(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5661650
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】車両を操縦する方法及び装置、コンピュータ・プログラム、コンピュータ並びに車両
(51)【国際特許分類】
B62D 6/00 20060101AFI20150108BHJP
B62D 5/04 20060101ALI20150108BHJP
【FI】
B62D6/00
B62D5/04
【請求項の数】40
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-549121(P2011-549121)
(86)(22)【出願日】2010年1月26日
(65)【公表番号】特表2012-517374(P2012-517374A)
(43)【公表日】2012年8月2日
(86)【国際出願番号】SE2010050068
(87)【国際公開番号】WO2010093309
(87)【国際公開日】20100819
【審査請求日】2011年8月9日
(31)【優先権主張番号】0950067-9
(32)【優先日】2009年2月10日
(33)【優先権主張国】SE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】594097848
【氏名又は名称】スカニア シーブイ アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロスヘーメル、マルテ
(72)【発明者】
【氏名】イジュケマ、ホレ
【審査官】
倉田 和博
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭62−131974(JP,U)
【文献】
特開2003−034255(JP,A)
【文献】
実開昭63−110164(JP,U)
【文献】
特開2005−324774(JP,A)
【文献】
特開2007−030703(JP,A)
【文献】
特開平04−368286(JP,A)
【文献】
特開平01−262254(JP,A)
【文献】
実開平01−011883(JP,U)
【文献】
実開平01−041474(JP,U)
【文献】
特開2005−029013(JP,A)
【文献】
特開昭63−087369(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/00 − 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のステアリング装置でステアリング感覚を変化させる方法であって、前記ステアリング装置が、ステアリング・コラムを含み、前記ステアリング・コラムを介して、回転運動が、操作手段と前記ステアリング装置のサーボ装置との間で伝達される、前記方法において、
− 前記回転運動に関する前記ステアリング・コラム(115)の回転抵抗をブレーキ装置(131)によって設定可能に変化させるステップ、及び、
− 前記回転運動に関する前記ステアリング・コラム(115)の慣性モーメントを、前記回転運動が伝達される、慣性モーメントを変化させるための装置(140)によって設定可能に変化させるステップ、並びに、
− オペレータによる手動及び/又は自動で設定可能な前記変化を作動させるステップ
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
− 摩擦発生型のブレーキ装置(131)によって前記ステアリング・コラムの前記回転抵抗を変化させるステップ
を含むことを特徴とする、請求項1に記載された方法。
【請求項3】
− 磁性流体ダンパ装置のタイプのブレーキ装置(131)によって前記ステアリング・コラムの前記回転抵抗を変化させるステップ
を含むことを特徴とする、請求項1に記載された方法。
【請求項4】
− 前記ステアリング・コラムの前記慣性モーメントを、前記慣性モーメントを変化させるための装置(140)によって変化させるステップであって、前記慣性モーメントを変化させるための装置(140)の慣性モーメントが、前記慣性モーメントを変化させるための装置(140)の重量の再配分により変更される、ステップ
を含むことを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載された方法。
【請求項5】
− 前記ステアリング・コラムの前記回転運動が伝達される、前記慣性モーメントを変化させるための装置の回転軸(215)に対して実質的に交差するように少なくとも1つの重り部材(210)を移動させることによって、前記慣性モーメントを変化させるための装置の前記慣性モーメントを変化させるステップ
を含むことを特徴とする、請求項4に記載された方法。
【請求項6】
− 操作手段(138、148)に作用して前記回転抵抗及び前記慣性モーメントを設定するように構成された制御手段(139、149)を介してオペレータが手動で前記ステアリング感覚を変化させるステップ
