(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本発明に係るインクジェット記録装置(以下、単に記録装置という)の第1の実施形態を模式的に示す側面図である。本実施形態における記録装置10は、パーソナルコンピュータなどのホスト装置12に接続されており、このホスト装置12から送られた画像情報に基づいて記録動作を行う。記録装置10には、4つの記録ヘッド(記録部)22K、22C、22M、22Yが、記録媒体(ここではロール紙)Pの搬送方向(矢印A方向)に並んで配置されている。これら4つの記録ヘッド22K、22C、22M、22Yからは、それぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエローのインクが吐出される。これら4つの記録ヘッド22K、22C、22M、22Yは、所謂ラインヘッドであり、
図1の紙面に垂直な方向に延びている。これら4つの記録ヘッド22K、22C、22M、22Yの長さは、記録装置10で記録できる記録媒体のうち最大の幅(
図1の紙面に垂直方向の長さ)よりもやや長い。また、これら4つの記録ヘッド22K、22C、22M、22Yは、記録動作中は定位置に固定された状態となっている。なお、上記のような記録装置としては、高速で多数枚の名刺を記録する名刺記録装置等が挙げられる。
【0010】
上記のような記録装置では、4つの記録ヘッド22K、22C、22M、22Yの吐出口から吐出されるインク滴の方向、インク量などの吐出性能を適正な状態に保つため、記録に寄与しないインクの排出動作を行う回復ユニット40が組み込まれている。この回復ユニット40では、インクタンク70K、70C、70M、70Yから4つの記録ヘッド22K、22C、22M、22Yに至る流路内に存在する吐出性能を低下させる要因となる気泡や増粘したインク等を吐出口から強制的に排出させる排出動作を行う。さらに、回復ユニット40には、回復動作の時に4つの記録ヘッド22K、22C、22M、22Yの吐出口が形成された吐出口面22Ks、22Cs、22Ms、22Ysに付着したインク等の付着物を除去する後述のブレード(不図示)が備えられている。キャッピング機構50は、各記録ヘッド22K、22C、22M、22Yに独立して設けられている。ロール紙Pは、ロール紙供給ユニット24から供給され、記録装置10に組み込まれた搬送機構26によって矢印A方向に搬送される。搬送機構26は、ロール紙Pを支持しつつ移動する無端の搬送ベルト26a、この搬送ベルト26aを移動させる搬送モータ(不図示)、搬送ベルト26aに張力を与えるローラ26cなどを備える。ロール紙Pに画像を形成する際には、搬送中のロール紙Pの記録開始位置がブラックの記録ヘッド22Kの下に到達した後に、記録データ(画像情報)に基づいて記録ヘッド22Kからブラックインクを選択的に吐出する。同様に記録ヘッド22C、記録ヘッド22M、記録ヘッド22Yの順に、各色のインクを吐出してカラー画像をロール紙Pに形成する。記録装置10には、上記の部品・部材の他、各記録ヘッド22K、22C、22M、22Yに供給されるインクを貯めておくインクタンク70K、70C、70M、70Yが備えられている。また、記録装置10には、記録ヘッド22K、22C、22M、22Yにインクを供給したり回復動作をしたりするためのポンプ(
図3等参照)などが備えられている。
【0011】
図2は、
図1の記録装置10の電気的な系統を示すブロック図である。ホスト装置12から送信された記録データやコマンドは、インターフェイスコントローラ102を介してCPU100に受信される。CPU100は、記録装置10における記録データの受信、記録動作、ロール紙Pのハンドリング、後述する気泡の除去動作に関する制御等の全般の制御を司る演算処理装置である。CPU100では、受信したコマンドを解析した後に、記録データの各色成分のイメージデータをイメージメモリ106にビットマップ展開する。記録前の動作としては、まず出力ポート114及びモータ駆動部116を介してキャッピングモータ122とヘッドアップダウンモータ118を駆動し、各記録ヘッドをキャッピング機構50から離して記録位置に移動(
図1矢印B方向)させる。続いて、出力ポート114、モータ駆動部116を介して、ロール紙Pを繰り出すロールモータ(図示せず)及び低速度でロール紙Pを搬送する搬送ベルト26aを移動させる搬送モータ121等を駆動してロール紙Pを記録位置へと搬送する。一定速度で搬送されるロール紙Pにインクを吐出し始めるタイミング(記録開始タイミング)を決定するための先端検知センサ(図示せず)でロール紙Pの先端位置の検出を開始する。その後、ロール紙Pの搬送に同期して、CPU100はイメージメモリ106から対応する色の記録データを順次に読み出し、この読み出したデータを各記録ヘッド22K、22C、22M、22Yに記録ヘッド制御回路112を介して転送する。
【0012】
CPU100の動作は、プログラムROM104に記憶された処理プログラムに基づいて実行される。プログラムROM104には、後述の制御フローに対応する処理プログラム及びテーブルなどが記憶されている。また、作業用のメモリとしてワークRAM108を使用する。各記録ヘッド22K、22C、22M、22Yのクリーニング動作時に、CPU100は、出力ポート114、モータ駆動部116を介してポンプモータ124を駆動し、インクの加圧、吸引等の制御を行う。さらにCPU100は、出力ポート114、モータ駆動部116を介して泡抜き弁開閉モータ125および供給弁開閉モータ126につながれている。これら泡抜き弁開閉モータ125および供給弁開閉モータ126の動作の詳細については後述する。
