特許第5661710号(P5661710)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5661710設定画面、射出成形機及び設定画面の表示方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5661710
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】設定画面、射出成形機及び設定画面の表示方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/76 20060101AFI20150108BHJP
【FI】
   B29C45/76
【請求項の数】16
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-216996(P2012-216996)
(22)【出願日】2012年9月28日
(62)【分割の表示】特願2008-220015(P2008-220015)の分割
【原出願日】2008年8月28日
(65)【公開番号】特開2012-254645(P2012-254645A)
(43)【公開日】2012年12月27日
【審査請求日】2012年10月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100089635
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 守
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(72)【発明者】
【氏名】羽野 勝之
【審査官】 村松 宏紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−241894(JP,A)
【文献】 特開2000−158504(JP,A)
【文献】 特開平05−253994(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00−45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者による操作部の操作に基づいて表示部に形成される設定画面において、
(a)操作者によって、あらかじめ設定された成形条件が所定の設定項目について変更されたときに、該所定の設定項目について強調表示を行う表示要素を有するとともに、
(b)強調表示が行われた前記所定の設定項目について、成形条件の変更情報に基づいて作成された設定変更履歴が表示されることを特徴とする設定画面。
【請求項2】
成形条件が一つの設定項目について複数回変更された場合、前記設定変更履歴において、前記設定項目についての成形条件の変更が一覧で表示される請求項1に記載の設定画面。
【請求項3】
成形条件が複数の設定項目について変更された場合、前記設定変更履歴において、各設定項目についての成形条件の変更が一覧で表示される請求項1に記載の設定画面。
【請求項4】
前記設定変更履歴において成形条件の変更理由が表示される請求項1に記載の設定画面。
【請求項5】
(a)操作者による操作部の操作に基づいて、表示部に所定の設定画面を形成する画面形成処理手段と、
(b)操作者によって設定された成形条件、及び変更された成形条件を記録する記録部と、
(c)該記録部に記録された成形条件に基づいて、前記設定画面において成形条件が変更された設定項目について、所定の表示要素によって強調表示を行う強調表示処理手段とを有するとともに、
(d)該強調表示処理手段は、成形条件が複数回変更されたときに、種類を異ならせて強調表示を行うことを特徴とする射出成形機。
【請求項6】
前記強調表示処理手段は、成形条件が一つの設定項目について複数回変更された場合、変更された回数に応じて種類を異ならせて強調表示を行う請求項5に記載の射出成形機。
【請求項7】
前記強調表示処理手段は、成形条件が複数の設定項目について変更された場合、変更されたタイミングごとに種類を異ならせて強調表示を行う請求項5に記載の射出成形機。
【請求項8】
(a)操作者による操作部の操作に基づいて、表示部に所定の設定画面を形成する画面形成処理手段と、
(b)操作者によって設定された成形条件、及び変更された成形条件を記録する記録部と、
(c)該記録部に記録された成形条件に基づいて、前記設定画面において成形条件が変更された設定項目について、所定の表示要素によって強調表示を行う強調表示処理手段とを有するとともに、