を含むことを特徴とする、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載された方法。
【請求項7】
− 操作手段(138、148)に作用して前記回転抵抗及び前記慣性モーメントを設定するように構成された制御ユニット(300)によって、要求に応じて、前記ステアリング感覚及び/又は前記慣性モーメントを変化させるステップ
を含むことを特徴とする、請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載された方法。
【請求項8】
− 自動式であり予め定められた前記制御ユニット(300)による変化のステップ
を特徴とする、請求項7に記載された方法。
【請求項9】
− 現在の運転状況に関する情報に基づく前記制御ユニットによる変化のステップ
を特徴とする、請求項7又は請求項8に記載された方法。
【請求項10】
− 前記オペレータの個人的な要望に関する情報に基づく前記制御ユニットによる変化のステップ
を特徴とする、請求項7から請求項9までのいずれか一項に記載された方法。
【請求項11】
− 前記操作手段に最も近く且つ前記操作手段に直接接続されたステアリング・コラム部材(117)に作用することによって前記回転抵抗及び慣性モーメントを変化させるステップ
を含むことを特徴とする、請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載された方法。
【請求項12】
前記車両がトラックである、請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載された方法。
【請求項13】
前記操作手段がステアリング・ホイールである、請求項1から請求項12までのいずれか一項に記載された方法。
【請求項14】
前記オペレータが前記車両の運転者である、請求項1から請求項13までのいずれか一項に記載された方法。
【請求項15】
車両のステアリング装置でステアリング感覚を変化させる装置であって、前記ステアリング装置が、ステアリング・コラムを含み、前記ステアリング・コラムを介して、回転運動が、操作手段と前記ステアリング装置のサーボ装置との間で伝達される、前記装置において、
− 前記回転運動に関する前記ステアリング・コラム(115)の回転抵抗を設定可能に変化させるためのブレーキ装置(131)と、
− 前記回転運動に関する前記ステアリング・コラム(115)の慣性モーメントを設定可能に変化させるための装置(140)であって、前記回転運動が、前記慣性モーメントを変化させるための装置(140)に伝達される、慣性モーメントを変化させるための装置(140)と、
− 手動及び/又は自動で前記変化を作動させるための装置と
を含むことを特徴とする装置。
【請求項16】
前記回転運動に関する前記ステアリング・コラムの前記回転抵抗を変化させるように構成された摩擦発生型のブレーキ装置(131)を含むことを特徴とする、請求項15に記載された装置。
【請求項17】
前記ブレーキ装置(131)が、前記回転運動に関する前記ステアリング・コラムの前記回転抵抗を変化させるように構成された磁性流体ダンパ装置を含むことを特徴とする、請求項15に記載された装置。
【請求項18】
前記回転運動が、前記慣性モーメントを変化させるための装置(140)に伝達されるようになっており、前記慣性モーメントを変化させるための装置(140)の慣性モーメントが、その重量の再配分により変更されることを特徴とする、請求項15から請求項17までのいずれか一項に記載された装置。
【請求項19】
前記ステアリング・コラムの前記回転運動が伝達されるようになっている、前記慣性モーメントを変化させるための装置の回転軸(215)に対して実質的に交差するように移動可能に構成された少なくとも1つの重り部材(210)を含むことを特徴とする、請求項18に記載された装置。
【請求項20】
オペレータがそれを介して操作手段(138、148)に作用して前記回転抵抗及び前記慣性モーメントを設定することができる、手動で操作可能な制御手段(139、149)を含むことを特徴とする、請求項15から請求項19までのいずれか一項に記載された装置。
【請求項21】
ステアリング感覚を変化させる要求に関する情報を受信し、前記情報を、操作手段(138、148)に対して自動的且つ予め定められた通りに作用するための基準として用いて、前記回転抵抗及び/又は前記慣性モーメントを変化させ、要求された及び/又は予め定められたステアリング感覚を与えるように構成された制御ユニット(300)を含むことを特徴とする、請求項15から請求項20までのいずれか一項に記載された装置。
【請求項22】
前記回転抵抗と前記慣性モーメントの両方を変化させるための前記装置が、実質的に遊びのない前記回転運動を可能にするために、前記ステアリング・コラムの操作手段(100)の近くに位置付けられていることを特徴とする、請求項15から請求項21までのいずれか一項に記載された装置。
【請求項23】
前記ステアリング・コラムが連接構造となっており、このため前記ステアリング・コラムが、相互に連接された少なくとも2つのコラム部材(117、118)を含んでおり、回転抵抗及び慣性モーメントを変化させるための前記装置が、前記操作手段の最も近くに位置付けられている前記コラム部材に作用するように構成されていることを特徴とする、請求項22に記載された装置。
【請求項24】
回転抵抗及び慣性モーメントを変化させるための前記装置(130、140)が電気的に操作可能であることを特徴とする、請求項15から請求項23までのいずれか一項に記載された装置。
【請求項25】
前記車両がトラックである、請求項15から請求項24までのいずれか一項に記載された装置。
【請求項26】
前記操作手段がステアリング・ホイールである、請求項15から請求項25までのいずれか一項に記載された装置。
【請求項27】
前記少なくとも2つのコラム部材(117、118)が、ユニバーサル・ジョイント(116)によって相互に連接されている、請求項23に記載された装置。
【請求項28】
車両のステアリング装置でステアリング感覚を変化させるコンピュータ・プログラムであって、前記ステアリング装置が、ステアリング・コラムを含み、前記ステアリング・コラムを介して、回転運動が、操作手段と前記ステアリング装置のサーボ装置との間で伝達される、前記コンピュータ・プログラムにおいて、
前記コンピュータ・プログラムは、
− 前記回転運動に関する前記ステアリング・コラム(115)の回転抵抗をブレーキ装置(131)によって設定可能に変化させるステップ、及び、
− 前記回転運動に関する前記ステアリング・コラム(115)の慣性モーメントを、前記回転運動が伝達される、慣性モーメントを変化させるための装置(140)によって設定可能に変化させるステップであって、前記変化は、制御ユニット(300)への少なくとも1つの入力データ信号(IDS)に基づいて、オペレータによる手動で及び/又は自動で作動させられるステップを、
電子制御ユニット又は前記電子制御ユニットに接続された他のコンピュータに実行させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラム・コード手段を含むことを特徴とするコンピュータ・プログラム。
【請求項29】
前記制御ユニットによって、
− ステアリング感覚を設定する要求を含む少なくとも1つのデータ入力信号(IDS)を受信するステップと、
− 現在のステアリング感覚の設定を要求されたステアリング感覚の設定と比較するステップと、
− 現在のステアリング感覚の設定が要求されたステアリング感覚の設定に対応していると認められた場合に、新しいデータ入力信号を受信するまで変化を中止するステップと、
− 現在のステアリング感覚の設定が前記要求されたステアリング感覚とは異なると認められた場合に、ステアリング感覚を設定するための装置(130、140)の操作手段(138、148)に所定の信号を与えて、前記要求された所定のステアリング感覚に対応するステアリング感覚を設定するステップと、
− 新しいデータ入力信号(IDS)を受信するまで変化を中止するステップと
を含むことを特徴とする、請求項28に記載されたコンピュータ・プログラム。
【請求項30】
要求されたステアリング感覚の設定が、予め定められており、且つ現在の運転状況に基づくことを特徴とする、請求項29に記載されたコンピュータ・プログラム。
【請求項31】
要求されたステアリング感覚の設定が、予め定められており、オペレータの個人的な要望又は特にそのときに望まれるステアリング感覚の設定に基づくことを特徴とする、請求項29又は請求項30に記載されたコンピュータ・プログラム。
【請求項32】
前記車両がトラックである、請求項28から請求項31までのいずれか一項に記載されたコンピュータ・プログラム。
【請求項33】
前記操作手段がステアリング・ホイールである、請求項28から請求項32までのいずれか一項に記載されたコンピュータ・プログラム。
【請求項34】
記憶手段(550、560)と、前記記憶手段に記憶された、請求項28から請求項33までのいずれか一項に記載されたコンピュータ・プログラム(P)と、を含むコンピュータ。
【請求項35】
前記コンピュータが、収納された電子ユニット(300)又は車両外部コンピュータである、請求項34に記載されたコンピュータ。
【請求項36】
請求項34又は請求項35に記載されたコンピュータを含む車両。
【請求項37】
前記車両が大型車両である、請求項36に記載された車両。
【請求項38】
請求項15から請求項27までのいずれか一項に記載された装置を含む車両。
【請求項39】
前記車両が大型車両である、請求項38に記載された車両。
【請求項40】
前記大型車両が、トラック又はバスである、請求項37又は請求項39に記載された車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、添付の請求項1の導入部分に記載された方法に関するものである。
