(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の「発明を実施するための形態」は、その一部を成す添付の図面への参照を含む。図面は、流体マニホルドおよび燃料電池燃料システムと方法が実践され得る具体的な実施形態を例として示す。“実施例”もしくは“オプション(選択肢)”とも称されるこれらの実施形態は、当業者が本発明を実践できるように充分詳細に記載される。実施形態は組み合わされてもよく、他の実施形態が利用されてもよく、あるいは本発明の範囲から逸脱することなく、構造的もしくは論理的変更がなされてもよい。従って以下の「発明を実施するための形態」は、限定的な意味でとられるものではなく、本発明の範囲は添付の請求項とその法的均等物によって規定される。
【0007】
本文書では、“a”もしくは“an”という用語は一つもしくは一つよりも多くを含むために使用され、“or”という用語は、特に他に指定のない限り、非排他的な“or”をあらわすために使用される。加えて、当然のことながら、本明細書で採用される、他に規定のない表現や用語は、限定ではなく説明のみを目的とする。
【0008】
本明細書では流体マニホルドが提供される。以下の実施例では、電気化学電池システム用の燃料マニホルドが論じられる。しかしながら、流体マニホルドは必ずしもそれ程限定されず、他の種類の流体制御システム、もしくは流体管理を必要とする他の種類のシステムで使用できる。例えば、流体マニホルドは、水、酸化剤、もしくは熱伝導流体を含むが限定はされない、他の種類の流体の供給もしくは除去に使用できる。例えば、流体マニホルドは、燃料マニホルド、熱伝導マニホルド、酸化剤マニホルド、もしくは排水マニホルドを含むが限定はされない。
【0009】
[定義]
本明細書で使用される“流体”という用語は、その分子が互いに自由に行き来し、その容器の形状をとる傾向があるような、途切れのない無定形物質のことをあらわす。流体は、気体、液化ガス、液体、もしくは加圧液体であってもよい。流体の実施例は、流体反応物質、燃料、酸化剤、および熱伝導流体を含んでもよい。燃料電池で使用される流体燃料は、水素の気体もしくは液体、および任意の適切な流体形態の水素担体を含んでもよい。流体の実施例は、空気、酸素、水、水素、メタノールやエタノールなどのアルコール、アンモニア、アミンやヒドラジンなどのアンモニア誘導体、ジシランやトリシランやジシラブタンなどのシラン類、水素化ホウ素アルミニウムなどの錯体金属水素化物化合物、ジボランなどのボラン類、シクロヘキサンなどの炭化水素、ドデカヒドロ-n-エチルカルバゾールなどのカルバゾール、および他の飽和環状炭化水素、飽和多環式炭化水素、シクロトリボラザンなどの飽和アミノボラン類、ブタン、水素化ホウ素ナトリウムや水素化ホウ素カリウムなどの水素化ホウ素化合物、およびギ酸を含む。
【0010】
本明細書で使用される“流体容器”という用語は、流体を貯蔵するための装置をあらわしてもよい。流体容器は、流体を物理的にもしくは化学的に貯蔵してもよい。例えば、流体容器は流体を活性物質粒子内に化学的に貯蔵してもよい。
【0011】
本明細書で使用される“活性物質粒子”という用語は、水素もしくは他の流体を貯蔵できる物質粒子、または、水素もしくは別の流体を吸蔵および脱着し得る物質粒子をあらわす。活性物質粒子は、化学吸着、物理吸着、もしくはこれらの組み合わせによって水素などの流体を吸蔵する、流体貯蔵物質を含んでもよい。いくつかの水素貯蔵物質は、温度変化、熱変化、もしくは圧力変化などの刺激に反応して水素を脱着する。刺激に反応して水素を放出する水素貯蔵物質の実施例は、金属水素化物、化学水素化物、適切なマイクロセラミック、ナノセラミック、窒化ホウ素ナノチューブ、金属有機構造体、パラジウム含有物質、ゼオライト、シリカ、アルミナ、グラファイト、ならびに、適切なカーボンナノチューブや炭素繊維、カーボンエアロゲル、活性炭、ナノ構造炭素などの炭素系可逆流体貯蔵物質、またはこれらの任意の組み合わせを含む。粒子はまた、水素と接触して金属水素化物を形成できる、金属、金属合金、金属化合物、これらの合金もしくはこれらの組み合わせも含んでもよい。活性物質粒子は、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、カルシウム、ホウ素、炭素、ケイ素、遷移金属、ランタニド、金属間化合物、これらの固溶体、もしくはこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0012】
