(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1記載のプリプレグを、芯材の片面に前記樹脂の含浸した繊維織物が該芯材を向くように配置し、前記芯材の他面には、樹脂の含浸した繊維織物のみからなる1層構造のプリプレグを配置し、熱プレス装置で熱プレスして両プリプレグ内に含浸して表面に付着している樹脂を硬化させることにより、前記芯材の片面に前記樹脂の含浸した繊維織物とセル膜の除去された発泡体が積層された2層構造のプリプレグが積層一体化し、前記芯材の他面には前記樹脂の含浸した繊維織物のみからなる1層構造のプリプレグが積層一体化したことを特徴とする繊維強化成形体。
請求項1記載のプリプレグを芯材の両面に配置し、該芯材の片面側では一方の前記プリプレグにおける前記樹脂の含浸した繊維織物が該芯材を向くようにし、該芯材の他面側では他方の前記プリプレグにおける前記セル膜の除去された発泡体が該芯材を向くようにし、熱プレスにより熱プレスし、前記プリプレグ内に含浸している樹脂及び表面に滲出してきた樹脂を硬化させることにより、前記樹脂の含浸した繊維織物とセル膜の除去された発泡体が積層された2層構造のプリプレグが、前記芯材の両面に積層一体化したことを特徴とする繊維強化成形体。
繊維織物に樹脂を含浸させた後に乾燥させたプリプレグであって、一枚の前記繊維織物に樹脂を含浸させ、前記含浸後の繊維織物の下面にセル膜の除去された発泡体を一枚積層し、前記セル膜の除去された発泡体と前記含浸後の繊維織物との2層構造のみからなる積層体を乾燥させたことを特徴とするプリプレグ。
【背景技術】
【0002】
近年、ノートパソコンの筐体など、高剛性が要求される部材として、繊維強化成形体が提案されている。繊維強化成形体としては、繊維織物に樹脂を含浸して乾燥させたプリプレグと独立気泡を有する発泡体とを積層したサンドイッチ構造のものがある(特許文献1)。
【0003】
また、繊維織物を表面に有する繊維強化成形体は、表面の繊維織物において繊維が交差して重なり合う部分と、織り目の隙間部分との間で段差を生じ、その段差等の影響によって表面の凹凸度合が大きいため、外観塗装を施しても表面平滑性を得ることが難しかった。しかも、外観塗装を施した場合に前記段差部分にエアが残って塗膜表面にピンホールを生じる場合がある。特に、美観の向上等の点から外観塗装されることが一般的な用途においては、繊維強化成形体に塗装を施した場合の外観状態は重要である。
出願人は、種々検討した結果、
図18に示すように、芯材101の両面にプリプレグ103、104を配置し、さらに製品の表面側となる少なくとも一方のプリプレグ103の表面にセル膜の除去された発泡体105を配置し、熱プレスして賦形した繊維強化成形体が表面外観が良好であることを見出した。符号121は熱プレス装置である。
図19には、このようにして得られた繊維強化成形体110の断面を示す。
【0004】
従来、繊維強化成形体に使用されるプリプレグの効率的な製造方法として、繊維からなるシート状基材を連続的に送り出し、シート状基材の進行経路に配置されている含浸槽で樹脂を含浸させ、次に配置されている乾燥炉で乾燥させることによりプリプレグを連続的に製造する方法がある(特許文献2)。しかしながら、前記の製造方法では、含浸槽から乾燥炉へ樹脂含浸後のシート状基材が移動する間にシート状基材から樹脂が垂れ落ちる問題がある。
【0005】
そこで、本出願人は、
図20に示すように、繊維織物131Aを巻いた繊維織物ロール141から繊維織物131Aを連続的に供給して、含浸機151で繊維織物131Aに樹脂を含浸させ、次に含浸後の繊維織物131の下面に樹脂フィルム133を連続的に供給して積層し、次に乾燥炉171で乾燥させ、その後カット機181で所定寸法にカットすることにより、下面に樹脂フィルム133が積層された状態でプリプレグ130を製造し、繊維強化成形体の製造時に前記樹脂フィルム133をプレプレグ130から剥がすようにした。
【0006】
