズームレンズシステム10は、第1のレンズ群G1の合成焦点距離f1と、広角端におけるズームレンズシステム10の合成焦点距離fwと、第5のレンズ群G5の負レンズL51の焦点距離f51と、第5のレンズ群G5の正レンズL52の焦点距離f52とが以下の条件(1.1)および(1.2)を満たすことが望ましい。
13.5<f1/fw<17.5 ・・・(1.1)
1.0<|f51/f52|<1.5 ・・・(1.2)
【0037】
条件(1.1)の上限を超えると、第1のレンズ群G1のパワーが全ズームレンズシステム10に対して弱くなり、像面湾曲が増大しやすく、ズームレンズシステム10をコンパクトにすることが困難となる。一方、条件(1.1)の下限を超えると、第1のレンズ群G1のパワーが全ズームレンズシステム10に対して強くなり、球面収差およびコマ収差を含めた諸収差の補正が困難となり、望遠端におけるF値が大きくなりやすい。
【0038】
条件(1.2)の上限を超えると、第5のレンズ群G5の正レンズL52のパワーが負レンズL51に対して強くなり、テレセントリック性が悪化しやすい。一方、条件(1.2)の下限を超えると、第5のレンズ群G5の正レンズL52のパワーが負レンズL51に対して弱くなり、ズームレンズシステム10をコンパクトにすることが困難となる。
【0039】
条件(1.1)の上限は、以下の条件を満たすことがさらに望ましい。
f1/fw<16.2 ・・・(1.1.1)
また、条件(1.1)の下限は、以下の条件を満たすことがさらに望ましい。
15.0<f1/fw ・・・(1.1.2)
条件(1.2)の上限は、以下の条件を満たすことがさらに望ましい。
|f51/f52|<1.4 ・・・(1.2.1)
また、条件(1.2)の下限は、以下の条件を満たすことがさらに望ましい。
1.1<|f51/f52| ・・・(1.2.2)
【0040】
このズームレンズシステム10は、第2のレンズ群G2の正レンズL23のアッベ数ν23と、第3のレンズ群G3の正レンズL32のアッベ数ν32と、第4のレンズ群G4の正レンズL41のアッベ数ν41とが以下の条件(2.1)〜(2.3)を満たすことが望ましい。
0<ν23<25.0 ・・・(2.1)
60.0<ν32<90.0 ・・・(2.2)
60.0<ν41<70.0 ・・・(2.3)
【0041】
第2のレンズ群G2、第3のレンズ群G3および第4のレンズ群G4には、接合レンズが含まれていない安価な構成のため、色収差を補正するために条件(2.1)〜(2.3)を設定している。負の屈折力を備えた第2のレンズ群G2に強い分散力(高分散)を与えるために条件(2.1)を設定し、正の屈折力を備えた第3のレンズ群G3および第4のレンズ群G4に弱い分散力(低分散)を与えるために条件(2.2)および(2.3)を設定している。したがって、高分散で負の屈折力を備えた第2のレンズ群G2と、低分散で正の屈折力を備えた第3のレンズ群G3および第4のレンズ群G4とを組み合わせることにより、色収差の補正に有利な構成としている。
【0042】
条件(2.1)の上限を超えると、第2のレンズ群G2の正レンズL23の分散力が弱くなり(低分散)、第2のレンズ群G2の像側10bに凸の負メニスカスレンズL24で発生する色収差を補正することが困難となる。条件(2.2)の下限を超えると、第3のレンズ群G3の正レンズL32の分散力が強くなり(高分散)、第3のレンズ群G3の物体側10aに凸の負メニスカスレンズL33で発生する色収差を補正することが困難となる。条件(2.3)の下限を超えると、第4のレンズ群G4の正レンズL41の分散力が強くなり(高分散)、第4のレンズ群G4の像側10bに凸の負メニスカスレンズL42で発生する色収差を補正することが困難となる。
【0043】
条件(2.1)の上限は、以下の条件を満たすことがさらに望ましい。
ν23<24.0 ・・・(2.1.1)
条件(2.2)の上限は、以下の条件を満たすことがさらに望ましい。
ν32<82.0 ・・・(2.2.1)
条件(2.3)の上限は、以下の条件を満たすことがさらに望ましい。
ν41<64.0 ・・・(2.3.1)
【0044】
図2に、ズームレンズシステム10の各レンズのレンズデータを示している。
図3に、ズームレンズシステム10の諸数値を示している。レンズデータにおいて、Riは物体側10aから順に並んだ各レンズ(各レンズ面)の曲率半径(mm)、diは物体側10aから順に並んだ各レンズ面の間の距離(mm)、Diは物体側10aから順に並んだ各レンズ面の有効径(mm)、ndは物体側10aから順に並んだ各レンズの屈折率(d線)、νdは物体側10aから順に並んだ各レンズのアッベ数(d線)を示している。
