(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
電子レンジや炊飯器等の電化製品を収納するための扉付収納装置においては、扉が閉状態の場合に電化製品を使用すると、発熱や水蒸気の発生によって本体が温度上昇したり膨張する等の危険が伴う。そのため、扉が閉状態の場合には、内部に設置されたコンセントへの給電を停止するように構成したものが提案されている。
【0003】
図10は特許文献1で開示された扉付収納装置の概略断面図であり、
図11は
図10で示したA部分の拡大図であって、開閉扉が若干開いた状態を示すものである。
【0004】
これらの図を参照して、扉付収納装置である家電収納キャビネット70は、その内部に電源コンセント76が設置され、前面(図の左側)が開放された箱形形状のキャビネット本体72と、キャビネット本体72の開口面に取付けられた開閉扉74とを備えており、キャビネット本体72の内部に設置された棚板73上には、スチームレンジ79が載置されている。更に、その両端部が開閉扉74の背面とキャビネット本体72の側壁の各々との間で回動自在に連結されたリンクアーム77a、77bを備えている。リンクアーム77a、77bによって、開閉扉74は
図10の実線で示す閉状態から二点鎖線で示す開状態までの間を自在に移動することができる。
【0005】
又、
図11に示すように、キャビネット本体72の棚板73の下面の前面側には、切換装置81が設置されていると共に、開閉扉74の背面の下方側には、閉状態において切換装置81と係合する凸部75が形成されている。切換装置81は、前面側に配置された前後に摺動自在な押圧部82と、レバー85を有するリミットスイッチ83と、リミットスイッチ83に接続された配線86a、86bとを備えている。配線86a、86bの各々は、
図10で示す電源プラグ78及び電源コンセント76の各々に接続されている。
【0006】
そして、開閉扉74が閉状態の場合には、開閉扉74の凸部75によって切換装置81の押圧部82が押圧されて後方側(図の右側)に移動する。すると、リミットスイッチ83のレバー85が後方側に押圧され、図示しない切換ボタンが押下される。すると、配線86aと配線86bとが非接触状態となる。従って、開閉扉74が閉状態の場合には電源コンセント76への給電が停止され、スチームレンジ79が使用できなくなり安全性が確保される。
又、リンクアームによって扉が開閉される扉付収納装置においては、扉が閉状態から所定量未満開いた第1の範囲にあっては、扉を閉状態へと移動させるように付勢すると共に、扉が所定量を超えて開いた第2の範囲にあっては、扉を開状態へと移動させるように付勢する付勢手段(コイルばね)を有するものが提案されている(例えば、特許文献2)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような特許文献1で開示された扉付収納装置では、開状態において開閉扉の開閉状態を検知する押圧部が露出しているため、使用者が触れることによって不用意に電源コンセントへの給電が停止してしまう虞があった。
【0009】
更に、開閉扉が開状態の場合にのみ電源コンセントへの給電が停止されるため、以下に説明するような問題が生じていた。
【0010】
図12は
図10で示した扉付収納装置の扉の開閉状態と給電状態との関係を示す模式図である。
【0011】
図を参照して、一点鎖線で示す直線は、
図10で示したリンクアームのキャビネット本体側の軸と開閉扉の中心とを結ぶ直線を示すものであり、それぞれ閉状態、開閉扉が半分程度開いた開(中間)状態及び開閉扉が完全に開いた開(最大)状態の各々を示している。
【0012】
そして、従来の扉付収納装置においては、開閉扉が閉状態の場合にのみOFF状態(電源コンセントへの給電停止状態)となり、開閉扉が若干開いた状態になると共にON状態(電源コンセントへの給電開始状態)となる。従って、開閉扉が若干開いている状態の場合であっても電化製品から発熱や水蒸気が発生してしまう虞がある。そして、このような状態では水蒸気を外部に放出させる開放部分が小さくなるため、閉状態での電化製品の使用と同様に危険を伴う。
【0013】
又、例えば構成部材の変形等によって開閉扉が閉状態になり難くなった場合には、開閉扉の凸部と切替装置の押圧部とが係合しなくなるため、常時ON状態となってしまう虞があった。
【0014】
