特許第5661804号(P5661804)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5661804
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】血液処理フィルター
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/02 20060101AFI20150108BHJP
【FI】
   A61M1/02 540
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-550890(P2012-550890)
(86)(22)【出願日】2011年12月21日
(86)【国際出願番号】JP2011079705
(87)【国際公開番号】WO2012090834
(87)【国際公開日】20120705
【審査請求日】2013年6月13日
(31)【優先権主張番号】61/427313
(32)【優先日】2010年12月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507365204
【氏名又は名称】旭化成メディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100133307
【弁理士】
【氏名又は名称】西本 博之
(72)【発明者】
【氏名】横溝 朋久
(72)【発明者】
【氏名】三浦 司和
【審査官】 胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−507881(JP,A)
【文献】 国際公開第90/15660(WO,A1)
【文献】 特開平07−267871(JP,A)
【文献】 特開2008−289904(JP,A)
【文献】 特開2006−246963(JP,A)
【文献】 特開昭53−054178(JP,A)
【文献】 特開2003−260111(JP,A)
【文献】 特開平03−027317(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液の入口と出口とを有する可撓性容器と、前記可撓性容器の内部に収容されたシート状のフィルター材と、を備えた血液処理フィルターであって、
前記可撓性容器と前記フィルター材とをシールして、前記フィルター材の有効濾過部を形成するシール部と、
前記可撓性容器と前記フィルター材とをシールして、前記有効濾過部を複数の部位に区切る区切り部と、を備え、
前記シール部と前記区切り部とは、前記フィルター材との協働によって前記可撓性容器の内部を前記入口に連通する入口空間、及び前記出口に連通する出口空間を含む三以上の内部空間に区画すると共に、血液経路として、三以上の前記内部空間をそれぞれ通過し、且つ前記フィルター材を複数回通過する経路を形成し、
前記フィルター材は連続した周縁を有する単体であり、
前記シール部は前記フィルター材の周縁に沿って連続して設けられていることを特徴とする血液処理フィルター。
【請求項2】
前記可撓性容器は、第1容器形成部と、前記フィルター材を挟んで前記第1容器形成部に重なり、且つ前記第1容器形成部にシールされた第2容器形成部と、を有し、
前記シール部と前記区切り部とは、前記フィルター材の一方側に複数の前記内部空間を形成し、前記フィルター材の他方側に単数または複数の前記内部空間を形成すると共に、前記血液経路として、前記フィルター材の一方側に形成された前記内部空間と、前記フィルター材の他方側に形成された前記内部空間とを交互に通過し、且つ前記フィルター材を複数回通過する経路を形成することを特徴とする請求項1記載の血液処理フィルター。
【請求項3】
前記シール部と前記区切り部とは、前記フィルター材の一方側に前記入口空間、及び前記出口空間を含む複数の前記内部空間を形成し、前記フィルター材の他方側に、前記フィルター材の一方側よりも一つ少ない数の前記内部空間を形成することを特徴とする請求項2記載の血液処理フィルター。
【請求項4】
前記シール部と前記区切り部とは、前記フィルター材の一方側に前記入口空間を含む複数の前記内部空間を形成し、前記フィルター材の他方側に、前記出口空間を含む前記フィルター材の一方側と同数の数の前記内部空間を形成することを特徴とする請求項2記載の血液処理フィルター。
【請求項5】
前記シール部と前記区切り部とは、前記フィルター材の一方側に、前記入口空間と前記出口空間とを形成し、前記フィルター材の他方側に、前記フィルター材を介して前記入口空間と前記出口空間との両方に連通可能な中間空間を形成すると共に、前記血液経路として、前記入口空間、前記中間空間、及び前記出口空間を通過し、且つ、前記フィルター材を複数回通過する経路を形成することを特徴とする請求項2記載の血液処理フィルター。
【請求項6】
前記入口空間内に露出した前記フィルター材の表面積は、前記中間空間内に露出した前記フィルター材の表面積のうち、前記出口空間に連通する領域の表面積よりも大きいことを特徴とする請求項5記載の血液処理フィルター。
【請求項7】
前記可撓性容器の平面視において、前記シール部は、可撓性容器の前記入口と前記出口とを囲んでいることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載の血液処理フィルター。
【請求項8】
前記可撓性容器の平面視において、前記可撓性容器の前記入口と前記出口とは、前記フィルター材の連続した前記周縁の内側に配置されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記載の血液処理フィルター。
【請求項9】
前記可撓性容器の平面視において、前記区切り部は、連続して形成されると共に、前記可撓性容器の前記出口を囲んで設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項記載の血液処理フィルター。
【請求項10】
前記第1容器形成部及び前記第2容器形成部の周縁同士はシールされており、