【0002】
更に、本発明は、添付の請求項12の導入部分に記載された装置に関するものである。
【0003】
また、本発明は、請求項22、26、27及び29にそれぞれ記載されたコンピュータ・プログラム、コンピュータ及び車両に関するものである。
【背景技術】
【0004】
とりわけステアリング・ホイールやステアリング・コラムなどを備えた所定のステアリング装置の構造によって、所定のステアリング感覚が与えられる。そして、多くの場合、このステアリング装置の構造は、道路の感覚を維持しながら、同時にとりわけステアリング・ホイールでの振動を低減させるように妥協させている。しかしながら、個人的な要望に応える可能性は、極端に制限されている。
【0005】
「ステア・バイ・ワイヤ(steer by wire)」タイプのシステムが知られている。このシステムでは、通常はステアリング・ホイールである操作手段が、電子的に、即ち機械的に直接ではなく、車両の機械的なステアリング装置に接続されている。そうした場合には、機械的なステアリング装置からステアリング・ホイールへステアリング感覚又は道路の感覚が伝達されることもほとんどない。この種のシステムでは、とりわけ安全上の理由のため、模擬的なステアリング・ホイールの感覚を与える試みが、多かれ少なかれ複雑な方法でなされてきた。
【0006】
ステアリング感覚、又は必要に応じてステアリング・ホイールの感覚は、おそらくトラックなどの大型車両に関しては特に、様々な運転者による個人的なものである。そして、それは、とりわけ車両のステアリング・システムと各車道などの外部パラメータとの両方に関係する車両固有のパラメータによって影響される。この外部パラメータは、とりわけ道路の感覚をもたらす一因となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的の1つは、普及している種類のステアリング装置、即ちステアリング・ホイールとステアリング装置の残りの部分との間に機械的な接続があるステアリング装置において、とりわけ個人的な要望に適合させるためにステアリング感覚を変化させる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のこの目的及び他の目的は、独立請求項1及び12にそれぞれ記載された特徴をもつ方法及び装置、並びに請求項22、26、27及び29にそれぞれ記載された特徴をもつコンピュータ・プログラム、コンピュータ及び車両によって実現される。
【0009】
それぞれの従属請求項で規定されていることによって、更なる利点がもたらされる。
【0010】
添付の図面と共に以下の詳細な説明を参照すれば、本発明は、よりよく理解されるはずである。それぞれの図面では、同一の部分には同一の名称を記載している。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明による第1の実施例の装置を有するステアリング・コラムの側面を模式的に描いた図である。
【
図2】ステアリング・コラムの慣性モーメントを変更するための、
図1に記載の装置の2つの異なる例を模式的に描いた図である。
【
図3】ステアリング感覚を変化させるための、車両のサブシステムを模式的に描いた図である。
【
図4】ステアリング感覚を変化させるための、本発明による方法の1つの例のステップを模式的に説明した図である。
【
図5】本発明による電子制御ユニットの実施例を模式的に描いた図である。
【
図6】本発明による第2の実施例の装置を有するステアリング・コラムの一部分の側面を模式的に描いた図である。
【
図7】本発明による第3の実施例の装置を有するステアリング・コラムの側面を模式的に描いた図である。
【実施例】
【0012】
図1において、符号100は、トラックなどの車両のステアリング装置110のステアリング・ホイールの形態をした操作手段を示す。このステアリング装置は、ステアリング・コラム115を含む。ステアリング・コラム115を介して、回転運動が、ステアリング・ホイールとステアリング装置のサーボ装置120との間で伝達されるようになっている。ステアリング・ホイールは、回転運動を与える操作手段の一例である。
【0013】
図示した例では、ステアリング・コラムは、ステアリング・ホイールの位置を設定できるようにするために、少なくとも2つのコラム部材117、118を含む種類のものである。コラム部材117、118は、例えばユニバーサル・ジョイント116によって相互に連接されている。符号119は、ステアリング・ホイールを支持するコラム部材117用の、模式的に描かれたベアリングを示している。
【0014】
本発明によれば、ステアリング感覚やステアリング・ホイールの感覚を変化させることを可能にするため、車両のステアリング装置には、ステアリング・コラム115の回転抵抗及び慣性モーメントをそれぞれ変化させるための装置130、140が設けられている。
