(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、経済が活性している地域では、高層マンションの建設や橋桁の架設等、多くの公共施設の工事が一斉に行われている。例えば、高層マンションを建設する場合には、タワークレーン、コンクリートプラント、電子機器、照明等の電力駆動装置を用いるため、大きな電力が必要になる。そして、大きなプロジェクトになると、特定の地域の中で、複数の高層マンションがほとんど同時期に建設される。このため、大きな電力をそれぞれの工事現場に供給できる電力供給源が求められる。
【0003】
従来、電力供給源としてエンジンで発電機を駆動して発電する発電装置を用い、一つの工事現場(高層マンション)に対して一つの発電装置を設けて、電力の供給を確保している。つまり、複数の高層マンションを建設する場合には、工事現場毎にそれぞれ発電装置を設けている。そして、各発電装置は、その発電量が対応する工事現場で必要な最大負荷電力に合うように、選定されている。こうして、各発電装置が過負荷になることがなく、各工事現場で停電しないようになっている。しかし、一つの発電装置で一つの工事現場で必要な電力をまかなっているため、仮にその発電装置が故障すると、その工事現場の工事が中止するという問題点があった。
【0004】
ここで、下記特許文献1には、本出願人によるエンジン発電システムが記載されている。このエンジン発電システムでは、
図10に示すように、同一の負荷装置H1に電力を供給するための母線J1が設けられていて、この母線J1に複数の発電装置110,120,130が並列的に接続されている。そして、各発電装置110,120,130は、発電装置110,120,130を並列運転させる制御回路115,125,135を組み込んでいて、
図11に示すように、それぞれ遠方操作盤160に接続されている。なお、並列運転とは、並列的に接続されている発電装置110,120,130を発電させて、母線J1に電力を供給する運転である。
【0005】
このエンジン発電システム101では、各制御回路115、125,135によって、並列運転のうち台数制御運転又は強制運転ができるようになっている。台数制御運転とは、運転中の発電装置110,120,130の負荷率に応じて発電させる発電装置110,120,130の数を増減させる運転である。強制運転とは、運転中の発電装置110,120,130を全て発電させる運転である。各遠方操作盤160には、台数制御運転又は強制運転を行うための自動運転スイッチ163a及び強制運転スイッチ163bが設けられている。
【0006】
こうして、負荷装置H1の負荷電力の変動が緩やかな状況では、各自動運転スイッチ163aを「入」にしたまま、各強制運転スイッチ163bを「切」に切換えることで、台数制御運転を行う。例えば、先行機(最初に発電する発電装置)として発電装置110のみが発電しているときに、負荷装置H1の負荷電力が増加して、発電装置110の負荷率が第1上昇基準値を超えると、起動順序が2番目である発電装置120が、母線J1の電圧、周波数、位相が一致するように同期運転を始める。
【0007】
そして、同期運転が完了すると、発電装置120が発電した電力を母線J1を介して負荷装置H1に供給することができる。その後、負荷装置H1の負荷電力が更に増加して、発電装置110,120の負荷率が第2上昇基準値を超えると、起動順序が3番目である発電装置130が同期運転を始めて、発電装置130の電力も負荷装置H1に供給することができる。
【0008】
一方、負荷装置H1の負荷電力が減少して、発電装置110,120,130の負荷率が第1下降基準値を下回ると、発電装置130が休止し、負荷装置H1の負荷電力が更に減少して、発電装置110,120の負荷率が第2下降基準値を下回ると、発電装置120が休止する。このように、台数制御運転を行うことで、負荷装置H1の負荷電力が小さい状況にも拘わらず、多くの発電装置が過剰に発電し続けることを防止できる。この結果、燃料費を抑えることができるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここで、複数の高層マンションを建設する場合、複数の工事現場にそれぞれ大きな電力を供給するために、上記特許文献1に記載されているエンジン発電システム101を適用することが考えられる。このエンジン発電システム101を適用すれば、複数の発電装置が並列運転することによって、各工事現場で必要な電力をまかなうことができる。これにより、仮に一つの発電装置が故障して停止しても、故障した発電装置に対応する工事現場で電力が供給されなくなる事態を防止でき、その工事現場の工事が中止することを防止できる。しかし、エンジン発電システム101を適用したとしても、以下の問題点がある。
【0011】
