(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5661610
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】インクの噴射
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20150108BHJP
B41J 2/155 20060101ALI20150108BHJP
【FI】
B41J2/01 209
B41J2/155
【請求項の数】18
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-510560(P2011-510560)
(86)(22)【出願日】2009年5月8日
(65)【公表番号】特表2011-520667(P2011-520667A)
(43)【公表日】2011年7月21日
(86)【国際出願番号】US2009043279
(87)【国際公開番号】WO2009142923
(87)【国際公開日】20091126
【審査請求日】2012年5月8日
(31)【優先権主張番号】12/125,702
(32)【優先日】2008年5月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502122794
【氏名又は名称】フジフィルム ディマティックス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛
(72)【発明者】
【氏名】ラースペレ,ジャーン ティー
(72)【発明者】
【氏名】ハルワワラ,シュブー
(72)【発明者】
【氏名】ダービー,サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】グレイヴソン,サンドラ
【審査官】
島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−079707(JP,A)
【文献】
特開平11−198380(JP,A)
【文献】
特開2006−082266(JP,A)
【文献】
特開平8−25635(JP,A)
【文献】
特開2008−155382(JP,A)
【文献】
特開2008−195060(JP,A)
【文献】
特開2000−6389(JP,A)
【文献】
特開平6−40028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 − 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置と被印刷物とが処理方向に沿って相対移動する間に、液滴を被印刷物に噴射するための装置であって、
二列のジェットアセンブリであって、該二列のジェットアセンブリの第一列が、列方向に連続する第一のジェットアセンブリおよび1以上の追加のジェットアセンブリを備え、該二列のジェットアセンブリの第二列が、列方向に連続する第二のジェットアセンブリおよび1以上の追加のジェットアセンブリを備えたものである二列のジェットアセンブリ、および
各組の一列に並んだ前記ノズルにおいて、一方のノズルに、前記非印刷物に所望のピクセルを形成するために前記ノズルが噴射する必要がある液滴より小さいサイズを有する第一の液滴を噴射させ、他方のノズルに、前記第一の液滴と組み合わせて、所望のピクセルを形成するのに十分なサイズを有する第二の液滴を噴射させるようにする機構であって、前記第一の液滴のサイズが、前記一方のノズルが噴射するように構成された最大液滴サイズよりも小さいものである機構、
を備え、
前記ジェットアセンブリの各列が一連のノズルを有し、前記二列のジェットアセンブリが、少なくとも一列の一端または両端にある1以上のノズルを除いて、前記ジェットアセンブリの各列のノズルのそれぞれが、該ジェットアセンブリの他方の列のジェットアセンブリの対応するノズルと、処理方向に沿って一列に並んで、一組の一列に並んだノズルを形成するように、該処理方向に対して垂直方向に部分的に重なっており、
前記一組の一列に並んだノズルの少なくともいくつかのそれぞれについて、前記二列のジェットアセンブリの第一列のノズルおよび該二列のジェットアセンブリの第二列の対応するノズルが、複数のサイズの液滴を噴出するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記第一および第二のジェットアセンブリが、それぞれ100より多いノズルを備えたことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記第一のジェットアセンブリのノズルが、それぞれ前記第二のジェットアセンブリまたは前記第二列の追加のジェットアセンブリの対応するノズルと一列に並ぶことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記第二の液滴のサイズが、他のノズルが噴射するように構成された最大液滴サイズよりも小さいことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記第一および第二のジェットアセンブリの各ノズルが、3つの異なるサイズの液滴を噴出するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記第一および第二のジェットアセンブリの各ノズルが、サイズが30ナノグラム、50ナノグラム、または80ナノグラムである液滴を噴出するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項7】
