特許第5661536号(P5661536)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5661536
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】電動車両
(51)【国際特許分類】
   B60L 3/00 20060101AFI20150108BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20150108BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20150108BHJP
   H01M 10/46 20060101ALI20150108BHJP
   B60L 11/18 20060101ALI20150108BHJP
【FI】
   B60L3/00 N
   H02J7/00 X
   H02J7/00 P
   H01M10/44 Q
   H01M10/46
   B60L11/18 C
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-75839(P2011-75839)
(22)【出願日】2011年3月30日
(65)【公開番号】特開2012-210133(P2012-210133A)
(43)【公開日】2012年10月25日
【審査請求日】2013年10月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】富士重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080001
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 大和
(74)【代理人】
【識別番号】100093023
【弁理士】
【氏名又は名称】小塚 善高
(74)【代理人】
【識別番号】100117008
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 章子
(72)【発明者】
【氏名】大伴 洋祐
【審査官】 前原 義明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−061362(JP,A)
【文献】 特開2008−083022(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00 − 15/42
H01M 10/44
H01M 10/46
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電器を用いて充電される蓄電デバイスを備えた電動車両であって、
充放電に伴って変動する前記蓄電デバイスの蓄電量を、実蓄電量として算出する蓄電量算出手段と、
前記充電器による充電中に前記実蓄電量を前記充電器に送信し、前記充電器に前記実蓄電量を表示させる蓄電量送信手段と、
前記充電器による充電終了時点で算出された前記実蓄電量を、終了時蓄電量として記憶する蓄電量記憶手段と、
前記充電器による充電終了後の車両起動時には、前記蓄電デバイスの電力が所定量を超えて消費される状態となるまで、車内計器に前記終了時蓄電量を表示する蓄電量表示手段と、を有することを特徴とする電動車両。
【請求項2】
請求項1記載の電動車両において、
前記蓄電量表示手段は、前記蓄電デバイスの電力が所定量を超えて消費される状態になるとともに車両起動から所定時間が経過するまで、前記車内計器に前記終了時蓄電量を表示することを特徴とする電動車両。
【請求項3】
請求項1または2記載の電動車両において、
前記蓄電量表示手段は、前記車内計器に前記終了時蓄電量を表示した後に前記実蓄電量を表示することを特徴とする電動車両。
【請求項4】
請求項3記載の電動車両において、
前記蓄電量表示手段は、前記車内計器の表示を前記終了時蓄電量から前記実蓄電量に切り換える際に、前記終了時蓄電量から前記実蓄電量に徐々に変化させることを特徴とする電動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電器を用いて充電される蓄電デバイスを備えた電動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、動力源として電動モータを備える電動車両の開発が進められている。電動車両に搭載されるバッテリ等の蓄電デバイスを充電する際には、充電器の充電ケーブルを接続して充電することが一般的となっている。また、動力源としてエンジンおよび電動モータを備えるハイブリッド型の電動車両においても、充電器によって蓄電デバイスを充電可能とした所謂プラグイン方式のハイブリッド型電動車両が開発されている。
【0003】
