(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5661753
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】LTE通信ネットワークにおけるPSS信号からチャネルを推定するプロセス、およびそのレシーバ
(51)【国際特許分類】
H04J 11/00 20060101AFI20150108BHJP
H04B 1/7073 20110101ALI20150108BHJP
H04B 1/712 20110101ALI20150108BHJP
【FI】
H04J11/00 Z
H04B1/7073
H04B1/712
【請求項の数】15
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-515397(P2012-515397)
(86)(22)【出願日】2010年6月18日
(65)【公表番号】特表2012-530435(P2012-530435A)
(43)【公表日】2012年11月29日
(86)【国際出願番号】EP2010003679
(87)【国際公開番号】WO2010145832
(87)【国際公開日】20101223
【審査請求日】2013年6月17日
(31)【優先権主張番号】09368020.5
(32)【優先日】2009年6月19日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510000633
【氏名又は名称】エスティー‐エリクソン、ソシエテ、アノニム
(73)【特許権者】
【識別番号】511151064
【氏名又は名称】エスティー‐エリクソン、(フランス)、エスアエス
【氏名又は名称原語表記】ST−ERICSSON (FRANCE) SAS
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100103263
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 康
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100146123
【弁理士】
【氏名又は名称】木本 大介
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア、アンコラ
(72)【発明者】
【氏名】イッサム、トゥフィク
【審査官】
岡 裕之
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2008/042874(WO,A2)
【文献】
特開2009−049792(JP,A)
【文献】
特開2003−101503(JP,A)
【文献】
特開2004−266814(JP,A)
【文献】
Andrea Ancora et al.,Down-Sampled Impulse Response Least-Squares Channel Estimation for LTE OFDMA,Acoustics, Speech and Signal Processing, 2007. ICASSP 2007. IEEE International Conference on,2007年 4月20日,Vol.III,pp.293-296
【文献】
池田 裕司 他,適応フィルタによるガードバンドの外挿処理を施したOFDM用周波数領域伝搬路推定法,電子情報通信学会論文誌,2008年 4月 1日,B Vol.J91-B, No.4,pp.450-456
【文献】
Satoshi Nagata et al.,Investigations on Synchronization Channel Sequences in OFDM Based Evolved UTRA Downlink,Vehicular Technology Conference, 2007. VTC-2007 Fall. 2007 IEEE 66th,2007年10月 3日,pp.1390-1395
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04J 11/00
H04B 1/7073
IEEE Xplore
CiNii
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロングタームエボリューション(LTE:Long Term Evolution)通信システムにおけるチャネルを推定する方法であって、
受信信号からプライマリ同期信号(PSS:Primary Synchronization Signal)を抽出するステップと、
推定されたベクトル
【数1】
