特許第5661623号(P5661623)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5661623
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】有機エレクトロルミネッセンスデバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/50 20060101AFI20150108BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20150108BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20150108BHJP
   C07F 19/00 20060101ALI20150108BHJP
   C07F 15/00 20060101ALI20150108BHJP
   C07F 11/00 20060101ALI20150108BHJP
   C07F 9/6596 20060101ALI20150108BHJP
   C07F 7/10 20060101ALI20150108BHJP
【FI】
   H05B33/14 B
   H05B33/10
   C09K11/06 660
   C09K11/06 680
   C07F19/00CSP
   C07F15/00 F
   C07F15/00 B
   C07F15/00 E
   C07F11/00 B
   C07F11/00 C
   C07F9/6596
   C07F7/10 Q
【請求項の数】10
【全頁数】68
(21)【出願番号】特願2011-517763(P2011-517763)
(86)(22)【出願日】2009年4月22日
(65)【公表番号】特表2011-528044(P2011-528044A)
(43)【公表日】2011年11月10日
(86)【国際出願番号】EP2009002941
(87)【国際公開番号】WO2010006666
(87)【国際公開日】20100121
【審査請求日】2012年4月19日
(31)【優先権主張番号】102008033563.0
(32)【優先日】2008年7月17日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】597035528
【氏名又は名称】メルク パテント ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100119976
【弁理士】
【氏名又は名称】幸長 保次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100101812
【弁理士】
【氏名又は名称】勝村 紘
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(74)【代理人】
【識別番号】100134290
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 将訓
(74)【代理人】
【識別番号】100127144
【弁理士】
【氏名又は名称】市原 卓三
(74)【代理人】
【識別番号】100141933
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 元
(72)【発明者】
【氏名】ストエッセル、フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ヨーステン、ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】ブロイニング、エスター
(72)【発明者】
【氏名】イエルジン、ハルトムト
(72)【発明者】
【氏名】モンコビウス、ウベ
【審査官】 中山 佳美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−082598(JP,A)
【文献】 特開2004−346312(JP,A)
【文献】 特表2006−522487(JP,A)
【文献】 By Yuguang Ma et al.,High Luminescence Gold(I) and Copper(I) Complexes with a Triplet Excited State for Use in Light-Emitting Diodes,ADVANCED MATERIALS,1999年,Vol.11,pages852-857
【文献】 Steven C.F.Kui et al.,Platinum(II) Complexes with π-Conjugated, Naphthyl-Substituted, Cyclometalated Ligands (RC^N^N):Structures and Photo-and Electroluminescence,Chem.Eur.J.,2007年,Vol.13,pages417-435
【文献】 Bao-Hui Xia et al.,Metal-Metal Interactions in Dinuclear d8 Metal Cyanide Complexes Supported by Phosphine Ligands. Spectroscopic Properties and ab Initio Calculations of [M2(μ-diphosphine)2(CN)4] and trans-[M(phosphine)2(CN)2](M=Pt,Ni),Inorg.Chem.,2002年,Vol.41,pages 3866-3875
【文献】 D.R.Striplin et al.,Excited States of Homo-and Heteronuclear-Bridged Bimetallic Complexes of Rhodium(I),Iridium(I),Platunum(II),and Gold(I). Triplet Manifold Splittings, State Assignments, and Symmetry Correlations,J.Phys.Chem.,1995年,Vol.99,pages7977-7984
【文献】 Hon-Kay Yip et al.,Electronic Structure and Spectroscopy of Luminescent Heterobimetallic Pt(II)-Rh(I),Au(I)-Rh(I) and Ag(I)-Rh(I) Complexes,Inorg.Chem.,1993年,Vol.32,pages3402-3407
【文献】 Chi-Kuen Hui et al.,Novel Luminescent Hexanuclear Platinum(II) Alkynyl Complex: Molecular Lego from a Face-to-Face Dinuclear Platinum(II) Building Block,Inorganic.Chem.,2002年, Vol.41,pages6178-6180
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/50−51/56
H01L 27/32
H05B 33/00−33/28
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(2)の化合物を少なくとも1つ含む有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【化1】
(ここで、使用された記号および添え字には以下が適用される:
2は、Pt,Pd,Ni,Ir,Rh,Mo,W,Re,RuまたはOsからなる群から選択される金属であり、
Yは、出現毎に同一であるか異なり、C(R92,N(R9),またはOであり、
1は、出現毎に同一であるか異なり、Ptまたは金属原子M2の1つに配位結合する単座配位子または二座配位子であり、L1は基R1〜R8の1つにも連結していてもよく、
2は、出現毎に同一であるか異なり、Ptおよび金属原子M2の両方に同時に配位結合する二座配位子であり、
1〜R8は、出現毎に同一であるか異なり、F,Cl,Br,I,N(R102,CN,Si(R103,C(=O)R10,P(R102,1〜40個のC原子を有する直鎖のアルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、または2〜40個のC原子を有する直鎖のアルケニルもしくはアルキニル基、または3〜40個のC原子を有する分岐もしくは環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基であって、そのそれぞれは、1つまたはそれ以上の基R10により置換されていてもよいものであり(ここで、Xに直接結合していない1つまたはそれ以上の非隣接CH2基は、R10C=CR10,C≡C,Si(R10,Ge(R102,Sn(R102,C=O,C=S,C=Se,C=NR10,P(=O)(R10),SO,SO2,NR10,O,SまたはCONR10により置き換えられてもよく、そして1つまたはそれ以上のH原子は、D,F,Cl,Br,I,CNもしくはNO2により置き換えられてもよい)、または1つまたはそれ以上の基R10により置換されていてもよい、5〜60個の芳香環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族の環系、または1つまたはそれ以上の基R10により置換されていてもよい、5〜40個の芳香環原子を有するアラルキルもしくはヘテロアラルキル基、または1つまたはそれ以上の基R10により置換されていてもよい、5〜40個の芳香環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、または1つまたはそれ以上の基R10により置換されていてもよい、10〜40個の芳香環原子を有するジアリールアミノ基、ジへテロアリールアミノ基もしくはアリールへテロアリールアミノ基であり、ここで、R1とR2,R3とR4,R5とR6、および/またはR7とR8は、互いに単環もしくは多環、脂肪族、芳香族および/またはベンゾ縮合した環系を形成していてもよく、さらに、1つまたはそれ以上の基R1〜R8は、1つまたはそれ以上のL1またはL2と連結して多座配位子を形成していてもよく、
9は、出現毎に同一であるか異なり、H,D,F,Cl,Br,I,N(R102,CN,NO2,Si(R103,B(OR102,C(=O)R10,P(=O)(R102,S(=O)R10,S(=O)210,OSO210,1〜40個のC原子を有する直鎖のアルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、または2〜40個のC原子を有する直鎖のアルケニルもしくはアルキニル基、または3〜40個のC原子を有する分岐もしくは環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基であって、そのそれぞれは、1つまたはそれ以上の基R10により置換されていてもよいものであり(ここで、1つまたはそれ以上の非隣接CH2基は、R10C=CR10,C≡C,Si(R102,Ge(R102,Sn(R102,C=O,C=S,C=Se,C=NR10,P(=O)(R10),SO,SO2,NR10,O,SまたはCONR10により置き換えられてもよく、そして1つまたはそれ以上のH原子は、D,F,Cl,Br,I,CNまたはNO2により置き換えられてもよい)、または1つまたはそれ以上の基R10により置換されていてもよい、5〜60個の芳香環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族の環系、または1つまたはそれ以上の基R10により置換されていてもよい、5〜40個の芳香環原子を有するアラルキルもしくはヘテロアラルキル基、または1つまたはそれ以上の基R10により置換されていてもよい、5〜40個の芳香環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、または1つまたはそれ以上の基R10により置換されていてもよい、10〜40個の芳香環原子を有するジアリールアミノ基、ジへテロアリールアミノ基もしくはアリールへテロアリールアミノ基であり、ここで同一のCまたはSi原子に結合した2つの基R9は、互いに単環もしくは多環、脂肪族、芳香族および/またはベンゾ縮合した環系を形成していてもよく、
10は、出現毎に同一であるか異なり、H,D,F,Cl,Br,I,N(R112,CN,NO2,Si(R113,B(OR112,C(=O)R11,P(=O)(R112,S(=O)R11,S(=O)211,OSO211,1〜20個のC原子を有する直鎖のアルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、または2〜20個のC原子を有する直鎖のアルケニルもしくはアルキニル基、または3〜20個のC原子を有する分岐もしくは環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基であって、そのそれぞれは、1つまたはそれ以上の基R11により置換されてもよいものであり(ここで、1つまたはそれ以上の非隣接CH2基は、R11C=CR11,C≡C,Si(R112,Ge(R112,Sn(R112,C=O,C=S,C=Se,C=NR11,P(=O)(R11),SO,SO2,NR11,O,SまたはCONR11により置き換えられてもよく、そして1つまたはそれ以上のH原子は、D,F,Cl,Br,I,CNまたはNO2により置き換えられてもよい)、または1つまたはそれ以上の基R11により置換されていてもよい、5〜60個の芳香環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族の環系、または1つまたはそれ以上の基R11により置換されていてもよい、5〜40個の芳香環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、または1つまたはそれ以上の基R11により置換されていてもよい、10〜40個の芳香環原子を有するジアリールアミノ基、ジへテロアリールアミノ基もしくはアリールへテロアリールアミノ基であり、2つまたはそれ以上の隣接基R11は、互いに単環もしくは多環、脂肪族もしくは芳香族の環系を形成していてもよく、
11は、出現毎に同一であるか異なり、H,D,F、または1〜20個のC原子を有する脂肪族、芳香族および/またはヘテロ芳香族の炭化水素基であって、1つまたはそれ以上のH原子は、Fにより置き換えられてもよいものであり、ここで2つまたはそれ以上の置換基R11もまた、互いに単環もしくは多環、脂肪族もしくは芳香族の環系を形成していてもよく、
m,nは、出現毎に同一であるか異なり、0,1,2または3であり、
pは、1,2または3であり、
ただし、Ptおよび金属原子M2のそれぞれにおける配位数が4または5となるように、添え字m,nおよびpが選択される。)
【請求項2】
前記添え字m,nおよびpに以下が適用されることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
p=1,n=0 およびm=2;または
p=1,n=1 ここでL1=単座配位子、およびm=1;または
p=1,n=2 ここでL1=単座配位子、およびm=0;または
p=1,n=1 ここでL1=二座配位子、およびm=0;または
p=2,n=1 ここでL1=単座配位子、およびm=0;または
p=2,n=0 およびm=1;または
p=3,n=0 およびm=0;または
p=1,n=1 ここでL1=単座配位子、およびm=2;または
p=1,n=2 ここでL1=単座配位子、およびm=1;または
p=1,n=1 ここでL1=二座配位子、およびm=1;または
p=1,n=3 ここでL1=単座配位子、およびm=0;または
p=1,n=2 ここでL1=単座配位子+二座配位子、およびm=0;または
p=2,n=1 ここでL1=単座配位子、およびm=1;または
p=2,n=2 ここでL1=単座配位子、およびm=0;または
p=2,n=0およびm=2.