即ち、複数の高層マンションをほとんど同時期に建設するような場合、用いる電動駆動装置の数が多くて、各工事現場全体における負荷電力(以下、「全体負荷電力」と呼ぶ)の変動が非常に大きい。しかし、台数制御運転によって発電する発電装置の数が増えるとき、エンジンの始動から同期運転が完了するまでに所定時間必要である。このため、同期運転が完了するまでの所定時間の間に、全体負荷電力が急上昇すると、運転中の発電装置が供給できる電力を超えるおそれがある。
【0012】
この結果、台数制御運転では、運転中の各発電装置が過負荷になり、最悪の事態として各工事現場で停電が発生する可能性がある。一方、予め強制運転を行っていれば、運転中の全ての発電装置が直ぐに発電できるため、全体負荷電力の急上昇に対応できる。しかし、強制運転を続けていると全体負荷電力の変動が緩やかになったときに過剰運転になる。過剰運転では、燃料費が高くなると共に、各発電装置が軽負荷で運転するため、エンジンから未燃焼ガスが発生して故障が生じ易くなる。こうして、全体負荷電力の大きな変動に対応して、強制運転と台数制御運転とを効率的に行うことが難しいという問題点があった。
【0013】
そこで、本発明は上記した問題点を解決するためになされたものであり、複数の工事現場でそれぞれ大きな電力が必要な状況において、各発電装置が過負荷になって停電する事態を確実に防止しつつ、燃料費を抑えることができるエンジン発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係るエンジン発電システムは、複数の工事現場で用いる電力駆動装置に電力を供給するための供給ラインが設けられ、エンジンで発電機を駆動して発電する複数の発電装置が前記供給ラインに並列的に接続され、前記各発電装置には、複数の発電装置を並列運転させる制御回路が組み込まれていて、前記各制御回路には、運転中の発電装置の負荷率に応じて発電させる発電装置の数を増減させる台数制御運転を行う台数制御運転回路と、運転中の発電装置を全て発電させる強制運転を行う強制運転回路とが設けられ、前記各発電装置に接続されていて台数制御運転と強制運転とを手動で切換え可能な遠方操作盤が設けられているものであって、前記遠方操作盤には、強制運転を行う強制運転時間又は台数制御運転を行う台数制御運転時間を入力可能な時間入力部が設けられ、前記時間入力部に入力された強制運転時間又は台数制御運転時間に基づいて、台数制御運転と強制運転とを自動で切換え可能な自動切換制御部が設けられていることを特徴とする。
【0015】
本発明に係るエンジン発電システムによれば、作業員が、例えば一日のうち各工事現場全体における負荷電力(全体負荷電力)の変動を把握しておく。そして、遠方操作盤の時間入力部に対して、全体負荷電力が急上昇する時間を強制運転時間として予め入力しておく。これにより、一日のうち強制運転時間になると、遠方操作盤の自動切換制御部が、強制運転を行うように自動で切換える。こうして、全体負荷電力が急上昇しても、運転中の全ての発電装置が直ぐに発電できるため、全体負荷電力の急上昇に対応できる。この結果、各発電装置が過負荷になって停電する事態を確実に防止できる。
【0016】
一方、一日のうち強制運転時間以外の時間になると、遠方操作盤の自動切換制御部が、台数制御運転を行うように自動で切換える。これにより、全体負荷電力の緩やかな変動に応じて、発電させる発電装置の数が負荷率に応じて増減する。このため、発電装置の負荷率が小さい状況にも拘わらず、多くの発電装置が過剰に発電し続ける過剰運転を防止できて、燃料消費量の減少により燃料費を抑えることができる。
【0017】
また、本発明に係るエンジン発電システムにおいて、前記時間入力部は、台数制御運転で前記複数の発電装置の中から最初に発電させる発電装置を切換えるための切換時間を入力できるように設定されていて、前記自動切換制御部は、前記時間入力部に入力された切換時間毎に、台数制御運転で最初に発電させる発電装置を順番に切換えると良い。
この場合には、作業員が、遠方操作盤の時間入力部に対して、例えば1日のうち午前0時を切換時間として予め入力しておく。これにより、毎日午前0時になると、台数制御運転で最初に発電する発電装置が自動で切換わる。このため、工事期間全体で見ると、複数の発電装置の中で各発電装置の稼働時間が平均化される。この結果、各発電装置の燃料補給及びメンテナンスのタイミングのバラツキを解消でき、整備性を向上させることができる。
【0018】
また、本発明に係るエンジン発電システムにおいて、前記複数の発電装置は、少なくとも1つの予備の発電装置を有し、前記予備の発電装置が停止しているときに前記複数の工事現場で想定される最大負荷電力を供給できるように設けられていると良い。
この場合には、或る期間では、1番目の発電装置を予備の発電装置として停止して整備を行いつつ、その他の発電装置を並列運転させる。また、別の期間では、2番目の発電装置を予備の発電装置として整備を行いつつ、その他の発電装置を並列運転させる。こうして、複数の発電装置のうち、予備の発電装置を順番に停止させて、整備者の都合が良い時間で整備を行うことができる。