更に、特許文献2で開示された扉付収納装置のコイルばねを特許文献1の装置に適用した場合における、扉が所定量だけ開いた状態(中立状態)を破線で示しており、矢印は扉に対する付勢力を示している。そうすると、付勢力が働かないために扉の開閉位置が停止した状態になる可能性の高い中立状態においては、ON状態となる。従って、開放面積の少ない状態で発熱や水蒸気が発生する虞があった。
【0015】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、扉が閉状態における不用意なコンセントへの給電が防止される扉付収納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、扉付収納装置であって、開口面を有し、且つ内部にコンセントが設置された収納体と、収納体の開口面に取付けられた扉と、収納体の内部と扉の背面との間に架け渡され、扉が開口面を覆う閉状態と開口面から所定距離離れた開状態との間を移動自在となるように、扉を支持する支持手段と、扉が閉状態から所定量未満開いた第1の範囲にあっては、扉が閉状態へ移動するように支持手段を付勢し、扉が閉状態から所定量を超えて開いた第2の範囲にあっては、扉が開状態へ移動するように支持手段を付勢する付勢手段と、扉の開閉位置を検知する検知手段と、検知手段による、扉が所定量を超えて開いた特定状態にある旨の検知出力のみに応答して、コンセントに給電する制御手段とを備えたものである。
【0017】
このように構成すると、扉が特定の開いた状態に位置して初めてコンセントに給電される。
【0018】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、扉の特定状態は、所定量だけ開いた状態と開状態との間の中間的に開いた状態から開状態までを含むものである。
【0019】
このように構成すると、扉が中間的に開いた状態になって初めて給電される。
【0020】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、支持手段は、一対の支持リンクから構成される平行支持リンクよりなり、検知手段は、支持リンクの収納体の内部における移動位置を介して扉の位置を検出するものである。
【0021】
このように構成すると、検知手段が収納体の内部に設置される。
【0022】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の構成において、検知手段は、支持リンクの一方であって、収納体に取付けられる回転軸の周りの部分に取付けられたガイド片と、収納体の内面に取付けられ、所定範囲にある時のガイド片と係合するスイッチ手段とを含むものである。
【0023】
このように構成すると、スイッチ手段とガイド片との係合の範囲は、扉の開状態の位置に対応する。
【0024】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明の構成において、ガイド片のスイッチ手段との係合部分は、回転軸を中心とした円弧状に形成されるものである。
【0025】
このように構成すると、スイッチ手段に対するガイド片の当接力が一定となる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、扉が特定の開いた状態に位置して初めてコンセントに給電されるため、扉が閉状態における不用意な給電が防止され、安全性が向上する。
【0027】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、扉が中間的に開いた状態になって初めて給電されるため、より安全性が向上する。
【0028】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、検知手段が収納体の内部に設置されるため、扉が閉状態において検知手段に触れる虞が無く、誤動作が生じない。
【0029】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の効果に加えて、スイッチ手段とガイド片との係合の範囲は、扉の開状態の位置に対応するため、扉の開度に応じた給電の制御が容易となる。
【0030】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明の効果に加えて、スイッチ手段に対するガイド片の当接力が一定となるため、スイッチ手段の動作の信頼性が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1はこの発明の第1の実施の形態による扉付収納装置を示す概略斜視図であり、
