特許第5661651号(P5661651)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5661651低血糖のリスク査定およびなだらかなインスリン放出の減少による、CGMに基づいた低血糖の予防
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5661651
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】低血糖のリスク査定およびなだらかなインスリン放出の減少による、CGMに基づいた低血糖の予防
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/00 20060101AFI20150108BHJP
   G01N 33/66 20060101ALI20150108BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20150108BHJP
   A61K 38/28 20060101ALN20150108BHJP
   A61P 3/10 20060101ALN20150108BHJP
【FI】
   A61M5/00 327
   G01N33/66 A
   G01N33/48 Z
   !A61K37/26
   !A61P3/10
【請求項の数】30
【全頁数】50
(21)【出願番号】特願2011-551322(P2011-551322)
(86)(22)【出願日】2010年2月25日
(65)【公表番号】特表2012-518498(P2012-518498A)
(43)【公表日】2012年8月16日
(86)【国際出願番号】US2010025405
(87)【国際公開番号】WO2010099313
(87)【国際公開日】20100902
【審査請求日】2012年8月21日
(31)【優先権主張番号】61/155,357
(32)【優先日】2009年2月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/182,485
(32)【優先日】2009年5月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/263,932
(32)【優先日】2009年11月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506062584
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ ヴァージニア パテント ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】コバチェフ,ボリス,ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ブレトン,マーク,ディー.
(72)【発明者】
【氏名】パテック,ステファン,ディー.
【審査官】 久郷 明義
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06923763(US,B1)
【文献】 国際公開第2009/001349(WO,A1)
【文献】 特表2003−528330(JP,A)
【文献】 特表2010−531707(JP,A)
【文献】 特開2008−194452(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者における低血糖を予防または緩和するためにコンピュータにより実行される方法であって、
代謝測定装置から、連続グルコース測定に基づく、前記被験者に関連する代謝の測定値をプロセッサが受け取り、
前記受け取った代謝の測定値に基づいて低血糖のリスクをプロセッサが継続的に査定し、
前記査定された低血糖のリスクに基づいてインスリン放出減衰係数をプロセッサが決定し、且つ
前記査定された低血糖のリスクが所定の閾値を超えているときに、前記インスリン放出減衰係数に従って前記被験者へのインスリンの放出を調節するインスリン放出装置に、前記インスリン放出減衰係数をプロセッサが出力する方法。
【請求項2】
前記代謝の測定値は、血糖または間質液のグルコース・データを含む請求項1の方法。
【請求項3】
【請求項4】
前記閾値グルコース濃度は、それよりも低いとリスク関数が正になるグルコース濃度である請求項3の方法
【請求項5】
【請求項6】
【請求項7】
前記積極性係数は、インスリン感受性に対応する請求項6の方法。
【請求項8】
【請求項9】
プログラムされたインスリン注入の比率を取得し、
減衰されたインスリン注入比率を決定するために、前記プログラムされたインスリン注入の比率を前記インスリン放出減衰係数で掛け算することをさらに含む請求項3の方法。
【請求項10】
被験者における低血糖を予防または緩和するためのシステムであって、
連続グルコース測定に基づく、前記被験者に関連する代謝の測定値を取得するための代謝測定装置と、
前記代謝の測定値を受け取り、前記代謝の測定値に基づいて低血糖のリスクを継続的に査定する査定装置と、
前記査定された低血糖のリスクに基づいてインスリン放出減衰係数を決定し、前記査定された低血糖のリスクが所定の閾値を超えているときに、前記インスリン放出減衰係数に従って前記被験者へのインスリンの放出を調節するインスリン放出装置に、前記インスリン放出減衰係数を出力する評価装置とを備えるシステム。
【請求項11】
前記代謝の測定値は、血糖または間質液のグルコース・データを含む請求項10のシステム。
【請求項12】
【請求項13】
前記閾値グルコース濃度は、それよりも低いとリスク関数が正になるグルコース濃度である請求項12のシステム。
【請求項14】
【請求項15】
【請求項16】
前記積極性係数は、インスリン感受性に対応する請求項15のシステム。
【請求項17】
【請求項18】
プログラムされたインスリン注入の比率を取得する第2の取得装置と、
減衰されたインスリン注入比率を決定するために、前記プログラムされたインスリン注入の比率を前記インスリン放出減衰係数で掛け算する乗算装置とをさらに備える請求項15のシステム。
【請求項19】
コンピュータ・システムに被験者における低血糖を予防または緩和させるためのコンピュータにより実行可能な命令をその中に記憶した一時的でないコンピュータで読み取り可能な記憶媒体を含むコンピュータ・プログラム製品であって、前記コンピュータにより実行可能な命令は、
代謝測定装置から、連続グルコース測定に基づく、前記被験者に関連する代謝の測定値を受け取り、
前記受け取った代謝の測定値に基づいて低血糖のリスクを継続的に査定し、
前記査定された低血糖のリスクに基づいてインスリン放出減衰係数を決定し、且つ
前記査定された低血糖のリスクが所定の閾値を超えているときに、前記インスリン放出減衰係数に従って前記被験者へのインスリンの放出を調節するインスリン放出装置に、前記インスリン放出減衰係数を出力する命令を含むコンピュータ・プログラム製品。
【請求項20】
前記代謝の測定値は、血糖または間質液のグルコース・データを含む請求項19のコンピュータ・プログラム製品。
【請求項21】
【請求項22】
【請求項23】
【請求項24】
【請求項25】
前記被験者に関連する外部のインスリン・データを受け取り、それにより前記受け取った代謝の測定値に加えて前記受け取った外部のインスリン・データを用いることにより、前記リスクの査定が決定されることをさらに含む請求項1の方法。
【請求項26】
前記査定装置は、前記被験者に関連する外部のインスリン・データをさらに受け取り、それにより前記受け取った代謝の測定値に加えて前記受け取った外部のインスリン・データを用いることにより、前記リスクの査定が決定される請求項10のシステム。
【請求項27】
前記被験者に関連する外部のインスリン・データを受け取るためのコンピュータにより実行可能な命令をさらに含み、
前記リスクを査定するための命令は、前記受け取った代謝の測定値に加えて前記受け取った外部のインスリン・データを用いる請求項19のコンピュータ・プログラム製品。
【請求項28】
前記受け取った代謝の測定値に基づいて決定される低血糖のリスクの複数の所定のレベルのうちの決定された一つに対応する信号をユーザに出力することをさらに含み、前記複数のレベルのうちの一つは、低血糖のリスクを減らすために外部の介入が必要であることを示す信号に相当する請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記査定装置は、前記受け取った代謝の測定値に基づいて決定される低血糖のリスクの複数の所定のレベルのうちの決定された一つに対応する信号をユーザに出力するように構成され、前記複数のレベルのうちの一つは、低血糖のリスクを減らすために外部の介入が必要であることを示す信号に相当する請求項10に記載のシステム。
【請求項30】
前記受け取った代謝の測定値に基づいて決定される低血糖のリスクの複数の所定のレベルのうちの決定された一つに対応する信号をユーザに出力するためのコンピュータにより実行可能な命令をさらに含み、前記複数のレベルのうちの一つは、低血糖のリスクを減らすために外部の介入が必要であることを示す信号に相当する請求項19のコンピュータ・プログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明のいくつかの実施形態のいくつかの態様は、糖尿病の被験者の治療を管理すること、より具体的には、血糖分析及び管理に関する医療方法、システム、およびコンピュータ・プログラム製品の分野にある。本発明のいくつかの実施態様は、糖尿病を持つ被験者における低血糖を予防するための手段に関連する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病の治療のためのインスリンの初期の使用以来、臨床経験に基づいたインスリンの投与量、より具体的には、グルコースのレベルの測定値を調節する努力がなされてきた。当初、グルコース検査は、稀にしか行なわれず、標準的な臨床検査室で行なわれていた。断続的な自己監視グルコース検査(即ち、自己監視血糖(SMBG))の出現により、そのような試験が患者によってより高い頻度で低価格に行なうことが可能になった。より頻繁なグルコース検査から導き出される情報を適用することで、大幅に改善されたグルコース管理が可能となり、不十分な血糖管理に起因する合併症の発生を低下させた。約10年前に、技術は、数分おきにグルコース測定値を供給する連続グルコース・モニタ(即ち、連続グルコース測定(CGM))を取り込んだ。その結果は患者に表示され、グルコースの傾向や高グルコース及び低グルコースの警告の表示が様々になされた。技術的進歩はインスリン・ポンプの開発においてもなされ、これがインスリンの毎日の多数の自己注射に取って代わり得る。これらの現在利用可能な装置は、典型的にはユーザまたは医療専門家による入力、あるいは連続グルコース・モニタからのデータに基づいて調節可能なプログラム可能なスケジュールによって正確なインスリン投与量を供給することができる。