【請求項3】
前記金属M2は、以下の群から選択されることを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
Pt(II),Pd(II),Ni(II),Ir(I),Rh(I),Mo(0),W(0),Re(I),Ru(II),およびOs(II)
【請求項4】
前記基R1〜R8は、出現毎に同一であるか異なり、F,Si(R93,1〜10個のC原子を有する直鎖のアルキルもしくはアルコキシ基、または3〜10個のC原子を有する分岐もしくは環状のアルキルもしくはアルコキシ基であって、そのそれぞれは、1つまたはそれ以上の基R10により置換されていてもよいものであり(ここで、Xに直接結合しない1つまたはそれ以上の非隣接CH2基は、C=O,O,SまたはCONR10により置き換えられていてもよく、そして1つまたはそれ以上のH原子は、DまたはFにより置き換えられてもよい)、または2〜10個のC原子を有するアルケニル基、または1つまたはそれ以上の基R10により置換されていてもよい、5〜20個の芳香環原子を有するアラルキルもしくはヘテロアラルキル基、または1つまたはそれ以上の基R10により置換されていてもよい、5〜20個の芳香環原子を有するアリールオキシまたはヘテロアリールオキシ基からなる群から選択され、ここでまた、R1とR2、R3とR4、R5とR6、および/またはR7とR8は、互いに単環もしくは多環の環系を形成していてもよく、さらに、配位子L1は基R1〜R8の1つに結合してもよいことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項5】
式(3)の化合物を少なくとも1つ含む請求項1〜4のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【化2】
ここで、M2,L1,L2,R1〜R9,m,nおよびpは、請求項1で言及された意味を有する。
【請求項6】
前記配位子L1は、同一であるか異なり、出現毎に、一酸化炭素、一酸化窒素、イソニトリル、アミン、ホスフィン、ホスファイト、アルシン、スチビン、含窒素ヘテロ環、エーテル、脂肪族もしくは芳香族スルファイ類、脂肪族もしくは芳香族セレナイド、水素化物、重水素化物,F,Cl,BrおよびI、アジド、アルキルアセチリド、アリールもしくはヘテロアリールアセチリド、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ハイドロオキサイド、シアナイド、シアネート、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、脂肪族もしくは芳香族アルコラート、脂肪族もしくは芳香族チオアルコラート、アミド、カルボキシレート、アニオン、含窒素ヘテロ環、脂肪族もしくは芳香族ホスファイドPR2-、脂肪族もしくは芳香族セレナイドSeR-,O2-,S2-、ニトレン(これはR−N=Mの状態の配位に帰着し、ここでRは一般的に置換基N3-を表わしている)、ジアミン、イミン、2つの窒素原子を含有するヘテロ環、ジホスフィン、1,3−ジケトンから誘導される1,3−ジケトネート、3−ケトエステルから誘導される3−ケトネート、アミノカルボン酸から誘導されるカルボキシレート、サリシルイミンから誘導されるサリシルイミネート、ジアルコールから誘導されるジアルコラート、ジチオールから誘導されるジチオラート、および二座モノアニオン性配位子(これは、金属とともに、少なくとも1つの金属−炭素結合を有するシクロ金属化した五または六員環を形成する)から選択され、これら配位子L1は、基R1〜R8の1つとも連結していてもよいことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項7】
m≧1の場合について、前記配位子L2は、同一でも異なっていてもよく出現毎に、式(34)の配位子であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【化3】
ここで、R9は請求項1で言及された意味を有する。
【請求項8】
前記式(2)の化合物は、発光層におけるエミッターとして用いられ、それは単一の層としてまたはマトリックス材料との組み合わせのいずれかともできる請求項1〜7のいずかに記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項9】
前記式(2)の化合物のためのマトリックス材料は、ケトン、ホスフィンオキサイド、スルフォオキサイド、スルフォン、トリアリールアミン、カルバゾール誘導体、インドールカルバソール誘導体、アザカルバゾール類、バイポーラマトリックス材料、シラン、アザボロール、ボロン酸エステル、トリアジン誘導体または亜鉛錯体からなる群から選択されることを特徴とする請求項8に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項10】
1つまたはそれ以上の層は、昇華法により塗布されること、または1つまたはそれ以上の層はOVPD(有機気相堆積)法によりもしくはキャリアーガス昇華の補助をもって塗布されること、または1つまたはそれ以上の層は所望の溶液からまたは任意の所望の印刷法により作製されることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は、発光金属錯体を含む有機エレクトロルミネッセンスデバイス、および発光金属錯体に関する。
【0002】
機能性材料として有機半導体が用いられた有機エレクトロルミネッセンスデバイス(OLED)の構造は、例えば、US4539507,US5151629,EP0676461およびWO98/27136に記載されている。ここで用いられる材料は、徐々に有機金属錯体となり、これは、蛍光の代わりに燐光を発する(M.A.Baldo et al.,Appl.Phys.Lett.1999,75,4-6)。量子力学的な理由から、有機金属化合物を燐光エミッターとして用いることで、4倍までのエネルギーおよびパワー効率が可能である。従来技術によれば、燐光OLEDに用いられる三重項エミッターは、通常、単環のイリジウムまたは白金錯体である。耐久性の有機エレクトロルミネッセンスデバイス、例えばテレビまたはコンピューターモニターに用いるのを可能とするために、これらの化合物における改善のための必要性が、特に寿命、効率、動作電圧および錯体の安定性に関して継続している。
【0003】
それゆえ、本発明は、金属錯体を含む新規な有機エレクトロルミネッセンスデバイスを提供するという目的を有する。ここで、金属錯体は、特に発光層においてエミッターとして用いられる。特に、緑および青の燐光金属錯体における改善の必要性が、今なお存在している。
【0004】
驚くべきことに、以下に詳細に説明する二量体金属錯体を含むある種の有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、この目的を達成することが見出された。これらの金属錯体は、発光層におけるエミッターとして使用するために非常に安定であり、特に寿命および効率に関して有機エレクトロルミネッセンスデバイスに改善をもたらす。これは、特に緑色および青色の燐光エレクトロルミネッセンスデバイスに適用される。それゆえ本発明は、これらの錯体を含む有機エレクトロルミネッセンスデバイスに関する。さらに本発明は、有機エレクトロルミネッセンスデバイスに使用され得る金属錯体に関する。
【0005】
従来技術は、二量体金属錯体を開示している。Che et al.(Inorg. Chem.2002,41,3866−3875)は、金属原子はP−C−P配位子により橋掛けされた二環の白金およびニッケル錯体を開示している。しかしながら、このタイプの金属錯体が有機エレクトロルミネッセンスデバイスにおける使用に適切であることは、何も示唆がない。
【0006】
さらに、このタイプの錯体は、これらの錯体の一般的な物理特性を研究したD.R.Striplin et al.(J.Phys.Chem.1995,99,7977−7984)により述べられている。しかしながら、このタイプの金属錯体が有機エレクトロルミネッセンスデバイスにおける使用に適切であることは、何も示唆がない。
【0007】
本発明は、下記式(1)の化合物を少なくとも1つ含む有機エレクトロルミネッセンスデバイスに関する。
【化1】
【0008】
(ここで、使用された記号および添え字には以下が適用される:
1,M2は、出現毎に同一であるか異なり、Pt,Pd,Ni,Ir,Rh,Mo,W,Re,RuまたはOsからなる群から選択される金属であり、
Xは、出現毎に同一であるか異なり、P,As,SbまたはBiであり、
Yは、出現毎に同一であるか異なり、C(R92,Si(R92,B(R9),N(R9),P(R9),O,S,Se,C(=O),C(=S),C(=NR9)またはC(=C(R92)であり、
1は、出現毎に同一であるか異なり、金属原子M1またはM2の1つに配位結合する単座配位子または二座配位子であり、L1は基R1〜R8の1つにも連結していてもよく、
2は、出現毎に同一であるか異なり、金属原子M1およびM2の両方に同時に配位結合する二座配位子であり、