前記第一および第二のアセンブリの各ノズルが、10ナノグラムから30ナノグラムのサイズを有する液滴を噴出するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項8】
前記第一の液滴と前記第二の液滴が、全体で50ナノグラムの滴のサイズを有することを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項9】
前記第一および第二のジェットアセンブリの一列に並んだノズルが、前記処理方向に沿って50ミリメートル離れた位置にあることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項10】
前記第一列のジェットアセンブリにおける前記ジェットアセンブリのそれぞれが、前記第二列のジェットアセンブリにおける少なくとも1つの前記ジェットアセンブリと、前記処理方向に対して垂直方向において、少なくとも部分的に重なることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項11】
前記第一列のジェットアセンブリにおける前記ジェットアセンブリのそれぞれが、前記第二列のジェットアセンブリにおける2つの前記ジェットアセンブリと、前記処理方向に対して垂直方向において、少なくとも部分的に重なることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項12】
前記第一列のジェットアセンブリにおける前記ジェットアセンブリのそれぞれが複数のノズルを有し、該第一列のジェットアセンブリにおける前記複数のノズルのそれぞれが、前記第二列のジェットアセンブリにおける対応するジェットアセンブリの対応するノズルと一列に並ぶことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項13】
前記ジェットアセンブリの前記第一列および第二列が、前記処理方向に対して垂直方向に、25ミリメートルから1メートルの幅を有することを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項14】
インク噴射装置と被印刷物とが処理方向に沿って相対移動する間に、液滴を被印刷物上に形成する方法であって、前記インク噴射装置が二列のジェットアセンブリを備え、各列が、列方向に連続する2以上のジェットアセンブリを備え、前記二列が処理方向に対して垂直方向に部分的に重なり、よって少なくとも一列の一端または両端にある1以上のノズルを除いて、前記ジェットアセンブリの各列のノズルのそれぞれが、該ジェットアセンブリの他方の列のジェットアセンブリの対応するノズルと、処理方向に沿って一列に並んで、一組の一列に並んだノズルを形成し、前記方法が、
(a)前記ジェットアセンブリの列の内の一方に沿った、一組の一列に並んだノズルに属する各ノズルに、前記非印刷物に所望のピクセルを形成するために前記ノズルが噴射する必要のある液滴より小さいサイズを有する第一の液滴を噴射させるステップであって、前記列に沿った各ノズルが複数のサイズの液滴を噴射するように構成されており、前記液滴のサイズが、前記ノズルが噴射するように構成された最大液滴サイズよりも小さいものであるステップ、
および
(b)前記一組の一列に並んだノズルに属し、かつ前記ジェットアセンブリの他方の列に沿って配置されたノズルに、前記第一の液滴と組み合わせて、所望のピクセルを形成するのに十分なサイズを有する、第二の液滴を噴射させるステップであって、前記ジェットアセンブリの他方の列の各ノズルが複数のサイズの液滴を噴射するように構成されているステップ、
を有することを特徴とする方法。
【請求項15】
前記ステップ(a)が、前記非印刷物に所望のピクセルをプリントするために必要とされるサイズの半分のサイズを有する前記第一の液滴を噴射することを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記ステップ(a)が、前記非印刷物に所望のピクセルをプリントするために必要とされるサイズの1/3のサイズを有する前記第一の液滴を噴射することを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項17】