本明細書で使用される“吸蔵(“occlude”もしくは“occluding”もしくは“occlusion”)”という用語は、流体などの物質の吸収もしくは吸着、ならびに保持をあらわす。例えば水素が吸蔵される流体であってもよい。流体は、例えば化学吸着もしくは物理吸着などによって、化学的もしくは物理的に吸蔵されてもよい。
【0013】
本明細書で使用される“脱着(“desorb”もしくは“desorbing”もしくは“desorption”)”という用語は、吸収もしくは吸着された物質の除去をあらわす。例えば水素が活性物質粒子から除去されてもよい。水素もしくは他の流体は、例えば物理的もしくは化学的に結合されてもよい。本明細書で使用される“接触”という用語は、物理的、化学的、電気的に接すること、もしくは充分に接近することをあらわす。流体は容器に接触してもよく、その中で例えば流体は容器の内部で物理的に力を加えられる。
【0014】
本明細書で使用される“複合水素貯蔵物質”という用語は、結合剤と混合される活性物質粒子をあらわし、結合剤は活性物質粒子間の相対的な空間関係を維持するために充分な程度に活性物質粒子を固定化する。活性物質粒子は、例えば金属水素化物など、水素を貯蔵できる物質粒子、または水素を吸蔵および脱着し得る物質粒子である。活性物質は、水素と接触して金属水素化物を形成できる、金属、金属合金、もしくは金属化合物であってもよい。金属水素化物は、遷移金属、アルミニウム、ランタニド、カルシウム、バナジウム、イットリウム、マンガン、および任意の他の適切な元素を含んでもよい。例えば、活性物質はLaNi5、FeTi、ミッシュメタル、MmNi
5などの金属の混合物もしくは鉱石であってもよく、Mmはランタニドの混合物をあらわす。活性物質粒子は、化学吸着、物理吸着、もしくはこれらの組み合わせによって水素を吸蔵し得る。活性物質粒子はまた、シリカ、アルミナ、ゼオライト、金属有機構造体、グラファイト、炭素繊維、カーボンエアロゲル、活性炭、ナノ構造炭素、マイクロセラミック、ナノセラミック、窒化ホウ素ナノチューブ、パラジウム含有物質、もしくはこれらの組み合わせを含んでもよい。複合水素貯蔵物質の実施例は、2006年4月24日出願の共有の米国特許出願No. 11/379,970に見られる。
【0015】
図1Aを参照すると、電気化学電池システム100などの電気化学電池システムの一実施例が示される。電気化学電池システムという用語が本明細書で使用されるが、このシステムはいかなる電気化学電池システムにも使用できることに留意すべきである。電気化学電池システム100は、燃料電池102、燃料電池燃料システム104、チャージポート106、燃料貯蔵装置108のうちの一つ以上を含む。燃料電池燃料システム104は層構造を含み、この層構造は、少なくとも一つの圧力調節器、少なくとも一つのチェック弁、少なくとも一つのフロー弁を含むが限定はされない。一 オプションでは、少なくとも一つの圧力調節器、少なくとも一つのチェック弁、少なくとも一つのフロー弁は、一緒に積み重ねられた、共に動作可能なように相互作用する、特徴層(featured layer)を含む。電気化学電池システム100は、燃料貯蔵装置108などの燃料容器114に流体結合した燃料マニホルド120などのマニホルド118をさらに含む。マニホルド118は燃料電池102とも流体結合する。燃料マニホルドと燃料貯蔵装置の流体結合は、圧縮シール、接着接合、もしくははんだ接続を含むことができるが限定はされない。燃料マニホルドが一実施例として論じられるが、マニホルドは、限定はされないが水、酸化剤、もしくは冷却流体などの他の種類の流体を、分布、供給、もしくは除去するためにも使用できる。
【0016】
圧力によって作動する弁など、流体結合を取り外し可能なように結合するための装置を使用できる。例えば、圧力によって作動する一方向弁は、例えば流体燃料などの流体が、燃料貯蔵システム用の流体容器の中へと流れることを可能にする。燃料補給中、燃料は流体容器の中へ流れることはできるが、燃料は燃料容器から逆流することはできない。一オプションでは、流体容器が燃料で過剰に加圧される場合は、燃料の流れは流体容器から逆流することが許される。
【0017】
外部燃料補給装置は、密封面の一部分に対してシールを形成でき、例えば入口の周囲を、Oリングもしくはガスケットなどのシールで密封できる。燃料は燃料制御システムに導入され、燃料の流体圧力が圧縮性部材を圧縮し、圧縮性部材と外側カバーの間のシールを壊す。別のオプションでは、外側カバーの外部を取り巻く環境が燃料で加圧され、燃料補給弁アセンブリを通して燃料容器の中へと燃料を押し込んでもよい。