を生成するために、前記PSSを含む62個のサブキャリアに基づいて、最小二乗(LS:Least Square)チャネル推定を行うステップ(ステップ40)と、
補間され推定されて64個の中心サブキャリアにマッピングされたベクトルを発生するために、2つの欠けているサブキャリア、例えばサブキャリア#−32およびd.c.内における、前記推定されたベクトル
【数2】
の補間を実行するステップ(ステップ41)と、
前記補間され推定されたベクトルに基づいて、さらにチャネル推定を行うステップと、
を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記PSSに割り当てられていない特定のサブキャリア(#−32,d.c.)の補間を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
d.cサブキャリアは、2つの隣接するサブキャリアを平均することによって補間される、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
サブキャリア−32は、サブキャリア−31によって補間される、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
− 前記PSSに割り当てられていないサブキャリアに対するLSチャネル推定を補間するステップ(ステップ41)と、
− 逆離散フーリエ変換(IDFT)または逆高速フーリエ変換(IFFT)を適用するステップ(ステップ42)と、
− チャネルの長さに対応するL個の第1のサンプルを抽出するステップ(ステップ43)と、
− F
Lを、64×64の離散フーリエ変換(DFT)行列のL個の第1の列を選択することにより得られる行列とし、σを、雑音の分散とし、C
hを、チャネル時間領域インパルス応答共分散行列とするときの、
【数3】
により乗算を行うステップ(ステップ44)と、
− 前記乗算を行うステップの結果として生じる信号を、64の長さにゼロパッドするステップ(ステップ45)と、
− DFTまたは高速フーリエ変換(FFT)を適用するステップ(ステップ46)と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
− 2つの欠けているサブキャリアに対して補間を行うことにより、64個の中心サブキャリアに対するLSチャネル推定を再構築するステップ(ステップ51)と、
− 補間されたチャネル推定に対して、逆高速フーリエ変換(IFFT)を適用するステップ(ステップ52)と、
− L個の第1のサンプルを抽出するステップ(ステップ53)と、
− 前記L個の第1のサンプルを、64の長さにゼロパッドするステップ(ステップ54)と、
− 前記ゼロパッドするステップの結果の離散フーリエ変換(DFT)または高速フーリエ変換(FFT)を行うステップ(ステップ55)と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
− 2つの欠けているサブキャリアに対して補間を行うことにより、64個の中心サブキャリアに対するLSチャネル推定を再構築するステップ(ステップ61)と、
− 補間されたチャネル推定に対して、逆高速フーリエ変換(IFFT)を適用するステップ(ステップ62)と、
− L個の第1のサンプルを抽出するステップ(ステップ63)と、
− I
Lを寸法Lの識別行列とするときの、
【数4】
により乗算を行うステップ(ステップ64)と、
− 前記乗算を行うステップの結果として生じる信号を、64の長さにゼロパッドするステップ(ステップ65)と、
− 前記ゼロパッドするステップの結果の離散フーリエ変換(DFT)または高速フーリエ変換(FFT)を行うステップ(ステップ66)と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
− 2つの欠けているサブキャリアに対する補間を行うことにより、64個の中心サブキャリアに対するLSチャネル推定を再構築するステップ(ステップ71)と、
− 補間されたチャネル推定に対して、逆高速フーリエ変換(IFFT)を適用するステップ(ステップ72)と、
− サイクリックプレフィックス(CP:Cyclic Prefix)の長さに対応する第1のサンプルを抽出するステップ(ステップ73)と、
− 前記第1のサンプルを、64の長さにゼロパッドするステップ(ステップ74)と、
− 前記ゼロパッドするステップの結果の離散フーリエ変換(DFT)または高速フーリエ変換(FFT)を行うステップ(ステップ75)と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
− 2つの欠けているサブキャリアに対する補間を行うことにより、64個の中心サブキャリアに対するLSチャネル推定を再構築するステップ(ステップ81)と、
− 補間されたチャネル推定に対して、逆高速フーリエ変換(IFFT)を適用するステップ(ステップ82)と、