【0003】
例えば患者の体重に基づいて、適切なインスリン投与スケジュールを推定する基本的なアルゴリズムが開発され、これらのアルゴリズムは、臨床的に適切なインスリン投与スケジュールの妥当な最初の概算を示す。しかしながら、新陳代謝およびインスリンに対する反応性に関して、患者の間で相当なばらつきがある。
【0004】
連続グルコース・モニタ(CGM)データを用いた計算をインスリン投与の改善または調節に用いるために様々なアプローチが適用されてきた。人工膵島アルゴリズムは、食事の混乱や身体的活動に直面して血糖濃度を調整しようと試みるものである。
【0005】
その他のアプローチは、例えば、患者の病歴、特に、ある期間に亘るグルコース変動データの考察に基づいて、基礎インスリン投与の設定を与える。
【0006】
それでもなお、糖尿病ケア管理の現在の状況にもかかわらず、厳重な血糖管理はいまだに達成されていない。従来技術に記載されているように、インスリン・ポンプ遮断アルゴリズムは、低血糖の予測に基づいてインスリンの流れを完全に停止する決定を通知するためにCGMデータを用いる。このアプローチは、夜間の低血糖のリスクを減らすことが示されている。可能性のある欠点としては、基礎インスリンのオンオフ制御の原理の利用は、バングバング制御またはリレー制御と同様に、望ましくない血漿グルコースの振動を引き起こす可能性があることである。実際のところ、もし基礎インスリンが血糖目標を維持するのに必要な量よりも高い場合、低血糖からの回復の後に、新たな遮断の発生を引き起こす基礎の適用が続くであろう。遮断介入のサイクルは、血漿グルコースの周期的な振動を引き起こすインスリン矩形波を生じさせる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の実施形態の一つの態様は、とりわけ従来技術の問題を改善しようとするものである。ほぼリアルタイムの測定を提供する皮下の連続グルコース測定(CGM)装置の導入に伴い、緊密な血糖管理を達成する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここに開示される本発明のCGMに基づいた低血糖予防システム(CPHS)および関連する方法の一実施形態の態様は、低血糖のリスクを軽減するための独立した機構を提供する役目を果たすが、これに限定されない。この技術の適用は、CGMによって情報を与えられた従来のインスリン・ポンプ治療、CGMによって情報を与えられた開ループ制御システム、及び閉ループ制御システムを含むが、これらに限定されない。これらのシステムは、1型及び2型糖尿病(それぞれT1DM及びT2DM)の治療に対して最も適用可能であるが、他の適用も可能である。
【0009】
本発明の一実施形態または一部の一実施形態の態様(または本発明の様々な実施形態の全部または一部における組み合わせ)は、患者の低血糖のリスクを継続的に査定し、そのリスク査定に基づいて何をすればよいのかを決定する方法及びシステム(及び関連するコンピュータ・プログラム製品)を含むが、それに限定されない。実施形態はさらに、二つの出力:(1)(従来の治療法を介して、または開ループまたは閉ループ制御を介して)ポンプに送られるインスリン比率の命令に適用される減衰係数、及び/または(2)患者に低血糖のリスクの表示を与える赤/黄色/緑信号の低血糖警告を提供する。CPHSの二つの出力は、組み合わせてまたは独立して用いることができる。
【0010】
ここに提示されるCGMに基づいた低血糖予防システム(CPHS)(及び関連する方法及びコンピュータ・プログラム製品)の一実施形態の態様は、患者の低血糖のリスクを継続的に査定し、それから二つの出力:(1)(従来の治療法を介して、または開ループまたは閉ループ制御を介して)ポンプに送られるインスリン比率の命令に適用される減衰係数、及び/または(2)患者に低血糖のリスクの表示を与える赤/黄色/緑信号の低血糖警告を提供するのにCGMデータを利用し得る。
【0011】
本発明の一実施形態の態様は、明確に、グルコースのレベルのみにではなく、低血糖のリスクに作用することによって、現存する技術に様々な面から革新を与える。本発明の一実施形態の態様は、インスリンのレベルを徐々に減少させ、それによって、厳格なポンプ遮断アルゴリズムと比較して、患者のインスリン療法の不足を避け、高血糖のリスクを減少させることにより、さらに革新をもたらす。本発明の一実施形態の態様はまた、低血糖のリスク査定の正確さを増加させるため、インスリン・ポンプのフィードバックを用いる。本発明の一実施形態の態様は、さらに、システムが能動的に低血糖を予防していることをユーザに通知するだけでなく、インスリン量が無い場合にユーザの介入を要求する警告システムを一体化する。
【0012】
CPHS(及び関連する方法)の一実施形態の態様は、単にBGを特定の目的または狭い範囲内に収めるよう操作するのではなく、低血糖を予防するものである。
【0013】
本発明の一実施形態の態様は、被験者における低血糖を予防または緩和するための方法を提供する。この方法は、以下のものを含んでもよく、被験者と関連する代謝の測定値を取得し、この代謝の測定値に基づいて低血糖のリスクを継続的に査定し、及び、1)処置必要ない、2)インスリン放出の減衰が必要である、3)追加の介入が必要である、または3)インスリン放出の減衰及び追加の介入が必要である、の結果のうちの一つを決定するために低血糖のリスクを評価すること。
【0014】
本発明の一実施形態の態様は、被験者における低血糖を予防または緩和するためのシステムを提供する。このシステムは以下のものを含んでもよく、被験者と関連する代謝の測定値を取得する取得装置、この代謝の測定値に基づいて低血糖のリスクを継続的に査定する査定装置、及び、1)処置は必要ない、2)インスリン放出の減衰が必要である、3)追加の介入が必要である、または3)インスリン放出の減衰及び追加の介入が必要である、結果のうちの一つを決定するために低血糖のリスクを評価するための評価装置。
【0015】
本発明の一実施形態の態様は、コンピュータ・システム中の少なくとも一つのプロセッサが被験者における低血糖を予防または緩和することを可能にするコンピュータ・プログラム論理回路を有するコンピュータで使用可能な媒体からなるコンピュータ・プログラム製品を提供する。このコンピュータ・プログラム論理回路は、以下のものを含んでもよく、被験者と関連する代謝の測定値のデータを取得し、この代謝の測定値に基づいて低血糖のリスクを継続的に査定し、及び、1)処置は必要ない、2)インスリン放出の減衰が必要である、3)追加の介入が必要である、または4)インスリン放出の減衰及び追加の介入が必要である、結果のうちの一つを決定するために低血糖のリスクを評価すること。
【0016】
継続的な査定は1秒にX回起こってもよいことは理解されるべきであり、ここで1<X<1000(所望または必要に応じて、さらに速い比率または頻度であってもよい)である。継続的な査定は1時間にX回起こってもよいことは理解されるべきであり、ここで1<X<1000である。継続的な査定は1日にX回起こってもよいことは理解されるべきであり、ここで1<X<1000である。この査定は、定期的にまたは一定時間ごとに行なうことができ、それらの期間および頻度は異なってもよい。一つの例としては、査定は毎分または2、3分から数分ごとに起こってもよい。継続的な査定の別の例としては、査定可能なサンプル(例えば、BG、CGMサンプル、グルコース測定値等であるが、これらに限定されない)または入力(例えば、基礎比率の変化、ポンプによって認識されたボーラス投与の事象等であるが、これらに限定されない)が受け取られたいずれかの時点を含んでもよい。例えば、リスク査定は事象駆動型であってもよい。また、任意の日(日々)に査定活動またはステップを行なうことを省いてもよいことは理解すべきである。
【発明の効果】
【0017】
ここに開示される本発明のCGMに基づいた低血糖予防システム(CPHS)および関連する方法の一実施形態の態様は、低血糖のリスクを軽減するための独立した機構を提供する役目を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本明細書に組み込まれその一部を形成する添付の図面は、本発明のいくつかの態様及び実施形態を例示し、本明細書中の記載と共に、本発明の原理を説明する役目を果たす。図面は、本発明の選択した実施形態を例示する目的でのみ示され、本発明を制限するものとして解釈すべきものではない。
図1】CGMに基づいた低血糖予防システム(CPHS)の一例としての一実施形態を模式的に示す。
図2】CGMに基づいた低血糖予防システム(CPHS)の一例としての一実施形態を模式的に示す。
図3図2のCGMに基づいた低血糖予防システム(CPHS)のより詳細な一例としての一実施形態を模式的に示す。
図4】CGMに基づいた低血糖予防システム(CPHS)の一例としての一実施形態を模式的に示す。
図5】CGMに基づいた低血糖予防方法(及び関連するシステムのモジュール)の一例としての一実施形態を模式的に示す。
図6A】CGMに基づいた低血糖予防システム(CPHS)の一例としての一実施形態からのシミュレーション結果を模式的に示す。
図6B】CGMに基づいた低血糖予防システム(CPHS)の一例としての一実施形態からのシミュレーション結果を模式的に示す。
図7A】CGMに基づいた低血糖予防システム(CPHS)の一例としての一実施形態からのシミュレーション結果を模式的に示す。
図7B】CGMに基づいた低血糖予防システム(CPHS)の一例としての一実施形態からのシミュレーション結果を模式的に示す。
図8】CGMに基づいた低血糖予防システム(CPHS)の一例としての一実施形態からのシミュレーション結果を模式的に示す。
図9A】CGMに基づいた低血糖予防システム(CPHS)の一例としての一実施形態からのシミュレーション結果を模式的に示す。