前記第一の液滴と前記第二の液滴が、全体で50ナノグラムの滴サイズを有することを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項18】
前記第二の液滴のサイズが、前記ジェットアセンブリの第二列のそれぞれのノズルが噴射するように構成された最大液滴サイズよりも小さいことを特徴とする請求項14記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【優先権の主張】
【0001】
本出願は、2008年5月22日に出願された米国特許出願第12/125,702号の優先権を主張するものであり、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、インクの噴射に関するものである。
【背景技術】
【0003】
インクの噴射は、ジェットアセンブリを有するインクジェットプリントヘッドを使用することによって行われる。インクがインクジェットプリントヘッドに取り入れられ、作動時に、ジェットアセンブリがインクを噴射し、被印刷物にイメージを形成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、作動時におけるインクジェットプリントヘッドが移動する処理方向およびこの処理方向に垂直方向の双方に沿って隣接する列同士のプリントヘッドの起こり得るずれによって、理想的には同一であるべき異なるプリントヘッド間の起こりうる特性の差異によって、または1以上のプリントヘッドの、曲がったり欠けたりしているノズルによって生じる、筋あるいはイメージアーティファクト等の好ましくない低品質を低減するとともに、隠すことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様によれば、装置と被印刷物とが処理方向に沿って相対移動する間に、液滴を被印刷物に噴射するために、本発明の装置はそれぞれがノズル列を有する第一および第二のジェットアセンブリを備える。第一および第二のジェットアセンブリは、一組以上の一列に並んだノズルを形成するために、第一のジェットアセンブリのいくつかのノズルが、第二のジェットアセンブリのいくつかのノズルと、処理方向に沿って並ぶように、処理方向に対して垂直方向に少なくとも部分的に重なる。本発明の装置は、少なくとも一組の並んだノズルにおいて、非印刷物に所望のピクセルを形成するために、あるノズルに、本来であればノズルが噴射する必要がある液滴より小さいサイズを有する第一の液滴を噴射させ、他のノズルに、第一の液滴とともに所望のピクセルを形成するために十分なサイズを有する第二の液滴を噴射させるようにする機構も備える。
【0005】
他の態様によれば、流体噴射装置と被印刷物とが処理方向に沿って相対移動する間に、液滴を被印刷物上に形成するために、本発明の方法は、(a)流体噴出装置の第一のジェットアセンブリに、非印刷物に所望のピクセルを形成するために、本来であればノズルが噴射する必要がある液滴より小さいサイズを有する第一の液滴を噴射させるステップ、および(b)流体噴出装置の第二のジェットアセンブリに、第一の液滴と組み合わせて所望のピクセルを形成するのに十分なサイズを有する第二の液滴を噴射させるステップを有する。
【0006】
本発明は、1以上の下記の特徴を有していてもよい。第一および第二のジェットアセンブリは、それぞれ100より多いノズルを備える。第一のジェットアセンブリの1以上のノズルの各々は、それぞれ処理方向に沿って、第二のジェットアセンブリの対応するノズルと一列に並ぶ。第一のジェットアセンブリの各ノズルは、それぞれ第二のジェットアセンブリの対応するノズルと一列に並ぶ。第一および第二のジェットアセンブリの各ノズルは、それぞれ複数のサイズの液滴を噴出することができる。第一および第二のジェットアセンブリのノズルは、それぞれ3つの異なるサイズの液滴を噴出することができる。第一および第二のジェットアセンブリのノズルは、それぞれ滴サイズが30ナノグラム、50ナノグラム、または80ナノグラムである液滴を噴出することができる。第一の液滴と第二の液滴は、全体で約50ナノグラムの滴サイズを有する。第一および第二のジェットアセンブリの並んだノズルは、処理方向に沿って約50ミリメートル離れた位置にある。本発明の装置は、処理方向に対して垂直方向において、ジェットアセンブリの第一のアレイが第一のジェットアセンブリと一列に並び、ジェットアセンブリの第二のアレイが第二のジェットアセンブリと一列に並ぶ、それぞれが1以上のジェットアセンブリを有する第一および第二のジェットアセンブリアレイも備える。第一のジェットアセンブリアレイにおける各ジェットアセンブリは、第二のジェットアセンブリアレイにおける少なくとも1つのジェットアセンブリと、処理方向に対して垂直方向において、少なくとも部分的に重なる。第一のジェットアセンブリアレイにおける各ジェットアセンブリは、第二のジェットアセンブリアレイにおける2つのジェットアセンブリと、処理方向に対して垂直方向において、少なくとも部分的に重なる。各ジェットアセンブリは、対応する重なっているジェットアセンブリにおける対応するノズルと、それぞれが一列に並ぶ複数のノズルを有する。ジェットアセンブリの第一および第二のアレイは、処理方向に対して垂直方向において、約25ミリメートルから約1メートルの幅を有する。