− Chを、チャネル時間領域インパルス応答共分散行列とするときの、Chにおける、非ゼロのタップの存在に対応するサンプルを保ち、その他の位置にゼロを置くステップ(ステップ83)と、
− 前記ゼロを置くステップの結果の高速フーリエ変換(FFT)を行うステップ(ステップ84)と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
− 2つの欠けているサブキャリアに対して補間を行うことにより、64個の中心サブキャリアに対するLSチャネル推定を再構築するステップ(ステップ91)と、
− 補間されたチャネル推定に対して、逆高速フーリエ変換(IFFT)を適用するステップ(ステップ92)と、
− N個の最も強いサンプル(サンプルの電力の大きさに関する比較が行われる)を保ち、その他の位置にゼロを置く(最も強いものは、CP内のサンプルに制限してもよい)ステップ(ステップ93)と、
− 前記ゼロを置くステップの結果の離散フーリエ変換(DFT)または高速フーリエ変換(FFT)を行う(ステップ94)と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
− 2つの欠けているサブキャリアに対して補間を行うことにより、64個の中心サブキャリアに関するLSチャネル推定を再構築するステップ(ステップ101)と、
− 補間されたチャネル推定に対して、逆高速フーリエ変換(IFFT)を適用するステップ(ステップ102)と、
− 第1のCP長のサンプル内で、最大電力を有するサンプルを検出するステップ(ステップ103)と、
− 最大電力に関して定義された閾値を超える電力を有するサンプルのみを保つ(CP内のサンプルのみに限定してもよい)ステップ(ステップ104)と、
− 前記サンプルのみを保つステップの結果の離散フーリエ変換(DFT)または高速フーリエ変換(FFT)を行うステップ(ステップ105)と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
LTEデジタル通信ネットワーク用のレシーバであって、
− 受信信号からプライマリ同期信号(PSS:Primary Synchronization Signal)を抽出する手段と、
推定されたベクトル
【数5】
を生成するために、前記PSSを含む62個のサブキャリアに基づいて、最小二乗(LS:Least Square)チャネル推定を行う手段と、
補間され推定されて64個の中心サブキャリアにまたがるベクトルを発生するために、2つの欠けているサブキャリア、例えばサブキャリア#−32およびd.c.内における、前記推定されたベクトル
【数6】
の補間を実行する手段と、
前記補間され推定されたベクトルに基づいて、さらにチャネル推定を行う手段と、
を含む、ことを特徴とするレシーバ。
【請求項13】
前記補間は、前記PSSに割り当てられていない特定のサブキャリア(#−32,d.c.)の補間によって行われる、ことを特徴とする請求項12に記載のレシーバ。
【請求項14】
請求項1乃至11のいずれかに記載の方法を行う手段を含む、ことを特徴とするLTEデジタル通信ネットワーク用のレシーバ。
【請求項15】
請求項14に記載のレシーバを備えることを特徴とする携帯型ユーザ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信の分野に関し、特に、LTE通信ネットワークにおけるPSS信号に基づいてチャネルを推定するプロセス、およびそのプロセスを行うレシーバに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル無線通信は、特に、直交周波数分割多重(OFDMシステム)の最新の開発、および最近の発展、すなわち、いわゆるロングタームエボリューション(LTE:Long Term Evolution)システムと共に、世界中で広く使用される。
【0003】
ユーザ装置(UE:User Equipment)が、LTEネットワークにアクセスしようとする場合には、装置は、一連の同期ステップからなるセルサーチ手順を起動しなければならず、これによって、UEは、ダウンリンクを復調する目的で、かつ、重要なシステムパラメータを得るために、特に必要とされる時間パラメータおよび周波数パラメータを決定する。
【0004】
LTEにおいて、セルサーチ手順は、各セルで一斉送信される2つの特定の同期信号、すなわち、いわゆるプライマリ同期信号(PSS:Primary Synchronization Signal)およびセカンダリ同期信号(SSS:Secondary Synchronization signal)の使用に基づく。
【0005】
同期信号(PSSおよびSSS)は、62の長さのシーケンスであり、シーケンスは、