図2は
図1で示したII−IIラインの拡大断面図であって、扉が閉状態の場合を示すものであり、
図3は
図2で示したX部分の拡大図である。
【0033】
これらの図を参照して、扉付収納装置1は、前面が開放された箱形形状を有すると共にその内部にコンセント31が設置された収納体12と、収納体12の開口面の全体を覆うように取付けられた扉13とを備えている。尚、扉13の下方端には、扉13の開閉操作をしやすくするための把持部14が設置されている。
【0034】
更に、扉13が開口面を覆う閉状態と開口面から所定距離離れた後述する開状態との間を移動自在となるように支持する支持手段である上支持リンク17及び下支持リンク18と、支持手段を付勢する付勢手段であるコイルばね25とを備えている。上支持リンク17及び下支持リンク18は共に平行支持リンクを構成している。尚、扉13の開閉位置を検知する後述する検知手段であるガイド片40及びスイッチ50等を除いては、扉付収納装置1は左右対称に構成されているため、以降では扉付収納装置1の左側部分(ガイド片40等が設置されている側)を中心に説明する。
【0035】
上支持リンク17の上方端部は、軸23を介して収納体12の側板15の内方面に固定された取付板19に回動自在に取付けられ、下方端部は扉13の背面に固定された扉取付板20に軸21を介して回動自在に取付けられている。又、下支持リンク18の上方端部は軸24を介して取付板19に回動自在に取付けられ、下方端部は扉取付板20に軸22を介して回動自在に取付けられている。尚、上支持リンク17には、収納体12の内方側に突出する突出部28が形成されているが、これは下支持リンク18の上方端部及びスイッチ50との干渉を避けるために形成されているものである。このようにして扉13と収納体12の側板15とが接続されているため、把持部14を持って扉13を収納体12の前面と平行な状態のまま、後述する開状態の位置との間を自在に移動させることができる。
【0036】
更に、上支持リンク17の突出部28の側板15側の面には、検知手段であるガイド片40が取付けられている。そして、その近傍であって取付板19上に固定されたスイッチ取付板29には、ネジ等によってスイッチ50が取付けられている。ガイド片40及びスイッチ50の詳細な構造等については後述する。又、スイッチ50はコンセント31への給電を制御する制御手段である制御装置35に接続されており、制御装置35の配線36a、36bの各々は図示しない電源プラグ及びコンセント31の各々に接続されている。
【0037】
一方、コイルばね25は、引張り状態で用いられており、ほぼ垂直方向に延びるように配置され、その上方端部が軸26aを介して扉取付板20に回動自在に取付けられ、その下方端部が軸26bを介して下支持リンク18における軸22の外方部分に回動自在に取付けられている。尚、コイルばね25の軸26a及び軸26bと下支持リンク18の軸22との位置関係は、扉3を閉じた閉状態(
図2の実線で示す状態)において、軸22がコイルばね25の軸中心を含む直線上より側面視において扉13側に位置するように設定されている。
【0038】
ここで、上記のように構成された扉付収納装置1の扉13の動作原理について簡単に説明する。
【0039】
図2を参照して、まず、コイルばね25の両端の軸26a、26bの各々に働く弾性力F
1、F
2は互いに打ち消しあっているため、コイルばね25の弾性力自体によって扉13が移動することは無い。
【0040】
次に、軸26bに働く弾性力F
2と下支持リンク18との関係についてみると、下支持リンク18の下方端部の軸22はコイルばね25の軸中心を含む直線より前方側(図の左側)に位置している。そのため、弾性力F
2は下支持リンク18に対して、軸22を中心とする図における反時計回りに回転させるモーメントM
2を付与することになる。従って、下支持リンク18には軸24を中心として反時計回りの力が加わることになり、結果として、扉13は下支持リンク18を介して閉じる方向へと付勢される。
【0041】
一方、軸26aに働く弾性力F
1についてみると、上支持リンク17の下方端部を扉取付板20に取付けるための軸21は、コイルばね25の軸中心を含む直線に対して前方側に位置している。そのため、弾性力F
