(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
1.第1の実施形態
(構成)
以下において、左旋回の円偏光を左円偏光、右旋回の円偏光を右円偏光、左円偏光を選択的に透過する光学フィルタを左円偏光フィルタ、右円偏光を選択的に透過する光学フィルタを右円偏光フィルタと呼ぶ。
【0027】
図1には、実施形態の識別媒体100が示されている。識別媒体100は、観察する側から、コレステリック液晶層101、λ/4板102、直線偏光フィルタ層103、図柄印刷層(反射層)105、粘着層106と積層された構造とされている。コレステリック液晶層101は、右円偏光で緑の波長の光を選択的に反射し、この条件以外の光を透過する設定とされている。なお、反射する旋回方向の限定は一例であり、左旋回であってもよい。また、反射する光の中心波長も緑に限定されず、識別に利用できる波長であれば、赤等の他の色も選択可能である。
【0028】
コレステリック液晶層101には、図示しないホログラム加工が施されている。ホログラム加工は、エンボス型を押し付けることで行われている。ホログラム加工は、エンボス模様により生じる反射光の干渉効果により、ホログラム像を形成する。このホログラム像は、コレステリック液晶層101からの反射光を観察することで認識される。
【0029】
λ/4板102は、透過する光にλ/4に相当する位相差を与える層で屈折率異方性を有する材料で構成されている。直線偏光フィルタ層103は、ある決められた方向の直線偏光を選択的に透過し、他の偏光状態の光を遮断する直線偏光フィルタの層である。この例では、λ/4板102と直線偏光フィルタ層103の積層体により、円偏光層104が構成されている。
【0030】
円偏光層104は、コレステリック液晶層101の観察面側(図の上側)と反対の面の側(図の下側)に配置され、コレステリック液晶層101の側と反対の側の面(図の下の面)から自然光を入射させた場合に、第1の旋回方向(この場合は、右円偏光)とは逆の第2の旋回方向(この場合は、左円偏光)の光をコレステリック液晶層101に向かって(図の上方向に向かって)選択的に透過する光学機能層の一例である。
【0031】
すなわち、円偏光層104は、図の下の方向から自然光を入射させた場合に、選択的に左円偏光をコレステリック液晶層101に向かって透過する機能を備えている。つまり、図柄印刷層105の側から自然光を入射させた場合に、円偏光層104からコレステリック液晶層101に向かって透過する光は、左円偏光が優先され、他の偏光成分が遮断される(あるいは大きく減衰される)光学特性とされている。
【0032】
具体的には、円偏光層104は、図側印刷層105の側から自然光を入射させると、コレステリック液晶層101の側に左円偏光を選択的に透過するように、λ/4板102と直線偏光フィルタ層103の光軸の向きの関係が設定されている。つまり、円偏光層104は、コレステリック液晶層101に向かう視線で見た場合に、左円偏光フィルタとなるように、λ/4板102と直線偏光フィルタ層103の光軸の向きの関係が設定されている。
【0033】
図柄印刷層105は、光透過性の樹脂フィルム上にインクによる印刷を施し、特定の図柄を形成した層である。図柄印刷層105は、図柄模様を図の上方向に反射する層として機能する。この層は、図柄をより鮮明にするため、印刷の一部または全面に蒸着などによる金属反射層を含んでも良い。粘着層106は、粘着材に黒や濃い色の色素を添加した層で、識別対象となる対象物に識別媒体100を貼り付ける粘着機能と入射した可視光を吸収する光吸収層としての機能を有している。
【0034】
(製造方法)
まず、コレステリック液晶層101を図示しない配向基板上で成長させる。またこれとは別にλ/4板102、直線偏光フィルタ層103、図柄印刷層105を積層したものを用意する。そして、コレステリック液晶層101を上記配向基板から剥がし、図示省略されている偏光状態を乱さない材質の光透過性のフィルム(例えば、TAC(トリアセチルセルロース)フィルム)に転移した後にホログラム加工を施す。その後、λ/4板102の露出面上に積層する。各層の固定は、光透過性の樹脂接着剤を用いて行う。最後に粘着層106を形成し、識別媒体100を得る。
