特許第5661775号(P5661775)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5661775セラミックコンポーネントの製造方法、セラミックコンポーネントおよびコンポーネントアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5661775
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】セラミックコンポーネントの製造方法、セラミックコンポーネントおよびコンポーネントアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/28 20060101AFI20150108BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20150108BHJP
【FI】
   H05K3/28 B
   H05K3/34 502E
【請求項の数】8
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-529202(P2012-529202)
(86)(22)【出願日】2010年9月1日
(65)【公表番号】特表2013-504887(P2013-504887A)
(43)【公表日】2013年2月7日
(86)【国際出願番号】EP2010062780
(87)【国際公開番号】WO2011032838
(87)【国際公開日】20110324
【審査請求日】2012年3月14日
(31)【優先権主張番号】102009029485.6
(32)【優先日】2009年9月15日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100112793
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳大
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100128679
【弁理士】
【氏名又は名称】星 公弘
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100143959
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 秀一
(74)【代理人】
【識別番号】100156812
【弁理士】
【氏名又は名称】篠 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100167852
【弁理士】
【氏名又は名称】宮城 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】オリヴァー グラートケ
(72)【発明者】
【氏名】パウル ヴィケット
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルター レートリングスヘーファー
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−012054(JP,A)
【文献】 特開2008−306012(JP,A)
【文献】 特開2004−119770(JP,A)
【文献】 特開2002−252466(JP,A)
【文献】 特公昭56−025038(JP,B1)
【文献】 特開昭61−072698(JP,A)
【文献】 国際公開第91/003375(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/28
H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックコンポーネント(1)の製造方法において、
a)内部および/または表面に導体路(3)が設けられ、該導体路(3)の接触領域(15)に付着防止材料(8)が設けられ、さらに少なくとも部分的にエナメル(5)により覆われているセラミック基板(2)を準備するステップと、
b)接触接続を行う前記導体路(3)の接触領域(15)において前記エナメル(5)に接触開口部(6)を形成するステップと、
c)前記接触領域(15)において前記導体路(3)の接触接続を行うために、前記接触開口部(6)の領域に金属層(7)を取り付けるステップと
を有することを特徴とする、
セラミックコンポーネント(1)の製造方法。
【請求項2】
前記金属層(7)を取り付けるために化学的な無電解コーティング法を用いる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記付着防止材料(8)はセラミック粉末であり、該セラミック粉末の焼結温度は前記エナメル(5)の軟化温度よりも高い、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記導体路(3)の接触領域(15)を露出させるために前記付着防止材料(8)を除去するステップが設けられている、請求項1から3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記付着防止材料(8)の除去を、前記接触開口部(6)の形成に続いて行い、または前記接触開口部(6)の形成と少なくとも部分的にオーバラップして行う、