前記フィルター材の連続した前記周縁は、前記第1容器形成部及び前記第2容器形成部のシールされた周縁に沿って配置されていることを特徴とする請求項2記載の血液処理フィルター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液から凝集物や白血球等の好ましくない成分を除去する為の血液処理フィルターに関する。特に輸血用の全血製剤、赤血球製剤、血小板製剤、血漿製剤などから副作用の原因となる微小凝集物や白血球を除去する目的で用いられる、精密で、且つ使い捨て可能な血液処理フィルターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ドナーから採血された全血は、赤血球製剤、血小板製剤、血漿製剤等の血液成分製剤に分離され、貯蔵された後に輸血されるのが一般的となりつつある。またこれらの血液製剤に含まれる微小凝集物や白血球が種々の輸血副作用の原因となることから、輸血の前にこれらの好ましくない成分を除去してから輸血する機会が増えている。近年は特に白血球除去の必要性が広く認識され、全ての輸血用血液製剤に白血球除去処理を施し、その後に輸血に用いることを法制化している国が増えている。
【0003】
血液製剤から白血球を除去する為の方法としては、血液製剤を白血球除去フィルターで処理するのが最も一般的である。この白血球除去フィルターによる血液製剤の処理は、輸血操作を行う際にベッドサイドで行われることが多かったが、近年では白血球除去製剤の品質管理、及び白血球除去処理の有効性向上の目的の為、血液センターに於いて保存前に行われることが、特に先進諸国では一般的である。以下、保存前に行われる白血球除去を「保存前白血球除去」という。
【0004】
ドナーから採血し、複数の血液成分に分離し、各血液成分を貯蔵するために、典型的には2つから4つの可撓性のバッグとこれらを接続する導管、抗凝固剤、赤血球保存液、採血針等から構成される採血分離セットが以前より使われている。特に、「保存前白血球除去」に好適に使用されうるものとして、上記の採血分離セットに白血球除去フィルターを組み込んだシステムが広く使われており、「クローズドシステム」または「一体型システム」等の名称で呼ばれている。これらは、特開平1−320064号公報、WO92/020428号パンフレット等に開示されている。
【0005】
従来、白血球除去フィルターは、不織布や多孔質体からなるフィルター要素をポリカーボネート等の硬質容器に充填したものが広く使われてきた。しかしながら、硬質容器では、容器のガス透過性が低いため、採血分離セットの滅菌工程として広く使われている蒸気滅菌を適用し難いという問題があった。また、クローズドシステムには採血後にまず全血製剤を白血球除去し、白血球除去フィルターを切り離してから成分分離のための遠心分離操作を行う場合と、全血を遠心分離によって複数の血液成分に分離した後に白血球除去を行う場合とがあり、後者の場合には白血球除去フィルターも採血分離セットと共に遠心される。この際、硬質容器がバッグや導管にダメージを与えたり、硬質容器自身が遠心時のストレスに耐えられずに破損したりする可能性があった。
【0006】
これらの問題点を解決する方法として、採血分離セットのバッグに使用されているものと同一または類似の、可撓性かつ蒸気透過性に優れる素材を容器に用いた、可撓性の白血球除去フィルターが開発されており、実際に、可撓性容器を直接フィルター材に溶着させたもの(特開平7−267871号公報、WO95/017236号パンフレット参照)などが知られている。この種の白血球除去フィルターでは、例えば、可撓性を有するシート状の素材によって可撓性容器が形成されており、可撓性容器の内部空間は、フィルター材によって一方側と他方側とに区画されている。そして、フィルター材によって区画された一方側と他方側とには、血液の出入口となるポートがそれぞれ設けられており、入口から流入した血液は、フィルター材を1回通過した後に出口から排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平01−320064号公報
【特許文献2】国際公開第92/020428号パンフレット
【特許文献3】特開平07−267871号公報
【特許文献4】国際公開第95/017236号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の白血球除去フィルターでは、フィルター材の素材が同じであれば、薄くて大きいものよりも、厚くて小さいものの方が白血球等の除去性能の向上を見込める。一方で、フィルターの組み立て易さ、特にシールのし易さという点では、フィルター材が薄いほど容易であり、また、血液の流れ易さ(濾過速度の向上)という点でも薄くて大きい方が、都合は良い。つまり、上述の白血球除去フィルターでは、フィルター材が薄い場合と厚い場合とで、それぞれ相反する課題、及び利点を有し、両方の利点を享受できる白血球除去フィルターを得ることは難しかった。
【0009】
本発明は、フィルター材が薄い場合の利益を享受しつつ、所望の濾過性能を得易い血液処理フィルターを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明の一態様は、血液の入口と出口とを有する可撓性容器と、可撓性容器の内部に収容されたシート状のフィルター材と、を備えた血液処理フィルターであって、可撓性容器とフィルター材とをシールして、フィルター材の有効濾過部を形成するシール部と、可撓性容器とフィルター材とをシールして、有効濾過部を複数の部位に区切る区切り部と、を備え、シール部と区切り部とは、フィルター材との協働によって可撓性容器の内部を入口に連通する入口空間、及び出口に連通する出口空間を含む三以上の内部空間に区画すると共に、血液経路として、三以上の内部空間をそれぞれ通過し、且つフィルター材を複数回通過する経路を形成し、フィルター材は連続した周縁を有する単体であり、シール部はフィルター材の周縁に沿って連続して設けられていることを特徴とする血液処理フィルターに関する。なお、本発明における血液とは、輸血用の全血製剤、赤血球製剤、血小板製剤、血漿製剤などの血液製剤を含む。
【0011】
この血液処理フィルターでは、入口から出口までの血液経路として、複数の内部空間を通過しながら、さらに、フィルター材を複数回通過する経路が形成される。この血液処理フィルターによれば、薄いフィルター材であっても、血液がフィルター材を複数回通過するので、結果的に、フィルター材が厚い場合と同等の白血球等の除去性能を見込める。従って、フィルター材が薄い場合に得られる製造上、または濾過速度という点での優位性を維持しながらフィルター材が厚い場合の利益も享受できる。
【0012】