【0035】
なお、図示省略されているが、粘着層106の露出面側には、離型紙が貼り付けられる。識別媒体100を識別対象物に貼り付ける際には、この離型紙を剥がし、粘着層106を対象物に接触させることで、識別媒体100の識別対象物への貼り付けが行われる。
【0036】
(機能)
図2は、
図1の識別媒体100の光学機能の原理を示す概念図である。まず、左円偏光フィルタ110を識別媒体100から離して配置し、左円偏光フィルタ110越しに識別媒体100をコレステリック液晶層101の側から観察した場合を説明する。この場合、コレステリック液晶層101には、自然光が入射する。ここで、コレステリック液晶層101が右円偏光を選択的に反射し、他の偏光状態の光を透過する設定であるので、この自然光の内、特定波長の右円偏光以外の成分がコレステリック液晶層101を透過し、λ/4板102に入射する。そして、λ/4板102から直線偏光フィルタ層103に透過した特定の直線偏光成分が直線偏光フィルタ層103を透過し、図柄印刷層105に入射する。
【0037】
この入射光(直線偏光)は、図柄印刷層105において同じ偏光の状態で反射され、前とは逆の経路を辿って円偏光層104に図の下の方向から入射する。円偏光層104は、図の下方から光が入射した際に、図の上方に左円偏光を透過する設定とされているから、この入射光に対応する円偏光層104の透過光は左円偏光となり、コレステリック液晶層101を透過する。
【0038】
この場合、左円偏光フィルタ110を介しての観察であるから、上記コレステリック液晶層に図の下方から入射する左円偏光は、左円偏光フィルタ110を透過し、観察者に視認される。こうして、図柄印刷層105からの反射光が観察される。一方、コレステリック液晶層101からの反射光(右円偏光)は、左円偏光フィルタ110で遮断されるので、コレステリック液晶層101のホログラム像は観察できない。
【0039】
こうして、左円偏光フィルタ110越しに識別媒体100を観察した場合、図柄印刷層105の図柄が見え、コレステリック液晶層101のホログラム像が見えない、選択的な像の見え方が得られる。
【0040】
次に、右円偏光フィルタ111を識別媒体100から離して配置し、右円偏光フィルタ111越しに識別媒体100をコレステリック液晶層101の側から観察した場合を説明する。この場合もコレステリック液晶層101には、自然光が入射する。ここで、コレステリック液晶層101が右円偏光を選択的に反射し、他の偏光状態の光を透過する設定であるので、この自然光の内、特定波長の右円偏光が反射され、それ以外の成分がコレステリック液晶層101を透過し、λ/4板102に入射する。
【0041】
コレステリック液晶層101からの右円偏光は、右円偏光フィルタ111を透過するので、観察者に視認される。一方、λ/4板102に入射したその他の偏光(特定波長の右円偏光以外の成分)は、λ/4板を透過し、その中の特定の直線偏光成分が直線偏光フィルタ層103から図柄印刷層105の側に透過する。
【0042】
この図柄印刷層105への入射光(直線偏光)は、図柄印刷層105において同じ偏光の状態で反射され、前とは逆の経路を辿って円偏光層104に図の下の方向から入射する。円偏光層104は、図の下方から光が入射した際に、図の上方に左円偏光を透過する設定とされているから、この入射光に対応する円偏光層104の透過光は、左円偏光となり、コレステリック液晶層101を透過する。
【0043】
この場合、右円偏光フィルタ111を介しての観察であるから、上記コレステリック液晶層に図の下方から入射し、そこを透過する左円偏光は、右円偏光フィルタ111を透過できず、観察者に届かない。こうして、コレステリック液晶層101に形成されたホログラム図柄のみが選択的に観察される。
【0044】
