特許第5661557号(P5661557)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5661557画像階調処理装置、画像形成装置、画像階調処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5661557
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】画像階調処理装置、画像形成装置、画像階調処理方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/52 20060101AFI20150108BHJP
   G06T 5/00 20060101ALI20150108BHJP
   H04N 1/405 20060101ALI20150108BHJP
【FI】
   B41J2/52
   G06T5/00 200A
   H04N1/40 B
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-115356(P2011-115356)
(22)【出願日】2011年5月24日
(65)【公開番号】特開2011-251531(P2011-251531A)
(43)【公開日】2011年12月15日
【審査請求日】2013年3月8日
(31)【優先権主張番号】61/350590
(32)【優先日】2010年6月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(72)【発明者】
【氏名】寺田 貴史
【審査官】 牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−272235(JP,A)
【文献】 特開2007−112016(JP,A)
【文献】 特開平06−133175(JP,A)
【文献】 特開2001−94782(JP,A)
【文献】 特公平5−507189(JP,B2)
【文献】 特開2007−188219(JP,A)
【文献】 特開2000−341524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/52
G06T 5/00
H04N 1/405
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハーフトーン処理で用いられるハーフトーンパターンに含まれる画素であって画素値が所定範囲内の値である画素を検出する検出部と、
前記検出部によって検出された画素の値の総和を算出する算出部と、
置き換えた画素値の総和が前記算出部によって算出される総和以上となるまで、優先順位の高い画素から順に、前記検出部によって検出された画素の値を前記所定範囲の最大値よりも大きい値である第1の値に置き換える第1置換部と、
前記検出部によって検出された画素のうちで前記第1置換部によって置換された画素以外の画素の値を、前記所定範囲の最小値よりも小さい値である第2の値に置き換える第2置換部と、
前記第1置換部、前記第2置換部によって置換されたハーフトーンパターンに基づき、画像データを、前記置換されたハーフトーンパターンと変換するハーフトーン処理を実行し、該ハーフトーン処理後の画像データについてのパルス幅信号を出力するハーフトーン処理部と、
を有する画像階調処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像階調処理装置において、さらに、
前記ハーフトーンパターンの領域を所定範囲ごとに分割する分割部を有し、
前記検出部、前記算出部、前記第1置換部、前記第2置換部は、前記分割部によって分割される範囲ごとに、それぞれの処理を実行する画像階調処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像階調処理装置において、
前記検出部は、所定閾値をSとする場合、画素値Pが
0<P≦S
を満たす画素を検出する画像階調処理装置。
【請求項4】
ハーフトーン処理で用いられるハーフトーンパターンに含まれる画素であって画素値が所定範囲内の値である画素を検出する検出部と、
前記検出部によって検出された画素の値の総和を算出する算出部と、
置き換えた画素値の総和が前記算出部によって算出される総和以上となるまで、優先順位の高い画素から順に、前記検出部によって検出された画素の値を前記所定範囲の最大値よりも大きい値である第1の値に置き換える第1置換部と、
前記検出部によって検出された画素のうちで前記第1置換部によって置換された画素以外の画素の値を、前記所定範囲の最小値よりも小さい値である第2の値に置き換える第2置換部と、
