【課題を解決するための手段】
【0009】
これらの目的は、下記の独立請求項に示すような軸受装置によって達成されるが、その他の特徴についても従属請求項および以下の説明から明らかとなろう。
【0010】
本発明は、船舶用プロペラユニットの支持体に係り、前記プロペラユニットは静止ケーシングを備える。静止ケーシング内に、回転ロータハウジングが装着される。複数のプロペラ羽根が、ハブとロータハウジングの内周を介してロータハウジングに取り付けられている。船舶の運航中は、プロペラ羽根を有するロータハウジングが回転するため、ロータハウジングは、ケーシング内に回転自在に装着される。これは、複数の永久磁石をロータハウジングの外周に配設し、これらのロータハウジングの永久磁石がプロペラユニットの静止ケーシングの内周に配設された複数の永久磁石との相互作用し、また、その影響を受けることによって達成される。
【0011】
永久磁石は、回転ロータハウジングおよび/または静止ケーシングの全周また一部に配設することができる。好ましくは、回転ロータハウジングの外周に永久磁石を配設するとともに、静止ケーシングの内周の永久磁石は、摩耗が最も激しいと思われる区域にのみ配設する。例えば、ケーシングの下側の区域(すなわち、船舶から最も下方へ突出して水中に入る区域)とこれと反対側の区域(すなわちケーシングの上側の区域)が、これに当たる。回転ロータハウジングは、その重さを考えると静止ケーシングの下側の区域(ケーシングの底部)に向かって「引き下ろされる」と思われるためである。
【0012】
永久磁石の静止ケーシングおよび回転ロータハウジングへの取付は、接着、ねじ止め等で行うことができる。
【0013】
回転ロータハウジングを静止ケーシングに挿入して回転ロータハウジングと静止ケーシングを組み付けた際に、回転ロータハウジングおよび静止ケーシングの周りに配設された永久磁石と永久磁石が接触する面は、軸受材料で被覆するのが好ましい。なお、この場合の永久磁石の接触面とは、回転ロータハウジングの外周と静止ケーシングの内周の全域または一部に永久磁石が配設されたときに相対する面である。軸受材料は、永久磁石の材料とは異なる種類の材料とすることができる。好ましくは、耐摩耗性を有する材料とすることで、プロペラユニットの使用時に永久磁石が受ける摩耗を少なくすることができる。さらに、永久磁石の全ての面を軸受材料で被覆してもよく、その場合は、回転ロータハウジングおよび/または静止ケーシング内の永久磁石が完全に軸受材料で包み込まれることになる。
【0014】
回転ロータハウジングの外周および静止ケーシングの内周への永久磁石の配設は、様々な方法で実施することができるが、本発明の実施形態では、回転ロータハウジングと静止ケーシングの全周または一部に配設される永久磁石が同じ極性、例えば永久磁石が同じ陰極(N極)とする。この結果、回転ロータハウジングと静止ケーシングの永久磁石は、これら2つの要素の全周または一部において、互いに反発しようとすることにより、回転ロータハウジングと静止ケーシングとの間の接触が無くなる。
【0015】
本発明の一実施形態では、回転ロータハウジングの外周に配設される永久磁石を同じ極性とする一方、静止ケーシングの内周に配設される永久磁石の方は、いくつかの区域に分割して極性を異なるものとする。例えば、プロペラユニットを装着した状態での回転ロータハウジングの頂点を0度と定義した場合の静止ケーシングの145度から215度の区域に、回転ロータハウジングの外周に配設された永久磁石と同じ極性の永久磁石を設けることができる。すなわち、プロペラユニットの動作時に静止ケーシングの内部で回転するプロペラ羽根を有する回転ロータハウジングは、常に静止ケーシングの「底部」に位置する区域を有していることになり、この区域において回転ロータハウジングと静止ケーシングの永久磁石は同じ極性であるため、その極性が回転ロータハウジングを静止ケーシング内で「上へと」押し上げようとする。これによって回転ロータハウジングと静止ケーシングはこの区域における接触を防止されるため、軸受材料の摩耗を回避することが可能となる。
