(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一般式(1)の繰り返し単位を有する共有結合性およびイオン結合性架橋高分子、
【化1】
式中Qは単結合、酸素、硫黄、
【化2】
であり、R基は芳香族または複素環式芳香族化合物を有する二価の基であり、
a)R基は一般式(4A)、(4B)、(4C)、(4D)、(4E)、(4F)、(4G)および/または(4H)の置換基を少なくとも一部に有し、
【化3】
式中、R
1基は互いに独立して、1〜40の炭素原子を含む、分岐状もしくは直鎖状アルキル基またはシクロアルキル基、またはアルキル化されていてもよいアリール基であり、
Mは水素、金属カチオン
、またはアルキル化されていてもよいアンモニウムイオンであり、
Xはハロゲンまたはアルキル化されていてもよいアミノ基であり、
b)R基は一般式(5A)の置換基を少なくとも一部に有し、
【化4】
式中、R
2、R
3、R
4は互いに独立して1〜40の炭素原子を含む、分岐状もしくは直鎖状アルキル基またはシクロアルキル基、またはアルキル化されていてもよいアリール基であり、R
2、R
3およびR
4基の少なくとも二つは閉環して任意の芳香環を形成していてもよく、
および/またはR基は少なくとも一部が一般式(5C)および/または(5D)の基であり、
【化5】
式中、R
2、R
3、R
4およびR
5は互いに独立して1〜40の炭素原子を含む、分岐状もしくは直鎖状アルキル基またはシクロアルキル基、またはアルキル化されていてもよいアリール基であり、R
2、R
3およびR
4基の少なくとも二つは閉環して任意の芳香環を形成していてもよく、および、
c)R基は少なくとも一般式(6)の架橋を一部に有し、
【化6】
該架橋は、少なくとも二つのR基を互いに接合させ、Yは1〜40の炭素原子を有する、分岐状もしくは直鎖状のアルキル基またはシクロアルキル基、またはアルキル化されていてもよいアリール基であり、
Zはヒドロキシル基、または一般式(7)の基、
【化7】
で、またmは2であることを特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0014】
これらの目的およびさらなる目的は明白に記載されていないが、ここに前置き的に論じた状況から容易に導かれるか、または推論できるもので、請求項1の全ての特徴を有する共有結合性およびイオン結合性の架橋高分子により成し遂げられる。本発明の架橋高分子の好ましい変形は、請求項1を基に引用する従属項中で保護されている。本発明の架橋高分子の製造方法は製法の請求項中に記載されており、一方、使用カテゴリーの請求項は、本発明の架橋高分子の好ましい用法を保護する。
【0015】
一般式(1)の繰り返し単位をを有し、次のように特徴づけられる共有結合性およびイオン結合性架橋高分子が有用であるという事実によって、直ちに予想できなかったものである、よりよい機械的特性、弾性率、高い抗張率、高い膨張特性を有する架橋高分子が入手可能になっている。
a)R基は少なくとも一部に一般式(4A)、(4B)、(4C)、(4D)、(4E)、(4F)、(4G)、および/または(4H)の置換基を有し、
【0017】
式中、R
1は互いに独立して、結合または1〜40の炭素原子を含む基であり、好ましくは分岐状もしくは直鎖状のアルキル基、シクロアルキル基、またはアルキル化されていてもよいアリール基であり、
Mは水素、金属カチオン、好ましくはLi
+、Na
+、K
+、Rb
+、Cs
+、またはアルキル化されていてもよいアンモニウムイオンであり、および
Xは水素、またはアルキル化されていてもよいアミノ基であり、
b)R基は少なくとも一部に一般式(5A)および/または(5B)の置換基を有し、
【0019】
式中、R
2、R
3、R
4およびR
5は互いに独立して1〜40の炭素原子を含む基であり、好ましくは分岐状もしくは直鎖状アルキル基またはシクロアルキル基、およびアルキル化されていてもよいアリール基であり、R
2、R
3およびR
4基の少なくとも二つは閉環して任意の芳香環を形成していてもよく、
および/またはR基は少なくともある部分で一般式(5C)および/または(5D)の基であり、
【0021】
c)R基は少なくとも一部に一般式(6)の架橋を有し
【0023】