(d)該強調表示処理手段は、成形条件が複数の設定項目について一括で変更された場合、各設定項目について、同じ種類の強調表示を行うことを特徴とする射出成形機。
【請求項9】
(a)操作者による操作部の操作に基づいて、表示部に所定の設定画面を形成する画面形成処理手段と、
(b)操作者によって設定された成形条件、及び変更された成形条件を記録する記録部と、
(c)該記録部に記録された成形条件に基づいて、前記設定画面において成形条件が変更された設定項目について、所定の表示要素によって強調表示を行う強調表示処理手段とを有するとともに、
(d)該強調表示処理手段は、操作者によって所定の操作要素が操作されたときに、前記強調表示のオン・オフを行うことを特徴とする射出成形機。
【請求項10】
(a)操作者による操作部の操作に基づいて、表示部に所定の設定画面を形成する画面形成処理手段と、
(b)操作者によって設定された成形条件、及び変更された成形条件を記録する記録部と、
(c)該記録部に記録された成形条件に基づいて、前記設定画面において成形条件が変更された設定項目について、所定の表示要素によって強調表示を行う強調表示処理手段と、
(d)操作者によって所定の操作要素が操作されたときに、強調表示が行われた設定項目について、成形条件の変更情報に基づいて設定変更履歴を表示する設定変更履歴表示処理手段とを有することを特徴とする射出成形機。
【請求項11】
前記設定変更履歴表示処理手段は、成形条件が一つの設定項目について複数回変更された場合、前記設定変更履歴において、前記設定項目についての成形条件の変更を一覧で表示する請求項10に記載の射出成形機。
【請求項12】
前記設定変更履歴表示処理手段は、成形条件が複数の設定項目について変更された場合、前記設定変更履歴において、各設定項目についての成形条件の変更を一覧で表示する請求項10に記載の射出成形機。
【請求項13】
前記設定変更履歴表示処理手段は、前記設定変更履歴において成形条件の変更理由を表示する請求項10に記載の射出成形機。
【請求項14】
(a)操作者による操作部の操作に基づいて、表示部に所定の設定画面を形成する画面形成処理手段と、
(b)操作者によって設定された成形条件、及び変更された成形条件を記録する記録部と、
(c)該記録部に記録された成形条件に基づいて、前記設定画面において成形条件が変更された設定項目について、所定の表示要素によって強調表示を行う強調表示処理手段と、
(d)操作者によって成形条件が変更されたときに、変更情報を記憶装置に選択的に記録する変更情報記録処理手段とを有することを特徴とする射出成形機。
【請求項15】
(a)操作者による操作部の操作に基づいて、表示部に所定の設定画面を形成し、
(b)操作者によって設定された成形条件、及び変更された成形条件を記録し、
(c)記録された成形条件に基づいて、前記設定画面において成形条件が変更された設定項目について、所定の表示要素によって強調表示を行うとともに、
(d)強調表示が行われた設定項目について、成形条件の変更情報に基づいて作成された設定変更履歴が表示されることを特徴とする設定画面の表示方法。
【請求項16】
(a)操作者による操作部の操作に基づいて、表示部に所定の設定画面を形成し、
(b)操作者によって設定された成形条件、及び変更された成形条件を記録し、
(c)記録された成形条件に基づいて、前記設定画面において成形条件が変更された設定項目について、所定の表示要素によって強調表示を行うとともに、
(d)該強調表示は、成形条件が複数回変更されたときに種類を異ならせて行われることを特徴とする設定画面の表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設定画面、射出成形機及び設定画面の表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、成形機、例えば、射出成形機においては、加熱シリンダ内において加熱され溶融させられた樹脂が金型装置内のキャビティ空間に充填され、該キャビティ空間内において冷却され、固化させられて成形品が成形されるようになっている。
【0003】
前記射出成形機は、前記金型装置、型締装置及び射出装置を有し、該射出装置は、前記加熱シリンダ、該加熱シリンダの前端に取り付けられ、溶融させられた樹脂を射出する射出ノズル、前記加熱シリンダ内において回転自在に、かつ、進退自在に配設されたスクリュー等を備える。そして、前記金型装置は固定金型及び可動金型を備え、前記型締装置によって可動金型を進退させることにより、金型装置の型閉じ、型締め及び型開きが行われ、型締めに伴って、前記固定金型と可動金型との間にキャビティ空間が形成される。