1〜R8は、出現毎に同一であるか異なり、F,Cl,Br,I,N(R102,CN,Si(R103,C(=O)R10,P(R102,1〜40個のC原子を有する直鎖のアルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、または2〜40個のC原子を有する直鎖のアルケニルもしくはアルキニル基、または3〜40個のC原子を有する分岐もしくは環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基であって、そのそれぞれは、1つまたはそれ以上の基R10により置換されていてもよいものであり(ここで、Xに直接結合していない1つまたはそれ以上の非隣接CH2基は、R10C=CR10,C≡C,Si(R10),Ge(R102,Sn(R102,C=O,C=S,C=Se,C=NR10,P(=O)(R10),SO,SO2,NR10,O,SまたはCONR10により置き換えられてもよく、そして1つまたはそれ以上のH原子は、D,F,Cl,Br,I,CNもしくはNO2により置き換えられてもよい)、または1つまたはそれ以上の基R10により置換されていてもよい、5〜60個の芳香環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族の環系、または1つまたはそれ以上の基R10により置換されていてもよい、5〜40個の芳香環原子を有するアラルキルもしくはヘテロアラルキル基、または1つまたはそれ以上の基R10により置換されていてもよい、5〜40個の芳香環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、または1つまたはそれ以上の基R10により置換されていてもよい、10〜40個の芳香環原子を有するジアリールアミノ基、ジへテロアリールアミノ基もしくはアリールへテロアリールアミノ基であり、ここで、R1とR2,R3とR4,R5とR6、および/またはR7とR8は、互いに単環もしくは多環、脂肪族、芳香族および/またはベンゾ縮合した環系を形成していてもよく、さらに、1つまたはそれ以上の基R1〜R8は、1つまたはそれ以上のL1またはL2と連結して多座配位子を形成していてもよく、
9は、出現毎に同一であるか異なり、H,D,F,Cl,Br,I,N(R102,CN,NO2,Si(R103,B(OR102,C(=O)R10,P(=O)(R102,S(=O)R10,S(=O)210,OSO210,1〜40個のC原子を有する直鎖のアルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、または2〜40個のC原子を有する直鎖のアルケニルもしくはアルキニル基、または3〜40個のC原子を有する分岐もしくは環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基であって、そのそれぞれは、1つまたはそれ以上の基R10により置換されていてもよいものであり(ここで、1つまたはそれ以上の非隣接CH2基は、R10C=CR10,C≡C,Si(R102,Ge(R102,Sn(R102,C=O,C=S,C=Se,C=NR10,P(=O)(R10),SO,SO2,NR10,O,SまたはCONR10により置き換えられてもよく、そして1つまたはそれ以上のH原子は。D,F,Cl,Br,I,CNまたはNO2により置き換えられてもよい)、または1つまたはそれ以上の基R10により置換されていてもよい、5〜60個の芳香環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族の環系、または1つまたはそれ以上の基R10により置換されていてもよい、5〜40個の芳香環原子を有するアラルキルもしくはヘテロアラルキル基、または1つまたはそれ以上の基R10により置換されていてもよい、5〜40個の芳香環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、または1つまたはそれ以上の基R10により置換されていてもよい、10〜40個の芳香環原子を有するジアリールアミノ基、ジへテロアリールアミノ基もしくはアリールへテロアリールアミノ基であり、ここで同一のCまたはSi原子に結合した2つの基R9は、互いに単環もしくは多環、脂肪族、芳香族および/またはベンゾ縮合した環系を形成していてもよく、
10は、出現毎に同一であるか異なり、H,D,F,Cl,Br,I,N(R112,CN,NO2,Si(R113,B(OR112,C(=O)R11,P(=O)(R112,S(=O)R11,S(=O)211,OSO211,1〜20個のC原子を有する直鎖のアルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、または2〜20個のC原子を有する直鎖のアルケニルもしくはアルキニル基、または3〜20個のC原子を有する分岐もしくは環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基であって、そのそれぞれは、1つまたはそれ以上の基R11により置換されてもよいものであり(ここで、1つまたはそれ以上の非隣接CH2基は、R11C=CR11,C≡C,Si(R112,Ge(R112,Sn(R112,C=O,C=S,C=Se,C=NR11,P(=O)(R11),SO,SO2,NR11,O,SまたはCONR11により置き換えられてもよく、そして1つまたはそれ以上のH原子は、D,F,Cl,Br,I,CNまたはNO2により置き換えられてもよい)、または1つまたはそれ以上の基R11により置換されていてもよい、5〜60個の芳香環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族の環系、または1つまたはそれ以上の基R11により置換されていてもよい、5〜40個の芳香環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、または1つまたはそれ以上の基R11により置換されていてもよい、10〜40個の芳香環原子を有するジアリールアミノ基、ジへテロアリールアミノ基もしくはアリールへテロアリールアミノ基であり、2つまたはそれ以上の隣接基R11は、互いに単環もしくは多環、脂肪族もしくは芳香族の環系を形成していてもよく、
11は、出現毎に同一であるか異なり、H,D,F、または1〜20個のC原子を有する脂肪族、芳香族および/またはヘテロ芳香族の炭化水素基であって、1つまたはそれ以上のH原子は、Fにより置き換えられてもよいものであり、ここで2つまたはそれ以上の置換基R11もまた、互いに単環もしくは多環、脂肪族もしくは芳香族の環系を形成していてもよく、
m,nは、出現毎に同一であるか異なり、0,1,2または3であり、
pは、0,1,2または3であり、
ただし、金属原子M1およびM2のそれぞれにおける配位数が4または5となるように、添え字m,nおよびpが選択される。)
有機金属化学の当業者は、どの金属が通常、いくつの配位数を有するかを知っている。配位数は、金属へ配位される原子の数を意味するものと解される。これらは、一方では配位原子Xであり、他方では配位子L1およびL2の配位原子である。Pt(II),Pd(II),Ni(II),Ir(I)およびRh(I)の周りの通常の配位数は4であるが、5もとり得る。さらに、Mo(0),W(0),Re(I),Ru(II)およびOs(II)の周りの通常の配位数は5である。本発明の好ましい態様においては、それゆえ、Pt,Pd,Ni,IrおよびRhの周りの配位数が4であり、Mo,W,Re、RuおよびOの周りの配位数が5となるように、m,nおよびpが選択される。
【0009】
配位子L2は、1つの原子によって金属原子M1に、そして1つの原子によって金属原子M2に常に配位結合し、ここで配位子L2の配位原子は、M1およびM2に同時に配位する同じ原子、あるいは異なる原子とすることができる。配位子L1が単座配位子の場合、それは、1つの原子によって金属M1またはM2に配位結合する。配位子L1が二座配位子の場合には、それは2つの原子によって金属M1またはM2の1つに配位結合する。
【0010】
配位数4を達成するための配位子L1およびL2の適切な組み合わせは、例えば以下のとおりである:
p=0,n=0およびm=3; または
p=0,n=1 ここでL1=単座配位子、およびm=2;または
p=0,n=2 ここでL1=単座配位子、およびm=1;または
p=0,n=1 ここでL1=二座配位子、およびm=1;または
p=0,n=3 ここでL1=単座配位子、およびm=0;または
p=0,n=2 ここでL1=単座配位子+二座配位子、およびm=0;または
p=1,n=0 およびm=2;または
p=1,n=1 ここでL1=単座配位子、およびm=1;または
p=1,n=2 ここでL1=単座配位子、およびm=0;または
p=1,n=1 ここでL1=二座配位子、およびm=0;または
p=2,n=1 ここでL1=単座配位子、およびm=0;または
p=2,n=0 およびm=1;または
p=3,n=0 およびm=0
配位数5を達成するための配位子L1およびL2の適切な組み合わせは、例えば以下のとおりである:
p=0,n=1 ここでL1=単座配位子、およびm=3;または
p=0,n=2 ここでL1=単座配位子、およびm=2;または
p=0,n=1 ここでL1=二座配位子、およびm=3;または
p=0,n=3 ここでL1=単座配位子、およびm=3;または
p=0,n=2 ここでL1=単座配位子+二座配位子、およびm=2;または
p=0,n=4 ここでL1=二座配位子、およびm=0;または
p=0,n=2 ここでL1=二座配位子、およびm=0;または
p=1,n=1 ここでL1=単座配位子、およびm=2;または
p=1,n=2 ここでL1=単座配位子、およびm=1;または
p=1,n=1 ここでL1=二座配位子、およびm=1;または
p=1,n=3 ここでL1=単座配位子、およびm=0;または
p=1,n=2 ここでL1=単座配位子+二座配位子、およびm=0;または
p=2,n=1 ここでL1=単座配位子、およびm=1;または
p=2,n=2 ここでL1=単座配位子、およびm=0;または
p=2,n=0およびm=2.