該架橋は、少なくとも二つのR基を互いに結合させ、Yは1〜40の炭素原子を含む基であり、好ましくは分岐状もしくは直鎖状アルキル基またはシクロアルキル基、またはアルキル化されていてもよいアリール基であり、
Zはヒドロキシル基、一般式(7)の基
【0025】
または20g/molを超える分子量を有する基であり、任意の要素H、C、O、N、S、Pおよび水素原子から成り、また
mは2またはそれより大きい整数である。
【0026】
同時に本発明の架橋高分子はいくつかのさらなる利点を表す。これらは中でも次ことを含む:
⇒ドープした高分子膜は低い体積抵抗をもち、好ましくは25℃で、100Ωcmまたはそれ未満である。
⇒ドープした高分子膜は水素、酸素、ならびにメタノールに関して、非常に低い透過性を有する。
⇒本発明の架橋高分子の極めて薄い膜は、全厚さが10〜100μmの間で、80℃での、十分によい物性を有する。特に機械的安定性が非常に高く、水素、酸素およびメタノールに関する浸透性が低い。
⇒特に標準圧力下で、ドープした高分子膜は80℃以上の燃料電池への用途に適する。
⇒ドープした高分子膜は、工業スケールで、容易かつ安価に生産され得る。
【0027】
本発明では、架橋高分子は、同一または異なる化学的同一性を有し、集合形態で存在する線状または分岐状高分子が互いに結合して、3次元高分子ネットワークを形成しているものである。この場合において、架橋は共有結合の形成方法およびイオン結合の形成方法の両方に影響される。より詳細には技術文献、例えばbeing CD Rompp Chemie Lexikon - Version 1.0, Stuttgart/New York: Georg Thieme Verlag 1995から得られ、“架橋”について記載し、また引用文献はその部分のものを引用した。
【0028】
本発明の架橋高分子は一般式(1)の繰り返し単位を有し、特に繰り返し単位は(1A)、(1B)、(1C)、(1D)、(1E)、(1F)、(1G)、(1H)、(1I)、(1J)、(1K)、(1L)、(1M)、(1N)、(1O)、(1P)、(1Q)、(1R)、(1S)および/または(1T)に相当する:
【0030】
ここで、全ての繰り返し単位数を基にして
0<x,y<100%であり、
【0034】
ここでR
6は互いに独立して、同一または異なって、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、4,4’−ビフェニル、複素環式芳香族化合物の二価の基、C
10芳香族化合物の二価の基、C
14芳香族化合物の二価の基および/または二価のピレン基である。C
10芳香族化合物の例としてはナフタレン;C
14の芳香族化合物の例は、フェナントレンである。芳香族化合物および/または複素環式芳香族化合物の置換反応のパターンは任意で、フェニレンの場合、例えば、R
6はオルト−、メタ−およびパラ−フェニレンである。
【0035】
R
7、R
8およびR
9基は一価、四価および三価の芳香族または複素環式芳香族化合物基をそれぞれ表し、U基は繰り返し単位内では同一で、酸素原子、硫黄原子、またはアミノ基であり、これらは水素原子を運搬し、1〜20の炭素原子を有する基で、好ましくは分岐状または直鎖状のアルキル基もしくはアルコキシ基、または他の基(further radical)としてのアリール基である。
【0036】
本発明において、さらに好ましい一般式(1)の繰り返し単位を有する高分子としては、Victrex720P(登録商標)およびAstrel(登録商標)のような、例えばランダムコポリマーなどのホモポリマーおよびコポリマーが挙げられる。特に好ましい高分子はポリアリールエーテル、ポリアリルチオーテル、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアゾ−ル、フェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアニリン、ポリアズレン、ポリカルバゾール、ポリピレン、ポリインドフェニン、およびポリビニルピリジン、特にポリアリールエーテル:
ポリフェニレンオキシド
【0038】
ポリアリールチオエーテル:
ポリフェニレンスルフィド
【0040】
ポリスルホン:
Victrex200P(登録商標)
【0044】
ここで、n>o、
Radel(登録商標)
