(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5661760
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】自動車窓アセンブリを形成する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
B23K 3/00 20060101AFI20150108BHJP
B23K 1/00 20060101ALI20150108BHJP
B23K 1/002 20060101ALI20150108BHJP
B60J 1/00 20060101ALI20150108BHJP
【FI】
B23K3/00 310L
B23K1/00 330N
B23K3/00 310Q
B23K1/002
B60J1/00 Z
【請求項の数】12
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-518522(P2012-518522)
(86)(22)【出願日】2010年6月28日
(65)【公表番号】特表2012-532021(P2012-532021A)
(43)【公表日】2012年12月13日
(86)【国際出願番号】US2010001850
(87)【国際公開番号】WO2011008241
(87)【国際公開日】20110120
【審査請求日】2013年4月10日
(31)【優先権主張番号】61/269,927
(32)【優先日】2009年6月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591229107
【氏名又は名称】ピルキントン グループ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シッターレット、チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス、ロバート・エム
【審査官】
山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−521609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 1/00 − 1/20
B23K 3/00 − 3/08
B23K 31/02
B23K 37/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車窓アセンブリを形成するための装置であって、
自動車窓を主支持表面に対して垂直に離間した位置において所定の姿勢で支持するための少なくとも1つの垂直支持部材を有するアセンブリ固定具と、
前記アセンブリ固定具に固定された少なくとも1つの固定式位置決め部材と、
前記自動車窓が前記アセンブリ固定具上で所定の姿勢を取るように、前記自動車窓の周縁部に接触するべく動作可能な可動式位置決め部材と、
前記主支持表面に近接して設けられた1若しくは複数のアセンブリ補助手段であって、所定量のはんだ材料が付着された1若しくは複数の部品を含むと共に、該部品を前記自動車窓に接合するために前記部品及び前記自動車窓のうちの1つ以上を前記はんだ材料を融解させるのに十分な温度まで加熱するための1若しくは複数の誘導加熱装置を含む、1若しくは複数のアセンブリ補助手段と、
前記自動車窓及び前記部品を互いに接合した状態で接触させるための少なくとも1つの機構と、
前記1若しくは複数の加熱装置に電気的に接続された1若しくは複数の電源部と、
前記1若しくは複数の電源部に電気的に接続された1若しくは複数の制御装置とを含むことを特徴とする装置。
【請求項2】
1若しくは複数の前記固定式位置決め部材が、前記アセンブリ固定具の前記主支持表面に固定され、かつ前記主支持表面より上方に所定の垂直距離延出していることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
2つ以上の前記可動式位置決め部材が、xy平面内を移動可能であり、かつ少なくとも2つの水平方向に延在するアームの第1の端部に接続され、前記少なくとも2つの水平方向に延在するアームの第2の端部がカム装置に接続され、該カム装置が前記アセンブリ固定具の前記主支持表面に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記1若しくは複数のアセンブリ補助手段に収容される前記部品が、クリップ、導線、電気コネクタ及び導電性編組構造体のうちの1つ若しくは複数を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記はんだ材料が、無鉛はんだを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記はんだ材料が、100℃以上の融点を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記電源が、変圧器を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記1若しくは複数のアセンブリ補助手段が、前記自動車窓と同じ水平面内、前記自動車窓より上方の水平面内、前記自動車窓より下方の水平面内のうちの1つ若しくは複数に位置することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記自動車窓が、手動または電気機械的手段によって前記アセンブリ固定具上に載置されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記部品が、手動または電気機械的手段によって前記アセンブリ補助手段にロードされるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記自動車窓及び前記部品を互いに接合した状態で接触させるための前記機構が、空気圧式機構であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
自動車窓アセンブリを形成するための装置であって、
取付表面を有する自動車窓を所定の姿勢で支持するためのアセンブリ固定具と、
前記アセンブリ固定具に固定された少なくとも1つの固定式位置決め部材と、
前記自動車窓が前記アセンブリ固定具上で所定の姿勢を取るように、前記自動車窓の周縁部に接触するべく動作可能な可動式位置決め部材と、
或る量のはんだが付着された部品を受容し、かつ該部品を前記自動車窓の前記取付表面と接触させた状態で所望の位置に保持するための収容部と、
前記はんだが融解しかつ前記部品を前記自動車窓に接合するのに十分な温度に到達するように熱を供給するために、前記部品に近接配置された少なくとも1つの誘導加熱装置とを含むことを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車窓アセンブリの形成に関する。より詳細には、本発明は、はんだ付け作業のために自動車窓を位置決めする装置及びそのような位置決めされた自動車窓に部品をはんだ付けする装置の利用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
はんだ付けのための誘導加熱については、既に種々の特許文献で説明されている。以下に例を挙げる。
【0003】
米国特許第4,128,449号明細書(特許文献1)には、接着剤が塗布された個別部品を誘導加熱を用いて支持面に付着させるための固定具が記載されている。U形コアの端面と加熱される部品との隣接関係を維持するために、U形コアの端面にアライメント及び位置決め手段が関連付けられているが、種々な支持面または支持面の曲率に適応するように、部品とコアとを合わせたものを複合方向(compound direction)に僅かに変位させることができるとされている。
【0004】
米国特許第5,977,527号明細書(特許文献2)には、ワークピースホルダが取り付けられている取り外し可能な前プレートを含む、誘導加熱ろう付けステーションのための固定具が記載されている。誘導ユニットのベース部は、作業台上の前プレートと同一平面上に位置する後プレートに取り付けられる。誘導ユニットのコイルは、前プレート及びワークピースホルダに唯一的にぴったりと合うものである。誘導コイルは、使用されないときにはワークピースホルダ及びその上に取り付けられたコイルを有する作業台から前プレートを取り外せるように、取り外し可能に前プレートに取り付けられる。このとき、異なるコイル構成及びワークピースホルダを有する作業台には、異なる前プレートを取り付けることができる。
【0005】
米国特許第6,875,966号明細書(特許文献3)には、金属パイプの部分同士をはんだ付けまたはろう付けするための可搬式誘導手段が記載されている。ワークコイルヘッド(誘導コイルと一体になっている)は、U字型をしているので、パイプの周りにヘッドを配置し、サセプタ(例えばパイプ)を加熱して接合部を形成し、その後、パイプ接合部の形成後に引き抜くことができる。
【0006】
米国特許第5,329,085号明細書(特許文献4)には、主としてはんだごて用の、最初はメガヘルツ(MHz)範囲の電流で動作するように設計されていたがキロヘルツ(kHz)範囲で動作するように再構築されている、キュリー点ヒータが記載されている。ヒータの一実施形態では、ヒータ励磁コイルが、はんだごての取っ手に取り付けられている。
【0007】