【0015】
前記回転運動に関する回転抵抗を変化させるための装置130は、1つの例によれば、模式的に描かれたブレーキ装置131を含む。ブレーキ装置131は、コラム部材117、118に直接又は間接に作用するように構成されている。
【0016】
1つの例によれば、ブレーキ装置131は摩擦発生装置132を含む。この摩擦発生装置132は、詳細には図示しないが、例えば、コラム部材に関連付けられたブレーキ・ディスクと、ブレーキ・ディスクに向けて及びブレーキ・ディスクから離れるように、好ましくは電気的に移動可能な摩擦部材とを備えたディスク状のブレーキ装置の形態をしている。他の摩擦発生による解決法も当然考えられる。
【0017】
別の例によれば、ブレーキ装置131は、コラム部材に作用するように構成された磁性流体ダンパ装置133を含む。このブレーキ作用は、電気的手段によって変化するようになっている。
【0018】
1つの例によれば、ステアリング・コラムの慣性モーメントを変化させるための装置140は、
図1及び
図2に模式的に描かれているように、重り装置141を含む。前記回転運動が、重り装置141に伝達されるようになっている。そして、重り装置141の慣性モーメントが、その重量の再配分により変更されるようになっている。
図2で詳細に描かれた例によれば、この重り装置は、好ましくは少なくとも2つの対称に配置された重り部材210を含む。重り部材210は、前記重り装置の回転軸215に対して実質的に交差するように移動可能に構成されている。
図2に模式的に描かれているように、ステアリング・コラムの回転運動が、この重り装置に伝達されるようになっている。この移動は、例えば、重り部材を通るねじ切りされたスピンドル220が、好ましくは電気モータ230によって回転させられることによって行われる。それぞれの重りと協働するスピンドルの部分221、222は、重り部材を同時に互いに近付いたり離れたりするように移動させるために、互いに反対方向にねじ切りされている。
【0019】
例えば重り装置によって代表される種類の装置は、ステアリング・コラムに組み込まれるかステアリング・コラムに取り付けられてもよいし、又は
図6及び
図7のようにステアリング・コラムの脇に取り付けられてもよい。そうした場合には、その装置は、回転運動を伝達するためのギアボックス610、710を介してステアリング・コラムに接続されてもよい。しかしながら、とりわけギアボックス内の遊びによってステアリング感覚がゆがめられることを防ぐためには、前者の場合、即ち直接組み込まれるか取り付けられる場合の方が好ましい。
【0020】
図3に模式的に描かれた例によれば、回転抵抗及び慣性抵抗のそれぞれのパラメータを変化させるための装置130、140は、車両の運転者などのオペレータによって設定可能である。この装置130、140には、例えばプッシュ・ボタンや回路遮断器など、オペレータにとってアクセス可能な終端制御手段139、149が設けられており、パラメータを要望通りに設定するために、操作手段138、148に作用できるようになっている。パラメータを設定するための操作手段138、148は、電気的であり、従って作動効果をもつ制御信号によって作動できることが特に好ましい。
【0021】
好ましい場合を補足すると、例えば
図3などの別の例によれば、電気的な制御ユニット300は、とりわけ現在の運転状況に関する情報を含む信号を受信するように構成されている。また、制御ユニットは、運転状況又はオペレータによって要求されたステアリング感覚を含む信号を受信するように構成されていることが好ましい。前記回転抵抗及び/又は前記慣性モーメントを変化させるために、制御ユニット300は、操作手段に作用するための基礎として、そうした情報を用いるように構成されている。
【0022】
表示した例について、以下で更に解説する。
【0023】
以下では、「リンク」という用語は通信リンクのことをいう。この通信リンクは、光電式の通信線などの物理的な接続であってもよいし、ワイヤレス接続、無線リンク、マイクロ波のリンクなどの物理的でない接続であってもよい。
【0024】
図3は、車両のサブシステム399の1つの例を模式的に描いた図である。このサブシステムは、とりわけ、ステアリング・コラム115とともに
図1に模式的に描かれたステアリング装置110を含んでいる。上述の通り、符号300は、前記回転抵抗及び慣性モーメントの変化を制御するように構成された電子制御ユニットを示している。この目的のために、図示した実施例による制御ユニット300は、とりわけ、回転抵抗を変化させる装置130と慣性モーメントを変化させる装置140を設定するために、オペレータ用の変化手段310とセンサ311に信号接続されている。また、制御ユニット300は、回転抵抗を変化させる装置130と慣性モーメントを変化させる装置140のための操作手段138、148にそれぞれ信号接続されている。この操作手段138、148は、装置130、140に含まれている。
【0025】