また、コレステリック液晶層101の選択反射特性は完全なものではなく、本来反射すべき右円偏光を一部透過する(透過光が漏れる)。この透過成分は、円偏光層104に入射する。ここで、円偏光層104は、左円偏光を図の上方から入射させた場合に、それを直線偏光として、図の下方に透過する設定とされているから、図の上方から右円偏光が入射した場合は、この入射光は、円偏光層104で遮断される。詳細にいうと、図の上方から右円偏光が円偏光層104に入射すると、λ/4板で直線偏光とされ、この直線偏光が直線偏光フィルタ層103で遮断される。このため、コレステリック液晶層101を漏れて透過した右円偏光成分に起因する光は、図柄印刷層105に到達できず、この漏れ光に起因する図柄印刷層105の反射光は得られない。
【0045】
こうして、右円偏光フィルタ111越しに識別媒体100を観察した場合、図柄印刷層105の図柄が見えず、コレステリック液晶層101のホログラム像のみが見える選択的な像の見え方が得られる。
【0046】
以上説明したように、左円偏光フィルタ110越しに識別媒体100を観察した場合に、図柄印刷層105に形成された図柄が選択的に見える。そして、右円偏光フィルタ110越しに識別媒体100を観察した場合に、コレステリック液晶層101に形成された図柄が選択的に見える。つまり、用いる円偏光フィルタを切り替えることで、第1の像のみが視認される場合と第2の像のみが視認される場合とを切り替えることができる。なお、円偏光フィルタを用いずに直視した場合、両方の像(図柄)が同時に見える。
【0047】
(優位性)
上述したように、左右の円偏光フィルタを切り替えて識別媒体100を観察した際に、図側印刷層が共通に見えてしまう問題が発生せず、図柄印刷層105の像とコレステリック液晶層101のホログラム像とを択一的に観察することができる。このため、明確な図側の切り替わりが観察できる識別媒体が提供される。また、コレステリック液晶層101のホログラム像を観察する際に、下地の図柄印刷層105が見えないので、図柄印刷像に幻惑されない明瞭なホログラム像を観察することができる。
【0048】
(比較例1)
以下、
図2の例において、λ/4板102と直線偏光フィルタ層103を取り除いた場合における光学特性を説明する。この場合、左円偏光フィルタ111を用いた観察において、図柄印刷層105にランダムな方向の成分を有する直線偏光が入射し、その反射光がコレステリック液晶層101を図の下から上の方向に透過する。この光は、損失を受けながらも右円偏光フィルタ111を観察者側に透過し、観察される。このため、コレステリック液晶層101のホログラム像に加えて、薄く図柄印刷層105の図柄も同時に観察される。
【0049】
(比較例2)
以下、
図2の例において、λ/4板102と直線偏光フィルタ層103の位置関係を入れ替えた場合(つまり、円偏光層の表裏を逆にした場合)における光学特性を説明する。この場合、左円偏光フィルタ110を用いた観察において、コレステリック液晶層101を透過したその他偏光は、直線偏光フィルタ層103とλ/4板102の積層構造に入射する。この積層構造を透過する光は、左円偏光となり、この左円偏光は、図柄印刷層105で反射される。この際、旋回方向が反転し、この反射光は右円偏光となる。
【0050】
この右円偏光は、λ/4板102に入射し、さらにその後、直線偏光フィルタ層103に入射するが、
図2に示すように、λ/4板の側から円偏光層104に右円偏光が入射した場合、その光は、直線偏光フィルタ層103で遮断され、透過光は得られない。よって、この場合、図柄印刷層105からの反射光は、円偏光層104を透過せず視認されない。
【0051】
またこの際、左円偏光フィルタ110越しに識別媒体を観察しているので、コレステリック液晶層101からの反射光も観察できない。よって、左円偏光フィルタ110を用いた場合、コレステリック液晶101のホログラム像も図柄印刷層105の像も観察できず、
図2に示す本実施形態の像の切り替わりを観察することはできない。つまり、本発明の光学機能は得られない。
【0052】
(その他)
図1に示す構成において、コレステリック液晶層101の光学特性として、左円偏光を選択的に反射する特性としてもよい。この場合、円偏光フィルタ層104は、図の下方から自然光を入射させた際に、右円偏光を選択的に透過するように設定する。