添え字p=1のとき、錯体中の配位子R2X−Y−XR2は、シス位またはトランス位に配置され、4つのさらなる単座配位子L1を含む錯体について以下に模式的に示されるように、これにおいては、配位子R2X−Y−XR2はそれぞれのケースにおいてX∩Xで表わされる。
【化2】
【0011】
複数の配位子L1または少なくとも1つの配位子L1が二座配位子の場合、配位子R2X−Y−XR2はシス位に配置される必要がある。複数の配位子L1が単座配位子の場合、錯体は、配位子がトランス位のものが好ましい。
【0012】
この発明の目的のために、有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、アノード、カソード、および少なくとも1つの発光層を含むエレクトロルミネッセンスデバイスを意味するものと解され、これにおいては、アノードとカソードとの間に配置される少なくとも1つの層は、少なくとも一種の有機または有機金属化合物、または少なくとも一種の金属配位化合物を含む。こうして本発明にかかる有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、アノード、カソードおよび少なくとも1つの発光層を有し、少なくとも1つの層は、上述の式(1)の化合物を少なくとも1つ含む。
【0013】
以下の定義は、本発明においてさらに適用される。
【0014】
本発明の目的のために、アリール基は6〜40個のC原子を含み、本発明の目的のために、ヘテロアリール基は2〜39個のC原子および少なくとも1つのヘテロ原子を含み、ただし、C原子とヘテロ原子との合計は少なくとも5で最大で40である。ヘテロ原子は、好ましくはN,Oおよび/またはSから選択される。アリール基またはヘテロアリール基は、単純な芳香環、例えばベンゼン、または単純なヘテロ芳香環、例えば、ピリジン、ピリミジン、チオフェンなど、または縮合したアリールもしくはヘテロアリール基、例えばナフタレン、アントラセン、フェナントレン、キノリン、イソキノリンなど意味するものと解される。本発明の目的のために、環状カルベンは、中性のC原子を介して金属に結合した環状基である。環状基は、置換または非置換とすることができる。アルジュンゴカルベン、すなわち、2つの窒素原子がカルベンC原子に結合したカルベンが優先される。五員アルジュンゴカルベン環または他の非置換五員カルベン環は、本発明の目的のためのアリール基と同様とみなされる。本発明の目的のために、アラルキル基は、アルキル基を意味するものと解され、特に後述するアルキル基であり、それはアリールまたはヘテロアリール基、特に後述するアリールまたはヘテロアリール基の1つにより置換される。
【0015】
この発明の目的のために、芳香環系は、環系の中に8〜60個のC原子を含む。この目的のために、ヘテロ芳香族の環系は、2〜59個のC原子および少なくとも1つのヘテロ原子を環系の中に含み、ただし、C原子とヘテロ原子との合計は、少なくとも5であり最大で60である。ヘテロ原子は、好ましくはN,Oおよび/またはSから選択される。本発明の目的のために、芳香族またはヘテロ芳香族の環系は、アリールまたはヘテロアリール基のみを含むことは必要ではなく、その代わり、さらに、複数のアリールまたはヘテロアリール基が、例えばsp3-混成C,NまたはO原子のような非芳香族単位によってさえぎられてもよい系を意味するものと解されることが意図される。こうして、例えば9,9’−スピロバイフルオレン、9,9−ジアリールフルオレン,トリアリールアミン,ジアリールエーテル、スチルベンなどのような系は、本発明の目的のための芳香族の環系を意味するものと解され、これにおいては、2つまたはそれ以上のアリール基は、例えば直鎖もしくは環状のアリール基により、またはシリル基よってさえぎられる。
【0016】
本発明の目的のために、個々のH原子またはCH2基は上述の基により置換されていてもよい、C1〜C40アルキル基またはC1〜C20アルキル基は、例えば、基メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、2−メチルブチル、n−ペンチル、s−ペンチル、t−ペンチル、2−ペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、s−ヘキシル、t−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、シクロヘキシル、2−メチルペンチル、n−ヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、4−ヘプチル、シクロヘプチル、1−メチルシクロヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、シクロオクチル、1−ビシクロ[2.2.2]オクチル、2−ビシクロ−[2.2.2]オクチル、2−(2,6−ジメチル)オクチル、3−(3,7−ジメチル)オクチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロメチル、または2,2,2−トリフロオロエチルである。アルケニル基は、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、またはシクロオクテニルを意味するものと解される。アルキニル基は、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、またはオクチニルを意味するものと解される。C1〜C40のアルコキシ基は、例えば、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、または2−メチルブトキシを意味するものと解される。5〜60個の芳香環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香族の環系は、各場合において上述の基Rにより置換されてもよく、任意の所望の位置で芳香族基またはヘテロ芳香族基に連結してもよいものを意味するものと解され、それは例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ベンズアントラセン、ピレン、クリセン、ペリレン、フルオロアントラセン、ナフタセン、ペンタセン、ベンゾピレン、ビフェニル、ビフェニレン、ターフェニル、ターフェニレン、フルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェナントレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、シス−もしくはトランス−インデノフルオレン、トラキセン、イソトラキセン、スピロトラキセン、スピロイソトラキセン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ−5,6−キノリン、ベンゾ−6,7−キノリン、ベンゾ−7,8−キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリドイミダゾール(pyridimidazole)、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2−チアゾール、1,3−チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、1,5−ジアザアントラセン、2,7−ジアザピレン、2,3−ジアザピレン、1,6−ジアザピレン、1,8−ジアザピレン、4,5−ジアザピレン、4,5,9,10−テトラアザペリレン、ピラジン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フロルビン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1,3,5−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,2,3−トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、プリン、プテリンジン、インドリジン、およびベンゾチアジアゾールから誘導される基である。
【0017】
有機エレクトロルミネッセンスデバイスにおいて好ましく使用される式(1)の化合物の実施形態を、以下に示す。
【0018】
式(1)の化合物は、帯電していても帯電していなくてもよい。本発明の好ましい実施形態において、式(1)の化合物は帯電していない、すなわち、電気的に中性である。金属原子M1およびM2の電荷を相殺するように配位子L1およびL2を選択することによって、これは簡単に達成される。
【0019】
式(1)の化合物が帯電している場合には、1またはそれ以上のカウンターイオンをさらに含む。式(1)の化合物が負に帯電している場合、正に帯電したカウンターイオンの例は、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、またはテトラアルキルホスホニウムイオンであり、ここでアルキル基は、各場合において1〜4個のC原子を好ましく含む。式(1)の化合物が正に帯電している場合、負に帯電したカウンターイオンの例は、F,Cl,Br,I,シアナイド、ヘキサフルオロホスフェート、テトラフルオロボレート、テトラフェニルボレート、サルフェート、ホスフェートまたはオキサレートである。
【0020】
式(1)の化合物における金属M1およびM2は、出現毎に同一であるか異なり、Pt(II),Pd(II),Ni(II),Ir(I),Rh(I),Mo(0),W(0),Re(I),Ru(II)またはOs(II)からなる群から選択され、各場合における括弧内の数字は、金属の酸化状態に関連する。
【0021】
金属M1とM2との適切な組み合わせは、一例として、Pt(II)+Pt(II),Pt(II)+Pd(II),Pt(II)+Ni(II),Pt(II)+Ir(I),Pt(II)+Rh(I),Pt(II)+Mo(0),Pt(II)+W(0),Pt(II)+Re(I),Pt(II)+Ru(II),Pt(II)+Os(II),Pd(II)+Pd(II),Pd(II)+Ni(II),Pd(II)+Ir(I),Pd(II)+Rh(I),Pd(II)+Mo(0),Pd(II)+W(0),Pd(II)+Re(I),Pd(II)+Ru(II),Pd(II)+Os(II),Ni(II)+Ni(II),Ni(II)+Ir(I),Ni(II)+Rh(I),Ni(II)+Mo(0),Ni(II)+W(0),Ni(II)+Re(I),Ni(II)+Ru(II),Ni(II)+Os(II),Ir(I)+Ir(I),Ir(I)+Rh(I),Ir(I)+Mo(0),Ir(I)+W(0),Ir(I)+Re(I),Ir(I)+Ru(II),Ir(I)+Os(II),Rh(I)+Rh(I),Rh(I)+Mo(0),Rh(I)+W(0),Rh(I)+Re(I),Rh(I)+Ru(II),Rh(I)+Os(II),Mo(0)+Mo(0),Mo(0)+W(0),Mo(0)+Re(I),Mo(0)+Ru(II),Mo(0)+Os(II),W(0)+W(0),W(0)+Re(I),W(0)+Ru(II),W(0)+Os(II),Re(I)+Re(I),Re(I)+Ru(II),Re(I)+Os(II),Ru(II)+Ru(II),Ru(II)+Os(II)およびOs(II)+Os(II)である。