1つの実施例によれば、本発明による方法は、電子制御ユニット300を介して起動され、制御される。1つの実施例によれば、制御ユニット300は、車両の電子的なECUである。或いは、本発明による方法は、外部コンピュータ315を介して起動され、制御されてもよい。この外部コンピュータは、リンク320を介して制御ユニット300に直接接続されてもよいが、車両内部のネットワークによって、適当な方法で制御ユニットに間接的に接続されてもよい。外部コンピュータ315と制御ユニット300との間の通信は、部分的又は全体的にワイヤレスであってもよい。
【0026】
1つの例によれば、電子制御ユニットは、リンク335を介して通信端末330と通信するように構成されている。同様に、外部コンピュータ315は、リンク336を介して通信端末330と通信するように構成されている。ユーザが制御ユニットと協働できるように、通信端末にはディスプレイとユーザ・インタフェースが設けられていてもよい。通信端末330は、運転状況の特徴やステアリング感覚のパラメータの現在の状態などの、本発明方法に関する情報を受信し、好ましくは表示するように構成されている。
【0027】
図4は、本発明の1つの例によって、ステアリング感覚やステアリング・ホイールの感覚を変化させるための方法を模式的に描いた図である。
【0028】
この方法は、第1のステップs410を含む。第1のステップs410は、少なくとも1つの入力データ信号IDSを、ECU(電子エンジン制御ユニット)などの車両の制御ユニット300で受信するステップを含む。入力データ信号IDSは、制御ユニットによってステアリング感覚を設定するための要求を含む。そのような要求される設定は、予め定められていてもよいし、現在の運転状況に基づいてもよい。また、そのような要求される設定は、オペレータや運転者からの個人的な要望に基づいてもよい。その場合は、要求される設定は予め定められていてもよいし、特にそのときに望まれるステアリング感覚の設定であってもよい。ステップs410の後にはステップs415が続く。
【0029】
ステップs415では、制御ユニットにおいて、現在のステアリング感覚の設定を要求されたステアリング感覚の設定と比較する。現在のステアリング感覚の設定が所望のステアリング感覚の設定に対応すると認められた場合には、制御ユニットが新しい要求を伴う新しい入力データ信号を受信するまで、この方法は終了する。
【0030】
ステップs415で現在のステアリング感覚の設定と要求されたステアリング感覚の設定との差異が認められた場合には、その後のステップs420が実行される。
【0031】
ステップs420では、制御ユニット300が装置130、140用の操作手段に信号を与え、要求されたステアリング感覚に対応するステアリング感覚を設定する。その後、制御ユニット300が新しい要求を伴う新しい入力信号を受信するまで、この方法は終了する。
【0032】
新しい信号は、所定の時間間隔で断続的且つ連続的に制御ユニットに供給してもよい。また、新しい入力信号の供給は、要望に応じて、オペレータが要求するときに行なってもよい。また、新しい入力信号は自動的に生成してもよい。その場合は、例えば、ステアリング感覚を適応させる必要がある運転状況の変化から新しい入力信号が生じることもある。
【0033】
図5は、電子制御ユニット300の実施例を描いた図である。本明細書では、この電子制御ユニットを装置ともいう。この装置は、不揮発性メモリ520、データ処理装置510、及び読み書きメモリ550を含む。不揮発性メモリ520は第1のメモリ素子530を有しており、その中には、この装置の機能を制御するために、オペレーティング・システムなどのコンピュータ・プログラムが記憶されている。更に、この装置は、バス制御ユニット、シリアル通信ポート、I/O手段、A/D変換器、日付時刻供給・伝達ユニット、イベント・カウンタ、及び割込み制御ユニット(図示せず)を含む。不揮発性メモリ520は第2のメモリ素子540も有している。
【0034】
本発明によれば、コンピュータ・プログラムPは、車両のステアリング感覚やステアリング・ホイールの感覚を変化させるためのルーチンを含んでいる。そして、コンピュータ・プログラムPは、別個のメモリ560及び/又は読み書きメモリ550の中に、実行可能な状態か又は圧縮された状態で記憶されることができる。メモリ560は、フラッシュ・メモリ、EPROM、EEPROM、ROMなどの不揮発性メモリである。メモリ550及び560は、コンピュータ・プログラム製品である。
【0035】
データ処理ユニット510がある機能を実行すると述べた場合、それは、別個のメモリ560に記憶されているプログラムのある一部か、又は読み書き550に記憶されているプログラムのある一部をデータ処理ユニット510が実行することを意味する。
【0036】