1は扉取付板20に、軸21を中心とする図における時計回りの回転モーメントM
1を付与することになる。しかしながら、扉取付板20は、上支持リンク17と共に下支持リンク18にも軸22を介して取付けられているので、軸21を中心とする回転は規制される。このため、軸26aを介して扉取付板20に働く回転モーメントM
1は打ち消される。尚、この点は平行支持リンクの特性と軸26aの取付け位置とによるため、扉13の位置にかかわらず同じ状態となる。
【0042】
以上より、コイルばね25の弾性力は、軸26bを介してのみ扉13を付勢するように作用する。従って、扉13の付勢の状態は、扉13の位置に応じた下支持リンク18の軸22とコイルばね25の軸中心との位置関係によって規定されることになる。
【0043】
次に、扉付収納装置1の扉13の動作概要について説明する。
【0044】
図2を参照して、扉13を引出すようにして、一点鎖線で示した位置まで移動させ、扉13が開口面に対して所定量開いた状態にすると、上支持リンク17、下支持リンク18及びコイルばね25は一点鎖線で示した位置となる。このとき、コイルばね25の軸中心と下支持リンク18の下方端部の軸22とが直線上に整列する。従って、コイルばね25によっては、下支持リンク18は軸22を中心とするいずれの回転方向にも付勢されない状態となる。
【0045】
そして、この状態から更に扉13を上方に持ち上げるように移動させると、
図4で示す中間的に開いた状態となる。
【0046】
図4は
図1で示した扉付収納装置の扉が中間的に開いた状態を示す概略断面図であって、
図2に対応するものであり、
図5は
図4で示したY部分の拡大図であり、
図6は
図5で示したVI−VIラインの断面図である。
【0047】
これらの図を参照して、
図2の二点鎖線で示した状態から更に扉13を上方に持ち上げると、扉13は開口面から最も離れた中間的に開いた状態となる。
【0048】
このとき、下支持リンク18の扉取付板20側の軸22は、コイルばね25の軸中心を含む直線に対して扉13の背面とは反対側に位置している。そのため、コイルばね25の付勢力によって、
図4で示すように下支持リンク18には軸22を中心とする時計回りのモーメントが付与される。従って、コイルばね25による付勢力は下支持リンク18を軸24を中心に時計回りに付勢するように働く、即ち、扉13は後述する開状態へと移動する方向に付勢される。
【0049】
そして、この状態から更に扉13を持ち上げるように移動させると、
図7で示す開状態となる。
【0050】
図7は
図1で示した扉付収納装置の扉が開状態の場合を示す概略断面図であって、
図4に対応するものであり、
図8は
図7で示したZ部分の拡大図である。
【0051】
これらの図を参照して、
図4で示した中間的に開いた状態から更に扉13を上方に持ち上げると、扉13が開状態となり、収納体12の前面が完全に開放される。尚、扉13は図示しないストッパーによって必要以上の移動(開状態を超えた上方への移動)が阻止されている。
【0052】
このとき、下支持リンク18の扉取付板20側の軸22は、
図4で示した中間的に開いた状態と同様、コイルばね25の軸中心を含む直線に対して扉13の背面とは反対側に位置している。従って、コイルばね25による付勢力は下支持リンク18を軸24を中心に時計回りに付勢するように働くため、扉13の開状態が安定する。
【0053】
このように、扉13が閉状態(
図2の実線で示した状態)から所定量(
図2の破線で示した状態)未満開いた第1の範囲にある時には、扉13はコイルばね25によって下支持リンク18を介して閉状態へと移動するように付勢される。従って、扉13が収納体12の開口面に対して常にぴったりと閉じた状態が安定する。一方、扉13が所定量を超えて開状態までの第2の範囲にある時(
図4及び
図7で示した状態)には、扉13はコイルばね25によって下支持リンク18を介して開状態へと移動するように付勢される。従って、扉13を上方へと開く動作に要する力が軽減されると共に開状態が保持される。
【0054】
次に、扉13の開閉位置を検知するガイド片40及びスイッチ50について説明する。
【0055】
再度
図5及び
図6を参照して、ガイド片40は、略L字板状の本体部41と、本体部41の側板15側の端縁に接続され、スイッチ50側に延びる軸23を中心とした円弧状の係合部42とから構成されている。
【0056】