更に、複数の発電装置のうち或る発電装置が故障したときには、予備の発電装置で補うことができる。このため、複数の発電装置に対応してそれぞれ予備の発電装置を設ける必要がなくて、少なくとも1つの予備の発電装置で、複数の発電装置全体のバックアップができる。こうして、安価に信頼度が高いエンジン発電システムを構成できる。
【0019】
また、本発明に係るエンジン発電システムにおいて、前記遠方操作盤は、自動モードのオンとオフを選択可能な自動モードスイッチを有していて、前記自動切換制御部は、工事期間の各日にちにおいて台数制御運転を行う時間帯と強制運転を行う時間帯の変動パターンを記憶していて、前記自動モードスイッチがオンに選択されると、前記変動パターンに基づいて台数制御運転と強制運転とを自動で切換えても良い。
この場合には、工事予定表や過去の工事の状況に基づいて、工事期間の各日にちにおいて、台数制御運転を行う時間帯と強制運転を行う時間帯の変動パターンが最適に決定されているとき、作業者は、この変動パターンを自動切換制御部に予め入力して記憶させておく。これにより、自動モードスイッチをオンに選択すれば、工事期間の各日にちにおいて、台数制御運転と強制運転とを最適なタイミングで自動に切換えることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のエンジン発電システムによれば、複数の工事現場でそれぞれ大きな電力が必要な状況において、各発電装置が過負荷になって停電する事態を確実に防止しつつ、燃料費を抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1実施形態>
本発明に係るエンジン発電システムの各実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、第1実施形態のエンジン発電システム1の全体構成図である。エンジン発電システム1は、
図1に示すように、5台の発電装置10,20,30,40,50と遠方操作盤60とを備え、全体として大きな電力を発電可能なパワーステーションになっている。
図2は、
図1の各発電装置10〜50と各工事現場K1〜K5との関係を模式的に示した図である。
【0023】
各発電装置10,20,30,40,50は、
図2に示すように、複数の工事現場K1,K2,K3,K4,K5の電力駆動装置に電力を供給するものである。各工事現場K1〜K5では、それぞれ高層マンションを約1〜2年の工事期間で同時期に建設するプロジェクトが進行していて、高層マンションを建設するために電力駆動装置が稼働している。電力駆動装置は、タワークレーン71、コンクリートプラント72、現場事務所の照明73やパソコン74、屋外照明75、鉄筋加工機、溶接機等である。これら各電力駆動装置71〜75全体を意味するときには、電力駆動装置70と呼ぶことにする。
【0024】
各発電装置10〜50は、各工事現場K1〜K5にそれぞれ一つずつ配置されるものではなく、一箇所にまとめて配置されている。そして、
図2に示すように、各発電装置10〜50は、供給ラインとしての母線L1に並列的に接続されていて、各発電装置10〜50が発電した電力は、母線L1を介して各工事現場K1〜K5の電力駆動装置70に供給することができる。この母線L1によって、動力配線を共通化して、無駄な動力配線を省いている。1台の発電装置の発電量は約300kWであり、エンジン発電システム1全体として、約1500kWの電力を発電することができる。ここで、
図3は、各発電装置10〜50と各工事現場K1〜K5の接続回路を模式的に示した図である。
【0025】
各発電装置10〜50は、
図3に示すように、同様の構成であり、エンジン11,21,31,41,51で発電機12,22,32,42,52を駆動して発電するようになっている。発電機12,22,32,42,52と出力端子13,23,33,43,53の間には、遮断機14,24,34,44,54が設けられていて、各出力端子13〜53が母線L1に接続されている。そして、各発電装置10〜50には、複数の発電装置を並列運転させる制御回路15,25,35,45,55が組み込まれている。
【0026】
各制御回路15〜55の通信端子16,26,36,46,56は、それぞれ信号線S1,S2,S3,S4で接続されていて、各発電装置10〜50の電力、異常の有無、遮断機の状態等のデータが、双方向通信されている。ここで、
図4は、遠方操作盤60の操作パネル60Aを示した正面図であり、
図5は、遠方操作盤60と各発電装置10〜50との接続回路を模式的に示した図である。
【0027】
遠方操作盤60は、各発電装置10〜50から離れた位置で、各発電装置10〜50の運転及び停止を遠隔操作するものである。この遠方操作盤60によって、各発電装置10〜50の集中管理を行うことができる。但し、各発電装置10〜50のコントロールパネル(図示省略)に設けられている運転スイッチや停止スイッチを操作することによっても、各発電装置10〜50を運転及び停止させることができる。遠方操作盤60と発電装置10との接続回路と、遠方操作盤60とその他の発電装置20,30,40,50との接続回路は同様であるため、遠方操作盤60と発電装置10との接続回路を代表して説明する。