図1に示すように、送信帯域幅から独立して、中心の62個のサブキャリア(d.c.は含まず)にマッピングされる。
【0006】
一般的に言えば、LTEにおいて、時間の最大単位は、10ms無線フレームであり、これは、10個の1msサブフレームに細分化され、そのそれぞれが、2つの0.5msスロットに分割される。各スロットは、サイクリックプレフィックス(cyclic prefix)の長さに応じて、6〜7個のOFDMシンボルを備える。周波数領域では、リソースが12個のサブキャリアの単位でグループ化され、12個のサブキャリアの各ブロックは、1つのスロットの間、リソースブロック(RB)と呼ばれ、RBは、1つのOFDMシンボルの間だけ続くリソース要素(RE)に分割される。
【0007】
LTEに関する文献、特に下記の文献を参照されたい。
【0008】
”LTE - The UMTS Long Term Evolution: from Theory to Practice” by SESIA Stefania, TOUFIK Issam, BAKER Mattew, Wiley, 2009。
【0009】
図2は、一斉送信されたPSSおよびSSS信号の両方を備えるLTEサブフレームの一般的な構造を想起させる。
【0010】
当業者に知られるように、同期するためには、UEは、はじめに、PSSを検出する必要があり、この検出は、次いで、SSSの復号の目的で用いられ、SSSは、セルの識別を提供するものであり、このような後続の抽出は、重要なシステムパラメータを得るために、また、チャネルの正確な推定を達成するために、必要とされるパイロットまたは基準信号の復号の目的で、さらに必要とされる。
【0011】
パイロット信号の復号が、チャネルの推定を可能にする一方で、このようなチャネル推定が、PSSの抽出の際に、可能な限り早く、特に、同期の第1フェーズの間に可能となることは、有用であろう。
【0012】
このようなチャネル推定は、後続の同期フェーズの効率を著しく改善するので、極めて望ましい。特に、チャネルの情報は、設計者に、より効率的であることが知られた一貫性のあるSSS検出方法を考慮する可能性を与える。
【0013】
したがって、複雑さおよび要求されるデジタル処理リソースの量を減少させるために、チャネル推定手順を、可能な限り簡潔に保つことが望ましい。
【0014】
これが、本発明が解決しようとする技術的問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、プライマリ同期チャネル(PSS)に基づきチャネルを推定する、新たな方法を提供することである。
【0016】
本発明のさらなる目的は、低レベルの複雑さで、PSS信号に基づく最小平均二乗誤差(MMSE:Minimum Mean Square Error)チャネル推定を行う、新たな方法を提供することである。
【0017】
本発明のさらに他の目的は、低レベルの複雑さで、PSS信号に基づくチャネルの推定を達成する、LTE通信ネットワークのレシーバを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明のこれらおよび他の目的は、ロングタームエボリューション(LTE:Long Term Evolution)通信システムにおけるチャネルを推定する方法によって達成され、その方法は、受信信号からプライマリ同期信号(PSS:Primary Synchronization Signal)を抽出するステップと、64個のサブキャリアに対して、前記PSSに基づく最小二乗(LS:Least Square)チャネル推定をスパニング(spanning)し、MMSEチャネル推定を促進するステップと、を含む。
【0019】
一実施形態では、PSSに割り当てられていない特定のサブキャリア、すなわちd.c.および#−32、に対する補間が提供される。
【0020】
好ましくは、d.cサブキャリアは、2つの隣接するサブキャリアを平均することによって補間される。
【0021】
好ましくは、欠けているサブキャリア−32は、サブキャリア#−31によって補間される。
【0022】
一実施形態では、方法は、
− PSSを含む62個のサブキャリアに対して最小二乗(LS)チャネル推定を行うステップと、
− 前記PSSに割り当てられていないサブキャリアにおいて推定されたチャネルを補間し、64個の中心サブキャリアに関する補間されたLSチャネル推定を有するステップと、
− 補間されたチャネル推定に対して、逆DFTまたは逆高速フーリエ変換を適用するステップと、
− Lをチャネルの長さに対応するときの、L個の第1のサンプルを抽出する(チャネル遅延拡散としても知られる)ステップと、
−
【数1】
により乗算を行うステップと、
− 結果として生じる信号を、64の長さにゼロパッドするステップと、
− DFTまたはFFTを適用するステップと、を含む。