本体部41は、収納体12の側壁15に設置された軸23の周りであって上支持リンク17の突出部28の側板15側の面に、一対のネジ47によって固定されている。従って、ガイド片40は上支持リンク17の回転動作に伴って軸23を中心に回転する。そして、このガイド片40の回転動作に伴う、図示しない下支持リンク及びスイッチ50等との干渉を防止するために、本体部41には切欠き46が形成されている。
【0057】
スイッチ50は、本体51と、本体51に接続されると共に、その先端にローラー53が回動自在に接続されたレバー52と、本体51のレバー52の下方部に設置された切換ボタン54と、図示しない制御装置に接続された配線55a、55bとから構成されている。そして、切換ボタン54が押下されると、図示しない制御装置によってコンセントへ給電されるように構成されている。
【0058】
係合部42は、上述のように軸23を中心とした円弧状に形成されていると共に、扉が後述する特定状態である時には、その端縁がスイッチ50のレバー52のローラー53に当接して係合するように形成されている。
【0059】
このように、ガイド片40及びスイッチ50は、上支持リンク17の収納体12内部における移動位置を介して扉の位置を検出するように、収納体12の内部に設置される。そのため、扉が閉状態の場合には、使用者がこれらに触れる虞が無く、誤動作が生じることが無い。
【0060】
又、上述した部材等で構成される扉付収納装置は、例えば扉の開閉位置をセンサーで感知するようなものに比べて簡易な構造となるため、コスト的に有利な扉付収納装置となる。
【0061】
次に、扉の開閉状態とコンセントへの給電状態との関係を、ガイド片40の回転動作によるスイッチ50との係合状態の変化と併せて説明する。
【0062】
図9は
図1で示した扉付収納装置の扉の開閉状態と給電状態との関係を示す模式図でああって、(1)は上記の第1の実施の形態による第1の特定状態(ON状態)の範囲を示すものであり、(2)は他の実施の形態による第2の特定状態の範囲を示すものである。尚、他の実施の形態による装置は、特定状態の設定に関わる部分を除いては、第1の実施の形態による装置と基本的に同一構造である。
【0063】
まず(1)を参照して、一点鎖線で示す直線は、
図2等で示した上支持リンク17の軸23と扉13の中心とを結ぶ直線を示すものであり、それぞれ閉状態、扉が中間的に開いた開(中間)状態及び扉が完全に開いた開(最大)状態の各々を示している。更に、破線で示す直線は、
図2の一点鎖線で示した、扉が所定量開いた状態を示すものであり、矢印は扉に対する付勢力を示している。
【0064】
ここで(1)及び
図3を併せて参照して、扉13が閉状態の場合には、ガイド片40の係合部42がスイッチ50と当接せず、離れた状態となっている。従って、スイッチ50の切換ボタン54が押下されていないため、コンセントへの給電が停止したOFF状態となる。
【0065】
次に(1)、
図5及び
図6を併せて参照して、扉が中間的に開いた状態の時、上支持リンク17の回転動作に伴ってガイド片40が軸23を中心に回転することによって、ガイド片40の係合部42がスイッチ50のローラー53に当接した状態になる。しかしながら、この状態においてはスイッチ50の切換ボタン54は押下されていないため、OFF状態となる。
【0066】
次に(1)及び
図8を併せて参照して、扉が
図5を超えた開状態の時、ガイド片40の係合部42がローラー53に当接して係合することによってレバー52が下がり、切換ボタン54が押下される。このようにして、扉が特定状態にある事を検知する。そして、切換ボタン54が押下されると、図示しない制御装置によってコンセントに給電され、ON状態となる。このとき、上述した通り、ガイド片40の係合部42は、軸23を中心とした円弧状に形成されているため、ローラー53に対する係合部42の当接力が一定となる。従って、スイッチ50の動作の信頼性が向上する。
【0067】
このように、この実施の形態による扉付収納装置においては、扉が破線で示す所定量だけ開いた状態と開状態との間の、中間的に開いた状態から開状態までの範囲において、扉が特定状態になるので、ON状態となる。一方、中間的に開いた状態から閉状態までの間は、扉が特定状態にならないので、OFF状態となる。このように、扉が特定の開いた状態(特定状態)に位置して初めてコンセントに給電され、ON状態となる。そのため、扉が閉状態における不用意な給電が確実に防止され、安全性が向上する。