【0004】
計量工程時に、前記スクリューが回転させられると、前記溶融させられた樹脂がスクリューの前方に溜められ、それに伴って、スクリューが後退させられ、この間に、金型装置の型閉じ及び型締めが行われる。続いて、射出工程時に、前記スクリューが前進させられ、該スクリューの前方に溜められた樹脂が射出ノズルから射出され、キャビティ空間に充填される。次に、冷却工程時に、前記キャビティ空間内の樹脂が冷却され固化されて、成形品が成形される。続いて、型開きが行われ、前記成形品が取り出される。
【0005】
ところで、射出成形を行うに当たり、所定の成形品について実成形、すなわち、自動成形を開始する前に、半自動成形を行い、表示部に形成された設定画面において成形条件を設定するための作業、すなわち、成形条件出しが行われる。該成形条件出しは、自動成形が開始されるまでに良好な成形品、すなわち、良品が得られるように、各種の設定項目についてあらかじめ設定された基本的な成形条件を変更することによって行われる。また、自動成形が開始された後も、不良な成形品、すなわち、不良品が成形されると、その都度、成形条件は変更される(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
その場合、成形条件の変更の状況を把握することができるように、制御部に設定変更履歴表示機能を備えた射出成形機が提供されている。該射出成形機において、操作者が成形条件を変更し、操作部を操作して変更理由を入力すると、前記制御部は、設定項目、成形条件が変更された変更日時(年月日、時刻等)、変更内容等を設定変更履歴として記憶装置に記録するようになっている。したがって、射出成形機の表示部に前記設定変更履歴を表示させることによって、成形条件の変更の状況を把握することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−129862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記従来の射出成形機においては、成形条件のすべての設定項目についての変更が時系列に並べて一覧で表示されるようになっているので、例えば、所定の設定項目についての変更を参照しようとする場合、該当する変更が含まれる画面を探し、該画面の中で該当する変更を探す必要がある。
【0009】
したがって、良品を成形するために成形条件を頻繁に変更する必要がある場合に、所定の設定項目について設定を元の数値に戻そうとすると、その都度、該当する変更を探す必要があるので、成形条件出しを行うための作業が極めて困難になるだけでなく、成形条件出しを行うのに必要な時間が長くなってしまう。
【0010】
本発明は、前記従来の射出成形機の問題点を解決して、成形条件出しを行うための作業を簡素化することができ、成形条件出しを行うのに必要な時間を短くすることができる設定画面、射出成形機及び設定画面の表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そのために、本発明の設定画面においては、操作者による操作部の操作に基づいて表示部に形成されるようになっている。
【0012】
そして、操作者によって、あらかじめ設定された成形条件が所定の設定項目について変更されたときに、該所定の設定項目について強調表示を行う表示要素を有する。
【0013】
また、強調表示が行われた前記所定の設定項目について、成形条件の変更情報に基づいて作成された設定変更履歴が表示される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、設定画面においては、操作者による操作部の操作に基づいて表示部に形成されるようになっている。
【0015】
そして、操作者によって、あらかじめ設定された成形条件が所定の設定項目について変更されたときに、該所定の設定項目について強調表示を行う表示要素を有する。
【0016】
また、強調表示が行われた前記所定の設定項目について、成形条件の変更情報に基づいて作成された設定変更履歴が表示される。
【0017】
この場合、成形条件が変更されると、前記設定画面において成形条件が変更された設定項目について強調表示が行われるので、成形条件が変更された設定項目を極めて容易に認識することができ、所定の設定項目についての変更を容易に参照することができる。
【0018】