【0018】
燃料補給プロセスが完了すると、燃料補給器具は弁アセンブリから取り外され、弁は閉じられる。例えば、圧縮性部材が減圧し、燃料容器からの流体圧力が、燃料出口ポートを通って、圧縮性部材に圧力を加え、圧縮性部材を外側カバーに対して押し付ける。圧縮性部材の減圧および/または容器からの流体圧力は、圧縮性部材と外側カバーの間にシールを作り、燃料が圧縮性部材を通過して燃料入口ポートの中へ流れないようにする。別のオプションでは、燃料容器内の圧力が大き過ぎる場合、もしくは所定の量よりも大きい場合、意図的に故障するように圧縮性部材および/または流体拡散部材を設計できる。
【0019】
別のオプションでは、システムを別の部品に結合するために流体結合アセンブリを使用できる。結合アセンブリは、第一の結合部材、第二の結合部材、およびこれらの間の密封部材を含む。第一の結合部材と第二の結合部材は、引き付けあう極性を持つ第一の磁気部材と第二の磁気部材を用いるなど、磁気的に係合可能である。第一の結合部材と第二の結合部材の係合は、その間に流体流路を開く。結合部材が離れるとき、この流体流路は密封される。
【0020】
さらなるオプションでは、システムは流体容器と接触するための歪み吸収境界面(strain absorbing interface)404を含む。例えば、境界面は剛体もしくは半剛体の部品と可撓性流体容器のために使用される。境界面は、流体容器に水素を入れる際の流体容器内の寸法の変化によるあらゆる歪みを吸収する。燃料電池連絡用の取付具もしくは流体装置などの剛体部品は、可撓性境界面を通して流体容器に結合でき、機械的応力によるせん断の危険がない。可撓性境界面は、より多くの部品構成と部品適用を可撓性流体容器で使用できるようにする。可撓性境界面は、歪みを吸収し、部品と容器の間の接続を支持する。
【0021】
図6を参照すると、いくつかの実施形態に従う、可撓性流体容器境界システム400の断面図が示される。システム400は、歪み吸収境界面404と第一の側面で接触する可撓性流体容器406を含む。第二の側面では、境界面404は特徴層402と接触し得る。特徴層は複数の特徴層を含んでもよく、または、機能的制御システム部品をあわせて形成する一つ以上の特徴層を含んでもよい。容器406と特徴層402を接続する任意の流体接続408が境界面404内に配置されてもよい。
【0022】
流体容器は可撓性であってもよい。例えば、可撓性流体容器は流体を貯蔵するための可撓性ライナーを含んでもよい。流体容器は、例えば交換式燃料カートリッジ、ディスペンサーカートリッジ、使い捨て燃料アンプル、詰め替え式燃料タンク、もしくは燃料電池カートリッジなどの燃料カートリッジを含むことができる。燃料カートリッジは、燃料電池もしくは燃料電池層に接続可能な可撓性ライナーを含んでもよい。燃料カートリッジはまた、カートリッジを燃料電池、燃料電池層、もしくは詰め替え装置へと接続するための接続弁も含んでもよい。流体容器406は、例えば外壁を複合水素貯蔵物質に適合するように結合させることによって形成される容器であってもよい。
【0023】
“適合するように結合(conformably coupled)”とは、二つの部品間に実質的に均一な接着を形成し、対応する形状もしくは形態で化学的もしくは物理的に結合するような方法で取り付けられることをあらわす。構造充填材もしくは複合水素貯蔵物質は、例えば容器外壁に適合するように結合されてもよく、その中で容器外壁は構造充填材もしくは複合水素貯蔵物質に化学的もしくは物理的に結合し、その形状をとる。容器外壁は、容器からの流体の拡散を少なくとも部分的に遅らせる役目を持つ、流体容器内の最外層である。容器外壁は、同じ物質もしくは異なる物質の多層を含んでもよい。容器外壁は例えばポリマーもしくは金属を含んでもよい。流体は例えば水素であってもよい。そのような容器の実施例は、2006年6月23日出願の共有の米国特許出願No. 11/473,591に見られる。
【0024】