【0068】
更に、従来例の
図12で示した模式図と比較すると、破線で示す扉が所定量だけ開いた状態(中立状態)においては、従来例ではON状態となるため安全性が低いと言えるが、この実施の形態においてはOFF状態である。そして、この実施の形態においては、扉が所定量だけ開いた状態を超えた中間的に開いた状態になって初めて給電される。即ち、閉状態へと移動させる付勢力が働く範囲や破線で示す中立状態にあってはOFF状態であるため、より安全性が向上する。
【0069】
尚、この実施の形態においては上述したように扉の特定状態の範囲が設定されているが、他の実施の形態として、扉の特定状態の範囲をこれと異なる範囲に設定した場合について説明する。
【0070】
(2)を参照して、この模式図においては、扉が所定量だけ開いた状態を超えた直後から開状態までの範囲において、扉が特定状態(ON状態)となるように設定されている。即ち、扉が開状態となるような付勢力が働く状態では常にON状態となり、閉状態となるような付勢力が働く状態ではOFF状態となる。従って、扉の開閉特性に対応した制御となる。
【0071】
尚、このような扉の特定状態の範囲を設定するためには、ガイド片の係合部の形状を変更し、スイッチの切換ボタンの押下を開始する位置を変更すれば良いため、簡易に扉の特定状態の範囲を変更することができる。即ち、扉の開度に応じたコンセントへの給電の制御が容易となる。
【0072】
尚、上記の各実施の形態では、扉付収納装置の具体的な使用方法については触れていないが、例えば、レンジ収納装置として、コンセントの給電を制御することによって、閉状態での加熱調理を防止するものが当然考えられる。又は、例えば、扉が特定状態の場合にのみ収納体内の照明が点灯する照明付収納装置、扉が特定状態の場合にのみ殺菌灯が消灯する殺菌灯付収納装置、扉が特定状態の場合にのみ開ランプが点灯する開閉状態表示機能を有する収納装置、又は扉が特定状態の場合にのみ送風ファンが作動して収納体内の換気や熱排出をおこなう換気機能付収納装置等に対しても同様に適用できる。
【0073】
又、上記の各実施の形態では、扉の開閉動作が特定されているが、支持手段によって閉状態から開状態までの間を自在に移動できるものであれば、例えば下方に引下げるように開閉する扉やスライド式に開閉する扉等であっても良い。
【0074】
更に、上記の各実施の形態では、閉状態の扉は収納体の開口面を覆うものであるが、扉が収納体の開口面を覆う状態とは、扉が収納体の開口面を完全に塞ぐような状態のみならず、開口面に対して若干の隙間や開放部分等がある状態も含むものである。
【0075】
更に、上記の各実施の形態では、支持手段は上支持リンクと下支持リンクとで構成されているが、収納体の内部と扉の背面との間に架け渡され、扉が閉状態と開状態との間を移動自在となるように支持するものであれば、他の部材で構成されていても良い。
【0076】
更に、上記の各実施の形態では、付勢手段としてコイルばねが使用されているが、例えばガススプリング等を使用しても良い。
【0077】
更に、上記の各実施の形態では、特定の制御装置を備えているが、検知手段によって扉が特定状態にある旨の検知出力のみに応答して、コンセントに給電できるものであれば、他の制御装置であっても良い。
【0078】
更に、上記の各実施の形態では、コンセントに給電する扉の特定状態の範囲が具体的に設定されているが、特定状態の開始位置は、扉が所定量を超えた状態から開状態までの範囲内において設定されていれば良い。
【0079】
更に、上記の各実施の形態では、検知手段はガイド片及びスイッチによって構成されているが、上支持リンク又は下支持リンクの収納体の内部における移動位置を介して扉の位置を検出するものであれば、他の部材等で構成されていても良い。更には、検知手段は扉の開閉位置を直接的に検知するものであれば良い。
【0080】
更に、上記の各実施の形態では、ガイド片は上支持リンクの特定箇所に取付けられているが、収納体に対して取付けられる軸(回転軸)の周りの部分に取付けられるのであれば、他の箇所に取付けられていても良い。又は、下支持リンクに取付けられていても良い。
【0081】
更に、上記の各実施の形態では、ガイド片は円弧状の係合部によってスイッチと係合しているが、扉が特定状態になる範囲に対応する所定範囲にある時にスイッチと係合するように形成されていれば、係合部は他の形状であっても良い。