【0013】
図3は、インクジェット記録装置10に組み込まれたインク供給装置60を示す模式図である。なお
図3では、ブラックのインクを吐出する記録ヘッド22Kに対して、インクの供給や回復を行うためのインク供給装置を示しているが、他の色の記録ヘッド22C、22M、22Yについても同様の構成を有する。また、
図3では、
図1と
図2に示す構成要素と同一の構成要素には同一の符号が付されている。記録装置10(
図1参照)には、記録ヘッド22Kにインクを供給するインク供給装置60が組み込まれている。インク供給装置60は、記録装置10の本体に着脱自在なインクタンク(インク供給部)70Kと、このインクタンク70Kにインク供給路62および気液分離タンク80を介して記録ヘッド22Kが流体接続されている。記録ヘッド22Kの内部には、記録ヘッド22Kが多数のノズル22Knより吐出するインクを貯蔵するヘッド液室22cが形成されている。また記録動作中などにノズル22Kn周辺部で発生した気泡は、ヘッド液室22cに自然に導かれ、気液分離されヘッド液室22c上部の空気で満たされた空間に累積的に溜まる構成となっている。
【0014】
さらにヘッド液室22cには、このヘッド液室22cに貯められているインク(以下、貯蔵インク)の液面レベルを検知する周知の液面検知センサ86が取り付けられている。前述したような気泡がヘッド液室22cに累積的に溜まっていくと、貯蔵インクの液面が下がり、液面検知センサ86によりー定レベル以下になったことを検知する。このように液面検知センサ86が液面の低下を検知すると、後述するプロセスに沿って、記録ヘッド22Kに流路を介して接続されたポンプ92を駆動方向B方向に作動させて、気泡排出路63を介し液室22c上部の気泡を扱引して排出すると共に液面を上昇させる。その吸引動作とともにインク供給路62および気液分離タンク80を介してインクタンク70Kからインクが吸引されてヘッド液室22cに供給される。この後、液面検知センサ86が、ヘッド液室22c内のインク液面が予め決められている上限レベルに達したことを検知すると、ポンプ92が停止してインクの供給は停止される。このポンプ92の駆動、停止は、CPU100によって制御される。なお、液面検知センサ86によりインクが上限レベルに達したことを検知された後、ポンプ92により所定量インクをポンプ92により吸引してから、CPU100によってポンプ92を停止させてもよい。インクタンク70Kより供給されるインクは、ヘッドフィルタA22aで濾過されヘッド液室22cへの異物の進入を防ぐ。またヘッド液室22cと気泡排出路63との接続部にもヘッドフィルタB22bが備えられ外部からヘッド液室22c内ヘの異物の侵入を防ぐ。ところで、上述したような貯蔵インクの液面レベルを制御することで、記録動作中にノズル22Kn周辺部で発生し、ヘッド液室22c上部に溜まった気泡が気泡排出路63から抜かれる。これによって、気泡が流路を遮断することでインクの供給を阻害しインク滴の吐出性能を低下させることを防止する。また、上述したようにヘッド液室22cへ導かれず、ヘッドノズル22Knの周辺部に留まる気泡に対しては、ヘッドノズル22Kn開口部より後述する回復動作によってインクを排出して除去する。
【0015】
ここで、キャッピング機構50についての説明を行う。キャッピング機構50は、キャップ50a、インク吸収体50b、ブレード(不図示)等から構成され、記録ヘッド22Kの吐出口面22Ksに対向するように備えられている。キャップ50aは、記録ヘッド22Kの吐出口面22Ksと密接可能な形状をなしている。キャップ50aは非記録動作時には記録ヘッド22Kの吐出口面22Ksと密着し、ヘッドノズル22Kn内のインクが水分等の蒸発を防止する。また、記録ヘッド22Kの記録動作と記録動作との間で、ヘッドノズル22Knよりインク及び気泡を排出する回復動作を行う場合にも、キャップ50aが記録ヘッド22Kの吐出口面22Ksに密着し外気と遮断する。
【0016】
またキャップ50a内には、吸収体50bが吐出口面22Ksと密着することないように、吐出口面22Ksと隙間が設けた状態で嵌め込まれている。この吸収体50bは、インクの吐出性能を保つために実施される所定の回復動作において、ヘッドノズル22Knよりインクが吸引され排出されたインクを一時的に保持する。またこのようなインク排出を伴う回復動作時や、ヘッドノズル22Kn開口部周辺がインク等で汚損されている可能性がある場合は、所定のタイミングでブレード(不図示)によりヘッドノズル22Kn開口部を含む吐出口面22Ksを払拭し余分なインクを除去する。ヘッドノズル22Knよりインク及び気泡を排出する回復動作においては、記録ヘッド22Kの吐出口面22Ksにキャップ50aを密着させた状態で、回復弁67を開きポンプ92を動作させる。また、上述したようにヘッド液室22c上部に溜まった気泡を吸引徐去する場合には、供給弁(第2の弁)69を開きポンプ92を動作させる。
【0017】
