(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
本実施形態では、卓上型の情報処理装置(コンピュータ)について説明する。本実施形態の卓上型情報処理装置は、平らな天板面に、タッチパネルディスプレイを有している。
【0008】
実施形態の卓上型情報処理装置は、マルチログインを許容し、複数人が同時に利用できる。実施形態の卓上型情報処理装置は、ユーザがログイン認証を済ませた場合、タッチパネルディスプレイにそのユーザの作業領域(デスクトップ画面)を表示する。これと同時に、卓上型情報処理装置内のハードディスクドライブとクラウド側にデータの保存場所が作成される。
【0009】
卓上型情報処理装置上で作業中、または作業したデータは、バックグラウンドでクラウドにアップロードされる。ユーザがログアウトしたら、卓上型情報処理装置のハードディスクに一時保存していたデータは消去され、タッチパネルディスプレイで表示されている作業領域も消える。
【0010】
また実施形態の卓上型情報処理装置は、複数ユーザそれぞれが使用している作業領域のサイズを、容易な操作で調整することができる。本実施形態では、ユーザは、各作業領域の境界を指先でタッチしてスライドさせることで、作業領域の形状やサイズを変更、調整する。
【0011】
また実施形態の卓上型情報処理装置は、作業領域間のデータの受け渡しも自然な操作で行うことができる。本実施形態では、ユーザは表示されたオブジェクト(画像)をタッチして、移動先の作業領域までスライドさせることで、その作業領域に当該データが移動する。
【0012】
以下、本実施形態の態様について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、実施形態の卓上型情報処理装置100の外観を示した図である。
図1に示すように、卓上型情報処理装置100はテーブル型(卓上型)の情報処理装置であり、その天板面上に、操作表示用の大型のタッチパネルディスプレイ50が配置されている。
【0013】
タッチパネルディスプレイ50は、タッチパネル用のシートが積層配置されている。またディスプレイ全面に受光機能があり、表面に置かれた物体、特に表面に文字、絵が印刷されたシートを接触対向させることで、シート上からの反射光を受光してデータ化するスキャナ機能を有する。
【0014】
卓上型情報処理装置100の下部には、例えば電子写真式の印刷エンジン(後述のプリンタユニット80)が配置されている。卓上型情報処理装置100の一側面には、この印刷エンジンで印刷されたシートの排出口がある。
【0015】
タッチパネルディスプレイ50は、装置内の制御部によってコントロールされ、印刷エンジンに対する印刷設定を入力する装置としても機能する。またコンピュータの表示装置としての機能も有している。タッチパネルディスプレイ50は、マルチタッチ機能を有しており、複数の異なる位置での指の動きを検知可能である。
【0016】
卓上型情報処理装置100は、例えば非接触ICカードやRFIDタグを内蔵したID(identification)カードによる認証により、複数人のユーザの同時ログインを許容する。複数ユーザが使用する際には、ユーザごとに使用可能な領域が区分けされ、ユーザはその領域ごとに使用する。卓上型情報処理装置100を用いて複数人でディスカッションやプレゼンテーション、商談などを行うこともできる。
【0017】
図2は、卓上型情報処理装置100内部のハードウェア構成例を示すブロック図である。卓上型情報処理装置100は、プロセッサ10、DRAM(Dynamic Random Access Memory)20、ROM(Read Only Memory)30、HDD(Hard Disk Drive)40、タッチパネルディスプレイ50、ネットワークI/F(Interface)60、センサユニット70、プリンタユニット80を有する。これらは通信バス90により互いに制御信号、データの送受信を行う。
【0018】