【0007】
本発明は、1以上の下記の特徴を有していてもよい。ステップ(a)は、非印刷物に所望のピクセルをプリントするために必要とされる滴の半分のサイズの、滴サイズを有する第一の液滴を噴射することを含む。ステップ(a)は、非印刷物に所望のピクセルをプリントするために必要とされる滴の1/3のサイズの、滴サイズを有する第一の液滴を噴射することを含む。第一の液滴と第二の液滴は、全体で約50ナノグラムの滴サイズを有する。
【0008】
これらのおよび他の態様および特徴は、方法、装置、システム、機能を果たすための手段、およびその他の方法として説明される。
【0009】
その他の特徴および利点は、下記の詳細な説明および請求項から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】 インクジェットプリントヘッド、およびインクジェットプリントヘッドの一部の分解斜視図である。
【
図1B】 インクジェットプリントヘッド、およびインクジェットプリントヘッドの一部の分解斜視図である。
【
図1C】 インクジェットプリントヘッド、およびインクジェットプリントヘッドの一部の分解斜視図である。
【
図2−1】
図2は、インクジェットプリンタの概略平面図である。
【
図2−2】
図2Aは、プリントされたイメージを概略的にいくつかのピクセルに分割したものの一部である。
【
図2−3】
図2Bは、プリントされたイメージを概略的にいくつかのピクセルに分割したものの一部である。
【
図2−4】
図2Cは、プリントされたイメージを概略的にいくつかのピクセルに分割したものの一部である。
【
図3】 インクジェットプリンタの概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1Aに示すように、インクの噴射は、本体4に取り付けられた、例えばシリコンあるいはカーボン等で作製されたアセンブリ6,8を有するインクジェットプリントヘッド2を使用することによって行われる。インクは、本体4のインク注入口12および14を通って、インクジェットプリントヘッド2に取り入れられる。インクジェットプリントヘッド2は、インクを噴射し被印刷物16にイメージ17を形成するためのアセンブリ6および8を作動させる電子部品10も有する。
【0012】
図1Bに示すように、本体4は、アセンブリ6および8(図示せず)がそれぞれ表面18およびその反対側の表面48(
図1C)に取り付けられた場合のインク充填路を形成するために、インク注入口12および14と接続されたキャビティ16を有する。表面18および48上のそれぞれにおいて、一列に並んだ開口部33または35(
図1C)の各開口部は、本体4(
図1C)のインク噴射路38および開口部39と接続されている。ジェットアセンブリ6および8(図示せず)はそれぞれ、表面18に投影するとキャビティ16の大きさおよび位置と適合する大きさおよび位置にあるキャビティ22と、キャビティ16に対して開放されたトップエンド32およびジェットエンド36を備えたキャビティプレート20とを有する。
【0013】
キャビティプレート20の前後の表面は、大きさが一致したポリマーフィルム26および補強プレート28によりそれぞれ覆われ、インクポンピングチャンバはキャビティ24によって形成される。キャビティプレート20のキャビティ22と同様に、作動および使用中に、キャビティ16によって形成されたインク流路からトップエンド32を通ってキャビティ24によって形成されたポンピングチャンバまでインクを満たすために、補強プレート28はキャビティ30も有する。補強プレート28は、一列に並んだ開口部31も有する。組み立てられた際、インクがポンピングチャンバ内に送られてジェットエンド36に到達する際、インクが補強プレート28の開口部31と本体4の対応する開口部33とを通過して、インクが開口部39(
図1C)から噴射される本体4のインク噴射路40へ流れるようにするために、開口部31の大きさおよび相対的位置は、キャビティプレートにあるジェットエンド36の大きさおよび相対的位置、並びに本体4の表面18にある開口部33の大きさおよび相対的位置と一致する。
図1Cに示すように、各インク噴射路38はアセンブリ6または8(
