特許第5661529号(P5661529)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5661529ネットワーク品質監視サーバ、方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5661529
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】ネットワーク品質監視サーバ、方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/70 20130101AFI20150108BHJP
   H04M 3/00 20060101ALI20150108BHJP
【FI】
   H04L12/70 100Z
   H04M3/00 D
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2011-72852(P2011-72852)
(22)【出願日】2011年3月29日
(65)【公開番号】特開2012-209697(P2012-209697A)
(43)【公開日】2012年10月25日
【審査請求日】2013年8月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】立花 篤男
(72)【発明者】
【氏名】阿野 茂浩
【審査官】 衣鳩 文彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−060611(JP,A)
【文献】 特開2006−074447(JP,A)
【文献】 立花 篤男 他,ユーザPCを利用したネットワーク品質計測システム,電子情報通信学会技術研究報告,2010年11月11日,第110巻,第287号,p.55〜60
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/70
H04M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザ端末の間の通信を中継するノードによって構成される通信ネットワークにおいて、通信を監視する範囲である監視対象ネットワークを設定し、当該監視対象ネットワークの通信の品質を監視すると共に、前記品質の劣化したノードを抽出するネットワーク品質監視サーバであって、
前記監視対象ネットワークの通信経路について計測された結果に基づいて算出された、前記品質の劣化を示す重みを、当該通信経路を構成するノードごとに記憶する重み記憶手段と、
前記ユーザ端末の間の前記通信経路について、当該通信経路を構成するノードのうち、前記重みが閾値を超えるノードである候補ノードを検出する候補ノード検出手段と、
前記候補ノード検出手段によって検出した前記候補ノードを複数含む前記通信経路を探索する通信経路探索手段と、
前記通信経路探索手段によって探索した前記通信経路における候補ノードのうちの少なくとも1つの候補ノードを含むように選択された前記通信経路であるパスであって前記ユーザ端末のペアである前記パスについて、前記パスごとの前記重みの総計が大きい順に、一定の条件を満たすか否かを判断し、満たすと判断した前記パスを、前記候補ノードのうちから前記品質の劣化したノードを抽出するために計測する対象である計測パスとして採用する通信経路採用手段と、
前記通信経路採用手段によって採用した前記計測パスに接続される前記ユーザ端末に、当該計測パスの通信の品質を計測させるための指令を送信する計測指令送信手段と、
前記計測指令送信手段によって送信した指令に基づいて計測した前記ユーザ端末から計測結果を受信する計測結果受信手段と、
前記計測結果受信手段によって受信した計測結果に基づいて、前記重み記憶手段に記憶された前記重みを更新する更新手段と、
前記更新手段によって更新された前記重み記憶手段の前記重みに基づいて、前記品質が劣化したノードを抽出する抽出手段と、を備え
前記通信経路採用手段は、前記一定の条件として、選択した前記パスを仮に採用したとき、前記候補ノードを含む既に採用された前記パスとの組み合わせが、前記候補ノードごとに異なる個数を、仮に採用する前の個数と比べて増加することとする、
ネットワーク品質監視サーバ。
【請求項2】
信の品質を計測する回数が一定値以下という制約条件を満たすように、前記通信経路を求める制約手段をさらに備え、
前記通信経路採用手段は、前記パスのうち前記制約手段によって求められた前記パスについて判断する、
請求項1に記載のネットワーク品質監視サーバ。
【請求項3】
複数のユーザ端末の間の通信を中継するノードによって構成される通信ネットワークにおいて、通信を監視する範囲である監視対象ネットワークを設定し、設定した当該監視対象ネットワークの通信経路について計測された結果に基づいて算出された、通信の品質の劣化を示す重みを、当該通信経路を構成するノードごとに記憶する重み記憶手段を有し、当該監視対象ネットワークの前記品質を監視するネットワーク品質監視サーバが、前記品質の劣化したノードを抽出する方法であって、
前記ユーザ端末の間の前記通信経路について、当該通信経路を構成するノードのうち、前記重みが閾値を超えるノードである候補ノードを検出する候補ノード検出ステップと、
前記候補ノード検出ステップによって検出した前記候補ノードを複数含む前記通信経路を探索する通信経路探索ステップと、
前記通信経路探索ステップによって探索した前記通信経路における候補ノードのうちの少なくとも1つの候補ノードを含むように選択された前記通信経路であるパスであって前記ユーザ端末のペアである前記パスについて、前記パスごとの前記重みの総計が大きい順に、一定の条件を満たすか否かを判断し、満たすと判断した前記パスを、前記候補ノードのうちから前記品質の劣化したノードを抽出するために計測する対象である計測パスとして採用する通信経路採用ステップと、
前記通信経路採用ステップによって採用した前記計測パスに接続される前記ユーザ端末に、当該計測パスの通信の品質を計測させる計測ステップと、