また、良品を成形するために成形条件を頻繁に変更する必要がある場合に、所定の設定項目について設定を元の数値に戻そうとするとき、その都度、該当する変更を探す必要がなくなる。その結果、成形条件出しを行うための作業を極めて簡素化することができるだけでなく、成形条件出しを行うのに必要な時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態における射出成形機の制御装置を示すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態における射出成形機の斜視図である。
図3】本発明の実施の形態における制御パネルの例を示す図である。
図4】本発明の実施の形態における設定画面の例を示す第1の図である。
図5】本発明の実施の形態における設定画面の例を示す第2の図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、成形機としての射出成形機について説明する。
【0021】
図1は本発明の実施の形態における射出成形機の制御装置を示すブロック図、図2は本発明の実施の形態における射出成形機の斜視図、図3は本発明の実施の形態における制御パネルの例を示す図である。
【0022】
図において、11は射出成形機、12は射出装置、21は型開閉装置、27は制御部、30は前記射出成形機11を支持するフレームであり、前記型開閉装置21は図示されない金型装置及び型締装置22を備え、前記制御部27は演算装置としてのCPU53、及び記録部としての、かつ、記憶装置としてのメモリ54を備える。また、28は前記射出装置12と型開閉装置21との間に配設された制御パネル、31は表示部、32は操作部、41は計量用の駆動部としての計量用モータ、43は射出用の駆動部としての射出用モータ、45は型締用の駆動部としての型締用モータ、52は各種のセンサによって構成される検出部である。
【0023】
前記射出装置12は、シリンダ部材としての加熱シリンダ13、該加熱シリンダ13の前端に取り付けられたノズル部材としての図示されない射出ノズル、前記加熱シリンダ13内において回転自在に、かつ、進退自在に配設された射出部材としての図示されないスクリュー、前記加熱シリンダ13の後端部に配設され、加熱シリンダ13内に成形材料としての樹脂を供給するホッパ17、前記スクリューを回転させたり、前進させたりするための駆動装置14等を備える。該駆動装置14は、前記スクリューを回転させるための前記計量用モータ41、前記スクリューを前進させるための前記射出用モータ43等を備える。
【0024】
そして、計量工程時に、前記計量用モータ41を駆動して、スクリューを正回転させると、ホッパ17から加熱シリンダ13内に供給された樹脂が加熱され、溶融させられて図示されないスクリューヘッドの前方に溜められ、射出工程時に、前記射出用モータ43を駆動して、スクリュー前進させると、スクリューヘッドの前方に溜められた樹脂が射出ノズルから射出され、金型装置内のキャビティ空間に充填される。
【0025】
また、前記型開閉装置21は、前記金型装置及び型締装置22を備え、前記金型装置は、第1の金型としての固定金型及び第2の金型としての可動金型を備える。そして、前記型締装置22は、固定支持部材としての固定プラテン23、可動支持部材としての可動プラテン24、該可動プラテン24を進退させる型開閉機構としてのトグル機構25、前記型締用モータ45等を備え、固定プラテン23に前記固定金型が、可動プラテン24に前記可動金型が取り付けられる。
【0026】
前記構成の型締装置において、型締用モータ45を駆動すると、トグル機構25が伸展させられ、可動プラテン24が前進させられて型閉じが行われ、固定金型に可動金型が当接させられる。続いて、型締用モータ45を更に駆動すると、トグル機構25において型締力が発生させられ、該型締力で固定金型に可動金型が押し付けられて型締めが行われ、固定金型と可動金型との間に前記キャビティ空間が形成される。また、型締用モータ45を逆方向に駆動すると、トグル機構25が屈曲させられ、可動プラテン24が後退させられ、型開きが行われる。
【0027】
そして、前記型締めが行われた状態で、前記射出ノズルから樹脂が射出され、前記キャビティ空間に充填され、冷却されると、成形品が成形される。
【0028】
ところで、射出成形を行うに当たり、所定の成形品について自動成形を開始する前に、半自動成形が行われ、成形条件出しが行われる。該成形条件出しは、前述されたように、操作者が操作部32を操作することによって、自動成形が開始されるまでに良品が得られるように、各種の設定項目についてあらかじめ設定された基本的な成形条件を変更することにより行われる。また、自動成形が開始された後も、不良品が成形されると、その都度、操作者が操作部32を操作することによって、成形条件が変更される。
