特許第5661568号(P5661568)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社タチエスの特許一覧

<>
  • 特許5661568-自動車シート 図000002
  • 特許5661568-自動車シート 図000003
  • 特許5661568-自動車シート 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5661568
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】自動車シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/44 20060101AFI20150108BHJP
   A47C 7/62 20060101ALI20150108BHJP
   B60R 7/04 20060101ALI20150108BHJP
【FI】
   B60N2/44
   A47C7/62 A
   B60R7/04 S
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-138991(P2011-138991)
(22)【出願日】2011年6月23日
(65)【公開番号】特開2013-6459(P2013-6459A)
(43)【公開日】2013年1月10日
【審査請求日】2014年1月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133098
【氏名又は名称】株式会社タチエス
(74)【代理人】
【識別番号】100141221
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 和明
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 康行
(72)【発明者】
【氏名】石井 厚
【審査官】 宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−054442(JP,A)
【文献】 特開2011−004841(JP,A)
【文献】 実開昭57−163429(JP,U)
【文献】 実開平6−27345(JP,U)
【文献】 米国特許第6702375(US,B1)
【文献】 実開昭57−13349(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/44
B60N 3/00
A47C 7/62
B60R 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレイ状にへこんで内周囲溝を有する形状で軟質樹脂から成形され、そして、そのトレイ状へこみをシート・バックの背裏面に開口させてそのシート・バックのシート・バック・フレームに取り付けられるバック・ボードと、下方端末および両側端末を連続的に折り返すループ・エンドを有する形状で硬質樹脂から成形されるポケット・パッチとを備え、そして、そのポケット・パッチのそのループ・エンドをそのバック・ボードのその内周囲溝にはめ込み、そのバック・ボードの所定の箇所に位置決めされ、そのポケット・パッチをそのバック・ボードに取り外し可能に組み付けてそのシート・バックにシート・バック・ポケットを形成するところの自動車シート。
【請求項2】
そのバック・ボードが、弾力性軟質樹脂から成形され、そして、そのポケット・パッチが、そのバック・ボードよりも硬い硬質樹脂から保持性のあるプレートに成形される請求項1に記載の自動車シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車シートに関し、詳細には、シート・バックの背裏面にニー・スペースを確保でき、そのシート・バックのその背裏面で小物入れに活用可能にされるポケットを備えるところの自動車シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車シートでは、シート・バック・ポケットは樹脂バック・ボードに別体の樹脂ポケットを取り付けて形成されるか、クロス仕様では、別体のポケットを縫い付けて形成されるので、そのポケットが取り外しできず、また、必要な場合にそのポケットを取り外してシート・バックに十分なニー・スペースを確保する構造が採れず着座が窮屈になった。