メインタンク70Kには、このメインタンク70K内のインクの有無を検出する検出センサ(図示せず)が取り付けられている。また、記録装置10の本体にメインタンク70Kを装着するときにはメインタンク70Kの内部圧力を大気圧にするためにエア流路70aが接続される。
【0018】
ところで記録動作時には、記録ヘッド22Kに適正な負圧、すなわち記録ヘッド22Kのノズル22Knのインク吐出口においてインクのメニスカスが形成されるような負圧をノズル22Kn内のインクに与える必要がある。本実施形態ではインクの吐出口に対しインクタンク70K内のインク液面が図中Hに示す分だけ下方になるよう構成されている(ただしHはインクタンク70K内のインク残量、記録ヘッド22Kの上下動作により変化する)。その結果、記録ヘッド22K内のインクに負圧(インク吐出口の外側周辺の大気圧より低い圧力)が付与されて記録ヘッド22Kのインク吐出口にインクのメニスカスが形成される。つまり記録ヘッド22Kのインク吐出ロのメニスカス面に水頭差圧Hが作用する。ところで、上述したように記録動作中等にノズル22Kn周辺部で発生した気泡の一部はヘッド液室22cに自然に導かれ、気液分離され液室22c上部の空気で満たされた空間に溜まる。こういった記録ヘッド22K内に生じる気泡を吸引除去することで気泡が流路を遮断しインクの供給を阻害、インク滴の吐出性能を低下させることを防止している。ところが、記録ヘッド22K内以外でもインクタンク70Kの着脱時やインク中に溶存している大気、またチューブ等で構成されるインク供給路62を透過する大気により気泡が流路に混入することがある。このように生じた気泡は、インク供給動作時のインクタンク70Kから記録ヘッド22K側へ向かうインクの流れによって、ヘッドフィルタA22aのインクタンク70K側の面に溜まる(こういった気泡を以下、流路気泡68と呼ぶ)。こうした流路気泡(第1の気泡)68は累積して溜まっていくことでヘッドフィルタA面の有効面積を減少させ、インクの供給抵抗増加によるインク吐出性能の低下を招く。ところで流路気泡68をヘッドフィルタA22aを通過させることでヘッド液室22c内に導き、既述したような回復動作により気泡排出路63を介し液室22c上部の気泡を扱引して排出、除去することができる。しかし、流路気泡68を目の微細なヘッドフィルタA22aを通過させるには、記録ヘッド22Kの吐出口面22Ksにキャップ50aを密着させてポンプ92を動作させて、インク供給路62から記録ヘッド22Kへの速いインク流速が必要となる。その場合、大量の廃インクが生じることになり廃インクの増加につながる。
【0019】
ここで本発明による流路気泡68の除去方法について説明する。まず、供給弁69のみを開放状態とし(泡抜き弁(第1の弁)65及び回復弁67は閉じた状態にする)、ポンプ92を駆動方法Aの方向に作用するように作動させる。このような動作においてエアが気泡流路63、ヘッドフィルタB22bを介してヘッド液室22c内に導かれる。つまり記録ヘッド22K内部の圧力が正圧方向に振れるように作用させる。ヘッドノズル22Knの開口部は、メニスカスが形成され保持力が強い。一方、ヘッドフィルタ22a、インク供給路62および気液分離タンク80を介してインクタンク70Kに至る流路は、インクタンク内がエア流路70aにより大気開放されており比例的に流路抵抗が低くなっている。そのため、ヘッド液室22cに圧送されたエアは、ヘッド液室22cのインク液面を下げつつ、記録ヘッド内のインクをインクタンク70Kの方向へ移送させるように作用する。なおヘッドフィルタA22aを含む液室23に接続されるインク供給路62は、ヘッドフィルタA22aが収められる液室23の上部に接続され、自らの浮力により液室23上部に溜まる流路気泡68は、容易にインク供給路62へ排出される。インク流路62へ排出された流路気泡68は、気液分離タンク80に到達して気液分離される。このように本発明では、インクタンク70Kと記録ヘッド22Kとの間に気液分離タンク80を設けている。この気液分離タンク80を設けなくても、流路気泡68をインクタンク70Kに送ることで気液分離させることはできる。しかしインクタンク70Kと記録ヘッド22Kとが離れている場合、記録ヘッド内に十分インクが有っても(液面検知センサが液面の低下を検知しなくても)流路気泡68をインクタンク70Kまで到達させる前に記録ヘッド内のインクが無くなることが考えられる。記録ヘッド22K内のインクの容量が、インクタンク70Kと記録ヘッド22Kとの間のインク供給路62の容積よりも少ない場合、流路気泡68をインクタンク70Kまで到達させることはできない。そのため本発明では、インクタンク70Kと記録ヘッド22Kとの間の記録ヘッド22Kに近い箇所に気液分離タンク80を設け、記録ヘッド22Kから気液分離タンク80に向かうインクの流れをポンプ92により発生させ、流路気泡68を気液分離タンク80に送ることで気液分離できる構成としている。通常の記録動作や回復動作に伴うインクタンク70Kから記録ヘッド22Kに至るインクの流れにおいても、気液分離タンク80の手前側に混入した気泡を気液分離タンク80に溜めておくことができる。記録ヘッド22Kと気液分離タンク80との間に生じる気泡や、インクタンク70Kと気液分離タンク80との間に混入した気泡(第2の気泡)は、この気液分離タンク内で気液分離することが可能となっている。
【0020】
