特許第5661858号(P5661858)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5661858
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】つる性植物の誘導装置
(51)【国際特許分類】
   H02G 7/00 20060101AFI20150108BHJP
   A01G 9/12 20060101ALI20150108BHJP
   A01M 21/00 20060101ALI20150108BHJP
【FI】
   H02G7/00 P
   A01G9/12 A
   A01M21/00 Z
   H02G7/00 J
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-104080(P2013-104080)
(22)【出願日】2013年5月16日
(65)【公開番号】特開2014-225977(P2014-225977A)
(43)【公開日】2014年12月4日
【審査請求日】2013年7月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】植木 孝則
(72)【発明者】
【氏名】伊勢本 勝正
(72)【発明者】
【氏名】坂田 浩二
【審査官】 和田 財太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−314084(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 7/00
A01G 9/12
A01M 21/00
A01M 29/00
E04H 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備の近傍に設置される支柱と、
前記支柱に支持され、つる性植物が前記設備に巻き付かないように、前記つる性植物を前記支柱の方へ誘導するための指向性を持つ光を、前記つる性植物または前記つる性植物の近傍に照射する光源と、
を備えることを特徴とするつる性植物の誘導装置。
【請求項2】
前記光源は、前記光の照射方向および照射範囲の少なくとも一方を調節する反射部材を有することを特徴とする請求項1に記載のつる性植物の誘導装置。
【請求項3】
前記支柱は、長手方向に伸縮する機構を有することを特徴とする請求項1または2に記載のつる性植物の誘導装置。
【請求項4】
前記つる性植物を巻き付けるように前記支柱から遠ざかる方向に延びる誘導部材を更に備えることを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載のつる性植物の誘導装置。
【請求項5】
前記誘導部材は、前記支柱から遠ざかる方向に伸びるとともに前記支柱に近づく方向に縮む機構を有することを特徴とする請求項に記載のつる性植物の誘導装置。
【請求項6】
前記光源は、前記支柱の上端または上端の近傍に支持されていることを特徴とする請求項1ないし5の何れかに記載のつる性植物の誘導装置。
【請求項7】
太陽光発電装置と、
前記太陽光発電装置によって発電された電気エネルギーを蓄えるとともに前記電気エネルギーを前記光源に供給する蓄電池と
を更に備えることを特徴とする、請求項1ないし6の何れかに記載のつる性植物の誘導装置。
【請求項8】
前記蓄電池によって蓄えられている前記電気エネルギーを前記光源に供給するか供給しないかを周囲の明るさまたは時刻に応じて切り替える切替装置を更に備えることを特徴とする請求項7に記載のつる性植物の誘導装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、つる性植物の誘導装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電柱の支線等の設備にかずら等のつる性植物が巻き上がらないように支線等に取り付けられる、円筒状または円盤状のつる性植物の巻き上がり防止装置が知られている(例えば特許文献1および2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−119234号公報
【特許文献2】特開2003−314084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、特許文献1および2の巻き上がり防止装置を含め、つる性植物の巻き上がり防止装置によっては、つる性植物がその装置の装着位置を超えて支線等を巻き上がることを完全に防止することはできない。そのため、つる性植物の巻き上がり防止装置が設備に装着されていてもなお、その設備の状況を見回って、地絡事故が発生するおそれや設備に対する作業(例えば架線作業)に支障が生ずるおそれのある場合等には、つる性植物を伐採する必要がある。