【0052】
ここで、n>o、
Udel(登録商標)
【0060】
ポリアゾ−ル:
ポリベンズイミダゾール
【0078】
本発明において特に好ましくは、一般式(1A−1)、(1B−1)、(1C−1)、(1I−1)、(1G−1)、(1E−1)、(1H−1)、(1I−1)、(1F−1)、(1J−1)、(1K−1)、(1L−1)、(1M−1)および/または(1N−1)の繰り返し単位を有する架橋高分子である。
【0079】
本発明では、nは架橋高分子の一つの高分子鎖における繰り返し単位数を表す。架橋高分子の一つの高分子鎖における一般式(1)の繰り返し単位数は、10またはより大きい、特に100またはそれより大きい整数である。架橋高分子の一つの高分子鎖における一般式(1A)、(1B)、(1C)、(1D)、(1E)、(1F)、(1G)、(1H)、(1I)、(1J)、(1K)、(1L)、(1M)、(1N)、(1O)、(1P)、(1Q)、(1R)、(1S)および/または(1T)の繰り返し単位数は、好ましくは10またはそれより大きい、特に100またはそれより大きい整数である。
【0080】
本発明の特に好ましい実施形態は、高分子鎖の数平均分子量は25,000g/mol、好ましくは50,000g/mol以上で、特には100,000g/mol以上である。
【0081】
また本発明の架橋高分子は、原則として一つの高分子鎖において、異なった繰り返し単位を含んでもよい。しかしながら好ましくは、一般式(1A)、(1B)、(1C)、(1D)、(1E)、(1F)、(1G)、(1H)、(1I)、(1J)、(1K)、(1L)、(1M)、(1N)、(1O)、(1P)、(1Q)、(1R)、(1S)および/または(1T)の同一の繰り返し単位のみを含む。
【0082】
本発明では、R基は一般式(4A)、(4B)、(4C)、(4D)、(4E)、(4F)、(4G)および/または(4H)、好ましくは一般式(4A)、(4B)、(4C)および/または(4D)、より好ましくは一般式(4A)、(4B)、および/または(4C)、特に一般式(4A)の置換基を少なくとも一部に有する:
【0084】
ここでR
1基は互いに独立して結合または1〜40の炭素原子を有し、好ましくは分岐状または直鎖状アルキル基またはシクロアルキル基、もしくはアルキル化されていてもよいアリール基を有する基である。本発明において特に好ましくは、R
1は結合である。
【0085】
Mは水素、金属カチオン、好ましくはLi
+、Na
+、K
+、Rb
+、Cs
+またはアルキル化されていてもよいアンモニウムイオン、好ましくは水素もしくはLi
+、特には水素を表す。
【0086】
Xはハロゲンまたはアルキル化されていてもよいアミノ基である。
【0087】
さらに、本発明によれば、R基は一般式(5A)および/または(5B)、好ましくは(5A)の置換基を少なくとも一部に有し、
【0089】
および/またはR基は一般式(5C)および/または(5D)、好ましくは(5C)の置換基を少なくとも一部に有する。
【0091】
式中、R
2、R
3、R
4およびR
5は互いに独立して1〜40の炭素原子を有する基を表し、好ましくは分岐状または直鎖状のアルキル基、シクロアルキル基、またはアルキル化されていてもよいアリール基で、R
2、R
3およびR
4基の少なくとも二つは任意の芳香環を形成するために閉鎖してもよい。
【0092】
もしRが一般式(5A−1)および/または(5A−2)の置換基を少なくとも一部に持つならば、特に有効な効果が生じる。
【0094】
ここで、R
10はアルキル化されていてもよいアリール基を表し、少なくとも一つのアルキル化されていてもよいアミノ基、またはアルキル化されていてもよい複素環式芳香族化合物を含み、複素環式芳香族化合物の環において少なくとも一つの任意なアルキル化アミノ基を有するか、少なくとも一つの窒素原子を有するかのどちらかである。R
11は水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、もしくはヘテロアリール基、および上記で明記した定義のR
10基であり、R
10およびR
11は同一または異なっていてもよい。
【0095】
本発明において特に好ましいものは、R
10がアルキル化されていてもよいアニリン基またはピリジン基であり、好ましくはアルキル化されたアニリン基である式(5A−1)の置換基である。また特に好ましいのはR