【0022】
本発明の特に好ましい実施形態において、M1=Pt(II)、かつM2は、Pt(II),Pd(II),Ni(II),Ir(I),Rh(I),Mo(0),W(0),Re(I),Ru(II)またはOs(II)から選択される。M1およびM2は、Pt(II)が殊さら特に好ましい。
【0023】
本発明のさらに他の実施形態において、配位原子Xは、リンまたはヒ素に等しく、特に好ましくはリンに等しい。
【0024】
本発明の好ましい実施形態は、式(2)の化合物を少なくとも1つ含む有機エレクトロルミネッセンスデバイスである:
【化3】
【0025】
ここで、M2,L1,L2,Y,R1〜R8,m,nおよびpは、前述の意味を有する。ここでpは、好ましくは1を表わす。
【0026】
本発明の好ましい実施形態において、基R1〜R8は、芳香族またはヘテロ芳香族の環系を表わすことがない。
【0027】
式(1)または式(2)の好ましい実施形態において、基R1〜R8は、出現毎に同一であるか異なり、F,Si(R93,1〜10個のC原子を有する直鎖のアルキルもしくはアルコキシ基、または3〜10個のC原子を有する分岐もしくは環状のアルキルもしくはアルコキシ基であって、そのそれぞれは、1つまたはそれ以上の基R10により置換されていてもよいものであり(ここで、Xに直接結合していない1つまたはそれ以上の非隣接CH2基は、C=O,O,SまたはCONR10により置き換えられてもよく、そして1つまたはそれ以上のH原子は、DまたはFにより置き換えられてもよい)、または2〜10個のC原子を有するアルケニル基、または1つまたはそれ以上の基R10により置換されていてもよい、5〜20個の芳香環原子を有するアラルキルもしくはヘテロアラルキル基、または1つまたはそれ以上の基R10により置換されていてもよい、5〜20個の芳香環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基からなる群から選択され、ここで、R1とR2、R3とR4、R5とR6、および/またはR7とR8は、互いに単環もしくは多環の環系を形成していてもよい。本発明の特に好ましい実施形態において、基R1〜R8は、出現毎に同一であるか異なり、F、または1〜5個のC原子を有する直鎖アルキル基、または1つまたはそれ以上のH原子がDまたはFにより置き換えられてもよい、3〜6個のC原子を有する分岐もしくは環状のアルキル基、または2〜5個のC原子を有するアルケニル基、または7〜15個のC原子を有するアラルキル基からなる群から選択され、またここで、R1とR2、R3とR4、R5とR6、および/またはR7とR8は、互いに単環もしくは多環の環系を形成していてもよい。特に好ましい基R1〜R8は、F、Si(CH33、メチル、トリフルオロメチル、エチル、ビニル、n−プロピル、アリル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、t−ペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはベンジルであり、そのそれぞれは互いに単環もしく多環の環系を形成していてもよい。
【0028】
本発明のさらに好ましい実施形態においては、配位子L1は基R1〜R8の1つに結合する。適切な配位子L1を以下に示す。優先されるのは、金属が、配位原子X、この基における基R,および配位子L1とともに、四員環、五員環または六員環を、好ましくは五員環または六員環を形成する実施形態である。
【0029】
配位基XR12、XR34、および存在する場合にはXR56およびXR78もまた、各場合において同一の配位基であることがさらに好ましく、すなわち、基R1、R3、R5およびR7は、同一に選択されることが好ましく、基R2、R4、R6およびR8は同一に選択されることが好ましい。言い換えると、これは同一の原子Xに結合する基は異なっていてもよいが、配位子の2つの側のR2Xは各場合において同一であることを意味する。この優位さは、錯体のより合成しやすさに起因する。全ての基R1〜R8が同一に選択されることが特に好ましい。
【0030】
本発明のさらに好ましい実施形態において、式(1)または(2)の化合物における基Yは、出現毎に同一であるか異なり、C(R92,OまたはN(R9)である。Yは、出現毎に同一であるか異なり、C(R92であることが極めて特に好ましい。特に好ましくは、全ての基Yが同じ基C(R92を示す。
【0031】
本発明の好ましい実施形態において、Y=C(R92のためのR9は、出現毎に同一であるか異なり、H,D,F,1〜10個のC原子を有する直鎖のアルキルもしくはアルコキシ基、または3〜10個のC原子を有する分岐もしくは環状のアルキルもしくはアルコキシ基であって、そのそれぞれは、1つまたはそれ以上の基R10により置換されていてもよいものであり(ここで、1つまたはそれ以上の非隣接CH2基は、C=O,O,SまたはCONR10により置き換えられてもよく、そして1つまたはそれ以上のH原子は、DまたはFにより置き換えられてもよい)、または1つまたはそれ以上の基R10により置換されていてもよい、5〜20個の芳香環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族の環系、または1つまたはそれ以上の基R10により置換されていてもよい、5〜20個の芳香環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基からなる群から選択され、同一の原子に結合した2つの基R9は、互いに単環もしくは多環、脂肪族、芳香族および/またはベンゾ縮合した環系を形成していてもよい。本発明の特に好ましい実施形態において、R9は出現毎に同一であるか異なり、H,D,F,1〜5個のC原子を有する直鎖アルキル基、または1つまたはそれ以上のH原子がDまたはFにより置き換えられていてもよい、3〜6個のC原子を有する分岐もしくは環状のアルキル基、または5〜10個の芳香環原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基からなる群から選択され、ここで同一の原子に結合した2つの基R9は、互いに単環もしくは多環の環系を形成していてもよい。ここで起こり得る環系の例は、両方のR9が互いに環系を形成するフェニル基を表わす場合にはフルオレン系の基であり、両方のR9が互いに環系を形成するアルコキシ基を表わす場合には1,3−ジオキソランであり、両方のR9が互い環系を形成するアルキル基を表わす場合にはシクロアルキル基である。
【0032】
Yが橋掛け原子としてのヘテロ原子、例えば、B,SiまたはNを含む場合には、このヘテロ原子に結合するR9は、出現毎に同一であるか異なり、F、1〜10個のC原子を有する直鎖のアルキルもしくはアルコキシ基、または3〜10個のC原子を有する分岐もしくは環状のアルキルもしくはアルコキシ基であって、そのそれぞれは、1つまたはそれ以上の基R10により置換されていてもよいものであり(ここで、1つまたはそれ以上の非隣接CH2基は、C=O,O,SまたはCONR10により置き換えられてもよく、そして1つまたはそれ以上のH原子は、DまたはFにより置き換えられてもよい)、または1つまたはそれ以上の基R10により置換されていてもよい、5〜20個の芳香環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族の環系、または1つまたはそれ以上の基R10により置換されていてもよい、5〜20個の芳香族原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基からなる群から好ましく選択され、ここで同一の原子に結合した2つの基R9は、互いに単環もしくは多環、脂肪族、芳香族および/またはベンゾ縮合した環系を形成していてもよい。本発明の特に好ましい実施形態において、R9は、出現毎に同一であるか異なり、F、1〜5個のC原子を有する直鎖アルキル基、または1つまたはそれ以上のH原子がDまたはFにより置き換えられていてもよい、3〜6個のC原子を有する分岐もしくは環状のアルキル基、または5〜10個の芳香環原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基からなる群から選択され、ここで同一の原子に結合した2つの基R9は、互いに単環もしくは多環の環系を形成していてもよい。
【0033】
式(3)の化合物の少なくとも1つを含む有機エレクトロルミネッセンスデバイスが、特に優先される:
【化4】
【0034】
ここで、M2,L1,L2,R1〜R9,m,nおよびpは、前述の意味を有する。ここで、R1〜R9は、特に前述の好ましい意味を有する。pは好ましくは1である。
【0035】
それゆえ、式(4)の化合物を少なくとも1つ含む有機エレクトロルミネッセンスデバイスが、殊さら特に優先される:
【化5】
【0036】
ここで、L1,L2,R1〜R9,m,nおよびpは、前述の意味を有する。ここでR1〜R9は、特に前述の好ましい意味を有する。pは好ましくは1である。
【0037】
配位子L1およびL2は、好ましくは中性、モノアニオン性、ジアニオン性、またはトリアニオン性配位子であり、特に好ましくは中性またはモノアニオン性配位子であり、あるいは、配位子L2についてはジアニオン性配位子である。配位子L1は、単座または二座、すなわち、M1およびM2に同時に配位結合する2つの配位サイトを有する。配位子L1が二座配位子の場合、それは両方の配位サイトで同じ金属M1またはM2に配位結合する。
【0038】