なお、前記含浸機151は、樹脂溶液152が収容された含浸槽153に浸かった含浸用ローラ157と、余剰の含浸樹脂液を絞り取る搾り用ローラ161とを備える。前記樹脂フィルム133は、繊維織物の進行経路の下側に配置された樹脂フィルムローラ165から引き出されて樹脂含浸後の繊維織物131の下面に近接して設けられた積層ローラ167によって樹脂含浸後の繊維織物131の下面に積層される。前記乾燥炉171は、温風又は熱風を樹脂含浸後の繊維織物131と樹脂フィルム133とからなる積層体141の上下に吹き付けるようになっている。前記カット機181は、樹脂含浸後の繊維織物131と樹脂フィルム133の積層体141を長さ方向に沿って切断して幅を分割する幅分割切断刃182と、前記積層体141を幅方向に沿って切断して長さを分割する長さ分割切断刃184とを有し、幅分割切断刃182と長さ分割切断刃184間には引取ローラ187が設けられている。符号140はプリプレグに樹脂フィルムが積層された樹脂フィルム付きプリプレグである。
【0007】
しかしながら、前記のように樹脂フィルムを用いてプリプレグを連続的に製造する方法では、樹脂含浸後の繊維織物131と樹脂フィルム133とからなる積層体141が乾燥炉171に供給されると、樹脂含浸後の繊維織物131に含浸している樹脂の溶媒が気化して膨張したり、積層体141の側方から積層体141内に空気が流入したりして、
図21の(21A)に示すように樹脂フィルム133上の樹脂含浸後の繊維織物131が幅方向中央部132で盛り上がり、その後、積層体141が乾燥炉171の出口付近に至ると、温度低下により樹脂含浸後の繊維織物131と樹脂フィルム133間の空気が収縮し、
図21の(21B)に示すように樹脂含浸後の繊維織物131が弛んで皺を生じ易いことが判明した。
【0008】
また、前記乾燥炉171内では、
図21の(21A)のように樹脂含浸後の繊維織物131の幅方向中央部132が盛り上がって樹脂フィルム133から離れることにより、樹脂含浸後の繊維織物131に含浸していた樹脂が樹脂含浸後の繊維織物131の盛り上がった部分から樹脂フィルム上133に垂れ落ち、次に乾燥炉171の出口に至ると、それまで盛り上がっていた樹脂含浸後の繊維織物131の幅方向中央部132が温度低下によって再び樹脂フィルム133と接触し、樹脂フィルム133に垂れ落ちて溜まっていた樹脂が再び樹脂含浸後の繊維織物131に含浸して繊維織物の表面に滲出するようになる。その結果、表面に滲出した樹脂がカット機181の刃や引き取りローラに付着するようになり、プリプレグにおける樹脂の含浸濃度が部分的に異なったり、繊維織物の繊維が捩れたり、プリプレグの切断不良を生じたりするなどの問題がある。さらに、樹脂濃度が部分的に異なるプリプレグを用いて繊維強化成形体を製造すると、製品表面に樹脂濃度が部分的に異なることに起因する斑模様を生じる問題がある。なお、前記含浸用ローラ157と引取ローラ187間で積層体141に張力を掛ければ、前記樹脂含浸後の繊維織物131の膨らみを有る程度改善することが可能であるが、その場合、含浸用ローラ157と絞り用ローラ161における上側ローラ158、162が持ち上げられ、含浸量のコントロールが難しくなる。
【0009】
さらに、セル膜の除去された発泡体を表面に有する繊維強化成形体を製造する場合には、別途用意したセル膜の除去された発泡体をプリプレグの表面に配置しなければならず、作業が繁雑となる問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであって、セル膜の除去された発泡体を表面に有する繊維強化成形体の効率的な製造を可能とするプリプレグと繊維強化成形体の提供を目的とする。具体的には、外観塗装により表面平滑性が得られ、繊維が交差して重なり合う部分と織り目の隙間部分との間で段差のない繊維強化成形体が得られるプリプレグと繊維強化成形体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、繊維織物に樹脂を含浸させた後に乾燥させたプリプレグであって、前記繊維織物に樹脂を含浸させ、前記含浸後の繊維織物の下面にセル膜の除去された発泡体を積層し、前記セル膜の除去された発泡体と前記含浸後の繊維織物とからなる積層体を乾燥させたことを特徴とする。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1において、前記積層体の乾燥前に、前記セル膜の除去された発泡体の下面に樹脂フィルムを積層し、前記樹脂フィルムと前記セル膜の除去された発泡体と前記含浸後の繊維織物とからなる積層体を乾燥させたことを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明は、請求項2において、前記樹脂フィルムは、前記繊維織物に含浸させる樹脂に対して非接着性であることを特徴とする。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1記載のプリプレグを、芯材の片面に前記樹脂の含浸した繊維織物が該芯材を向くように配置し、前記芯材の他面には、樹脂の含浸した繊維織物のみからなる1層構造のプリプレグを配置し、熱プレス装置で熱プレスして両プリプレグ内に含浸して表面に付着している樹脂を硬化させることにより、前記芯材の片面に前記樹脂の含浸した繊維織物とセル膜の除去された発泡体が積層された2層構造のプリプレグが積層一体化し、前記芯材の他面には前記樹脂の含浸した繊維織物のみからなる1層構造のプリプレグが積層一体化したことを特徴とする繊維強化成形体に係る。