【0005】
ここで、つる性植物は初夏から秋にかけてよく成長するため、上述した設備の見回りおよび伐採作業はこの時期に集中する。このような見回りおよび伐採作業の時期的な集中は、つる性植物の伐採時期の分散や計画的な伐採を困難にし、引いては効率的な見回りおよび伐採を妨げる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決する主たる本発明は、設備の近傍に設置される支柱と、前記支柱に支持され、つる性植物が前記設備に巻き付かないように、前記つる性植物を前記支柱の方へ誘導するための指向性を持つ光を、前記つる性植物または前記つる性植物の近傍に向かって照射する光源と、を備える。
本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかとなる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、光源から照射される光によってつる性植物は本装置の方に誘導され、支線等の設備に巻き上がるつる性植物は減少する。また、支線等の設備と本装置の設置位置によって、本装置の方に誘導されるつる性植物の多さ、つまり、設備に巻き上がるつる性植物の成長具合を調節することができる。従って、設備の状況の見回りおよびつる性植物の伐採の計画が立てやすくなり、よって、見回りの回数を減少させるとともに伐採作業を計画的かつ効率的に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態におけるつる性植物の誘導装置を示す図である。
図2】本発明の第1実施形態におけるつる性植物の誘導装置の光源からの光の照射方向および照射範囲の説明図である。
図3】本発明の第2実施形態におけるつる性植物の誘導装置を示す図である。
図4】本発明の第2実施形態における誘導部材の一例を示す図である。
図5】本発明の第2実施形態における誘導部材の他の一例を示す図である。
図6】本発明の第2実施形態における誘導部材の別の一例を示す図である。
図7】本発明の第1および第2実施形態における支柱の伸縮機構の一例を示す図である。
図8】本発明の第1および第2実施形態における光源および反射部材の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0010】
[第1実施形態]
以下、図1図2図7および図8を参照して、第1実施形態におけるつる性植物の誘導装置について説明する。なお、ここでは、1本の電柱に取り付けられた1本の支線の近傍に本誘導装置が設置される場合について説明する。
【0011】
===構成===
図1(a)および(b)は、おのおの本実施形態におけるつる性植物の誘導装置を示す側面図および平面図であって、光源および反射部材は模式的に記載されている。なお、図1(b)では、便宜上、本装置の太陽光発電システムと自動点滅器とを省略している。
【0012】
図1において、つる性植物の誘導装置1は、電柱61の支線62の近傍に設置されている。なお、支線62には、支線62の近傍のつる性植物50が支線62に巻き上がらないように、錐形状、円盤状または円筒状の巻き上がり防止装置63が装着されている。巻き上がり防止装置63は、つる性植物50の巻き上がりを規制するものであって、支線62の下端に向かう方向(下向き)に開口するとともに、支線62の上端に向かう方向(上向き)には、電線を挿通できる程度に開口している。
【0013】
誘導装置1は、支柱11、光源12、反射部材13、太陽光発電システム15および自動点滅器16を備えている。
【0014】
支柱11は、図1に示すとおり、下端が地中に埋め込まれ、鉛直に立設するように固定されている。なお、誘導装置1が例えば山間部の急斜面に設置される場合には、支柱11を敢えて鉛直に立設させる必要はない。
支柱11は、上端において光源12と反射部材13とを支持している。光源12は、例えば、LED(発光ダイオード)であって球状を呈しており、後述する蓄電池15bから電気エネルギーの供給を受けてほぼ全方向に光を放射する。
【0015】