適切な中性の単座配位子L1は、一酸化炭素、一酸化窒素、イソニトリル、例えば、tert-ブチルイソニトリル、シクロヘキシルイソニトリル、アダマンチルイソニトリル、フェニルイソニトリル、メシチルイソニトリル、2,6−ジメチルフェニルイソニトリル、2,6−ジイソプロピルフェニルイソニトリル、2,6−ジ−tert-ブチルフェニルイソニトリルなど、アミン、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モルフォリンなど、ホスフィン、例えば、トリフルオロホスフィン、トリメチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィンなど、ホスファイト、例えば、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイトなど、アルシン、例えば、トリフルオロアルシン、トリメチルアルシン、トリシクロヘキシルアルシン、トリ−tert−ブチルアルシン、トリフェニルアルシン、トリス(ペンタフルオロフェニル)アルシンなど、スチビン、例えば、トリフルオロスチビン、トリメチルスチビン、トリシクロヘキシルスチビン、トリ−tert−ブチルスチビン、トリフェニルスチビン、トリス(ペンタフルオロフェニル)スチビンなど、含窒素ヘテロ環、例えば、ピリジン、ピリダジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジンなど、エーテル、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテルなど、脂肪族もしくは芳香族サルファイド、例えば、ジメチルサルファイド、ジエチルサルファイドなど、または脂肪族もしくは芳香族セレナイド、例えば、ジメチルセレナイド、ジエチルセレナイドなどから選択される。
【0039】
適切なモノアニオン性単座配位子L1は、水素化物、重水素化物、ハライドF,Cl,BrおよびI,アジド、アルキルアセチリド、例えば、メチル−C≡C-,tert−ブチル−C≡C-など、アリールもしくはヘテロアリールアセチリド、例えばフェニル−C≡C-など、アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチルなど、アリール、例えば、フェニル、ナフチルなど、ヘテロアリール、例えば、ピリジルなど、ハイドロオキサイド、シアナイド、シアネート、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、脂肪族もしくは芳香族アルコラート、例えば、メタノラート、エタノラート、プロパノラート、iso−プロパノラート、tert−ブチラート、フェノラートなど、脂肪族もしくは芳香族チオアルコラート、例えば、メタンチオラート、エタンチオラート、プロパンチオラート、iso−プロパンチオラート、tert−チオブチラート、チオフェノラートなど、アミド、例えば、ジメチルアミド、ジエチルアミド、ジ−iso−プロピルアミド、モルフォライドなど、カルボキシレート、例えば、アセテート、トリフルオロアセテート、プロピオネート、ベンゾエートなど、アニオン、含窒素ヘテロ環、例えば、ピロライド、イミダゾライド、ピラゾライドなど、脂肪族もしくは芳香族ホスファイドPR2-、または脂肪族もしくは芳香族セレナイドSeR-から選択される。これらの基におけるアルキル基は、好ましくはC1〜C20のアルキル基、特に好ましくはC1〜C10のアルキル基であり、殊さら特に好ましくはC1〜C4のアルキル基である。アリール基は、ヘテロアリール基も意味するものと解される。これらの基は上で定義されたものである。
【0040】
適切なジまたはトリアニオン性配位子L1は、O2-,S2-,ニトレン(これはR−N=Mの状態の配位結合をもたらし、ここでRは一般的に置換基すなわちN3-を表わす)である。
【0041】
適切な中性またはモノもしくはジアニオン性二座配位子L1は、ジアミン、例えば、エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、プロピレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロピレンジアミン、シス−もしくはトランス−ジアミノシクロヘキサン、シス−もしくはトランス−N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノシクロヘキサンなど、イミン、例えば、2−[1−(フェニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(2−メチルフェニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(2,6−ジ−iso−プロピルフェニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(メチルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(エチルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(iso−プロピルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(tert−ブチルイミノ)−エチル]ピリジンなど、ジイミン、例えば、1,2−ビス(メチルイミノ)エタン、1,2−ビス(エチルイミノ)エタン、1,2−ビス(iso−プロピルイミノ)エタン、1,2−ビス(tert−ブチルイミノ)エタン、2,3−ビス(メチルイミノ)ブタン、2,3−ビス(エチルイミノ)ブタン、2,3−ビス(iso−プロピルイミノ)ブタン、2,3−ビス(tert−ブチルイミノ)−ブタン、1,2−ビス(フェニルイミノ)エタン、1,2−ビス(2−メチルフェニルイミノ)エタン、1,2−ビス(2,6−ジ−iso−プロピルフェニルイミノ)エタン、1,2−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニルイミノ)エタン、2,3−ビス(フェニルイミノ)ブタン、2,3−ビス(2−メチルフェニルイミノ)ブタン、2,3−ビス(2,6−ジ−iso−プロピルフェニルイミノ)ブタン、2,3−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニルイミノ)ブタンなど、2つの窒素原子を含むヘテロ環、例えば、2,2’−ビピリジン、o−フェナントロリンなど、ジホスフィン、例えば、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、ビス(ジメチルホスフィノ)メタン、ビス(ジメチルホスフィノ)エタン、ビス(ジメチルホスフィノ)プロパン、ビス(ジメチルホスフィノ)ブタン、ビス(ジエチルホスフィノ)メタン、ビス(ジエチルホスフィノ)エタン、ビス(ジエチルホスフィノ)プロパン、ビス(ジエチルホスフィノ)ブタン、ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)メタン、ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)エタン、ビス(tert−ブチルホスフィノ)プロパン、ビス(tert−ブチルホスフィノ)ブタンなど、1,3−ジケトンから誘導される1,3−ジケトネート、例えば、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、1,5−ジフェニルアセチルアセトン、ジベンゾイルメタン、ビス(1,1,1−トリフルオロアセチル)メタンなど、3−ケトエステルから誘導される3−ケトネート、例えば、エチルアセトアセテートなど、アミノカルボン酸から誘導されるカルボキシレート、例えば、ピリジン−2−カルボン酸、キノリン−2−カルボン酸、グリシン、N,N−ジメチルグリシン、アラニン、N,N−ジメチルアミノアラニンなど、サリシルイミンから誘導されるサリシルイミネート、例えば、メチルサリシルイミン、エチルサリシルイミン、フェニルサリシルイミンなど、ジアルコールから誘導されるジアルコラート、例えば、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコールなど、およびジチオールから誘導されるジチオラート、例えば1,2−エチレンジチオール、1,3−プロピレンジチオールなどから選択される。
【0042】
二座モノアニオン性配位子L1はさらに優位であり、それは、少なくとも1つの金属−炭素結合を有するシクロ金属化した五または六員環、特にシクロ金属化した五員環を金属とともに形成する。これらは特に、有機エレクトロルミネッセンスデバイスのための燐光金属錯体の分野において一般に用いられる配位子であり、すなわち、フェニルピリジン、ナフチルピリジン、フェニルキノリン、フェニルイソキノリンなどのタイプの配位子であり、そのそれぞれは、1つまたはそれ以上の基R1により置換されていてもよい。そのような配位子の多様性は、燐光エレクトロルミネッセンスデバイスの分野の当業者には知られており、式(1)の化合物のための配位子L1としてのこのタイプのさらなる配位子を、創作力を要することなく選択することができるであろう。以下の式(5)〜(32)で示されるような2つの基の組み合わせは、この目的のために一般的に特に適切である。中性の窒素原子またはカルベン原子により、および負に帯電した炭素原子または負に帯電した窒素原子により結合した組み合わせのみならず、例えば、2つの中性の窒素原子、または2つの負に帯電した窒素原子、または2つの負に帯電した炭素原子が金属に結合した組み合わせもまた、この目的のために一般的に適切である。配位子L1は、各場合において#で示される位置に互いに結合させることによって、式(5)〜(32)から形成される。基が金属に配位結合する位置は*で示される。さらに、式(5)〜(32)の基もまた、#で示される位置においてXに結合することができる。すなわち、基R1〜R8を示し、またはそれらはこの位置において基R1〜R8の1つに結合する。
【化6-1】
【化6-2】
【0043】
用いられる記号は前述と同様の意味を有し、Xは出現毎に同一であるか異なり、CR9またはNを示す。ただし、それぞれの基における最大3つの記号XはNを表わす。それぞれの基における最大2つの記号XはNであることが好ましく、それぞれの基における最大1つの記号XはNであることが特に好ましく、全ての記号XがCR9であることが極めて特に好ましい。
【0044】
これらの配位子L1は、基R1〜R8の1つにも連結することができる。
【0045】
好ましいL1は、強い配位場を有する配位子であり、特にCN,CO,NO,ホスフィン、例えば、上述したようなホスフィン、アセチリド、およびイソニトリルである。
【0046】