F
Lは、N×NのDFTまたはFFT行列のL個の第1の列を選択することにより得られる64×L行列であり、σ
2は、雑音分散であり、C
hは、チャネル時間領域インパルス応答共分散行列である。
【0023】
他の実施形態は、C
h、σ
2またはLの情報が未知であると推定される、いくつかの状況に対応する。
【0024】
実際に、他の実施形態では、方法は、
− PSSを含む62個のサブキャリアに対する最小二乗(LS)チャネル推定を行うステップ(ステップ50)と、
− 2つの欠けているサブキャリアに対する補間を行うことにより、64個の中心サブキャリアに対するLSチャネル推定を再構築するステップ(ステップ51)と、
− 補間されたチャネル推定に対して、IFFT(またはIDFT)を適用するステップ(ステップ52)と、
− 第1のサンプルを抽出するステップ(ステップ53)と、
− これらを、64の長さにゼロパッドするステップ(ステップ54)と、
− その結果のDFTまたはFFTを行うステップ(ステップ55)と、を含む。
【0025】
あるいは、方法は、
− PSSを含む62個のサブキャリアに対する最小二乗(LS)チャネル推定を行うステップ(ステップ60)と、
− 2つの欠けているサブキャリアに対する補間を行うことにより、64個の中心サブキャリアに対するLSチャネル推定を再構築するステップ(ステップ61)と、
− 補間されたチャネル推定に対して、IFFTを適用するステップ(ステップ62)と、
− L個の第1のサンプルを抽出するステップ(ステップ63)と、
− I
Lを寸法Lの識別行列とするときの、1×Lの結果としてのベクトルに
【数2】
を乗算するステップ(ステップ64)と、
− 結果として生じる信号を、64の長さにゼロパッドするステップ(ステップ65)と、
− その結果のDFTまたはFFTを行うステップ(ステップ66)と、を含む。
【0026】
他の変形において、方法は、
− PSSを含む62個のサブキャリアに対する最小二乗(LS)チャネル推定を行うステップ(ステップ70)と、
− 2つの欠けているサブキャリアに対する補間を行うことにより、64個の中心サブキャリアに対するLSチャネル推定を再構築するステップ(ステップ71)と、
− 補間されたチャネル推定に対してIFFTを適用するステップ(ステップ72)と、
− サイクリックプレフィックス(CP:Cyclic Prefix)の長さに対応する第1のサンプルを抽出するステップ(ステップ73)と、
− これらを、64の長さにゼロパッドするステップ(ステップ74)と、
− その結果のDFTまたはFFTを行うステップ(ステップ75)と、を含んでもよい。
【0027】
あるいは、方法は、
− PSSを含む62個のサブキャリアに対する最小二乗(LS)チャネル推定を行うステップ(ステップ80)と、
− 2つの欠けているサブキャリアに対する補間を行うことにより、64個の中心サブキャリアに対するLSチャネル推定を再構築するステップ(ステップ81)と、
− 補間されたチャネル推定に対してIFFTを適用するステップ(ステップ82)と、
− C
hにおける、非ゼロのタップの存在に対応するサンプルを保ち、その他の位置にゼロを置くステップ(ステップ83)と、
− その結果のFFTを行うステップ(ステップ84)と、を含む。
【0028】
さらに他の変形において、方法は、
− PSSを含む62個のサブキャリアに対する最小二乗(LS)チャネル推定を行うステップ(ステップ90)と、
− 2つの欠けているサブキャリアに対する補間を行うことにより、64個の中心サブキャリアに対するLSチャネル推定を再構築するステップ(ステップ91)と、
− 補間されたチャネル推定に対してIFFTを適用するステップ(ステップ92)と、
− N個の最も強いサンプル(サンプルの電力の大きさに関する比較が行われるもの)を保ち、その他の位置にゼロを置く(最も強いものは、CP内のサンプルに制限されてもよい)ステップ(ステップ93)と、
− その結果のDFTまたはFFTを行う(ステップ94)と、を含む。
【0029】
方法の他の実施形態は、
− PSSを含む62個のサブキャリアに対する最小二乗(LS)チャネル推定を行うステップ(ステップ100)と、
− 2つの欠けているサブキャリアに対する補間を行うことにより、64個の中心サブキャリアに対するLSチャネル推定を再構築するステップ(ステップ101)と、
− 補間されたチャネル推定に対してIFFTを適用するステップ(ステップ102)と、
− 第1のCP_長さのサンプル内で、最大電力を有するサンプルを検出するステップ(ステップ103)(CP_長さは、サンプル内のサイクリックプレフィックス(CP:Cyclic Prefix)の長さである)と、
− 最大電力に関して定義された閾値を超える電力を有するサンプルのみを保つ(CP内のサンプルのみに限定されてもよい)ステップ(ステップ104)と、