反射部材13は、光源12から放射された光の照射方向を規制するための部材であり、例えば、略錐形状ないし傘形状を呈している。反射部材13には、図1(a)に示す内側面に沿って、図8(b)のように反射面13bが形成されている。反射面13bは、光源12からの光を反射するために設けられ、例えば、磨いたステンレス製板や反射率の高いポリエステルフィルムを内側面に沿って貼り付けることによって形成される。従って、光源12から放射された光は、図8(b)に示されるように反射面13bで反射される結果、一定の方向に規制される。このようにして、光源12から放射された光は指向性を持つようになる。
【0016】
反射部材13は、例えば、図8(a)に示されるように取付金具17を介して支柱11に取り付けられる。図8は、図1において模式的に記載された光源12および反射部材13の一例を示す図であって、図8(a)に示されるように、取付金具17は、ストラップ17a、回転軸17bおよび略C字状部材17cを含む。ストラップ17aは、取付金具17を支柱11の周回りに固定するための部材であり、回転軸17bは、ストラップ17aに支持され、支柱11の長手方向に直交する方向に延びる部材である。略C字状部材17cは、両端からの距離がほぼ等しい位置(真ん中付近)で回転軸17bに回転可能に支持されるとともに、反射部材13が略C字状部材17cの両端を結ぶ軸線の回りに回転するように反射部材13を支持している。この軸線は回転軸と直交する方向であるから、反射部材13は任意の向きを変えるができる。
【0017】
また、支柱11は、長手方向に伸縮する機構を有する。この伸縮機構は、例えば、図7に示されるように、第一の円筒状部材11aと、この第一の円筒状部材の内径より小さい外径を持つ第二の円筒状部材11bと、これら第一および第二の円筒状部材を貫通するピン11cとを備える。第二の円筒状部材11bは、第一の円筒状部材11aの内側面に沿ってスライド可能である。また、第一の円筒状部材11aには、長手方向に沿って複数対の貫通孔11dが穿孔され、第二の円筒状部材11bには、一対の貫通孔11eが設けられている。ピンは、第一の円筒状部材11aのいずれか一対の貫通孔11dと、第二の円筒状部材11bの一対の貫通孔11eとを貫通することで、第二の円筒状部材11bを第一の円筒状部材11a上の所定の位置に固定する。従って、ピンを貫通させる第一の円筒状部材11aの一対の貫通孔11dの位置(地面からの高さ)に応じて、第二の円筒状部材11bが第一の円筒状部材11aから突出する長さが変わり、これにより支柱の長さが変わる。
【0018】
光源12および反射部材13の上方には、取付部材を介して太陽光発電システム15が取り付けられている。太陽光発電システム15は、太陽光発電装置15aと蓄電池15bとからなり、光源12に電源を供給する。太陽光発電装置15aによって生成された電気エネルギーは蓄電池15bに蓄えられ、このようにして蓄えられた電気エネルギーは、蓄電池15bから光源12に供給される。蓄電池15bから光源12への電気エネルギーの供給または供給停止は、太陽光発電システム15の上部に設けられた自動点滅器16によって判定される。自動点滅器16は、周囲の明るさを検知して、検知した明るさを示す値が予め設定されている基準の明るさを示す値(基準値)を下回ると、蓄電池15bから光源12に通じるスイッチ(図示せず)をオンし、検知した明るさを示す値が上記基準値を上回ると、上記スイッチ(図示せず)をオフする切替装置である。つまり、自動点滅器16は、周囲の明るさに応じて光源12を点灯させたり消灯させたりする。よって、誘導装置1の周囲が基準とされる明るさより暗くなると(例えば、夕刻から夜明けにかけての時間帯)、光源12は、蓄電池から電気エネルギーを供給されて発光する。また、誘導装置1の周囲が基準とされる明るさより明るくなると(例えば、夜明けから夕刻までの時間帯)、蓄電池から光源12への電気エネルギーの供給は止まり、光源12の発光も止まる。
【0019】
なお、誘導装置1は、必要に応じて設置位置を変えることができる。つまり、誘導装置1は可搬型である。
【0020】
===使用方法===
以下、図2を参照して、本実施形態におけるつる性植物の誘導装置の使用方法について説明する。図2(a)および(b)は、おのおの本実施形態におけるつる性植物の誘導装置の使用方法の一例を示す側面図および平面図であって、光源および反射部材は模式的に記載されている。なお、図2(b)では、太陽光発電システムと自動点滅器は省略されている。
【0021】
例えば昼間のように、誘導装置1の周囲が明るく、自動点滅器16がオフの場合には、太陽光発電装置15aにより生成された電気エネルギーが蓄電池15bに蓄えられる。一方、夜間のように、周囲が暗くなって一定の明るさを下回ると、自動点滅器16がオンし、蓄電池に蓄えられた電気エネルギーが光源12に供給される。その結果、光源12が点灯し、反射部材13によって集光されて、所定の範囲の地面およびつる性植物50に照射される。