前記計測ステップによって計測した通信の品質に基づいて、前記重み記憶手段に記憶された前記重みを更新する更新ステップと、
前記更新ステップによって更新された前記重み記憶手段の前記重みに基づいて、前記品質が劣化したノードを抽出する抽出ステップと、を備え
前記通信経路採用ステップは、前記一定の条件として、選択した前記パスを仮に採用したとき、前記候補ノードを含む既に採用された前記パスとの組み合わせが、前記候補ノードごとに異なる個数を、仮に採用する前の個数と比べて増加することとする、
方法。
【請求項4】
複数のユーザ端末と、当該ユーザ端末の間の通信を中継するノードによって構成される通信ネットワークにおいて、通信を監視する範囲である監視対象ネットワークを設定し、当該監視対象ネットワークの通信の品質を監視すると共に、前記品質の劣化したノードを抽出するネットワーク品質監視サーバとを備えるネットワーク品質監視サーバシステムであって、
前記ネットワーク品質監視サーバは、
前記監視対象ネットワークの通信経路について計測された結果に基づいて算出された、前記品質の劣化を示す重みを、当該通信経路を構成するノードごとに記憶する重み記憶手段と、
前記ユーザ端末の間の前記通信経路について、当該通信経路を構成するノードのうち、前記重みが閾値を超えるノードである候補ノードを検出する候補ノード検出手段と、
前記候補ノード検出手段によって検出した前記候補ノードを複数含む前記通信経路を探索する通信経路探索手段と、
前記通信経路探索手段によって探索した前記通信経路における候補ノードのうちの少なくとも1つの候補ノードを含むように選択された前記通信経路であるパスであって前記ユーザ端末のペアである前記パスについて、前記パスごとの前記重みの総計が大きい順に、一定の条件を満たすか否かを判断し、満たすと判断した前記パスを、前記候補ノードのうちから前記品質の劣化したノードを抽出するために計測する対象である計測パスとして採用する通信経路採用手段と、
前記通信経路採用手段によって採用した前記計測パスに接続される前記ユーザ端末に、当該計測パスの通信の品質を計測させるための指令を送信する計測指令送信手段と、
前記計測指令送信手段によって送信した指令に基づいて計測した前記ユーザ端末から計測結果を受信する計測結果受信手段と、
前記計測結果受信手段によって受信した計測結果に基づいて、前記重み記憶手段に記憶された前記重みを更新する更新手段と、
前記更新手段によって更新された前記重み記憶手段の前記重みに基づいて、前記品質が劣化したノードを抽出する抽出手段と、を備え
前記通信経路採用手段は、前記一定の条件として、選択した前記パスを仮に採用したとき、前記候補ノードを含む既に採用された前記パスとの組み合わせが、前記候補ノードごとに異なる個数を、仮に採用する前の個数と比べて増加することとし、
前記ユーザ端末は、
計測するための指令を前記ネットワーク品質監視サーバから受信する計測指令受信手段と、
前記計測指令受信手段によって受信した指令に基づいて前記通信経路の通信の品質を計測する計測実行手段と、
前記計測実行手段によって計測した品質を前記ネットワーク品質監視サーバに送信する計測結果送信手段と、を備える、
ネットワーク品質監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークの通信品質を計測し、品質劣化ノードを抽出するネットワーク品質監視サーバ、方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、IP(Internet Protocol)ネットワークにおいて、IPネットワーク内部の通信品質について品質劣化箇所を間接的に推定するネットワークトモグラフィ技術が研究されている。
【0003】
例えば、非特許文献1及び2には、監視対象ネットワーク内・外に分散配置した計測端末間の複数パスにおいて、パケットロス率やパケット遅延を計測し、計測データ間の相関から品質劣化箇所を間接的に推定する技術が記載されている。また、非特許文献3及び4には、ネットワークトモグラフィ技術を用いてネットワークを監視するための、最適な計測サーバ配置方法(サーバ数の最小化問題)に関する技術が記載されている。
【0004】
さらに、特許文献1には、ネットワーク監視のコスト低減を目的として、ユーザPCを利用して、IPネットワークを網羅的に監視するシステムに関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特願2010−075206号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Atsuo Tachibana,Shigehiro Ano,Toru Hasegawa,Masato Tsuru,Yuji Oie,”Locating Congested Segments over the Internet Based on Multiple End−to−End Path Measurements,”IEICE Transactions 89−B(4):1099−1109(2006)
【非特許文献2】Atsuo Tachibana,Shigehiro Ano,Toru Hasegawa,Masato Tsuru,Yuji Oie,”Locating congested segments over the Internet by clustering the delayperformance of multiple paths,”Computer Communications 32(15):1642−1654(2009)
【非特許文献3】Ritesh Kumar and Jasleen Kaur,“Practical Beacon Placement for Link Monitoring Using Network Tomography,”IEEE Journal on Selected Areas in Communications,vol.24,NO.12,(2006).
