【課題を解決するための手段】
【0016】
本方法に関して、この目的は、上述のタイプの方法から開始して、以下の方法工程:
(a)容積「V1」を有し、かつ過大なサイズを伴って外面形状を包含する寸法を有する、均一性の高いチタンドープガラスの前部体を作製する工程と、
(b)容積「V2」を有する、チタンドープガラスの支持体を作製する工程であって、該支持体が、前記前部体よりも均一性の低い一体構造のガラスブロックとして構成される、チタンドープガラスの支持体を作製する工程と、
(c)複合体を形成するように、前部体と支持体とを接合させる工程と、
(d)前記複合体を処理する工程であって、ミラー基板用ブランクを得る、前記複合体を処理する工程と、
により達成され、前記前部体の前記作製が、前部体ブランクを形成するように、ケイ素含有化合物の火炎加水分解によって得られるロッド状の出発基体のねじり加工を含む均一化プロセスを含み、前記出発基体を、前記造形プロセス中、2つの把持具の間に把持し、或る帯域において溶融温度まで加熱することによって、前記加熱された帯域を、前記2つの把持具の互いに対する相対的な移動によって操作して、実質的に円筒形のねじれた基体を形成する。
【0017】
本発明は、透過操作用の光学部品と共に投影システムを使用する、紫外線波長範囲におけるマイクロリソグラフィとは対照的に、EUVリソグラフィに使用されるミラー部材が、ミラー部材の厚み全体にわたる完全な均一性を必要とせず、一部の厚みにしか完全な均一性を必要としないという知見に基づくものである。この一部の厚みは、その高い応力を受ける帯域における完成したミラー部材の外面形状に依存する。その理由は、外面形状を作製するためのミラー基板用ブランクの機械的な処理中に、作製される外面形状の寸法によって定められる容積部分だけ新たな面が露出するからである。上記容積部分のガラスが高い均一性及び気泡の不存在を示すのに対して、これらの要求がミラー基板の残りの容積部分に関してはそれ程厳密でないことが重要である。均一性に対するとりわけ高い要求を満たす必要がある合成ガラスの容積割合は以下、「非常に特徴を持った容積割合」とも称する。
【0018】
本発明によれば、支持体及び前部体を含む複数の構成要素からなる複合体の形態で存在するミラー基板用ブランクが、製造される。しかしながら、該複合体の作製は、上記で説明した従来技術と同様に、製品を改良するように働くものではないものの、一体構造のミラー基板におけるものと同じ性能又は僅かに劣る性能でコストを低減させるのに役立つ。
【0019】
前部体は、少なくとも、「非常に特徴を持った容積割合」及び或る特定の過大なサイズに関するガラスを提供する。前部体のガラスは、金属で被覆される表面のより正確な研磨能、及びミラー部材の高い応力を受ける容積部分における一様に小さい膨張を確保するように、ドーパントの分布の均一性及び気泡の不存在に対してなされる高い要求を満たす。前部体のガラスに対してなされるこれらの品質要件は、ケイ素含有化合物の火炎加水分解によって得られるロッド状の出発基体を前部体ブランクへとねじり加工することを含む均一化プロセスによって満たされ、出発基体は、造形プロセス中、2つの把持具の間に把持され、或る帯域において溶融温度まで加熱することにより、加熱された帯域を、2つの把持具の互いに対する相対的な移動によって操作して、実質的に円筒形のねじれた基体を形成する。
【0020】
ロッド状の出発基体の加工(ねじり加工)は主に、不均一な塊及びドーパントの分布にも起因する、ガラス中の脈理及び層の排除を助ける。この均一化プロセスの産物は、少なくとも1つの前部体、好ましくは複数の前部体を製造し得る均一な高品質のガラスからなるブランクである。
【0021】