気液分離タンク80で気液分離された気泡は、気液分離タンク80の上部に累積的に溜まる。このようにして溜まった気泡が一定以上になった場合、泡抜き弁(第1の弁)65を開放し、さらに供給弁69を解放し、ポンプ92をポンプ駆動方向Bの方向に作動させることで気液分離タンク80内に溜まった気泡を除去することができる。なお、記録ヘッド22Kから気液分離タンク80に至る流路と、気液分離タンク80との接続部は、気液分離タンク80の下部に位置している。これにより、気液分離タンク80に溜めることができる空気の量を多くすることができる。さらに、これにより、気液分離タンク80のインクが記録ヘッド22Kに流れる際、インクに空気が混入しづらくなる。また、気液分離タンク80から泡抜き弁65を介してポンプ92に至る流路と、気液分離タンク80との接続部は、気液分離タンク80の上部に位置している。これにより、ポンプ92により気液分離タンク80に溜められた空気を排出する際、効率的に空気を排出させることができる。
【0021】
ここで既述したように、ヘッドフィルタA22aを含む液室23に接続されるインク供給路62は、液室23の上部に接続されることが望ましい。設計上の都合等でより下部に接続されるような場合には、接続位置に応じて流路気泡68の一部が一連の除去動作後も残る場合があるが、これを想定した上でインクの吐出特性に影響を与えないような流路設計すればよい。
【0022】
また液面検知センサ86は必ずしも必要ではない。つまりヘッド液室22c内への気泡の混入状況を経過時間等で推定したり、ヘッド液室22c内からの気泡除去量及び流路気泡68をインクタンク70Kに流動させるために必要な、ヘッド液室22c内に送り込むエア量をポンプ92の作動で把握してもよい。上述したような流路気泡68を除去するための一連の動作によって、廃インクの発生を無くす、もしくは低減させることが可能である。
【0023】
ところでヘッドフィルタA22aを介してヘッド液室22cに導かれる流路の供給口22dは、既述の液面検知センサ86の下限検知位置より更に下にあり、この間に貯蔵されるインク量は、流路気泡68を気液分離タンク80に導くのに十分な量となっている。そのため、一連の動作により下がるヘッド液室22c内のインク液面が供給口22dに達する前にポンプ92を停止するため、ヘッド液室22cにおける液面の低下によって気泡が供給ロ22dに混入することはない。
【0024】
またヘッド液室22cに気泡除去動作を実施するための十分なインク量が無い(ヘッド液室22cにおける液面が液面検知センサ86の下限にある)場合、動作前に液面位置を液面検知センサ86による下限検知以上に上げ、インク量をあらかじめ増加させてもよい。また液面検知センサ86は必ずしも必要ではない。つまりヘッド液室22c内への気泡の混入状況を経過時間等で推定したり、ヘッド液室22c内からの気泡の除去量及び流路気泡68をインクタンク70Kに流動させるのに必要なヘッド液室22cに送り込むエア量をポンプ92の作動状況で把握したりしてもよい。
【0025】
このような流路気泡68を除去するための一連の動作では、廃液の発生を無くすもしくは低減させることが可能である。
【0026】
図4は、供給口22dよりインクタンク70K内に至る流路の抵抗特性を示すグラフである。横軸には流量、縦軸には対象流路にインクを流した場合の流量に対して発生する正圧量を示している。つまり上述したようにヘッド液室22c内にエアを流入する量に対応して抵抗特性グラフに沿ってヘッド液室22c内の圧力は上昇していく。しかしながら既に説明したように、ヘッドノズル22Knには初期的に水頭差圧H分の負圧が付与されており、
図4中に示すように、正圧に作用する流量Qが水頭差Hによる負圧量を上まわらなければヘッド液室22c内は全体として負圧に維持される。すなわち水頭差圧Hに対応するインク流量Q以下にヘッド液室22c内に流入するエア流量を抑えれば、原則としてヘッドノズル22Kn開口部よりインクが排出されることはない。さらにヘッド液室22c内が絶対的に正圧になった場合でもヘッドノズル22Kn開口部にはメニスカスが形成されているため、メニスカスを破壊するような正圧力以下であれば同様に原則としてヘッドノズル22Kn開口部よりインクが排出されることはない。仮にメニスカスが破壊されるような正圧がヘッド液室22c内に付与された場合、ヘッドノズル22Kn開口部からインクは排出される。しかし、ヘッドノズル22Knの流路抵抗に対しフィルタ22a、インク供給路62を介してインクタンク70Kに至る流路は比較的流路抵抗が低くなっているため、廃インクの量を抑えつつ流路気泡68を除去させることができる。
【0027】
図5(a)、(b)は、本実施形態における流路気泡68を除去するフローチャートを示した図である。このフローチャートに関する制御は、CPU100により実行される。以下、このフローチャートに沿って本実施形態の流路気泡68の除去方法を説明する。
図5(a)は、第1の流路気泡除去のフローチャートであり、インクタンク70Kの脱着時やインクタンク70Kと気液分離タンク80との間の流路(インク供給路62)で透過混入した気泡の除去する際に実施する。第1の流路気泡除去が開始されると、ステップS500でCPU100は泡抜き弁65を開放し(供給弁69及び回復弁67は閉じた状態)、ステップS501でCPU100はポンプ92をポンプ駆動方向Bの方向に所定時間駆動させることにより、気液分離タンク80に溜まっている空気をメンテナンスカートリッジ90に排出し、ステップS502でCPU100はポンプ92を停止させる。その後、ステップS503で泡抜き弁65を閉じて終了となる。