【0022】
光源12から照射される光の照射範囲は、支柱11を長手方向に伸長および短縮させることによって、おのおの拡げられたり狭められたりする。例えば、図2(a)の実線で表された光源12からの光が反射部材13によって規制されて、所定の明るさ以上の光が同図(b)の一点鎖線で示される範囲に照射される場合において、同図(a)の破線で表されたより低い位置にある光源12からの光が反射部材13によって規制されると、前者の明るさ以上の光が、同図(b)の破線で示されるようなより狭い範囲に照射されることとなる。また、上述したとおり、反射部材13は、互いに直交する回転軸17bと軸線との回りに回転することができるから、反射部材13の向きを変えることで光源12からの光の照射方向を適宜変えることができる。なお、反射部材13の向きを変えると、光源12からの光の照射範囲も変わる。
【0023】
なお、図2(b)において一点鎖線および破線で示される範囲は、地面に照射される光の明るさが基準とする明るさ以上となる範囲を表し、誘導装置1が設置される場所の状況、例えば、平地か斜面かに応じて変わる。また、基準とする明るさとしては、例えば、つる性植物50が誘導装置1の方に誘導されるのに足りると想定される光の明るさである。
【0024】
従って、つる性植物50の繁殖具合や支線62への巻き上がりの様子を含む現場の状況に応じて、誘導装置1の設置場所や、光源12からの光の照射方向および照射範囲を適宜変更することができる。例えば、比較的狭い範囲のつる性植物50が支線62に巻き付かないようにするためには、支柱11を短縮させて光源12の位置を低くするとともに、強い光がその範囲に集中的に照射されるように反射部材13の向きを調節する。あるいは、複数の支線62に関わるような比較的広範囲のつる性植物50を本誘導装置1の方へ誘導しようとする場合には、光源12の位置を高くすることによって光の照射範囲を拡げればよい。
【0025】
[第2実施形態]
以下、図3ないし図7を参照して、本実施形態におけるつる性植物の誘導装置について説明する。図3は、本実施形態におけるつる性植物の誘導装置を示す図であって、光源および反射部材は模式的に記載されている。なお、本実施形態におけるつる性植物の誘導装置は、誘導部材を備える点を除き、第1実施形態におけるつる性植物の誘導装置と同様の構成であるから、図1と同様な構成については、同一の符号を付し、その説明については省略する。従って、以下、誘導部材を中心に説明するが、図3に模式的に表された誘導部材20は、図4ないし図6に例示された誘導部材21〜23の総称である。
【0026】
===構成===
誘導部材20は、棒状の部材であって、つる性植物50を巻き付けることで、つる性植物50が支柱11を巻き上がって光源12を覆わないようにするための部材である。つる性植物50が支柱11を巻き上がって光源12を覆うと、光源12からの光は光源12を覆ったつる性植物50に遮られて、上述した照射範囲に照射される光の明るさが基準となる明るさを満たさなくなることがあるため、誘導部材20を設けてつる性植物50をこれに巻きつけるようにする。
【0027】
誘導部材20は、図3に示されるように、光源12より低い位置において支柱11に取り付けられ、支柱11から遠ざかる方向に延びている。なお、本実施形態では、4つの誘導部材20が支柱11に取り付けられている。
【0028】
図4において、誘導部材21は、支柱11の長手方向に直交する方向に延びている。図4において、4本の誘導部材21は、2本で一対をなすように支柱11への取付位置(高さ)が揃えられるとともに、互いに反対方向に延びているが、このように配置されていなくてもよい。たとえば、4本の誘導部材21は、おのおの異なる取付位置(高さ)に取り付けられていてもよく、また、支柱11の長手方向から見て十字状を呈するように、誘導部材21Aと21B、21Bと21C、21Cと21D、および、21Dと21Aのなす角がおのおの90度になるように支柱11に取り付けてもよい。また、誘導部材21は、支柱11から遠ざかるにつれて、支柱11への取付位置から徐々に高くなるように延びていてもよい。4本の誘導部材21は、おのおの長手方向(図4の矢印の方向)に伸縮する機構を有しており、各伸縮機構は、例えば、図7に示す支柱11の伸縮機構と同様である。
【0029】