印刷対象の画像データを取得する画像データ取得部と、
前記第1置換部、前記第2置換部によって置換されたハーフトーンパターンに基づき、前記画像データ取得部によって取得される画像データを、前記置換されたハーフトーンパターンと変換するハーフトーン処理を実行し、該ハーフトーン処理後の画像データについてのパルス幅信号を出力するハーフトーン処理部と、
前記ハーフトーン処理部から出力されるパルス幅信号に基づき、像をシートに形成する像形成部と、
を有する画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置において、さらに、
前記ハーフトーンパターンの領域を所定範囲ごとに分割する分割部を有し、
前記検出部、前記算出部、前記第1置換部、前記第2置換部は、前記分割部によって分割される範囲ごとに、それぞれの処理を実行する画像形成装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の画像形成装置において、
前記検出部は、所定閾値をSとする場合、画素値Pが
0<P≦S
を満たす画素を検出する画像形成装置。
【請求項7】
画像階調処理装置が、
ハーフトーン処理で用いられるハーフトーンパターンに含まれる画素であって画素値が所定範囲内の値である画素を検出し、
前記検出された画素の値の総和を算出し、
前記所定範囲の最大値よりも大きい値である第1の値に置き換えた画素値の総和が、前記算出される総和以上となるまで、優先順位の高い画素から順に、前記検出された画素の値を前記第1の値に置き換え、
前記検出された画素のうちで前記置換された画素以外の画素の値を、前記所定範囲の最小値よりも小さい値である第2の値に置き換え
前記第1の値、前記第2の値に置換されたハーフトーンパターンに基づき、画像データを、前記置換されたハーフトーンパターンと変換するハーフトーン処理を実行し、該ハーフトーン処理後の画像データについてのパルス幅信号を出力する
画像階調処理方法。
【請求項8】
請求項7に記載の画像階調処理方法において、
前記画像階調処理装置が、さらに、
前記ハーフトーンパターンの領域を所定範囲ごとに分割し、
前記分割された範囲ごとに、前記検出、前記算出、前記第1の値への置き換え、前記第2の値への置き換えを実行する画像階調処理方法。
【請求項9】
請求項7または8に記載の画像階調処理方法において、
前記画像階調処理装置が、
所定閾値をSとする場合、画素値Pが
0<P≦S
を満たす画素を検出する画像階調処理方法。
【請求項10】
画像形成装置がハーフトーン処理で用いるハーフトーンパターンであって、
ハーフトーンパターンに含まれる画素のうち画素値が所定範囲内の値である画素を検出し、
前記検出された画素の値の総和を算出し、
前記所定範囲の最大値よりも大きい値である第1の値に置き換えた画素値の総和が、前記算出される総和以上となるまで、優先順位の高い画素から順に、前記検出された画素の値を前記第1の値に置き換え、
前記検出された画素のうちで前記置換された画素以外の画素の値を、前記所定範囲の最小値よりも小さい値である第2の値に置き換える
処理が行われたハーフトーンパターンを記憶する記憶部と、
印刷対象の画像データを取得する画像データ取得部と、
前記記憶部に記憶されるハーフトーンパターンに基づき、前記画像データ取得部によって取得される画像データを、前記置換されたハーフトーンパターンと変換するハーフトーン処理を実行し、該ハーフトーン処理後の画像データについてのパルス幅信号を出力するハーフトーン処理部と、
前記ハーフトーン処理部から出力されるパルス幅信号に基づき、像をシートに形成する像形成部と、
を有する画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書に記載の実施形態は、画像形成装置のハーフトーン処理の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置では、中間色を再現するためにハーフトーン技術が用いられる。ハーフトーン処理では、階調ごとにあらかじめ用意したハーフトーンパターンを用いて、連続階調画像データに対して画像変換を行い、シートに像を形成する。一般に、電子写真ではハーフトーン処理を施した画像データに対してパルス幅変調処理(以下、PWM(Pulse Width Modulation)処理と称す)を行うことで画像を形成している。
また、先行技術文献として、特開2001−94782号公報が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
出力されるパルス幅が微小である場合、シートに形成される画像が不安定となる場合があり、ハーフトーンパターンが再現され難いという問題がある。
【0004】