プロセッサ10は、例えばCPU(Central Processing Unit)などの演算処理装置であり、ROM30やHDD40などに格納されているプログラムをDRAM20にロードし、演算実行することで、プログラムに従い様々な処理を行う。DRAM20は、揮発性の主記憶装置である。ROM30は、永続的に記憶する不揮発性の記憶装置であり、システム起動時のBIOS(Basic Input Output System)などが記憶されている。HDD40は、永続的に記憶可能な不揮発性の補助記憶装置であり、ユーザが使用するデータやプログラムはHDD40に記憶される。
【0019】
タッチパネルディスプレイ50は、静電容量方式のタッチパネルの入力部、およびフラット型パネルの表示部により構成されている。タッチパネルの接触検知面(操作面)、およびフラット型パネルの表示面は上方を向いている。ここで、上方とは、
図4において、
図4が記載された紙面の奥から手前側に貫く方向を意味する。またタッチパネルは、複数の同時接触を検知するマルチタッチに対応しており、接触位置に応じた座標値(X値、Y値)を得ることができる。またフラット型パネルは、表示用の発光素子ととともに読み取り用の撮像素子がパネル全面に備えられており、物体読み取り機能(スキャナ機能)も有する。読み取りの際には、発光素子がシート面を照射し、この反射光を撮像素子が撮像(受光)する。
【0020】
ネットワークI/F60は、外部機器と通信を担うユニットであり、LAN(Local Area Network)ボード、近距離無線通信を制御するユニットや機構、公衆回線網と接続されるFAXボードなどを含む。センサユニット70は、ユーザが所持するIDカードを検知し、IDカード内に記述されている情報を読み取るユニットである。読み取られた情報は、卓上型情報処理装置100のログイン認証などに用いられる。このIDカードは、非接触型のICカードやRFIDタグが内蔵されたカードであり、ユーザの識別情報が少なくとも記憶されている。
【0021】
プリンタユニット80は、画像データを印刷するユニットである。プリンタユニット80は、トナーを収容するトナーカートリッジ、シートを収容するカセット、プロセスユニット(感光体ドラム、帯電部、露光部、中間転写ベルトなど)、加熱定着器、排出トレイを有し、カセットに収容されているシートを、プロセスユニット、加熱定着器、排出トレイの順に搬送する搬送部を有する。
【0022】
図3は、卓上型情報処理装置100を上側から視認したときの平面図であり、
図4は、タッチパネルディスプレイ50の表示例を示す図である。卓上型情報処理装置100は、複数ユーザの同時ログインを可能としており、複数ユーザのデスクトップ画面を同時に表示させることができる。センサユニット70は、本例では天板付近の四方側面の中央部にそれぞれ配置されたセンサ70A〜70Dを含み、IDカード200A〜200Dを携帯したユーザがセンサ70A〜70Dのいずれかに近接することで、センサユニット70がIDカード内の情報を読み取り、ログイン認証が行われる。IDカード内の情報が事前にHDD40もしくは外部の認証機構、クラウドに登録されているものである場合、認証適合となり、そのユーザの居る向きに各個人のデスクトップ画面が表示される(
図4の各図参照)。センサ70A〜70Dは、それぞれ識別情報と対応付けられており、ユーザの居る向きは、センサ70A〜70DのいずれのセンサからIDカード情報が取得されたかにより決定される。
【0023】
またタッチパネルディスプレイ50は、各個人が使用できる範囲を示す境界も表示する。
図4に示す各図は、境界を破線ラインで示している。
図4(A)は、直線で各作業領域を区切る例であり、
図4(B)は、作業領域の境界を曲線ラインとし、またいずれのユーザの作業領域でも無い非作業領域を設ける例である。この曲線ラインは、ベジェ曲線、スプライン曲線などの従来技術を用いて、複数の特徴点を通過するように描かれる。
図4の各図はあくまで一例であり、使用範囲がユーザに分かるものであればどのような態様でもよい。また境界を
図4(A)、
図4(B)のいずれの態様であるかは、ユーザの事前設定により決定される。
【0024】