支持体は、より高い品質の前部体ガラスの場合よりも、ドーパントの分布の均一性及び気泡の不存在に対する特に低い要求を満たすより低い品質のガラスからなる単純な一体構造のガラスブロックとして存在する。同様に、EUVミラー基板としての使用に関連のある他のパラメータ、すなわち、熱膨張係数の空間分布及びその温度依存性、並びに「ゼロクロス温度」に対してなされる要求は、熱負荷がここでは放射線の吸収に起因して前部体よりも小さいという事由により、支持体において緩和され得る。
【0022】
これにより、高品質のガラス、又は高品質の前部体とハニカム構造の支持体との複合体から完全になるミラー基板用ブランクと比べて、支持体のガラスにかかる製造コストの低減、それ故、コストの節減がもたらされる。
【0023】
前部体と支持体との間の均一性の差異は、とりわけ層及び脈理の形態で表され、かつ屈折率の不均一性及び熱膨張係数の空間的に不均一な分布をもたらす、ドーパントの空間分布の点で明らかとなる。ガラスの均一性の特性決定は、単位容積当たりの脈理の数に基づいて行われる。脈理は、組成の局所的なばらつきによって生じる。それらは、組成の差異を測定するマイクロプローブを用いることによって定量的に検知することができ、ひいては、数ppb/℃の範囲までの熱膨張係数の差異と相関する。該情報は、MPa単位の二乗平均平方根(rms)値として与えられる。該方法は、例えば、欧州特許出願公開第2211232号に記載されている。この意味で、前部体のガラスは、支持体のガラスよりも高い均一性、それ故より小さいrms値を示す。原則として、均一化されていないか又は1方向にのみ均一化されている高珪質チタンドープガラスは、全ての空間方向において均一化されている高珪質チタンドープガラスよりも低度の均一化を示す。
【0024】
支持体及び前部体は、二酸化チタンでドープされるガラスからなる。加えて、フッ素等の他のドーパントが含有されていてもよい。理想的には、支持体のガラスが、前部体のガラスと名目上同一の組成を有する。
【0025】
前部体及び支持体は、該部位の如何なる顕著な変形も伴うことなく(例えば、チタンドープガラスの類似の接合塊を用いた溶接又は接合によって)接合されていてもよく、又はプロセスが該部位の変形を伴う。なお、既に製造された前部体と支持体との複合体に変形プロセスを更に施してもよい。
【0026】
ミラー基板用基体を得るための複合体の処理は、例えば、複合体の機械的な処理、熱間成形プロセス及び/又は熱処理を含み得る。原則として、それは、金属で被覆される表面の外面形状を未だ有していない。該形状を作製するために、ミラー基板用ブランクを機械的に加工して、ミラー基板を得る。原則として、凹状又は凸状に湾曲した表面領域をここで作製する。ミラー基板用ブランクの処理された容積の品質がここでは、露出面の品質にとって決定的なものである。例えば、処理された容積は、機械的な処理における除去に起因して気泡又は層が表面上に現れて、表面品質を損なうおそれがあることから、気泡又は層を含有していてはならない。前部体は、外面形状を作製するための機械的な処理における除去の深さが、いずれの場所でも、そこで認識される前部体の寸法よりも小さいような寸法とされる。故に、機械的な処理の完了後の高い応力を受ける帯域における表面は、均一な前部体のガラスから排他的に形成される。これはまた、高い応力を受ける帯域において高い表面品質を保証するものである。
【0027】
確かに、如何なる多大な労力も伴うことなく作製される一体構造の支持体の使用は、ミラー基板用ブランクにかかる製造コストを下げるが、性能の観点における欠点を受け入れなければならない。
【0028】
好ましくは、円筒形のねじれた基体に、ねじり加工による更なる均一化プロセスを施し、3方向に均一化されるねじれた基体へと造形する。
【0029】
前部体の作製が付加的に、均一化された出発基体を形成するように、軟化させると共に、円筒の縦軸に対して横方向の力の作用下でガラスが流出する加熱されたモールド内へと流出させることによる、円筒形の出発基体の造形を含む場合に、有用であることが分かった。1つの前部体、好ましくは複数の前部体が、このように均一化されるガラスから切り出される。