また、上記の血液処理フィルターにおいて、可撓性容器は、第1容器形成部と、フィルター材を挟んで第1容器形成部に重なり、且つ第1容器形成部にシールされた第2容器形成部と、を有し、シール部と区切り部とは、フィルター材の一方側に複数の内部空間を形成し、フィルター材の他方側に単数または複数の内部空間を形成すると共に、血液経路として、フィルター材の一方側に形成された内部空間と、フィルター材の他方側に形成された内部空間とを交互に通過し、且つフィルター材を複数回通過する経路を形成する態様とすることもできる。
【0013】
また、上記の血液処理フィルターにおいて、シール部と区切り部とは、フィルター材の一方側に入口空間、及び出口空間を含む複数の内部空間を形成し、フィルター材の他方側に、フィルター材の一方側よりも一つ少ない数の内部空間を形成する態様とすることもできる。
【0014】
また、上記の血液処理フィルターにおいて、シール部と区切り部とは、フィルター材の一方側に入口空間を含む複数の内部空間を形成し、フィルター材の他方側に、出口空間を含むフィルター材の一方側と同数の数の内部空間を形成する態様とすることもできる。
【0015】
また、上記の血液処理フィルターにおいて、シール部と区切り部とは、フィルター材の一方側に、入口空間と出口空間とを形成し、フィルター材の他方側に、フィルター材を介して入口空間と出口空間との両方に連通可能な中間空間を形成すると共に、血液経路として、入口空間、中間空間、及び出口空間を通過し、且つ、フィルター材を複数回通過する経路を形成する態様とすることもできる。
【0016】
さらに、上記の血液処理フィルターにおいて、入口空間内に露出した前記フィルター材の表面積は、中間空間内に露出したフィルター材の表面積のうち、出口空間に連通する領域の表面積よりも大きい態様とすることもできる。また、可撓性容器の平面視において、シール部は、可撓性容器の入口と出口とを囲んでいる態様とすることもできる。また、可撓性容器の平面視において、可撓性容器の入口と出口とは、シート材の連続した周縁の内側に配置されている態様とすることもできる。また、可撓性容器の平面視において、区切り部は、連続して形成されると共に、可撓性容器の出口を囲んで設けられている態様とすることもできる。また、第1容器形成部及び第2容器形成部の周縁同士はシールされており、フィルター材の連続した周縁は、第1容器形成部及び第2容器形成部のシールされた周縁に沿って配置されている態様とすることもできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、フィルター材が薄い場合の利益を享受しつつ、所望の濾過性能を得易い血液処理フィルターを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る血液処理フィルターの一部を破断して示す平面図である。
図2図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。
図3図3は、第1実施形態に係る血液処理フィルターを備えた血液処理システムの概略を示す正面図である。
図4図4は、本発明の第2実施形態に係る血液処理フィルターの平面図である。
図5図5は、図4のV−V線に沿った断面図である。
図6図6は、本発明の第3実施形態に係る血液処理フィルターの平面図である。
図7図7は、図6のVII−VII線に沿った断面図である。
図8図8は、本発明の第4実施形態に係る血液処理フィルターの一部を破断して示す平面図である。
図9図9は、図8のIX−IX線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態中で説明する血液とは、輸血用の全血製剤、赤血球製剤、血小板製剤、血漿製剤などの血液製剤を含む。また、血液処理フィルターの外形は、矩形状、円盤状、長円盤状、楕円状などの様々態様を採用できるが、製造時の材料ロスを少なくするためには矩形状が好ましく、従って、以下の実施形態では矩形状を例に説明する。
【0020】
まず、図1、及び図2を参照して、第1実施形態に係る血液処理フィルター1Aについて説明する。血液処理フィルター1Aは、血液の入口ポート3Aと出口ポート4Aとを有する可撓性容器2Aと、可撓性容器2Aに収容されたシート状のフィルター材5と、を備えている。
【0021】
可撓性容器2Aは、矩形扁平状の容器である。扁平状とは、厚みが薄くて面が広い形状を意図する。可撓性容器2Aは、矩形シート状の第1容器形成部9Aと、矩形シート状の第2容器形成部11Aとを備えている。第1容器形成部9Aと第2容器形成部11Aとは、矩形状のフィルター材5を挟んで重なり合い、周縁同士が互いに密着して帯状にシールされている。なお、シールするとは、液体の漏洩を防止できる程度に接着(溶着も含む)にて固定することを意味する。
【0022】
第1容器形成部9Aには、入口ポート3Aと出口ポート4Aとがシールされている。入口ポート3Aには、可撓性容器2Aの内部に連通して入口となる入口流路3aが形成されており、出口ポート4Aには、可撓性容器2Aの内部に連通して出口となる出口流路4aが形成されている。
【0023】
また、血液処理フィルター1Aは、可撓性容器2Aとフィルター材5とをシールして、フィルター材5の有効濾過部5aを形成するシール部6と、可撓性容器2Aとフィルター材5とをシールして、有効濾過部5aを複数の部位に区切る区切り部7と、を備えている。
【0024】
シール部6と区切り部7とは、フィルター材5の有効濾過部5aの各部位との協働によって可撓性容器2Aの内部を入口空間S1、及び出口空間S2を含む複数の内部空間S1,S2,S3に区画する。入口空間S1は入口ポート3Aの入口流路3aに連通する内部空間であり、出口空間S2は出口ポート4Aの出口流路4aに連通する内部空間である。入口空間S1、及び出口空間S2は、フィルター材5の第1容器形成部9Aに対面する側(一方側)に形成され、第3の内部空間である中間空間S3は、フィルター材5の第2容器形成部11Aに対面する側(他方側)に形成されている。
【0025】
第1容器形成部9Aと第2容器形成部11Aとは、フィルター材5の周縁に沿って、フィルター材5を挟み付けた状態で帯状にシールされている。フィルター材5の周縁に沿って矩形環状にシールされた接着部位がシール部6である。
【0026】
また、第1容器形成部9Aとフィルター材5とは、シール部6で囲まれた内側において、円形環状で、且つ帯状にシールされている。シール部6の内側で環状にシールされた接着部位が、区切り部7である。