実施形態は上述した問題点を解決するためになされたものであり、微小なパルス幅となるハーフトーンパターンの画素値を調整する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
画像階調処理装置は、検出部と、算出部と、第1置換部と、第2置換部とを有する。検出部は、ハーフトーン処理で用いられるハーフトーンパターンに含まれる画素であって画素値が所定範囲内の値である画素を検出する。算出部は、検出部によって検出された画素の値の総和を算出する。第1置換部は、置き換えた画素値の総和が算出部によって算出される総和以上となるまで、優先順位の高い画素から順に、検出部によって検出された画素の値を所定範囲の最大値よりも大きい値である第1の値に置き換える。第2置換部は、検出部によって検出された画素のうちで第1置換部によって置換された画素以外の画素の値を、所定範囲の最小値よりも小さい値である第2の値に置き換える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】画像形成装置の構成を示す縦断面図である。
図2】実施形態の画像処理部の構成例を示すブロック図である。
図3】階調値が128のハーフトーンパターンの一例を示す図である。
図4】基準位置パターンの一例を示す図である。
図5図3のハーフトーンパターンおよび図4の基準位置パターンを用いたハーフトーン処理を説明する図である。
図6図5で示した各出力信号を入力したPWM処理部の出力信号を示す図である。
図7】シート上の画点の形成状態をパルス幅に応じて示す図である。
図8】処理対象のハーフトーンパターンの一例、および実施形態の分割部、検出部の動作の一例を示す図である。
図9】実施形態の算出部、第1置換部、第2置換部の動作の一例を説明する図である。
図10】分割された領域内の画素が置換された後のハーフトーンパターンの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本実施形態は、画像形成が不安定となる原因である微小なパルス幅を抑制するために、ハーフトーンパターンに対して変換処理を行う。まず、ハーフトーンパターンの所定範囲に含まれる所定閾値以下であり且つ0でない画素を検出する。次に、検出した画素に対して優先順位を設定し、優先順位の高い順に画素値を予め指定した値に置き換える。
【0008】
以下、図面を参照しつつ本実施形態の態様について説明する。図1は、本実施形態における画像形成装置(MFP:Multi Function Peripheral)の概略構成を示す縦断面図である。図1に示すように、本実施形態による画像形成装置100は、読取部R(画像データ取得部)と、像形成部Pとを備えている。
【0009】
読取部Rは、シート原稿およびブック原稿の画像をスキャンして読み取る機能を有し、また外部機器から画像形成装置100に送信される画像データを取得する機能を有している。読取部Rは、複数の反射ミラーや撮像素子を含む走査光学系10を備え、また原稿を所定の載置場所まで自動搬送可能な自動原稿搬送装置(ADF:Auto Document Feeder)9を備える。原稿トレイRtに載置される、自動原稿搬送装置9によって自動搬送される原稿や、不図示の原稿台に載置される原稿の画像は、走査光学系10によって読み取られる。
【0010】
像形成部Pは、読取部Rにて原稿から読み取られた画像や外部機器から送信される画像データ等に基づいて、シートに現像剤像を形成する機能を有している。また、像形成部Pは、感光体2Y〜2K、現像ローラ3Y〜3K、ミキサ4Y〜4K、中間転写ベルト6、定着装置7および排出トレイ8を備えている。
【0011】
また画像形成装置100は、制御ボード800を有し、制御ボード800は、演算処理装置(たとえばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit))であるプロセッサ801、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)802、および、揮発性記憶装置、不揮発性記憶装置を有する記憶部であるメモリ803を含んでいる。プロセッサ801は、画像形成装置100における各種処理を行う役割を有しており、またメモリ803に予め格納されているプログラムを実行することにより種々の機能を実現する役割も有している。メモリ803は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、VRAM(Video RAM)、FROM(Flash Read Only Memory)、ハードディスクドライブ等から構成されることができ、画像形成装置100において利用される種々の情報やプログラムを格納する役割を有している。