歪み吸収境界面404は、自身を可撓性にし、歪みを吸収し、容器406と特徴層402に接着することを可能にする任意の適切な材料で製造されてもよい。選ばれる材料は、特徴層402と容器406との間に、物理的もしくは化学的な適切な接着をもたらすべきであり、また、容器壁の歪みと特徴層402の剛性との間の歪みの差を許容して、いかなる接着にかかるせん断応力もその接着の強度を超えないようにするべきである。境界面404は例えばエラストマー材料もしくはケイ素材料で製造されてもよい。エラストマー材料は、例えば熱可塑性エラストマー、ポリウレタン熱可塑性エラストマー、ポリアミド、溶融加工可能なゴム、熱可塑性加硫物、合成ゴムおよび天然ゴムを含んでもよい。合成ゴムの実施例は、ニトリルゴム、VitonRゴム(E.I. DuPont de Nemours, a Delaware corporationから購入可能)などのフルオロエラストマー、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム(EPDMゴム)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、およびフッ化炭素ゴム(FKM)を含んでもよい。
【0025】
流体容器406が流体を充填されるか、もしくは補充されると、容器406の寸法は増大する(
図7参照)。歪み吸収境界面404は、厚さ412などの寸法が変形もしくは変化し得る。歪んだ境界面414はその後、容器406と特徴層402との間に、一貫したより応力の少ない接触を維持する。その後、境界面414が容器406の動きによって生じる歪みを吸収するにつれ、特徴層402は歪みをほとんど受けなくなる。境界面414は、容器406の寸法の変化によって生じる歪みの全てもしくは少なくとも一部を吸収してもよい。
【0026】
特徴層402は、例えば任意の付属品、取付具、連結器、弁、調節器、圧力除去装置、平面マイクロ流体装置、プレート、または、容器を出入りする流体容器からの流体の流れを制御し得る任意の装置、またはこれらの組み合わせであってもよい。流体の実施例は、気体、液化ガス、液体もしくは加圧液体を含むが限定はされない。流体の実施例は、流体反応物質、燃料、酸化剤、および熱伝導流体を含んでもよい。燃料電池で使用される流体燃料は、水素の気体もしくは液体、および任意の適切な流体形態の水素担体を含んでもよい。多数の境界面404および多数の特徴層402が一つ以上の流体容器406と併用されてもよく、ここで特徴層は、限定はされないが流体制御システム、マニホルド、圧力調節器、チェック弁などの機能部品を形成する。別のオプションでは、境界面404を、流体制御システム、燃料電池、もしくは流体容器の入口に結合できる。
【0027】
図1Bは、マニホルド118のさらなる実施例を図示する。燃料電池アセンブリ100は、マニホルド118によって圧力調節器部品116などの流体制御装置に流体結合された流体容器114を含む。一つ以上の流体制御部品は、流体制御システム、入口、出口、チェック弁部品、フロー弁部品、チャージ弁部品、圧力除去部品、導管、開閉弁、手動開閉弁、もしくは熱除去部品を含むことができるが、限定はされない。
【0028】
圧力調節器116はマニホルド118を介して燃料電池102に流体結合する。マニホルド118は一つ以上の導管チャネル130
(以下、マイクロ導管チャネルとも言う。)を中に含む。さらなるオプションでは、圧力調節器部品116と燃料電池102に流体結合したマニホルド118は、少なくとも一つのフィードバックチャネル129と供給チャネル133をさらに含むことができる。供給チャネル133は、燃料などの流体を燃料電池102へ供給する。フィードバックチャネル129は、燃料プレナム内の圧力から圧力調節器部品116へのフィードバックに基づいて調節器がパイロット操作される(piloted)ことを可能にし、電気化学電池システムの流体プレナムに流体結合する。電気化学電池システム100の部品の各々は、上記および下記で論じられる可撓性層構造によって形成できる。さらなるオプションでは、一つ以上の導管チャネル130は気体導管チャネルを含む。
図4および
図5に示すように、導管チャネルもしくは供給チャネルを含む多数のポートやチャネルが可能である。
【0029】
図2を参照すると、燃料マニホルド120などのマニホルド118は、多数の薄い可撓性特徴層で形成される層構造を含む。層構造は小さくされ、層の製造および組立に、ナノ製造技術および/またはマイクロ製造技術を利用できる。例えば、層の製造および/または組立用のプロセスは、マイクロ流体応用プロセス、もしくは、エッチングなどのプロセスが後続するマスク形成用の化学蒸着を含むが限定はされない。加えて、薄層構造の製造で使用するための材料は、ケイ素、ポリジメチルシロキサン、パリレン、もしくはこれらの組み合わせを含むが限定はされない。
【0030】