【0028】
図5(b)は、第2の流路気泡除去のフローチャートであり、記録ヘッド22Kやインクタンク70Kの脱着時あるいはインクタンク70Kと記録ヘッド22Kとの間の流路(インク供給路62)で透過混入した気泡の除去する際に実施する。第2の流路気泡除去が開始されると、ステップS510でCPU100は供給弁69を開放し(泡抜き弁65及び回復弁67は閉じた状態)、ステップS511でCPU100はインク液室22cの液面位置が液面検知センサ86の上限かどうかを確認する。ステップS511でCPU100は液面が液面検知センサ86の上限に無いことを確認した場合、ステップS512に移行して、CPU100はポンプ92をポンプ駆動方向Bの方向に駆動させる。その後、再度ステップS511でCPU100はインク液室22cの液面位置が液面検知センサ86の上限かどうかを確認する。ステップS511でCPU100はインク液室22cの液面位置が液面検知センサ86の上限であることを確認した場合、ステップS513に移行して、CPU100はポンプ92が動いていれば停止させて、ステップS514で、CPU100は供給弁69を開放させた状態でポンプ92をポンプ駆動方向Aの方向に駆動させる。これにより、液室23等に混入した気泡を気液分離タンク80に移送させることができる。その後、ステップS515でCPU100はインク液室22cの液面位置が液面検知センサ86の下限かどうかを確認する。ステップS515でCPU100は液面が液面検知センサ86の下限に無いことを確認した場合、ステップS516でCPU100は所定時間待機して再度ステップS515でインク液室22cの液面位置が液面検知センサ86の下限かどうかを確認する。ステップS515でCPU100は液面が液面検知センサ86の下限に有ることを確認すると、ステップS517に移行してCPU100はポンプ92を停止させる。その後、ステップS518で、CPU100はポンプ92をポンプ駆動方向Bの方向に駆動させ、ステップS519でCPU100はインク液室22cの液面位置が液面検知センサ86の上限かどうかを確認する。ステップS519でCPU100はインク液室22cの液面位置が液面検知センサ86の上限に無いことを確認した場合、ステップS520に移行して、所定時間待機して再度ステップS519でCPU100はインク液室22cの液面位置が液面検知センサ86の上限かどうかを確認する。ステップS519で、CPU100は液面が液面検知センサ86の上限に有ることを確認すると、ステップS521に移行して、CPU100は
図5(a)の第1の流路気泡除去を実施させることにより第2の流路気泡除去が終了となる。
【0029】
以上説明したように本発明による構成では、インクタンクより記録ヘッドに至る流路中に溜まる気泡を簡単な構成かつ廃インクを抑制した状態で除去することができる。よって装置コストを抑えつつ、ランニングコストの低減に寄与することが期待できる。上述の第1の流路気泡除去や、第2の流路気泡除去は、記録ヘッドの回復動作の際に行うようにしてもよいし、所定のタイミングに応じて実行するようにしてもよい。
【0030】
このように、記録ヘッドとインクタンクとの間に、ポンプにつながれた気液分離タンクを設け、記録ヘッドからインクタンク側へインクを流動させる手段を有する。これによって、記録ヘッドの吐出性能を回復させるべく流路中の気泡を除去するための回復動作に伴う廃インクの発生を無くす、もしくは低減させることが可能な記録装置を実現することができた。
【0031】
図6(a)、(b)は、
図3に示した記録ヘッド22を示した図である。以下、記録装置に組み込まれる記録ヘッド22の形態について説明する。本実施形態を適用可能な記録装置100には、各色のインクに対応した記録ヘッド22が4本搭載されるが、それらの記録ヘッド22は各々のノズル列が精密に位置決めされた状態で一体化されている(以下、この状態の4本組のヘッド形態を組みヘッドという)。すなわち、各記録ヘッド22のノズル列間ピッチ、ノズル列方向ずれ、ノズル列高さずれ及びノズル列間平行度が規定の精度内で組みヘッド化されるよう結合されている。本実施形態において4つの記録ヘッド22K、22C、22M、22Y間は連結されている。ノズル列が形成された吐出チップ(図示せず)を接着しているベースプレート22Kb、22Cb、22Mb、22Ybの両端部に形成された貫通穴を同軸上に配列し、2本のシャフト41を貫通させでストッパー43にて固定することで組ヘッドを構成している。各記録ヘッド22のノズル列22Kn、22Cn、22Mn、22Ynは、別途用意した組みヘッド化冶具により互いに高精度に位置決めされている。
【0032】
ところで昨今、記録装置の超小型化、すなわち設置領域の省スペース化に対する要望が非常に高まっている。そのため、上述したような組みヘッドを記録装置に搭載する形態とする場合では、記録ヘッド22単体の小型化、特に記録ヘッド22間のピッチを低減させるための記録ヘッド22の薄型化が重要な課題となる。本実施形態では、組みヘッド形態であり、後述する記録ヘッド22の構成を有することで、液体供給性能と気泡除去機能を満足し、板状形状化された記録ヘッド22単体の厚み(
図6(b)における左右方向の寸法)を10.5mmとすることが可能となっている。なお、各々の記録ヘッド22の複数の吐出口は、板状形状化された記録ヘッド22の端部に設けられている。