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記接触開口部(6)の形成と前記付着防止材料(8)の除去の少なくともいずれか一方において、材料を除去するビーム(9)の照射を行う、請求項1から5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記ビーム(9)は、レーザビームまたはウォータービームである、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記ビーム(9)は、研磨剤が添加されたウォータービームである、請求項6記載の方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックコンポーネントの製造方法に関する。本発明はセラミックコンポーネントにも関する発明であり、さらにセラミックコンポーネントと接続コンポーネントとを含むコンポーネントアセンブリにも関する。
【0002】
背景技術
セラミック材料を電子コンポーネントのための基板として利用することは公知である。たとえばUS 6,800,815 B1には、多層セラミック基板と、セラミック基板の内部および/または表面に延在する多数の導体路を含む電子コンポーネントが開示されている。コンポーネントの下側には複数の接続コンタクトが設けられており、それらの接続コンタクトを介して、導体路を外部と電気的に接触接続させることができる。電子コンポーネントはBGA(Ball Grid Array)によって回路基板にはんだ付けされている。BGAによって、電子コンポーネントの接続コンタクトが回路基板と電気的に接続される。
【0003】
発明の概要
本発明の対象はセラミックコンポーネントの製造方法であり、この方法は以下のステップを有している。すなわち、a)内部および/または表面に導体路が設けられており少なくとも部分的にエナメルにより覆われているセラミック基板を準備するステップと、b)接触接続を行うべき導体路の接触領域においてエナメルに接触開口部を形成するステップと、c)導体路の接触接続を行うために、接触開口部の領域に金属層を取り付けるステップとを有している。
【0004】
エナメルによって保護層および/または絶縁層を形成することができ、これによって殊に、セラミックコンポーネントにおける電気的なコンポーネントたとえば導体路の抵抗などを、機械的および/または電気的に保護することができる。セラミック基板自体も、この種のエナメルによって保護することができる。エナメルは有利にはセラミック基板の製造プロセス中、セラミック基板およびセラミック基板と接続されているコンポーネントに塗布することができる。
【0005】
本発明による方法によれば、エナメルにより覆われた導体路に外部から接触接続できるようにすることができる。この種の導体路を、電流を導くための電気的な導体路としてもよいし、熱伝導のための熱的な導体路としてもよい。接触接続すべき導体路の領域でエナメルを開口し、金属層を取り付けることによって、金属製の接点を形成することができる。このようにすることで、セラミック基板の1つの共通の背面に配置される多数の接点を形成することができ、これらの接点は、たとえばBGAなどを利用して、セラミックコンポーネントと別のコンポーネントとの電気的な接続のために用いることができる。
【0006】
本発明のさらに別の対象はセラミックコンポーネントである。このセラミックコンポーネントは、セラミック基板と、このセラミック基板を少なくとも部分的に覆うエナメルと、セラミック基板の内部および/または表面に設けられた導体路を含んでいる。さらにエナメルは接触開口部を有しており、この接触開口部の領域においてセラミックコンポーネントは金属層を有しており、この金属層は導体路と接触している。
【0007】
本発明のさらに別の対象はコンポーネントアセンブリである。このコンポーネントアセンブリは、本発明によるセラミックコンポーネント、接続コンポーネントおよびBGAを含んでおり、この場合、BGAによってセラミックコンポーネントの金属層が接続コンポーネントの接点と接続されている。
【0008】
従属請求項には本発明のその他の有利な実施形態が示されている。
【0009】
次に、図面を参照しながら実施例に基づき本発明について詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】たとえばエナメルで覆われたセラミック基板を有する本発明によるセラミックコンポーネントの実施形態を示す図であり、この実施形態が製造中の状態で描かれた断面図
図2図1に製造中の状態で描かれていたセラミックコンポーネントを、エナメルに接触開口部を形成した後の状態で示す図
図3図2に製造中の状態で描かれていたセラミックコンポーネントを、それぞれ接触開口部の領域に金属層を取り付けた後の状態で示す図
図4】BGAが設けられている完成したセラミックコンポーネントの下面を、接続コンポーネントと接続する前の状態で示す図
【0011】
発明を実施するための形態
図1から図3には、本発明によるセラミックコンポーネント1の実施形態が、本発明による方法の1つの実施形態に従いこのコンポーネントが製造されていくときの様々な段階で描かれている。
【0012】