米国特許第6,849,837号明細書(特許文献5)には、接着剤内及び/または接着剤に隣接する磁気的に影響を受けやすい材料を、磁界を用いて加熱することにより、固形材料同士を互いに接合、結合または締結する方法が記載されている。このシステムは、サセプタ内で渦電流を誘導して熱を発生させる交番磁界を用いる。誘導加熱手段を用いてワークコイルに磁界を発生させ、磁界を作るワークコイルを駆動する交流電流を発生させるパワーコンバータが使うエネルギーを、電子制御装置により測定する。
【0008】
米国特許第4,256,945号明細書(特許文献6)には、高い熱及び電気伝導度を有する非磁性材料からなる基板またはコアを、相対的に電気伝導度の低い強磁性物質からなる表面層で被覆してなる加熱素子が記載されている。通電のための適切な周波数を選択することによって、かつ一定の電流を発生させるように高周波交流源を調節することによって、かつ加熱素子に対する寸法及び材料パラメータを選択することによって、熱負荷のかなりの変動にもかかわらず、強磁性物質のキュリー温度付近の狭い範囲内での温度調節が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,128,449号明細書(特開昭54−57538号公報)
【特許文献2】米国特許第5,977,527号明細書
【特許文献3】米国特許第6,875,966号明細書
【特許文献4】米国特許第5,329,085号明細書
【特許文献5】米国特許第6,849,837号明細書
【特許文献6】米国特許第4,256,945号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
改良された自動車窓アセンブリ形成装置及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、誘導加熱を用いて、部品を、好適には誘電体基板に、より好適にはガラス基板にはんだ付けする装置及び方法であって、そのようなガラス基板が自動車窓であり、基板及び該基板に接合された部品が自動車窓アセンブリを形成する、装置及び方法に関する。
【0012】
自動車窓アセンブリ固定具にアセンブリ補助手段として組み込まれるかまたはそのようなアセンブリ固定具に近接した1若しくは複数の誘導加熱装置を用いることは、本発明の範囲内である。そのようなアセンブリ固定具または他の、誘導はんだ付け作業を行うことができる製造補助手段は、手動、半自動または完全自動化された製造/組立工程の構成要素であり得る。
P3
【0013】
1若しくは複数の誘導加熱装置、好適には誘導加熱コイルを、はんだ付けされることになる部品に対して、基板の主表面の一方または両方あるいははんだ付けされることになる部品のいずれかに熱が集中するように、種々の方法で方向付けることができる。部品は、所定量のはんだが付着されたものであることが好ましい。各誘導加熱装置は、システムの柔軟性が最大になるように、個別に、または選択された群で作動することができる。誘導加熱装置の作動を制御するための1若しくは複数の制御装置もまた、加熱システムの一部である。
【発明の効果】
【0014】
抵抗はんだ付け方法よりもはんだ付け時間を大幅に削減すること、及び抵抗はんだ付けと同等またはそれよりも良好な接合強度を得ることは、本発明の装置及び方法により達成される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1a】アセンブリ補助手段を備えたアセンブリ固定具。
【
図1b】アセンブリ補助手段を備え、自動車窓が載せられたアセンブリ固定具。
【
図1c】アセンブリ補助手段を備えたアセンブリ固定具。
【
図2a】本発明に従うアセンブリ補助手段の詳細を示す。
【
図2b】本発明に従うアセンブリ補助手段の詳細を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、自動車窓アセンブリを形成するために、誘導加熱を用いて1若しくは複数の部品を自動車窓にはんだ付けする装置及び方法に関する。
【0017】
図1aは、本発明に従う、構成要素として少なくとも1つの誘導加熱アセンブリ補助手段を有するアセンブリ固定具10を示している。
【0018】
図1a及び
図1bを参照すると、本発明のアセンブリ固定具10は、好適には実質的に水平な、主支持表面14を有する。主支持表面14には、少なくとも1つの、好適には弾性の、垂直支持部材16が取り付けられている。少なくとも1つの垂直支持部材16は、主支持表面14より上方に所定の垂直距離離間した位置において自動車窓18を支持する。
図1cに最も良く示されているように、少なくとも1つの垂直支持部材16は、該垂直支持部材16を貫通して延在する通路を有することができる。通路は、負圧源、例えば真空ポンプに連結することができる。
【0019】