特徴層は一つ以上の特徴を含む。一オプションでは、層構造の特徴層は、特徴層が気密性であるように気密シールを提供する。例えば、流体を通さない接着が層に提供される。別の実施例では、接着は350 psiもしくは250 MPa以下で水素もしくは任意の他の流体を実質的に通さないものであってもよい。流体の実施例は、水素、メタノール、ギ酸、ブタン、ホウ化水素、水、空気、もしくはこれらの組み合わせを含むが限定はされない。別のオプションでは、接着は150 psiもしくは1.03 MPa以下で流体を実質的に通さない。なおも別のオプションでは、接着は15〜30 psiもしくは 0.10〜 0.21 MPa以下で流体を実質的に通さない。層構造は、マニホルドが不必要な体積や不必要に大きな設置面積を占めないようなサイズであることを可能にし、さらに燃料電池燃料供給システムのための圧力、体積、温度の必要条件が満たされることを可能にする。多数の層は、熱接合、接着剤、はんだ付け、超音波溶接などによって連結できる。
【0031】
マニホルド118は比較的薄い材料層で作ることができ、マニホルド118を可撓性にすることができる。一オプションでは、マニホルド118、および/またはマニホルド118を構成する特徴層、例えば限定はされないが導管層122および/または障壁層などは、約1〜5 mmの曲げ半径を持つのに充分な程度に可撓性である。さらなるオプションでは、マニホルド180、および/または特徴層、および/または導管層122、および/または障壁層は、一つの特徴層の厚さの約2倍以上の曲げ半径を持ち、厚さは随意に1 mmから200ミクロン未満である。可撓性マニホルドは部品の周囲で曲げることができ、もしくは部品の周囲に巻きつけることができ、より多数のアセンブリオプションを電気化学電池システムに提供する。
【0032】
流体マニホルド118は、第一の側面124と第二の側面126によって部分的に画定される、導管層122などの少なくとも一つの特徴層を含む。一オプションでは、少なくとも一つの導管層122は、例えば長さと幅と比較して、比較的薄い。一実施例では、少なくとも一つの導管層122の厚さは一般的に約1 mm未満である。別の実施例では、少なくとも一つの導管層122の厚さは約5μm〜1 mmである。一実施例では、層122の幅と長さはそれぞれ約1 mmと100 mmである。別の実施例では、少なくとも一つの導管層122の厚さは約100μmであり、層122の幅と長さはそれぞれ約1 mmと1.5 mmである。幅および/または長さは、マニホルド118が組み込まれるシステムの形状のために変更できる。
【0033】
さらなるオプションでは、層の厚さは約10〜500ミクロンであり、高さもしくは幅もしくはチャネル深さなどの導管チャネルの寸法は、約50ミクロンから1 mmである。マニホルドの幅が導管チャネルの寸法の約30倍よりも大きくなるように、層は非常に平面的である。別のオプションでは、マニホルドの平面部分の幅は導管チャネルの寸法の3倍よりも大きい。
【0034】
少なくとも一つの導管層122は、中に少なくとも一つの導管チャネル130を含む。一オプションでは、導管層122は複数の導管チャネル130を一つの導管層122の中に含み、さらなるオプションでは、複数の導管層122の各々の中に含む。複数の導管チャネル130は、一つの層内で互いに隣接して配置される。少なくとも一つの導管チャネル130はまた、凹部もしくは部分的な凹部もしくはチャネルであってもよく、流体などの物質が通って流れることができるような導管チャネルである。少なくとも一つの導管チャネル130は、一オプションでは、
図2および
図3Aに示すように導管層122を通って第一の側面124から第二の側面126まで及ぶ。別のオプションでは、少なくとも一つの導管チャネル130は、
図3Bに示すように部分的にのみ導管層122の側面内に及ぶ。なおも別のオプションでは、導管層122は一つの導管層内に二つ以上の導管チャネル130を含む。例えば、第一の側面124から第二の側面126まで及ぶ二つ以上の導管チャネル130を、
図4に示すように導管層122内に配置できる。二つ以上の導管チャネル130は、導管層122の一側面内に部分的に及ぶ凹部を含むことができ(
図3B)、および/または、導管チャネル130は層122を通って(すなわち、第一の側面124から第二の側面126を通って)のびることができる。特徴層内に部分的に及ぶ導管チャネル130は、随意に互いに流体結合できる。
【0035】