【非特許文献4】Masahiro Sasaki,Liang Zhao,Hiroshi Nagamochi,“Security−aware beacon based network monitoring,”The Eleventh IEEE International Conference on Communications Systems(ICCS 2008),November19−21,2008,Guangzhou,China.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術を用いて大規模IPネットワークの通信品質を計測し、品質劣化ノードを特定する場合,以下の課題がある。
1.非特許文献1及び2では、設置済みの計測サーバ間でUDP(User Datagram Protocol)パケットの送受信によりロス率・パケット遅延変動を計測し、計測パスが通過する範囲において、品質劣化ノードをリアルタイムに検出する方法が提案されているが、IPネットワークを網羅的に計測する方法や計測サーバの配置方法に関しては議論されていない。また、非特許文献1及び2に記載された技術は、品質劣化を経験した計測パスの集合が共有する区間(連続するリンクやノードの列)を品質劣化箇所として推定するため、計測トポロジーによっては複数の区間を劣化箇所の候補として推定し、劣化箇所を十分に絞り込めない場合がある。
2.非特許文献3及び4では、IPネットワークを効率的に監視するため、対象ネットワークのリンク品質を網羅的に計測できるような監視サーバの位置を決定する方法が記載されている。しかし、これらの方法は、ICMP応答パケットを利用して各リンクの品質を計測する方法を想定しており、品質計測の精度が低い場合がある。
3.特許文献1に開示された技術は、計測サーバを設置せずにユーザPC間で計測用のUDPパケットを送受し、エンドツーエンドの通信品質を計測するが、対象ネットワークを通過するエンドツーエンドの通信品質を監視することを目的としており、品質劣化ノードを検出する機能は備えていない。
【0008】
そこで、IPネットワークにおいて、品質劣化ノードの検出率を向上させ、品質劣化ノードを抽出することができるサーバ、方法及びシステムが求められている。
【0009】
本発明は、IPネットワークにおいて、品質劣化ノードの検出率を向上させ、品質劣化ノードを抽出することができるネットワーク品質監視サーバ、方法及びシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、多数のユーザPC間でUDPプローブパケットを送受し、監視対象とするネットワークの品質を計測する技術において、計測パス(ユーザ端末PCのペア)を動的に変化させ、監視対象ネットワークの計測カバー率を上昇させると共に、品質劣化ノードを抽出する。ここで、監視対象ネットワークのトポロジーは既知とする。具体的には、以下のような解決手段を提供する。
【0011】
(1) 複数のユーザ端末の間の通信を中継するノードによって構成される通信ネットワークにおいて、通信を監視する範囲である監視対象ネットワークを設定し、当該監視対象ネットワークの通信の品質を監視すると共に、前記品質の劣化したノードを抽出するネットワーク品質監視サーバであって、前記監視対象ネットワークの通信経路について計測された結果に基づいて算出された、前記品質の劣化を示す重みを、当該通信経路を構成するノードごとに記憶する重み記憶手段と、前記ユーザ端末の間の通信経路について、当該通信経路を構成するノードのうち、前記重みが閾値を超えるノードである候補ノードを検出する候補ノード検出手段と、前記候補ノード検出手段によって検出した前記候補ノードを複数含む前記通信経路を探索する通信経路探索手段と、前記通信経路探索手段によって探索した通信経路における候補ノードのうちの少なくとも1つの候補ノードを含むパスについて、前記重みの総計が大きい順に、前記候補ノードを含むパスの組み合わせの数が増加するか否かを判断し、増加すると判断したパスを計測パスとして採用する通信経路採用手段と、前記通信経路採用手段によって採用した計測パスに接続される前記ユーザ端末に、当該計測パスの通信の品質を計測させるための指令を送信する計測指令送信手段と、前記計測指令送信手段によって送信した指令に基づいて計測した前記ユーザ端末から計測結果を受信する計測結果受信手段と、前記計測結果受信手段によって受信した計測結果に基づいて、前記重み記憶手段に記憶された前記重みを更新する更新手段と、前記更新手段によって更新された前記重み記憶手段の重みに基づいて、前記品質が劣化したノードを抽出する抽出手段と、を備えるネットワーク品質監視サーバ。
【0012】
(1)の構成によれば、本発明に係るネットワーク品質監視サーバは、監視対象ネットワークの通信経路について計測された結果に基づいて算出された、品質の劣化を示す重みを、当該通信経路を構成するノードごとに記憶する重み記憶手段を備え、複数のユーザ端末の間の通信経路について、当該通信経路を構成するノードのうち、品質が劣化した候補ノードを検出し、検出した候補ノードを複数含む通信経路において、少なくとも1つの候補ノードを含むパスについて、重みの総計が大きい順に、候補ノードを含むパスの組み合わせの数が増加するか否かを判断し、増加すると判断したパスを計測パスとして採用する。そして、ネットワーク品質監視サーバは、採用した計測パスによって接続されるユーザ端末に、当該計測パスの通信の品質を計測させ、計測した通信の品質に基づいて、重みを更新し、品質が劣化したノードを抽出する。
【0013】
すなわち、本発明に係るネットワーク品質監視サーバは、品質の劣化を示す重みの総計が最大となる通信経路を採用する際に、品質が劣化したノードの候補ノードを複数含む通信経路について、候補ノードを通過するパスが異なるような通信経路を採用することによって劣化の可能性のあるノードを絞り込み、絞り込んだノードを含む通信経路についての通信を計測し、計測した結果に基づいて、重みを更新し、品質が劣化したノードを抽出する。
したがって、本発明に係るネットワーク品質監視サーバは、品質劣化ノードの検出率を向上させ、品質劣化ノードを抽出することができる。
【0014】