同様に主支持表面14に取り付けられかつ主支持表面14より上方に所定の垂直距離延出しているのが、少なくとも1つの固定式位置決め部材20であり、はんだ付け前に自動車窓を「x」方向にアライメントをとるために、自動車窓18の周縁部と接触するように設けられている。自動車窓18を「y」方向にアライメントをとりやすくするために、複数の可動式位置決め部材22を利用することができる。可動式位置決め部材22の動作は、主支持表面14に軸線方向に固定された中央に位置するカム機構(camming mechanism)26に可動式位置決め部材を連結する2本以上の水平方向に延在するアーム24によって生じさせることが好ましいが、他の動作機構も可能である。
【0020】
図1a及び
図1bに示したようなアセンブリ固定具の任意選択の他の特徴部として、ガラス圧力センサ19及び揺動アーム機構21が含まれ、揺動アーム機構21は、接合作業のためにアセンブリ固定具上にガラスが位置決めされるときに、アセンブリ固定具上において自動車窓の正確な位置が保持されるように、自動車窓に正圧を加える。
【0021】
さらに、自動車窓上において部品13がはんだ付けされることになる1若しくは複数の位置と一致するように、1若しくは複数のアセンブリ補助手段12が所定の位置において主支持表面に固定される。部品13は、通常は金属製であり、好適には鋼鉄で構成される。好適実施形態では、部品13は、クリップ、導線、電気コネクタ及び/または導電性編組構造体(braid structure)のうちの1つ若しくは複数であってよい。
【0022】
一般的には、
図1a〜
図1cに示されかつより詳細に
図2a及び
図2bに示されているアセンブリ補助手段は、耐熱性の、好適には高分子材料でできている台28を含み、そこには1若しくは複数の部品を受容するための収容部30が形成されている。部品13のための収容部に近接して、高分子材料の台28には、1若しくは複数の誘導加熱装置32と、必要に応じて、通常は水冷式または空冷式の、冷却システム(図示せず)とが埋め込まれることが好ましい。誘導加熱装置32は、当然のことながら、アセンブリ補助手段12に近接しているが高分子材料の台28に埋め込まれていなくてもよい。アセンブリ補助手段12は、アセンブリ補助手段を「z」方向に所定の距離変位させるためのバネ荷重式または他の種類の装置36を具備することもできる。この微調整能力のおかげで、ガラス形状のばらつきに対応することができる。
【0023】
好適な作業方法においては、自動車窓18を手動または電気機械的手段によってアセンブリ固定具10上へ載置し、最初に、自動車窓18の1つの周縁部が少なくとも1つの固定式位置決め部材20と接触するように1若しくは複数の垂直支持部材16上で自動車窓18の位置を合わせる。自動車窓18の「y」方向の適切なアライメントを保証するために、複数の可動式位置決め部材22を自動車窓の相対する周縁部とそれぞれ接触するように動作させる。そのように配した場合、少なくとも1つの垂直支持部材16を介して負圧を印加することによって、自動車窓18をアセンブリ補助手段12の表面と接触するように下方へ引き付け、該表面を、前もって手動または電気機械的手段によって内部に1若しくは複数の部品13を載置してある少なくとも1つの収容部30と連結状態にすることができる。1若しくは複数の部品13は、所定量のはんだ、好適には無鉛はんだを付着したものであることが好ましい。1若しくは複数の誘導加熱装置32は、少なくとも1つのアセンブリ補助手段12にも接続されている電源部(図示せず)に接続された少なくとも1つの電子制御装置(図示せず)により、所定の時間にわたって作動させる。1若しくは複数の誘導加熱装置32を作動させることにより、自動車窓18の表面と接触している部品13の部分上のはんだを融解させるのに十分な熱を発生させる。通常、はんだの融解温度は100℃以上である。その後、少なくとも1つの電子制御装置により誘導加熱装置32の動作を停止させ、はんだが再固化しかつ部品を自動車窓18に接合するのに十分な所定時間が経過した後に、負圧の印加を中止する。その後、部品が接合された自動車窓18をアセンブリ固定具10から取り外し、さらなる処理、または例えば自動車組立工場への輸送を行うことができる。
【0024】
本発明の工程は、有利には、スピードが重視される製造工程において常に求められているサイクル時間の短縮をもたらす。1若しくは複数の誘導加熱装置を作動させる時間は、好適には2〜10秒間、より好適には4〜6秒間の範囲にある。実際の時間は、使用されるはんだの組成及び接合される部品13の形状により異なる。1若しくは複数の誘導加熱装置の動作を停止させた後、部品13と自動車窓18との接合を完了させるために、はんだを、好適には2〜10秒間、より好適には3〜5秒間冷却しなければならない。
【0025】
本発明について、最良の形態と考えられるものを説明してきた。しかしながら、当業者は、本明細書に記載されている本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに、本発明を別な方法で実施できることを理解するであろう。