【0033】
図7(a)から(c)は、
図3に示した記録ヘッド22の構造例を示した図であり、(a)は、正面図であり、(b)は、正面
図A−A線における断面図であり、(c)は、正面
図B−B線における断面図である。説明の便宜上、正面図において液体供給ケースカバーは省略している。また、
図7(a)における各部剤の上下位置関係は、記録ヘッド22Kを記録装置100に組み込んだ際の上下方向位置関係と同一である。なお
図7では、ブラックのインクを吐出する記録ヘッド22Kを示しているが、他の色の記録ヘッド22C、22M、22Yについても同様の構成を有する。なお、
図3に示した記録ヘッド22Kは
図7に示した記録ヘッドの構造を簡略化して記載したものである。
【0034】
これらの図において、セラミック製のベースプレート710はシリコンにより形成されるヒーター基板11を支持している。ヒーター基板11には、液体の吐出エネルギ発生素子としての複数の電気熱変換体(ヒーターまたはエネルギー発生部)とこれらの電気熱変換体に対応するノズルを構成するための複数の流路壁とが形成されている。このノズルは板状形状化された記録ヘッド22の長手方向(
図7(a)の左右方向)に複数配置されており、この複数のノズルをノズル列と称す。また、ヒーター基板11には各ノズルに連通する共通液室12を囲む液室枠も形成されている。このように形成されたノズルの側壁および液室枠の上には、共通液室12を形成する天板13が接合されている。したがって、ヒーター基板11と天板13は互いに一体化した状態でベースプレート10に積層接着されている。このような積層接着は、銀ペーストなどの熱伝導率のよい接着剤によって行われる。ベースプレート10におけるヒーター基板11の後方には、実装済みのPCB(電気配線基板)14が両面テープ(図示せず)によりベースプレート10に支持されている。ヒーター基板11上の各吐出エネルギ発生素子とPCB14とは、各々の配線に対応するワイヤボンディングにより電気的に接続されている。
【0035】
天板13上面には、液体供給部材15が接合されている。液体供給部材15は、液体供給ケース16(第一ケース)と液体供給ケースカバー17(第二ケース)とにより構成されている。そして液体供給部材15は、液体供給ケースカバー17が液体供給ケース16の上面を塞ぐことで、後述する液室や液体供給路が形成されると共に記録ヘッド22を板状形状化する。本実施形態においては、液体供給ケース16と液体供給ケースカバー17の接合は、熱硬化型の接着剤により行われる。また、液体供給ケース16にはヘッドフィルタA22aおよびヘッドフィルタB22bが配設されており、熱溶着によって固定されている。本実施形態のヘッドフィルタA22aの構成および機能については後述する。
【0036】
ここで、液体供給ケースと16液体供給ケースカバー17の2つの部品の嵌合により形成される液室および液体供給路等の構成について説明する。液体供給ケース16の天板13との接合面には、ノズルの配列方向と略平行かつノズル列の幅に渡って矩形上の開口部(以下、液体供給口27という)が形成されており、液体供給口27の延長上には貯留室状のヘッド液室22cが形成されている。すなわち、ヘッド液室22cはノズル列と略平行かつノズル列の幅に渡って形成されている。また、液体供給口27と上部の天面は、ほぼ全域にわたって気液分離部20を最上部とした傾斜(以下、メイン液体供給室傾斜29という)を成している。気液分離部20はヘッド液室22cに流入する液体と空気とを分離するスペースであり、気液分離部20に突出する形で外部より液面検知センサ86が実装されており、上述したような液室内の液体量の制御を行う。メインメイン液体供給室傾斜29には2つの開口部が形成されており、1つはヘッド液室22cへのインク供給経路である液体連通部31、他方は気液分離部20である。
【0037】
気液分離部20はヘッド液室22cの一部を成し、ヘッド液室22cの他の部分よりも深さが大きくなっている。これは、後述するように液室内の液体に混在する気泡を破泡する効果を高めるためである。
【0038】
気液分離部20の延長上にはエア連通部30があり、その先はエア流路(空気室)41となる。さらに先には前述したヘッドフィルタB22bが配設されており、エア流路63と接続する排出ジョイント33に連通する。ヘッドフィルタB22bは撥水性を有する材質によって構成されている。そして、万が一エア流路41に液体が流入し、ヘッドフィルタB22bにインクが付着することで、フィルタ内部にインクのメニスカスが形成されても、その撥水性によってフィルタ部の毛管力を低減することができ、インクのメニスカスを容易に除去することができる。なお、毛管力は、ΔP(毛管力)=(2TCOSθ)/r、(T:表面張力(N/m)、r:空隙の内径(m)、θ:接触角(rad))とする。
【0039】
一方、メイン液体供給室傾斜部29に設けられた液体連通部31を介して液体供給路37が設けられている。液体供給路37は、液体連通部31からヘッドフィルタA22a近傍まで管状を成しており、ヘッド液室22cとほぼ同一平行平面上に形成される。ヘッドフィルタA22aもまた、ヘッド液室22cと略同一平行平面上に配置されている。ヘッドフィルタA22aはサブ液体供給室を二室に分離するように配設され、インク供給路62に接続する供給ジョイント32に連通する側の部屋、すなわち記録ヘッド22内の液体供給の流れ方向上流側の部屋が第一液体供給室34、下流側が第二液体供給室35となっている。