− その結果のDFTまたはFFTを行うステップ(ステップ105)と、を含む。
【0030】
本発明は、また、受信信号からプライマリ同期信号(PSS:Primary Synchronization Signal)を抽出する手段と、64個のサブキャリアに対して、前記PSSをスパニングし、チャネル推定を促進する手段と、を含む、LTEデジタル通信ネットワーク用のレシーバを提供する。
【0031】
本発明の1つまたは複数の実施形態の他の特徴は、以下の詳細な説明を参照することにより、添付の図面と併せて読まれた場合に、最も理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】LTEにおける同期信号に対する周波数割り当てを示す。
【
図2】一斉送信されたPSS信号およびSSS信号の両方を備えるLTEサブフレームの概略構造を示す。
【
図3】サブキャリアに対するPSSマッピングを示す。
【
図5】は、C
h、σ
2またはLの情報が未知であると推定される場合の、いくつかの状況に対応する代替の実施形態を示す。
【
図6】は、C
h、σ
2またはLの情報が未知であると推定される場合の、いくつかの状況に対応する代替の実施形態を示す。
【
図7】は、C
h、σ
2またはLの情報が未知であると推定される場合の、いくつかの状況に対応する代替の実施形態を示す。
【
図8】は、C
h、σ
2またはLの情報が未知であると推定される場合の、いくつかの状況に対応する代替の実施形態を示す。
【
図9】は、C
h、σ
2またはLの情報が未知であると推定される場合の、いくつかの状況に対応する代替の実施形態を示す。
【
図10】は、C
h、σ
2またはLの情報が未知であると推定される場合の、いくつかの状況に対応する代替の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、セルラーデジタル無線通信の発展の次の段階である、ロングタームエボリューション(LTE:Long Term Evolution)規格との関連において特に述べるが、これは単に、本発明の1つの特定の実施形態および適用であり、本発明は、OFDM変調に基づくどのようなシステムにも用いてもよいことが明らかであり、OFDM変調は、多くの既存の規格(DAB、DVB−T、WiMAX、IEEE802.16、ADSL、WLAN IEEE802.11a/g等)で広く普及しており、且つ、将来開発される見込みの多くの規格で用いられることが予想される。当業者に知られるように、OFDMは、広帯域周波数選択性チャネルを、複数の並列狭帯域シングルチャネルに変換する。これは、個別シンボルの間に、ガードインターバル(いわゆるサイクリックプレフィックス(Cyclic Prefix)CP)を挿入することにより、達成される。このようなガードインターバルは、ジッタ、すなわち、チャネルを通して送信されたOFDMシンボルが受ける遅延の変動、を補償するために、一時的には十分に長いと考えられる。これは、シンボル間干渉(ISI:inter-symbol interface)の出現を防止する。
【0034】
PSS信号およびSSS信号は、送信帯域幅から独立して、中心の62個のサブキャリア(d.c.は含まず)に対してマッピングされた62の長さのシーケンスであり、次の式に従って、周波数領域Zadoff−Chuシーケンスから生成される。
【数3】
ただし、MはZCシーケンスルートである。3つの異なるPSS同一性(すなわち、ZCシーケンスルート)が可能である。LTE PSSシーケンスに対して選択されたルートは、M=25,29,34である。
【0035】
サブキャリアに対するプライマリ同期信号シーケンスマッピングは、特に、
図3に示される。
【0036】
送信されたPSSシーケンスは、3つの可能なPSSシーケンスに対して受信信号の相関を行うこと、および相関ピークを検出すること、により検出可能である。シーケンス同一性および時間位置の検出は、OFDMシンボル同期およびセルID復号を可能にする。
【0037】
ひとたび、PSSの同一性および位置が特定されると、PSSは、SSS検出に使用できるチャネル推定を可能にするパイロットシーケンスとして用いることができる。これは、SSSおよびPSSが、両方とも(同じ)中心サブキャリアにマッピングされること、ならびにPSSおよびSSSを含むOFDMシンボルが、
図2に示すように連続すること、により可能となる。
Yを、PSSに対応する62個のサブキャリアにおいて受信される信号の62の長さのベクトルとする。
PSS位置でのLS(最小二乗)チャネル推定器は、次のベクトルで与えられる。
【数4】
これは、次式によって与えられる。
【数5】
ただし、d[k]は、位置kにおける送信されたPSS信号である。
【0038】