【0053】
図柄印刷層105を設ける代わりに、直線偏光層103の下面に印刷を行い、そこを図柄が形成された反射層として利用することもできる。この場合、構成が簡略化され、識別媒体100の低コスト化および薄型化が図れる。
【0054】
図柄印刷層105は、像として認識される反射光が得られればよいので、インクの印刷による図柄の形成に限定されない。例えば、図柄印刷層105として金属反射パターンを設けた層を利用することもできる。この場合、金属反射パターンからの反射光による像が形成される。また、図柄反射層105を透明樹脂層とその下の金属反射層により構成し、透明樹脂層にホログラム加工を施し、ホログラム像が反射されるようにすることもできる。
【0055】
図3には、他の実施形態である識別媒体200が示されている。識別媒体200は、円偏光層104の下面(非観察面側)に粘着層201が設けられている。粘着層201は、透明な樹脂材料により構成されている。他の構成は、
図1の識別媒体100と同じである。
【0056】
識別媒体200は、粘着層201の粘着力により識別対象物に貼り付けられた状態において、識別対象物の表面の図柄を利用して識別機能を発揮する。すなわち、
図2に示す構成では、
図1の図柄印刷層105の図柄に対応する図柄として、図示しない識別対象物の表面の図柄(勿論、模様等であってもよい)を利用する。この構成では、図柄印刷層を備えていないので、構成が簡略化される。
【0057】
また、
図1に示す構成において、粘着層106を光透過性とし、図柄印刷層105からの反射像に加えて、識別対象物表面からの反射光に含まれる像を下地からの像として識別に利用する構成も可能である。
【0058】
以上説明した本発明の各種例示において、ホログラム像や図柄は、識別性が得られるものであればその内容は特に限定されず、図形、文字、数字、各種デザイン、模様等から適宜選択することができる。また、ホログラム像や図柄として、バーコードやカラーコードのようなコード表示、光学系で拡大することで読み取ることができる各種の表示を採用することも可能である。
【0059】
識別媒体100が貼り付けられる物品としては、偽造品を見分ける(真贋の識別が)必要なものであれば、特に限定されない。このような物品の例としては、クレジットカード、パスポート、有価証券、各種製品のパッケージ、免許証、IDカード、衣料品、製品に付けるタグ、小物、電子機器、各種の部品、工業製品、各種の消耗品等が挙げられる。
【0060】
図2には、本発明を利用した識別媒体から離した位置に観察用の光学フィルタ(円偏光フィルタ)を位置させ、識別のための観察を行う場合を説明したが、左円偏光フィルタ110や右円偏光フィルタ111を、識別媒体100に接触させた状態で観察を行っても良い。この場合、メカニズムが異なるが、それぞれの円偏光フィルタ越しに見える識別媒体100の見え方は、
図2に関連して説明した場合と同じである。
【0061】
2.第2の実施形態
(構成)
図4(A)には、実施形態の識別媒体700を正面から見た状態が示されている。ここで、識別媒体700は、セパレータ(離型紙)701上に貼り付けられた状態が示されている。識別媒体700は、機械部品、電子部品、その他各種製品等(あるいはそのパッケージ)に貼り付けられて使用される。識別媒体700は、2次元コード表示702、2次元コード表示702に重ねて設けられたホログラム表示703を備えている。2次元コード表示702は、第2の図柄の一例であり、例えば2次元バーコードである。2次元コード表示702には、例えば当該識別媒体が貼り付けられる対象物に係る各種の情報や当該対象物に関する情報を取得できるインターネットアドレス等の情報がコード化されて記憶されている。ホログラム表示703は、第1の図柄の一例であり、2次元コード表示702の読み取りに識別性を与える機能を有する。また、識別媒体700は、例えば製品名、製造メーカ、ロット番号、その他情報が印刷表示されたその他印刷表示704を備えている。
【0062】