【0029】
そのために、前記制御パネル28は、表示部31及び操作部32を備え、操作者が操作部32を操作することによって、前記表示部31に各種の設定画面を形成し、各種の設定を行うことができるようになっている。なお、本実施の形態においては、表示部31はタッチパネルによって形成され、操作部としても機能する。
【0030】
本実施の形態においては、図3に示されるように、操作部32の領域AR1に、機能を選択し、所定の設定画面を形成するための操作要素としての機能キー「F1」、「F2」、「F3」、「F4」、「F5」、「F6」、「F7」、「F8」、「CTRL」及び「SHIFT」が、領域AR2に、設定画面を遷移させるための操作要素としてのアップダウンキー「UP」及び「DOWN」が、領域AR3に、カーソルを移動させるための操作要素としてのカーソル移動キーが、領域AR4に、設定項目を選択するための操作要素としての設定項目選択キーが、領域AR5に、設定内容を数値で入力するための操作要素としての入力キーが配設される。なお、該入力キーには、数字キー「0」〜「9」のほかに、小数点キー、クリアキー「AC」、「C」、入力用の確定操作要素としての実行キーk11及びヘルプキー(HELP)k12が配設される。また、領域AR6には、アラーム表示部が配設されるとともに、アラームに応答するための操作要素としての応答キーが配設される。
【0031】
したがって、操作者が、領域AR1における所定の機能キーを押下し、領域AR4における所定の設定項目選択キーを押下し、必要に応じて、領域AR2におけるアップダウンキー「UP」又は「DOWN」を押下すると、CPU53の図示されない画面形成処理手段(画面形成処理部)は、画面形成処理を行い、表示部31に段取り、型開閉、可塑化、温度、一覧設定、成形表示、品質管理、生産管理等の設定を行うための所定の設定画面を形成し、CPU53の図示されない表示処理手段(表示処理部)は、表示処理を行い、前記設定画面の領域AR11に設定画面についての説明を、領域AR12に各設定項目の欄を、領域AR13に、形成されている設定画面を特定する名称を表示するとともに、前記各設定項目の欄に成形条件の設定内容を表示する。
【0032】
なお、前記領域AR13は、操作者がタッチすることによって所定の設定画面を形成するための操作要素としても機能する。
【0033】
続いて、操作者が、領域AR3において所定のカーソル移動キーを押下してカーソルを所定の設定項目に移動させ、領域AR5において所定の入力キーを押下して、設定項目について設定内容を入力し、前記実行キーk11を押下すると、前記CPU53の図示されない成形条件設定処理手段(成形条件設定処理部)は、成形条件設定処理を行い、入力された設定内容で成形条件を設定したり、あらかじめ設定された成形条件を変更したりする。
【0034】
なお、一つの設定項目について設定内容を入力するたびに、実行キーk11を押下すると、一つずつ成形条件を設定したり、変更したりすることができ、複数の設定項目について設定内容を入力した後に、実行キーk11を押下すると、複数の設定項目について一括して成形条件を設定したり、変更したりすることができる。
【0035】
そして、前記表示処理手段は、形成された設定画面において、各設定項目について設定されたり、変更されたりした成形条件の設定内容を表示する。
【0036】
ところで、本実施の形態においては、成形条件の変更の状況を把握することができるように、制御部27は設定変更履歴表示機能を備える。そして、操作者が操作部32を操作して成形条件を、所定の設定項目について変更し、操作者の氏名、成形条件を変更した理由を表す変更理由、変更後の成形品の品質等を入力すると、前記制御部27において、CPU53の図示されない変更情報記録処理手段(変更情報記録処理部)は、変更情報記録処理を行い、操作者の氏名、変更理由、変更後の成形品の品質等のほかに、成形条件を変更したときに形成されていた設定画面の名称、成形条件を変更した設定項目、成形条件の変更内容を表す変更前後の設定値、成形条件が変更された変更日時(年月日、時刻等)、変更内容、ロット番号、成形条件を変更したときのショット数等を読み込み、変更情報として、かつ、設定変更履歴としてメモリ54に記録する。なお、変更情報記録処理手段は、成形条件が変更されるたびに設定変更履歴を記録するようになっているが、必要に応じて、設定変更履歴を選択的に記録することができる。
【0037】