図1Aおよび1B)の1つのポンピングチャンバに対応し、開口部33または35に接続する水平部分40、および本体4の底面46の開口部39に接続する垂直部分42を有する。開口部33および35は、本体4の長さlに沿って互い違いに並び、表面18および48の一方に投影した場合、その投影は等間隔の開口部の列を形成する。開口部39はそれぞれが等間隔でもあり、本体4の長さlと平行に一列(図示せず)あるいは二列に並べられる。図示された例において、異なる列の開口部39は本体4の長さlに沿って互い違いに並んでいる。インク噴射路38を通って、二列ある開口部39の1つは、本体の後の表面48の開口部35に接続し、もう一方の列は、本体の前の表面18の開口部33に接続している。
【0014】
ある実施形態において、オリフィスを備えたオリフィスプレート(図示せず)を、本体4の底面46に取り付けることができる。本体4の底面46と接触した各オリフィスは、1つの開口部39と合致し、それらのオリフィスは、例えば、開口部39が配置されている列の数に合わせて、一列または二列に配置することができる。オリフィスは、もう一方の端部が、オリフィスプレートのもう一方の表面に一列に並んだ開口部と接続された、オリフィスプレートの内部に形成されたチャネルに接続されている。インクは、一列に並んだ開口部を通って、オリフィスプレートの下方の被印刷物へ噴射される。各ポンピングチャンバ、その対応するインク噴射路38、開口部39およびオリフィスは、共にインクジェット44(図示せず)を形成する。
【0015】
図1Bに戻り、例えば約200マイクロメートルの厚さを有する圧電素子34は、ポリマーフィルム26の外側の表面に取り付けられ、ポンピングチャンバを覆う。圧電素子34は、本体4に取り付けられたフレックスボード9上の電子部品10と電気的に接続された電極 (図示せず)を有する。使用中、電子部品10は、選択された電極に、例えば電圧パルスのような信号を送信し、形状を変化させるとともに、インクを噴射するために対応するポンピングチャンバに圧力を加えるべく、圧電素子34の選択された電極に対応する部分を作動させる。
【0016】
プリントヘッド2がプリントする解像度は、例えばジェットアセンブリ6および8のポンピングチャンバのサイズおよび密度に依存する。図示された例において、ジェットアセンブリ6および8は、それぞれ約5ミリメートルの長さと約200マイクロメートルの幅を有する、50,64,100,128,256、500あるいは512より多い細長く平行に並ぶポンピングチャンバを有する。プリントヘッド2がプリントすることができる最大幅は、約20ミリメートルから約100ミリメートルである。インクジェットプリントヘッドに関する情報は、2008年5月22日に出願された米国特許出願第12/125,648号(代理人整理番号09991−259001)明細書にも提供されている。
【0017】
図2に示すように、例えば同じ最大解像度でプリントできる
図1Aの1以上のプリントヘッド2(2つのプリントヘッド2は2aおよび2bとする;図示のプリントヘッド2の総数およびプリントヘッド2の各ノズルの数は概略である)は、いわゆるシングルパス方式のインクジェットプリンタ45に組み込むことができる。プリント中、プリンタ45は静止しており、プリントする前に取得したイメージ43についての情報および検出器52から送信される被印刷物の動きについての瞬間的な情報に基づいて、コントローラ50は、各プリントヘッド2の電子部品10(
図1Aおよび1B)が、プリンタ45の下方を通って処理方向yに沿って移動する被印刷物41の適切な位置にインクを噴射するよう、関連するポンピングチャンバを作動させるために信号を送信する。
【0018】
複数のプリントヘッド2は関連する列、例えば、列47および49において、例えば、25ミリメートル未満から1メートル以上におよぶ被印刷物の幅W1cをカバーするように、被印刷物41を横切って並ぶ長さlを持って、処理方向yと垂直方向に、互い違いになっている。列47および49のうちの一方の列にある各プリントヘッド2は、少なくとも1つ、例えば2つの、他の列のプリントヘッド2と点線部48において重なる。点線部48は、それぞれ約1つから約4つ、あるいはそれ以上のノズル44、例えば各プリントヘッド2の16個のノズル44を有し、1つのプリントヘッド2の各ノズル44、例えばノズル44aは、重なるプリントヘッド2の対応するノズル44、例えばノズル44bと、処理方向yに沿って一列に並んでいる。
【0019】
ある実施形態において、各ピクセル、例えばイメージ43のピクセル54は、インク滴を所望の一定サイズで噴射することが可能な、プリントヘッド2の単一のノズル44においてプリントされる。例えば、あるタイプのプリントヘッド2は、それぞれが約30ナノグラムの量のインク滴を噴射することができ、別のタイプのプリントヘッド2は、それぞれが約50ナノグラムの量のインク滴を噴射することができ、さらに別のタイプのプリントヘッド2は、それぞれが約80ナノグラムの量のインク滴を噴射することができる。特に、インクは、イメージ43の各ピクセルをプリントするために、処理方向yに沿って、点線部48の下方を通過する被印刷物40の一部にある、重なっているノズルの一方、例えば、ノズル44aあるいはノズル44bのいずれかからのみ噴射される。二列に並んだノズル44のいずれを選択するかは、例えば、コントローラ50の設定によって、ランダムもしくは規則的に、例えば交互にすることができる。