二つ以上の導管チャネル130は、導管層122などの特徴層内に、導管層122内で互いに干渉しないように形成できる。あるいは、二つ以上の導管チャネル130は、導管層122などの特徴層内に、互いに干渉するかもしくは導管層122内で流体結合されるように形成できる。導管チャネル130は導管層122に沿ってのび、流体もしくは燃料などの物質がそこを通って流れることを可能にする。一オプションでは、導管チャネル130および/またはポートは、そこを通る流れが非制限的であるようなサイズと位置であり、これは上記もしくは下記で論じられる実施形態のいずれとも組み合わせることができる。例えば、導管チャネル130および/またはポートは、チャネルもしくはポートの断面サイズを変えることによってそこを通る流れが制限されないように、マニホルド全体にわたって同様のサイズである。さらなるオプションでは、導管チャネルは供給チャネルであり、チャネルは燃料などの流体を供給する。さらなるオプションでは、導管チャネルは、例えば燃料電池燃料プレナム内の圧力に基づいて調節器の作動を変えるためのフィードバックチャネルを含む。なおも別のオプションでは、導管チャネルは気体導管チャネルである。
【0036】
さらなるオプションでは、導管チャネルは非制限的な流れを可能にする表面を持つチャ
ネルを含む。例えば、導管チャネルはチャネルの水力直径の1/50thである表面粗度を持つ。さらなるオプションでは、導管チャネル用の流体は、水素を含むが限定はされない、チャネルの抑制能力を減少させる低粘度流体などの気体を含む。
【0037】
別のオプションでは、第一の凹部132などの導管チャネルを導管層122の第一の側面124上に形成でき、第二の凹部134を導管層122の第二の側面126上に形成でき、ここで第一の凹部132と第二の凹部134は必ずしも第一の側面124から第二の側面126まで及ぶ必要はない。
図3Cに示す実施例では、部分的な導管チャネルもしくは凹部136が導管層122の対向側面上に配置され、物質が第一の側面124上の凹部と第二の側面126上の凹部を介してそこを通って移動することを可能にする。
【0038】
導管層122は、別のオプションでは、金属、プラスチック、エラストマー、もしくは複合体、もしくはこれらの組み合わせで形成される。少なくとも一つの導管チャネル130は、一オプションでは層122内に、および/または層122を通して形成される。例えば、少なくとも一つの導管チャネル130は、層122内に、および/または層122を通して、エッチングもしくはプレス(stamp)することができる。別のオプションでは、少なくとも一つの導管チャネル130は、層内に、および/または層を通してドリルするか、レーザーで形成するか、層122内に成形するか、層122を打ち抜く(die cutting)か、あるいは層122内に、および/または層122を通して機械加工することができる。一オプションでは、少なくとも一つの導管チャネル130は凹部の深さの約5から50倍の幅を持つ。別のオプションでは、少なくとも一つの導管チャネル130は約1 mm〜2 mmの幅を持つ。なおも別のオプションでは、少なくとも一つの凹部は約50〜100μmの幅を持つ。
【0039】
マニホルド118の特徴層の一つは、
図2に示すように、少なくとも一つの障壁層140をさらに随意に含む。障壁層は、例えば導管チャネル130の壁部分など、導管チャネル130の一部分を画定する。さらなるオプションでは、マニホルド118は導管層122の対向側面上に配置された第一の障壁層142と第二の障壁層144を含む。例えば、第一の障壁層142は導管層122の第一の側面124に対して隣接するとともに 密封し、第二の障壁層144は導管層122の第二の側面126に対して隣接するとともに密封する。これにより、導管チャネル130が取り囲まれ、材料が通って移動する導管を形成できる。障壁層142、144は、例えば限定はされないが接着剤、接合技術、もしくはレーザー溶接を用いて、導管層122に結合できる。さらなるオプションでは、障壁層142、144と、導管層122などの特徴層は一緒に積み重ねられ、さらに随意に一緒に密封される。例えば、層122、142、144は積み重ねられ、随意に熱接合、接着接合、接着(gluing)、はんだ付け、超音波溶接、拡散接合、ヒートシールなどを通して連結される。さらなるオプションでは、層122、142、144はシアノアクリレート接着剤を用いる接着によって結合される。なおも別のオプションでは、層122、142、144を積み重ね、MEMSおよび/または集積回路でなされるように選択的にエッチングすることができる。
【0040】
層122、142、144は、一オプションでは、機能部品、導管チャネルもしくはポートも一緒に接合されることなく層を接合できるように、接着剤もしくは他の接合剤を流すことができる一つ以上の接合領域を含む。さらなるオプションでは、一つ以上の特徴層は、接合領域を機能領域から分離し、および/または接合材が機能領域に入ることを妨げる、リッジ(ridge)もしくは凹部などの物理的障壁、および/または化学的障壁などの障壁特徴を含むが、限定はされない。