64個の中心サブキャリアに対するMMSE(Minimum Mean Square Error)推定器は、次のように表すことができる。
【数6】
ただし、F
pは、64×64の離散フーリエ変換(DFT)行列の、PSS位置に対応する行と、L個の第1の列とを選択することによって得られる、62×Lの行列である。F
Lは、64×64のDFT行列のL個の第1の列を選択することによって得られる行列であり、
σ
2は、雑音分散であり、
C
hは、チャネル時間領域インパルス応答共分散行列である。
【0039】
F
pおよびF
Lの切頭構造のため、MMSE推定器は、以下の2つの理由に起因する著しい複雑さを示す。
【数7】
【0040】
実際に、これら2つの複雑さの源は、PSSが64個の中心サブキャリアをスパニングしていた場合には、回避可能であることが見出されている。実際に、このような仮定で、次のように書くことができる。
【数8】
【0041】
このような観測に基づき、本発明者らは、低レベルの複雑さで、PSS信号のみに基づくチャネルのMMSE推定を生成することを可能にする、新規かつ有利な方法を設計した。
【0042】
図4に対して、LTEユーザ装置(User Equipment)のレシーバにおいて有利に実行可能であるこの方法の一実施形態を、これより説明する。
【0043】
ステップ40において、方法は、PSSを含む62個のサブキャリアに対するLSチャネル推定を含む。
【数9】
は、推定されたベクトルを示す。
【0044】
ステップ41において、方法は、
【数10】
が64個の中心サブキャリアをスパニングすることを示すように、2つの欠けているサブキャリア(すなわち、サブキャリア#−32およびd.c.)におけるLSチャネル推定を再構築することに基づく補間を含み、このスパニングは、MMSE(Minimum Mean Square Error)推定の複雑さを著しく減少させるための条件である。
【0045】
明らかに、このような再構築を行う目的で、ステップ41において、異なる実施形態を検討してもよい。例えば、これは、隣接するサブキャリアにおけるチャネル推定の任意の適切な関数(例えば、線形結合)によって達成することができる。
【0046】
一実施形態では、2つの隣接するサブキャリア(すなわち、中心d.c.位置に対して左右に隣接するもの)を平均することにより、d.c.サブキャリアにおけるチャネル推定が行われる。
【0047】
他の実施形態では、端のサブキャリア(すなわち、サブキャリア−32)におけるチャネル推定が、隣接するサブキャリア(すなわち、サブキャリア−31)におけるチャネル推定と等しく設定される。
【0048】
LSチャネル推定のこの再構築の後に、方法は、以下のステップを含む。
ステップ42:IFFTを適用するステップ
ステップ43:Lをチャネルの長さに対応するものとするときの、L個の第1のサンプルを抽出するステップ
ステップ44:
【数11】
により乗算を行うステップ
ステップ45:結果として生じる信号を、64の長さにゼロパッドするステップ
ステップ46:FFTを適用するステップ
【0049】
LSチャネル推定(d.c.および#−32サブキャリアによる)の再構築に基づき導入された補間により、行列の反転を必要とするステップ44は、行列が対角行列として現れ、さらにサイズL×Lであるため、実行が極めて容易であることが分かる。
【0050】
したがって、5(チャネルのインパルス応答の5つのタップ)に等しいチャネル長さにより、上述の方法は、5×5の対角行列の反転のみを必要とし、これは即時(immediate)である。
【0051】
また、行列乗算は、IFFT演算およびFFT(またはIDFTおよびDFT)演算で置き換えられ、これは、かなりの追加的な複雑さの減少を可能にする。
【0052】
その結果、補間ステップ41は、MMSEチャネル推定の複雑さのレベルの著しい減少を可能にするため、極めて有利であることを示す。
【0053】
図5〜
図10は、C
h、σ
2またはLの情報が未知であると推定される、いくつかの状況に対応する異なる実施形態を示す。このような場合には、以下の近似化を行うことができる。
【0054】
図5に関して、第2の実施形態をこれより述べるが、この実施形態では、C
h、σ
2が未知であると推定される。逆に、Lの情報は利用可能である。
【0055】
この場合には、方法は以下のステップを含む。
− PSSを含む62個のサブキャリアに対するLSチャネル推定を行うステップ(ステップ50)
− 2つの欠けているサブキャリアに対する補間を行うことにより、64個の中心サブキャリアに対するLSチャネル推定を再構築するステップ(ステップ51)
− 補間されたチャネル推定に対してIFFTを適用するステップ(ステップ52)
− L個の第1のサンプルを抽出するステップ(ステップ53)
− これらを、64の長さにゼロパッドするステップ(ステップ54)