図9B】CGMに基づいた低血糖予防システム(CPHS)の一例としての一実施形態からのシミュレーション結果を模式的に示す。
図10】CGMに基づいた低血糖予防システム(CPHS)の一例としての一実施形態からのシミュレーション結果を模式的に示す。
図11】例として、プロセッサ、通信リンク、及びシステムに関連する本発明の一実施形態の態様の模式的なブロック図を示す。
図12】例として、プロセッサ、通信リンク、及びシステムに関連する本発明の一実施形態の態様の模式的なブロック図を示す。
図13】例として、プロセッサ、通信リンク、及びシステムに関連する本発明の一実施形態の態様の模式的なブロック図を示す。
図14】例として、プロセッサ、通信リンク、及びシステムに関連する本発明の一実施形態の態様のシステムまたは関連する方法の模式的なブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
関連する出願への相互参照
本出願は、「低血糖のリスク査定およびなだらかなインスリン放出の減少による、CGMに基づいた低血糖の予防のための方法、システムおよびコンピュータ・プログラム製品」と題する、2009年2月25日に出願された米国仮出願第61/155,357号、「低血糖のリスク査定およびなだらかなインスリン放出の減少による、CGMに基づいた低血糖の予防のための方法、システムおよびコンピュータ・プログラム製品」と題する、2009年5月29日に出願された米国仮出願第61/182,485号、及び、「低血糖のリスク査定およびなだらかなインスリン放出の減少による、CGMに基づいた低血糖の予防のための方法、システムおよびコンピュータ・プログラム製品」と題する、2009年11月24日に出願された米国仮出願第61/263,932号の優先権を主張し、その開示は、それらの内容全体がここにおいて参照により組み込まれる。
【0020】
本出願は、「糖尿病におけるデータからの血糖変動を観測するための方法、システム及びコンピュータ・プログラム製品」と題する、2009年11月24日に出願された国際特許出願第PCT/US2009/065725号と関連し、その開示は、その内容全体がここにおいて参照により組み込まれる。
【0021】
これらの及び他の目的、本発明の特徴及び利点や本発明自体は、添付の図面と共に読まれた際、以下の好ましい実施形態の記述からより十分に理解されるだろう。
【0022】
ここに示されるCGMに基づいた低血糖予防システム(CPHS)(及び関連する方法及びコンピュータ・プログラム製品)の一実施形態の態様は、患者の低血糖のリスク継続的に査定し、それから二つの出力、(1)(従来の治療法を介して、または開ループまたは閉ループ制御を介して)ポンプに送られるインスリン比率の命令に適用される減衰係数、及び/または(2)患者に低血糖のリスクの表示を与える赤/黄色/緑信号の低血糖警告を提供するのに、CGMデータを利用し得る。CPHSの二つの出力は、組み合わせてまたは独立して用いることができる。
【0023】
以下の第1のセクションは、システムへの唯一の入力がCGMデータである場合のCPHSを示す。
【0024】
第2のセクションは、CGMデータに加えて、システムが入力としてインスリン命令を含む何らかの外部データを受け取る場合のCPHSを示す。
【0025】
他の低血糖予防の方法と比較した本発明のシステム、方法及びコンピュータ・プログラム製品の一実施形態の特徴的な態様は、例えば、インスリンの適切な減衰を決定することと、適切な赤/黄色/緑信号を発生させることの両方において、その組織的な低血糖リスク査定の利用にあるが、それに限定されるものではない。
【0026】
本発明の一実施形態の別の態様は、CPHS(及び関連する方法及びコンピュータ・プログラム製品)の減衰係数であり、これは従来技術のポンプ遮断方法におけるように唐突にではなく、CGM測定のなだらかな関数としてインスリンの制限を調節する。以下のセクションでは、リスク対称化に基づく具体的な手順について示す。同一の手法は、それらがCGMデータの関数としてなだらかに変化する限りは、食事認識情報や身体的活動の表示などの他の入力信号を用いたリスク査定を含む他のリスク査定手法にも用いることができる。他のいかなる低血糖予防システムも、なだらかに変化する減衰係数を計算するためにリスク査定を利用するものではない。
【0027】
本発明のシステム、方法及びコンピュータ・プログラム製品の一実施形態の別の態様は、低血糖警告システムのための交通信号の抽象化である。
【0028】
次に進める前に、従来のポンプ遮断方法は、操作をはっきりといつ遮断し、はっきりといつ再開するかを決定すること、そしていずれの決定もCGMのノイズやエラーに著しく妨害されることの複雑さに悩まされることを注記しておくことが重要である。CPHSにおけるようなインスリンの制限のなだらかな調節は、CGMのノイズを自然なやり方で適応させる。最初に、もしCGM信号に偽のエラーがあったとしても、はっきりした減衰決定がなされなければならない時点が決してないので、それらは減衰の程度において偽のエラーになるのみである。次に、CGMシステムにおける系統的なエラーは、最終的にはシステムによって順応される。例えば、たとえCGMが高い値を示していたとしても(実際よりも高い血糖を示していたとしても)、下方への傾向が最終的にはインスリン放出の厳しい制限に反応するだろう。
【0029】
CGM入力のみのCPHS
このセクションは、図1に図示されるように、CGMデータのみが低血糖予防に用いられる本発明の一実施形態の基本形を示す。CPHSはいかなる他の入力信号なしにも機能できることは注目すべきである。このサブセクションでは、CGMのみの構成においてCPHSがどのように作動するのかについて説明する。また、それによって減衰係数が計算され、赤/黄色/緑信号の低血糖警告が発生される手順の図示(図2を参照)も含まれる。
【0030】
図1は、低血糖予防システム100の第1の例としての実施形態を図示する。患者102のような被験者は、糖尿病に起因する合併症を予防するためにインスリンを摂取する糖尿病の被験者であってもよい。連続グルコース・モニタ(CGM)104は、患者についての情報、具体的には血糖または間質性のグルコースのレベルを集める。血糖または間質性のグルコースのデータは、いかなる中間のまたは独立の装置を含むこともなく、患者102から直接測定される。CPHS106は、CGM104から取得された血糖データを入力として取り込む。このデータに基づいて、CPHS106は、低血糖のリスクを評価する。上記リスクは、処置を取らない、インスリンの放出を減衰する、及び/または追加の介入を行なうことを含む、一つ以上の取られるべき処置に対応する。もしCPHS106の出力がインスリンの放出を減衰することであれば、CPHSは、患者102に放出されるインスリンの量を下げるようインスリン放出装置108に示す。ここで説明されるように、被験者は人であってもいかなる動物であってもよいことが理解されるべきである。動物は、哺乳動物、獣医のもとにいる動物、家畜動物、またはペット・タイプの動物等を含むが、それらに限られない、様々な任意の適用可能な種類であってもよいことが理解されるべきである。一例として、動物は、人間に類似したある特性を持つ(例えば、ネズミ、犬、豚、猿)等のように特に選択された実験動物であってもよい。被験者は、例えば、いかなる適用可能な人間の患者であってもよいことが理解されるべきである。
【0031】
図2は、低血糖予防システム200の第2の例としての実施形態を図示する。ここでも、患者202のような被験者は糖尿病の被験者で、CGM204は患者202についての情報を集める。CPHS206は、CGM204によって取得された血糖データを入力として取り込む。このデータに基づいて、CPHS206は低血糖のリスクを評価し、処置をとるべきかどうか及びどんな種類の処置を取るべきかを決定する。これらの処置は、処置を取らない、インスリンの放出を減衰する、及び/または追加の介入を行なうことを含む。低血糖のリスクに応じて、視覚型表示器210が着色光を表示する。もし低血糖のリスクが少しもなければ、CPHS206は何も処置を取らず、視覚型表示器210は緑信号(または所望または必要に応じて他の種類のサイン)を示すだろう。もし低血糖のリスクが低ければ、CPHS206はインスリン放出を減衰させ、視覚型表示器210は黄色信号(または所望または必要に応じて他の種類のサイン)を示すだろう。もし低血糖のリスクが高ければ、CPHS206は(1)追加の介入を要求する、または(2)追加の介入及びインスリン放出の減衰を要求するだろう。いずれの場合にも、視覚型表示器210は赤信号(または所望または必要に応じて他の種類のサイン)を示すだろう。
【0032】
ここに説明された実施形態のいずれもが何らかの種類の視覚的な観測を意図していてもよいことは理解されるべきである。しかしながら、もし望まれるか必要とされるならば、視覚的に伝えられる情報は、聞こえるように及び/または触覚的に(触覚によって知覚可能に)伝えられ得ることは理解されるべきである。従って、可聴式及び/または触知性の機構は、視覚的に伝えられる態様の少なくとも一部または全てを伝えまたは提供するため、または視覚的に伝えられる態様と組み合わせて提供されるであろう。さらに、例えば音声信号は視覚的情報に加えてまたはそれと協調してまたは並行して提供されてもよい。
【0033】
図3は、図2に図示されたシステムのより詳細な図を示す。先の図と同様に、被験者または患者302、CGM304、及びインスリン放出装置306が提供される。CPHS308は、低血糖のリスク査定R(t)に基づいて減衰係数φbrakes(R(t))を計算するのにCGMデータy(t)を用いる。CPHS308はまた、あるいは単独で、視覚型表示器310を介して低血糖のリスクを示す赤、黄色、または緑信号をユーザに示す。CPHSは、従来の治療法、開ループ及びアドバイザリ・モード・システム、及び閉ループシステムを含む、異なる種類の血糖管理機能に安全管理の機能を付加するように設計されている。被験者または患者がインスリン・ボーラス投与に対する最終的な権限を持つことを考慮し、CPHS306は、インスリン放出装置308におけるインスリン注入のプログラムされた比率Jcommand(t)を変更することによって、インスリン比率を変更する役割を果たす。インスリン注入の実際の比率を決定するため、インスリン放出のこの減衰は、低血糖減衰係数をインスリン注入のプログラムされた比率で掛け算することにより実行される。
【0034】