また、電動車両には蓄電デバイスの蓄電量を表示する車内計器が設置されており、運転手は蓄電量を確認することが可能となっている。ところで、運転手に違和感を与えないためには、車内計器に表示される蓄電量の極端な変動を防止することが重要である。例えば、蓄電デバイスの端子電圧から蓄電量を推定する電動車両においては、車両停止時と車両走行時とでは端子電圧が大きく相違することから、走行開始直後に蓄電量が大きく減少して推定されることになる。このような短期間における蓄電量の大きな変動は、運転手に不安感を与えてしまう要因となっていた。そこで、車両停止時においても車両走行時の端子電圧を推定しながら蓄電量を算出することにより、蓄電量の極端な変動を抑制するようにした電動車両が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−293164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、蓄電量が変動する状況としては車両発進時に限られることはなく、充電器によって蓄電デバイスを充電した直後においても、蓄電量が大きく変動して運転手に違和感を与えてしまうおそれがある。一般的に、バッテリ等の蓄電デバイスは、電極間でアニオンやカチオンを移動させて電荷を充放電させる構造となっている。このため、充電器による充電が終了した場合であっても、蓄電デバイス内のアニオン等の移動が落ち着くまでは、蓄電デバイスの蓄電量が徐々に低下することになっていた。したがって、例えば充電中の充電器に「充電量85%」と表示されていた場合であっても、充電後の車内計器に「充電量78%」と表示されることも想定される。このように、電力を消費していないにも拘わらず充電量が減少することは、運転手に対して違和感を与える要因であった。
【0006】
本発明の目的は、運転手に違和感を与えることなく蓄電デバイスの蓄電量を表示させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電動車両は、充電器を用いて充電される蓄電デバイスを備えた電動車両であって、充放電に伴って変動する前記蓄電デバイスの蓄電量を、実蓄電量として算出する蓄電量算出手段と、前記充電器による充電中に前記実蓄電量を前記充電器に送信し、前記充電器に前記実蓄電量を表示させる蓄電量送信手段と、前記充電器による充電終了時点で算出された前記実蓄電量を、終了時蓄電量として記憶する蓄電量記憶手段と、前記充電器による充電終了後の車両起動時には、前記蓄電デバイスの電力が所定量を超えて消費される状態となるまで、車内計器に前記終了時蓄電量を表示する蓄電量表示手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明の電動車両は、前記蓄電量表示手段は、前記蓄電デバイスの電力が所定量を超えて消費される状態になるとともに車両起動から所定時間が経過するまで、前記車内計器に前記終了時蓄電量を表示することを特徴とする。
【0009】
本発明の電動車両は、前記蓄電量表示手段は、前記車内計器に前記終了時蓄電量を表示した後に前記実蓄電量を表示することを特徴とする。
【0010】
本発明の電動車両は、前記蓄電量表示手段は、前記車内計器の表示を前記終了時蓄電量から前記実蓄電量に切り換える際に、前記終了時蓄電量から前記実蓄電量に徐々に変化させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、充電終了時点で算出された実蓄電量を終了時蓄電量として記憶し、充電終了後の車両起動時には、所定以上の電力消費状態となるまで車内計器に終了時蓄電量を表示している。これにより、充電終了時における蓄電量とその後の車両起動時における蓄電量との表示を一致させることができ、運転手に対して安心感を与えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施の形態である電動車両の充電状況を示す概略図である。
図2】電動車両の内部構造を示す概略図である。
図3】充電器の内部構造を示す概略図である。
図4】電動車両の充電口に対して充電器の充電ケーブルを接続した状態を示す概略図である。
図5】充電状態の送信状況を示す説明図である。
図6】充電中から充電後にかけて推移する充電状態の一例を示す説明図である。
図7】(a)および(b)は充電状態の表示状況を示す説明図である。
図8】表示パネルやインストルメントパネルに表示される充電状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態である電動車両10の充電状況を示す概略図である。また、図2は電動車両10の内部構造を示す概略図である。さらに、図3は充電器11の内部構造を示す概略図である。まず、図1に示すように、電動車両10には蓄電デバイスとしてバッテリ12が搭載されており、このバッテリ12を充電する際には充電器11の充電ケーブル13が電動車両10の充電口14に接続される。そして、充電器11は充電電流や充電電圧を制御しながら、所定の充電状態SOCまでバッテリ12を充電することになる。ここで、充電状態SOCとは、満充電時の蓄電容量に対する蓄電量の割合を示す値である。すなわち、充電状態SOCとはバッテリ12の蓄電量を意味している。