(2) 前記複数のユーザ端末のうち一のユーザ端末について、通信の品質を計測する回数が一定値以下となる制約条件を満たすように、前記通信経路を求める制約手段をさらに備え、前記通信経路採用手段は、前記制約手段を満たすパスから前記計測パスを採用する、(1)に記載のネットワーク品質監視サーバ。
【0015】
したがって、本発明に係るネットワーク品質監視サーバは、通信経路を計測するユーザ端末の負担を軽減させながら、品質劣化ノードの検出率を向上させ、品質劣化ノードを抽出することができる。
【0016】
(3) 複数のユーザ端末の間の通信を中継するノードによって構成される通信ネットワークにおいて、通信を監視する範囲である監視対象ネットワークを設定し、設定した当該監視対象ネットワークの通信経路について計測された結果に基づいて算出された、通信の品質の劣化を示す重みを、当該通信経路を構成するノードごとに記憶する重み記憶手段を有し、当該監視対象ネットワークの前記品質を監視するネットワーク品質監視サーバが、前記品質の劣化したノードを抽出する方法であって、前記ユーザ端末の間の通信経路について、当該通信経路を構成するノードのうち、前記重みが閾値を超えるノードである候補ノードを検出する候補ノード検出ステップと、前記候補ノード検出ステップによって検出した前記候補ノードを複数含む前記通信経路を探索する通信経路探索ステップと、前記通信経路探索ステップによって探索した通信経路における候補ノードのうちの少なくとも1つの候補ノードを含むパスについて、前記重みの総計が大きい順に、前記候補ノードを含むパスの組み合わせの数が増加するか否かを判断し、増加すると判断したパスを計測パスとして採用する通信経路採用ステップと、前記通信経路採用ステップによって採用した計測パスに接続される前記ユーザ端末に、当該計測パスの通信の品質を計測させる計測ステップと、前記計測ステップによって計測した通信の品質に基づいて、前記重み記憶手段に記憶された前記重みを更新する更新ステップと、前記更新ステップによって更新された前記重み記憶手段の重みに基づいて、前記品質が劣化したノードを抽出する抽出ステップと、を備える方法。
【0017】
したがって、本発明に係る方法は、(1)と同様に、品質劣化ノードの検出率を向上させ、品質劣化ノードを抽出することができる。
【0018】
(4) 複数のユーザ端末と、当該ユーザ端末の間の通信を中継するノードによって構成される通信ネットワークにおいて、通信を監視する範囲である監視対象ネットワークを設定し、当該監視対象ネットワークの通信の品質を監視すると共に、前記品質の劣化したノードを抽出するネットワーク品質監視サーバとを備えるネットワーク品質監視サーバシステムであって、
前記ネットワーク品質監視サーバは、前記監視対象ネットワークの通信経路について計測された結果に基づいて算出された、前記品質の劣化を示す重みを、当該通信経路を構成するノードごとに記憶する重み記憶手段と、前記ユーザ端末の間の通信経路について、当該通信経路を構成するノードのうち、前記重みが閾値を超えるノードである候補ノードを検出する候補ノード検出手段と、前記候補ノード検出手段によって検出した前記候補ノードを複数含む前記通信経路を探索する通信経路探索手段と、前記通信経路探索手段によって探索した通信経路における候補ノードのうちの少なくとも1つの候補ノードを含むパスについて、前記重みの総計が大きい順に、前記候補ノードを含むパスの組み合わせの数が増加するか否かを判断し、増加すると判断したパスを計測パスとして採用する通信経路採用手段と、前記通信経路採用手段によって採用した計測パスに接続される前記ユーザ端末に、当該計測パスの通信の品質を計測させるための指令を送信する計測指令送信手段と、前記計測指令送信手段によって送信した指令に基づいて計測した前記ユーザ端末から計測結果を受信する計測結果受信手段と、前記計測結果受信手段によって受信した計測結果に基づいて、前記重み記憶手段に記憶された前記重みを更新する更新手段と、前記更新手段によって更新された前記重み記憶手段の重みに基づいて、前記品質が劣化したノードを抽出する抽出手段と、を備え、
前記ユーザ端末は、計測するための指令を前記ネットワーク品質監視サーバから受信する計測指令受信手段と、前記計測指令受信手段によって受信した指令に基づいて通信経路の通信の品質を計測する計測実行手段と、前記計測実行手段によって計測した品質を前記ネットワーク品質監視サーバに送信する計測結果送信手段と、を備える、ネットワーク品質監視システム。
【0019】
したがって、本発明に係るネットワーク品質監視システムは、(1)と同様に、品質劣化ノードの検出率を向上させ、品質劣化ノードを抽出することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、IPネットワークにおいて、品質劣化ノードの検出率を向上させ、品質劣化ノードを抽出することができる。より、具体的には、次の様な効果を奏する。
1.大規模なIPネットワーク計測システムにおいて、品質劣化ノードを詳細に抽出することができる。
2.計測パスを動的に変化させることにより、品質劣化ノードの検出率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明が監視対象とするネットワークを含む広域ネットワークの構成を示す図である。
図2】本発明の一実施形態における監視対象とするネットワークの計測パスの例を示す図である。
図3】本発明の一実施形態における品質劣化ノードの抽出を説明する図である。
図4】本発明の一実施形態に係るネットワーク品質監視サーバと、ユーザ端末との機能構成を示す機能ブロック図である。
図5】本発明の一実施形態に係るネットワーク品質監視サーバの重みDBの例を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係るネットワーク品質監視サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
図7】本発明の一実施形態に係るネットワーク品質監視サーバの処理内容を示すフローチャートである。
図8】本発明の一実施形態に係るネットワーク品質監視サーバによる品質劣化ノードの抽出の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。
【0023】