そして、前記表示処理手段の強調表示処理手段(強調表示処理部)は、強調表示を行い、成形条件が変更された設定項目について強調表示を行う。
【0038】
図4は本発明の実施の形態における設定画面の例を示す第1の図、図5は本発明の実施の形態における設定画面の例を示す第2の図である。
【0039】
この場合、前記画面形成処理手段は、表示部31に、段取り、型開閉、可塑化、温度、一覧設定、成形表示、品質管理、生産管理等の設定を行うための各設定画面を形成する。
【0040】
図において、g1は可塑化の設定を行うための設定画面であり、該設定画面g1の領域AR11には、可塑化の設定画面g1が形成されていることを表す説明が、領域AR12には、各設定項目及び設定内容が、領域AR13には、設定画面を特定するための名称が表示され、形成されている設定画面g1の名称について強調表示が行われる。
【0041】
前記領域AR12は、実績値を表示するための第1の表示領域としての実績値表示領域AR21、及び設定値を表示するための第2の表示領域としての設定値表示領域AR22を備える。
【0042】
この場合、実績値表示領域AR21には、充填が開始される前のスクリューの位置を表す充填前位置、速度制御と圧力制御とを切り換えるスクリューの位置を表すVP切換位置、スクリューの前進限を表すクッション位置、保圧が完了されるときのスクリューの位置を表す保圧完位置、現在のスクリューの位置を表すスクリュ位置等のような、スクリューの位置に関する実績値、射出時における加熱シリンダ13(図2)内の樹脂の圧力の最高圧を監視する頻度を表すピーク圧監視、監視された最高圧を表すピーク圧等のような、樹脂の圧力に関する実績値、成形サイクルの周期を表すサイクル時間、充填を開始してから終了するまでの時間を表す充填時間、計量を開始してから終了するまでの時間を表す計量時間等のような、時間に関する実績値、スクリューの回転速度、スクリューの回転トルク等のような、スクリューの回転に関する実績値が表示される。
【0043】
また、設定値表示領域AR22には、保圧を行う場合のスクリューの速度、保圧の段数、保圧を行う際の各段における時間及び圧力、充填を行う場合の充填時間、充填を行う場合の樹脂の圧力を表す充填圧力、スクリューの位置を表す充填位置及びスクリューの速度等が表示される。
【0044】
ところで、例えば、所定のタイミングで、ある操作者が充填圧力の設定を変更すると、前記強調表示処理手段は、成形条件が変更された設定項目について、本実施の形態においては、設定項目について強調表示を行い、設定内容を表す文字(図4及び5においては、「100.8」の文字。)の色を変更することによって、他の文字の色と異なる色で表示する。この場合、色が変更された文字は強調表示を行うための表示要素となる。
【0045】
したがって、操作者は、強調表示が行われているかどうかによって、現在の時点までに充填圧力について成形条件が変更されたことを認識することができる。
【0046】
なお、設定項目についての設定内容を表す文字ではなく、成形条件が変更された設定項目を表す文字(図4及び5においては、「充填圧力」の文字。)の色を変更することによって、他の文字の色と異なる色で表示することができる。また、強調表示を行うために、文字の色を変更するのではなく、文字を点滅させたり、文字を装飾したりすることができる。
【0047】
さらに、同じ設定項目について成形条件が複数回変更された場合、前記強調表示処理手段は、種類を異ならせて強調表示を行う。例えば、成形条件が一つの設定項目について複数回変更された場合、前記強調表示処理手段は、変更された回数(累積値)に応じて種類を異ならせて強調表示を行い、例えば、文字の色を変更したり、文字の色の濃度を変更したり、設定欄の枠、マーク(例えば、「!」等。)等の表示を変更したりすることができる。この場合、設定欄の枠、マーク等によって、強調表示を行うための表示要素が構成される。
【0048】
また、成形条件が複数の設定項目について変更された場合、前記強調表示処理手段は、変更されたタイミングに応じて(タイミングごとに変更の回数が多くなるのに従って)種類を異ならせて強調表示を行う。なお、成形条件が複数の設定項目について一括で変更された場合、前記強調表示処理手段は、各設定項目について同じ種類の強調表示を行う。
【0049】
なお、前記強調表示処理手段は、操作者が所定の操作要素としてのキーを操作すると、前記強調表示のオン・オフを行う。
【0050】
