特許第5661743号(P5661743)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5661743トーショナルバイブレーションダンパを備えるツインクラッチ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5661743
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】トーショナルバイブレーションダンパを備えるツインクラッチ
(51)【国際特許分類】
   F16D 25/10 20060101AFI20150108BHJP
【FI】
   F16D25/10 AZHV
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-508895(P2012-508895)
(86)(22)【出願日】2010年4月19日
(65)【公表番号】特表2012-526243(P2012-526243A)
(43)【公表日】2012年10月25日
(86)【国際出願番号】DE2010000438
(87)【国際公開番号】WO2010127655
(87)【国際公開日】20101111
【審査請求日】2013年4月16日
(31)【優先権主張番号】102009019874.1
(32)【優先日】2009年5月6日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512006239
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アクチエンゲゼルシャフト ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100112793
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳大
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100128679
【弁理士】
【氏名又は名称】星 公弘
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100143959
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 秀一
(74)【代理人】
【識別番号】100156812
【弁理士】
【氏名又は名称】篠 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100167852
【弁理士】
【氏名又は名称】宮城 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス アーノルト
(72)【発明者】
【氏名】ディアク ホーフシュテッター
(72)【発明者】
【氏名】イヴォ アグナー
【審査官】 久島 弘太郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/092426(WO,A2)
【文献】 特開2006−177464(JP,A)
【文献】 特表2010−516558(JP,A)
【文献】 特開2002−89594(JP,A)
【文献】 特表2002−526326(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿式のツインクラッチ、デュアルマスフライホイール(ZMS)及び電気機械を備えるツインクラッチ式伝動装置において、
前記デュアルマスフライホイールが、入力側を形成する第1のカバーと、該第1のカバーに接続される弾性部材と、該弾性部材に接続される出力側部材と、を有しており、
前記第1のカバーの入力側に接続された接続部材に、前記電気機械のロータが接続されており、
前記出力側部材に、前記ツインクラッチの入力側を形成する少なくとも1つのディスクキャリアが接続されていることを特徴とする、ツインクラッチ式伝動装置。
【請求項2】
前記電気機械が、乾室内に配置されており、第2のカバーを介してクラッチ室から隔離されている、請求項1記載のツインクラッチ式伝動装置。
【請求項3】
前記ロータが、直接前接続部材、又はフランジを介して前記接続部材にねじ止め、リベット止め又は溶接されている、請求項1又は2記載のツインクラッチ式伝動装置。
【請求項4】
前記デュアルマスフライホイール(ZMS)が、湿室内に組み込まれている、請求項1から3までのいずれか1項記載のツインクラッチ式伝動装置。
【請求項5】
前記電気機械のステータが、伝動装置ハウジングに結合されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のツインクラッチ式伝動装置。
【請求項6】