【0027】
本実施形態に係るシール部6、及び区切り部7は、フィルター材5の有効濾過部5aの各部位と協働してフィルター材5の一方側に二個の内部空間S1,S2を形成し、フィルター材5の他方側に一方側よりも一少ない数の内部空間S3を形成している。具体的には、フィルター材5と第1容器形成部9Aとの間には、入口空間S1と出口空間S2とが形成され、フィルター材5と第2容器形成部11Aとの間には、中間空間S3が形成されている。中間空間S3は、区切り部7によって区画されることなく存在し、フィルター材5を介して、入口空間S1と出口空間S2との両方に連通可能に設けられている。
【0028】
また、入口空間S1内に露出したフィルター材5の表面積は、中間空間S3内に露出したフィルター材5の表面積のうち、出口空間S2に連通する領域の表面積よりも大きくなっている。
【0029】
シール部6、及び区切り部7は、血液経路RAとして、内部空間S1,S2,S3それぞれを通過し、且つフィルター材5を複数回通過する経路を形成する。例えば、本実施形態の場合、シール部6、及び区切り部7は、血液経路RAとして、入口空間S1から中間空間S3に向けてフィルター材5を通過する往路Raと、中間空間S3から出口空間S2に向けてフィルター材5を通過する復路Rbとを形成する。その結果、血液経路RAは、フィルター材5の一方側に形成された内部空間S1,S2と、フィルター材5の他方側に形成された内部空間S3とを交互に通過する経路となる。
【0030】
次に、血液処理フィルター1Aを構成する各要素の材料や形状などの各態様について説明する。上述のように可撓性容器2Aは、第1容器形成部9A及び第2容器形成部11Aによって形成される。可撓性容器2Aに用いる可撓性樹脂は、シートまたはフィルムとして市販されている材料であれば使用することはできる。例えば、軟質ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン及びポリプロピレンのようなポリオレフィン、スチレンーブタジエンースチレン共重合体の水添物、スチレンーイソプレンースチレン共重合体またはその水添物等の熱可塑性エラストマー、及び、熱可塑性エラストマーとポリオレフィン、エチレン−エチルアクリレート等の軟化剤との混合物等が好適な材料として挙げられる。血液との接触が考えられるため、好ましくは血液バック等の医療品の材料として用いられている、軟質塩化ビニル、ポリウレタン、ポリオレフィン、及び、これらを主成分とする熱可塑性エラストマーであり、更に好ましくは軟質塩化ビニルである。
【0031】
また、可撓性容器2Aは、例えば、特開平7−267871号公報に記載されている容器や、WO95/017236号パンフレットに記載されている容器などを用いることもできる。
【0032】
フィルター材5は、不織布や織布などの繊維状集積体やスポンジなどの多孔質体からなるフィルター材料を用いて製造される。なお、本実施形態に係るフィルター材5において、血液がフィルター材料に濡れ易くするために、親水性ポリマーをコーティングしてもよい。また、血液から白血球を除去するために血液処理フィルター1Aを用いるときには、白血球がフィルター材5に付着し易くするために、ポリマーをコーティングしたフィルター材料を用いてもよい。
【0033】
次に、本実施形態に係る血液処理フィルター1Aの製造方法について説明する。この製造方法では、例えば、入口ポート3A、及び出口ポート4Aが所定位置にシールされた第1容器形成部9A、及びフィルター材5を準備し、第1容器形成部9Aとフィルター材5とを所定位置に配置する設置工程を行う。
【0034】
設置工程の後、出口ポート4Aの形成部位を囲むように第1容器形成部9A、及びフィルター材5を帯状にシールして区切り部7を形成する第一シール工程を実行する。
【0035】
第一シール工程の後、第1容器形成部9Aと第2容器形成部11Aとの間でフィルター材5を挟むように第2容器形成部11Aを所定位置に設置する。次に、フィルター材5の周縁に沿って区切り部7を囲むように第1容器形成部9A、フィルター材5、及び第2容器形成部11Aをシールして矩形環状のシール部6を形成する第ニシール工程を実行する。
【0036】
第一シール工程での区切り部7の形成、すなわち、第1容器形成部9A、及びフィルター材5のシールは、高周波溶着を利用して行うことができるが、これに限定するものではなく、超音波溶着、熱溶着などの各種の接着技術を用いることができる。同様に、第二シール工程でのシール部6の形成のためのシールは、高周波溶着を利用して行うことができるが、これに限定するものではなく、超音波溶着、熱溶着などの各種の接着技術を用いることができる。
【0037】
第一シール工程、及び第ニシール工程の後、フィルター材5を挟むようにして第1容器形成部9Aと第2容器形成部11Aとを重ね合わせ、周縁同士を密着して帯状にシールする第三シール工程を実行する。第1容器形成部9Aと第2容器形成部11Aとのシールは、高周波溶着を利用して行うことができるが、これに限定するものではなく、超音波溶着、熱溶着などの各種の接着技術を用いることができる。なお、第三シール工程は、第二シール工程と同時、または第二シール工程よりも先に行うこともできる。
【0038】
なお、上記の製造方法では、入口ポート3Aと出口ポート4Aとを予め可撓性容器2Aにシールした態様にて説明したが、区切り部7やシール部6を形成した後にシールしてもよく、あるいは、それらの途中に行っても良い。また、入口ポート3A、及び出口ポート4Aを可撓性容器2Aにシールするには、高周波溶着に限らず、熱溶着などのあらゆる接着技術を用いることができる。入口ポート3Aと出口ポート4Aの材料としては、可撓性容器2A同様に様々な従来公知の材料を用いることができる。
【0039】
次に、第1実施形態に係る血液処理フィルター1Aを備えて構成される血液処理システム100(図3参照)を説明する。
【0040】
血液処理フィルター1Aは、重力を用いての濾過に使用することができる。例えば、血液処理フィルター1Aを適用した血液処理システム100は、採血後の血液を入れた貯留バッグ101と、血液処理フィルター1Aと、濾過後の血液をためる回収バッグ103と、を備える。貯留バッグ101と血液処理フィルター1Aの入口ポート3Aとは、血液チューブなどの導管102aによって互いに接続され、回収バッグ103と血液処理フィルター1Aの出口ポート4Aとは、血液チューブなどの導管104aによって互いに接続されている。更に、上流側の導管102aには、流路を開閉するローラークランプなどの開閉手段102bやチャンバー102cなどが取り付けられており、導管102a、開閉手段102b、及びチャンバー102cなどによって入口側回路102が形成される。また、下流側の導管104aなどによって出口側回路104が形成される。