そして、本実施の形態においては、強調表示が行われた設定項目について、設定画面g1に設定変更履歴を表示させることができる。すなわち、操作者が、操作部32(図1)の領域AR3(図3)における所定のカーソル移動キーを押下して、カーソルを強調表示が行われた設定項目に移動させ、表示用の所定の確定操作要素、本実施の形態においては、ヘルプキーk12を押下すると、前記画面形成処理手段は、図5に示されるように、前記設定画面g1の強調表示が行われた設定項目m1に対応させて、履歴表示画面としてのポップアップ画面d1を形成し、前記表示処理手段の設定変更履歴表示処理手段(設定変更履歴表示処理部)は、設定変更履歴表示処理を行い、メモリ54から設定変更履歴を読み出し、表示する。
【0051】
この場合、成形条件が複数回変更されている場合、各設定変更履歴は一覧で表示される。例えば、成形条件が一つの設定項目について複数回変更された場合、前記設定項目についての成形条件の変更が一覧で表示され、成形条件が複数の設定項目について変更された場合、前記設定変更履歴において、各設定項目についての成形条件の変更が一覧で表示される。
【0052】
なお、本実施の形態においては、確定操作要素としてヘルプキーk12が使用されるようになっているが、各設定項目を表示用の確定操作要素とすることができる。その場合、各設定項目をタッチすると、前記画面形成処理手段は、ポップアップ画面d1を形成する。
【0053】
本実施の形態において、各設定変更履歴は、新しい情報ほど上に、古い情報ほど下に位置させられ、変更前後の設定値、変更日時、操作者である変更者の氏名、変更理由、ロット番号、ショット数、変更後の成形品の品質等から成る。
【0054】
なお、前記設定画面g1によって主表示画面が、前記ポップアップ画面d1によって補助表示画面が構成される。
【0055】
このように、本実施の形態においては、設定画面において、成形条件が変更された設定項目について強調表示が行われ、強調表示が行われた設定項目について、変更情報が読み出され、設定変更履歴が表示されるので、所定の設定項目についての変更を容易に参照することができる。
【0056】
また、良品を成形するために成形条件を頻繁に変更する必要がある場合に、所定の設定項目について設定を元の数値に戻そうとするとき、その都度、該当する変更を探す必要がなくなる。その結果、成形条件出しを行うための作業を極めて簡素化することができるだけでなく、成形条件出しを行うのに必要な時間を短くすることができる。
【0057】
また、本実施の形態においては、成形条件が変更されると、成形条件が変更された設定項目について強調表示が行われるので、操作者は、成形条件が変更された設定項目を極めて容易に認識することができる。
【0058】
そして、成形条件が変更されると、設定変更履歴が記録された後に、ポップアップ画面d1に設定変更履歴が一覧で表示されるので、例えば、所定の設定項目について成形条件が誤って設定されている場合に、成形条件が誤って設定されている設定項目を容易に見つけることができる。
【0059】
この場合、成形条件の各設定項目ごとに設定変更履歴が表示されるので、所定の設定項目についての変更を容易に参照することができる。
【0060】
そして、各成形条件には、所定の名称が付与されるようになっているが、同じ名称が付与されていても、設定変更履歴が一覧で表示されるので、各成形条件を容易に識別することができる。
【0061】
さらに、設定変更履歴として変更理由が表示されるので、成形に関するノウハウを蓄積することができる。
【0062】
本実施の形態においては、強調表示が行われた設定項目にカーソルを移動させ、実行キーを押下することによってポップアップ画面d1が形成されるようになっているが、操作者が、操作部32の領域AR5におけるヘルプキーk12を押下することによって、カーソルを、成形条件が変更された設定項目に移動させることができる。その場合、複数の設定項目のうちの、新しいものから順にカーソルを移動させることができる。
【0063】
なお、成形条件が変更された後、所定の時間が経過するまで、設定項目についての強調表示及び設定変更履歴の記録を停止させることができる。また、設定変更履歴の表示を必要に応じて停止させることができる。
【0064】
また、本実施の形態においては、成形条件が変更された設定項目について強調表示が行われるようになっているが、複数の設定項目について成形条件が変更されている場合、各設定項目に隣接する箇所に変更日時の新旧の順に番号を付与することができる。
【0065】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【符号の説明】
【0066】
31 表示部
32 操作部
g1 設定画面
図1
図2
図3
図4
図5