【0028】
図5に示すように、発電装置10の制御回路15には、台数制御運転を行うための台数制御運転回路15aが設けられている。発電装置10〜50の並列運転の中には台数制御運転と強制運転とがあり、台数制御運転とは、運転中の発電装置10〜50の負荷率に応じて発電させる発電装置10〜50の数を増減させる運転である。また、制御回路15には、強制運転を行うための強制運転回路15bが設けられている。強制運転とは、運転中の発電装置10〜50を全て発電させる運転である。また、制御回路15には、発電装置10を非常停止させる非常停止回路15cと、遠方操作盤60の発電中表示灯60dを点灯させるための補助接点15dが設けられている。
【0029】
一方、遠方操作盤60は、制御回路15の各制御信号入出力部15eに各通信ケーブル61を介して有線接続されている。そして、遠方操作盤60には、台数制御運転回路15aに対応した台数制御運転接点60aと、強制運転回路15bに対応した強制運転接点60bと、非常停止回路15cに対応した非常停止接点60cと、補助接点15dがオンになったときに点灯する発電中表示灯60dとが設けられている。また、遠方操作盤60に設けられている自動切換制御部62が、台数制御運転接点60aと強制運転接点60bのオンとオフを切換えて、台数制御運転又は強制運転を行うことができるようになっている。なお、遠方操作盤60と制御回路15の有線接続に換えて、遠方操作盤60と制御回路15にそれぞれ無線通信機を接続して、遠方操作盤60と制御回路15とを無線接続しても良い。
【0030】
また、
図4に示すように、遠方操作盤60の操作パネル60Aには、発電装置10に対して、手動で台数制御運転又は強制運転を行うための自動運転スイッチ63a及び強制運転スイッチ63bが設けられている(
図4の最も左側のスイッチ63a,63b)。これにより、発電装置10を手動によって台数制御運転させる場合には、自動運転スイッチ63aを「入」に切換える。この結果、台数制御運転接点60aがオンになって、発電装置10の台数制御運転が開始される。
【0031】
また、発電装置10を手動によって強制運転させる場合には、自動運転スイッチ63aが「入」に切換えられている状態で、強制運転スイッチ63bを「入」に切換える。これにより、強制運転接点60bがオンになって、発電装置10の強制運転が開始される。そして、発電装置10の運転を停止させる場合には、自動運転スイッチ63aを「切」に切換えれば良い。発電装置20〜50に対する台数制御運転又は強制運転を行う場合についても同様であるため、その説明を省略する。
【0032】
また、操作パネル60Aは、
図4及び
図5に示すように、各発電装置10〜50に対応して、発電中表示灯60dを有すると共に、先行機表示灯60eを有している。ここで、先行機とは、台数制御運転で発電装置10〜50の中から、最初に発電する発電装置を意味する。このため、例えば発電装置10が先行機である場合には、発電装置10に対応する先行機接点60fがオンになって、発電装置10に対応する先行機表示灯60eが点灯している。この操作パネル60Aでは、各発電装置10〜50のうち先行機になる発電装置を手動で選択できるようになっている。
【0033】
即ち、操作パネル60Aは、先行機を手動又は自動で切換えるための切換スイッチ63cを有すると共に、各発電装置10〜50に対応して、先行機を選択するための各選択スイッチ63dを有している。こうして、例えば、発電装置10を先行機に選択する場合には、
図4に示すように、先ず切換スイッチ63cを「手動」に切換える。そして、発電装置10に対応する選択スイッチ63dのみを「入」に切換え、残りの発電装置20〜50に対応する選択スイッチ63dを「切」に切換える。これにより、発電装置10に対応する先行機接点60fがオンになって、自動切換制御部62が発電装置10を先行機として稼働させる。
【0034】
また、操作パネル60Aには、
図4に示すように、発電装置10〜50全ての運転を非常停止させるための非常停止スイッチ63eが設けられている。非常停止スイッチ63eが押圧されると、遠方操作盤60の非常停止接点60cがオンになって、全ての発電装置10〜50の運転が非常停止される。なお、非常停止スイッチ63eが一つだけ設けられているが、各発電装置10〜50にそれぞれ対応する非常停止スイッチが設けられていても良い。また、発電装置10にはバッテリ17が搭載されていて、このバッテリ17を遠方操作盤60の電源とすることができる。
【0035】