【0016】
請求項5の発明は、請求項1記載のプリプレグを芯材の両面に配置し、該芯材の片面側では一方の前記プリプレグにおける前記樹脂の含浸した繊維織物が該芯材を向くようにし、該芯材の他面側では他方の前記プリプレグにおける前記セル膜の除去された発泡体が該芯材を向くようにし、熱プレスにより熱プレスし、前記プリプレグ内に含浸している樹脂及び表面に滲出してきた樹脂を硬化させることにより、前記樹脂の含浸した繊維織物とセル膜の除去された発泡体が積層された2層構造のプリプレグが、前記芯材の両面に積層一体化したことを特徴とする繊維強化成形体に係る。
【0017】
請求項6の発明は、繊維織物に樹脂を含浸させた後に乾燥させたプリプレグであって、一枚の前記繊維織物に樹脂を含浸させ、前記含浸後の繊維織物の下面にセル膜の除去された発泡体を一枚積層し、前記セル膜の除去された発泡体と前記含浸後の繊維織物との2層構造のみからなる積層体を乾燥させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、プリプレグは樹脂の含浸した繊維織物とセル膜の除去された発泡体との積層体からなるため、少なくとも一方の表面にセル膜の除去された発泡体を有する繊維強化成形体をプリプレグを用いて成形する際に、請求項1の発明の積層体からなるプリプレグを用いることにより、樹脂の含浸した繊維織物とセル膜の除去された発泡体を同時に繊維強化成形体の芯材に対して積層することができ、セル膜の除去された発泡体を別途用意して積層する必要がなく、繊維強化成形体の成形を効率よく行うことができる。
【0019】
請求項2及び請求項3の発明によれば、請求項1の発明による前記の効果に加え、セル膜の除去された発泡体の下面に樹脂フィルムが配置された状態で乾燥が行われるため、セル膜の除去された発泡体側で樹脂の乾燥程度を調整することができる。
【0020】
請求項4の発明によれば、芯材の片面に前記樹脂の含浸した繊維織物とセル膜の除去された発泡体が積層された2層構造のプリプレグを積層一体化し、前記芯材の他面には樹脂の含浸した繊維織物のみからなる1層構造のプリプレグを積層一体化して成形された繊維強化成形体が効率よく得られるようになる。
【0021】
請求項5の発明によれば、樹脂の含浸した繊維織物とセル膜の除去された発泡体が積層された2層構造のプリプレグを前記芯材の両面に積層一体化して成形された繊維強化成形体が効率よく得られるようになる。
【0022】
請求項6の発明によれば、樹脂が含浸した繊維織物は一枚であり、セル膜の除去された発泡体も一枚である2層のみからなることで、繊維織物に含浸している樹脂の溶媒が気化して膨張したり、積層体の側方から積層体内に空気が流入したりしても、気化した溶媒や積層体内に流入した空気がセル膜の除去された発泡体内に分散することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】本発明のプリプレグの製造方法の第1実施形態に用いる製造装置の概略断面図である。
【
図3】第1実施形態における積層ローラ付近の平面図である。
【
図4】第1実施形態におけるカット機内を示す平面図である。
【
図5】本発明のプリプレグの製造方法の第2〜6実施形態に用いる製造装置の概略断面図である。
【
図6】第2実施形態における積層ローラ付近の平面図である。
【
図7】第2実施形態におけるカット機内を示す平面図である。
【
図8】第3実施形態における積層ローラ付近の平面図である。
【
図9】第3実施形態におけるカット機内を示す平面図である。
【
図10】第4実施形態における積層ローラ付近の平面図である。
【
図11】第4実施形態におけるカット機内を示す平面図である。
【
図12】第5実施形態における積層ローラ付近の平面図である。
【
図13】第5実施形態におけるカット機内を示す平面図である。
【
図14】第6実施形態における積層ローラ付近の平面図である。