10およびR
11がアルキル化されていてもよいアニリン基またはピリジン基であり、好ましくはアルキル化アニリン基である式(5A−2)の置換基である。
【0096】
本発明の実施形態において、R基は少なくとも一部に一般式(6)の架橋を有し、
【0098】
該架橋は、少なくとも二つのR基を互いに結合させ、Yは1〜40の炭素原子を含む基であり、好ましくは分岐状もしくは直鎖状のアルキル基もしくはシクロアルキル基、またはアルキル化されていてもよいアリール基、好ましくは炭素原子1〜6の炭素原子を含む直線状または分岐状アルキル基である。
【0099】
Zはヒドロキシル基、一般式(7)の基、
【0101】
または20g/molを超える分子量を有する基であり、任意の要素H、C、O、N、S、Pおよび水素原子から成り、またmは2またはそれより大きい整数で、好ましくは2の整数を表わす。
【0102】
本発明の架橋高分子は好ましくは、酸でドープする。本発明において、ドープした高分子は、ドープされていない高分子と比べて、ドープ剤によりプロトン伝導性の増大を示す高分子である。本発明の高分子のドーパントは酸である。本発明における酸は公知のルイスおよびブレンステッド酸を含み、好ましくは無機のルイスおよびブレンステッド酸である。多酸の使用も可能であり、特にはイソポリ酸、ヘテロポリ酸、および異なった酸の混合物である。本発明の目的のためには、ヘテロポリ酸は少なくとも二つの異なった中心原子を持ち、それはいずれにしても金属元素(好ましくはCr、Mo、V、W)および非金属元素(好ましくはAs、I、P、Se、Si、Te)の弱い多塩基酸素酸由来の、部分的に混合した無機物として形成される無機の多酸である。中でも、12−モリブダトリン酸および12−タングストリン酸を含む。
【0103】
本発明によれば特に好ましいドーパントは、硫酸およびリン酸である。さらに好ましいドーパントはリン酸(H
3PO
4)である。
【0104】
ドーピング度により、本発明の高分子膜の伝導性が影響され得る。ドーパントの濃度が上がるに連れ、伝導性は増加し、最大値まで達する。本発明においては、ドーピング度は高分子のモル繰り返し単位あたりのモル酸として記載されている。本発明においては、3〜15の間のドーピング度、特に6〜12の間が好ましい。
【0105】
ドープした高分子膜の製造方法は公知である。本発明の好ましい実施形態においては、ドープした高分子膜は、適切な時間、好ましくは0.5〜96時間、特に好ましくは1〜72時間、室温から100℃の間で、好ましくは、濃酸と加圧下、好ましくは高濃縮のリン酸でぬらすことにより得られる。
【0106】
本発明の架橋高分子の特性のスペクトルは、イオン交換容量を変えることで変化する。該イオン交換容量は好ましくは0.5meq/g〜1.9meq/gの間にあり、それぞれにおいて高分子の全質量をもとにしている。
【0107】
本発明の高分子は低い固有の体積抵抗を有し、それぞれ25℃において、好ましくは100Ωcm以下、より好ましくは50Ωcm以下、特に好ましくは20Ωcm以下である。
【0108】
本発明の高分子膜の特性は、全厚さにより部分的に制御できる。しかし、極めて薄い高分子膜であっても、非常によい機械特性および水素、酸素、およびメタノールに関して、比較的低い浸透性を有する。それゆえ、膜電極接合体のエッジ域を補強する必要もなく、それらは80℃以上の燃料電池への用途に適し、好ましくは100℃以上、特に120℃以上の燃料電池のへ用途に適する。本発明のドープされた高分子膜の全厚さは好ましくは50〜100μmの間で、好ましくは10〜90μmの間、特に20〜80μmの間である。
【0109】
本発明の特に好ましい実施形態においては、90℃の脱イオン水中でほぼ100%未満、膨潤する。
【0110】
本発明の架橋高分子膜の製造方法は当業者に明らかである。そうではあるが、本発明において、特に好ましいことが明らかとなった手順は、一つまたは複数の前駆体高分子が、個々にまたは全部で官能基a)、b)およびd)を含み、一般式(6)のスルフィナート基を意味するd)
【0114】
式中、Lは脱離基であり、好ましくはF、Cl、Br、I、トシレートで、nは2またはそれより大きい整数、好ましくは2である。それぞれの前駆体高分子は一般式(1)の繰り返し単位を有することが好ましい。なお、好ましくは共有結合性の架橋ではない。