【0012】
また画像形成装置100は、コントロールパネル810を有する。コントロールパネル810は、ユーザからの指示を受け付けるとともに、ユーザへ処理内容を表示する。
【0013】
以下、画像形成装置100における処理の一例として、コピー処理の概要について説明する。まず、ピックアップローラ51によりピックアップされたシートは、シート搬送路内に供給される。シート搬送路内に供給されたシートは、複数のローラ対によって所定の搬送方向へ向けて搬送される。
【0014】
そして、自動原稿搬送装置9によって連続的に自動搬送される複数枚のシート原稿の画像が、走査光学系10によって読み取られる。
【0015】
次に、読取部Rにて原稿から読み取られた画像データに対して制御ボード800が所定の画像処理、例えばハーフトーン処理やPWM処理を施す。その後、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)およびK(ブラック)の現像剤像をシートに転写するための感光体2Y、2M、2Cおよび2Kの感光面上に、画像処理後のデータの静電潜像が形成される。
【0016】
続いて、現像器におけるミキサ4Y〜4Kにより攪拌された現像剤が、現像ローラ(いわゆる、マグローラ)3Y〜3Kによって、上記のようにして静電潜像が形成された感光体2Y〜2Kに供給される。これにより、感光体の感光面上に形成された静電潜像が顕像化される。
【0017】
このようにして感光体上に形成された現像剤像は、中間転写ベルト6のベルト面上に転写され(いわゆる、一次転写)、中間転写ベルトの回転によって搬送される現像剤像は、所定の二次転写位置Tにて、搬送されるシート上に転写される。
【0018】
シート上に転写された現像剤像は、定着装置7にてシートに対して加熱定着される。現像剤象が加熱定着されたシートは、複数の搬送ローラ対によって搬送され、排出トレイ8上に順次排出される。
【0019】
次に、画像処理を実行する画像処理部の構成例を図2のブロック図に示す。尚、画像処理部101(画像階調処理装置)のハードウェア構成は、図1で示したプロセッサ801、ASIC802、メモリ803を含む制御ボード800である。
【0020】
画像処理部101は、記憶部60、ハーフトーン処理部70、ハーフトーンパターン変換部80、PWM処理部90を有し、読取部Rで取得される画像データに対して階調処理を行い、像形成部Pに処理後のデータを出力する。画像処理部101内のハーフトーン処理部70、ハーフトーンパターン変換部80、PWM処理部90は、本実施形態ではASIC802によって実装されているとするが、プロセッサ801が予めメモリ803に記憶されているプログラムを演算実行することで実現されてもよい。また記憶部60はメモリ803に相当する。
【0021】
ハーフトーンパターン変換部80は、ハーフトーンパターンを変換するユニットであり、分割部81、検出部82、算出部83、第1置換部84、第2置換部85を有する。
【0022】
分割部81は、記憶部60に記憶されているハーフトーンパターン(ハーフトーンパターン変換部80による処理前のハーフトーンパターン)を取得し、ハーフトーンパターンの領域を所定範囲ごとに分割する。本実施形態では、ハーフトーンパターンを2ラインごとの領域に分割する。検出部82は、分割部81によって分割される範囲内の画素であって、画素値が所定範囲内の値である画素を検出する。本実施形態では、画素値Pが閾値20以下であり且つ0でない値、すなわち
0<P≦20
を満たす画素が検出されるものとする。
【0023】
算出部83は、検出部82によって検出された画素の値の総和を算出する。第1置換部84は、第1置換部84自身で置き換えた画素の値の総和が、算出部83によって算出される総和以上となるまで、優先順位の高い画素から順に、検出部82によって検出された画素の値を上述の所定範囲(0<P≦20の範囲)の最大値よりも大きい値(第1の値)に置き換える。本実施形態では、上述の所定範囲の最大値である20よりも大きい値である40(以下、この値を指定値と称する)に画素値が置き換えられる。
【0024】
第2置換部85は、検出部82によって検出された画素のうちで第1置換部84によって置換された画素以外の画素の値を、上述の所定範囲(0<P≦20の範囲)の最小値よりも小さい値(第2の値)に置き換える。本実施形態では、この第2の値は0となる。
【0025】
このようにして導出される置換後のハーフトーンパターンは、記憶部60に記憶される。
【0026】
ハーフトーン処理部70は、読取部Rから得られる画像データに対し、記憶部60に記憶されているハーフトーンパターン、すなわちハーフトーンパターン変換部80によって処理された置換後のハーフトーンパターンを用いてハーフトーン処理(中間調処理)を行い、パルス幅信号と基準位置信号をPWM処理部90に出力する。