遠心力振り子が、湿室内に組み込まれており、前記クラッチの一次質量体に接続されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のツインクラッチ式伝動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿室内に配置される2つの湿式クラッチと、トーショナルバイブレーションダンパとを備えるツインクラッチに関する。
【0002】
自動車用のツインクラッチは公知である。
【0003】
ツインクラッチは、液圧作動油等の流体で満たされた閉鎖された湿室内で運転される、半径方向で重なり合わせに入れ子状に又は軸方向で相前後して配置された2つの湿式クラッチを備えるツインクラッチとして形成されている場合がある。
【0004】
さらに、湿室内には、特に内燃機関、例えば高トルクのディーゼルエンジンによりパワートレーンに導入されるねじり振動の振動減衰のためのトーショナルバイブレーションダンパを設けることができる。その際、内燃機関の回転不安定性が増すのにつれて、例えばデュアルマスフライホイールのようなトーショナルバイブレーションダンパは、より強いものあるいはより大きなものに設定されなければならない。これにより、ツインクラッチの軸方向の組み付けスペースは、湿式クラッチに軸方向で隣接配置されるトーショナルバイブレーションダンパにより増大する。
【0005】
それゆえ、本発明の課題は、組み込まれた電気機械を備えるこのようなツインクラッチ式伝動装置を提供することである。
【0006】
この課題は、本発明により、湿式のツインクラッチ、デュアルマスフライホイール(ZMS:Zweimassenschwungrad)及び電気機械を備えるツインクラッチ式伝動装置において、電気機械のロータが固定にツインクラッチの入力側に接続されているツインクラッチ式伝動装置により解決される。
【0007】
つまり、湿式ツインクラッチと内燃機関との間には、電動モータが接続される。これにより、電気機械を介してスタートストップ機能を実現し、ブースト運転を行い、かつ回生運転を行う可能性が生じる。電気機械は、乾室内に配置されており、カバーを介してクラッチ室から隔離されている。クラッチ室は、湿室とも呼ばれる。
【0008】
ロータは、直接、ツインクラッチの入力側にねじ止め、リベット止め又は溶接されてよい。
【0009】
デュアルマスフライホイールは、湿室内に組み込まれていてよい。
【0010】
特に、電気機械のステータは、伝動装置ハウジングに結合されている。
【0011】
加えて、遠心力振り子(FKP:Fliehkraftpendel)が、湿室内に組み込まれていてよい。特に、FKPは、クラッチの一次質量体に接続されていてよい。
【0012】
以下に、本発明について、有利な実施の形態を基に、付属の図面との関連で詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】電気機械が乾室内に配置され、フランジを介してクラッチの入力側に接続されており、ZMS及びFKPが湿室内に配置されており、かつZMSの出力フランジが外側からクラッチの間に係合して(「T形配置」)、トルクをクラッチの入力側としての外側のディスクキャリアに伝達する、本発明に係るツインクラッチ式伝動装置の一実施の形態を示す図である。
図2】電気機械が乾室内に配置され、フランジを介してクラッチの入力側に接続されており、ZMS及びFKPが湿室内に配置されており、かつZMSの出力フランジが半径方向内方に延在して、内側に位置するガイドスリーブに接続されており、内側に位置するガイドスリーブが、クラッチの入力側としての内側のディスクキャリアを支持しており、かつクラッチが軸方向で浮動式にプリロードをかけられた状態で支承されている、本発明に係るツインクラッチ式伝動装置の一実施の形態を示す図である。
図3】電気機械が乾室内に配置され、フランジを介してクラッチの入力側に接続されており、ZMS及びFKPが湿室内に配置されており、かつZMSの出力フランジが側方に延在して、内側に位置するガイドスリーブに接続されており、内側に位置するガイドスリーブが、クラッチの入力側としての内側のディスクキャリアを支持しており、かつクラッチが軸方向で浮動式にプリロードをかけられた状態で支承されている、本発明に係るツインクラッチ式伝動装置の一実施の形態を示す図である。
図4】電気機械が乾室内に配置され、フランジを介してクラッチの入力側に接続されており、ZMS及びFKPが湿室内に配置されており、かつZMSの出力フランジが側方に延在して、内側に位置するガイドスリーブに接続されており、内側に位置するガイドスリーブが、クラッチの入力側としての内側のディスクキャリアを支持しており、かつ内側に位置するガイドスリーブがツインクラッチ式伝動装置の外側の入力軸に支承されている、本発明に係るツインクラッチ式伝動装置の別の実施の形態を示す図である。
【0014】
図1には、車両のパワートレーンの一部が示されている。このパワートレーンにおいて、駆動トルク、特に内燃機関その他の駆動装置の駆動トルクは、ねじ結合部及び/又はリベット結合部4を介して接続部材3に伝達される。電気機械12のロータは、フランジ2を介してやはり接続部材3に取り付けられている。図示の実施の形態では、フランジ1も、フランジ2も、共通のねじ結合部及び/又はリベット結合部4を介して結合されている。フランジ1とフランジ2との間に空いた組み付けスペースには、ディファレンシャルから延びる横方向軸が配置可能である。