ここで、本実施形態のエンジン発電システム1では、5台の発電装置10〜50のうち1台の発電装置が予備の発電装置になっていて、予備の発電装置が停止しているときに、工事現場K1〜K5で想定される最大負荷電力を供給できるようになっている。つまり、各工事現場K1〜K5の電力駆動装置70が稼働するときの最大負荷電力は、1200kW以下であることが予め判明している。このため、4台の発電装置が全て負荷率100%で発電すれば1200kWの電力を供給できるため、1台の発電装置を予備の発電装置として稼働させなくて済む。こうして、5台の発電装置10〜50のうち、4台の発電装置を稼働させながら、常に1台の予備の発電装置を停止させおき、予備の発電装置に対して燃料補給及びメンテナンスを行うことができる。
【0036】
例えば、或る期間では、発電装置10を予備の発電装置として停止して整備を行いつつ、その他の発電装置20〜50を並列運転させる。また、別の期間では、発電装置20を予備の発電装置として停止して整備を行いつつ、その他の発電装置10,30〜50を並列運転させる。こうして、発電装置10〜50を順番に停止させて、整備者の都合が良
い時間で整備を行うことができる。更に、発電装置10〜50のうち或る発電装置が故障したときには、予備の発電装置で補うことができる。つまり、複数の発電装置10〜50に対応してそれぞれ予備の発電装置を設ける必要がなく、1台の予備の発電装置で、5台の発電装置10〜50全体のバックアップができる。こうして、安価に信頼度が高いエンジン発電システム1を構成できる。なお、以下では、状況を分かり易くするために、発電装置50を予備の発電装置として停止させている状況で説明する。
【0037】
次に、4台の発電装置10〜40を台数制御運転又は強制運転させる状況を一例として説明する。先ず、発電装置10を先行機として指定するために、
図4に示すように、切換スイッチ63cを「手動」に切換え、発電装置10に対応する選択スイッチ63dのみを「入」に切換える。そして、発電装置10〜40に対応する自動運転スイッチ63aを「入」に切換えると共に、発電装置10〜40に対応する強制運転スイッチ63bを「切」に切換える。
【0038】
これにより、先行機である発電装置10が発電した電力が各工事現場K1〜K5の電力駆動装置70に供給される。その後、各工事現場K1〜K5全体における負荷電力(以下、「全体負荷電力」と呼ぶ)が上昇して、運行中の発電装置10の負荷率が第1上昇基準値を超えると、起動順序が2番目である発電装置20が同期運転を始める。発電装置20の同期運転では、発電装置20の電圧、周波数、位相が母線L1の電圧、周波数、位相と一致すると、遮断機24(
図3参照)が閉じられる。こうして、発電装置20の同期運転が完了すると、発電装置20が発電した電力を母線L1を介して、各工事現場K1〜K5の電力駆動装置70に供給される。
【0039】
その後、同様に、全体負荷電力が上昇して、運行中の発電装置10,20の負荷率が第2上昇基準値を超えると、起動順序が3番目である発電装置30が同期運転を始め、発電装置30が発電した電力も電力駆動装置70に供給できる。そして、運行中の発電装置10,20,30の負荷率が第3上昇基準値を超えると、起動順序が4番目である発電装置40が同期運転を始め、発電装置40が発電した電力も電力駆動装置70に供給できる。
【0040】
一方、全体負荷電力が減少して、運行中の発電装置10,20,30,40の負荷率が第1下降基準値を下回ると、起動順序が最も遅い発電装置40では、遮断機44(
図3参照)が開いて、発電装置40が発電した電力が電力駆動装置70に供給されなくなる。このとき、発電装置40は待機状態として休止する。その後、同様に、全体負荷電力が減少して、運行中の発電装置10,20,30の負荷率が第2下降基準値を下回ると、起動順序が2番目に遅い発電装置30が発電した電力が、電力駆動装置70に供給されなくなる。そして、運行中の発電装置10,20の負荷率が第3下降基準値を下回ると、起動順序が3番目に遅い発電装置20が発電した電力が、電力駆動装置70に供給されなくなる。
【0041】
こうして、台数制御運転では、全体負荷電力の変動に応じて発電装置10〜40の稼働数を変動させるため、全体負荷電力が小さい状況にも拘わらず、発電装置10〜40が過剰運転することを防止できる。これにより、燃料消費量を減少させて、燃料費を抑えることができる。これに対して、強制運転させる場合には、発電装置10〜40に対応する強制運転スイッチ63bを「入」に切換えておく。これにより、運転中の発電装置10〜40が全て発電して、各工事現場K1〜K5の電力駆動装置70に電力を供給できる。こうして、強制運転では、運転中の全ての発電装置10〜40が直ぐに発電できるため、全体負荷電力の急上昇に対応できる。
【0042】
ところで、各工事現場K1〜K5では、それぞれマンションをほとんど同時期に建設し、用いる電力駆動装置70の数も多いため、全体負荷電力の変動が非常に大きい。しかし、上述したように台数制御運転によって発電する発電装置10〜40の数が増えると
き、同期運転が完了するまでに所定時間が必要である。このため、同期運転が完了するま