【
図15】第7実施形態におけるカット機内を示す平面図である。
【
図16】本発明のプリプレグを用いて繊維強化成形体を製造する場合の例1を説明する断面図である。
【
図17】本発明のプリプレグを用いて繊維強化成形体を製造する場合の例2を説明する断面図である。
【
図18】プリプレグを用いた繊維強化成形体の断面図である。
【
図19】プリプレグとセル膜の除去された発泡体とを用いる繊維強化成形体の製造を説明する断面図である。
【
図20】従来のプリプレグの製造に用いる製造装置の概略断面図である。
【
図21】従来のプリプレグ製造時における不具合を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明のプリプレグについて図面を用いて説明する。
図1の(1A)に示す本発明のプリプレグ10は、本発明のプリプレグの製造方法における第1〜第6実施形態によって製造されたものであり、樹脂の含浸した繊維織物11の片面にセル膜の除去された発泡体21が積層された2層構造の積層体からなる。一方、
図1の(1B)に示すプリプレグ15は、樹脂の含浸した繊維織物11のみからなる1層構造のものであり、本発明のプリプレグの製造方法における第3〜第6実施形態において、前記2層構造のプリプレグ15と同時に製造されたものである。
【0025】
樹脂の含浸した繊維織物11は、繊維織物に含浸した樹脂が乾燥した状態で繊維織物の内部及び表面に付着している。繊維織物に含浸する樹脂は、熱硬化性樹脂が用いられ、特に限定されないが、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂とフェノール樹脂の混合物からなる群より選択することができる。前記プリプレグ10、15に難燃性が求められる場合、前記樹脂は難燃性のものが好ましい。フェノール樹脂は良好な難燃性を有するため、前記繊維織物11に含浸させる樹脂として好適なものである。
【0026】
樹脂を含浸させる繊維織物は、特に限定されないが、例えば、ガラス繊維、炭素繊維等からなるものを挙げることができるが、特に炭素繊維織物は、軽量及び高剛性に優れるため、前記繊維織物として好ましいものである。さらに、前記繊維織物は、繊維が一方向のみではない織り方のものが好ましく、例えば、縦糸と横糸で構成される平織、綾織、朱子織及び3方向の糸で構成される三軸織などが好適である。また、前記繊維織物として炭素繊維織物を用いる場合、使用する炭素繊維織物は、前記樹脂の含浸及び剛性の点から、繊維重さが90〜400g/m
2のものが好ましい。
【0027】
セル膜の除去された発泡体21は、合成樹脂発泡体を公知の除膜処理、例えば溶解法や爆発法等によってセル膜を除去して得られる連続気泡構造のものである。前記セル膜の除去された発泡体21としては、セル膜の除去されたポリウレタン発泡体が好ましい。セル膜の除去されたポリウレタン発泡体は、軽量性に優れ、しかも繊維強化成形体の熱プレス時の圧縮により繊維織物における織り目の隙間部分等の段差を効果的に緩和することができ、繊維強化成形体の表面平滑性を高める効果が高い。前記セル膜の除去された発泡体21の厚みは0.5〜2.0mm程度、セル数が30〜60個/25mm程度(JIS K 6400)が好ましい。なお、前記樹脂の含浸した繊維織物11とセル膜の除膜された発泡体21は、前記セル膜の除膜された発泡体21が積層された繊維織物の表面に付着していた樹脂の乾燥によって一体化している。
【0028】
前記セル膜の除去されたポリウレタン発泡体が積層されたプリプレグ10を製造する方法の第1実施形態を説明する。
第1実施形態では、繊維織物を長さ方向に連続的に供給して、前記繊維織物に樹脂を含浸させる含浸工程と、前記含浸後の繊維織物の下面にセル膜の除去された発泡体を連続的に供給して前記繊維織物の下面に配置する発泡体積層工程と、前記発泡体と前記含浸後の繊維織物とからなる積層体を乾燥させる乾燥工程と、前記乾燥後の前記積層体を所定寸法に切断する切断工程とよりなる。
【0029】
図2に示す製造装置は、第1実施形態の製造方法に用いるものであり、繊維織物ロール51、含浸機61、発泡体ロール75、積層ローラ77、乾燥炉81、カット機91が繊維織物の供給方向(進行方向、及び繊維織物の長さ方向と同じ)に沿って一列に配置され、前記繊維織物ロール51から繊維織物11Aをカット機91へ向けて供給するようになっている。
【0030】