さらには、そのポケットの部品点数が多く、そして、そのポケットのための取付け部品が多数必要になって取付け作業が厄介になった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2001−54442公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明の課題は、バック・ボードにポケット・パッチを簡単に組み付け取り外しできてシート・バックの背裏面にポケットを形成でき、そして、そのシート・バックに十分なニー・スペースを確保できて座り心地を向上させ、さらには、そのポケットの部品点数を少なくできてそのポケットのための取付け部品も省けるところの自動車シートを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の自動車シートは、トレイ状にへこんで内周囲溝を有する形状で軟質樹脂から成形され、そして、そのトレイ状へこみをシート・バックの背裏面に開口させてそのシート・バックのシート・バック・フレームに取り付けられるバック・ボードと、下方端末および両側端末を連続的に折り返すループ・エンドを有する形状で硬質樹脂から成形されるポケット・パッチとを備え、そして、そのポケット・パッチのそのループ・エンドをそのバック・ボードのその内周囲溝にはめ込み、そのバック・ボードの所定の箇所位置決めされ、そのポケット・パッチをそのバック・ボードに取り外し可能に組み付けてそのシート・バックにシート・バック・ポケットを形成する。
【発明の効果】
【0006】
この発明の自動車シートでは、バック・ボードがトレイ状にへこんで内周囲溝を有する形状で軟質樹脂から成形され、そして、ポケット・パッチがそれの下方端末および両側端末を連続的に折り返すループ・エンドを有する形状で硬質樹脂から成形されるので、そのポケット・パッチがそのループ・エンドをそのバック・ボードのその内周囲溝にはめ込んでそのバック・ボードの所定の箇所に簡単にはめ込まれてそのバック・ボードに取り外し可能に組み付けられてシート・バック・ポケットがそのシート・バックの背裏面に簡単に形成され、そして、必要な場合、そのポケット・パッチがそのバック・ボードから簡単に取り外されて十分なニー・スペースがそのシート・バックに確保されて座り心地が向上され、さらには、そのポケットの部品点数が少なくされ、そのポケットのための取付け部品も省かれて経済的である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】乗用車のドライバー・シートに活用されるところのこの発明の自動車シートの具体例を後方から見て示した部分斜視図である。
図2図1の2−2線に沿って示した断面図である。
図3図1の3−3線に沿って示した分解断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
この発明の自動車シートは、トレイ状にへこんで内周囲溝を有する形状で軟質樹脂から成形され、そして、そのトレイ状へこみをシート・バックの背裏面に開口させてそのシート・バックのシート・バック・フレームに取り付けられるバック・ボードと、下方端末および両側端末を連続的に折り返すループ・エンドを有する形状で硬質樹脂から成形されるポケット・パッチとを備え、そして、そのポケット・パッチのそのループ・エンドをそのバック・ボードのその内周囲溝にはめ込み、そのバック・ボードの所定の箇所に位置決めされ、そのポケット・パッチをそのバック・ボードに取り外し可能に組み付けてそのシート・バックにシート・バック・ポケットを形成する。
【0009】
そして、この発明の自動車シートは、そのバック・ボードが、弾力性軟質樹脂から成形され、そして、そのポケット・パッチが、そのバック・ボードよりも硬い硬質樹脂から保持性のあるプレートに成形されるのが望ましい。
【実施例1】
【0010】
以下、特定されて図示された具体例に基づいて、この発明の自動車シートを説明するに、図1ないし図3は、乗用車のドライバー・シートに活用されるところのこの発明の自動
車シートの具体例10を部分的に示し、そして、このドライバー・シート10は、シート・クッション(図示せず)、シート・バック11、およびヘッドレスト(図示せず)などで組み立てられ、そのシート・クッションがシート・トラック(図示せず)およびシート・リフター(図示せず)を組み込んでそのシート・トラックでその乗用車のフロアに据え付けられ、そのシート・バック11が両側リクライニング・デバイス(図示せず)でそのシート・クッションに前倒しおよび角度調整可能に支持され、そして、そのヘッドレストが左右のスティ(図示せず)をそのシート・バックの左右のスティ・ホルダー(図示せず)に対応的に差し込んでそのシート・バック11の上面に取り外し可能に取り付けられる。
【0011】
そのシート・バック11は、シート・バック・フレーム(図示せず)にシート・バック・パッド12を組み付け、そして、それにシート・バック・トリム・カバー13を被せ、固定して組み立てられ、そしてさらに、それの背裏面14にバック・ボード15を取り付け、そのバック・ボード15にポケット・パッチ16を取り外し可能に組み付けてその背裏面14にシート・バック・ポケット22を形成している。