【0040】
第二液体供給室35はヘッドフィルタA22a上方に供給口22dがあり、これを介して液体供給路37に連通している。また、第二液体供給室35の天面はこの開口を最上部(ヘッドフィルタA22aから最も離れた部分)とする傾斜(以下、第二液体供給室傾斜38という)が形成されている。なお、ヘッドフィルタA22aは、言い換えれば、ノズル列各々の吐出口と供給口22dとの間に配置されている。同様に、ヘッドフィルタA22aは、ノズル列各々の吐出口と第二液体供給室傾斜38との間に配置されている。
【0041】
図8(a)から(d)は、本実施形態のヘッドフィルタA22aを示した図である。ここで
図8を用いて、ヘッドフィルタA22aの目的、構成および製法について説明する。ヘッドフィルタA22aは、液体供給部材15に供給された液体中の異物の除去を目的とする。ヘッドフィルタA22aは、インク供給性能を著しく低下させるような大きさの異物がノズルへ侵入することを防止するため、ノズル部のインクの流れに対する断面積も小さい8μmの空隙を有する異物を捕捉できるステンレス製のメッシュフィルタを採用している。本実施形態のフィルタは、全面積の20%程度の撥水領域49(第一の領域)とその他の領域である親水領域51(第二の領域)とから成る。撥水領域49は、記録ヘッド22に供給される液体のフィルタ付着時の接触角が70度以上となるよう作製されており、予めシランカップリング剤を塗布した部分に撥水剤を塗布し、150℃で180分程度加熱することで形成される(
図8(c)参照)。本実施形態においては、シランカップリング剤は東レダウコーニングシリコーン社のSH6040SILANEを使用、撥水剤は旭ガラス社のサイトップCTX−801Z8Aを用いた。
【0042】
一方、撥水領域49以外の部分である親水領域51は、液体の濡れ性を高めるために親水処理が施されており、液体が接触しても液滴を形成せず(滴状に保持されること無く)、フィルタに浸透する状態となっている(
図8(d)参照)。すなわち、フィルタの空隙(細孔)部の毛細管力を高め、ヘッドフィルタA22a全面の通液性を向上させることでインク供給性を高めている。親水処理は450℃で30分間焼成することで行われる。なお、フィルタの空隙の大きさとして、300dpi〜1200dpiに対応したノズルの断面積よりも小さい1μm〜30μmから選択されることが望ましい。
【0043】
ところで、高速記録を可能とする記録ヘッド22においては、記録ヘッド22内で液体が滞りなく流れることが重要であり、そのため記録ヘッド22内の流路抵抗増大の要因となるフィルタを大面積化することが有効である。本実施形態では液滴吐出記録装置に求められる記録速度、記録品位等と記録ヘッド22のフィルタ部分での圧力損失等を加味し、ヘッドフィルタA22a面積をφ14相当とした。このような大面積のフィルタを有する記録ヘッド22においては、フィルタ近傍部の気泡の処理が非常に重要となる。
【0044】
通常、記録ヘッド22を記録装置に装着する場合、ヘッドフィルタA22aを通過する液体の上流側の部屋である第一液体供給室34と下流側の部屋である第二液体供給室35には空気が存在する。そのため、ヘッドフィルタA22aの液体が通過しうる有効面積を最大限とさせるためには、ヘッドフィルタA22a近傍の空気を除去し、液体で満たす必要がある。したがって、ヘッドフィルタA22aの空隙部に形成された液体のメニスカスを破壊し、空気を通過させなければならない。すなわち第一液体供給室34と第二液体供給室35間に、フィルタのメニスカス力(液体とフィルタの空隙とが発現する毛管力)よりも大きな圧力差を付与する必要がある。そのため、上述したようにバッファタンク等を用いて大きな吸引力で液体を供給した場合、ヘッドフィルタA22aに形成されている液体のメニスカスが破壊されると同時に空気を含んだインク、つまり微小な気泡を多く含んだインクが勢いよくメイン液室内に流入する。そのような気泡が混在する液体が液室内、およびノズル内に残留した場合、吐出時の液体の補充がスムーズに行われず、吐出不良を発生させるおそれがある。
【0045】
そこで、本実施形態においては、ヘッドフィルタA22aの一部に対し、その他の領域よりも所定液体に対するメニスカス力が小さい領域、すなわち撥水性が高い領域を形成し、空気の通過性を向上させた。従って、ヘッドフィルタA22aの前後に圧力差が生じると、インクのメニスカスが形成されていない、もしくは形成されていても毛細管力の小さい撥水領域49から空気が通過し、液体は撥水領域49以外から通過する。そのため、インクと空気が混じりあい微細な気泡を発生させることがない。
【0046】
また
図7に示すように、本実施形態においては記録ヘッド22に液体が供給される時の姿勢(使用状態)に対して、ヘッドフィルタA22aの重力方向における最上部を含む上部位置に撥水領域49を形成している。第一液体供給室34の空気は液体の流入によってその浮力により上方へ移動するが、上方に撥水領域49を設けているため、さらに効率よく気泡を排出することができる。排出された気泡は、第二液体供給室傾斜38に沿って液体供給路37の方へ導かれる。そして、ヘッド液室22c内に流入した空気は液体の供給に伴って上方へ移動し、やがてメイン液体供給室傾斜29に沿って気液分離部20へ導かれる。気液分離部20に液体と空気が混在した気泡が達すると、液室の厚みが深くなっているため気泡が消滅する。