【0016】
本発明のさらなる実施形態では、回転ロータハウジングの外周に配設された永久磁石が、同じ極性、すなわち、N極またはS極に磁化されている。プロペラユニットを装着した状態での回転ロータハウジングの頂点を0度と定義した場合の静止ケーシングの内周の35度から325度の区域に、回転ロータハウジングの外周に配設された永久磁石と反対の極性を有する永久磁石が配設される。また、プロペラユニットを装着した状態での回転ロータハウジングの頂点を0度と定義した場合の静止ケーシングの内周の145度から215度の区域に、回転ロータハウジングの外周に配設された永久磁石と同じ極性の永久磁石が配設される。本実施形態によると、静止ケーシングは、その下部区域から回転ロータハウジングを撥ね返そうとする。これは、静止ケーシング下部区域の永久磁石の極性が回転ロータハウジングの外周に配設された永久磁石と同じであるためである。一方、静止ケーシングの上側区域では、静止ケーシングの永久磁石と回転ロータハウジングの永久磁石とが反対の極性であることから、相互に引きつけ合おうとする。従って、プロペラの動作時に、回転ロータハウジングが静止ケーシングと接触する度合いははるかに小さくなり、よって、プロペラユニットの軸受を形成している永久磁石が受ける摩耗も小さくなる。
【0017】
本発明の更なる別の実施形態では、プロペラユニットを装着した状態での回転ロータハウジングの頂点を0度と定義した場合の静止ケーシングの内周の145度から215度の区域に永久磁石を配設し、その永久磁石に回転ロータハウジングの外周に配設された永久磁石と同じ極性をもたせることで、静止ケーシングに配設された永久磁石と回転ロータハウジングに配設された永久磁石とがこの区域において相互に反発し合うようする。従って、回転ロータハウジングがこの区域において静止ケーシングと接触することは無くなる。
【0018】
本発明の更なる別の実施形態では、回転ロータハウジングと静止ケーシングの周囲に、永久磁石をいくつかの列(row)として、回転ロータハウジングおよび静止ケーシングの長手方向(longitudinal direction)に相互に距離を空けて配列してもよい。この場合、永久磁石は回転ロータハウジングと静止ケーシングの周囲に閉じた「リング」を形成するように配列するのが好ましい。また、回転ロータハウジングの永久磁石と静止ケーシングの永久磁石は、相互に上下に配置される。
【0019】
本発明の好適な実施形態では、2組の永久磁石を、回転ロータハウジングの外周に沿って回転ロータハウジングの長手方向に並置して配置する。1組の永久磁石に負の極性を持たせる一方、もう1組の永久磁石に正の極性を持たせる。同様に、静止ケーシングにおいても、静止ケーシングの内周に沿って2組の永久磁石を静止ケーシングの長手方向に並置して配置し、1組の永久磁石に負の極性、もう1組の永久磁石に正の極性を持たせる。この場合、回転ロータハウジングと静止ケーシングにそれぞれ2組配設される永久磁石は、プロペラユニットを組み付けた時に、負の極性をもつ組と組が上下になり、正の極性をもつ組と組も上下になるように配設される。これら2組の永久磁石は、静止ケーシングおよび回転ロータハウジングの開口部の各縁部に、またはその付近に配設するのが好ましい。
【0020】
あるいはまた、2組の永久磁石をロータハウジングおよびケーシングの各端部またはその付近に配設すると共に、さらに2組の永久磁石をロータハウジングおよびケーシングの長手方向の中間部付近の区域に配設し、回転ロータハウジングを静止ケーシングに関してさらに支持または装着できるようにしてもよい。ただし、1組の永久磁石のみを使用し、複数の組の永久磁石をロータハウジングおよびケーシングの長手方向に沿って配設するようにしてもよい。どのようにするかは、当業者であれば、プロペラユニットにかかる荷重、使用する軸受材料等に応じて、ケースバイケースで判断できるものと考えられる。