データ処理装置510は、データ・バス515を介してデータ通信ポート599と通信することができる。不揮発性メモリ520は、データ・バス512を介してデータ処理装置510と通信するように構成されている。別個のメモリ560は、データ・バス511を介してデータ処理装置510と通信するように構成されている。読み書きメモリ550は、データ・バス514を介してデータ処理装置510と通信するように構成されている。
【0037】
本発明によれば、ステアリング感覚を変化させるための制御プログラムに関するデータが、ECUのメモリ550又は560に記憶されている。入力データもECUのメモリ550又は560に記憶されている。そして、その入力データを装置130、140用の設定状態として用いて、現在の運転状況に関する情報を処理し、装置130、140用の操作手段に作用するための出力信号を生成することができる。
【0038】
入力データ信号IDSによって伝えられるデータなどのデータが、例えば各変化手段からデータ・ポート599に受信されると、そのデータは第2のメモリ素子540に一時的に記憶される。受信された入力データが一時的に記憶されると、上述した通り、データ処理装置510はコードを実行するように設定される。データ処理装置510は、要求通りにステアリング感覚を変化させるように構成されている。
【0039】
本明細書に記載された方法の一部は、この装置によって、データ処理装置510が別個のメモリ560又は読み書きメモリ550に記憶されているプログラムを走らせることにより、実行することができる。この装置がそのプログラムを走らせると、本明細書に記載された方法の一部が実行される。
【0040】
本発明の1つの側面によれば、この装置は、コンピュータ読み取り可能な手段を備え、電子制御ユニット又はその電子制御ユニットに接続された別のコンピュータに
図4で規定されたステップを実行させるためのコンピュータ・プログラムを走らせるように構成されている。
【0041】
また、本発明は、車両のステアリング感覚を変化させるためのコンピュータ・プログラムと、そのコンピュータ・プログラムが記憶されているコンピュータ読み取り可能な媒体とを含むコンピュータ・プログラム製品に関する。また、本発明は、記憶手段と、その記憶手段に記憶された、車両のステアリング感覚を変化させるためのコンピュータ・プログラムとを含む、収納された電子制御ユニットや車両用の車両外部コンピュータなどのコンピュータに関する。
【0042】
本発明方法、また本発明装置の機能は、上述の説明によって、おそらく実質的且つ十分に示されている。本発明によるコンピュータ・プログラム、コンピュータ・プログラム製品、コンピュータ及び車両についても同様である。
【0043】
本発明では、先行技術と比べて、いくつかの大きな利点がもたらされる。
【0044】
本発明によって、ステアリング感覚やステアリング・ホイールの感覚を変化させるための、極めて柔軟性があり高精度の技術が提供される。
【0045】
従って、オペレータや車両の運転者が、例えばプッシュ・ボタンなどの変化手段によって要望通りに回転抵抗及び慣性モーメントを自由に且つ直接設定できるように、本発明による技術を構成することができる。
【0046】
また、本発明による技術は、制御ユニットをもつシステムとして構成してもよい。その制御ユニットを介してステアリング感覚に関する回転抵抗及び慣性モーメントの設定を指示することができる。それによって、ステアリング感覚は、好ましくは予め定められたように現在の運転状況に適合され、運転状況に関する情報は、とりわけ車両の内部制御システムのセンサなどから制御ユニットに供給されるか、又はオペレータによって指示されることができる。そして、例えば車両の製造業者の経験やオペレータなどからの個人的な要望に基づいて、設定のためのステアリング感覚を予め定めておくことができる。
【0047】
好ましい実施例によれば、回転抵抗及び慣性モーメントを設定するための装置は電気的に操作可能である。このことは、制御ユニットからの信号を介して制御することにおいて有利である。
【0048】
好ましい実施例によれば、ステアリング・コラムは、相互に連接したコラム部材117、118をもつ連接構造のものである。回転抵抗及び慣性モーメントを変化させるための装置130、140は、ステアリング・ホイールに最も近いコラム部材に作用するように構成されている。
【0049】
下記は、自動又は手動でステアリング感覚の変更を行うのに有利な状況をいくつか例示したものである。
− 多くのフィードバックが要求される可能性があり、トラックの現在の前車軸にあるダウンスプリングのためにステアリング角の誤差がおそらく生じる急ブレーキ操作。
− 各車両の前方の車両を検知し、相互の間隔を監視する適応走行制御などによって予知可能な急ブレーキ操作。
− (例えば、予知可能な)回避操作。
− 幹線道路の運転vs国道の運転vs市街地の交通vsマニューバリング。
− 滑り止めシステムが動作した状態。
− 例えば空気サスペンション制御システムによって検知された、劣悪な(欠陥のある)道路表面。
− 例えば屋外の温度が−5℃と+4℃の間にあると検知された、滑りやすい道路表面又は滑りやすい危険性がある道路表面。