【0015】
さらに接続部材3は、ツインクラッチ式伝動装置の伝動装置入力軸の1つを駆動装置側で支承するために用いられると同時に、ツインクラッチの入力側5のボスを形成している(ボス3及びポット状のカバー5からなる)。
【0016】
さらに接続部材3は、カバー6を介して支承されている。カバー6は、乾室Aと湿室Bとを仕切っている。
【0017】
ZMSは、湿室B内に配置されている。ポット状のカバー5は、ZMSの入力側を形成しており、トルクをばねセット7に伝達する。
【0018】
ZMSの出力側8は、半径方向内方に向かって、それぞれ湿式クラッチの入力側を形成する2つのポット状のアウタディスクキャリア9及び10の間を延在している。択一的には、1つの共通のアウタディスクキャリア9+10が設けられており、ZMSの出力側8は、共通のアウタディスクキャリア9+10にトルクを伝達するようになっていてもよい。
【0019】
アウタディスクキャリア9,10から、トルクは、個々のクラッチが適当に操作されると、インナディスクキャリア11,12に伝達される。
【0020】
インナディスクキャリア11,12から、トルクは、ツインクラッチ式伝動装置13,14のそれぞれの入力軸に伝達される。
【0021】
伝動装置あるいは変速装置側の湿式クラッチは、ピストン15及び遠心油室16を介して操作される。
【0022】
駆動装置側の湿式クラッチは、ピストン17、ポット状の構成部材18及び遠心油室19を介して操作される。ポット状の構成部材18は、伝動装置側のクラッチのディスク及びZMSの出力側8を貫通している。
【0023】
少なくとも遠心油室19は、2つの部分から形成されている。その結果、連続的な冷却油流が保証されている。
【0024】
遠心力振り子(FKP)20も、湿室内に配置されており、構成部材21を介してクラッチの一次質量体22に接続されている。クラッチの一次質量体は、ころ軸受を介して外側の伝動装置入力軸14に支持されている。
【0025】
歯付きリング23を介してポンプの駆動が行われる。
【0026】
図2は、電気機械が乾室内に配置され、フランジを介してクラッチの入力側に接続されており、ZMS及びFKPが湿室内に配置されており、かつZMSの出力フランジ24が半径方向内方に延在して、内側に位置するガイドスリーブ25に構成部材26を介して接続されており、内側に位置するガイドスリーブ25が、クラッチの入力側としての単数又は複数の部分からなる内側のディスクキャリア27を支持しており、かつクラッチが軸方向で浮動式にばね28を介してプリロードをかけられた状態で支承されている、本発明に係るツインクラッチ式伝動装置の一実施の形態を示している。FKPは、構成部材26に配置されている。ガイドスリーブ25の半径方向内側には、液圧媒体供給部29が配置されている。
【0027】
図3は、電気機械が乾室内に配置され、フランジを介してクラッチの入力側に接続されており、ZMS及びFKPが湿室内に配置されており、かつZMSの出力フランジ30が側方に延在して、内側に位置するガイドスリーブ25に構成部材31を介して接続されており、内側に位置するガイドスリーブ25が、クラッチの入力側としての単数又は複数の部分からなる内側のディスクキャリアを支持しており、かつクラッチが軸方向で浮動式にばね28を介してプリロードをかけられた状態で支承されている、本発明に係るツインクラッチ式伝動装置の一実施の形態を示している。
【0028】
図4は、図3に示した実施の形態と類似の実施の形態であって、電気機械が乾室内に配置され、フランジを介してクラッチの入力側に接続されており、ZMS及びFKPが湿室内に配置されており、かつZMSの出力フランジが側方に延在して、内側に位置するガイドスリーブに接続されており、内側に位置するガイドスリーブが、クラッチの入力側としての内側のディスクキャリアを支持しており、かつ内側に位置するガイドスリーブがツインクラッチ式伝動装置の外側の入力軸に支承されている、本発明に係るツインクラッチ式伝動装置の別の実施の形態を示している。
【0029】
本発明は、電気機械及び軸方向で入れ子状の湿式ツインクラッチを所定のクラッチ組み付けスペース(特に半径方向で小さな、軸方向で比較的長く延びる組み付けスペース)内に組み込むものである。
【0030】
コンポーネントは、電気機械が乾室内にある一方、クラッチが、振動絶縁のために必要なコンポーネント、例えば弧状ばね式ダンパ及び遠心力振り子を含めて、湿室内に配置されているように配置されている。
【0031】
本発明に係るツインクラッチは、特に、軸方向で相前後して配置されている湿式クラッチを備えるツインクラッチ式伝動装置用に想定されている。
【0032】
本発明に係るツインクラッチは、特に<400Nmのトルククラスで使用可能である。
【0033】
本発明に係るツインクラッチは、特に、ハイブリッド車両でも使用可能である。
図1
図2
図3
図4