【0030】
独国特許出願公開第4204406号は、ガラスの円筒形の出発基体を加熱されたモールド内に流出させる方法を記載している。この造形プロセスはまた、3方向の脈理及び層が存在しなくなるまでのガラスの均一化をもたらす。場合によってはまた、残存する気泡のサイズが低減する。出発基体に作用する力は、例えば、出発基体自体の重量に起因する重力であり、出発基体に作用する付加的な重量によって及び/又は出発基体にかけられる圧力によって任意に補われる。出発基体は、例えば、未だ完全に均一化されていないねじれた基体である。
【0031】
好ましくは、前記ねじれた基体若しくは前記均一化されたねじれた基体、又は前記均一化された出発基体からそれぞれ切削することによって、少なくとも1つの前部体、好ましくは複数の前部体を得る。
【0032】
加えて、前部体の作製は、合成ガラスのプリフォームの生産と、気泡の不存在及びドーパントの分布の均一性に関して高品質の切片をプリフォームから選択する選択方法工程とを含み、前部体をそれらから切り出す。
【0033】
ここで、前部体は、通常円筒形の大容量のガラスプリフォームの好適な容積部分を選択し、該容積部分を切り出すことによって作製される。前部体の作製に適さない大容量のプリフォームの容積部分は、支持体を作製するのに使用することができる。
【0034】
支持体用のガラスは、均一化する労力が前部体用のガラスの場合よりも小さい別のプロセスで作製されるか、又は、支持体のガラスは、前部体のガラスと同様のプロセスを活用して作製される。最後に言及したような場合には、通常、低い品質及び均一性の容積部分を支持体用のガラスとして識別及び選出することができる、大容量のガラスプリフォームが得られる。
【0035】
特に、前記支持体の前記作製が、好ましくは、ケイ素含有化合物の火炎加水分解によって得られるロッド状の支持体/出発基体を均一化してねじれた基体とすることを含み、前記支持体/出発基体を、造形中、2つの把持具の間に把持し、或る帯域において溶融温度まで加熱することによって、前記加熱された帯域を、前記2つの把持具の互いに対する相対的な移動によって操作して、実質的に円筒形のねじれた基体を形成し、前記支持体を、前記ねじれた基体の前記ガラスから得る。
【0036】
方法工程(c)による前記接合プロセスが、前記前部体の平坦な接触面と前記支持体の平坦な接触面とを光学的な接触によって接合させて、互いに溶接する、接合工程を含む場合に、有用であることが分かった。
【0037】
光学的な接合プロセスは、支持体と前部体との気泡のない接合を可能とする。これらは、平面が研磨された接触面を伴って互いに接しているため、如何なる顕著な変形も伴わない前部体と支持体との気泡のない溶接を促す。溶接は例えば、レーザ、プラズマ火炎又は燃料ガス火炎を用いることによる、接触面の領域における局所的な加熱及び軟化によって行われる。しかしながら好ましくは、接触面は炉内で軟化される。ここでは、支持体と前部体とのアセンブリを炉内に完全に導入して加熱する。これにより、欠陥のない結合の再現性のある生成が促される。
【0038】
代替形態として、支持体上に位置する前部体を炉内で軟化させ、該支持体と一緒に変形させて、該プロセス中で少なくとも一部を前記支持体内へと沈入させる、接合工程を含む、方法工程(c)により支持体と前部体との間の結合を生成するための手法も、適することが分かった。
【0039】
この手法では、支持体と前部体との間の溶融複合体の生成が、複合体を得るように、互いに接する基体の塑性変形を伴う。初めて又は更に同時に均一化される下に位置する支持体のガラスはここで変形を主に受ける。変形は好ましくは、ガラスの出発基体の均一化について上記で既により詳細に説明したように、軟化させると共に、加熱されたモールド内へと流出させることによって行われる。