【0041】
さらなるオプションでは、特徴層は、中に一つ以上のポート150を含む障壁層142、144のうちの一つ以上を形成できる。例えば、一つ以上のポート150は入口152と出口154を含むことができる。入口152と出口154は、導管チャネル130に流体結合するように障壁層144内に配置される。例えば、入口152および/または出口154は、例えば
図2および
図4に示すように、別の特徴層の少なくとも一つの導管チャネルに隣接して配置される。流体燃料などの物質は、入口152を通って中に入り、導管チャネル130を通って、出口154から出ることができる。一つ以上のポート150は、マニホルド118と、マニホルド120が結合される部品(例えば限定はされないが燃料貯蔵装置108(
図1)もしくは燃料電池102(
図1)などの流体容器)との間に流体連絡を提供する。一つ以上のポート150はさらに、例えば様々な特徴層との間の流体連絡をマニホルド118内に提供できる。マニホルド118が、例えば燃料電池層上の多数の位置に供給できるように、一つの入口と多数の出口がある流体分布システムとしてマニホルド118を使用できることに留意すべきである。マニホルド118と使用可能な流体は、燃料、水素、水、冷却剤、もしくは酸化剤を含むが限定はされない。
【0042】
さらなるオプションでは、濾材131を流路の一部分に組み込むことができる。例えば、濾材131は
図3Aに示すように導管チャネル130内に配置できる。別のオプションでは、濾材131は入口152などのポート150内に配置できる。濾材131は多孔質基体もしくは流れ抑制部材(flow constricting element)を含むことができる。別のオプションでは、濾材131は導管チャネル130を画定できる。導管チャネル130および/またはポート150内に配置される濾材131は、例えば燃料マニホルド120が燃料電池アセンブリ内で自身もしくは他の部品の周囲に曲げられるときに、導管チャネル130および/またはポート150の崩壊の防止に役立つ。さらなるオプションでは、導管チャネル130は導管層122に沿ってのび、導管チャネル130は長さによって画定される。濾材131は、一オプションでは、導管チャネル130の一部分もしくは全長に沿ってのびる。一オプションでは、濾材131は多孔質基体である。
【0043】
図4と
図5は、流体マニホルドが多数の特徴層を含む、マニホルド118のさらなるオプ
ションを図示する。
図4を参照すると、燃料マニホルド120は、少なくとも一つの導管層122、第一の障壁層142、第二の障壁層144を含む。第一の障壁層142と第二の障壁層144は中に一つ以上のポート150を含む。少なくとも一つの導管層122は、第一の凹部132、第二の凹部134、第三の凹部136などの導管チャネルを含む。第一の凹部132、第二の凹部134、第三の凹部136は、導管層122内に一定パターンでのび、層が一緒に積み重ねられるときにその各ポートがぴったりと一致し、流体連絡が生じるようになっている。障壁層142、144は、例えば限定はされないが接着剤、接合技術、もしくはレーザー溶接を用いて導管層122に結合できる。さらなるオプションでは、障壁層142、144および導管層122は一緒に密封される。
【0044】
図5は、多数の特徴層も含むマニホルド118の別の実施例を図示する。例えばマニホル
ド118は、少なくとも二つの導管層122、第一の障壁層142、第二の障壁層144、第三の障壁層146を含む多数の特徴層を含む。本明細書の様々な実施形態のための導管層122は障壁層および導管層として機能でき、ポートもしくは導管チャネル、もしくは部分的に埋め込まれたチャネルなどの様々な特徴は、特徴層のうちの一つ以上において、単独でもしくは組み合わせて形成できる。層は少なくとも一つの導管チャネルを含む。導管チャネルは供給チャネルもしくはフィードバックチャネルを含むが限定はされない。
【0045】
第一の導管層が第一の障壁層142と第二の障壁層との間に配置され、第二の導管層が第
二の障壁層144と第三の障壁層146との間に配置される。追加の物質の流れのオプション用に、導管層と障壁層を含む追加層をマニホルド118の中に組み込むことができることに留意すべきである。
【0046】