適切な二座配位子L2は、H,O,S,Se,CO,C≡N,NO、アルキル基、特に1〜10個のC原子を有するもの、C(=C(R92),−CR9=CR9−、オルト−フェニレン、ジホスファイド、ジサルファイド、ジホスフィン、ジアミン、ジアミド、カーボネート、チオカーボネート、イソニトリル、アセチリドまたはチオカルボニルからなる群から選択される。ここで適切なジホスフィンおよびジアミンは、L1のための上述した対応する配位子である。
【0047】
適切な配位子L2は、さらに以下の式(33)〜(37)のものである:
【化7】
【0048】
ここで、用いられる記号および添え字は、上述の意味を有する。
【0049】
好ましい配位子L2は、ここで、イソニトリル、アセチリド、ジスルフィドおよびCOである。
【0050】
式(1)の錯体の合成は文献に記載されており、当業者には知られている。したがって、このタイプの錯体は、例えば、B.−H.Xia et al.(Inorg.Chem.2002,41,3866−3875)または以下の例において言及する他の文献と類似的に合成することができる。
【0051】
式(1)〜(4)の錯体は、デンドリマーの核としても作用することができる。さらに、これらの錯体は、ポリマー中に結合することができる。ポリマーへの連結は、錯体上の反応性基、例えばアリル基またはシロキサン基により行なうことができる。
【0052】
式(1)の好ましい錯体の例は、以下に示す化合物1〜127である。これらの錯体は、とりわけ、上述した合成方法を用いて調製することができる。
【化8-1】
【化8-2】
【化8-3】
【化8-4】
【化8-5】
【化8-6】
【化8-7】
【化8-8】
【化8-9】
【化8-10】
【化8-11】
【化8-12】
【化8-13】
【化8-14】
【化8-15】
【0053】
上述した式(1)〜(4)の錯体、および上述した好ましい実施形態は、有機エレクトロルミネッセンスデバイスにおける活性成分として用いられる。活性成分は一般に、アノードとカソードとの間に導入された有機、有機金属、または無機材料であり、例えば、電荷注入、電荷輸送、または電荷障壁材料、発光材料およびマトリックス材料である。特に、本発明にかかる化合物は、以下に詳細に説明するように発光材料として特に優れた特性を示す。本発明の好ましい態様は、それゆえ、発光層中に式(1)〜(4)の化合物を少なくとも1つ含んだ有機エレクトロルミネッセンスデバイスである。
【0054】
有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、カソード、アノード、および少なくとも1つの発光層を含む。これらの層のほかに、さらなる層、例えば、各場合において、1つまたはそれ以上の正孔注入層、正孔輸送層、正孔障壁層、電荷輸送層、電荷注入層、励起子障壁層、電荷発生層、および/または有機もしくは無機p/n接合を含むことができる。例えば、励起子障壁機能を有する中間層も同様に、2つの発光層の間に導入することができる。しかしながら、これらの層のそれぞれが必ずしも存在する必要はないことに留意されるべきである。ここで有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、1つの発光層または複数の発光層を含むことができ、少なくとも1つの発光層は式(1)〜(4)の少なくとも1つの化合物を含む。複数の発光層が存在する場合、それらは全体で複数の発光極大を380nmと750nmとの間に有することが好ましく、全体にわたって白色発光をもたらし、すなわち、蛍光または燐光を発することができる種々の発光化合物が発光層に用いられる。特に三層系がより優先され、ここで3つの層は、青色、緑色、および橙もしくは赤色発光を示す。(基本構造については、例えばWO05/011013参照)。
【0055】
式(1)〜(4)の化合物が発光層における発光化合物として用いられる場合、1つまたはそれ以上のマトリックス材料との組み合わせで用いられることが好ましい。式(1)〜(4)の化合物とマトリックス材料との混合物は、エミッターとマトリックス材料との混合物全体に対し1〜99体積%の間、好ましくは2〜90体積%の間、特に好ましくは3〜40体積%の間、中でも特に5〜15体積%の間の式(1)〜(4)の化合物を含有する。混合物は対応して、エミッターとマトリックス材料との混合物全体に対し99〜1体積%の間、好ましくは98〜10体積%の間、特に好ましくは97〜60体積%の間、中でも特に95〜85体積%の間のマトリックス材料を含有する。
【0056】
式(1)〜(4)の化合物は一般に高いガラス転移温度を有するので、それらはマトリックス材料の使用なしに純粋な層としての使用にもさらに適切である。
【0057】
適切なマトリックス材料は、ケトン、ホスフィンオキサイド、スルフォキサイド、およびスルホン、例えば、WO04/013080,WO04/093207,WO06/005627もしくは未公開出願DE102008033943.1によるもの、トリアリールアミン類、カルバゾール誘導体、例えばCBP(N,N−ビスカルバゾリルビフェニル)またはWO05/039246,US2005/0069729,JP2004/288381,EP1205527もしくはWO08/086851に記載されているカルバゾール誘導体、インドールカルバゾール誘導体、例えばWO07/063754もしくはWO08/056746によるもの、アザカルバゾール、例えばEP1617710,EP1617711,EP1731584,JP2005/347160によるもの、バイポーラマトリックス材料、例えばWO07/137725によるもの、シラン、例えばWO05/111172によるもの、アザボロールもしくはボロン酸エステル、例えばWO06/117052によるもの、トリアジン誘導体、例えば未公開出願DE102008036982.9,WO07/063754またはWO08/056746によるもの、または亜鉛錯体、例えばEP652273によるもの、または未公開出願DE102007053771.0によるものである。
【0058】
複数のマトリックス材料の混合物を式(1)〜(4)の化合物のための混合マトリックスとして用いることもまた、好ましい。特に好ましくは、その場合、マトリックスの一成分は電子伝導特性を有し、すなわち、例えば芳香族ケトンまたはトリアジン誘導体であり、マトリックスの他方の化合物は正孔伝導特性を有し、すなわち、例えばカルバゾール誘導体またはアリールアミンである。
【0059】
本発明の好ましい実施形態において、式(1)〜(4)の化合物は、より長い波長において発光するさらなる燐光化合物のためのコホスト(co-host)として用いられる。より長い波長において発光する燐光化合物は、一般に、従来から知られているような任意の燐光材料とすることができる。したがって、青色領域で発光する式(1)〜(4)の化合物は、緑色燐光化合物のためのコホストとして用いることができ、緑色領域で発光する化合物は、赤色燐光化合物のためのコホストとして用いることができる。本発明の目的のために、全てのエレクトロルミネッセントイリジウムおよびパラジウム錯体は、燐光化合物とみなされる。電子伝導マトリックス材料は、さらなるコホストとして特に好ましい。このタイプのデバイス構造は、例えば、未公開出願DE102008063470.0に一般に開示されている。
【0060】
有機エレクトロルミネッセンスデバイスがさらに優先され、1つまたはそれ以上の層は、昇華プロセスにより塗布されることを特徴とし、これにおいては、材料は10-5mbar未満、好ましくは10-6mbarの初期圧力において真空昇華ユニット内で蒸着される。初期圧力はさらに低くすることもでき、例えば10-7mbar未満である。
【0061】
有機エレクトロルミネッセンスデバイスが同様に優先され、1つまたはそれ以上の層は、OVCD(有機気相堆積)法によって、またはキャリアーガス昇華の補助をもって塗布されることを特徴とし、これにおいては、材料は10-5mbarから1barの間の圧力で塗布される。この方法の特別の場合は、OVJP(有機気相ジェット印刷)法であり、これにおいては、材料はノズルを介して直接塗布され、したがって構造化される(例えば、M.S.アーノルドら、Appl.Phys.Lett.2008,92,053301参照)。
【0062】
有機エレクトロルミネッセンスデバイスがさらに優先され、1つまたはそれ以上の層は溶液から作製されることを特徴とし、例えばスピンコーティングにより、また印刷法、例えばスクリーン印刷、フレキソ印刷またはオフセット印刷のようなものにより作製されるが、特に好ましくはLITI(光誘起サーマルイメージング、熱転写印刷)またはインクジェット印刷により作製される。式(1)〜(4)の化合物は通常の有機溶媒に優れた溶解性を有するので、それらは溶液から処理することが非常に適切である。
【0063】
これらのプロセスは当業者に一般に知られており、式(1)〜(4)の化合物または上述の好ましい実施形態を含む有機エレクトロルミネッセンスデバイスに問題なく適用することができる。
【0064】
上述の好ましい金属錯体は新規であり、それゆえ、同様に本発明の主体要素である。
【0065】
それゆえ、本発明は式(38)の錯体に関する。
【化9】
【0066】
ここで、M2,X,Y,R1〜R8,L1,L2,m,nおよびpは、上で言及された意味を有し、
少なくとも1つの配位子L1がOH、メチルまたはフェニルである化合物は、本発明から除外され、
さらに、以下の化合物は本発明から除外される。
【化10】
【0067】
本発明の好ましい実施形態において、M2はPtを表わす。さらに、エレクトロルミネッセンスデバイスのためのX,Yおよび上述のR1〜R9についての上述の好ましい実施形態は、式(38)の化合物に同様に適用される。上述した好ましい実施形態が全て同時に適用された化合物が、特に優先される。本発明の好ましい実施形態において、pはさらに1,2または3に等しく、特に好ましくは1に等しい。
【0068】
本発明の好ましい実施形態において、ハロゲンを表わす配位子L1は1つもない。本発明のさらに好ましい実施形態において、アリールまたはアルキル基を表わす配位子L1は一つもない。
【0069】
好ましい配位子L1およびL2は、エレクトロルミネッセンスデバイスのためにすでに上で言及した配位子である。
【0070】
またさらに本発明は、式(38)の化合物の合成のためのプロセスにかかり、これは、白金塩、好ましくはK2(PtCl4)または類似した白金塩をジホスフィンと反応させて錯体(ジホスフィン)PtCl2を得、次いで、さらなる配位子L1またはL2と反応させて、上述したように式(38)の化合物を得る。
【0071】
式(38)の化合物の例は、上に述べた実例の構造である。
【0072】