【0041】
そして、採血後の血液を入れた貯留バッグ101は血液処理フィルター1Aよりも50cm程度高い位置に設置され、濾過後の血液をためる回収バッグ103は血液処理フィルター1Aよりも100cm程度低い位置に設置されている。血液処理システム100の流路を開放することで血液の濾過処理が行われる。
【0042】
次に、本実施形態に係る血液処理フィルター1Aの作用、及び効果について図1図3を参照して説明する。血液処理フィルター1Aでは、入口流路3aから出口流路4aまでの血液経路RAとして、複数の内部空間S1,S2,S3を通過しながら、さらに、フィルター材5を複数回通過する経路が形成される。この血液処理フィルター1Aによれば、薄いフィルター材5であっても、血液がフィルター材5を複数回通過するので、結果的に、フィルター材5が厚い場合と同等の白血球等の除去性能を見込める。つまり、フィルター材5の有効濾過部5aを区切り部7によって分割することで厚いフィルター材を用いた場合と同等の効果を得られ、フィルター材5としての材料の低減に有効であり、また、少ない材料でも白血球等の除去性能を維持できる。
【0043】
さらに、血液処理フィルター1Aの組み立ての観点から見ると、薄いフィルター材5を用いているにもかかわらず、小さくて厚いフィルター材を用いる場合の組み立て難い態様と同等の効果を得られる。従って、フィルター材5をシールする際の溶着の負荷も減り、組み立てる際の作業負担という観点からも有利であり、組み立て易さやシールし易さという点での利益を得ることができる。
【0044】
また、血液処理フィルター1Aでは、血液経路RAの往路Raにおいてフィルター材5を血液が通過する際の1回目濾過(一次濾過)と、血液経路RAの復路Rbにおいてフィルター材5を血液が通過する際の2回目濾過(二次濾過)とを行っている。そして、一次濾過では主体的に凝集物等の除去が行われ、二次濾過では凝集物等除去後の血液のみが濾過される。ここで、一次濾過では、凝集物流入等のロスがあるので一定の面積が必要になるところ、二次濾過では、一度濾過された血液なので凝集物は無く、白血球も低減されており、一次濾過側の濾過面積よりも小さな面積で足りる。そして、血液処理フィルター1Aでは、一次濾過側の濾過面積と二次濾過側の濾過面積との面積比率を任意の面積比にできるため、最適化し易い。つまり、血液処理フィルター1Aでは、濾過する目的血液、使用条件、要求性能に応じてフィルター材5を構成する不織布などの枚数や全体面積のみならず、一次濾過側の濾過面積と二次濾過側の濾過面積との面積比率を任意に最適化可能である。
【0045】
また、血液処理フィルター1Aでは、入口空間S1内に露出したフィルター材5の表面積は、中間空間S3内に露出したフィルター材5の表面積のうち、出口空間S2に連通する領域の表面積よりも大きくなっている。従って、1次濾過機能を向上させ、効果的に2次濾過を行うことができる。
【0046】
また、この血液処理フィルター1Aでは出口空間S2と入口空間S1との間に中間空間S3が存在するため、濾過処理の際に出口空間S2に生じる陰圧を緩和し、均質な濾過が可能になる。
【0047】
なお、本実施形態では、シール部6や区切り部7に対応したフィルター材5の一方側、または他方側には、何らの部材も接着等していないが、例えば、区切り部7の強度維持のためにフレームシートなどをシールしてフィルター材5に一体化するようにしてもよい。
【0048】
次に、本発明の第2実施形態に係る血液処理フィルターについて図4、及び図5を参照して説明する。図4は、本発明の第2実施形態に係る血液処理フィルターの平面図であり、図5は、図4のV−V線に沿った断面図である。なお、第2実施形態に係る血液処理フィルター1Bは第1実施形態に係る血液処理フィルター1Aと実質的に同一の要素や構造を備えているため、同一の要素や構造には同一の符号を付して詳しい説明は省略し、以下の説明では、異なる要素や構造を中心に説明する。
【0049】
血液処理フィルター1Bは、血液の入口ポート3Bと出口ポート4Bとを有する可撓性容器2Bと、可撓性容器2Bに収容されたシート状のフィルター材5と、を備えている。また、可撓性容器2Bは、矩形シート状の第1容器形成部9Bと、矩形シート状の第2容器形成部11Bとを備えている。第1容器形成部9Bと第2容器形成部11Bとは、矩形状のフィルター材5を介して重なり合い、周縁同士が互いに密着して帯状にシールされている。
【0050】
また、血液処理フィルター1Bは、可撓性容器2Bとフィルター材5とをシールして、可撓性容器2Bの内部を入口空間S4、及び出口空間S5を含む複数の内部空間S4,S5,S6に区画するシール部21、及び区切り部23を備えている。入口空間S4は入口ポート3Bの入口流路3aに連通する内部空間であり、出口空間S5は出口ポート4Bの出口流路4aに連通する内部空間である。入口空間S4、及び出口空間S5は、フィルター材5の第1容器形成部9Bに対面する側(一方側)に形成され、第3の内部空間である中間空間S6は、フィルター材5の第2容器形成部11Bに対面する側(他方側)に形成されている。
【0051】
第1容器形成部9Bと第2容器形成部11Bとは、フィルター材5の周縁に沿って、フィルター材5を挟み付けた状態で帯状にシールされている。フィルター材5の周縁に沿って矩形環状にシールされた接着部位は、シール部21である。
【0052】
また、第1容器形成部9Bとフィルター材5とは、シール部21によって形成された有効濾過部5aを二分割して二つの部位に区画するように帯状にシールされている。有効濾過部5aを区画するようにシールされた接着部位は、区切り部23である。
【0053】
本実施形態に係るシール部21、及び区切り部23は、フィルター材5の有効濾過部5aの各部位と協働してフィルター材5の一方側に二個の内部空間S4,S5を形成し、フィルター材5の他方側に、一方側よりも一つ少ない数の内部空間S6を形成している。具体的には、フィルター材5と第1容器形成部9Bとの間には、入口空間S4、及び出口空間S5が形成され、第2容器形成部11Bとフィルター材5との間には、中間空間S6が形成されている。中間空間S6は、区切り部23によって区画されることなく存在し、フィルター材5を介して、入口空間S4と出口空間S5との両方に連通可能に設けられている。