繊維織物ロール51は、炭素繊維等からなる前記繊維織物11Aが巻かれたものであり、カット機91に設けられている引取りローラ97によって繊維織物11Aを長さ方向に引き出し、カット機91へ向けて供給する。前記繊維織物11Aの供給速度は、適宜決定されるが、例として0.1〜0.6m/分を挙げる。符号53は、前記繊維織物ロール51から引き出された繊維織物11Aの支持ローラである。
【0031】
含浸機61は、前記含浸工程を行うものであり、前記熱硬化性樹脂からなる樹脂62が収容された含浸槽63と、含浸用ローラ67と、絞り用ローラ71を有する。前記含浸用ローラ67は上下一組のローラからなり、上下のローラ間を前記繊維織物11Aが進行する。その際、前記含浸用ローラ67は、下側ローラ67Aと上側ローラ67Bの下部が前記含浸槽63の樹脂62に浸かった状態にあり、前記含浸用ローラ67における下側ローラ67Aと上側ローラ67Bが前記繊維織物11Aを挟んだ状態で回転することにより、前記含浸槽63内の樹脂62を前記繊維織物11Aの上下面(両面)に含浸させる。前記絞り用ローラ71は、上下一組のローラからなり、前記含浸後の繊維織物11Bを前記絞り用ローラ71で挟んで余分な樹脂を含浸後の繊維織物11Bから絞り出す。
【0032】
発泡体ロール75と積層ローラ77は、前記発泡体積層工程を行うものである。前記発泡体ロール75は、除膜された発泡体21Aが巻かれたロールであり、前記繊維織物の進行経路における前記含浸機61と乾燥炉81間における前記含浸後の繊維織物11Bの下方に配置され、前記除膜された発泡体21Aを積層ローラ77に供給する。前記積層ローラ77は、前記発泡体ロール75の上方に位置し、かつ前記含浸後の繊維織物11Bの下面に略当接して設けられている。前記発泡体ロール75から引き出された除膜された発泡体21Aが、前記積層ローラ77と前記含浸後の繊維織物11B間に供給されることにより、
図3に示すように、前記含浸後の繊維織物11Bの下面全面に前記除膜された発泡体21Aが配置され、前記含浸後の繊維織物11Bと前記除膜された発泡体21Aとからなる積層体10Aが形成される。前記含浸後の繊維織物11Bの下面にセル膜の除去された発泡体21が存在するため、前記含浸後の繊維織物11Bの下面から滲出する樹脂をセル膜の除去された発泡体21で受けることができ、下方へ垂れるのを防ぐことができる。なお、セル膜の除去された発泡体21は、繊維織物11Bの端よりもはみ出ている事が、滲出する樹脂の垂れを防ぐ観点で好ましい。
【0033】
乾燥炉81は、前記乾燥工程を行うものであり、温風又は熱風吹き出し装置等の乾燥手段を備え、前記含浸後の繊維織物11Bとセル膜の除去された発泡体21とからなる積層体10Aが乾燥炉81内を通過する際に、前記含浸後の繊維織物11Bに含浸している樹脂を乾燥させ、含浸後の繊維織物11Bとセル膜の除去された発泡体21とを一体化する。前記乾燥炉81における積層体10Aの乾燥温度は85〜150℃が好ましい。前記乾燥炉81内において、前記繊維織物に含浸している樹脂の溶媒が気化して膨張したり、前記積層体10Aの側方から積層体10A内に空気が流入したりしても、気化した溶媒や積層体10A内に流入した空気が前記セル膜の除去された発泡体21A内に分散し、含浸後の繊維織物11Bが膨らむのを防ぐことができ、乾燥炉81の出口付近における積層体の温度低下によっても、前記含浸後の繊維織物11Bが弛んで皺を生じることがない。
【0034】
カット機91は、前記切断工程を行うものであり、
図4に示すように、幅切断刃92と、引取りローラ97と長さ切断刃94が前記乾燥炉81側から繊維織物の進行方向に順に配置されている。
前記幅切断刃92は、乾燥後の積層体10Bを長さ方向Lに沿って切断して幅を分割する幅分割切断手段に相当し、前記乾燥後の積層体10Bの進行方向と平行に配置された複数の回転刃で構成される。前記幅切断刃92によって、前記乾燥後の積層体10Bが所定幅に切断される。
【0035】
前記引取りローラ97は前記幅切断刃92によって切断された積層体の上下に該積層体を挟むように配置され、図示しない駆動モータによって前記積層体の供給方向(進行方向)に回転する。前記引取りローラ97の回転によって、前記繊維織物ロール51から前記繊維織物11Aが引き出されてカット機91まで供給されると共に前記含浸後の繊維織物と除膜された発泡体との積層体がカット機91まで供給される。
【0036】