図1は、本発明が監視対象とするネットワークを含む広域ネットワークの構成を示す図である。本発明は、複数のユーザ端末PC1〜PC7(以下、ユーザ端末を区別しない場合はユーザ端末PCという)間でUDPプローブパケットを送受し、監視対象とするネットワークの品質を計測し、通信経路ごとに計測した結果に基づいて、ノードN(以下、個々のノードを区別しない場合はノードNという)に重みを付与する。例えば、通信を中継するノードNを指定して計測パス(ユーザ端末PCのペア)を設定し、通信結果に基づいて、例えば、通信不良の場合に計測パスを構成するノードの重みを増大させ、通信良好の場合に計測パスを構成するノードの重みを減少させる。そして、計測パス(ユーザ端末PCのペア)を動的に変化させ、監視対象ネットワークの計測カバー率を上昇させると共に、品質劣化ノードを抽出する。ここで、監視対象ネットワークのトポロジーは、例えば、ネットワーク構成DB(図示せず)に記憶されている。
【0024】
図2は、本発明の一実施形態における監視対象とするネットワークの計測パスの例を示す図である。例えば、計測パスP1は、ユーザ端末PC1からノードN1、N2、N3、N4、N5を介してユーザ端末PC8に至るように設定された通信経路である。図3は、本発明の一実施形態における品質劣化ノードの抽出を説明する図である。
本システムは、ネットワーク品質監視サーバ10(サーバプログラム)とユーザ端末PC上で動作するエージェント(エージェントプログラム)で構成され(図2)、以下のシステム手順に従って動作する。
【0025】
システム手順1.計測の準備−トポロジーの構築
エージェントプログラムは起動後、ネットワーク品質監視サーバ10にユーザ端末PCのIPアドレス情報を登録し、計測待機状態となる。ネットワーク品質監視サーバ10は、監視対象ネットワークのトポロジーデータベースとユーザ端末PCのIPアドレス情報をマッピングし、監視対象ネットワークとユーザ端末PCの接続点(エッジルータ)を特定する。このとき、監視対象ネットワークとユーザ端末PCの間に、監視対象でないネットワーク区間があっても構わない。ここでのマッピングには、ユーザ端末PCのIPアドレスの割り当て情報を使用する方法や、ネットワーク品質監視サーバ10からユーザ端末PCに対してtracerouteコマンドを実行し、接続点を推定する方法がある。
【0026】
システム手順2.計測パスの計算
ネットワーク品質監視サーバ10は計測周期(例えば、1分周期)ごとに、監視対象ネットワーク内の各ノード(ルータ又はリンク)にあらかじめ付与された、もしくは、前の計測周期において計算された重み(weight)に対し、計測するノード(計測パスに含まれるノード)の重みの総和が最大となるように計測パスを計算する。
具体的には、全てのエージェント間の通信経路の集合(F={S1,・・・,S|F|})をDijkstraアルゴリズムにより計算した後、以下の式で定義されるw(G)を最大化する通信経路の集合G(⊆F)を求める。
【0027】
【数1】
【0028】
ただし、エージェントの計測負荷を抑制するため、1エージェントの同時計測数が一
定値以下(≦B)になるような以下の制約条件を加える。
【0029】
【数2】
【0030】
ここで、C(v’,S)はエージェントv’がSの計測エージェントである場合に1,それ以外の場合に0となる関数である。
上記の問題は、最大被覆問題と呼ばれるNP困難な整数計画問題であるが、欲張りアルゴリズムにより、多項式時間において近似解が得られることが知られている。このため、本発明では欲張りアルゴリズムにより、計測パスの計算を行う。
具体的には、以下の手順に従って計測パスを反復計算する。
[計測パス計算手順1]
(1)制約条件を満足しない計測パスを候補の集合から除外する。
(2)残った各計測パス候補に対し、計測パスとして選択した際のw(G)の増加分を計算する。
(3)w(G)の増加分が最大の1パスを計測パスとして採用する。
(4)(1)〜(3)を、計測パスの候補がなくなる、又は、w(G)の増加が正の値をとらなくなるまで繰り返す。
【0031】
ネットワーク品質監視サーバ10は、品質劣化ノードのより詳細な絞り込みを実現するため、重みが閾値Tよりも大きな品質劣化ノードの候補(以下、候補ノード)が複数存在する場合{M,(i=1,2,・・・)}は、各候補ノードMを通過する計測パスの集合Cが他の候補ノードMを通過する計測パスの集合C(i≠j)と可能な限り異なる集合となるように計測パスを選択する。
具体的には、以下の処理を[計測パス計算手順1]の前に実行する。このため、最終的に採用される計測パスの集合は、[計測パス計算手順2]で採用される計測パスの集合と[計測パス計算手順1]で採用される計測パスの集合の和となる。
[計測パス計算手順2]
(1)1つ以上の候補ノードを通過するパスの集合D={S’,・・・,S’|D|}を計算する。
(2)Dの中から制約条件(数式2)を満足しないパスを削除する。
(3)残った各パスに対し、計測パスとして選択した際のw(G)の増加分を計算する。
(4)w(G)の増加分が大きい順番に、各パスを計測パスとして選択した際の候補ノードを通過するパスの集合C(i=1,2,・・・,|M|)を要素とする集合(ここではクラスと呼ぶ)Aを計算し、クラスの要素数|A|がパスの追加前と比較して増加する場合は計測パスとして採用する。
例えば、図3において、M={N1,N2,N3,N4}とし、パスP1,P2,P3,P4の順番で上記判定を行う場合を考える。
(4−1)初期状態はどのノードを通過するパスも選択されていないので、C=φ(i=1,2,3,4)となり、|A|は1である。
(4−2)次に、P1を計測パスとして選択可能かを考えると、各ノードを通過するパスの組み合わせC={P}(i=1,2,3,4)となり(|A|=1)、組み合わせ数が元の状態から増加しないため、Pは計測パスとして採用されない。
(4−3)次に、P2の選択について考えてみると、P2が選択された場合、各ノードを通過するパスの組み合わせは、C={P}(i=1,2)、C=φ(j=3,4)の2種類となるため(|A|=2)、P2は採用される。
(4−4)P3に関しては、C={P},C={P,P},C={P}(i=3,4)の3通り(|A|=3)に増加するため、計測パスとして採用される。