また、図5に示される誘導部材22は、支柱11から遠ざかるにつれて、支柱11への取付位置から徐々に高くなるように延びている。また、誘導部材22は、4箇所において誘導部材22の主枝22aから分岐する側枝22bを有し、側枝22bは、主枝22aから分岐するとともに、主枝22aが伸びる方向に傾いている。従って、図5の誘導部材22は、木の枝のような形状を呈している。なお、図5の4本の誘導部材22についても、おのおの異なる取付位置(高さ)に取り付けられていてよく、また、例えば、支柱11の長手方向から見て十字状を呈するように配置されていてもよい。また、図5の誘導部材22は、おのおの主枝22aの長手方向(図5の矢印の方向)に伸縮する機構を有し、各伸縮機構は、例えば、図7に示す支柱11の伸縮機構と同様である。
【0030】
図6に示される誘導部材23は、支柱11の軸方向と直交する方向に延びてから、略半円を描くように上方に湾曲している。つまり、図6の誘導部材23の先端部は、湾曲部23aを形成している。なお、図6の4本の誘導部材23についても、おのおの異なる取付位置(高さ)に取り付けられていてよく、また、例えば、支柱11の長手方向から見て十字状を呈するように配置されていてもよい。また、図6の誘導部材23は、おのおの支柱11の軸方向と直交する方向(図6の矢印の方向)に伸縮する機構を有し、各伸縮機構は、例えば、図7に示す支柱11の伸縮機構と同様である。
【0031】
なお、図3ないし図6に示される誘導部材20〜23は、水平方向(支柱11の長手方向に直交する方向)か、支柱11から離れるにつれて支柱11への取付位置から徐々に高くなるように延びているが、これは、つる性植物50がより高い位置にある物へ巻き付こうとする性質を利用したものである。
【0032】
===使用方法===
以下、図3ないし図6を参照し、本実施形態におけるつる性植物の誘導装置の使用方法について、誘導部材の使用方法を中心に説明する。
【0033】
図3において、つる性植物50は、支線62に巻き付くとともに、誘導装置1の支柱11に巻き付いている。支柱11に巻き付いたつる性植物50は誘導部材20にも巻き付くため、支柱11を巻き上がろうとするつる性植物50は、誘導部材20に巻き付いた分だけ減る。誘導部材20に巻き付いたつる性植物50が再び支柱11に巻き付くことがあり得るものの、つる性植物50が光源12を覆って光源12からの光を遮光するに至るまでの時間は、誘導部材20がない場合よりも長くなる。従って、誘導部材20を支柱11に取り付けることで、支柱11に巻き上がったつる性植物50を伐採する時間間隔をより長くすることができる。
【0034】
誘導部材20は、例えば支柱11の伸縮機構と同様の伸縮機構を有している。したがって、つる性植物50の支柱11への巻き上がり具合が所定の巻き付き具合よりも多いか、多いと予想される場合には、つる性植物50がより長いあいだ誘導部材20に巻き付くように、誘導部材20を伸長させることができる。従って、誘導部材20を伸縮することによって、支柱11に巻き上がったつる性植物50を伐採する時間間隔を調節することができる。
【0035】
なお、図4ないし図6に示される3種類の誘導部材21〜23は、図3の誘導部材20と同様の役割を果たすから、上記ように図3の誘導部材20と同様の方法で使用される。支柱11に巻き上がるつる性植物50の本数が多いか、多いと予想される場合には、より多くのつる性植物50を誘導できるように、図5の誘導部材22のようなつる性植物50の巻き上がりの経路が多い誘導部材を用いるとよい。
【0036】
前述したように、誘導装置1は、電柱61の支線62の近傍に設置されている。誘導装置1は、下端が地中に埋め込まれて、鉛直に立設するように固定される支柱11を備えている。また、誘導装置1は、支柱11に支持される光源12を備えている。光源12は、つる性植物50を支柱11の方へ誘導するように、光をつる性植物50またはその近傍に照射する。光源12から照射される光によってつる性植物50は誘導装置1に誘導されて、支線62に巻き上がるつる性植物50は減少する。その結果、支線62に巻き付いたつる性植物50を伐採する時間間隔が長くなり、現場の見回りおよび伐採作業の時期の集中を避けることができる。従って、支線62の状況の見回りおよびつる性植物50の伐採の計画が立てやすくなり、よって、見回りの回数を減少させるとともに伐採作業を計画的かつ効率的に行うことが可能となる。
【0037】
また、光源12は、光源12から放射された光を規制する反射部材13を有する。反射部材13は任意に向きを変えることができるから、反射部材13の向きを変えることによって、光源12からの光の照射方向および照射範囲の少なくとも一方を調節することができる。よって、狭い範囲のつる性植物50に集中的に光を照射したり、比較的広範囲のつる性植物50に広く光を照射したりすることができる。これにより、誘導装置1に誘導するつる性植物50の多さ、さらには、現場の見回りや伐採作業の時間間隔を調節することができる。
