【実施例】
【0019】
反応体溶液中のアクリルアミド単官能性単量体とビスアクリルアミド架橋性単量体の適正量は、0.20〜2.00重量%(各)、好ましくは0.30〜0.60重量%(各)、最も好ましくは0.40〜0.50重量%(各)である。単量体反応体溶液の好ましいアクリルアミドとビスアクリルアミドの比は1:1(質量比)である。単量体反応体溶液のアクリルアミド単官能性単量体とビスアクリルアミド架橋性単量体の好ましい全体濃度は0.5〜1.5%(質量)である。適当なUV光開始剤の量は0.01〜0.20重量%、好ましくは0.05〜0.15重量%、最も好ましくは0.09〜0.11重量%である。
適当なUV光開始剤にはIrgacure500、754、2959及び819DW(商品名。IrgacureはBASF社の商標)がある。ある実施例による変性した多孔質膜基材の調製方法では、多孔質膜基材を準備し、その表面をアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド及び適当なUV光開始剤を含有する溶液に接触させ、溶液から膜を取り出し、そしてそれを適当な波長と強度を有する放射線に適正な時間曝してその場において被覆を重合させる。好ましくは、反応溶液に接触される多孔膜は紫外線光源により照射される。多孔膜に有害な作用をする波長を除去するためにフィルターを使用することができる。紫外線の強度と照射時間は当業界には容易に知ることができる。
【0020】
本発明の好ましい実施例において、反応体溶液の研究室規模の調製は、1.00gのアクリルアミド(H
2C=CH-C(O)-NH
2)単官能性単量体、0.80gのメチレンビスアクリルアミド(H
2C(-NH-C(O)CH=CH
2)
2)架橋性単量体、及び0.20gのIrgacure2959光開始剤を、198.00gのMilli−Q(登録商標)水に溶解することにより行った。架橋剤と光開始剤を完全に溶解するには約2時間の初期混合時間を要した。
【0021】
より具体的には、多孔質で疎水性の原料膜を多孔質膜を膨潤させたり溶解させたりしないが、多孔質膜の全表面を予備湿潤できる有機液体またはその水溶液に浸漬する。
【0022】
この液体は低分子量アルコール、または水と混和性の有機液体でありうる。適当な液体または組成物にはメタノール、エタノール、イソプロパノール、それらと水の混合物、アセトンと水の混合物、テトラヒドロフランと水の混合物、などの十分に低表面張力を有し、膜全体の濡れを可能にする液体である。
【0023】
この予備湿し工程は膜表面全体が水に濡れ、次いで水性反応体単量体溶液により濡れることを保証する。この予備湿し工程には、有機溶媒が残存しないように水で強烈に交換する工程が続かなければならない。これらの予備湿し溶媒またはそれらの水との混合物は反応体単量体の意図した重合に負の影響を及ぼしうる。
【0024】
続いて、水で濡れた多孔質膜の反応体溶液への浸漬および温和な撹拌は、反応体溶液による多孔質膜の全表面の濡れを可能にする。反応体溶液への浸漬前に過剰の水が除去される限り、反応体溶液の希釈は実質的に起きないであろう。
【0025】
試料は短時間(2分)後に引き出され、過剰の反応体溶液は膜試料から除去される。反応体溶液で濡れた膜は嫌気性条件下にUV放射線に露出されて多孔質膜の全体表面に直接重合される。得られた被覆済の膜は、水表面に接触したとき、即時の、完全な、非常に一様な濡れを示し、高いウエスタンブロット性能を有し、放射線ラベルアッセイにより高レベルのタンパク質結合を示し(250μg/cm
2IgG以上)、低い背景蛍光を有する(TECAN GENios FL蛍光リーダ(スイス、チューリッヒ所在のTECANGroupLtdの商品名)をMagellan5.0ソフトウエアパッケージ(TECANGroupLtdの商品名。Magellanは同社の商標)で使用し、検出器利得86において、485nmの励起波長/535nmの放出波長で、約2000rfu(相対蛍光単位)である)。この背景蛍光は、同じ測定条件下で、処理しない(変性しない)元の疎水性膜の背景蛍光の約2倍である。飽和した塩化アルミニウム水溶液の表面に置かれるとき、この膜は1秒以上の最小時間で湿潤し、そして60秒を超える最大時間で湿潤する。
【0026】
実施例1