【0040】
加熱されたモールドは、変形後に得られる複合体の側方寸法を定める。前部体はここで、支持体の軟化させたガラス内に部分的に沈入する。その後得られる、支持体に対して融着する前部体の塊分布は、試験を用いて検出され、またシミュレーションによって判断され得る。
【0041】
軟らかい支持体塊内へ「前部体を沈入させる」というこの手法は、前部体の最終的な位置及び最終的な幾何学的形状を比較的正確に定めることができるという利点をもたらす。密接な気泡の少ない接触領域がもたらされると同時に、算術的に実際に必要とされるであろうものよりも多くの前部体塊を通常必要とする大きな形態変化を示す接合方法におけるものよりも、前部体にかかる原材料塊をあまり必要としない。完成した複合体では、元の前部体が、支持体領域における少なくとも一部で埋設される、すなわち、横方向に固定される前部体領域を形成する。これにより、固定された複合体が得られ、この場合、機械的な処理を行うとしても層間剥離のリスクが減る。
【0042】
方法工程(c)により前部体と支持体との複合体を作製するための、更なる同様に限定された手法では、前部体の接触面と支持体の接触面とを軟化させて、互いに対して加圧し、接触面の少なくとも一方が外側に湾曲した表面を有する、接合工程が、もたらされる。
【0043】
この例では、好ましくはブロック形態又はロッド形態の、前部体及び支持体が、それらの各々の面と一緒に加圧され、同時に軟化された結果、接触面が同時に共に融着する。融着は例えば、旋盤状の装置により行われ、この方法によって、前部体及び支持体は、接合回転軸を中心に回転可能であり、回転軸の方向において軸方向に置換可能である。気泡の含入を回避するために、接触面の少なくとも一方、好ましくは両接触面が、外側に湾曲した表面を含む。そのため、接触させると、連続して圧縮されると外側へと径方向に広がる実質的に点状の(面積が大きくない)接触面がもたらされる。最も単純な場合には、湾曲した接触領域が鋭角又は円錐形となる。続いて、こうして作製される溶融複合体に、更なる均一化のための熱間成形プロセスを施してもよく、これにより、複合体の最終的な幾何学的形状が得られる。
【0044】
また、複合体をアニールする場合に有用であることが分かった。
【0045】
温度処理は、支持体と前部体との接合部の生産中に作られた可能性のある応力を低減させるように働く。このような応力は、その後の材料の除去においてブランクの変形をもたらす場合があり、それらはまた、研磨面に対する悪影響を有するおそれがある。アニーリングが本当に必要とされるかという問題は、方法工程(c)による接合操作中及びとりわけ作製される複合体の冷却中の温度制御に依存する。アニーリング処理は任意に1つ又は幾つかの熱間プロセス加工工程を含む。方法工程(c)による融着結合の形成及びアニーリング処理は、1つの操作又は別個の操作において行われる。
【0046】
ミラー基板用ブランク中の前部体の容積割合が小さいほど、製造コストの節減は有効である。したがって、前部体の容積「V1」は好ましくは可能な限り小さく、またミラー基板の高い応力を受ける部分における外面形状の完全なモデリングを可能とするために必要とされるだけ大きく維持される。しかしながら、安全性の理由から、前部体は、最小サイズを超えて拡張する或る特定の過大なサイズを有する。有益には、容積「V2」が、「V1」の少なくとも2倍、好ましくは少なくとも3倍大きい。
【0047】
EUVリソグラフィに使用されるミラー基板用のチタンドープガラスからなるブランクに関して、上述のタイプのブランクから始まる上述の課題は、容積「V1」を有し、かつ過大なサイズを伴って外面形状を包含する寸法を有する、均一性の高いチタンドープガラスの前部体部分と、容積「V2」を有する、チタンドープガラスの支持体部分であって、この場合、前部体部分よりも均一性の低い一体構造のガラスブロックとして構成される、支持体部分とを包含する溶融複合体として、ブランクが存在することで達成される。