【0054】
また、入口空間S4内に露出したフィルター材5の表面積は、中間空間S6内に露出したフィルター材5の表面積のうち、出口空間S5に連通する領域の表面積よりも大きくなっている。
【0055】
シール部21、及び区切り部23は、血液経路RBとして、内部空間S4,S5,S6それぞれを通過し、且つフィルター材5を複数回通過する経路を形成する。例えば、シール部21、及び区切り部23は、血液経路RBとして、入口空間S4から中間空間S6に向けてフィルター材5を通過する往路Rcと、中間空間S6から出口空間S5に向けてフィルター材5を通過する復路Rdとを形成する。その結果、血液経路RBは、フィルター材5の一方側に形成された内部空間S4,S5と、フィルター材5の他方側に形成された内部空間S6と、を交互に通過する経路となる。
【0056】
上述した血液処理フィルター1Bの可撓性容器2Bは、実質的には、第1実施形態に係る血液処理フィルター1Aの可撓性容器2Aと同様の材料によって形成できる。また、血液処理フィルター1Bは、血液処理フィルター1Aの代わりに血液処理システム100に用いることも可能である。
【0057】
この血液処理フィルター1Bでは、入口流路3aから出口流路4aまでの血液経路RBとして、複数の内部空間S4,S5,S6を通過しながら、さらに、フィルター材5を複数回通過する経路が形成される。この血液処理フィルター1Bによれば、薄いフィルター材5であっても、血液がフィルター材5を複数回通過するので、結果的に、フィルター材5が厚い場合と同等の白血球等の除去性能を見込める。つまり、フィルター材5の有効濾過部5aを分割することで厚いフィルター材を用いた場合と同等の効果を得られ、フィルター材5としての材料の低減に有効であり、また、少ない材料でも白血球等の除去性能を維持できる。
【0058】
さらに、血液処理フィルター1Bの組み立ての観点から見ると、薄いフィルター材5を用いているにもかかわらず、小さくて厚いフィルター材を用いる場合の組み立て難い態様と同等の効果を得られる。従って、フィルター材5をシールする際の溶着の負荷も減り、組み立てる際の作業負担という観点からも有利であり、組み立て易さやシールし易さという点での利益を得ることができる。
【0059】
次に、本発明の第3実施形態に係る血液処理フィルターについて図6、及び図7を参照して説明する。図6は、本発明の第3実施形態に係る血液処理フィルターの平面図であり、図7は、図6のVII−VII線に沿った断面図である。なお、第3実施形態に係る血液処理フィルター1Cは第1実施形態に係る血液処理フィルター1Aや第2実施形態に係る血液処理フィルター1Bと実質的に同一の要素や構造を備えているため、同一の要素や構造には同一の符号を付して詳しい説明は省略し、以下の説明では、異なる要素や構造を中心に説明する。
【0060】
血液処理フィルター1Cは、血液の入口ポート3Cと出口ポート4Cとを有する可撓性容器2Cと、可撓性容器2Cに収容されたシート状のフィルター材5と、を備えている。また、可撓性容器2Cは、矩形シート状の第1容器形成部9Cと、矩形シート状の第2容器形成部11Cとを備えている。第1容器形成部9Cと第2容器形成部11Cとは、矩形状のフィルター材5を介して重なり合い、周縁同士が互いに密着して帯状にシールされている。なお、本実施形態では、出口ポート4Cは第1容器形成部9Cではなくて、第2容器形成部11Cに設けられている。
【0061】
また、血液処理フィルター1Cは、可撓性容器2Cとフィルター材5とをシールして、可撓性容器2Cの内部を入口空間S7、及び出口空間S10を含む複数の内部空間S7,S8,S9,S10に区画するシール部27、区切り部28、及び区切り部29を備えている。入口空間S7は入口ポート3Cの入口流路3aに連通する内部空間であり、出口空間S10は出口ポート4Cの出口流路4aに連通する内部空間である。入口空間S7、及び内部空間S8は、フィルター材5の第1容器形成部9Cに対面する側(一方側)に形成され、内部空間S9、及び出口空間S10は、フィルター材5の第2容器形成部11Cに対面する側(他方側)に形成されている。
【0062】
第1容器形成部9Cと第2容器形成部11Cとは、フィルター材5の周縁に沿って、フィルター材5を挟み付けた状態で帯状にシールされている。フィルター材5の周縁に沿って環状にシールされた接着部位は、シール部27である。
【0063】
また、第1容器形成部9Cとフィルター材5とは、シール部27で囲まれた有効濾過部5aのうち、上方の領域を区画するように帯状にシールされている。有効濾過部5aの上方の領域を区画するように第1容器形成部9Cとフィルター材5とがシールされた接着部位は、区切り部28である。
【0064】
また、フィルター材5と第2容器形成部11Cとは、シール部27で囲まれた有効濾過部5aのうち、下方の領域を区画するように帯状にシールされている。有効濾過部5aの下方の領域を区画するようにフィルター材5と第2容器形成部11Cとがシールされた接着部位は、区切り部29である。
【0065】
本実施形態に係るシール部27、及び区切り部28は、フィルター材5の有効濾過部5aの各部位と協働してフィルター材5の一方側に二個の内部空間S7,S8を形成している。また、シール部27、及び区切り部29は、フィルター材5の他方側に一方側と同数の内部空間S9,S10を形成している。具体的には、フィルター材5と第1容器形成部9Cとの間には、入口空間S7と中間空間S8とが形成され、フィルター材5と第2容器形成部11Cとの間には、中間空間S9と出口空間S10とが形成されている。中間空間S9は、区切り部28を跨ぐように形成されており、フィルター材5を介して入口空間S7と中間空間S8とに連通可能に設けられている。また、中間空間S8は、区切り部29を跨ぐように形成されており、フィルター材5を介して中間空間S9と出口空間S10とに連通可能に設けられている。
【0066】