図2において、Flatは平面を示している。
図3(b)において、「En」は、「10のn乗」を意味する。たとえば、「E−04」は、「10の−4乗」を意味し、「E−10」は、「10の−10乗」を意味する。
【0045】
図3(c)に示すように、このズームレンズシステム10は、レンズ群G2〜G5が移動することにより変倍し、第1のレンズ群G1と第2のレンズ群G2との間の空気間隔(距離)d5と、第2のレンズ群G2と絞りSとの間の空気間隔d13と、第3のレンズ群G3と第4のレンズ群G4との間の空気間隔d20と、第4のレンズ群G4と第5のレンズ群G5との間の空気間隔d24と、第5のレンズ群G5とカバーガラスCGとの間の空気間隔d28とが変化する。
【0046】
また、第2のレンズ群G2の最も像側10bに配置された負メニスカスレンズL24の両面S12およびS13と、第3のレンズ群G3の最も物体側10aに配置された正メニスカスレンズL31の両面S15およびS16と、第5のレンズ群G5の最も像側10bに配置された正レンズL52の両面S27およびS28とは、非球面である。非球面は、Xを光軸方向の座標、Yを光軸と垂直方向の座標、光の進行方向を正、Rを近軸曲率半径とすると、
図3(b)の係数K、A、B、CおよびDを用いて次式で表わされる。
X=(1/R)Y
2/[1+{1−(1+K)(1/R)
2Y
2}
1/2]
+AY
4+BY
6+CY
8+DY
10
【0047】
本例のズームレンズシステム10の第1のレンズ群G1の合成焦点距離をf1、広角端におけるズームレンズシステム10の合成焦点距離をfw、第5のレンズ群G5の負レンズL51の焦点距離をf51、第5のレンズ群G5の正レンズL52の焦点距離をf52としたときに、上述した条件(1.1)および(1.2)の値は、
図3(a)〜(c)に示した諸数値により以下のようになる。
条件(1.1) f1/fw=16.16
条件(1.2) |f51/f52|=1.29
したがって、本例のズームレンズシステム10は、条件(1.1)および(1.2)を満たしている。
【0048】
本例のズームレンズシステム10の第2のレンズ群G2の正レンズL23のアッベ数をν23、第3のレンズ群G3の正レンズL32のアッベ数をν32、第4のレンズ群G4の正レンズL41のアッベ数をν41としたときに、上述した条件(2.1)〜(2.3)の値は、
図2に示したデータにより以下のようになる。
条件(2.1) ν23=23.8
条件(2.2) ν32=81.5
条件(2.3) ν41=63.3
したがって、本例のズームレンズシステム10は、条件(2.1)〜(2.3)を満たしている。
【0049】
図4に、ズームレンズシステム10の広角端のおける縦収差図および横収差図を示している。
図5に、ズームレンズシステム10の中間焦点状態のおける縦収差図および横収差図を示している。
図6に、ズームレンズシステム10の望遠端のおける縦収差図および横収差図を示している。
図4〜
図6に示すように、いずれの収差も良好に補正されており、鮮明な像を撮影することができる。なお、球面収差は、波長656nm(点線)と、波長587nm(実線)と、波長546nm(五点鎖線)と、波長486nm(一点鎖線)と、波長435nm(二点鎖線)とを示している。また、非点収差およびコマ収差においては、タンジェンシャル光線(T)およびサジタル光線(S)の収差をそれぞれ示している。
【0050】
このように、本例のズームレンズシステム10は、非常に大きな画角を確保でき、広角端においてF値が1.7と明るく、さらに、約12倍の高変倍率を確保できる。このため、このズームレンズシステム10は、高性能で、高変倍率、広画角を備えたものであり、テレビ会議用カメラや監視カメラなどの用途に適している。なお、第4のレンズ群G4においては、正レンズL41と、負メニスカスレンズL42との配置を入れ替えて、物体側10aから順に、負メニスカスレンズL42と、正レンズL41とに配置することも可能である。さらに、負メニスカスレンズL42は、物体側10aに凸(正レンズL41の側に凹)の構成とすることも可能である。また、正レンズL41と、負メニスカスレンズL42とを貼合した接合レンズとすることも可能である。
【0051】
なお、本例のズームレンズシステム10は、広角端から望遠端に変倍する際に、第3のレンズ群G3がいわゆるS字状の軌跡でうねるように移動しているが、物体側10aに凸状の軌跡で移動するものであってもよい。また、第5のレンズ群G5は、撮影距離に応じて移動の方向を変化させることが好ましい。たとえば、撮影距離が1m程度の至近距離の場合、広角端から望遠端に変倍する際に、第5のレンズ群Gは像側10bから物体側10aへ動かすことが好ましい。