【0115】
ここで、少なくとも一つの前駆体高分子において、R基は少なくとも部分的に一般式(5A)の置換基を有し、または少なくとも一部が一般式(5C)の基であり、それゆえ化合物(7)との反応はまた、一般式(8)または/および(9)の架橋形成を誘導する。
【0117】
また考えられるのは一般式(5A)の異なる置換基、および/または一般式(5C)の異なる置換基の間の架橋形成である。
【0118】
本発明の特に好ましい実施形態においては、
1)官能基a)を有する少なくとも一つの前駆体高分子
2)官能基b)を有する少なくとも一つの前駆体高分子、および
3)官能基d)を有する少なくとも一つの前駆体高分子
からなる高分子混合物が用いられる。
【0119】
本発明の他に特に好ましい実施形態においては、
1)官能基a)およびb)を有する少なくとも一つの前駆体高分子、および
2)官能基d)を有する少なくとも一つの前駆体高分子
からなる高分子混合物が用いられる。
【0120】
本発明の他の特に好ましい実施形態においては、
1)官能基a)およびd)を有する少なくとも一つの前駆体高分子、および
2)官能基b)を有する少なくとも一つの前駆体高分子
からなる高分子混合物が用いられる。
【0121】
さらに、
1)官能基a)を有する少なくとも一つの前駆体高分子、および
2)官能基b)およびd)を有する少なくとも一つの前駆体高分子
からなる高分子混合物の使用方法も、本発明の特に好ましい実施形態を構成する。
【0122】
本発明によれば、また一般式a)、b)およびd)の官能基をもつ少なくとも一つの高分子を使うのは非常にふさわしい。
【0123】
本発明の使用に関する前駆体高分子または高分子は、原則としては一般式(1)の異なる繰り返し単位を有してもよい。しかし、好ましくは、それらは一般式(1A)、(1B)、(1C)、(1D)、(1E)、(1F)、(1G)、(1H)、(1I)、(1J)、(1K)、(1L)、(1M)、(1N)、(1O)、(1P)、(1Q)、(1R)、(1S)および/または(1T)の等しい繰り返し単位のみを有する。
【0124】
一般式(1A)、(1B)、(1C)、(1D)、(1E)、(1F)、(1G)、(1H)、(1I)、(1J)、(1K)、(1L)、(1M)、(1N)、(1O)、(1P)、(1Q)、(1R)、(1S)および/または(1T)の繰り返し単位数は、好ましくは10またはそれより大きい整数で、より好ましくは少なくとも100の繰り返し単位である。
【0125】
本発明の特に好ましい実施形態において、前駆体高分子または高分子の数平均分子量は、25,000g/molより大きく、好ましくは50,000g/molより大きく、特には100,000g/molより大きい。
【0126】
一般式a)、b)および/またはd)の官能基をもつ前駆体高分子の合成はすでに知られている。それは、たとえば乾燥した非プロトン溶媒、好ましくはテトラヒドロフラン(THF)中、不活性ガス、好ましくはアルゴン雰囲気下で、n−ブチルリチウムと、一般式(1)の高分子を反応させ、それをリチュートする。
【0127】
官能基を導入するために、適した機能化物質、好ましくは一般式(10)のアルキル化物質によって、リチュートされた高分子を〔脱落〕させる。
【0129】
ここで、Subst.は導入されるべき置換基で;ケトンおよび/またはアルデヒドを有し、それらが対応するアルコキシドと反応する;および/またはカルボン酸エステルおよび/またはカルボニルハロゲン化物を有し、それらが対応するケトンと反応する。スルフィナート基の導入はリチュートされた高分子とSO
3と反応させ、および酸化リチウム化高分子をSO
2との反応によるスルフィナート基の導入により生じる。
【0130】
二つまたはより多くの異なる機能化物質との連続反応から、少なくとも二つの置換基を有する高分子が得られる。
【0131】
より詳細はUS 4,883,219、J. Kerres、 W. Cui、 S. Reichile; New Sulfonated engineering polymers via the melation route. 1. Sulfonated poly-(ethersulfone) PSU Udel(商標登録) via metalation-sulfination-oxidation" J. Polym. Soc.: Part A: Polym. Chem. 34,2421-2438 (1996), WO 00/09588 A1などの技術状況を参照のこと。引用文献によりこれらの開示内容は、参照として当然に取り入れられる。