図4の各図は、4人のユーザが同時に使用している例であり、各ユーザの作業領域は、領域R1〜R4となっている。センサ70Aにより検知されたユーザは領域R1を作業領域として使用し、以下同様にセンサ70Bにより検知されたユーザは領域R2を、センサ70Cにより検知されたユーザは領域R3を、センサ70Dにより検知されたユーザは領域R4を、それぞれ作業領域として使用する。
【0025】
タッチパネルディスプレイ50は、
図4各図に示すようにユーザの居る位置に応じて、ユーザにとって正規の向きとなるように、デスクトップ画面を表示する。すなわち、各ユーザの居る方(パネルの各外郭辺)を表示上の下側、このユーザの居る方からパネル中心に向けた方向を表示上の上向きとした向きで、各ユーザのデスクトップ画面を表示する。またログイン時のデスクトップ画面は、ユーザが前回ログアウトしたときの状態で表示されてもよく、事前にユーザごとに定義されたデフォルト状態(デスクトップの色など)で表示されてもよい。
【0026】
本実施形態では、タッチパネルディスプレイ50での表示、接触検知は、
図4に示す各図の左上端を基準とした座標値で示される。また紙面上横軸方向をX、縦軸方向をYとした座標系として示される。設計によっては、右上端を基準とした座標系(この場合、紙面上横軸方向がY、縦軸方向をXとなる)であってもよく、同様に左下端、右下端を基準とした座標系でもよい。その他、
図4の各図ではパネルの中心が明示されているが、実際には描画されない。
【0027】
このようなユーザインターフェイスに関し、各ユーザの作業領域のサイズ調整方法について、
図5、
図6、
図7を参照しつつ説明する。
図5、
図6は、
図4(A)の直線ラインで作業領域を区切るケースについての調整方法を示しており、
図7は
図4(B)の曲線ラインで作業領域を区切るケースについての調整方法を示している。
【0028】
図5(A)に示すように、任意のユーザが各ユーザ全ての作業領域に連関するポイントP1を指先でタッチし、任意の方向(
図5(A)の例では右下方向)にスライドさせると、その移動先の点を頂点とした作業領域に調整される(
図5(B)参照)。
図5の例の場合、全ユーザの作業領域の形状が変更される。また領域R1、R2のサイズは拡張し、領域R3、R4のサイズは縮小する。
【0029】
また
図6(A)に示すように、ユーザが2つの作業領域に連関する境界上のポイントP2を指先でタッチし、任意方向(
図6(A)の例では右下方向)にスライドさせると、当該境界は移動先の点で屈曲する。これにより、当該境界と連関している2つの作業領域は、その移動先の点を頂点とした形状となる(
図6(B)参照)。
図6の例では、領域R1のサイズが拡張し、領域R4のサイズが縮小する。領域R2、R3は連関していないため、形状、サイズともに変わらない。
【0030】
境界が曲線ラインである場合の一例を
図7に示す。
図7(A)に示すように領域R3の境界上のポイントP3をユーザが指先でタッチし、スライドさせると、他の作業領域に接触するまでは、領域R3のみが拡張し、その他の領域の形状、サイズは変更しない(
図7(B)参照)。さらに指先でスライドさせる場合、領域R3はさらに拡張し、接触した領域(本例では領域R1、R2)は縮小する(
図7(C)参照)。
【0031】
次に、作業領域間でのデータの受け渡しについて説明する。
【0032】
図8は、任意の作業領域で使用しているデータを、他の作業領域に渡して閲覧/編集するときの操作例を示す図である。本実施形態では、例えば4本指(人差し指、中指、薬指、小指)をオブジェクト表示領域に接触させ、その状態で他の作業領域にスライドさせることで、そのオブジェクトが当該他の作業領域に移動する。4本指とする理由としては、他の操作とを切り分けるためであり、態様はこれに限定されない。少なくともオブジェクトの描画領域内で何らかの接触を検知し、その状態で当該接触位置が他の作業領域内にスライドすると、当該オブジェクトがその作業領域に移動する。
【0033】
また移動した際には、移動先の作業領域での正規向きとなるように、オブジェクトが回転して表示する。
図8(A)は、領域R3から領域R1へオブジェクトを移動させる場合を例示しているが、移動後は、オブジェクトは180°回転した状態で表示される。