CGMのみのCPHSの減衰係数出力は、抑制と呼ばれるアルゴリズム的処理を介して計算される。抑制・アルゴリズム及び方法は、低血糖を回避するためにインスリン・ポンプへのインスリン比率の命令を調節するよう設計されている。本発明の一実施形態の特徴は、抑制動作が、CGM及びインスリン・ポンプ・データを監視し、患者の将来の低血糖のリスクR(t)の程度を査定し、それから減衰係数φbrakes(R(t))を計算することによって、現在の時間tにおける患者のインスリン放出比率をなだらかに減衰させることである。減衰係数は以下のように計算される。

ここで、kは、患者の生理機能(即ち、患者のインスリン感受性)に適合するように調節され得る積極性パラメータである。
【0035】
図3に図示されるように、減らされた実際のポンプ比率Jactual(t) (U/hr)を以下に従って計算するために、インスリン放出装置308により減衰係数が使用される:

ここで、Jactual(t)は減衰されたインスリン比率(U/hr)、及びJcommand(t)はポンプが投与するように設定されたインスリン注入の比率(U/hr)である。
【0036】
【0037】
様々な閾値グルコース濃度θに対するパラメータα(θ)、β(θ)、及び γ(θ)の値が、以下の表に記載される。
【表1】
【0038】
【0039】
ヴァージニア大学におけるFDAにより認められたT1DMシミュレータで実行された実験では、抑制の性能はkとθの関数としてなだらかに変化し、これらのパラメータを最適に設定することが低血糖を予防するための最善の能力をもたらす一方、最適でない値が選択された場合であっても有害事象は起こらないことを示している。
【0040】
発明のこの実施形態の実行可能性を決定するため、実験が遂行された。以下の結果は、k = 1、M=1、及びθ = 120 (mg/dl)における本実施形態の抑制・アルゴリズム及び手順の有効性を示す。この結果は、FDAにより認められたUVA/U.パドヴァ代謝シミュレータから得られた。T1DM患者の一部の人々は、非常に多様なインスリン感受性を経験し(例えば身体的活動の後など)、そのような患者に対しては、通常の状況下で空腹時の正常血糖値を達成するように合わせられた彼/彼女の基礎インスリン放出率が、時々突然高すぎて、患者を低血糖のリスクにさらすことが起こり得る。これらの患者に対しては、図6のシミュレーション結果に図示されるように、k = 1、M=1、及びθ = 120 (mg/dl) におけるCGMのみのCPHSの実施形態が成功裏に低血糖のリスクを緩和するだろう。
【0041】
図6(A)は、UVA及びU.パドヴァ代謝シミュレータを用いた100人のコンピュータ内でのT1DMを持つ患者に関する。100人の患者全ては時間t=0にて150 mg/dlのグルコース濃度で開始し、そのときに、空腹時の血糖112.5 mg/dlを達成するのに必要な量の2倍の高められた基礎率Jcommand(t)にさらされる。この実験は、患者のインスリン感受性が、例えば運動により非常に強化された状況を反映することを意図している。ここで留意すべきであるのは、患者の46%が60(mg/dl)以下の血糖を経験し、患者の88%が70(mg/dl)以下の血糖を経験していることである。チャートは実験の持続時間に亘ってX及びY軸にそれぞれプロットされた最小及び最大BGを示し、グラフは時間(時)に亘るBG (mg/dl)を示す。
【0042】
図6(B)は、CGMのみの抑制を用いた、高められた基礎率におけるシミュレーションを示す。ここで、この2倍の基礎率のシナリオに対し、k = 1、M=0、及び θ = 120 (mg/dl)におけるCGMのみの抑制は、低血糖の発生を著しく低下させ、15%のみが60(mg/dl)以下の血糖を経験し、集団の39%のみが70 (mg/dl)以下の血糖を経験している。チャートは実験の持続時間に亘ってX及びY軸にそれぞれプロットされた最小及び最大BGを示し、グラフは時間(時)に亘るBG (mg/dl)を示す。
【0043】
上記システムの減衰機能に対する補完物として、CPHS(及び関連する方法及びコンピュータ・プログラム製品)は、交通信号の抽象化に基づいて色分けされた信号を与える新しい低血糖警告を採用する。基本的に、このシステムの実施形態及び関連する方法は、
1.低血糖のリスクが少しもないときにはいつでも患者に緑信号、
2.低血糖のリスクはあるが、低血糖が差し迫ってなく、インスリンの減衰により対処できるときにはいつでも患者に黄色信号、
3.インスリン・ポンプの減衰にかかわらず、低血糖が不可避であるときにはいつでも患者に赤信号を示す。
【0044】
警告システムのCGMのみのバージョンにおいて、どの信号を示すかを決定するための方法は以下の通りである。
1.R(t) = 0には緑信号を示し、
2.R(t) > 0 およびy(t) ≧Kredには黄色信号を示し、
3.y(t) > Kredには赤信号を示す。
【0045】
パラメータKredの選択もまたシステムの実施形態によって決まる。もし60 mg/dlが低血糖の発現であると認識されるときには、Kredは65 mg/dl として選択され、低血糖の閾値を超える前に、患者が救済の糖質を投与する機会を持てるようにする。偽の警告を避けるため、別の方法としては、赤信号を始動させる前に、一定の時間(例えば2分間)y(t) < Kredであることを必要とすることが望ましいかもしれない。
【0046】
図5はCGMベースの低血糖の予防方法およびシステムの例としての実施形態を図示する。アプローチにおいて、ステップ502(または適切なシステムモジュールまたは手段)において、患者から代謝の測定値を取得する。この代謝の測定値に基づいて、ステップ504(または適切なシステムモジュールまたは手段)は継続的に低血糖のリスクを査定することを含む。査定された低血糖のリスクに応じて、ステップ506(または適切なシステムモジュールまたは手段)は、どのような処置を取るべきかを決定するため、低血糖のリスクを評価することを含む。可能な処置(またはそれらの適切なシステムモジュールまたは手段)は、ステップ508−1、処置を取らない、ステップ508−2、インスリン放出を減衰する、ステップ508−3、追加の介入をする、およびステップ508−4、インスリン放出を減衰し、および追加の介入をすることを含んでもよい。
【0047】
CGM及びインスリン・ポンプ・データを用いたCPHS
このセクションは、CGMデータに加えて、システムがインスリン・ポンプ・データを含む外部のデータを受け取る場合のCPHSについて記載する。インスリン・ポンプ・データは、(1)ユーザ(従来の治療法における)または制御装置(開または閉ループ制御における)からの命令、または(2)放出されたインスリンに関するポンプからのフィードバック(採用される制御のタイプに関わらず)のいずれかを参照する。ここに記載される方法はまた、CGMおよびインスリン・ポンプ・データに加えて、食事情報、身体的活動の表示、及び心拍数情報を含む、さらに他の入力がCPHSに利用可能な形態にも適用される。インスリン・ポンプ・データまたは他の外部入力データは、間接的な代謝測定値である。これらの測定値は患者から直接集められるものではなく、現在の患者の状態についての情報を示すことのできる他の情報源から集められる。例えば、インスリン・ポンプ・データは、間接的な代謝測定値である。開示されたCPHSの実施形態は、入力として直接的な代謝測定値と間接的な代謝測定値の両方を取ることができることは認識されるべきである。この概略的な状況は図4に表現されている。すでに述べたように、システム400の出力は、(1)低血糖の著しいリスクがあるとき、インスリンの放出を制限するために設計された減衰係数、および(2)ユーザに迫り来る低血糖を通知するための赤/黄色/緑信号警告システムである。
【0048】
図4は、(1)低血糖のリスクの査定に基づいて減衰係数を計算し、および/または(2)ユーザに低血糖のリスクを示す赤、黄色、または緑信号を提示するために、CGMデータおよび(従来の治療法または開または閉ループ制御システムに関連した)インスリン・ポンプ・データを用いたCPHSを含む、強化された低血糖予防システム400の図を示す。被験者または患者402は糖尿病の被験者であり、CGM404はその患者についての情報を集める。CPHS406は、CGM404によって取得された血糖データを入力として取り込む。このデータに基づき、CPHS406は低血糖のリスクを評価し、処置を取る必要があるかどうか、および、どのような処置を取るべきかを決定する。これらの処置は、処置をしない、インスリン放出を減衰する、および/または追加の介入をすることを含む。低血糖のリスクに応じて、視覚型表示器410は、着色光(または所望のまたは必要な他の表示器)を表示する。先の実施形態にあるように、もし低血糖のリスクが少しもなければ、CPHS406は何も処置を取らず、視覚型表示器410は緑信号を示すだろう。もし低血糖のリスクが低ければ、CPHS406はインスリン放出を減衰させ、視覚型表示器410は黄色信号を示すだろう。もし低血糖のリスクが高ければ、CPHS406は(1)追加の介入を要求する、または(2)追加の介入及びインスリン放出の減衰を要求するだろう。いずれの場合にも、視覚型表示器410は赤信号を示すだろう。
【0049】
【0050】
【0051】
CGMのみの抑制の場合と同様に、いくつかの実施形態における積極性パラメータはk =1、M=1 に設定され、閾値qは通常値の112.5 (mg/dl)に設定される。他の実施形態においては、k、M、及びθは、患者の医師と協力して(例えば、患者のインスリン感受性や摂食行動に従って)または患者または他の個人による入力により他の固定値に手入力で設定される。
【0052】
さらに別の実施形態においては、パラメータ値k、M、及びθは、患者の身体的特徴(例えば体重、1日の総インスリンTDI (U)、糖質比率、補正率CF (mg/dl/U)、年齢等)に関わる回帰式に従って設定される。そのようなkの回帰式の一つは以下の通りである。
【0053】
ヴァージニア大学におけるFDAにより認められたT1DMシミュレータで実行された実験では、抑制の性能はk、M、及びθの関数としてなだらかに変化し、これらのパラメータを最適に設定することが低血糖を予防するための最善の能力をもたらす一方、最適でない値が選択された場合であっても有害事象は起こらないことを示している。
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