【0048】
本発明は、透過操作用の光学部品と共に投影システムを使用する、紫外線波長範囲におけるマイクロリソグラフィとは対照的に、EUVリソグラフィに使用されるミラー部材が、ミラー部材の厚み全体にかけて完全な均一性を必要とせず、それらの一部の厚みにしか完全な均一性を必要としないという知見に基づくものである。この一部の厚みは、その高い応力を受ける帯域における完成したミラー部材の外面形状に依存する。その理由は、外面形状を作製するためのミラー基板用ブランクの機械的な処理中に、作製される外面形状の寸法によって定められる容積部分だけ新たな面が露出するからである。この容積部分のガラスが高い均一性及び気泡の不存在を示すのに対して、これらの要求がミラー基板の残りの容積部分においてはそれ程厳密でないことが重要である。均一性に対するとりわけ高い要求を満たす必要がある合成ガラスの容積部分は以下、「非常に特徴を持った容積割合」とも称するものとする。
【0049】
本発明によれば、ミラー基板用ブランクは、支持体領域及び前部体領域を形成する幾つかの構成要素からなる複合体の形態で存在する。前部体領域は、少なくとも「非常に特徴を持った容積割合」及び或る特定の過大なサイズに関するガラスを提供する。前部体のガラスは、金属で被覆される表面のより正確な研磨状態、及びミラー部材の高い応力を受ける容積部分における一様に小さい膨張を確保するように、ドーパントの分布の均一性及び気泡の不存在に対してなされる高い要求を満たす。
【0050】
支持体部分は、前部体部分の優れたガラスに比べて、ドーパントの分布の均一性及び気泡の不存在に対してより低い要求がなされる、品質の劣るガラスからなる単純な一体構造のガラスブロックとして存在する。これにより、高品質のガラス、又は高品質の前部体とハニカム構造の支持体との複合体から完全になるミラー基板用ブランクと比べて、支持体部分のガラスにかかるより低い製造コスト、それ故、コストの節減がもたらされる。支持体部分のガラスは、均一性以外の特性の点でも前部体のガラスと異なるものであってもよい。
【0051】
金属で被覆されるミラーの外面形状を形成するためにミラー基板用ブランクを機械的に処理する場合、通常、凹状又は凸状に湾曲した表面領域が作製される。ミラー基板用ブランクのそれにより処理された容積の品質は、露出面の品質に関連がある。より正確に言うと、処理された容積は、機械的な処理における除去に起因して気泡が表面上に現れて、表面品質を損なうおそれがあることから、如何なる気泡も含有していてはならない。したがって、前部体部分は、外面形状の機械的なモデリングの場合の除去の深さが、いずれの場所でも、そこで認識される前部体部分の寸法よりも小さいような寸法とされる。故に、機械的な処理の完了後の高い応力を受ける帯域における表面は、均一な前部体のガラスから排他的に形成される。これはまた、高い応力を受ける帯域において高い表面品質を保証するものである。
【0052】
支持体領域及び前部体領域は、二酸化チタンでドープされるガラスからなる。加えて、フッ素等の他のドーパントが含有されていてもよい。
【0053】
本発明によるブランクは好ましくは、前部体及び支持体を相互に接続させる上記の方法に基づいて製造される。
【0054】
前記前部体部分が、3方向に脈理を含まないガラスからなる場合に、有用であることが分かった。
【0055】
このようなガラスは、ドーパントの分布のとりわけ高い均一性及び実質的な気泡の不存在によって区別される。本発明による複合体中の、多大な労力を受けて均一化されたこのガラス品質の容積割合V1は、可能な限り小さい。脈理及び層の完全な除去のための、それ故、3方向に脈理を含まないガラスの作製のための好適な均一化方法は、欧州特許出願公開第6738888号に記載されている。