シール部27、区切り部28、及び区切り部29は、血液経路RCとして、内部空間S7,S8,S9,S10それぞれを通過し、且つフィルター材5を複数回通過する経路を形成する。例えば、本実施形態の場合、区切り部30は、血液経路RCとして、入口空間S7から中間空間S9に向けてフィルター材5を通過する第1の往路Reと、中間空間S9から中間空間S8に向けてフィルター材5を通過する復路Rfと、中間空間S8から出口空間S10に向けてフィルター材5を通過する第2の往路Rgとを形成する。その結果、血液経路RCは、フィルター材5の一方側に形成された内部空間S7,S8と、フィルター材5の他方側に形成された内部空間S9,S10と、を交互に通過する経路となる。
【0067】
上述した血液処理フィルター1Cの可撓性容器2Cは、実質的には、第1実施形態に係る血液処理フィルター1Aの可撓性容器2Aと同様の材料によって形成できる。また、血液処理フィルター1Cは、血液処理フィルター1Aの代わりに血液処理システム100に用いることも可能である。
【0068】
この血液処理フィルター1Cでは、入口流路3aから出口流路4aまでの血液経路RCとして、複数の内部空間S7,S8,S9,S10を通過しながら、さらに、フィルター材5を複数回通過する経路が形成される。この血液処理フィルター1Cによれば、薄いフィルター材5であっても、血液がフィルター材5を複数回通過するので、結果的に、フィルター材5が厚い場合と同等の白血球等の除去性能を見込める。つまり、フィルター材5の有効濾過部5aを分割することで厚いフィルター材を用いた場合と同等の効果を得られ、フィルター材5としての材料の低減に有効であり、また、少ない材料でも白血球等の除去性能を維持できる。
【0069】
さらに、血液処理フィルター1Cの組み立ての観点から見ると、薄いフィルター材5を用いているにもかかわらず、小さくて厚いフィルター材を用いる場合の組み立て難い態様と同等の効果を得られる。従って、フィルター材5をシールする際の溶着の負荷も減り、組み立てる際の作業負担という観点からも有利であり、組み立て易さやシールし易さという点での利益を得ることができる。
【0070】
次に、本発明の第4実施形態に係る血液処理フィルターについて図8、及び図9を参照して説明する。図8は、本発明の第4実施形態に係る血液処理フィルターの平面図であり、図9は、図8のIX−IX線に沿った断面図である。なお、第4実施形態に係る血液処理フィルター1Dは第1実施形態に係る血液処理フィルター1Aと実質的に同一の要素や構造を備えているため、同一の要素や構造には同一の符号を付して詳しい説明は省略し、以下の説明では、異なる要素や構造を中心に説明する。
【0071】
血液処理フィルター1Dは、血液の入口ポート3Dと出口ポート4Dとを有する可撓性容器2Dと、可撓性容器2Dに収容されたシート状のフィルター材5と、を備えている。可撓性容器2Dは、矩形シート状の第1容器形成部9Dと、矩形シート状の第2容器形成部11Dとを備えている。第1容器形成部9Dと第2容器形成部11Dとは、周縁同士が互いに密着して帯状にシールされている。
【0072】
また、血液処理フィルター1Dは、可撓性容器2Dとフィルター材5とをシールして、可撓性容器2Dの内部を入口空間S11、及び出口空間S12を含む複数の内部空間S11,S12,S13に区画するシール部55、及び区切り部52を備えている。入口空間S11は入口ポート3Dの入口流路3aに連通する内部空間であり、出口空間S12は出口ポート4Dの出口流路4aに連通する内部空間である。入口空間S11、及び出口空間S12は、フィルター材5の第1容器形成部9Dに対面する側(一方側)に形成され、第3の内部空間である中間空間S13は、フィルター材5の第2容器形成部11Dに対面する側(他方側)に形成されている。
【0073】
第1容器形成部9Dとフィルター材5とは、フィルター材5の周縁に沿って帯状にシールされている。フィルター材5の周縁に沿って矩形環状にシールされた接着部位は、シール部55である。シール部55によってフィルター材5の有効濾過部5aが形成される。
【0074】
また、第1容器形成部9Dとフィルター材5とは、シール部55で囲まれた内側において、円形環状で、且つ帯状にシールされている。シール部55の内側で環状にシールされた接着部位が、区切り部52である。
【0075】
本実施形態に係るシール部55、及び区切り部52は、フィルター材5の有効濾過部5aの各部位と協働してフィルター材5の一方側に二個の内部空間S11,S12を形成し、フィルター材5の他方側に一方側よりも一少ない数の内部空間S13を形成している。具体的には、フィルター材5と第1容器形成部9Dとの間には、入口空間S11と出口空間S12とが形成され、フィルター材5と第2容器形成部11Dとの間には、中間空間S13が形成されている。中間空間S13は、区切り部52によって区画されることなく存在し、フィルター材5を介して、入口空間S11と出口空間S12との両方に連通可能に設けられている。
【0076】
また、入口空間S11内に露出したフィルター材5の表面積は、中間空間S13内に露出したフィルター材5の表面積のうち、出口空間S12に連通する領域の表面積よりも大きくなっている。
【0077】
なお、本実施形態では、フィルター材5は第2容器形成部11Dに対して非接着であり、フィルター材5の第2容器形成部11Dに対面する側(他方側)には、シール部55、及び区切り部52に対応して矩形環状の凹みが形成されている。この凹みは、フィルター材5が第1容器形成部9Dに密着された状態で圧縮され、その状態で接着されることで形成される。この凹みは、フィルター材5の他方側に設けられた谷部である。
【0078】
第1容器形成部9Dには、入口ポート3Dと出口ポート4Dとがシールされている。入口ポート3Dには、可撓性容器2Dの内部に連通して入口となる入口流路3aが形成されており、出口ポート4Dには、可撓性容器2Dの内部に連通して出口となる出口流路4aが形成されている。
【0079】
シール部55、及び区切り部52は、血液経路RDとして、内部空間S11,S12,S13それぞれを通過し、且つフィルター材5を複数回通過する経路を形成する。例えば、本実施形態の場合、区切り部52は、血液経路RDとして、入口空間S11から中間空間S13に向けてフィルター材5を通過する往路Rhと、中間空間S13から出口空間S12に向けてフィルター材5を通過する復路Rjとを形成する。その結果、血液経路RDは、フィルター材5の一方側に形成された内部空間S11,S12と、フィルター材5の他方側に形成された内部空間S13と、を交互に通過する経路となる。
【0080】