第一の障壁層142および/または第二の障壁層144は一つ以上のポート150を中に含む。第三の障壁層146は中に一つ以上のポート150をさらに含むことが可能である。ポート150は、物質がマニホルド120を出入りして流れることを可能にし、さらに多数の導管層122の間を流れることを可能にする。少なくとも一つの導管層122は一つ以上の凹部130を中に含む。多数の凹部は、例えば層を一緒に積み重ね随意に層を密封することによって、層が接合されるときに、その各ポートを一直線に並べる。
【0047】
障壁層142、144、146は、例えば限定はされないが接着剤、接合技術、もしくはレーザー溶接によって導管層122に結合できる。さらなるオプションでは、障壁層142、144、146および導管層122は一緒に密封される。特徴層および/または障壁層および/または導管層を含む様々な層は流路を可能にする。一オプションでは、第一の流路は気体などの流体をさらに二つの層上に分布させ、ここで第一の流路は第一の特徴層から第二の特徴層まで及ぶ。なおも別のオプションでは、流路は第二の特徴層から第一の特徴層へ戻る。さらに別のオプションでは第一の流路は第二の流路を迂回する。
【0048】
流体マニホルドは、比較的小容量の空間において燃料分布を可能にする層構造を提供する。例えば、燃料システムは約50〜100μmの総厚で作ることができ、あるいは別の実施例では総厚は約20〜100μmである。燃料電池燃料マニホルドはさらに、一定レベルの圧力を維持しながら、気体などの燃料の輸送を可能にする。例えば、圧力を2〜10 psigの範囲にしつつ、燃料マニホルドの層構造を通して水素気体を分布させることができる。
【0049】
流体マニホルドは燃料電池もしくは他のシステム部品と相互作用し、あるいは、部品を引き離している内部の流体圧力による力が、接着接合の強度によって容易に克服されるように、比較的大きな表面積にわたってはたらく接着剤を用いて、燃料電池もしくは他のシステム部品に結合できる。高い内圧は比較的低い引張強度を持つ接合で打ち消すことができる。
【0050】
方法は、各々が複数の導管チャネルを持つ二つ以上の特徴層を含む流体マニホルドの中に、燃料などの流体を導入することを含む。一実施例では、燃料は水素、メタノール、アンモニア、シラン、ギ酸、ブタン、もしくはホウ化水素などの気体を含むが限定はされない。方法は、導管チャネルを通して流体を流すことをさらに含む。導管チャネルは、燃料チャネル、フィードバックチャネル、もしくは供給チャネルを含むが限定はされない。
【0051】
方法のいくつかのオプションは以下の通りである。例えば、方法は燃料電池アセンブリに燃料を供給することを随意に含み、燃料マニホルドは燃料電池に流体結合される。方法は、第一の導管層の第一の層の凹部から第二の導管層の第二の層の凹部まで物質を流すこと、および/または一つ以上の導管チャネルのうちの少なくとも一つの内部の多孔質気体を通して物質を流すこと、および/または導管チャネルを通して電気化学電池システムへ熱伝導流体を供給すること、を随意に含む。方法はさらに、導管チャネルを通して電気化学電池システムへ酸化剤を供給すること、もしくは導管チャネルを通して電気化学電池システムから水を除去することを随意に含む。
【0052】
方法のさらなるオプションは以下の通りである。例えば、一つ以上の導管チャネルを通して流体を流すことは、導管層内の部分的に埋め込まれたチャネルに沿って流体を流すことを含み、および/または、一つ以上の導管を通して流体を流すことは、第一の側面内の第一の部分的チャネルに沿って、かつ第二の側面内の第二の部分的チャネルに沿って、物質を導くことを含む。別のオプションでは、方法はチャージポートに結合すること、および/または燃料貯蔵装置に結合することをさらに含む。なおも別のオプションでは、方法は少なくとも第一の流路を介して二つ以上の層上に流体を分布させることをさらに含み、第一の流路は第一の特徴層から第二の特徴層まで及び、第二の特徴層から第一の特徴層へ戻る。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態の説明では、本明細書の一部を成す添付の図面を参照しており、その図面においては、実践され得る本発明の具体的な実施形態が例として示される。図面において、類似する数字は複数の図にわたって実質的に同様の構成要素を説明する。これらの実施形態は、当業者が本発明を実践できるように充分詳細に記載される。他の実施形態が利用されてもよく、本発明の範囲から逸脱することなく、構造的、論理的、および電気的な変更がなされてもよい。「発明を実施するための形態」は限定的な意味でとられるものではなく、本発明の範囲は、添付の請求項が権利付与される均等物の全範囲と共に、請求項によってのみ規定される。