代謝状態オブザーバは、カルマンフィルタとしてのx(t) およびy(t)に対する状態空間モデルに由来し、食事の混乱過程w(t)およびノイズ過程v(t)を、それぞれ共分散R = k1 = 0.01およびQ = k2= 0.00001のゼロ平均、白色、ガウス過程として取り扱う。食事w(t)、およびセンサ・ノイズv(t)は、実際にはゼロ平均、白色、ガウス過程ではないが、結果として得られるカルマンフィルタはそれでも安定した状態オブザーバである。
【0060】
T1DM患者の一部の人々は、非常に多様なインスリン感受性を経験(例えば身体的活動の後など)する。そのような患者に対しては、通常の状況下で空腹時の正常血糖値を達成するように合わせられた彼/彼女の基礎インスリン放出率が、時々突然高すぎて、患者を低血糖のリスクにさらすことが起こり得る。これらの患者には、図7のシミュレーション結果に図示されるように、k = 1、及びθ = 120 (mg/dl)の指数抑制が成功裏に低血糖のリスクを緩和するだろう。
【0061】
次に図7を見ると、図6と同様に、このシミュレーション実験はUVA及びU.パドヴァ代謝シミュレータを用いた100人のコンピュータ内でのT1DMを持つ患者に関わる。100人の患者全ては時間t=0にて150 mg/dlのグルコース濃度で開始し、そのときに、空腹時の血糖112.5 mg/dlを達成するのに必要な量の2倍の高められた基礎率Jcommand(t)にさらされる。図6を思い出すと、患者の46%が60(mg/dl)以下の血糖を経験し、患者の88%が70 (mg/dl)以下の血糖を経験している。図7(A)は、k = 1、M=1、θ = 120 (mg/dl)、及びτ = 0(分)の指数抑制を用いたときの基礎が高められた場合のシナリオを図示する。チャートは実験の持続時間に亘ってX及びY軸にそれぞれプロットされた最小及び最大BGを示し、グラフは時間(時)に亘るBG (mg/dl)を示す。この場合、全ての利用できる情報に基づく患者の血糖の現在の最良の推測値(即ちτ = 0)だけを用いて、指数抑制はリスク査定を計算する。ここで留意すべきであるのは、患者のたった12%のみが60(mg/dl)以下の血糖を経験し、患者のたった33%のみが70 (mg/dl)以下の血糖を経験していることである。図7(B)はk = 1、θ = 120 (mg/dl)、およびτ = 30 (分)の指数抑制を用いたときの基礎が高められた場合のシナリオを図示する。ここで、この2倍の基礎率のシナリオに対し、k = 1、M=1、及び θ = 120 (mg/dl)におけるCGMのみの抑制は低血糖の発生を著しく低下させ、15%のみが60(mg/dl)以下の血糖を経験し、集団の39%のみが70 (mg/dl)以下の血糖を経験している。チャートは実験の持続時間に亘ってX及びY軸にそれぞれプロットされた最小及び最大BGを示し、グラフは時間(時)に亘るBG (mg/dl)を示す。
【0062】
患者はよく、彼らが摂ろうとしている食事を見越して、食前インスリン・ボーラスを投与する。まれな状況では、患者は予想された食事を摂り忘れるか、さもなくば食べられないことがあり得る。そして言うまでもなくこれは患者を低血糖の深刻なリスクにさらす。これらの患者に対しては、図8および9に図示されるように、低血糖の出現を著しく低下させるように、指数抑制が基礎インスリンを低下させるよう作動することができる。
【0063】
図8は、UVA及びU.パドヴァ代謝シミュレータを用いたコンピュータでのT1DMを持つ100人の患者に関するシミュレーション実験である。100人の患者全ては時間t=0
にて150 mg/dlのグルコース濃度で開始し、3時間目で食事ボーラス投与にさらされる;100人の患者全ては意図された食事を省き、空腹時の血糖112.5 mg/dlを維持するのに必要な量であるインスリン放出の基礎率Jcommand(t)を持続する。ここで留意すべきであるのは、食事の糖質が少しも届かないので、全ての患者は血糖の深刻な降下を経験する。患者の53%が60(mg/dl)以下の血糖を経験し、90%が70 (mg/dl)以下の血糖を経験する。チャートは実験の持続時間に亘ってX及びY軸にそれぞれプロットされた最小及び最大BGを示し、グラフは時間(時)に亘るBG (mg/dl)を示す。
【0064】
図9はシミュレータによって実行された本発明の実施形態の例示である。図8と同様に、100人の患者全ては時間t=0にて150 mg/dlのグルコース濃度で開始し、3時間目で食事ボーラス投与にさらされ、100人の患者全ては意図された食事を省き、空腹時の血糖112.5 mg/dlを維持するのに必要な量であるインスリン放出の基礎率Jcommand(t)を持続する。図9(A)は、k = 1、θ = 120 (mg/dl)、およびτ = 0 (分)の指数抑制を用いた実施形態を図示する。この 指数抑制(τ = 0)により、患者の46%が60(mg/dl)以下の血糖を経験し、患者の88%のみが70 (mg/dl)以下の血糖を経験している。チャートは実験の持続時間に亘ってX及びY軸にそれぞれプロットされた最小及び最大BGを示し、グラフは時間(時)に亘るBG (mg/dl)を示す。図9(B)はk = 1、M=1、および θ = 120 (mg/dl)、および τ = 30 (分)の指数抑制を用いた実施形態を図示する。ここで、τ=30 分の指数抑制は、低血糖を予防することにおいて極めて大きな改善を与える:患者の10%のみが60(mg/dl)以下の血糖を経験し、患者の41%のみが70 (mg/dl)以下の血糖を経験している。チャートは実験の持続時間に亘ってX及びY軸にそれぞれプロットされた最小及び最大BGを示し、グラフは時間(時)に亘るBG (mg/dl)を示す。
【0065】
インスリン投入命令を持つCPHS(及び関連する方法及びコンピュータ・プログラム製品)は、図4に図示されるように、交通信号機の抽象化に基づいて色分けされた信号を患者に与える新しい低血糖警告システムを用いて、指数抑制自体の低血糖予防能力を補強する。基本的に、このシステムの実施形態及び関連する方法は、
1.低血糖のリスクが少しもないときにはいつでも患者に緑信号、
2.低血糖のリスクはあるが、低血糖が差し迫ってなく、インスリンの減衰により対処できるときにはいつでも患者に黄色信号、
3.インスリン・ポンプの減衰にかかわらず、低血糖が不可避であるときにはいつでも患者に赤信号を示す。
【0066】
追加の情報(単なるCGMデータだけではなく)へのアクセスを有するので、赤/黄色/緑信号の低血糖警告システムは、どの信号を示すかを決定する主要な手段として、訂正された測定値ycorrected(t)および訂正されたリスク関数Rcorrected(t)を使用する。
1.Rcorrected(t) = 0には緑信号、
2.Rcorrected(t) > 0 およびycorrected,OFF(t) ≧ Kredには黄色信号、
3.ycorrected,OFF(t) > Kredには赤信号を示す。
ここでycorrected,OFF(t)は、インスリン・ポンプが完全に停止されたときに予測される血糖濃度の査定である。
【0067】
パラメータKredの選択もまたシステムの実施形態によって決まる。もし60 mg/dlが低血糖の発現であると認識されるときには、Kredは65 mg/dl として選択され、低血糖の閾値を超える前に、患者が救済の糖質を投与する機会を持てるようにする。偽の警告を避けるため、別の方法としては、赤信号を始動させる前に、一定の時間(例えば2分間)BGoff(t + σ | t) < Kredであることを必要とすることが望ましいかもしれない。
【0068】
【0069】
ycorrected(t)の計算におけるτと同様に、σの値は本発明の実施形態に固有のものである。
ここで留意すべきなのは、σ > 0はインスリンがそれ以上放出されないと仮定して、血糖の予測値に相当することである。
【0070】
【0071】
ところで、赤/黄色/緑信号低血糖警告システムの一例としての実施形態が示される。関連するパラメータは以下の通りである。
1.赤信号警告パラメータ:Kred = 80 (mg/dl) および σ = 15 (分)、
2.黄色信号警告パラメータ:θ = 112.5 (mg/dl)、およびτ = 15 (分)、および、
3.R(t) > 0のときであっても、インスリン注入の実際の比率が命令されたインスリンと等しいように、ポンプ減衰なし。
【0072】
図10は、インスリン放出の基礎比率がそれらの空腹時のレベルの2倍のときの、100人のコンピュータ内でのT1DMを持つ大人の患者に対するUVA/U.パドヴァ代謝シミュレータからの結果を示す。この高められた基礎比率で、全ての100人の患者は最終的には低血糖(60(mg/dl)を超えることによって)になった。ここで留意すべきなのは、平均して黄色信号は低血糖の118分前にオンになり、赤信号は低血糖の34分前にオンになることである。プロットは代表的な被験者の緑から黄色、そして赤への推移を示す。プロットは、Y軸にBG(mg/dl)、X軸に時間(分)を示す。
【0073】