前記長さ切断刃94は、前記乾燥後の積層体10Bを幅方向Wに沿って切断して長さを分割する長さ分割切断手段に相当し、前記幅切断刃92によって切断された積層体の供給方向(繊維織物11Aの進行方向と同じ)に対して直角に配置された円盤状の回転刃を備える。前記回転刃からなる長さ切断刃94は、前記積層体の供給速度に同期して該積層体の供給方向へ移動しながら前記積層体の幅方向へ往復走行することが、所定の間隔で行われることにより、前記幅切断刃92によって切断された積層体を所定長に切断する。前記乾燥後の積層体10Bが前記幅切断刃92及び長さ切断刃94によって切断されることにより、前記積層体10Bが所定の幅及び長さに分割された前記プリプレグ10が得られる。図示の例では、前記繊維織物及びセル膜の除去された発泡体の幅が4分割された所定長のプリプレグ10が得られる。符号99は切断品の受けローラである。
【0037】
図5に示す製造装置は、第2〜第6実施形態の製造方法に用いられるものであり、前記第1実施形態の製造装置における発泡体ロール75に対して繊維織物の供給方向(進行方向)に樹脂フィルムロール79を設け、前記樹脂フィルムロール79から引き出された樹脂フィルム25Aを、前記発泡体ロール75から引き出された除膜された発泡体21Aの下面に重なるようにして、前記除膜された発泡体21Aと共に前記積層ローラ77に供給し、前記積層ローラ77によって前記含浸後の繊維織物11Bの下面に積層するように構成されている。他の構成については第1実施形態の製造装置と同一である。なお、第1実施形態と第2実施形態において同一部分については同一の符号を用いて示した。前記樹脂フィルムロール79に巻かれている樹脂フィルム25Aは、前記繊維織物11Aに含浸させる樹脂62に対して非接着性の樹脂フィルム、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムなどからなる。また、前記樹脂フィルム25Aは、前記繊維織物11Aの幅と同一またはそれより大の幅を有し、厚みは0.05〜0.1mm程度が好ましい。
【0038】
図5に示した製造装置を用いる第2実施形態の製造方法について説明する。第2実施形態の製造方法では、第1実施形態と同様に、前記含浸後の繊維織物11Bの下面にセル膜の除去された発泡体21Aを配置する発泡体積層工程を行うと共に、前記樹脂フィルムロール79から樹脂フィルム25Aを引き出して前記積層ローラ77に供給し、前記含浸後の繊維織物11Bの下面に樹脂フィルム25Aを配置する樹脂フィルム積層工程を行う。
図6は積層ローラ77付近の平面図である。その後、前記含浸後の繊維織物11Bと除膜された発泡体21Aと樹脂フィルム25Aの積層体10Cを前記乾燥炉81に供給して乾燥工程を行う。次に、
図7に示すように、乾燥後の積層体10Dに対して前記カット機91で第1実施形態と同様に切断工程を行い、
図1の(1A)に示した前記樹脂の含浸した繊維織物11とセル膜の除去された発泡体21とからなるプリプレグ10を、下面に前記樹脂フィルムが付着した積層体30の状態で得る。前記プリプレグ10の下面の樹脂フィルムは、前記プリプレグ10の使用時に剥がされる。
【0039】
第2の実施形態の製造方法では、前記乾燥前において、前記含浸後の繊維織物11の下面から滲出する樹脂の垂れを、前記セル膜の除去された発泡体21Aと樹脂フィルム25Aとによって防止できる効果と、前記繊維織物の皺防止効果が得られる他に、前記セル膜の除去された発泡体21Aの下面に前記樹脂フィルム25Aが配置された状態で乾燥が行われるため、セル膜の除去された発泡体21A側で樹脂の乾燥程度を調整することができる。なお、樹脂フィルム積層工程は、前記発泡体積層工程の同時ではなく後に行ってもよい。例えば、前記積層ローラ77と前記乾燥機81の間に、樹脂フィルム積層ローラ(図示せず)を別に設けて、前記樹脂フィルム積層ローラに前記樹脂フィルム25Aを供給することにより、前記セル膜の除去された発泡体21Aの下面に樹脂フィルム25Aを配置してもよい。
【0040】
次に、
図1に示した2層構造のプリプレグ10と、前記樹脂の含浸した繊維織物11のみからなる1層構造のプリプレグ15を同時に製造することができる第3〜第6実施形態の製造方法ついて説明する。
【0041】
第3実施形態の製造方法では、前記第2実施形態で説明した
図5の製造装置において、前記発泡体ロール75に巻かれた除膜された発泡体21Aが、