【0015】
図2に示すように、電動車両10は動力源であるモータジェネレータ20を有しており、モータジェネレータ20は駆動軸21を介して駆動輪22に連結されている。また、モータジェネレータ20とバッテリ12とは、直流電力と交流電力とを双方向に変換するインバータ23を介して接続されている。なお、バッテリ12とインバータ23とを接続する通電ライン24,25にはメインリレー26が設けられている。また、車体側部の充電口14には受電コネクタ27が設置されており、受電コネクタ27には一対の受電端子27a,27bが設けられている。一方の受電端子27aは受電ライン28を介して正極側の通電ライン24に接続され、他方の受電端子27bは受電ライン29を介して負極側の通電ライン25に接続されている。また、電動車両10には、受電ライン28,29の電圧を検出する電圧センサ30が設けられるとともに、受電ライン28の電流を検出する電流センサ31が設けられている。さらに、受電コネクタ27には信号端子27cが設けられており、この信号端子27cには通信ライン32が接続されている。
【0016】
また、電動車両10には、車両全体を統合制御する車両制御ユニット33、バッテリ12を制御するバッテリ制御ユニット34、インバータ23を制御するモータ制御ユニット35が設けられている。これらの制御ユニット33〜35は、通信ネットワーク36を介して相互に接続されている。なお、各制御ユニット33〜35はCPUやメモリ等によって構成されている。また、車両制御ユニット33には、電動車両10の制御系統を起動させる際に運転手に操作される起動スイッチ37が接続されている。さらに、バッテリ制御ユニット34には、バッテリ12の端子電圧を検出する電圧センサ38aが接続されるとともに、バッテリ12の充放電電流を検出する電流センサ38bが接続されている。そして、蓄電量算出手段として機能するバッテリ制御ユニット34は、バッテリ12の端子電圧や充放電電流等に基づいてバッテリ12の実蓄電量である充電状態SOCを算出する。充電状態SOCの算出方法としては、バッテリ12の端子電圧から充電状態SOCを算出する方法、バッテリ12の充放電電流を積算して充電状態SOCを算出する方法、端子電圧や電流積算を組み合わせて充電状態SOCを算出する方法等を用いられる。このような充電状態SOCを表示するため、電動車両10には車内計器としてのインストルメントパネル39が設けられている。
【0017】
図3に示すように、充電器11には、外部電源40からの交流電力を充電用の直流電力に変換する電力変換部41が設けられている。この電力変換部41は、整流回路、変圧器、スイッチング回路等によって構成されている。また、充電器11に設けられる充電ケーブル13の先端には、受電コネクタ27に対して着脱自在となる給電コネクタ42が設けられている。この給電コネクタ42には、受電コネクタ27の受電端子27a,27bに対応する一対の給電端子42a,42bが設けられている。一方の給電端子42aは給電ライン43を介して電力変換部41の正極端子41aに接続され、他方の給電端子42bは給電ライン44を介して電力変換部41の負極端子41bに接続されている。また、充電器11には、給電ライン43,44の電圧を検出する電圧センサ45が設けられるとともに、給電ライン43の電流を検出する電流センサ46が設けられている。さらに、給電コネクタ42には信号端子42cが設けられており、この信号端子42cには通信ライン47が接続されている。また、充電器11にはCPUやメモリ等によって構成される充電制御ユニット48が設けられており、充電制御ユニット48から電力変換部41に対して制御信号が出力されている。さらに、充電器11には、バッテリ12の充電状態SOCを表示するための表示パネル49が設けられている。
【0018】
ここで、図4は電動車両10の充電口14に対して充電器11の充電ケーブル13を接続した状態を示す概略図である。図4に示すように、充電口14の受電コネクタ27に充電ケーブル13の給電コネクタ42を接続することにより、給電ライン43,44および受電ライン28,29を介して電力変換部41とバッテリ12とが接続された状態となる。また、充電口14の受電コネクタ27に充電ケーブル13の給電コネクタ42を接続することにより、通信ライン32,47を介して車両制御ユニット33と充電制御ユニット48とが接続された状態となる。このように電動車両10に対して充電器11が接続される充電時においては、バッテリ制御ユニット34から車両制御ユニット33に向けて各種バッテリ情報(電流指令値、電圧指令値、充電状態SOC等)が送信される。さらに、これらのバッテリ情報は、蓄電量送信手段として機能する車両制御ユニット33から通信ライン32,47を介して充電制御ユニット48に送信される。そして、充電制御ユニット48は、電流指令値に対応する電流や電圧指令値に対応する電圧を得るべく電力変換部41に制御信号を出力し、バッテリ12の充電状態SOCが所定の目標値に達するまでバッテリ12を充電することになる。