本発明にかかる有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、以下の驚くべき利点によって従来技術から区別される:
1.式(1)〜(4)および(38)の化合物は、高い熱安定性を有し、気相からの処理のために非常に適切であるのみならず、広い範囲の有機溶媒中で高い溶解性を有し、それゆえ、溶液からの処理のためにも非常に適切である。
【0073】
2.式(1)〜(4)および(38)の化合物を発光材料として含む有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、優れた寿命を有する。
【0074】
3.青色燐光発光錯体は利用しやすく、それは、深青色発光を有し、有機エレクトロルミネッセンスデバイスでの使用において長寿命である。これは、従来技術に対して優位である。なぜなら、現在まで、青色燐光発光デバイスにおいて、色座標に関して、特に寿命に関して改善の必要性が依然として存在するからである。特に、式(1)〜(4)および(38)の化合物の急峻な発光バンドは、全くまたは事実上、振動構造を有しないので、非常に優れたおよび純度の高い色座標をもたらす。
【0075】
4.本発明にかかる有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、高い効率および急勾配の電流−電圧曲線を示す。
【0076】
上述したこれらの利点は、他の電気的特性における減損によって達成することはできない。
【0077】
本発明を以下の例により、さらに詳細に説明するが、本発明を限定するものではない。当業者は、創作力を要することなく、開示された範囲を通じて本発明を実施し、かくして本発明によるさらなる有機エレクトロルミネッセンスデバイスを作製し、または本発明によるさらなる錯体を調製することができるであろう。
【0078】
例:
以下の合成は、別段の指摘がない限り、不活性ガス雰囲気中、光を遮断して乾燥溶媒中で行なわれた。溶媒および試薬は、アルドリッチ(ALDRICH)またはABCRから入手することができる。
【0079】
前駆体:
前駆体は、J.Chem.Soc.,Dalton Trans.1985,279−283にしたがって、K2PtCl4を1当量の対応するホスフィンと反応させることにより合成することができる。いくつかの生成物は、有機溶媒中で非常に低い溶解性を示す。これらの生成物は、オリゴマーまたはポリマー状に形成することができる。
【化11-1】
【化11-2】
【化11-3】
【化11-4】
【0080】
例:CN錯体
以下の例は、Inorg.Chem.2002,41,3866−3875に類似的に、対応するPt前駆体を2当量のNaCNと、沸騰しているEtOH中で反応させることにより合成することができる。
【化12-1】
【化12-2】
【化12-3】
【化12-4】
【化12-5】
【0081】
例;OCN錯体
以下の例は、Inorg.Chem.2002,41,3866−3875に類似的に、対応するPt前駆体を2当量のNaOCNと、沸騰しているEtOH中で反応させることにより合成することができる。
【化13】
【0082】
例:ONC錯体
以下の例は、Inorg.Chem.2002,41,3866−3875に類似的に、対応するPt前駆体を2当量のNaONCと、沸騰しているEtOH中で反応させることにより合成することができる。
【化14】
【0083】
例:SCN錯体
以下の例は、Inorg.Chem.2002,41,3866−3875に類似的に、対応するPt前駆体を2当量のNaSCNと、沸騰しているEtOH中で反応させることにより合成することができる。
【化15】
【0084】
例:アジド錯体
以下の例は、Inorg.Chem.2002,41,3866−3875に類似的に、対応するPt錯体を2当量のNaN3と、沸騰しているEtOH中で反応させることにより合成することができる。
【化16】
【0085】
例:アセチリド錯体
以下の例は、J.Chem.Soc.,Dalton Trans.,1983,2487に類似的に、対応するPt錯体を2当量の対応するリチウムアセチリドと、80℃のトルエン中で24時間、反応させることにより合成することができる。1−プロピニルリチウムは、Toussaint,D.et al.,Organic Synthesis,1999,76.にしたがって合成することができる。フェニルエチニルリチウム(THF中で1M)は、アルドリッチ(Aldrich)から入手可能である。
【化17】
【0086】
例:アリール錯体
以下の例は、対応するPt前駆体を2当量の対応するアリールリチウムと、室温のTHF中で反応させることにより合成することができる。フェニルリチウム(ジ−n−ブチルエーテル中で1.8M)は、アルドリッチ(Aldrich)から入手可能である。
【化18】
【0087】
例:アルキル錯体
以下の例は、対応するPt錯体を2当量の対応するアルキルリチウムと、室温のTHF中で反応させることにより合成することができる。メチルリチウム(ジエチルエーテル中で1.6M)は、アルドリッチ(Aldrich)から入手可能である。
【化19】
【0088】
例:カルボニル錯体
以下の例は、Inorg.Chem.2002,41,3866−3875に類似的に、一酸化炭素雰囲気の下、対応するPt前駆体を室温のEtOH中で48時間反応させることにより合成することができる。
【化20】
【0089】
例:ホスフィノ錯体
以下の例は、Inorg.Chem.2002,41,3866−3875に類似的に、対応するPt前駆体をトリフルオロホスフィン雰囲気中、室温のEtOH中で48時間、または対応するモノホスフィン2当量もしくは対応するジホスフィン1当量とヘキサフルオロホスフェート銀1当量とを添加して、室温のMeOH中で攪拌しつつ反応させることにより合成することができる。
【化21-1】
【化21-2】
【0090】
例:イソニトリル錯体
以下の例は、Inorg.Chem.2002,41,3866−3875に類似的に、対応するPt前駆体を2当量の対応するイソニトリルと、沸騰しているEtOH中で反応させることにより合成することができる。
【化22】
【0091】
例:チオレート錯体
以下の例は、Inorg.Chem.2002,41,3866−3875に類似的に、対応するPt前駆体を2当量の対応するチオールのナトリウム塩または1当量の対応するジチオールのジナトリウム塩と、沸騰したEtOH中で反応させることにより合成することができる。
【化23】
【0092】
例:混合金属を伴なう錯体
以下の例は、J.Chem.Soc.,Dalton Trans.,1985,279に類似的に、対応するPt前駆体[Pt(dmpm)2]Cl2を2当量のNaCNと室温のメタノール中で反応させ、5hの攪拌後に生成した沈殿物を濾別し、沈殿物をメタノールで洗浄し、生成物を真空中で乾燥させて合成することができ、91%の収率でPt(dmpm)2(CN)2が得られる。これは、以下に示すように対応するRh,Ir,MoまたはW前駆体と反応させて、混合金属を伴なう対応する錯体が得られる。
【化24】
【0093】
例68:気相からの有機エレクトロルミネッセンスデバイスの作製および特性決定
本発明にかかるエレクトロルミネッセンスデバイスは、例えばWO05/003253に記載されているように作製することができる。種々についての結果のOLEDを、ここで比較する。基本構造、用いた材料、ドーピングの程度、およびその層厚は、それゆえ、より適切な比較のために同一である。
【0094】
以下のデバイス構造がここで用いられる:
正孔注入層(HIL) 20nmの2,2’,7,7’−テトラキス(ジ−パラ−トリ
ルアミノ)スピロ−9,9’−ビフルオレン
正孔輸送層(HTL1) 5nmのNPB(N−ナフチル−N−フェニル−4,4’−ジ
アミノビフェニル)
電荷障壁層(EBL) 15nmのEBL1または15nmのEBL2
発光層(EML) マトリックスM1またはM2またはM3またはM4またはこれ
らの組み合わせ、構造:以下を参照;40nm
エミッター:10体積%ドーピング
電子伝導(ETL) 20nmのBAlq
カソード 1nmのLiF,頂部に100nmのAl
EBLおよびMの構造は、理解しやすくするために以下に示す:
【化25-1】
【化25-2】
【0095】
今のところはまだ最適化されていないこれらのOLEDは、標準の方法により特性決定される:発光スペクトル、電流−電圧発光特性ライン(IUL特性ライン)から計算される、発光の作用として外部量子効率(%で測定)が、この目的のために決定される。
【表1】
【0096】
例81:溶液からの有機エレクトロルミネッセンスデバイスの作製および特性決定
LEDは、以下に概略を述べる一般的なプロセスにより作製する。これは、個々のケースにおいて、それぞれの状況に適合させる(最適な効率または色を達成するために、例えば層厚変化)。
【0097】
OLEDの作製のための一般的なプロセス
これらの構成要素の作製は、ポリマー光発光デバイス(PLED)の作製に基づき、それはすでに文献に多数記載されている(例えば、WO2004/037887A2)。ここでの場合、本発明にかかる化合物は、マトリックス材料または上述したマトリックス材料の組み合わせとともに、トルエン、シクロベンゼンまたはDMF中に溶解させる。そのような溶液における典型的な固形分含有量は、10〜25g/Lの間であり、ここでのデバイスのための典型的な層厚80nmは、スピンコーティングにより達成することができる。
【0098】
以下の構造を有するOLEDは、上述した一般的なプロセスに類似して作製される:
PEDOD 20nm(水からスピンコートされた;PEDOTはBAYER AGから
購入;ポリ[3,4−エチレンジオキシ−2,5−チオフェン]
マトリックス+エミッター 80nm,エミッター濃度5wt%(トルエン、シクロベ
ンゼンまたはDMFからスピンコートされた)
Ba/Ag カソードとして10nmのBa/150nmのAg
構造化されたITO基板および、いわゆるバッファ層のための材料(PEDOT,実際にはPEDOT:PSS)は、市販されている(ITOはTechnoprintなどから、PEDOT:PSSはClevios Baytron P水性分散体としてH.C.Starckから)。発光層は、不活性雰囲気、ここではアルゴン中でスピンコートし、120℃で10分間加熱することにより乾燥させる。最後に、バリウムおよび銀を含むカソードを真空中で蒸着する。溶液処理されたデバイスは、標準の方法により特性決定される;上述のOLEDはまだ最適化されていない。
【0099】
表2は、効率および100cd/m2における電圧および色を示す。
【表2】