【0021】
回転ロータハウジングおよび/または静止ケーシングに永久磁石を配置する区域に関して上に示した角度は、本発明の好適な実施形態であり、当然ながら、これらの区域の角度については様々な変更が可能である。
【0022】
上記の本発明の実施形態では、上記のような軸受材料は、永久磁石上に設けられる。軸受材料は、永久磁石の全面または一部を被覆することができる。例えば、上記の実施形態の中で、静止ケーシングおよび回転ロータハウジングに1組の永久磁石のみ使用する実施形態においては、軸受材料は、永久磁石の相対する面に設けられるが、複数組の永久磁石を並置する実施形態の場合、永久磁石の側面(lateral surface)も、軸受材料で被覆される。永久磁石を軸受材料で被覆すると、回転ロータハウジングが静止ケーシングと接触することがあっても、摩耗を受けるのは軸受材料である。軸受材料は、基本的に任意の1種類の材料または複数種類かの材料で形成することができるが、耐摩耗性の材料とするのが好ましい。軸受材料は、吹き付けや接着など、適宜の方法で永久磁石に貼付することができる。
【0023】
回転ロータハウジングおよび静止ケーシングの周囲の全周またはその一部に配設される永久磁石の組は、複数の別個の永久磁石から成り、これら別個の永久磁石が1列または複数の列を成して配置される。1組の永久磁石の中の隣接する2つの永久磁石ユニットが相互に接するように配設してもよいし、間に空隙をおいて配設してもよい。
【0024】
また、永久磁石は、より大型のものを設けても良く、永久磁石を配設すべき区域全体、例えば、145度〜215度の区域を覆う大型の永久磁石を用いてもよい。
【0025】
回転ロータハウジングの外周に配設される永久磁石と静止ケーシングの内周に配設される永久磁石とは、プロペラユニットの長手方向(軸方向)の断面で見たときに、真っ直ぐ上下に並んで配設されるのが好ましいが、横方向(laterally)にややずらせて配設することも可能である。
【0026】
また、永久磁石は、ロータハウジングおよび/またはケーシングの軸方向の全域または一部に配設してもよい。本発明の好適な実施形態では、永久磁石をロータハウジングおよびケーシングの前縁部と後縁部、すなわち、ロータハウジングおよびケーシングの開口部を形成する区域に配設される。
【0027】
回転ロータハウジングおよび静止ケーシングの周りに配設される永久磁石は、同じ寸法(すなわち厚み、長さ、幅)としてもよいし、異なる寸法にしてもよい。さらに、回転ロータハウジングおよび/または静止ケーシングの周囲の特別な区域において、永久磁石の大きさを変えるように構成してもよい。例えば、145度から215度の区域において、永久磁石の厚みを大きくするようにしてもよい。
【0028】
永久磁石は、永久磁石を上下に相互に接触させて配置した複数の層で構成することも可能である。
【0029】
さらに、回転ロータハウジングに配設された1組以上の永久磁石と静止ケーシングに配設された1組以上の永久磁石との間の距離を変えることも可能である。例えば、ロータハウジングにプロペラユニットを装着した位置において、ロータハウジングの下側の地点の永久磁石の組の間の距離を大きくすることができる。
【0030】
永久磁石のロータハウジングおよび静止ケーシングへの取り付けは、適宜の方法、例えば、接着によって、永久磁石をホルダに乗せた後、ロータハウジングおよび静止ケーシングに取り付けるなどして行うことができる。
【0031】
本発明による軸受装置は、既存の解決策の欠点を回避、あるいは少なくとも低減することを目的とするものである。
【0032】
本発明のその他の利点および特徴については、以下の詳細な説明、添付図面、および特許請求の範囲から明らかとなろう。
【0033】
次に、添付図面を参照して本発明についてより詳細に説明する。