【0020】
図2Aおよび2Bに示すように、イメージ43の部分51は、2つの重なっているプリントヘッド2(列47上のaを付したノズルを有するプリントヘッド2と、列49上のbを付したノズルを有するプリントヘッド2)を用いて、被印刷物41にプリントされる。部分51の各ピクセルは拡大され、四角53で表されている。図示された例において、二列のピクセルは点線部48に該当し、それぞれは一列に並んだノズル44(aまたはb)によって交互に、あるいはランダムにプリントされる(
図2B)。点線部48の外側においては、各ピクセルは1つの利用可能なノズルaまたはbによってプリントされる。
【0021】
各点線部48における二列のノズルのうち一列から噴射されるインク滴によりプリントすることによって、被印刷物41を横切る異なるプリントヘッドによってプリントされるイメージの部分間の継ぎ目が滑らかになるとともに、例えば、処理方向yおよび処理方向yに垂直方向の双方に沿って隣接する列同士のプリントヘッド2の起こり得るずれによって、理想的には同一であるべき異なるプリントヘッド間の起こりうる特性の差異によって、または1以上のプリントヘッドの、曲がったり欠けたりしているノズルによって生じる、筋あるいはイメージアーティファクト等の好ましくない低品質を低減するとともに、隠す。
【0022】
図2Cに示すように、イメージ43(
図2)の部分51をプリントする場合、いくつかのピクセル、例えば点線部48のノズル44によってプリントされるピクセルのそれぞれは、処理方向yに沿って並んだノズル44の双方によって協働してプリントされ得る。ある実施形態において、コントローラ50は、各プリントヘッド2の電子部品10が、ポンピングチャンバを作動させ、各ノズル44から、例えば大きさ等の異なる特性を有するインク滴を噴射するために、制御された周波数における選択された複数の波形を有する電圧パルスを送信するように設定されている。例えば、プリントヘッド2の各ノズル44は、所望の単一サイズでのみインクドロップを噴射することが可能な、ポンピングチャンバの大きさおよび密度等の同一の物理的特性を有するプリントヘッドのノズルが噴射することが可能な液滴の質量の1/2、1/3、または1/4の質量のインクドロップを噴射することができる。例えば、そのようなノズル44は、約10ナノグラムから約30ナノグラム、約50ナノグラム、または約80ナノグラムの液滴サイズを有するインク滴を噴射することができる。ある実施形態において、ノズル44が噴射することが可能な最小のインク滴は、ノズル44が噴射できる最大のインク滴のサイズの、例えば10%、20%、25%、または30%、および/または上限が例えば50%、60%、70%、80%、または90%までのサイズを有する。異なる特性のインク滴を噴射することが可能なノズルを有するプリントヘッドに関する情報は、参照により本明細書に組み込まれる、2004年3月15日に出願された米国特許出願第10/800,467号(代理人整理番号09991−123001)および2007年1月11日に出願された米国特許出願第11/652,325号(代理人整理番号09991−252001)の各明細書でも提供される。
【0023】
図示された例において、二列に並んだノズル44、特に
図2のプリントヘッド2aおよび2bのaおよびbは、各々がピクセルの一部分をプリントして、1つのピクセルを協働してプリントするようインクを噴射する。例えば、重なっているノズル44の一方、例えばノズル44aが、所望とされるピクセルをプリントするために必要なインク滴のサイズの、例えば半分、1/3、1/4、1/5、またはその他の割合の液滴サイズを有するインク滴を噴射する。コントローラ50は、被印刷物41を送る速度および処理方向yに沿って並ぶノズル44間の相対距離に基づいて、重なっているノズル44のもう一方、例えばノズル44bを、被印刷物に完全な所望とされるピクセルを補足的にプリントするために、すでに噴射された対応する1つのインク滴のサイズをそれぞれ補うインク滴を適時噴射するように、作動させるよう設定される。点線部48に含まれないノズル44は、同様にピクセルの一部をプリントすることができるが、被印刷物41にイメージ43のピクセル全体をプリントするために、インク滴を噴射する。点線部48において並んだノズルの双方を使用することにより、継ぎ目付近の被印刷物41を横切る異なるプリントヘッド2からプリントされたイメージ43の一部分の品質の違いが目立たなくなり、イメージ43の全体的な品質が向上される。同様に、点線部48において並んだノズルの双方からインクを噴出することにより、点線部48の重なっているプリントヘッド2の片方のノズルの誤作動により起こり得るイメージの低品質、例えばゆがんだり薄くなったりすることが減少される。