図8(B)は、領域R3から領域R4へオブジェクトを移動させる場合を例示しているが、移動後は、オブジェクトは270°(処理系によっては90°として扱うものもある)回転した状態で表示される。
【0034】
また、いずれか一方の手の4本指をオブジェクトに接触させ、且つ他方の手もこのオブジェクトに接触させ、この状態で4本指のみを他の作業領域にスライドさせる操作により、コピー処理として扱うことができる(
図8(C)参照)。この操作は、他方の手で押さえるという感覚の操作となる。当然、移動したオブジェクトは、その作業領域で正規向きとなるように回転して表示される。
【0035】
次に、卓上型情報処理装置100とクラウド(サーバやストレージなどにより構成される)との連携について、
図9、
図10を参照しつつ説明する。卓上型情報処理装置100にログインすると、タッチパネルディスプレイ50には上述通りユーザの作業領域が表示される。タッチパネルディスプレイ50がユーザの作業領域を画面に視覚的に表示すると同時に、卓上型情報処理装置100のHDD40内と
図9に示すクラウド200内には、そのユーザ固有のフォルダが作成される。ユーザの作業用データは、このフォルダ内に生成される。
【0036】
ユーザがログインするときに呼び出されるパラメータ情報は、クラウド200内でユーザの識別情報ごとに保存されている。このパラメータ情報とは、ファイルのアクセス権の情報、ログイン時に実行されるプログラムファイル名、コマンド起動メニュー内の項目(プログラム名)、デスクトップ画面の壁紙画像(動画でもよい)、メイン色などを含むテーマに関する情報などがある。前回のログアウト時に表示していたデータのファイル名、その位置を示す座標データがあってもよい。
【0037】
尚、作業領域の形状、サイズは、ユーザログイン時にそのときの非作業領域のサイズに応じて決定される。よって前回の作業領域の形状、サイズに関する情報(本実施形態では、具体的には作業領域の形状の基となる特徴点の座標値)は、パラメータ情報内には含まれないものとする。当然、パラメータ情報内に含ませてログイン時に当該形状となるようにする実装でも構わない。
【0038】
卓上型情報処理装置100上で作業中、または作業したデータは、クラウド200にアップロードされる(バックグラウンドで逐次自動保存やプッシュ保存)。ユーザがログアウトした場合、卓上型情報処理装置100のHDD40に一時保存していたデータは削除され、画面に視覚的に表示していた作業領域も消える。
【0039】
クラウド200にアップロードされたデータは、タブレットPC等でダウンロードして卓上型情報処理装置100の作業領域に展開することも可能である。
図10に示すタブレットPC300は、近距離無線通信、無線LAN通信などの通信手段を有しており、クラウド200とのデータ送受信、卓上型情報処理装置100とのデータ送受信を行うことができる。タブレットPC300は、クラウド200からダウンロードしたデータをタッチパネル上に表示させておき、ユーザは指先でタッチして横方向にスライドさせることで、HDD40内の当該ユーザのフォルダに、このデータファイルが保存され、作業領域に表示される。
【0040】
タブレットPC300で指先スライド操作が行われる場合、データファイルとともにユーザの識別情報も卓上型情報処理装置100に送信される。卓上型情報処理装置100のプロセッサ10は、送信されたユーザの識別情報と合致したユーザがログインしているかを判定し、ログインしている場合、そのユーザのフォルダに送信データを保存し、作業領域内に表示させる。
【0041】
図11は、卓上型情報処理装置100の動作例を示すフローチャートであり、特にログイン時の動作例を示すフローチャートである。
【0042】
センタユニット70は、近傍にあるユーザ所持のIDカードを検知し(ACT001、Yes)、その情報を読み取る。プロセッサ10は、この情報が事前に外部の認証機構やクラウド200、もしくはHDD40に登録されている情報であるかを判定することで、ログイン認証を行う(ACT002)。認証が適合である場合(ACT002、適合)、プロセッサ10は、そのユーザの作業用のフォルダをHDD40に作成し、またクラウド200内に生成される。
【0043】