図11〜13は、本発明の典型的な実施形態のブロック図表示を示す。図11を参照すると、システム1110のブロック図表示が示されており、これはとりわけインスリン投薬表示と測定された血糖(「BG」)レベルとを記録するため患者1112により使用されるグルコース測定器1128を本質的に含む。グルコース測定器1128から得られたデータは、好ましくは適切な通信リンク1114またはデータモデム1132を通じてパーソナル・コンピュータ、PDA、ネットブック、ラップトップ、または携帯電話のようなプロセッサ、処理ステーションまたはチップ1140に、または適切なインターネット・ポータルを介して転送される。例えば、記憶されたデータは、グルコース測定器1128の中に記憶されてもよく、そして適切なインターフェイス・ケーブルを通じてパーソナル・コンピュータまたはプロセッサ1140(またはPDA、ネットブック、ラップトップ等)に直接ダウンロードされ、その後インターネットを介して処理場所へ転送されてもよい。グルコース測定器1128およびコンピュータ処理モジュールまたは保存モジュールのいずれもが単一のハウジング内にそろって設けられても、別個のハウジング内に設けられてもよいことは理解されるべきである。通信リンク1114は、配線で接続されても無線でもよい。配線接続の例としては、ケーブル、ワイヤ、光ファイバ及び/または電話線を含むが、これらに限定されない。無線の例としては、Bluetooth(登録商標)、携帯電話リンク、RFリンク、及び/または赤外線リンクを含むが、これらに限定されない。図11〜13のモジュールおよび構成要素は、様々な場所やサイトにおける適切なまたは望まれるコンピュータ・ネットワーク(1152,1252,1352)に送信されてもよい。図11のモジュールおよび構成要素は、所望のまたは必要な通信リンク1114を介して、様々な場所やサイト(ローカル及び/または遠隔の)における適切なまたは所望のコンピュータ・ネットワーク1152に送信されてもよい。さらに、補助的または診療装置またはシステム1154が、図11に示されるグルコース測定器や他のモジュールや構成要素に加えて、患者と連通してもよい。補助的装置およびシステムの例としては、以下の一つまたはそれ以上の任意の組み合わせを含んでもよいが、必ずしもこれらに限定されない:インスリン・ポンプ、人工膵島、インスリン装置、パルス酸素測定センサ、血圧センサ、ICPセンサ、EMGセンサ、EKGセンサ、ECGセンサ、ECCセンサ、ペースメーカー、及び心拍数センサ、針、超音波装置、または皮下装置(および任意の他の生体測定センサまたは装置)。補助的または診療装置またはシステム1154およびグルコース測定器1128は、患者(すなわち被験者)といかなる種類の生理的または生物学的連通をしてもよいことが理解されるべきである。この生理的または生物学的連通は、直接的でも間接的でもよい。間接的な連通(ここに説明され、クレームされる「間接的な測定」と混同されるべきではない)は、血液または他の生体液のサンプル、またはインスリン・データを含むが、これらに限定されない。直接的な連通(ここに説明され、クレームされる「直接的な測定」と混同されるべきではない)は、血糖(BG)データを含んでもよい。
【0074】
グルコース測定器は、この産業において一般的であり、本質的にBG収集機構として機能できるいかなる装置をも含む。BG測定器または収集機構、装置、ツールまたはシステムは、各テストのために血液サンプルを採血すること(例えば指を刺すことにより)および電気機械的方法によりグルコース濃度読み取る器具を用いてグルコースレベルを測定すること向けの様々な従来の方法を含む。最近、採血せずに血液検体の濃度を決定するための様々な方法が開発されている。例えば、ヤン等の米国特許第5,267,152号(ここに参照として組み込まれる)は、近赤外線拡散反射レーザ分光法を用いて血糖濃度を測定する非侵襲性の手法について記述する。同様の近赤外線分光装置がローゼンタール等の米国特許第5,086,229号およびロビンソン等の米国特許第4,975,581号(これらはここに参照として組み込まれる)にも記載されている。
【0075】
スタンリーの米国特許第5,139,023号(ここに参照として組み込まれる)は、間質液と受け入れ媒体との間に確立された濃度勾配に沿ったグルコースの経皮的な移動を促進するために、透過性エンハンサー(例えば胆汁酸塩)を利用する経皮的な血糖モニタリング装置について説明する。センブロウィッチの米国特許第5,036,861号(ここに参照として組み込まれる)は、コリン作用薬がエクリン汗腺からの発汗分泌を促進するのに用いられるとき、皮膚用パッチを通して汗を収集する受動的グルコース・モニタについて説明する。同様の汗収集装置が、ショーエンドルファーの米国特許第5,076,273号およびシュレーターの米国特許第5,140,985(これらはここに参照として組み込まれる)に記載されている。
【0076】
さらに、グリクフェルドの米国特許第5,279,543号(ここに参照として組み込まれる)は、非侵襲的に皮膚を通って皮膚表面上の容器内に物質をサンプリングするためにイオントフォレーシスを用いることについて説明する。グリクフェルドは、このサンプリング処置が、血糖をモニタするためにグルコースに特有のバイオセンサまたはグルコースに特有の電極に接続できることを教示する。さらに、タマダの国際公開第WO96/00110号(ここに参照として組み込まれる)は、イオン泳動電極が検体を収集容器内に移動するために用いられ、容器内に存在する目的検体を検知するためにバイオセンサが用いられる、目的物質の経皮的なモニタリングのためのイオン泳動装置について説明する。最後に、バーナーの米国特許第6,144,869号(ここに参照として組み込まれる)は、存在する検体の濃度を測定するためのサンプリング・システムについて説明する。
【0077】
さらにまた、BG測定器または収集機構は、留置カテーテルおよび皮下組織液サンプリングを含んでも良い。
【0078】
コンピュータ、プロセッサまたはPDA1140は、自己記録されたまたは臨床補助装置により自動的に記録された糖尿病患者のデータを所定のフロー・シーケンスに従って処理、分析および解釈し、適切なデータ解釈出力を生成するのに必要なソフトウエアおよびハードウエアを含んでもよい。保存された患者データに対するコンピュータまたはプロセッサ1140によるデータ分析および解釈の結果は、パーソナル・コンピュータまたはプロセッサ1140に関連付けられたプリンタを通して生成された紙の報告書の形で表示されてもよい。あるいは、データ解釈手続きの結果は、コンピュータまたはプロセッサ1140に関連付けられたビデオ表示ユニットに直接表示されてもよい。結果はさらにデジタルまたはアナログ表示装置に表示されてもよい。パーソナル・コンピュータまたはプロセッサ1140は、通信ネットワーク1136を通して、データを医療サービス提供者コンピュータ1138に転送してもよい。通信ネットワーク1136を通して転送されたデータは、自己記録されたまたは自動臨床補助装置により自動的に記録された糖尿病患者のデータ、またはデータ解釈処理の結果を含んでもよい。
【0079】
図12は、装置1210を手に持って操作でき、患者によって携帯し得る、好ましくは十分に小型のハウジングを有する患者により操作される装置または臨床的に操作される装置1210である糖尿病管理システムを有する代替の実施形態のブロック図表示を示す。血糖テストストリップ(図示しない)を受けるストリップガイドがハウジング1216の表面上に設置される。テストストリップは患者1212から血液サンプルを受け取る。装置は、マイクロプロセッサ1222及びマイクロプロセッサ1222に接続されたメモリ1224を含んでもよい。マイクロプロセッサ1222は、上記により詳細に記述された様々な計算および管理機能を行なうため、メモリ1224に記憶されたコンピュータ・プログラムを実行するように設計されている。キーパッド1216は、標準のキーパッド・デコーダ1226を通してマイクロプロセッサ1222に接続されてもよい。ディスプレイ1214は、ディスプレイ・ドライバ1230を通してマイクロプロセッサに接続されてもよい。ディスプレイ1214は、デジタル及び/またはアナログでもよい。スピーカ1254およびクロック1256もまたマイクロプロセッサ1222に接続されてもよい。スピーカ1254は、将来の低血糖または高血糖のリスクの可能性を患者に警告する可聴音を発するように、マイクロプロセッサ1222の制御の下で作動する。クロック1256は、現在の日付と時間をマイクロプロセッサ1222に提供する。何れのディスプレイも視覚的であってもよく、可聴式に適応されてもよい。
【0080】
将来の血糖値、追加のインスリン服用量、および糖質補給を計算するため、メモリ1224は、患者1212の血糖値、インスリン服用量、インスリンの種類、およびマイクロプロセッサ1222に使用されるパラメータをも記憶する。各血糖値およびインスリン服用量は、対応する日付と時刻と共にメモリ1224に記憶されてもよい。メモリ1224は、電気的消去可能型読取専用メモリ(EEPROM)のような不揮発性メモリでもよい。
【0081】
装置1210はまた、マイクロプロセッサ1222に接続された血糖測定器1228を含んでもよい。グルコース測定器1228は、血糖テストストリップ上に受け取られた血液サンプルを測定し、血液サンプルの測定値から血糖値を生成するように設計されてもよい。上述したように、そのようなグルコース測定器は当技術分野で周知である。グルコース測定器1228は、マイクロプロセッサ1222への直接出力となるデジタル値を生成する種類のものが好適である。あるいは、血糖測定器1228はアナログ値を生成する種類のものであってもよい。この代替の実施形態においては、血糖測定器1228はアナログ・デジタル変換器(図示せず)を通してマイクロプロセッサ1222に接続される。
【0082】
装置1210はさらに、マイクロプロセッサ1222に接続されるシリアルポートのような入出力ポート1234を含んでもよい。ポート1234は、標準のRS232インターフェイスのようなインターフェイスによってモデム1232に接続されてもよい。モデム1232は、装置1210とパーソナル・コンピュータ1240または通信リンク1248を通して医療サービス提供者コンピュータ1238との間の通信リンク1248を確立するためのものである。図12のモジュールおよび構成要素は、所望のまたは必要な通信リンク1248を介して、様々な場所およびサイト(ローカル及び/または遠隔の)における適切なまたは望まれるコンピュータ・ネットワーク1252に送信されてもよい。さらに、補助的または診療装置またはシステム1254が、図12に示されるグルコース測定器や他のモジュールや構成要素に加えて、患者と連通してもよい。補助装置およびシステムの例としては、以下の一つまたはそれ以上の任意の組み合わせを含んでもよいが、必ずしもこれらに限定されない:インスリン・ポンプ、人工膵島、インスリン装置、パルス酸素測定センサ、血圧センサ、ICPセンサ、EMGセンサ、EKGセンサ、ECGセンサ、ECCセンサ、ペースメーカー、及び心拍数センサ、針、超音波装置、または皮下装置(および任意の他の生体測定センサまたは装置)。補助的または診療装置またはシステム1254およびグルコース測定器1228は、患者(すなわち被験者)といかなる種類の生理的または生物学的連通をしてもよいことが理解されるべきである。この生理的または生物学的連通は、直接的でも間接的でもよい。間接的な連通は、血液または他の生体液のサンプルを含むが、これらに限定されない。電子装置、システム、およびソフトウエアを配線あるいは無線での接続を通して接続する具体的な手法は、当技術分野で周知である。他の代替例は、「Bluetooth(登録商標)」技術の通信である。
【0083】