図3に示すように、プリンタ58に示されたプリントヘッドの配置において、プリントヘッド2、例えば、上述したように例えばサイズ等の1以上の特性を有するインク滴を噴射することが可能なノズル44(図示されたノズル44の数は概略的である)を有する、プリントヘッド2c〜2hで示す6つのプリントヘッド2は、シングルパス方式のインクジェットプリンタ58の2つの関連する列54および56に配置することができる。少なくとも1つのプリントヘッド2の各ノズル44は、処理方向yに沿って、重なるプリントヘッド2の対応するノズルと一列に並ぶ。図示された例において、プリンタ58の2つのロングエンド64および66の近傍にそれぞれ配置されているプリントヘッド2cおよび2hを除いて、各プリントヘッド2b〜2eは、
図2の点線部48と同様の2つの点線部68および70を有する。
【0024】
各点線部68および70は、処理方向yに並んで重なっているプリントヘッドのノズル44を有する。点線部68および70の一方は、それぞれが、1つの重なっているプリントヘッドの対応するノズルと一列に並ぶ態様で、例えば0、1、2および全体のおよそ半数までの数のノズル44を含むことが可能であり、また同じプリントヘッドの点線部68および70のもう一方は、別の重なっているプリントヘッドの対応するノズルと一列に並んだ残りのノズル44を含むことが可能である。
【0025】
プリントヘッド2cおよび2hは、それぞれノズル44が処理方向yに一列に並ぶ対応するノズルを有さない、ダングリングゾーン72を含む。ダングリングゾーン72の各ノズル44の総数は、各点線部70の一列に並ぶノズルの総数により決定される。ある実施形態において、点線部70が含む一列に並ぶノズル44がゼロの場合、列54のプリントヘッドはそれぞれ、列56の対応するプリントヘッドに完全に重なり、ダングリングゾーン72は存在しない。
【0026】
ある実施形態において、プリンタ58が被印刷物60にイメージ44をプリントするためにカバーする必要がある被印刷物60の幅W3に応じて、6つのプリントヘッド2a〜2fより多いあるいは少ないプリントヘッドが上記の方法で使用され得る。プリンタ58は、ノズル44がそれぞれ、単一の所望される特性でのみインク滴を噴射できる場合、イメージ62の各ピクセル、例えばピクセル64,66,68あるいは70は、処理方向yに沿って並ぶ二列のノズル44の一方のみから噴射されるインクでプリントされるよう設定される。各ノズル44が2以上の特性でインク滴を噴射できる場合、イメージ62の各ピクセルは、処理方向yに沿って並ぶ二列のノズル44が協働し、双方から噴射されるインクによりプリントされる。プリンタ58のプリントヘッドの広範囲におよぶ重複は、プリンタの多数のノズル44が処理方向yに沿って一列に並ぶ、対応するノズルを有することにより、一方のプリントヘッドのノズルの誤作動により起こり得るイメージの低品質、例えばゆがんだり薄くなったりすることをさらに減少させ、また異なるプリントヘッドにプリントされたイメージ62の部分的な品質の差異を目立たなくする。
【0027】
他の実施形態も、以下の特許請求の範囲に含まれる。
【0028】
例えば、プリンタ45および48はそれぞれ、処理方向yに沿って重ねたプリントヘッドの列47および49、並びにプリントヘッドの列54および56等の、一組のプリントヘッドの列をさらに含むことができる。列の各組は、他の組と異なる色をプリントすることができる。プリンタ45および48のそれぞれにおいて、各プリントヘッド2は、長さlを処理方向yと90度異なるようにすることができる。
図1に示された以外のプリントヘッド、例えば、焼結された炭素またはシリコンで作成され、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,265,315号および2008年5月22日に出願された米国特許出願第12/125,648号(代理人整理番号09991−259001)の各明細書に記載されているプリントヘッドを使用することも可能である。
【0029】
プリンタ45または48において噴射がほとんどない場合、あるいは全くない場合、インクがインク流路16を通って、各プリントヘッド2の2つのインク注入口12および14の一方に、ゆっくり流れ込むようにし、インク注入口12および14の他方から流れ出るようにして、インクの再循環が行われる。
【0030】
印刷するための流体としてのインクの言及は説明することのみを目的とし、形容詞的用法の「インク」を用いて上述したジェットアセンブリにおける構成要素の言及も説明のためであることを理解されたい。ジェットアセンブリは、インク以外の様々な印刷するための流体を被印刷物に供給するため、あるいは付着させるために使用できる。これらの流体は、非結像の流体を含むことができる。例えば、模型を作るために、立体模型用のペーストを選択的に付着することができる。生体サンプルを分析アレイに付着することができる。