【0027】
PWM処理部90は、ハーフトーン処理部70によって処理されたパルス幅信号、および基準位置信号を取得し、PWM処理を行い、プリントエンジンである像形成部Pへ出力する。像形成部Pは、画像処理部101によって処理された画像データを、図1で説明した方法でシートに形成する。
【0028】
ここで、本実施形態の前提となる技術およびその問題点を、図3から図7を用いて具体的なデータを示しながら説明する。
【0029】
図3は階調値128である場合のハーフトーンパターンの一例であり、図4は基準位置パターンの一例を示す図である。画像処理部は画像データの画素に対し、階調値に対応するハーフトーンパターンと、階調値によらず共通の基準位置パターンとを参照して画像変換を行う。ハーフトーンパターンの各画素の数値はパルス幅の大きさを意味する。また基準位置パターン内の数値は各画素のパルス幅の基点を意味する。例えば基準位置パターン内の値で数値が0の場合は画素左端が基点となり、1の場合は画素中央、3の場合は画素右端が基点となる。ハーフトーンパターンの階調値で示されるパルス幅が大きい程、基点から太くなるように像が形成される。
【0030】
ハーフトーンパターンは各階調値(0〜255)ごとに導出され、基準位置パターンは、階調値に依拠しないが色ごと(Y、M、C、Kごと)に事前に用意され、記憶部に記憶されている。
【0031】
図5を参照しつつ、前提技術のハーフトーン処理の動作について説明する。図5の例に示すように、入力画像データの階調値が128で均一である場合、全面128の階調値がそのまま印字されるわけではない。ハーフトーン処理部では階調値128のハーフトーンパターンが参照され、入力画像データの値をハーフトーンパターンの値に変換してパルス幅信号として出力するとともに、基準位置パターンを参照して基準位置信号をPWM処理部に出力する。
【0032】
PWM処理部では、各画素の基準位置信号の値に基づき画素の基点を決め、パルス幅信号の値に応じた出力信号を生成する。例えば、パルス幅信号の値が170、基準位置信号の値が0の画素の場合、当該画素は、左端から170相当分の幅で印字される。またパルス幅が85、基準位置パターンの数値が3の画素の場合、当該画素は、右端から85相当分の幅で印字される。このようにして出力されるデータ例を図6に示す。
【0033】
像形成部では、PWM処理により制御された画像データに応じてレーザー照射のON/OFFを切り替えて画像を形成する。ここで、パルス幅が十分大きければ画像形成は安定するが、微小な値である場合はレーザーの照射時間が短くなり、シート上での画点の形成が不安定になる。図7に一例を示す。パルス幅が例えば80の場合は、一定時間照射されるため画像形成は安定であるが、パルス幅が例えば20の場合、画点が形成される場合もあれば形成されない場合もあり、画像形成が不安定となる。
【0034】
これに対し、本実施形態の画像処理部101は、ハーフトーンパターンに対して変換処理を行うハーフトーンパターン変換部80を有し、微小なパルス幅の発生を抑制する。ハーフトーンパターン変換部80による変換処理の具体的内容を図8から図10を参照しつつ説明する。
【0035】
図8は、処理対象のハーフトーンパターンの各画素値および出力データの一例を示す図であり、分割部81、検出部82の動作を説明する図である。まず分割部81は、処理対象のハーフトーンパターンを記憶部60から取得し、取得したハーフトーンパターンを所定範囲に分割する(ACT1)。本実施形態では、分割部81はハーフトーンパターンを2行ずつの領域に区切って分割するものとするが、態様を限定するものではなく、例えば5×5の領域で分割する等様々な分割方法がある。
【0036】
検出部82は、分割部81によって分割される領域内で、処理対象となる画素を検出する(ACT2)。検出部82は、本実施形態では20以下であり且つ0でない値の画素を検出する。すなわち値Pが0<P≦20を満たす画素が検出され、図8に示すように、本例では4つの画素が検出される。
【0037】
引き続き算出部83、第1置換部84、第2置換部85の動作について、図9を参照しつつ説明する。算出部83は、検出部82によって検出される画素の値の総和を算出する(ACT3)。算出部83によって算出される総和は、本例では80となる。
【0038】
第1置換部84は、第1置換部84自身が置換した値の総和が算出部83で算出される総和以上となるまで、優先順位の高い画素から順に、指定値に置換する(ACT4〜6)。本実施形態では0<P≦20の範囲の最大値より大きい値40を指定値とする。
【0039】