【0038】
また、支柱11は、長手方向に伸縮する機構を有する。支柱11を伸縮させることによって、支柱11に巻きつけておくことができるつる性植物50の多さを増やしたり減らしたりすることができる。また、支柱11を伸縮させることにより、支柱11に支持されている光源12の高さが変わるから、光源12から地面およびつる性植物50に照射される光の強さと照射範囲も変わる。照射される光の強さと照射範囲が変わると、誘導装置1の方に誘導されるつる性植物50の多さが変化する。従って、支柱11に巻き付くつる性植物50の多さを調節することができる。
【0039】
また、誘導装置1は、支柱11から遠ざかる方向に延びる誘導部材20を更に備える。支柱11を巻き上がってきたつる性植物50を誘導部材20の方に誘導することによって、支柱11を巻き上がるつる性植物50を減らすことができる。したがって、支柱11に巻き付くつる性植物50を伐採する時間間隔を長くすることができ、引いては現場の見回りおよび伐採作業の時間間隔を長くすることに資する。
【0040】
また、誘導部材20は、誘導部材20が延びる方向に伸縮する機構を有する。誘導部材20を伸縮させることにより、誘導部材20に巻き付けておくことができるつる性植物50の多さを増やしたり減らしたりすることができるから、支柱11から誘導部材20の方に誘導するつる性植物50の多さ、さらには、現場の見回りおよび伐採作業の時間間隔を調節することに資する。
【0041】
また、光源12は、支柱11の上端または上端の近傍に支持されている。従って、例えば光源12が支柱11の下端近傍に支持されている場合よりも、つる性植物50が支柱11を巻き上がって光源12からの光を遮るまでの時間が長くなり、引いては現場の見回りおよび伐採作業の時間間隔を長くすることに資する。
【0042】
また、誘導装置1は、太陽光発電装置15aと、太陽光発電装置15aによって発電された電気エネルギーを蓄えるとともに電気エネルギーを光源12に供給する蓄電池15bとを更に備える。従って、誘導装置1は、光源12を点灯させるために外部電源を必要とせず、外部電源からの供給停止のおそれがない。よって、外部から独立して誘導装置1の運用を行うことができる。
【0043】
また、自動点滅器16を更に備える。自動点滅器16は、蓄電池15bによって蓄えられている電気エネルギーを光源12に供給するか供給しないかを周囲の明るさに応じて切り替える切替装置に相当する。よって、自動点滅器16を備えることによって、誘導装置1は、周囲の明るさに応じて光源12を自動的に点灯させたり消灯させたりすることができる。
【0044】
尚、上記第1及び第2実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0045】
例えば、第1及び第2実施形態において、誘導装置1は、1本の支線62の近傍に設置される必要はなく、2以上の電柱61または支線62に跨る領域に設置されても、電柱61や支線62以外の設備、例えば、金網フェンスの近傍に設置されてもよい。
【0046】
また、光源12は、球状である必要はない。例えば、面発光するLEDのように板状の光源12を用いてもよく、その場合には、反射部材13を用いなくても指向性を有する光が得られる。光源12はまた、支柱11の上端または上端の近傍に支持される必要はない。光源12はLEDにより形成されている必要はなく、例えば、白熱電球や蛍光灯でもよい。
【0047】
また、反射部材13は、光源12から放射された光を規制するものであれば、傘状や錐状を呈している必要はなく、例えば、1枚の板からなるものや、2枚以上の板を組み合わせたものであってもよい。
【0048】
また、誘導部材20の数は、支柱11に巻き付くつる性植物50を誘導するのに適していれば、4本に限られない。
【0049】
また、自動点滅器16の代わりに、時間に応じて光源12をオン・オフさせる切替装置を用いてもよい。例えば、切替装置にタイマーを内蔵しておいて、あらかじめ設定しておいた時間(たとえば午後6時と午前6時)になると光源12を点灯させたり消灯させたりし、あるいは、季節ごとに点灯と消灯の時間を設定しておいて、予め設定しておいた時間が到来すると点灯したり消灯したりするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 誘導装置
11 支柱
12 光源
13 反射部材
15 太陽光発電システム
16 自動点滅器
50 つる性植物
61 電柱
62 支線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8