での所定時間の間に、全体負荷電力が急上昇すると、運転中の発電装置10〜40が供給できる電力を超えるおそれがある。一方、予め強制運転を行っていれば、全体負荷電力の急上昇に対応できるが、強制運転を続けていると全体負荷電力の変動が緩やかになったときに過剰運転になるという問題点がある。
【0043】
更に、従来のエンジン発電システムでは、台数制御運転で最初に発電する発電装置(先行機)と、発電装置を起動させる順序が固定されていた。このため、仮に先行機を発電装置10として台数制御運転を行うと、約1年〜2年の工事期間全体で見れば、発電装置10の稼働時間が非常に多くなる。つまり、各発電装置10〜50の稼働時間のバラツキが非常に大きくなる。こうして、各発電装置10〜50の燃料補給及びメンテナンスを行うタイミングが予測し難く、整備性が良くないという問題点もあった。
【0044】
そこで、本実施形態のエンジン発電システム1では、上記した問題点を解消すべく、以下のように構成されている。
図4に示すように、遠方操作盤60の操作パネル60Aには、強制運転を行う強制運転時間を入力可能な時間入力部64が設けられている。時間入力部64では、作業員によって、1日のうち強制運転を開始する時間と強制運転を終了する時間が、強制運転時間として入力される。なお、1日のうち強制運転時間以外が、台数制御運転される時間に設定される。こうして、自動切換制御部62は、入力された強制運転時間に基づいて、強制運転接点60b及び台数制御運転接点60aのオンとオフを切換えて、強制運転と台数制御運転とを自動で切換えることができる。
【0045】
ここで、
図6は、1日の中で全体負荷電力の変動を示した図である。各工事現場K1〜K5の全体負荷電力は
図6に示すように変動することが、予め想定されている。即ち、始業時間である8時から9時までの間は、多くの電力駆動装置70が稼働し始めるため、全体負荷電力が急上昇する。この間では、仮に台数制御運転を行うと、全体負荷電力は運転中の発電装置10〜40が供給できる電力を超えるおそれがあるため、強制運転を行う必要がある。
【0046】
次に、9時から昼休み開始の12時までの間は、全体負荷電力の変動は比較的小さい。この間では、仮に強制運転を行うと、各発電装置10〜40の負荷率が低くて過剰運転になるおそれがあるため、台数制御運転を行うと良い。また、12時から13時の昼休みの間は、多くの電力駆動装置70が停止するため、全体負荷電力が急に減少するが、このときにも台数制御運転を行うことで、燃料費を抑えることができる。
【0047】
続いて、昼休み終了の13時から14時までの間は、多くの電力駆動装置70が稼働し始めるため、全体負荷電力が急上昇する。この間では、強制運転を行う必要がある。最後に、14時から終業時間である17時の直前まで、全体負荷電力の変動は比較的小さいため、台数制御運転を行うと良い。そして、終業時間になると、多くの電力駆動装置70が停止するため、全体負荷電力が急に減少する。このときにも台数制御運転を行うことで、燃料費を抑えることができる。
【0048】
こうして、第1実施形態のエンジン発電システム1では、作業員が、操作パネル60Aの時間入力部64に対して、8時から9時までの間、及び13時から14時までの間を強制運転時間として予め入力しておく。なお、工事を行なわない休日で、全体負荷電力の変動が1日中小さいことが判明している場合には、作業員は強制運転時間を入力せずに、台数制御運転を1日中行えば良い。
【0049】
また、本実施形態の時間入力部64では、作業員によって、台数制御運転で先行機を切換えるための切換時間を入力できるようになっている。自動切換制御部62は、時間入力部64に入力された切換時間毎に、運転中の発電装置の中から先行機を順番に切換えるように構成されている。例えば、上述したように台数制御運転で先行機が発電装置10であるとき、自動切換制御部62は、切換時間が経過すると、先行機を発電装置20に設定し、起動順序が2番目の発電装置を発電装置30に設定し、起動順序が3番目の発電装置を発電装置40に設定し、起動順序が4番目の発電装置を前回先行機であった発電装置10に設定する。
【0050】
その後、自動切換制御部62は、切換時間が経過すると、先行機を発電装置30に設定し、起動順序が2番目の発電装置を発電装置40に設定し、起動順序が3番目の発電装置を発電装置10に設定し、起動順序が4番目の発電装置を前回先行機であった発電装置20に設定する。以後同様に、先行機が切換時間毎に切換えられる。但し、自動切換制御部62は、切換スイッチ63cが「自動」に切換えられているときにのみ、先行機を順番に切換えるようになっている。
【0051】
第1実施形態の作用効果について説明する。
第1実施形態のエンジン発電システム1によれば、8時になると、自動切換制御部62が強制運転を行うように自動で切換えて、9時まで強制運転を続けた後、台数制御運転に自動で切換える。その後、13時になると、自動切換制御部62が強制運転を行うように自動で切換えて、14時まで強制運転を続けた後、台数制御運転に自動で切換える。