図4(B)には、識別媒体700にセパレータ701を貼り付けた状態の断面構造が示されている。以下、識別媒体700の断面構造について説明する。識別媒体700は、基材紙712を基材としている。基材紙712の図の下面側には、粘着材料による粘着層711が設けられている。識別媒体700を対象物に貼り付ける際には、セパレータ701を粘着層711から剥がし、露出した粘着層711を対象物に接触させることで、対象物に識別媒体700を固定する。
【0063】
基材紙712の粘着層711が設けられた側と反対の側の面(図の上面)には、印刷により設けられた2次元コード表示702とその他印刷表示704を構成するインクの層が設けられている。2次元コード表示702の上には、光学的に透明な粘着層714が設けられ、その上には、直線偏光フィルタ層715と(λ/4)板716を積層した円偏光フィルタ層717が配置されている。
【0064】
円偏光フィルタ層717の上には、コレステリック液晶層718が設けられている。コレステリック液晶層718には、ホログラム表示703を行なうための型押加工が施されている。ここで、コレステリック液晶層718が選択反射する円偏光の旋回方向と、円偏光フィルタ層717を図の下から上に向けて透過する円偏光の旋回方向とが逆方向となるように設定されている。また、ホログラム表示703は、2次元コード表示702と重なる位置に形成されている。そして、コレステリック液晶層718の上には、TACフィルム等により構成される透明保護層719が設けられている。
【0065】
(光学機能)
以下の説明において、コレステリック液晶層718が右円偏光を選択反射し、円偏光フィルタ層717を図の下から上に向けて左円偏光が選択的に透過する設定であるとする。また、識別媒体700は、
図4(B)の上の方向から観察するものとする。この場合、識別媒体700を直視すると、2次元コード表示702、ホログラム表示703、その他印刷表示704が視認される。この場合、ホログラム表示703が障害となり、2次元コード表示702からのコードの読み取りは行えない。例えば、2次元コード表示702が2次元バーコードである場合、携帯電話のカメラやバーコードリーダを用いたコードの読み取りは行えない。
【0066】
ここで、左円偏光フィルタを介して識別媒体700を観察すると、コレステリック液晶層718からの右円偏光の反射光は、左円偏光フィルタにより遮断されるので、観察できない。他方で、2次元コード表示702からの反射光に含まれる左円偏光は、円偏光フィルタ層717を図の下から上に向けて透過し、更にこの左円偏光の透過光は、コレステリック液晶層718とビューアである左円偏光フィルタを透過する。このため、左円偏光フィルタを介した観察において、2次元コード表示が選択的に明瞭に観察できる。当然、この状況で読取装置を利用した2次元コード表示702の光学的な読み取りが可能となる。
【0067】
また、右円偏光フィルタを介して識別媒体700を観察すると、コレステリック液晶層718から選択反射される右円偏光は、右円偏光フィルタを透過するので、観察される。他方で、2次元コード表示702からの反射光は、左円偏光として右円偏光フィルタに入射するので、そこで遮断され、観察できない。つまり、右円偏光フィルタを介して識別媒体700を観察すると、ホログラム表示703が選択的に視認される。また、この状態で識別媒体700を傾け、見る角度を変化させると、コレステリック液晶層718のカラーシフトが観察され、その色合いの変化による識別機能が得られる。
【0068】
(製造方法)
図4(C)に示すように、セパレータ701に貼り付けられた識別媒体700は、紙ラベル部720とホログラムラベル部730とで構成されている。この構成では、紙ラベル部720とホログラムラベル部730とを別に作り、粘着層714の粘着機能により、両者を合体させることで、識別媒体700を得る。
【0069】
図5には、複数の紙ラベル部720がリボン状のセパレータ701に貼り付けられ、テープ状にされた状態が示されている。
図5(A)は、正面から見た様子であり、
図5(B)は、ロール721に巻き取られた状態を示す側面図である。
図6には、複数のホログラムラベル部730がリボン状のセパレータ731に貼り付けられ、テープ状にされた状態が示されている。