Millipore Corporationから市販されている疎水性PVDF膜(IPFL00000)をメタノール中に浸漬した。膜を引き出してそれを水に浸漬し撹拌することにより1分間でメタノールを抽出した。膜を引き出して新鮮な水に追加の2分間浸漬し、次いで新鮮な水に浸漬した。過剰の水は膜から流去させてから、膜を反応性単量体溶液に浸漬し温和に2分間撹拌した。次いで膜を15〜25フィート/分の送り速度で両面からUV放射線で照射して紫外線硬化をおこなった。膜を回収し、水浴に浸して未反応単量体と付着性のないオリゴマー及び重合体を除去した。試料を回収し、空気中または室温環境で一晩乾燥するか、または静的な強制空気オーブンで60〜80℃、10分で乾燥するか、またはインピンジメント乾燥機において90〜110℃、送り速度15〜25フィート/分で乾燥した。平均の膜の抽出可能物はTOC(全有機炭素)により測定した。表1に示したように、平均が約1.44μg/cm
2であることが決定された。
【0027】
【表1】
【0028】
平均の抽出可能な残留単量体の量はHPLC(高速液体クロマトグラフィ)により決定した。3つの試料から決定した値は表2に示されている。
【0029】
【表2】
【0030】
実施例2
実施例1の方法を使用して表3A−3D、4A−4D及び5A−5Dに示した明細、処理条件及び反応体溶液を有するPVDF膜を処理した。
【0031】
【表3】
【0032】
【表4】
【0033】
【表5】
【0034】
【表6】
【0035】
【表7】
【0036】
【表8】
【0037】
【表9】
【0038】
【表10】
【0039】
【表11】
【0040】
【表12】
【0041】
【表13】
【0042】
【表14】
【0043】
実施例3
ウエスタンブロット法及び化学発光検出に使用された手順は次のとおりである。
・ビス:トリス(4〜12%)ミディグラジエントゲル(Invitrogen,WG1402BOX(商品名))を使用して、タンパク質試料を電気泳動により分離する。
・BioRadタンク移行装置(Criterion Blotter #165-6024(商品名))を使用し、45Vで1時間15分間かけて、試料を実施例1で製作した親水性膜上に電気ブロットする。
・得られたブロットをTBS−T(0.1% Tween)中で2回(各3分)洗浄する。
・ブロットをTBS−T(0.1% Tween)中RTで1時間3%NFM(脱脂ミルク,Carnation)でブロックする。
・ブロットをTBS−T(0.1% Tween)中で2回(各3分)洗浄する。
・ブロットをプライマリ抗体と共にTBS−T中で1時間インキュベートする。
・ブロットをTBS−T(0.1% Tween)中で3回(各5分)洗浄する。
・ブロットをセカンダリ抗体と共にTBS−T中で1時間インキュベートする。
・ブロットをTBS−T(0.1% Tween)中で4回(各5分)洗浄する。
・タンパク質のバンドをECL(Millipore Immobilon-HRP(商品名))とX線フィルムにより映像化する。
【0044】
この手順を実施例2で調製された試料に適用した。得られた結果は
図1、2及び3に示す。
【0045】
代表的な開発研究から得たウエスタンブロット法による結果は、本発明の親水性PVDFブロット用膜と、対照(FL:疎水性PVDF膜、NC: Whatman/S&S BA-85膜)との間に性能の差異があることを示している。図の各水平な行には5種のウエスタン移行ブロットが示され、そのうち3つのブロットは本発明の親水性PVDF膜の試料であり、後の各1つは対照膜のブロットを示す。5つのブロットよりなる各行は、一回の電気泳動と移行実験からのものである(各実験において5つのゲルを使用した)。設計上、各実験は、電気泳動と移行の前に、同一量のタンパク質試料を用い、かつ同一条件を使用した(各ゲルを横切って4本のレーンで適用)。示された結果は、左から右へ順に5μg、2.5μg、1.25μg、及び0.67μgと減少する試料の固形分(濃度)で適用された複合試料混合物(溶解液)からの2タンパク質(HSP70とGAPDH)の検出に対する移行ブロットである。
【0046】
図の各行(一回の電気泳動および電気ブロット実験の結果を示す)おいて、本発明の3種の親水性ブロット用膜が2種の対照ブロット用膜に対比されている。対照膜はニトロセルロースブロット用膜(NC)と疎水性PVDFブロット用膜(FL)である。各一回の実験の場合、FL膜は検体タンパク質溶液の4濃度(titer)に対して最高の信号強度を示し、NC膜は最小の信号強度を示している。信号強度をNC膜と本発明の親水性PVDFを比較すると、最高濃度の検体試料(各ブロットの左側のもの)ではNC膜と本発明の親水性PVDFは類似した信号強度を示している。しかし、試料濃度が減じるほど(左から右へ)、NC膜に対する信号強度は急減している。これは、親水性PVDFブロット用膜がNC膜よりも低濃度において試料の検出を可能にすることを示している。