【0052】
こうして、全体負荷電力が急上昇する時間帯では、運転中の全ての発電装置10〜40が直ぐに発電できるため、全体負荷電力の急上昇に対応できる。この結果、各発電装置10〜40が過負荷になって停電する事態を確実に防止できる。一方、全体負荷電力が緩やかに変動する時間帯では、発電させる発電装置10〜40の数が負荷率に応じて増減する。このため、発電装置10〜40の負荷率が小さい状況にも拘わらず、多くの発電装置10〜40が発電し続ける過剰運転を防止でき、燃料費を抑えることができる。更に、発電装置10〜40の負荷率が小さい状況で強制運転が行われなくなるため、各発電装置10〜40が軽負荷で運転することを防止できる。従って、各発電装置10〜40のエンジンから未燃焼ガスの発生を抑制して、故障を生じ難くできる。
【0053】
また、第1実施形態のエンジン発電システム1によれば、作業員が、操作パネル60Aの時間入力部64に対して、例えば1日のうち午前0時を切換時間として入力しておく。これにより、毎日午前0時になると、発電装置10〜40のうち先行機が自動で切換わる。このため、約1年〜2年の工事期間全体で見ると、発電装置10〜40の中で各発電装置の稼働時間が平均化される。この結果、各発電装置10〜40の燃料補給及びメンテナンスのタイミングのバラツキを解消でき、整備性を向上させることができる。
【0054】
従来方法と、第1実施形態のエンジン発電システム1とを用いた場合について、燃料費を比較して説明する。従来方法では、全体負荷電力の急上昇に対して停電する事態を確実に防止するため、4台の発電装置10〜40を1日(8時間)常に強制運転できる状態にしている。このとき、4台の発電装置10〜40は、1日のうち4時間発電して、負荷率が25%であったとする。1台の発電装置において負荷率が25%で発電したとき、燃料消費量は毎時29.8リットルである。このため、従来方法では、1日につき、29.8×4時間×4台=476.8リットルの燃料が消費される。
【0055】
一方、エンジン発電システム1では、4台の発電装置10〜40全体で強制運転と台数制御運転とを効率的に行い、1台のパワーステーションで運転したと仮定できる。1台のパワーステーションは、1日のうち4時間発電して、負荷率が100%であったとする。1台のパワーステーションにおいて負荷率が100%で発電したとき、燃料消費量は毎時95.2リットルである。このため、エンジン発電システム1では、1日につき、95.2×4時間×1台=380.8リットルの燃料が消費される。こうして、従来方法とエンジン発電システム1とでは、1日につき96リットルの燃料消費量の差が生じる。1リットルの燃料を100円と仮定すると、1日につき9600円の差が生じる。この結果、工事期間の1年につき、9600円×365日=3504000円の燃料費を節約することができる。
【0056】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分を中心に説明し、同様の部分についての説明は省略する。
図7は、第2実施形態の遠方操作盤60Xの操作パネル60Yを示した正面図である。
図7に示すように、操作パネル60Yには、自動モードのオンとオフを選択可能な自動モードスイッチ65が設けられている。
【0057】
自動モードとは、作業員が時間入力部64に強制運転を行う強制運転時間を入力しなくても、自動切換制御部62が工事期間の各日にちにおいて台数制御運転と強制運転とを自動で切換えるモードである。自動モードスイッチ65が「オン」に選択されると、自動切換制御部62は、自動モードを実行するようになっている。自動切換制御部62は、自動モードを実行するために、台数制御運転を行う時間帯と強制運転を行う時間帯の変動パターンVP(
図9参照)を記憶している。以下では、変動パターンVPについて説明する。
【0058】
変動パターンVPは、工事期間の各日にちにおける全体負荷電力の変動に基づいて決定された複数のパターンである。ここで、建設分野においては、工事予定表や過去の工事の状況等から、工事期間の各日にちにおける全体負荷電力の変動をある程度推測することができる。
図8は、工事現場K1〜K5の全体負荷電力の最大値の変動を模式的に示した図である。マンションを例えば1年の工事期間で建設する場合、
図8に示すように、1カ月で基礎工事を行い、その後の8カ月でクレーン作業及びコンクリート打設を行い、最後の3カ月で内装工事を行うようになっている。そして、クレーン作業では電力が非常に大きく必要になるのに対して、基礎工事では電力が比較的小さくて済む。こうして、
図8に示すように、全体負荷電力の最大値が変動することを推測できて、
図9に示すように、変動パターンVPが決定されている。
【0059】
図9では、自動切換制御部62が記憶している変動パターンVPとして、AパターンとBパターンとCパターンが示されている。Aパターンでは、基礎工事を行うときの各日にちにおいて、台数制御運転を行う時間帯と強制運転を行う時間帯を表わしている。基礎工事では、