第1置換部84は、予め定義されている優先順位の選定方法に基づき、検出部82が検出した画素に優先順位を設定する(ACT4)。本実施形態では、分割領域の上段の右から左の順、その後下段の右から左の順となるように順位が設けられるが、態様を限定するものではなく、様々な順位設定方法が考えられる。順位設定後、第1置換部84は、まず優先順位が一番高い順位1の画素の値を40に置換する(ACT5)。第1置換部84は、置換済みの画素値の総和を算出し、この置換済みの画素値の総和と算出部83によって算出された総和とを比較する。
【0040】
この段階での置換済みの画素値の総和は40であり、算出部83によって算出された総和80よりも小さいため、第1置換部84は、次に順位2の画素の値を40に置換する(ACT6)。この段階で置換済み画素の値の総和が80となり、算出部83によって算出された総和80以上となったため、第1置換部84は処理を停止する。
【0041】
その後第2置換部85は、検出部82によって検出される画素のうちで第1置換部84によって置換された画素以外の画素の値を、検出部82の検出範囲より小さい値にする(ACT7)。検出部82によって検出される画素値は0<P≦20の範囲であるため、第2置換部85は、第1置換部84で置換されなかった残りの画素(順位3、4の画素)の値を0に置換する。
【0042】
図10は、分割領域に対して置換された後のデータを示す図である。このようにすることで、パルス幅の小さい値20の画素値が0または40の値に置換される。また置換前後の階調値の総和も極力小さな変更で済む。尚、置換前後の階調値の総和を一致させる方法として、階調値の総和が置換前よりも置換後の方が大きくなる場合、第1置換部84は、元の階調値の和と置き換え済みの階調値の和との差の値に画素値を置き換える実装も適用できる。
【0043】
第1置換部84、第2置換部85での動作が完了した場合、分割部81は次の領域(3、4行目)が処理対象となるように分割する(ACT1へ戻る)。本実施形態ではACT1〜ACT7同様の処理が順次分割される領域に対して行われる。このように第1置換部84、第2置換部85による置換処理の後に、分割部81が都度領域を分割する実装でもよいし、分割部81がハーフ−トーンパターンを一括で全て分割した後に、分割された領域ごとに検出部82、算出部83、第1置換部84、第2置換部85による処理が行われる実装でもよい。
【0044】
このようなハーフトーンパターン変換部80の処理によって、微小なパルス幅の発生を抑えるハーフトーンパターンが形成される。ハーフトーン処理部70は、ハーフトーンパターン変換部80によって導出されたハーフトーンパターンを用いて、読取部Rで読み取られる画像データに対してハーフトーン処理を行い、パルス幅信号をPWM処理部90に出力する。
【0045】
尚、上記説明では、ハーフトーンパターンに対し分割部81が所定領域に分割する実装について説明したが、ハーフトーンパターン全域に対して上述の検出部82、算出部83、第1置換部84、第2置換部85が各処理を実行する等、優先順位の選定方法や検出画素の範囲の指定等、パラメータの選定によっては分割しない実装も可能である。
【0046】
本実施形態では、カラー印刷を行う画像形成装置について説明したが、態様を限定するものではなく、モノクロ印刷やモノカラー印刷のみを行う画像形成装置にも適用可能である。またインクジェット方式の画像形成装置にも適用可能である。
【0047】
また、ハーフトーン変換部80と同等の機能を有する外部機器によって、事前に本実施形態のハーフトーンパターンの変換処理が行われ、この変換処理後のハーフトーンパターンが記憶された画像形成装置が提供されてもよい。このような画像形成装置は、本実施形態のハーフトーンパターン変換部80を有さず、置換後のハーフトーンパターンのデータのみが記憶部60に記憶されている。ハーフトーン処理部70は、記憶部60に記憶されたハーフトーンパターンを用いて画像処理を行う。
【0048】
画像処理部101は画像階調処理装置として提供されてもよい。
【0049】
以上に詳説したように、本実施形態では、微小なパルス幅の発生を抑制し、画像形成を安定化させることができる。
【0050】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、すべて本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0051】
60 記憶部、70 ハーフトーン処理部、80 ハーフトーンパターン変換部、81 分割部、82 検出部、83 算出部、84 第1置換部、85 第2置換部、90 PWM処理部、100 画像形成装置、101 画像処理部、R 読取部、P 像形成部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10