(4−4)P4に関しては、C={P},C={P,P,P},C={P,P}(i=3,4)の3通りであり(|A|=3)、計測パスとして採用されない。
(5)手順2の(1)〜(4)を、制約条件を満足するパスがなくなる、又は、クラスの要素数の増加がなくなるまで繰り返す。
【0032】
システム手順3.計測の実行
システム手順2における計測パスの計算結果に従い、ネットワーク品質監視サーバ10がエージェントに計測の実行指示を出す。計測指示を受信したエージェントは、計測を実行し、計測結果(ロス率やジッタ等)をネットワーク品質監視サーバ10に通知する。
【0033】
システム手順4.重みの更新
計測結果を受信したネットワーク品質監視サーバ10は、各品質メトリックに対し、計測結果をあらかじめ決定しておいた2つの閾値(例えば、ロス率=0.5%,1%)と比較して、計測パスをBadパス、Mediumパス、Goodパスに分類した後、計測結果を各計測パス上のノードの重みにフィードバックする。
具体的には、劣化パスに応じて、劣化パスに含まれるノードの重みを増大(α倍、α>1)、非劣化パスに含まれるノードの重みを減少(β倍、β<1)させ、Mediumパスに含まれるノードの重みは変化させない。この結果、品質劣化ノードの重みは他ノードよりも大きくなる。ここで、非劣化パスに含まれるノードは重みが減少するため、計測されていないノードの重みはこれらのノードに対して相対的に大きくなり、次の計測周期において、計測されやすくなる。
ここで、各ノードの重みはあらかじめ設定した上限・下限の閾値(T,T)を超えない範囲で変化するものとし、計算により閾値を超える場合は閾値により更新する。この結果、品質劣化の発生や回復に対し、重みが一定値以上・以下になる周期の上限を抑制する。
【0034】
システム手順5.品質劣化ノードの抽出
各ノードの重みを調査し、あらかじめ決定しておいた閾値T(>T)よりも大きくなるノードを品質劣化ノードとして抽出する。
システム手順6.上記のシステム手順1からシステム手順5を繰り返す。ただし、システム手順1.の計測の準備は、エージェントが新たに追加・削除された場合のみ実行する。
【0035】
図4は、本発明の一実施形態に係るネットワーク品質監視サーバ10と、ユーザ端末PCとの機能構成を示す機能ブロック図である。図5は、本発明の一実施形態に係るネットワーク品質監視サーバ10の重みDB31の例を示す図である。ネットワーク品質監視システム1は、ネットワーク品質監視サーバ10と、ユーザ端末PCとを備える。ネットワーク品質監視サーバ10は、重み記憶手段としての重みDB31と、候補ノード検出手段11と、通信経路探索手段12と、通信経路採用手段13と、計測指令送信手段15と、計測結果受信手段16と、更新手段17と、抽出手段18と、制約手段131とを備え、計測周期(例えば、1分周期)ごとに各手段が動作する。ユーザ端末PCは、計測指令受信手段51と、計測実行手段52と、計測結果送信手段53とを備える。以下、各手段ごとに詳述する。
【0036】
重みDB31は、監視対象ネットワークの通信経路について計測された結果に基づいて算出された、品質の劣化を示す重みを、通信経路を構成するノードごとに記憶する。具体的には、図5に示すように、重みDB31は、ノードに対応付けて、重みを記憶している。例えば、通信経路についての各品質メトリックに対し、ネットワーク品質監視サーバ10は、計測結果をあらかじめ決定しておいた2つの閾値(例えば、ロス率=0.5%,1%)と比較して、計測パスをBadパス、Mediumパス、Goodパスに分類する。次に、ネットワーク品質監視サーバ10は、Badパスに分類した計測パスを構成するノードに対して記憶している重みを増大させ、Mediumパスに分類した計測パスを構成するノードに対して記憶している重みを変化させず、Goodパスに分類した計測パスを構成するノードに対して記憶している重みを減少させて、重みDB31に記憶させる。
【0037】
候補ノード検出手段11は、ユーザ端末PCの間の通信経路について、当該通信経路を構成するノードのうち、重みが閾値を超えるノードである候補ノードを検出する。具体的には、候補ノード検出手段11は、重みDB31に基づいて、候補ノードを検出する。
【0038】
通信経路探索手段12は、候補ノード検出手段11によって検出した候補ノードを複数含む通信経路を探索する。具体的には、通信経路探索手段12は、監視対象ネットワークのトポロジーに基づいて取得した通信経路について、通信経路が候補ノードを複数含むか否かによって、候補ノードを複数含む通信経路を探索する。
【0039】
通信経路採用手段13は、通信経路探索手段12によって探索した通信経路における候補ノードのうちの少なくとも1つの候補ノードを含むパスについて、重みの総計が大きい順に、候補ノードを含むパスの組み合わせの数が増加するか否かを判断し、増加すると判断したパスを計測パスとして採用する。具体的には、通信経路採用手段13は、例えば図3の場合、通信経路P1に対し、通信経路P2を計測パスとして採用する。そして、次の周期で、同様の判断が行われ通信経路P3が計測パスとして採用される。
【0040】
さらに、制約手段131は、複数のユーザ端末PCのうち一のユーザ端末PCについて、通信の品質を計測する回数が一定値以下となる制約条件(数式2)を満たすように、通信経路を求め、通信経路採用手段13は、制約手段131を満たすパスから計測パスを採用する。
【0041】
計測指令送信手段15は、通信経路算出手段14によって求めた通信経路に接続されるユーザ端末PCに、当該通信経路の通信の品質を計測させるための指令を送信する。具体的には、計測指令送信手段15は、指定したノードによって構成される計測パスを計測させるための指令を作成し、作成した指令をユーザ端末PCに送信する。
ユーザ端末PCにおいて、計測指令受信手段51は、計測するための指令をネットワーク品質監視サーバ10サーバから受信する。計測実行手段52は、計測指令受信手段51によって受信した指令に基づいて通信経路の通信の品質を計測する。計測結果送信手段53は、計測実行手段52によって計測した品質をネットワーク品質監視サーバ10に送信する。
【0042】