プロセッサ10は、ログインユーザがいずれの位置にいるかの情報を取得する(ACT003)。この情報は、センサ70A〜70Dのいずれのセンタが検知したかにより導出することができ、センサ70A〜70Dにそれぞれ割り当てられた識別情報である。
【0044】
プロセッサ10は、ネットワークI/F60を介して、ログインユーザのパラメータ情報をクラウド200から取得し、HDD40内の作業用フォルダに保存する(ACT004)。タッチパネルディスプレイ50は、取得されるパラメータ情報内の各画像データを、ログインユーザの位置で正規向きとなるようにデスクトップ画面を表示する(ACT005)。プロセッサ10は、ACT003で取得される情報に従い、表示用の各オブジェクトを0°、90°、180°、270°のいずれかに回転させる。プロセッサ10は、センサ70Aで検知された場合、デスクトップ画面を構成する各オブジェクトを180°回転させ、センサ70Bで検知された場合は90°回転させる。またセンサ70Cで検知された場合は0°回転させ(すなわち回転させない)、センサ70Cで検知された場合は270°回転させる。処理系によっては、90°、270°を逆に扱うことも有り得る。タッチパネルディスプレイ50は、作業領域の境界を表示し、回転後のデスクトップ画面をその領域内に表示する。
【0045】
卓上型情報処理装置100は、ユーザからの操作に従い、各処理を実行する(ACT006)。ここでの各種処理とは、文書ファイルの編集や画像加工、動画の再生、ホームページの閲覧など、おおよそPCで行うことができるアプリケーション上の処理である。編集作業中のデータは、クラウド200側の作業フォルダに随時、もしくはユーザの所定操作によりアップロードされる。また、作成、編集したデータを永続的に記憶させる場合、クラウド200内の別の記憶領域に当該データが記憶される。
【0046】
ACT006の処理は、ログアウトが受け付けられるまで行われ(ACT007、Noのループ)、ユーザの所定操作によりログアウトを受け付けた場合、プロセッサ10は、ログアウト処理を行い(ACT008)、処理は終了となる。ログアウト処理は、上記のようにHDD40やクラウド200内に記憶されている作業用データや作業用フォルダの削除も含まれる。またこの際、クラウド200にアップロードされていないデータがある場合、プロセッサ10は、これらデータをネットワークI/F60を介してクラウド200にアップロードする。
【0047】
図12は、タッチパネルディスプレイ50が接触を検知した際の動作例を示すフローチャートである。タッチパネルディスプレイ50が接触を検知した場合(ACT101、Yes)、プロセッサ10は、その接触位置(座標)がいずれの領域上であるかを判定する(ACT102)。接触位置が境界上である場合(ACT102、境界)、プロセッサ10は、その接触位置が移動して接触解除されたかを判定する(ACT103)。移動して接触解除された場合(ACT103、Yes)、プロセッサ10は、解除位置に境界がくるように、作業領域を再構成する(ACT104)。再構成については、上記
図5〜
図7を用いて説明したように、指先接触のあった境界と連関している作業領域の形状、サイズが変更される。プロセッサ10は、解除位置が形状の特徴点となるように、タッチパネルディスプレイ50の表示を制御する。
【0048】
ACT102で、接触位置が表示されているオブジェクト上である場合(ACT102、オブジェクト)、プロセッサ10は、他ユーザの作業領域で接触解除されたかを判定する(ACT105)。他ユーザの作業領域での接触解除ではない場合(ACT105、No)、タッチパネルディスプレイ10は、接触解除のあった位置に当該表示オブジェクトを移動して表示する(ACT109)。ACT109は同じ作業領域内での移動となる。
【0049】
一方、他ユーザの作業領域での接触解除である場合(ACT105、Yes)、当該データを他ユーザの作業フォルダに移動、またはコピーする(ACT106)。ACT102での接触点が複数(本例では人差し指から小指までの4点以上)であり、全ての点が他ユーザの作業領域に移動した場合、プロセッサ10はデータの移動として扱い、1点以上残っている場合はデータのコピーとして扱う。この判定により、データの移動/コピーの処理を切り分けることができる。プロセッサ10は、移動先の作業領域を使用しているユーザ固有のフォルダに、移動対象のデータと同じデータファイルを作成する。