図8に示すように、前記含浸後の繊維織物11Bの幅(前記幅方向Wの寸法)の1/2の幅からなり、前記発泡体積層工程において、前記除膜された発泡体21Aが、前記発泡体ロール75から前記積層ローラ77に供給され、前記含浸後の繊維織物11Bの下面における幅方向Wの中心から片側のみに配置される。また前記樹脂フィルム積層工程において、前記含浸後の繊維織物11Bの幅(繊維織物11の幅と等しい)と同一またはそれより大の幅の樹脂フィルム25Aが、前記樹脂フィルムロール79から前記積層ローラ77に供給され、前記含浸後の繊維織物11Bの幅全体にわたって、すなわち前記セル膜の除去された発泡体21Aの下面とセル膜の除去された発泡体21Aが配置されていない前記含浸後の繊維織物11Bの下面とに前記樹脂フィルム25Aが積層される。その後、前記樹脂フィルム25Aとセル膜の除去された発泡体21Aと含浸後の繊維織物11Bとからなる積層体10Cは、前記乾燥炉81に供給される。その際、前記含浸後の繊維織物11Bの下面にはセル膜の除去された発泡体21Aと樹脂フィルム25Aが存在するため、前記含浸後の繊維織物11Bの下面から滲出する樹脂が下方へ垂れることを防ぐことができる。
【0042】
前記乾燥炉81では前記乾燥工程が行われる。その際、前記含浸後の繊維織物11Bに含浸している樹脂の溶媒が気化して膨張したり、前記積層体10Cの側方から積層体10D内に空気が流入したりしても、含浸後の繊維織物11Bと樹脂フィルム25A間には、含浸後の繊維織物11Bの半分の幅にわたってセル膜の除去された発泡体21Aが存在するため、気化した溶媒や積層体10C内に流入した空気が前記セル膜の除去された発泡体21A内に分散し、前記含浸後の繊維織物11Bが膨らむのを防ぐことができ、前記乾燥炉81の出口付近で積層体10Dの温度が低下しても、前記含浸後の繊維織物11Bが弛んで皺を生じることがない。
【0043】
その後、乾燥後の積層体10Dは前記カット機91に供給されて
図9に示すように切断工程が行われる。前記カット機91の幅切断刃92は、前記積層体10Dの幅方向Wの中心位置、すなわち幅が半分の位置と、1/4の幅の位置の3箇所に配置され、前記乾燥後の積層体10Dは、前記セル膜の除去された発泡体21Aが積層されている部分と積層されていない部分との境界位置、すなわち積層体10Dの幅方向中心位置が中央の幅切断刃で切断され、また、前記セル膜の除去された発泡体21Aが積層されている部分と積層されていない部分との境界が、他の幅切断刃で切断され、4等分される。その後、前記カット機91の長さ切断刃94によって積層体10Dが切断されることにより、
図1の(1A)で示した前記2層構造のプリプレグ10が、下面に前記樹脂フィルムの付着した積層体30の状態で得られ、同時に、
図1の(1B)で示した前記樹脂の含浸した繊維織物のみからなる1層構造のプリプレグ15が、下面に前記樹脂フィルムの付着した積層体35の状態で得られる。前記プリプレグ10、15の下面に付着している前記樹脂フィルムは、プリプレグ10、15の使用時に剥がされる。
【0044】
第4実施形態の製造方法は、前記セル膜の除去された発泡体21Aが、前記含浸後の繊維織物11Bの幅の1/4とされ、前記発泡体積層工程で、
図10に示すように、前記含浸後の繊維織物11Bの下面における幅方向両縁に配置され、前記樹脂フィルム積層工程では、前記含浸後の繊維織物11Bの幅(繊維織物11の幅と等しい)と同一またはそれより大の幅の樹脂フィルム25Aが、前記樹脂フィルムロール79から前記積層ローラ77に供給され、前記含浸後の繊維織物11Bの幅全体にわたって、すなわち前記セル膜の除去された発泡体21Aの下面とセル膜の除去された発泡体21Aが配置されていない前記含浸後の繊維織物11Bの下面とに前記樹脂フィルム25Aが積層される。前記切断工程では、
図11に示すように、前記乾燥後の積層体10Dの幅中心位置と、幅方向両側の1/4の位置、すなわち前記セル膜の除去された発泡体21Aが配置されている部分と配置されていない部分との境界位置で、前記カット機91の幅切断刃92により切断されて4等分され、その後、前記カット機91の長さ切断刃94によって積層体10Dが切断されることにより、
図1の(1A)で示した前記2層構造のプリプレグ10が、下面に前記樹脂フィルムの付着した積層体30の状態で得られ、また、
図1の(1B)で示した前記樹脂の含浸した繊維織物のみからなる1層構造のプリプレグ15が、下面に前記樹脂フィルムの付着した積層体35の状態で得られる。前記プリプレグ10、15の下面に付着している前記樹脂フィルムは、プリプレグ10、15の使用時に剥がされる。第4実施形態の製造方法も他の実施形態と同様に、前記樹脂の垂れ、繊維織物の皺を防ぐことができる。
【0045】