− その結果のFFTを行うステップ(ステップ55)
【0056】
図6に関して、第3の実施形態を、これより述べるが、この実施形態では、C
hが未知であり、σ
2およびLの情報のみが利用可能である。
【0057】
この場合、方法は、次のようにチャネル推定を達成する。
− PSSを含む62個のサブキャリアに対するLSチャネル推定を行うステップ(ステップ60)
− 2つの欠けているサブキャリアに対する補間を行うことにより、64個の中心サブキャリアに対するLSチャネル推定を再構築するステップ(ステップ61)
− 補間されたチャネル推定に対してIFFTを適用するステップ(ステップ62)
− L個の第1のサンプルを抽出するステップ(ステップ63)
− I
Lを寸法Lの識別行列とするときの、
【数12】
により乗算を行うステップ(ステップ64)
− 結果として生じる信号を、64の長さにゼロパッドするステップ(ステップ65)
− その結果のFFTを行うステップ(ステップ66)
【0058】
図7に関して、第4の実施形態を、これより述べるが、この実施形態では、Lが未知であると推定され、この場合には、チャネル推定は、以下のステップにより得ることができる。
− PSSを含む62個のサブキャリアに対するLSチャネル推定を行うステップ(ステップ70)
− 2つの欠けているサブキャリアに対する補間を行うことにより、64個の中心サブキャリアに対するLSチャネル推定を再構築するステップ(ステップ71)
− 補間されたチャネル推定に対してIFFTを適用するステップ(ステップ72)
− サイクリックプレフィックス(CP:Cyclic Prefix)の長さに対応する第1のサンプルを抽出するステップ(ステップ73)
− これらを、64の長さにゼロパッドするステップ(ステップ74)
− その結果のFFTを行うステップ(ステップ75)
【0059】
図8に関して、第5の実施形態をこれより述べるが、この実施形態では、C
hが既知であると推定されるか、またはC
hの少なくとも非ゼロの要素位置が既知であり、方法は、以下のステップを含む。
− PSSを含む62個のサブキャリアに対するLSチャネル推定を行うステップ(ステップ80)
− 2つの欠けているサブキャリアに対する補間を行うことにより、64個の中心サブキャリアに対するLSチャネル推定を再構築するステップ(ステップ81)
− 補間されたチャネル推定に対してIFFTを適用するステップ(ステップ82)
− C
hにおける、非ゼロのタップの存在に対応するサンプルを保ち、その他の位置にゼロを置くステップ(ステップ83)
− その結果のFFTを行うステップ(ステップ84)
【0060】
図9に関して、以下のステップを含むチャネル推定の第6の実施形態を、これより述べる。
− PSSを含む62個のサブキャリアに対するLSチャネル推定を行うステップ(ステップ90)
− 2つの欠けているサブキャリアに対する補間を行うことにより、64個の中心サブキャリアに対するLSチャネル推定を再構築するステップ(ステップ91)
− 補間されたチャネル推定に対してIFFTを適用するステップ(ステップ92)
− N個の最も強いサンプル(サンプルの電力の大きさに関する比較が行われるもの)を保ち、その他の位置にゼロを置く(最も強いものは、CP内のサンプルに制限されてもよい)ステップ(ステップ93)
− その結果のFFTを行うステップ(ステップ94)
【0061】
最後に、
図10は、以下のステップを含むチャネル推定の第7の実施形態を示す。
− PSSを含む62個のサブキャリアに対するLSチャネル推定を行うステップ(ステップ100)
− 2つの欠けているサブキャリアに対する補間を行うことにより、64個の中心サブキャリアに対するLSチャネル推定を再構築するステップ(ステップ101)
− 補間されたチャネル推定に対してIFFTを適用するステップ(ステップ102)
− 第1のCP_長さのサンプル内で、最大電力を有するサンプルを検出するステップ(ステップ103)
− 最大電力に関して定義された閾値を超える電力を有するサンプルのみを保つ(CP内のサンプルのみに限定されてもよい)ステップ(ステップ104)
− その結果のFFTを行うステップ(ステップ105)
【0062】
上述の異なる実施形態は、チャネル推定の複雑さを明らかに減少させる、方法の大きな普遍性を示しており、これは、
【数13】
が、64個の中心サブキャリアをスパニングすることを示すように、2つの欠けているサブキャリア(すなわち、サブキャリア#−32およびd.c.)におけるLSチャネル推定を再構築することによるものである。
【0063】
このような方法は、大量のデジタルリソースを必要とせずに、同期手順の極めて早い段階、すなわちPSSの抽出の間の有効なチャネル推定を、明らかに可能にする。
【0064】
このようなチャネル推定は、次いで、後続の動作、例えばSSSの検出に、用いることができる。