【0019】
また、充電制御ユニット48は、作業者にバッテリ12の充電状況を示すため、車両制御ユニット33から送信された充電状態SOCを表示パネル49に表示している。ここで、図5は充電状態SOCの送信状況を示す説明図である。図5に示すように、電動車両10で算出された充電状態SOCは、充電ケーブル13の通信ライン47を経て充電器11に送信されている。すなわち、作業者に向けて表示パネル49に表示される充電状態SOCは、充電器側の充電制御ユニット48によって算出された値ではなく、電動車両側のバッテリ制御ユニット34によって算出された値となっている。すなわち、電動車両10のインストルメントパネル39に表示される充電状態SOCと、充電器11の表示パネル49に表示される充電状態SOCとを一致させることが可能となる。これにより、充電中に充電器11の表示パネル49を見て確認した充電状態SOCと、その後、電動車両10のインストルメントパネル39を見て確認した充電状態SOCとが一致することから、運転手に対して安心感を与えることが可能となる。
【0020】
ところで、バッテリ12は、正極と負極との間でアニオン等を移動させることで電荷を充放電させる構造を有している。このため、充電器11による充電が終了した場合であっても、バッテリ12内のアニオン等の移動が落ち着くまでは、バッテリ12の充電状態SOCが徐々に低下することになる。ここで、図6は充電中から充電後にかけて推移する充電状態SOCの一例を示す説明図である。なお、図6には、バッテリ制御ユニット34によって算出された充電状態SOCを破線S1で示し、この算出された充電状態SOCに移動平均処理等のフィルタ処理を施した充電状態SOCを実線S2で示している。まず、図6に破線S1で示すように、バッテリ12の充電状態SOCが78%に達するまで充電を実施した場合には、バッテリ12内の化学的な反応が落ち着くまで充電状態SOCは徐々に低下する。そして、バッテリ12内の化学的な反応に起因する遅れ時間T1をかけ、充電状態SOCは75%に向けて収束することになる。また、バッテリ制御ユニット34によって算出される充電状態SOCを利用する際には、ノイズの影響を排除する観点から移動平均処理や加重平均処理等のフィルタ処理を施すことがある。この場合には、図6に実線S2で示すように、前述した遅れ時間T1に加えてフィルタ処理に起因する遅れ時間T2をかけ、充電状態SOCは75%に向けて収束することになる。すなわち、図6に示す場合においては、充電終了時点では、充電状態SOCが見掛け上78%に達しているが、実際の充電状態SOCは75%であり、バッテリ制御ユニット34に算出される充電状態SOCは時間経過とともに75%に収束することになる。
【0021】
このように、充電終了後に発生する充電状態SOCの低下現象は、運転手に対して大きな違和感を与えることになっていた。ここで、図7(a)および(b)は充電状態SOCの表示状況を示す説明図である。すなわち、図7(a)に示すように、充電終了時に、充電器11の表示パネル49に充電状態SOCが78%であると表示されていた場合であっても、図7(b)に示すように、その後の車両起動時には、電動車両10のインストルメントパネル39に充電状態SOCが75%であると表示されることになる。このように、走行していないにも拘わらず充電状態SOCが低下することは、運転手に対して大きな違和感を与える要因であった。
【0022】
そこで、蓄電量記憶手段として機能する車両制御ユニット33は、充電終了時点で算出された充電状態(実蓄電量)SOCを終了時蓄電量として記憶する。すなわち、充電状態SOCが78%に達するまで充電が継続された場合には、終了時蓄電量として78%が記憶される。その後、運転手によって起動スイッチ37がON操作されると、蓄電量表示手段として機能する車両制御ユニット33は、バッテリ制御ユニット34からの充電状態SOCに拘わらず、終了時蓄電量を呼び出してインストルメントパネル39に表示する。ここで、図8は表示パネル49やインストルメントパネル39に表示される充電状態SOCを示す説明図である。なお、図8には、バッテリ制御ユニット34によって算出された充電状態SOCを破線Xaで示し、充電中に充電器11の表示パネル49に表示される充電状態SOCを実線Xbで示し、車両起動後に電動車両10のインストルメントパネル39に表示される充電状態SOCを実線Xcで示している。
【0023】