図8に示すように、全体負荷電力の最大値が比較的小さくて、
図9に示すように、全体負荷電力が急上昇する時間帯は、8時から8時半までの間と13時から13時半までの間であり、短い時間帯であることが判明している。このため、自動切換制御部62は、基礎工事の1カ月の各日にちにおいて、8時から8時半までの間と13時から13時半までの間の時間帯について強制運転を行う時間帯として記憶し、それ以外の時間帯について台数制御運転を行う時間帯として記憶している。
【0060】
Bパターンは、クレーン作業及びコンクリート打設を行うときの各日にちにおいて、台数制御運転を行う時間帯と強制運転を行う時間帯を表わしている。クレーン作業及びコンクリート打設では、
図8に示すように、全体負荷電力の最大値が非常に大きくて、
図9に示すように、全体負荷電力が急上昇する時間帯は、8時から10時までの間と13時から15時までの間であり、長い時間帯であることが判明している。このため、自動切換制御部62は、クレーン作業及びコンクリート打設を行う8カ月の各日にちにおいて、8時から10時までの間と13時から15時までの間について強制運転を行う時間帯として記憶し、それ以外の時間帯について台数制御運転を行う時間帯として記憶している。
【0061】
Cパターンは、内装工事を行うときの各日にちにおいて、台数制御運転を行う時間帯と強制運転を行う時間帯を表わしている。内装工事では、
図8に示すように、全体負荷電力の最大値は上述した二つの工事の場合の中間であり、
図9に示すように、全体負荷電力が急上昇する時間帯は、8時から9時までの間と13時から14時までの間であることが判明している。このため、自動切換制御部62は、内装工事を行う各日にちにおいて、8時から9時までの間と13時から14時までの間について強制運転を行う時間帯として記憶し、それ以外の時間帯について台数制御運転を行う時間帯として記憶している。なお、変動パターンVPは、パソコン等の外部入力手段を用いて、工事が始まる前に自動切換制御部62に予め記憶されるようになっている。
【0062】
第2実施形態の作用効果について説明する。
工事予定表や過去の工事の状況に基づいて、
図9に示す変動パターンVPが最適に決定されているときに、作業者はこの変動パターンVPを自動切換制御部62に予め入力して記憶させておく。これにより、自動モードスイッチ65を「オン」に選択すれば、工事期間の各日にちにおいて、台数制御運転と強制運転とを最適なタイミングで自動に切換えることができる。この結果、遠方操作盤60Xの監視負担を減らすことができる。
【0063】
以上、本発明に係るエンジン発電システムの各実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されることはなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、各実施形態において、エンジン発電システム1が5台の発電装置10〜50を備えるように構成したが、発電装置の台数は6台であっても良く、適宜変更可能である。また、工事現場K1〜K5の数は5つに限定されるものではなく適宜変更可能であり、電力駆動装置の種類も各電力駆動装置71〜75に限定されるものではない。
【0064】
また、第1実施形態において、時間入力部64に対して強制運転時間を入力することで、自動切換制御部62が強制運転時間に対して強制運転を行い、強制運転時間以外に対して台数制御運転を行ったが、時間入力部64に対して台数制御運転時間を入力することで、自動切換制御部62が台数制御運転時間に対して台数制御運転を行い、台数制御運転時間以外に対して強制運転を行っても良い。
また、第1実施形態において、予備の発電装置が1台であったが2台であっても良く、予備の発電装置の台数は適宜変更可能である。
また、第2実施形態において、
図9の変動パターンVPは、あくまで例示として示したものであり、工事期間の各日にちにおける全体負荷電力の変動に応じて、変動パターンは4種類以上あっても良く、適宜変更可能である。
【課題】複数の工事現場でそれぞれ大きな電力が必要な状況で、各発電装置が過負荷になって停電する事態を確実に防止しつつ、燃料費を抑えることができるエンジン発電システムを提供すること。
【解決手段】エンジン発電システム1では、各発電装置10〜50が母線L1に並列的に接続されている。各発電装置10〜50に、発電装置10〜50を並列運転させる制御回路15〜55が組み込まれ、各制御回路15〜55に、発電する発電装置の数を増減させる台数制御運転を行う台数制御運転回路15aと、運転中の発電装置を全て発電させる強制運転を行う強制運転回路15bが設けられている。台数制御運転と強制運転を手動で切換え可能な遠方操作盤60に、強制運転を行う強制運転時間を入力可能な時間入力部64が設けられ、時間入力部64に入力された強制運転時間に基づいて、台数制御運転と強制運転を自動で切換え可能な自動切換制御部62が設けられている。