【0050】
プロセッサ10は、接触解除のあった領域に応じて、表示オブジェクトを回転させる(ACT107)。ここでは、左側のユーザの作業領域である場合は90°回転させ、対面のユーザの作業領域である場合は180°回転させる。右側のユーザの作業領域である場合は270°回転させる。処理系によっては、90°と270°とが逆転する場合も有り得る。タッチパネルディスプレイ50は、この回転後の画像を、接触解除のあった位置に表示する(ACT108)。
【0051】
ACT102で、境界、表示オブジェクトのいずれでも無い場合(ACT102、その他)、その他の処理が実行される(ACT110)。この処理は、ユーザが画像加工ソフトウェアを使用しているときは描画処理であったり、文書編集ソフトウェアを使用しているときはタイピング処理であったりなど、各種アプリケーションに従った処理となる。
【0052】
上記説明では、センサユニット70がIDカードを検知し、識別情報を得ることでログイン認証を行っているが、ユーザID、パスワードを入力させる認証方法であっても構わない。ユーザがタッチパネルディスプレイ50にタッチすることで、タッチパネルディスプレイ50は、ユーザID、パスワードを入力させるダイアログを表示する。また、ログイン時のタッチ位置に応じて、ログイン用ダイアログやデスクトップ画面の表示向きを制御する実装でもよい。この場合、例えば
図4(A)に示すように、タッチパネルディスプレイ50を事前に領域R1〜R4に区分けし、領域R1〜R4のいずれかで接触検知した場合、その領域に応じた向きとなるように表示させる実装でもよい。この実装は、ユーザの位置に関する情報を領域R1〜R4の識別情報とした実装となる。
【0053】
上記動作をコンピュータに実行させるためのプログラムが、表示プログラムとして提供されてもよい。このプログラムはHDD40に事前に記憶されており、プロセッサ10がこのプログラムを読み出してDRAM20に展開し、演算実行する。またプログラムの名称も、表示プログラムに限らず、ログインプログラム、ユーザインターフェイスプログラムなどでもよいし、これら以外でも構わない。
【0054】
MFPなどの画像形成装置は、画像という情報をシート上に形成する、という処理を実施する装置である。よって、情報処理装置は、コンピュータのみならず画像形成装置も含む。その他にも情報を処理する機器、装置は、情報処理装置ということができる。
【0055】
本実施形態では装置内部に発明を実施する機能が予め記録されている場合で説明をしたが、これに限らず同様の機能をネットワークから装置にダウンロードしても良いし、同様の機能を記録媒体に記憶させたものを装置にインストールしてもよい。記録媒体としては、CD−ROM等プログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能な記録媒体であれば、その形態は何れの形態であっても良い。またこのように予めインストールやダウンロードにより得る機能は装置内部のOS(オペレーティング・システム)等と協働してその機能を実現させるものであってもよい。
【0056】
制御部は、実施形態のプロセッサ10、DRAM20、通信バス90を少なくとも有する構成に相当する。またプロセッサ10、DRAM20、通信バス90などの各ハードウェアと協働して動作するプログラムは、HDD40(ROM30でもよい)に事前に記憶されており、プロセッサ10によりDRAM20にロードされ、演算実行される。また記憶部は、DRAM20、HDD40に相当し、通信部は、ネットワークI/F60に相当する。
【0057】
以上に詳説したように、本実施形態の態様により、複数人ユーザの同時使用を可能とし、また各ユーザのデスクトップ領域も確保できる。
【0058】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、すべて本発明の範囲内のものである。