次に、本実施形態に係る血液処理フィルター1Dの製造方法について説明する。この製造方法では、例えば、入口ポート3D、及び出口ポート4Dが所定位置にシールされた第1容器形成部9D、及びフィルター材5を準備し、第1容器形成部9Dとフィルター材5とを所定位置に配置する設置工程を行う。
【0081】
設置工程の後、出口ポート4Dの形成部位を囲むように第1容器形成部9D、及びフィルター材5を帯状にシールして区切り部52を形成する第一シール工程と、フィルター材5の周縁に沿って区切り部52を囲むように第1容器形成部9D、及びフィルター材5をシールして矩形環状のシール部55を形成する第ニシール工程と、を実行する。
【0082】
第一シール工程での区切り部52の形成、すなわち、第1容器形成部9D、及びフィルター材5のシールは、高周波溶着を利用して行うことができるが、これに限定するものではなく、超音波溶着、熱溶着などの各種の接着技術を用いることができる。同様に、第二シール工程でのシール部55の形成のためのシールは、高周波溶着を利用して行うことができるが、これに限定するものではなく、超音波溶着、熱溶着などの各種の接着技術を用いることができる。なお、第一シール工程と第二シール工程の順番は逆であっても良い。
【0083】
第一シール工程、及び第ニシール工程の後、フィルター材5を挟むようにして第1容器形成部9Dと第2容器形成部11Dとを重ね合わせ、周縁同士を密着して帯状にシールする第三シール工程を実行する。第1容器形成部9Dと第2容器形成部11Dとのシールは、高周波溶着を利用して行うことができるが、これに限定するものではなく、超音波溶着、熱溶着などの各種の接着技術を用いることができる。
【0084】
なお、上記の製造方法では、入口ポート3Dと出口ポート4Dとを予め可撓性容器2Dにシールした態様にて説明したが、区切り部52やシール部55を形成した後にシールしてもよく、あるいは、それらの途中に行っても良い。また、入口ポート3D、及び出口ポート4Dを可撓性容器2Dにシールするには、高周波溶着に限らず、熱溶着などのあらゆる接着技術を用いることができる。入口ポート3Dと出口ポート4Dの材料としては、可撓性容器2D同様に様々な従来公知の材料を用いることができる。
【0085】
上述した血液処理フィルター1Dの可撓性容器2Dは、実質的には、第1実施形態に係る血液処理フィルター1Aの可撓性容器2Aと同様の材料によって形成できる。また、血液処理フィルター1Dは、血液処理フィルター1Aの代わりに血液処理システム100に用いることも可能である。
【0086】
次に、本実施形態に係る血液処理フィルター1Dの作用、及び効果について説明する。血液処理フィルター1Dでは、入口流路3aから出口流路4aまでの血液経路RDとして、複数の内部空間S11,S12,S13を通過しながら、さらに、フィルター材5を複数回通過する経路が形成される。この血液処理フィルター1Dによれば、薄いフィルター材5であっても、血液がフィルター材5を複数回通過するので、結果的に、フィルター材5が厚い場合と同等の白血球等の除去性能を見込める。つまり、フィルター材5の有効濾過部5aを分割することで厚いフィルター材を用いた場合と同等の効果を得られ、フィルター材5としての材料の低減に有効であり、また、少ない材料でも白血球等の除去性能を維持できる。
【0087】
さらに、血液処理フィルター1Dの組み立ての観点から見ると、薄いフィルター材5を用いているにもかかわらず、小さくて厚いフィルター材を用いる場合の組み立て難い態様と同等の効果を得られる。従って、フィルター材5をシールする際の溶着の負荷も減り、組み立てる際の作業負担という観点からも有利であり、組み立て易さやシールし易さという点での利益を得ることができる。
【0088】
また、血液処理フィルター1Dでは、血液経路RDの往路Rhにおいてフィルター材5を血液が通過する際の1回目濾過(一次濾過)と、血液経路RDの復路Rjにおいてフィルター材5を血液が通過する際の2回目濾過(二次濾過)とを行っている。そして、一次濾過では主体的に凝集物等の除去が行われ、二次濾過では凝集物等除去後の血液のみが濾過される。ここで、一次濾過では、凝集物流入等のロスがあるので一定の面積が必要になるところ、二次濾過では、一度濾過された血液なので凝集物は無く、白血球も低減されており、一次濾過側の濾過面積よりも小さな面積で足りる。そして、血液処理フィルター1Dでは、一次濾過側の濾過面積と二次濾過側の濾過面積との面積比率を任意の面積比にできるため、最適化し易い。つまり、血液処理フィルター1Dでは、濾過する目的血液、使用条件、要求性能に応じてフィルター材を構成する不織布などの枚数や全体面積のみならず、一次濾過側の濾過面積と二次濾過側の濾過面積との面積比率を任意に最適化可能である。
【0089】
また、この血液処理フィルター1Dでは出口空間S12と入口空間S11との間に中間空間S13が存在するため、濾過処理の際に出口空間S12に生じる陰圧を緩和し、均質な濾過が可能になる。
【0090】
なお、本実施形態では、区切り部52、及びシール部55に対応したフィルター材5の一方側、または他方側には、何らの部材も接着等していないが、区切り部52、またはシール部55の強度維持のためにフレームシートなどをシールしてフィルター材5に一体化するようにしてもよい。
【0091】
また、フィルター材5の他方側に流路孔を形成した流路確保シートを有効濾過部5aに重なるように配置し、この流路確保シートを、例えば、シール部55でフィルター材5にシールして一体化するようにしてもよい。流路確保シートを配置することで、中間空間S13にはフィルター材5と第2容器形成部11Dとの間に隙間が生じ、濾過処理時に中間空間S13に陰圧が生じてもフィルター材5と第2容器形成部11Dが密着し難くなる。その結果、均質な濾過を行い易くなる。なお、同様の流路確保シートを出口空間S12に配置することもでき、この場合には、フィルター材5と第1容器形成部9Dとの密着を防止して均質な濾過を行い易くなる。
【符号の説明】
【0092】
1A,1B,1C,1D…血液処理フィルター、2A,2B,2C,2D…可撓性容器、5…フィルター材、6,21,27,55…シール部、7,23,28,29,30,52…区切り部、S1,S4,S7,S11…入口空間、S2,S5,S10,S12…出口空間、RA、RB、RC、RD…血液経路、9A,9B,9C,9D…第1容器形成部、11A,11B,11C,11D…第2容器形成部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9