【0132】
前駆体高分子の機能化度は、繰り返し単位あたり0.1〜3基が好ましい範囲にあり、好ましくは繰り返し単位あたり0.2〜2.2基の間である。さらに好ましいものは繰り返し単位あたり0.2〜0.8のa)基、特に好ましくはスルホナート基を有する前駆体高分子である。さらに、繰り返し単位あたり0.8〜2.2のb)基をもつ前駆体高分子が特にふさわしいことが判明した。その上、繰り返し単位あたり0.8〜1.3のd)基をもつ前駆体高分子で有利な結果が生じる。
【0133】
本発明によれば、二極性非プロトン溶媒、好ましくはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、またはスルホラン中で、前駆体高分子または高分子を溶解させ、該溶液を撹拌し、ハロゲン化合物と反応させることが特にふさわしいことが明らかとなった。
【0134】
特に有利な結果が、
a)前記高分子溶液を基板に、好ましくはガラス板、織布、または不織布に、薄膜状に塗布し、
b)好ましくは25℃より高められた温度で、および/または1000mbar未満の減圧下で溶媒を蒸発させ、高分子膜を得るのであれば、もたらされ得る。
【0135】
また本発明の高分子特性は、
a)第一の段階で、高分子を酸で処理し、また
b)次の段階で、高分子を脱イオン水で処理する、ことによっても高められ得る。
ここで、第一の段階より先に、該高分子を水溶性アルカリで適切に処理する。
【0136】
本発明の共有結合性およびイオン結合性架橋高分子の使用可能分野は熟練した者に明らかである。固有の体積抵抗、好ましくは25℃で、100Ωcm未満の架橋高分子を要する全ての応用に特に適している。それらの特性を基にそれらは電気化学的電池において、好ましくは二次電池、セル、および高分子電解質膜燃料電池、特に水素燃料電池、直接メタノール燃料電池において、適している。
【0137】
さらに膜分離作用、好ましくはガス分離、パーベーパレーション、パーストラクション、逆透析、ナノフィルトレーション、電気透析、および拡散透析において特有の利点のために、それらは用いられ得る。
【実施例】
【0138】
本発明を実施例および比較例を用いてより詳細に説明するが、本発明の教示がこれらの実施例に制限されるものではない。上述のように表した特性値は下記のように測定した:
イオン交換容量、IECを測定するため、プロトン化イオノマー膜の一片を一定重量にまで乾燥させた。前記の膜1mgを約50mgの飽和NaCl溶液に添加した。その結果、H
+イオンが該飽和溶液へ移動するとともに、スルホナート基にイオン交換があった。膜の入った該溶液を約24時間、振り混ぜるか、または撹拌した。その後、該溶液にブロモチモールブルーの指示薬を2滴加え、0.1標準NaOH溶液で黄色から青へ色が変わるまで滴定した。IECは次のように算出した:
【0139】
【数1】
【0140】
金が被覆された銅電極(電極面積0.25cm
2)のプレキシグラス単位装置で、インピーダンス分光分析法(IM6電気インピーダンス計、Zahner elektrik社製)により、膜の固有の体積抵抗R
SPを測定した。ここで、本発明において、電流の強さと電圧間の位相が0のインピーダンスが固有の体積抵抗を表した。実際の測定条件は次のようになる:0.5N HCLを用い、測定中の膜を二つのナフィオン117膜の間に詰め、ナフィオン117/膜/ナフィオン117の膜の多層配列を電極二枚の間で挟んだ。このようにして、始めに三つの膜全ての全多層配列、そのあと二つのナフィオン117膜のみの測定により、膜および電極間の界面抵抗を除去した。ナフィオン膜のインピーダンスは三つの膜全てのインピーダンスからサブストレート(substrated)された。本発明の実施形態において、固有の体積抵抗は25℃で測定した。
【0141】
膨潤を測定するために、それぞれの温度の脱イオン水中で膜を平衡にし、秤量(=m
swollen)した。そして膜を乾燥器中、高温で乾燥させ、再び秤量した(m
dry)。本発明においては、膨潤度は次のように算出した:
【0142】
【数2】
【0143】
a)次の高分子を用いた
a−1)PSU Udel(登録商標)
PSU P 1800
a−2)P
EK−SO
3Li:
スルホナートポリエーテルケトンPEKのリチウム塩;
【0144】
【化42】
【0145】
製造:
1.8meq SO
3H/g高分子のイオン交換容量を有する100gのP
EK−SO
3Hを1000mlの10重量%強度の水溶性LiOH溶液中で24時間、撹拌した。その後、Li−交換したP
EK−SO
3Liを濾過し、中性反応になるまで水で洗浄し、100℃で、48時間、乾燥した。生じた高分子は繰り返し単位(イオン化形状のイオン交換容量(IEC)=1.8meq SO
3H/g)あたり0.4 SO
3Li単位を含んでいた。
【0146】
a−3)PSU−SO
2Li
スルフィナート化されたポリエーテルスルホンのリチウム塩
PSU Udel(登録商標)
【0147】
【化43】
【0148】
はUS 4,833,219またはJ. Kerres、 W. Cui、 S. Reichile; New Sulfonated engineering polymers via the melation route. 1. Sulfonated poly(ethersulfone) PSU Udel
(R) Via metalation-sulfination-oxidation" J. polym. Sci.: part A: Polym. chem. 34、 2421,2438 (1996)に従って得られた。イオン化形状のIEC=1.95meq SO
2Li/g
a−4)PSU−DPK:
【0149】
【化44】
【0150】
は、2,2’−ジピリジルケトンとリチュートされたPSU Udelを反応させることで得られる(WO 00/09588 A1に従った);
繰り返し単位あたり一つの2,2’−ジピリジルケトンである。
【0151】
a−5)PSU−P3−SO
2Li、PSU−
DEB−SO
2Liの合成
PSU−P3−SO
2Li,
【0152】
【化45】
【0153】
PSU−
DEB−SO
2Li,
【0154】
【化46】
【0155】
まず始めに、乾燥THF中で、PSU Udel(登録商標)を全て溶解させ、溶液をアルゴン下、−75℃に冷却した。反応混合物中の極微量の水を2.5Mのn−ブチルリチウム(n−BuLi)で除去した。溶解した高分子を10M n−BuLiでリチュートされた。一時間、反応のためバッチをそのままにし、そしてピリジン−3−アルデヒド、または4,4’−ビス(N,N−ジエチルアミノ)ベンゾフェノンを加えた。それから反応温度を一時間で−20℃まで上げた。その後、SO
2との反応のため再び−75℃まで冷却しSO
2を通した。
【0156】
作りあげるために、過剰の10mlのイソプロパノール/水の混合物をシリンジで該反応溶液に添加し、室温に加熱し、過剰のイソプロパノールの下で、多く高分子が沈殿し、生じた高分子を濾過し、好ましくはイソプロパノ−ルで洗浄した。精製のため、高分子をメタノール中に浮遊させ、再び濾過した。真空中、好ましくは80℃、で高分子を乾燥させた。
1H−NMRスペクトルの定量的評価により置換度が得られた。
【0157】
【表1】
【0158】
b.)膜の製造
P
EK−SO
3Li、PSU−P3−SO
2Li、PSU−
DEB−SO
2Li、PSU−DPKおよび/またはPSU
−SO
2Liを表2に表すようにNMP中に溶解し、濾過した。高分子溶液を真空中で脱気し、ついで1,4−ジヨードブタンと混ぜた。その後、それをガラス板上に注ぎ、ドクターブレードで引き延ばした。ガラス板を60℃の乾燥器で乾燥させ、そしてさらに一時間、90℃にし、最後に一晩中、真空下、120℃にした。板を室温まで冷却し、水浴に置いた。膜をガラス板から分離し、一日中、90℃の乾燥器中で10%HClに貯蔵した。その後60℃の脱イオン水中で、調節した。
c.)膜の特性
膜の特性値は表2および3にまとめた。理論的なイオン交換容量IECtheoはイオンおよび共有結合の架橋の両方について考慮し、算出した。純粋なイオン結合性架橋膜よりも、共有結合性およびイオン結合性架橋膜の方がかなり低い膨潤値であることは明らかで、これは90℃でもそうである。
【0159】
【表2】
【0160】
【表3】