セラミックコンポーネント1の製造にあたりまずはじめに、少なくとも部分的にエナメル5で覆われた表面を有するセラミック基板2が準備される。この実施例の場合、セラミック基板2は、複数の基板層を備えたセラミック基板である。エナメル5はセラミック2の下面を覆っている。さらにセラミック基板2の内部および表面には複数の導体路3,4が設けられており、これはたとえば銀をベースに製造されている。これらの導体路は部分的にスルーホールとして形成されており、たとえば1つまたは複数の抵抗14と接触している。これらの抵抗はセラミック基板2の背面に配置されており、エナメル5によって覆われている。さらに図1に示されている導体路3には、スルーホールも含まれている。たとえば導体路3は接触領域15を有しており、この領域はセラミック基板2の背面に設けられていて、やはりエナメル5によって覆われている。導体路4は電流を案内するために形成されている。導体路3を熱の導体路および/または電気的な導体路とすることができる。
【0013】
さらに導体路3の個々の接触領域15とエナメル5との間に、付着防止材料8から成る層が設けられている。付着防止材料8を設ける目的は、導体路3の接触領域15の部分においてエナメルの開口を簡単にするためである。
【0014】
図1に示されているセラミックコンポーネント1の中間状態を製造するプロセスは、当業者によく知られている。導体路が設けられ必要に応じて電気的なコンポーネントが装着されるセラミック基板2の個々の層を、焼結プロセスによって1つにまとめることができる。このプロセスの中でエナメル5の被着を行うのが有利である。個々の導体路3の接触領域15の上に付着防止材料8が設けられる。付着防止材料8は有利にはセラミック粉末であり、この粉末の焼結温度はエナメル5の軟化温度よりも高い。この種の付着防止材料8として、たとえば酸化アルミニウムセラミック粉末が適している。
【0015】
導体路3の接触領域15を露出させるために、次のステップで個々の接触領域15の部分においてエナメル5に接触開口部6が形成される。接触開口部6はこの実施例によれば、材料を取り去るビーム9をエナメル5に照射することによって達成される。この種のビーム9を、たとえばレーザビームまたはウォータービームとすることができる。ウォータービームを使用するときに有利であるのは、材料を取り去る作用を高める目的で、ウォータービームに研磨剤を加えることである。レーザ9を使用する場合、エナメル5内部のレーザビーム吸収を促進させる添加物を含むエナメルを用いることができる。
【0016】
接触領域15の部分でのエナメルに対する照射は、この部分においてエナメル5が取り去られるまで行われる。付着防止材料8によって接触開口部6の形成が促進される。なぜならば、付着防止材料8が設けられた領域では、エナメル5と接触領域15との密な結合が阻止されるからである。
【0017】
付着防止材料8も除去されて個々の導体路3の接触領域が露出するまで、照射が続けられる。たとえば、接触開口部6を形成するためのエナメル5の除去と反射防止材料8の除去を、オーバラップさせて行ってもよい。このステップ終了後のプロセス状態が図2に示されている。
【0018】
基本的に、接触領域15とエナメル5との間に配置される反射防止材料8を省くこともできる。このようなケースであっても、たとえば上述のように材料を除去するビーム9を用いた照射によって、エナメルに接触開口部6を形成することができる。
【0019】
これに続くステップにおいて、導体路3の接触領域15との接触接続のため、金属層7が取り付けられる。
【0020】
金属層7を取り付けるため、たとえば無電解の化学的コーティング法を利用することができ、これは本発明にとって有利なものである。このコーティングをめっき装置によって行うことができる。このようにして、所期のように導体路3,4の露出した部分たとえば接触領域15において、析出を行うことができる。セラミック基板2の表面あるいはエナメル表面にじかに析出が行われるのを回避することができる。金属層7を、たとえばニッケル−パラジウム−金めっきにより製造することができる。
【0021】
基本的に、このステップの後に別のステップを続けることができる。たとえばセラミックコンポーネント1に、さらに別の電気コンポーネントを装備させることができる。また、抵抗14のトリミングを、接触開口部6を形成するときには行わないのであれば、それを行うこともできる。抵抗14のトリミングのために、有利にはレーザを用いて抵抗14に切り欠き16を入れることができる。これについては図14を参照されたい。このようにして、抵抗14の抵抗値を高めることができる。
【0022】
導体路3の接触領域に取り付けられている金属層7は、導体路3の外部との接触接続のための接点(「パッド Pad」)を成している。セラミックコンポーネント1の背面を描いた図4に例示されているように、必要に応じてこの種の接点を多数設けることができる。金属層7により形成された接点は、有利にはセラミック基板2の背面に配置される。これによってセラミックコンポーネント1を、たとえば図4に示されているように自動車用制御装置のケーシングのような接続コンポーネント12と、簡単にかつ好適なコストで接続することができる。この実施例によれば、金属層7により形成されたセラミックコンポーネント1の接点と接続コンポーネント12の接点13とを接続するために、BGA10が使用される。接触開口部6の領域に取り付けられた金属層7の上に、BGA10のはんだボールがそれぞれ載置されている。接続コンポーネント12に設けられている同様に金属の接点13との接続が、はんだ付けによって行われる。
図1
図2
図3
図4