図6(A)は、正面から見た様子であり、
図6(B)は、ロール732に巻き取られた状態を示す側面図である。
【0070】
例えば、セパレータ731からホログラムラベル部730を剥がし、それを紙ラベル部720のホログラム表示部702(
図4(C)参照)に貼り付けることで、
図4に示すセパレータ701に貼り付けられた状態の識別媒体700が得られる。
【0071】
(製造装置)
図7には、
図4に示すセパレータ701に識別媒体700が貼り付けられた構成を有する識別ラベルを製造する識別ラベル製造装置の一例が示されている。
図7には、識別ラベル製造装置750が示されている。識別ラベル製造装置750には、
図5のロール721が装着されている。ロール721には、複数の紙ラベル部720(
図4(C)参照)が貼り付けられたセパレータ701が巻き取られている。ここで、セパレータ701には、ミシン目が設けられており、後に簡単に分離が可能な構造とされている。複数の紙ラベル部720が貼り付けられたセパレータ701は、ロール721から巻き出され、ガイドロール751を経て、ガイドロール752に至る。ガイドロール752に対向して印刷手段である印刷ヘッド753が配置されており、紙ラベル部720に対する印刷が可能とされている。印刷ヘッド753において印刷可能な内容は、
図4の2次元コード印刷702およびその他印刷表示704の一部または全部である。印刷ヘッド753としては、インクジェット方式のものを挙げることができる。
【0072】
他方で、識別ラベル製造装置750には、
図6のロール732が装着されている。ロール732には、粘着層714の粘着力により、複数のホログラムラベル部730(
図4(C)参照)が貼り付いたリボン状のセパレータ731が巻き取られている。上述したロール721からのセパレータ701の巻き出しに同期させて、ロール732からのセパレータ731の巻き出しが行なわれる。
【0073】
ロール732から巻き出されたホログラムラベル部730を有したセパレータ731は、対抗した一対のロールにより構成される貼り付けローラー754に送られ、そこでセパレータ731からホログラムラベル部730が剥がされて分離される。そして分離されたホログラムラベル部730の粘着層714は、紙ラベル部720の2次元コード印刷702およびその他印刷表示704が行われている面と接触する。この際、
図4(C)に示すように、ホログラムラベル730の粘着層714が紙ラベル部720の2次元コード印刷702の部分に接触する。ここで、貼り付けローラー754から受ける圧力により、ホログラムラベル730が紙ラベル部720に貼り付けされる。なお、
図4(C)には、
図7のセパレータ731は図示されていない。この貼り付けは、粘着層714の粘着機能によって行われる。この際、粘着層714の材質に応じて熱や紫外光を照射し、粘着機能の発現を助長してもよい。ホログラムラベル730を紙ラベル部720側に貼り付けした後のセパレータ731は、巻き取りロール755に巻き取られる。
【0074】
こうして、貼り付けローラー754において、
図4に示す識別媒体700の複数が、セパレータ701に固定された状態が得られ、それが識別ラベル製造装置750の外部に出力される。ここで、セパレータ701には、個々の識別媒体700をセパレータ701ごと切り離すことができるようにミシン目が入れられており、簡単な作業でセパレータ701に貼り付けられた状態のラベル状の識別媒体700を得ることができる。
【0075】
図7に示す識別ラベル700は、紙ラベル部720に対して、印刷ヘッド753においてリアルタイムに印刷を行いつつ、その印刷内容の読み取りに識別性を持たせるホログラムラベル部730を形成することができる。この作業は、識別対象となる製品の製造現場や流通現場(例えば、出荷のための包装を行なう現場)において可能である。例えば、製品の出荷が行なわれる施設内において、顧客ごとにカスタマイズされた多様な仕様の製品毎に対応する情報を印刷ヘッド753から2次元コード表示702として印刷し、その上に識別性を持たせるためのホログラム表示703を形成する作業が可能となる。