もう一つの方法として、図13は、装置1310を手に持って操作でき、患者によって携帯し得る、好ましくは十分に小型のハウジングを有する、図12に示されている装置と類似した、患者により操作される装置1310である糖尿病管理システムを有する代替の実施形態のブロック図表示を示す。例えば、別個のまたは取り外し可能なグルコース測定器またはBG収集機構/モジュール1328である。図13のモジュールおよび構成要素は、所望のまたは必要な通信リンク1336を介して、様々な場所およびサイト(ローカル及び/または遠隔の)における適切なまたは所望のコンピュータ・ネットワーク1352に送信されてもよい。さらに、補助的または治療介入装置またはシステム1354が、図13に示されるグルコース測定器や他のモジュールや構成要素に加えて、患者と連通してもよい。補助的装置およびシステムの例としては、インスリン・ポンプ、人工膵島、インスリン装置、パルス酸素測定センサ、血圧センサ、ICPセンサ、EMGセンサ、EKGセンサ、ECGセンサ、ECCセンサ、ペースメーカー、及び心拍数センサ、針、超音波装置、または皮下装置(および任意の他の生体測定センサまたは装置)の一つまたはそれ以上の任意の組み合わせを含んでもよいが、必ずしもこれらに限定されない。補助的または診療装置またはシステム1354およびグルコース測定器1328は、患者(すなわち被験者)といかなる種類の生理的または生物学的連通をしてもよいことが理解されるべきである。この生理的または生物学的連通は、直接的でも間接的でもよい。間接的な連通は、血液または他の生体液のサンプルを含むが、これらに限定されない。データを他のいかなるものにも送信することなく、本出願で開示されたアルゴリズムを直接計算し、その結果を患者に表示することができる自己モニタリング装置がすでに存在する。そのような装置の例としては、カリフォルニア州ミルピタスのライフスキャン社(LifeScan, Inc.)によるULTRA SMART、及びカリフォルニア州アラメダのテラセンス(Therasense)によるFREESTYLE TRACKERがある。
【0084】
ここに記述された様々な血糖測定器、システム、方法およびコンピュータ・プログラム製品は、CGMに適用可能であることが理解されるべきである。従って、様々な血糖測定器、システム、および方法が本発明の様々な実施形態と共に利用できる。例えば、CGM装置は、メドトロニック(Medtronic)によるGuardian及びParadigm、アボット糖尿病ケアのFreestyle navigator、デクスコム社(Dexcom, Inc.)によるDexcom Seven、または他の利用可能なCGM装置を含んでもよい。
【0085】
従って、ここに記述された実施形態は、図11〜13及び/またはここに参照として組み込まれるウッドの米国特許第5,851,186号に示されているように、インターネットのようなデータ通信ネットワーク上で実行でき、評価、推量、および情報を任意の遠隔地にある任意のプロセッサまたはコンピュータにアクセス可能にすることができる。あるいは、遠隔地にいる患者は、中央の医療サービス提供者、または住居、または異なる遠隔地の場所にBGデータを送信させてもよい。
【0086】
図11〜13で説明された構成要素/モジュールのいずれもが、一つのまたはそれ以上のハウジング内に一体化して包含されるか、または分離されるか、及び/または異なるハウジングに重複してもよいことは理解されるべきである。同様に、図11〜13で説明された構成要素のいずれもが、二度以上重複されてもよい。さらに、様々な構成要素およびモジュールが、意図する機能を行なうために、他の構成要素またはモジュールに置換するよう適応されていてもよい。
【0087】
図11〜13にある構成要素/モジュールのいずれもが、他のいずれの構成要素/モジュールと直接的にまたは間接的に連通してもよいこともまた理解されるべきである。
【0088】
図11〜13に示された医療サービス提供者コンピュータ・モジュールは、任意の医療サービス提供者、病院、クリニック、大学、媒介者、追跡者、または家、さらに、所望のまたは必要ないかなる他の場所、施設、または組織における、いかなる場所、人、スタッフ、医師、介護人、システム、装置、または設備であってもよいことが理解されるべきである。
【0089】
ここで説明されるように、患者または被験者は人であってもいかなる動物であってもよいことが理解されるべきである。動物は、哺乳動物、獣医のもとにいる動物、家畜動物、またはペット・タイプの動物等を含むが、それらに限られない、様々な任意の適用可能な種類であってもよいことが理解されるべきである。一例として、動物は、人間に類似したある特性を持つ(例えば、ネズミ、犬、豚、猿)等のように特に選択された実験動物であってもよい。被験者は、例えば、いかなる適用可能な人間の患者であってもよいことが理解されるべきである。患者または被験者は、所望のまたは必要な何れの治療、研究、診断、モニタリング、観測、療法、または介護を適用されてもよいが、それらに限られるものではない。
【0090】
図14は、本発明の一例としての実施形態または実施形態の一部を実行するためのコンピュータ・システム1400の機能ブロック図である。例えば、本発明の実施形態の方法またはシステムは、ハードウエア、ソフトウエアまたはそれらの組み合わせを用いて実行でき、一つかそれ以上のコンピュータ・システムまたは適切なメモリおよび処理能力を装備したパーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)、パーソナル・コンピュータ、ラップトップ、ネットブック等の他の処理システムで実行してもよい。一つの例示的な実施形態においては、本発明は、図14に図示されるように汎用コンピュータ上で動作するソフトウエア中で実行された。コンピュータ・システム1400は、プロセッサ1404のような一つかそれ以上のプロセッサを含んでもよい。プロセッサ1404は、通信基盤1406(例えば、通信バス、クロスオーバー・バー、またはネットワーク)に接続される。コンピュータ・システム1400は、グラフィックス、テキスト、及び/または他のデータを通信基盤1406から(または図示しないフレーム・バッファから)転送し、ディスプレイ・ユニット1430上に表示するためのディスプレイ・インターフェイス1402を含んでもよい。ディスプレイ・ユニット1430は、デジタル及び/またはアナログであってもよい。
【0091】
コンピュータ・システム1400は、好ましくはランダム・アクセス・メモリ(RAM)であるメインメモリ1408を含んでもよく、二次メモリ1410を含んでもよい。二次メモリ1410は、例えば、ハードディスク・ドライブ1412及び/またはフロッピー(登録商標)ディスク・ドライブ、磁気テープ・ドライブ、光ディスク・ドライブ、フラッシュ・メモリ等に相当するリムーバブル記憶装置ドライブ1414を含んでもよい。リムーバブル記憶装置ドライブ1414は、周知の方法でリムーバブル記憶装置ユニット1418から読み込み、及び/またはリムーバブル記憶装置ユニット1418に書き出す。リムーバブル記憶装置ユニット1418は、リムーバブル記憶装置ドライブ1414に読み込まれ、書き出されるフロッピー(登録商標)ディスク、磁気テープ、光ディスク等を示す。理解されるように、リムーバブル記憶装置1418は、その中にコンピュータ・ソフトウエア及び/またはデータを記憶したコンピュータで使用可能な記憶媒体を含む。
【0092】
代替の実施形態において、二次メモリ1410は、コンピュータ・プログラムまたは他の命令がコンピュータ・システム1400に読み込みを可能にする他の手段を含んでもよい。そのような手段は、例えば、リムーバブル記憶装置ユニット1422及びインターフェイス1420を含んでもよい。そのようなリムーバブル記憶装置ユニット/インターフェイスの例は、プログラム・カートリッジ及びカートリッジ・インターフェイス(ビデオゲーム装置において見られるような)、リムーバブル・メモリチップ(ROM、PROM、EPROMまたはEEPROMのような)及び関連するソケット、およびソフトウエアやデータがリムーバブル記憶装置ユニット1422からコンピュータ・システム1400に送信されることを可能にする他のリムーバブル記憶装置ユニット1422及びインターフェイス1420を含む。
【0093】
コンピュータ・システム1400は、さらに通信インターフェイス1424を含んでもよい。通信インターフェイス1424は、ソフトウエアやデータがコンピュータ・システム1400と外部装置との間で転送するのを可能にする。通信インターフェイス1424の例は、モデム、ネットワーク・インターフェイス(例えば、イーサネット(登録商標)・カード)、通信ポート(例えば、シリアルまたはパラレル等)、PCMCIAスロット及びカード、モデム等を含んでもよい。通信インターフェイス1424を介して転送されるソフトウエア及びデータは、電子の、電磁気の、光の、または通信インターフェイス1424によって受信され得る他の信号でありうる信号1428の形をとる。信号1428は、通信経路(即ち、チャネル)1426を介して通信インターフェイス1424に提供される。チャネル1426(またはここに開示されるいかなる他の通信手段またはチャネル)は、信号1428を伝え、ワイヤまたはケーブル、光ファイバ、Bluetooth(登録商標)、電話線、携帯電話リンク、RFリンク、赤外線リンク、無線リンクまたは接続および他の通信チャネルを用いて実行されてもよい。
【0094】
本文中において、「コンピュータ・プログラム媒体」および「コンピュータで使用可能な媒体」の用語は、概して様々なソフトウエア、ファームウエア、ディスク、ドライブ、リムーバブル記憶装置ドライブ1414、ハードディスク・ドライブ1412にインストールされたハードディスク、および信号1428のようなメディアまたは媒体に言及するのに用いられる。これらのコンピュータ・プログラム製品(「コンピュータ・プログラム媒体」および「コンピュータで使用可能な媒体」)は、ソフトウエアをコンピュータ・システム1400に提供するための手段である。コンピュータ・プログラム製品は、コンピュータ・プログラム論理をその上に有するコンピュータで使用可能な媒体を含んでもよい。本発明は、そのようなコンピュータ・プログラム製品を含む。「コンピュータ・プログラム製品」および「コンピュータで使用可能な媒体」は、コンピュータ論理を有するいかなるコンピュータ読み取り可能な媒体であってもよい。
【0095】