【0056】
一方、支持体部分は好ましくは、1方向にのみ脈理を含まないガラスからなる。
【0057】
このようなガラスは、均一化にあまり労力を要しないため、3方向に脈理を含まないガラスよりも高価でない。
【0058】
高い応力を受ける帯域におけるガラスの品質に対してなされる高い要求を満たすと共に、ミラー基板用ブランクのための材料コストを可能な限り低く維持するために、前部体部分は好ましくは、泡等級(Bubble Class)2又はそれよりも良い要求を満たすガラスからなるのに対し、支持体部分は、DIN 58927 2/70に準拠して、泡等級2又はそれよりも悪い要求を満たすガラスからなる。
【0059】
気泡の不存在について支持体部分のガラスの品質に対してなされる要求は、前部体部分のガラスに対してなされるものよりも低い。好ましくは、支持体部分のガラスは、泡等級3〜5又はそれよりも更に悪い要求をまさに満たすものである。
【0060】
高い応力を受ける帯域におけるガラスに関する高い品質の要求を満たすと共に、ミラー基板用ブランクのための材料コストを可能な限り低く維持するために、前部体部分が、平均値からの最大偏差が1%未満であるチタン濃度分布を示すガラスからなる場合、及び支持体部分が、平均値からの最大偏差が5%未満であるチタン濃度分布を示すガラスからなる場合にも、有用であることが分かった。
【0061】
ドーパントの分布の均一性について支持体部分のガラスの品質に対してなされる要求は、前部体部分のガラスに対してなされるものよりも低い。約7wt.%の通例のドーパント濃度(=TiO
2)において、支持体部分のガラスは、この平均値からの最大偏差が0.35wt.%未満であれば、要求を満たす。
【0062】
ミラー基板の目的の使用中の安定な結合及び小さい変形に関して、理想的には、前部体部分及び支持体部分が、名目上同一の組成を有するガラスからなる。
【0063】
可能な限り欠陥のない境界面に関して、前部体部分及び支持体部分が平らな接触面で互いに接し、かつ互いに融着する場合に、有用であることが分かった。
【0064】
前部体部分及び支持体部分はここで、類似又は同一の側方寸法を有していてもよいため、前部体部分が支持体部分の側面(上側)を完全に覆う。ブランクのこの実施の形態は、多数の開口部を有するミラー基板の用途にとりわけ適し、この場合、高い応力を受ける帯域が比較的大きな表面領域に及ぶ。
【0065】
本発明によるブランクの代替的かつ等しく好ましい実施の形態では、前記前部体部分が、前記支持体部分内に部分的に埋設される。
【0066】
前部体部分はここで、支持体部分に面するその底部側とだけでなく、その側方境界領域の少なくとも一部とでも支持体塊と接触する。前部体部分の側方寸法はここでは、支持体部分のものよりも小さいことから、これに対応してより多くの材料コストが節減される。ブランクのこの実施の形態は、少数の開口部を有するミラー基板の用途にとりわけ適し、この場合、高い応力を受ける帯域が比較的小さな表面領域にのみ及ぶ。その上、該実施の形態に起因して、支持体部分における前部体部分の側方への固定を有する、固定された複合体が得られ、衝撃応力の場合の、例えば機械的な処理中の層間剥離のリスクが低減される。
【0067】
ミラー基板用ブランク中の前部体部分の容積割合が小さいほど、製造コストの節減は有効である。したがって、前部体部分の容積「V1」は好ましくは可能な限り小さく、またミラー基板の高い応力を受ける部分における外面形状の完全なモデリングを可能とするのに必要とされるだけ大きい。しかしながら、安全性を考慮すると、前部体部分は、最小寸法と比べて或る特定の過大なサイズを有する。有益には、容積「V2」が、「V1」の少なくとも2倍、特に好ましくは少なくとも3倍大きい。
【0068】
ここで、実施形態及び図面を参照して本発明をより詳細に説明する。