【0012】
さらに詳述するに、このシート・バック11では、そのバック・ボード15が、トレイ状にへこんで内周囲溝18を有する形状で軟質樹脂から成形され、そして、そのトレイ状へこみ17をそのシート・バック11のその背裏面14に開口させてそのシート・バック11のシート・バック・フレーム(図示せず)に取り付けられ、そのポケット・パッチ16が、それの下方端末19および両側端末20、20を連続的に折り返すループ・エンド21を有する形状で硬質樹脂から成形され、そして、そのポケット・パッチ16のそのループ・エンド21をそのバック・ボード15のその内周囲溝18にはめ込み、そのバック・ボード15の所定の箇所に位置決めされ、そのポケット・パッチ16をそのバック・ボード15に取り外し可能に組み付けてそのシート・バック11にそのシート・バック・ポケット22を形成する。
【0013】
特に、このシート・バック11では、そのバック・ボードが、弾力性軟質樹脂から成形され、そして、そのポケット・パッチ16が、そのバック・ボード15よりも硬い硬質樹脂から保持性のあるプレートに成形されるのが望ましい。
そうすると、そのバック・ボード15のその内周囲溝18が弾力性を有し、一方、そのポケット・パッチ16が保持性のあるプレートになってそのポケット・パッチ16の固定安定が図られる。
【0014】
したがって、このドライバー・シート10、すなわち、そのシート・バック11では、そのバック・ボード15がトレイ状にへこんで内周囲溝18を有する形状で軟質樹脂から成形され、そして、そのポケット・パッチ16がそれの下方端末19および両側端末20、20を連続的に折り返すループ・エンド21を有する形状で硬質樹脂から成形されるので、そのポケット・パッチ16がそのループ・エンド21をそのバック・ボード15のその内周囲溝18にはめ込んでそのバック・ボード15の所定の箇所に簡単にはめ込まれてそのバック・ボード15に取り外し可能に組み付けられ、そのシート・バック・ポケット22がそのシート・バック11のその背裏面14に簡単に形成されて雑誌や袋詰め菓子などを入れる小物入れに活用され、そして、必要な場合、例えば、長距離を移動する場合、そのポケット・パッチ16が、図3に示されたようにそのバック・ボード15から簡単に取り外されて十分なニー・スペースがそのシート・バック11に確保されて座り心地が向上され、さらには、そのポケット22の部品点数が少なくされ、そのポケット22のための取付け部品も省かれて経済的である。
【0015】
先に図面を参照して説明されたところのこの発明の特定された具体例から明らかであるように、この発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者にとって、この発明の内容は、その発明の性質(nature)および本質(substance)に由来し、そして、それらを内在させると客観的に認められる別の態様に容易に具体化される。勿論、この発明の内容は、その発明の課題に相応し(be commensurate with)、そして、その発明の成立に必須である。
【産業上の利用可能性】
【0016】
上述から理解されるように、この発明の自動車シートは、トレイ状にへこんで内周囲溝を有する形状で軟質樹脂から成形され、そして、そのトレイ状へこみをシート・バックの背裏面に開口させてそのシート・バックのシート・バック・フレームに取り付けられるバック・ボードと、下方端末および両側端末を連続的に折り返すループ・エンドを有する形状で硬質樹脂から成形されるポケット・パッチとを備え、そして、そのポケット・パッチのそのループ・エンドをそのバック・ボードのその内周囲溝にはめ込み、そのバック・ボードの所定の箇所に位置決めされ、そのポケット・パッチをそのバック・ボードに取り外し可能に組み付けてそのシート・バックにシート・バック・ポケットを形成するので、この発明の自動車シートでは、そのポケット・パッチがそのバック・ボードに簡単に組み付け取り外しできてそのシート・バックの背裏面にそのシート・バック・ポケットを形成でき、そして、ニー・スペースがそのバック・ボードからそのポケット・パッチを取り外すことによって最大まで広げられてそのシート・バックの後方に十分なニー・スペースが確保されて座り心地が向上され、さらには、そのシート・バック・ポケットの部品点数が少なくできてそのシート・バック・ポケットのための取付け部品数も省け、そして、経済的になり、その結果、自動車シートにとって非常に有用で実用的である。
【符号の説明】
【0017】
10 ドライバー・シート
11 シート・バック
12 シート・バック・パッド
13 シート・バック・トリム・カバー
14 背裏面
15 バック・ボード
16 ポケット・パッチ
17 トレイ状へこみ
18 内周囲溝
19 下方端末
20 両側端末
21 ループ・エンド
22 シート・バック・ポケット
図1
図2
図3