コンピュータ・プログラム(コンピュータ制御論理またはコンピュータ・プログラム論理とも呼ばれる)は、メインメモリ1408及び/または二次メモリ1410に記憶される。コンピュータ・プログラムは通信インターフェイス1424を介して受け取られてもよい。そのようなコンピュータ・プログラムは、実行されたとき、コンピュータ・システム1400がここに説明される本発明の特徴を遂行することを可能にする。具体的には、コンピュータ・プログラムは、実行されたとき、プロセッサ1404が本発明の機能を実行することを可能にする。従って、そのようなコンピュータ・プログラムがコンピュータ・システム1400の制御装置を表す。
【0096】
本発明がソフトウエアを用いて実行される実施形態において、ソフトウエアは、コンピュータ・プログラム製品中に記憶され、リムーバブル記憶装置ドライブ1414、ハード・ドライブ1412または通信インターフェイス1424を用いてコンピュータ・システム1400に読み込まれてもよい。制御論理(ソフトウエアまたはコンピュータ・プログラム論理)は、プロセッサ1404に実行されるとき、ここに記述された本発明の機能をプロセッサ1404に実行させる。
【0097】
別の実施形態では、本発明は、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)のようなハードウエア・コンポーネントを使用して、主にハードウエア中で実行される。ここに記述された機能を実行するためハードウエア状態のマシンを実行することは、関連する技術分野の当業者にとって明白であろう。
【0098】
さらに別の実施形態では、本発明はハードウエアとソフトウエア両方の組み合わせを用いて実行される。
【0099】
本発明の一例としてのソフトウエア実施形態では、上述した方法は、SPSS制御言語またはC++プログラミング言語で実行されてもよいが、他の様々なプログラム、コンピュータ・シミュレーションおよびコンピュータ利用設計、コンピュータ・シミュレーション環境、MATLAB(登録商標)、または他のいかなるソフトウエア・プラットフォームまたはプログラム、ウインドウズ・インターフェイス、またはオペレーティング・システム(または他のオペレーティング・システム)または当業者に既知または利用可能な他のプログラムで実行されてもよい。
【0100】
そうでないと記載されない限り、ここに用いられている全ての技術的用語は糖尿病治療の分野における通常の技能を持つ者によって一般的に理解されるのと同じ意味を持つ。特定の方法、装置、および材料が本出願中で記載されているが、ここに記載されているものと類似または同等のいかなる方法や材料も本発明を実行するのに使用し得る。本発明の実施形態がある詳細をもって、一例として例示説明されてきたが、このような例示は理解を明確にすることだけを目的としたものであり、限定することを意図したものではない。本発明の理解を伝えるため様々な用語が本記載において用いられ、これら様々な用語の意味は、それらの一般的な言語上または文法上の変化や形式にまで拡張することは理解されるべきである。また装置、機器、または医薬品を参照する専門用語が商標名、ブランド名、または一般名称を用いるとき、それらの名称は現代の例として示されているのであって、本発明はそれらの文字通りの範囲に限定されるものではないことも理解されるべきである。現代の用語の派生語または現代の用語によって包含される対象の主題を指定すると合理的に理解され得る後日導入された用語は、いま、現代の用語によって記載されたと理解されるべきである。さらに、理解を促進するために、例えば糖質摂取、グルコース・レベル、およびインスリン・レベルの間の量的相互関係のいくらかの理論考察が示されたが、本発明のクレームはそのような理論に縛られるものではない。さらにまた、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明のいかなる実施形態の一つ以上の特徴も本発明の他のいかなる実施形態の一つ以上の特徴と組み合わせることができる。さらにまた、本発明は例示のために説明された実施形態に限定されるものではなく、本特許出願に添付されたクレームを公正に読むことによってのみ定義され、これにはその各要素が資格を有する全範囲の同等物も含むべきものである。
【0101】
そうでないと明らかに明記されていない限り、いかなる特定の記述または例示された取り組みまたは要素、いかなる特定のシーケンスまたはそのような取り組み、いかなる特定の寸法、速度、材料、持続時間、外形、次元、または頻度、またはそのような要素のいかなる特定の相互関係に対しても、必要条件はない。さらに、いかなる取り組みも繰り返すことができ、いかなる取り組みも多数の実体により行うことができ、及び/またはいかなる要素も重複可能である。さらにまた、いかなる取り組みまたは要素を除外することもでき、取り組みの順序は変わってもよく、及び/または要素の相互関係が変わってもよい。本発明の態様は、所望のまたは必要な様々な寸法、外形、形状、構成、および材料であってよいことが理解されるべきである。
【0102】
要するに、本発明は、特定の実施形態に関して記述されてきたが、多くの変更、変形、修正、置き換え、および均等物が当業者には明らかであろう。本発明は、ここに記述された特定の実施形態によってその範囲を限定されるものではない。実際、ここに記述されたものに加え、本発明の様々な変更が上述した記述および添付の図面から当業者には明らかであろう。従って、本発明は、全ての変更および均等物を含む、次の請求の範囲の精神および範囲によってのみ限定されると見なされるべきである。
【0103】
それでも、ある例示的な実施形態の上記に挙げられた詳細な記載および図面を読むことから、この技術の当業者には他の実施形態が容易に明白になるだろう。多くの変形、変更、および追加の実施形態が可能であり、従って、そのような変形、変更、および実施形態が本出願の精神および範囲内にあると見なされるべきであることが理解されるべきである。例えば、本出願のいかなる部分(例えば名称、分野、背景、概要、要約、図面等)の内容にかかわらず、そうでないと明らかに明記されていない限り、いかなる特定の記述または例示された取り組みまたは要素、そのような取り組みのいかなる特定の順序、またはそのような要素のいかなる特定の相互関係も、この中のまたはここに優先権を主張するいかなる出願の請求項に包含することに対して必要条件はない。さらに、いかなる取り組みも繰り返すことができ、いかなる取り組みも多数の実体によって行なわれることができ、及び/またはいかなる要素も重複可能である。さらにまた、いかなる活動または要素も除外でき、活動のシーケンスは変わってもよく、及び/または要素の相互関係も変わってもよい。そうでないと明らかに明記されていない限り、いかなる特定の記述または例示された取り組みまたは要素、いかなる特定の順序またはそのような取り組み、いかなる特定の寸法、速度、材料、次元、または頻度、またはそのような要素のいかなる特定の相互関係にも必要条件はない。従って、本記述と図面は、本質的に例示的なものであって限定的なものではないと見なされるべきである。さらに、何れの数字や範囲がここに記述されている場合でも、そうでないと明らかに述べられていない限り、その数字または範囲は近似的なものである。何れの範囲がここに記述されている場合でも、そうでないと明らかに述べられていない限り、その範囲はその中の全ての値および全ての下位範囲を含む。参照によってここに組み込まれたいかなる資料(例えば、米国/外国特許、米国/外国特許出願、書籍、論文等)におけるいかなる情報も、これらの情報とここに記述された他の記述および図面との間に矛盾が存在しない範囲内でのみ参照として組み込まれる。この中のまたはここに優先権を主張するいかなる請求項をも無効にするような矛盾を含む、そのような矛盾がある場合には、そのような参照により組み込まれた資料中のいかなるそのような矛盾する情報も明確にここに参照として組み込まれない。
【0104】
参考文献
ここに開示された発明の様々な実施形態の装置、システム、コンピュータ・プログラム製品および方法は、ここにその内容全体が参照によって組み込まれる次の参照文献、出願、刊行物および特許に開示された態様を利用してもよい。
1.Stephen D. Patek, Marc Breton, and Boris P. Kovatchev, “Control of Hypoglycemia via Estimation of Active Insulin, Glucose Forecasts, and Risk-Based Insulin Reduction,” Abstract in the Proceeding of the 2nd International Conference on Advanced Technologies & Treatments for Diabetes (ATTD), Athens, Greece, February 25-28, 2009.
2.Stephen D. Patek, Marc Breton, Colleen Hughes, and Boris P. Kovatchev, “Control of Hypoglycemia via Estimation of Active Insulin, Glucose Forecasts, and Risk-Based Insulin Reduction,” Poster presented at the 2nd International Conference on Advanced Technologies & Treatments for Diabetes (ATTD), Athens, Greece, February 25-28, 2009.
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6.Stephen D. Patek, Eyal Dassau, Marc Breton, Howard Zisser, Boris Kovatchev, Francis J. Doyle III, “Safety Supervision Module in Open- and Closed-Loop Control of Diabetes,” Poster presented at the Diabetes Technology Meeting, November 2009.
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図11
図12
図13
図14
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10