図8にXa,Xbで示すように、充電器11による充電が終了するまでは、バッテリ制御ユニット34からの充電状態SOCと、表示パネル49に表示される充電状態SOCとが一致している。そして、車両制御ユニット33には、充電終了時点の充電状態SOCが終了時蓄電量αとして記憶される。その後の車両起動時には、車両制御ユニット33は、バッテリ制御ユニット34からの充電状態SOCに拘わらず、終了時蓄電量αを呼び出してインストルメントパネル39に表示する。すなわち、図8に符号β1で示すように、車両起動時点で算出される充電状態SOCは75%であるが、符号β2で示すように、インストルメントパネル39には充電終了時点と同じ78%という充電状態SOCが表示されることになる。このように、充電終了時に充電器11の表示パネル49に示されていた充電状態SOCと、その後の車両起動時に電動車両10のインストルメントパネル39に示される充電状態SOCとを一致させることができるため、運転手に対して安心感を与えることが可能となる。
【0024】
このような、インストルメントパネル39に対する終了時蓄電量αの表示は、電動車両10が所定以上の電力消費状態となるまで継続される。この所定以上の電力消費状態とは、車両走行や空調作動によってバッテリ12の電力が所定量を超えて消費される状態であり、バッテリ12の強負荷状態を意味している。なお、終了時蓄電量αの表示を解除する電力消費量の閾値としては、車両走行や空調作動によってバッテリ12の電力が消費され、運転手が充電状態SOCの低下に違和感を覚えない大きさに設定される。また、バッテリ制御ユニット34によって算出される充電状態SOCの減少量に基づき、電動車両10の電力消費状態を判定することが可能である。さらに、電動車両10が所定以上の電力消費状態となっても、起動スイッチ37が操作されてから所定時間Taが経過するまでは、インストルメントパネル39に対する終了時蓄電量αの表示は継続される。すなわち、電動車両10が所定以上の電力消費状態となり、かつ車両起動から所定時間Taが経過するまでは、インストルメントパネル39に終了時蓄電量αが表示され続けることになる。これにより、短い距離(例えば数メートル)を移動させただけで、インストルメントパネル39の充電状態SOCが大きく低下してしまうこと等を防止することができ、運転手に対して安心感を与えることが可能となる。
【0025】
また、電動車両10が所定以上の電力消費状態となり、車両起動から所定時間Taが経過している場合には、インストルメントパネル39の表示が終了時蓄電量αから実際の充電状態(実蓄電量)SOCに切り換えられる。この場合には、インストルメントパネル39上の充電状態SOCが急激に低下することのないように、終了時蓄電量αから実際の充電状態SOCに徐々に近づけるようにしている。すなわち、運転手が違和感を覚えることのないように、符号γ1から符号γ2に直ちに充電状態SOCを変化させるのではなく、所定の収束時間をかけて符号γ1から符号γ3に緩やかに充電状態SOCを変化させるようにしている。これにより、運転手に違和感を与えることなく、実際のバッテリ12の充電状態SOCをインストルメントパネル39に表示させることが可能となる。また、図示する場合には、終了時蓄電量αから実際の充電状態SOCに向けて連続的に変化しているが、これに限られることはなく、終了時蓄電量αから実際の充電状態SOCに向けて段階的に変化させても良い。なお、インストルメントパネル39の表示を、終了時蓄電量αから実際の充電状態SOCに切り換える際には、充電状態SOCに施されるフィルタ処理の時定数が、充電時等に比べて長く設定されている。
【0026】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。図示する電動車両10は、駆動源としてモータジェネレータ20のみを備えた電動車両10であるが、駆動源としてモータジェネレータ20およびエンジンを備えたハイブリッド型の電動車両であっても良い。また、蓄電デバイスとして、リチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池等のバッテリ12を採用しているが、これに限られることはなく、蓄電デバイスとして、リチウムイオンキャパシタや電気二重層キャパシタ等のキャパシタを用いても良い。また、前述の説明では、充電ケーブル13に接触式の給電コネクタ42を備えたコンダクティブ方式の充電器11を用いているが、これに限られることはなく、充電ケーブル13に非接触式の給電コネクタを備えたインダクティブ方式の充電器を用いても良い。なお、前述の説明では、充電状態SOCの具体例として78%や75%の値を挙げているが、これらの値に限られないことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0027】
10 電動車両
11 充電器
12 バッテリ(蓄電デバイス)
33 車両制御ユニット(蓄電量記憶手段,蓄電量表示手段,蓄電量送信手段)
34 バッテリ制御ユニット(蓄電量算出手段)
39 インストルメントパネル(車内計器)
SOC 充電状態(蓄電量,実蓄電量)
α 終了時蓄電量
Ta 所定時間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8