【0047】
このように、記録ヘッド22において、ヘッドフィルタA22aの一部に、その他の領域よりもメニスカス力の小さい領域を設けることで、その領域から空気を通過させることができる。なお、ヘッドフィルタA22aの一部に、その他の領域よりもメニスカス力が小さい領域を設けていれば、他の形態でも同様の効果を得ることができる。
【0048】
図9(a)から(d)は、他の実施形態におけるヘッドフィルタの一つを表した図である。ヘッドフィルタA92aは、空隙の大きさが異なる領域を有している。すなわち、
図9(c)のようなフィルタメッシュの粗い領域52と、
図9(d)のような相対的にフィルタメッシュの細かい領域53とを有する。フィルタの空隙の大きさは、所望の大きさの異物を捕捉できるサイズ以下であれば良い。この形態の場合も、フィルタメッシュの粗い領域52、すなわちインクのメニスカス力が小さい領域から効率よく空気が排出されるため、フィルタ部を液体および空気が通過する際に大量の気泡を発生させることがない。また、フィルタメッシュの粗い領域52の部分の厚み方向(インクが第一液体供給室34から第二液体供給室35に移動する方向)の厚みを、フィルタメッシュの細かい領域53の厚みよりも厚くし、フィルタメッシュの粗い領域52とフィルタメッシュの細かい領域53との流抵抗を同じようにしてもよい。これにより、フィルタメッシュの粗い領域52とフィルタメッシュの細かい領域53との流抵抗の差が小さくなり、インクの流れをスムーズにすることができる。
【0049】
また同様に、メッシュフィルタの織り方が異なる領域の組み合わせや、フィルタの厚みが異なる領域の組み合わせによってメニスカス力が異なるようにした場合も同様の効果を達成できる。
【0050】
(第2の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第2の実施形態を説明する。なお、本実施形態の基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、以下では特徴的な構成についてのみ説明する。
【0051】
図10は、本実施形態における記録ヘッド22K、22C、22M、22Yとインクタンクとの接続を示した図である。第1の実施形態においては1つの記録ヘッドにそれぞれインク供給装置が対応する形態を例示したが、記録装置10(
図1参照)に複数の記録ヘッドが内蔵されている場合は、流路を構成する要素をまとめてもよい。本実施形態においては記録装置10に内蔵される記録ヘッド22K、22C、22M、22Yに対し、ポンプ92、泡抜き弁65および回復弁67を共用で用いる。すなわち第1の実施形態で述べたようなヘッドノズル22Kn(
図3参照)からのインク排出動作は各記録ヘッド22K、22C、22M、22Yの各ノズルから同時に吸引することで全体の構成を簡素化し、装置のコストを低減させている。ただしヘッド液室22cに接続されるエア流路63K、63C、63M、63Yにはそれぞれ供給弁69K、69C、69M、69Yが設けられる既述したような第1の流路気泡除去は、第2の実施形態においては、各ヘッド同時に行うことができる。
【0052】
以上、述べたようにインクタンクと複数の記録ヘッドとの間に気液分離タンクを設け、記録ヘッドからインクタンク側へインクを流動させる手段を設ける。これによって、記録ヘッドの吐出性能を回復させるべく流路中の気泡を除去するための回復動作に伴う廃インクの発生を無くす、もしくは低減させることが可能な記録装置を実現することができた。
【0053】
(他の実施形態)
また、上記した記録ヘッドのクリーニング方法は、複数の機器(例えばホストコンピュータ、インタフェイス機器、リーダ、記録装置など)から構成されるシステムに適用することが可能である。さらに、独立した一つの装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置など)にも上記ヘッド回復方法は適用可能である。また、本発明におけるヘッド回復を実施するためのソフトウエアのプログラムコードを記録した記憶媒体をシステムあるいは装置に供給し、それらに具備されるコンピュータのCPUがプログラムコードを読出して上記制御を実行させるようにすることも可能である。
【0054】
さらに、記憶媒体としては、例えば磁気ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不棒発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。この他、本発明におけるヘッドの回復を実現するプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などで、実際の処理の一部または全部を行うようにすることも可能である。また、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるCPUなどが、プログラムコードに従って実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって本発明の機能を実現するようにすることも可能である。