計測結果受信手段16は、計測指令送信手段15によって送信した指令に基づいて計測したユーザ端末PCから計測結果を受信する。具体的には、計測結果受信手段16は、ユーザ端末PCから、指令に基づいて計測した計測パスのロス率やジッタ等である計測結果を受信する。
【0043】
更新手段17は、計測結果受信手段16によって受信した計測結果に基づいて、重みDB31に記憶された重みを更新する。具体的には、更新手段17は、受信した計測結果をあらかじめ決定しておいた2つの閾値(例えば、ロス率=0.5%,1%)と比較して、計測パスをBadパス、Mediumパス、Goodパスに分類する。次に、更新手段17は、分類したパスに対応付けられた重みの更新率によって、計測パスを構成するノードの重みを更新し、重みDB31に記憶させて、フィードバックする。
【0044】
抽出手段18は、更新手段17によって更新された重みDB31の重みに基づいて品質が劣化したノードを抽出する。具体的には、抽出手段18は、重みDB31に記憶されたノードの重みに基づいて、例えば、重みが閾値T以上であるノードを、品質の劣化したノードとして抽出する。
【0045】
図6は、本発明の一実施形態に係るネットワーク品質監視サーバ10のハードウェア構成の一例を示す図である。ネットワーク品質監視サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)1000、通信I/F1040、メインメモリ1050、BIOS(Basic Input Output System)1060、I/Oコントローラ1070、ハードディスク1074、表示装置1080、入力装置1100及び入出力I/F装置2000を備え、バスライン1005により接続されている。
【0046】
CPU1000は、ネットワーク品質監視サーバ10を統括的に制御する部分であり、ハードディスク1074に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。
【0047】
通信I/F1040は、ネットワーク品質監視サーバ10を専用ネットワーク又は公共ネットワークを介してユーザ端末PC等と接続できるようにするためのネットワーク・アダプタである。
【0048】
メインメモリ1050は、適宜読み出して実行されるプログラムを記憶し、プログラムの実行によって作成される種々の情報を記憶する。BIOS1060は、ネットワーク品質監視サーバ10の起動時にCPU1000が実行するブートプログラムや、ネットワーク品質監視サーバ10のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0049】
I/Oコントローラ1070には、ハードディスク1074等の記憶手段を接続することができる。ハードディスク1074は、ネットワーク品質監視サーバ10が本発明の機能を実行するためのプログラムを記憶しており、重みDB31等を記憶している。
【0050】
ネットワーク品質監視サーバ10に提供されるプログラムは、ハードディスク1074、又はメモリカード等の記録媒体に格納されて提供される。このプログラムは、I/Oコントローラ1070を介して、記録媒体から読み出され、又は通信I/F1040を介してダウンロードされることによって、ネットワーク品質監視サーバ10にインストールされ実行されてもよい。
【0051】
表示装置1080は、ネットワーク品質監視サーバ10による演算処理結果の画面、オペレータの指示を受け付ける画面等を表示するものであり、ブラウン管表示装置、液晶表示装置等のディスプレイ装置を含む。入力装置1100は、ネットワーク品質監視サーバ10のオペレータによる入力を行う装置であり、キーボード及びマウス等で構成される。入出力I/F装置2000は、ネットワーク品質監視サーバ10と、他の機器、例えば補助記憶装置等とを接続する。
【0052】
図7は、本発明の一実施形態に係るネットワーク品質監視サーバ10の処理内容を示すフローチャートである。本処理は、コンピュータプログラムを管理するOSの下で、定期的(例えば、1分周期ごと)に実行される。
【0053】
ステップS101において、CPU1000は、ユーザ端末PCの参加又は離脱があるか否かを判断する。より具体的には、CPU1000は、監視対象ネットワークのトポロジーについて変更の通知を受信したことや、ユーザ端末PCの接続の変化を検知したことによって、ユーザ端末PCの参加又は離脱があるか否かを判断する。この判断がYESの場合、CPU1000は、処理をステップS102に移し、NOの場合、CPU1000は、処理をステップS104に移す。
【0054】
ステップS102において、CPU1000は、ユーザ端末PCの情報の更新、ネットワークのトポロジーの構築を行う。より具体的には、CPU1000は、監視対象ネットワークのトポロジーについて受信した変更内容や、検知した更新内容に基づいて、ユーザ端末PCの情報の更新、ネットワークのトポロジーの構築等を行う。その後、CPU1000は、処理をステップS103に移す。
【0055】
ステップS103において、CPU1000は、全てのユーザ端末PC間の通信経路の重みを計算する。より具体的には、CPU1000は、通信経路ごとに、重みDB31に基づいて、通信経路を構成するノードの重みの総計を計算する。その後、CPU1000は、処理をステップS104に移す。
【0056】
ステップS104において、CPU1000(候補ノード検出手段11、通信経路探索手段12)は、候補ノードが複数存在する通信経路があるか否かを判断する。より具体的には、CPU1000は、重みDB31に基づいて、重みが閾値以上のノードである候補ノードを検出する。次に、CPU1000は、監視対象ネットワークの通信経路について、通信経路が候補ノードを複数含むか否かによって、候補ノードを複数含む通信経路を探索する。この判断がYESの場合、CPU1000は、処理をステップS105に移し、NOの場合、CPU1000は、処理をステップS106に移す。
【0057】
ステップS105において、CPU1000(通信経路採用手段13)は、複数の候補ノードを含む通信経路について品質劣化ノードを抽出できるようなパスを採用する。より具体的には、CPU1000は、当該通信経路における候補ノードのうちの少なくとも1つの候補ノードを含むパスであって制約条件(数式2)を満たすパスについて、重みの総計が大きい順に、候補ノードを含むパスの組み合わせの数が増加するか否かを判断し、増加すると判断したパスを計測パスとして採用する。その後、CPU1000は、処理をステップS107に移す。
【0058】
ステップS106において、CPU1000(通信経路算出手段14)は、ノードの重みの総和が最大の通信経路を計測パスとして採用する。より具体的には、CPU1000は、制約条件(数式2)を満たす通信経路のうち、通信経路を構成するノードの重みの総計を計算し、計算した重みの総計が最大となる通信経路を求め、求めた通信経路を計測パスとして採用する。その後、CPU1000は、処理をステップS107に移す。
【0059】
ステップS107において、CPU1000(計測指令送信手段15)は、ステップS105又はステップS106で採用した計測パスをユーザ端末PCに計測させる。より具体的には、CPU1000は、指定したノードによって構成される計測パスを計測させるための指令を作成し、作成した指令をユーザ端末PCに送信する。その後、CPU1000は、処理をステップS108に移す。
【0060】
ステップS108において、CPU1000(計測結果受信手段16、更新手段17)は、計測結果を受信し、重みを更新する。より具体的には、CPU1000は、ユーザ端末PCから、指令に基づいて計測した計測パスのロス率やジッタ等である計測結果を受信する。次に、CPU1000は、受信した計測結果をあらかじめ決定しておいた2つの閾値(例えば、ロス率=0.5%,1%)と比較して、計測パスをBadパス、Mediumパス、Goodパスに分類する。次に、CPU1000は、分類に対応付けられた重みの更新(Badパスは2倍、Mediumパスは更新しない、Goodパスは0.5倍)によって、計測パスを構成するノードの重みを更新し、重みDB31に記憶させる。その後、CPU1000は、処理をステップS109に移す。
【0061】
ステップS109において、CPU1000(抽出手段18)は、品質劣化ノードを抽出する。より具体的には、CPU1000は、重みDB31に記憶された重みを、あらかじめ決定しておいた閾値T(>T)よりも大きくなるノードを品質劣化ノードとして抽出する。その後、CPU1000は、処理を終了する。
【0062】
図8は、本発明の一実施形態に係るネットワーク品質監視サーバ10による品質劣化ノードの抽出の例を示す図である。例えば、図2のような監視対象ネットワークが、ノードN1からノードN12で構成されていて、ネットワーク品質監視サーバ10によって、周期的に通信経路の計測結果を収集した結果、各ノードの重みが図5のような値であるとする。この場合に、通信経路P1は、複数個の候補ノード(ノードN1、ノードN2、ノードN3、ノードN4、ノードN5)を含み、図8(1)のように表わされる。候補ノードを含む通信経路が、通信経路P1の他に、通信経路P2(PC2−・・・−N1−N2−・・・−PC5)、通信経路P3(PC4−・・・−N2−N3−N4−・・・−PC6)であるとする。ネットワーク品質監視サーバ10は、例えば、1分周期ごとに次のようにして品質劣化ノードを抽出する。
【0063】
図8(1)に示したノードのみに着目して通信経路の重みを算出すると、通信経路P1の重み20、通信経路P2の重み8、通信経路P3の重み12なので、ネットワーク品質監視サーバ10は、通信経路P1、通信経路P3、通信経路P2の順に、ノードを通過するパスの組み合わせを算出する。通信経路P1は1通りであるので計測パスの対象として採用されない通信経路P3は2通り(φ,{P3})で通信経路P1より増加するので計測パスとして採用され、計測される。計測結果がBADパスとすると、ノードの重みが2倍され、通信経路P3は、図8(2)のように表わされる。
【0064】
次に、図8(2)に示したノードのみに着目して通信経路の重みを算出すると、通信経路P3の重み24、通信経路P2の重み8なので、次の周期でネットワーク品質監視サーバ10は、通信経路P3、通信経路P2の順に、ノードを通過するパスの組み合わせを算出する。通信経路P3は1通り、通信経路P2は2通り(P3とP2、P3)で通信経路P3より増加するので、通信経路P2は、計測パスとして採用され、計測される。計測結果がBADパスとすると、ノードの重みが2倍され、通信経路P3は、図8(3)のように表わされる。その結果、ネットワーク品質監視サーバ10は、ノードN2を品質劣化ノードとして抽出することができる。
【0065】
本実施形態によれば、ネットワーク品質監視サーバ10は、監視対象ネットワークの通信経路について計測された結果に基づいて算出された、品質の劣化を示す重みを、当該通信経路を構成するノードごとに記憶する重みDB31を備え、複数のユーザ端末PCの間の通信経路について、当該通信経路を構成するノードのうち、品質が劣化した候補ノードを検出し、検出した候補ノードを複数含む通信経路について、少なくとも1つの候補ノードを含むパスについて、重みの総計が大きい順に、候補ノードを含むパスの組み合わせの数が増加するか否かを判断し、増加すると判断したパスを計測パスとして採用する。そして、ネットワーク品質監視サーバ10は、採用した計測パスによって接続されるユーザ端末PCに、当該計測パスの通信の品質を計測させ、計測した通信の品質に基づいて、重みを更新し、品質が劣化したノードを抽出する。さらに、ネットワーク品質監視サーバ10は、複数のユーザ端末PCのうち一のユーザ端末PCについて、通信の品質を計測する回数が一定値以下となる制約条件を満たすパスから計測パスを採用する。
したがって、本発明に係るネットワーク品質監視サーバ10は、品質劣化ノードの検出率を向上させ、品質劣化ノードを抽出することができる。
【0066】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0067】
1 ネットワーク品質監視システム
10 ネットワーク品質監視サーバ
11 候補ノード検出手段
12 通信経路探索手段
13 通信経路採用手段
131 制約手段
15 計測指令送信手段
16 計測結果受信手段
17 更新手段
18 抽出手段
31 重みDB
51 計測指令受信手段
52 計測実行手段
53 計測結果送信手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8