第5実施形態の製造方法は、前記セル膜の除去された発泡体21Aが、前記含浸後の繊維織物11Bの幅の1/4のものとされ、前記発泡体積層工程で、
図12に示すように、前記含浸後の繊維織物11Bの下面における幅方向一側の縁から幅1/4の部分に積層され、隣の1/4の部分については前記セル膜の除去された発泡体21Aが積層されず、さらにその隣の1/4の部分については前記セル膜の除去された発泡体21Aが積層され、残りの1/4の部分については前記セル膜の除去された発泡体21Aが積層されないようにする。前記樹脂フィルム積層工程では、前記含浸後の繊維織物11Bの幅(繊維織物11の幅と等しい)と同一またはそれより大の幅の樹脂フィルム25Aが、前記樹脂フィルムロール79から前記積層ローラ77に供給され、前記含浸後の繊維織物11Bの幅全体にわたって、すなわち前記セル膜の除去された発泡体21Aの下面とセル膜の除去された発泡体21Aが配置されていない前記含浸後の繊維織物11Bの下面とに前記樹脂フィルム25Aが積層される。また、切断工程では、
図13に示すように、前記カット機91による幅切断刃92は、乾燥後の積層体10Dの幅方向の中心位置、すなわち幅が半分の位置と、1/4の幅の位置の3箇所に配置され、前記乾燥後の積層体10Dは、前記セル膜の除去された発泡体21Aが積層されている部分と積層されていない部分との境界位置で切断され、4等分される。その後、前記カット機91の長さ切断刃94によって積層体10Dが切断されることにより、
図1の(1A)で示した前記2層構造のプリプレグ10が、下面に前記樹脂フィルムの付着した積層体30の状態で得られ、また、
図1の(1B)で示した前記樹脂の含浸した繊維織物のみからなる1層構造のプリプレグ15が、下面に前記樹脂フィルムの付着した積層体35の状態で得られる。前記プリプレグ10、15の下面に付着している前記樹脂フィルムは、前記プリプレグ10、15の使用時に剥がされる。第5実施形態の製造方法も他の実施形態と同様に、前記樹脂の垂れ、繊維織物の皺を防ぐことができる。
【0046】
第6実施形態の製造方法は、前記セル膜の除去された発泡体21Aが、前記含浸後の繊維織物11Bの幅の1/2のものとされ、前記発泡体積層工程で、
図14に示すように、前記含浸後の繊維織物11Bの下面における幅方向の中央に積層される。前記樹脂フィルム積層工程では、前記含浸後の繊維織物11Bの幅(繊維織物11の幅と等しい)と同一またはそれより大の幅の樹脂フィルム25Aが、前記樹脂フィルムロール79から前記積層ローラ77に供給され、前記含浸後の繊維織物11Bの幅全体にわたって、すなわち前記セル膜の除去された発泡体21Aの下面とセル膜の除去された発泡体21Aが配置されていない前記含浸後の繊維織物11Bの下面とに前記樹脂フィルム25Aが積層される。また、切断工程では、
図15に示すように、前記カット機91の幅切断刃92が、乾燥後の積層体10Dの幅方向の中心位置、すなわち幅が半分の位置と、1/4の幅の位置の3箇所に配置され、前記乾燥後の積層体10Dは、前記セル膜の除去された発泡体21Aが配置されている中央部の中心位置、すなわち幅が1/2の位置と、両側の幅が1/4の位置、すなわちセル膜の除去された発泡体21Aが配置されている部分と配置されていない部分の境界位置で切断され、4等分される。その後、前記カット機91の長さ切断刃94によって積層体10Dが切断されることにより、
図1の(1A)で示した前記2層構造のプリプレグ10が、下面に前記樹脂フィルムの付着した積層体30の状態で得られ、また、
図1の(1B)で示した前記樹脂の含浸した繊維織物のみからなる1層構造のプリプレグ15が、下面に前記樹脂フィルムの付着した積層体35の状態で得られる。前記プリプレグ10、15の下面に付着している前記樹脂フィルムは、前記プリプレグ10、15の使用時に剥がされる。第6実施形態の製造方法も、他の実施形態の製造方法と同様に、前記樹脂の垂れ、繊維織物の皺を防ぐことができる。
【0047】
前記各実施形態の製造方法で製造されたプリプレグを用いる繊維強化成形体の製造について説明する。
片側表面のみにセル膜の除去された発泡体を有する繊維強化成形体を製造する場合、
図16の(16A)のように、ポリウレタン発泡体、メラミン樹脂発泡体等からなる芯材37の片面に樹脂の含浸した繊維織物11のみからなる前記プリプレグ15を配置し、また前記芯材37の他面には樹脂の含浸した繊維織物11とセル膜の除去された発泡体21が積層された2層構造の前記プリプレグ10を、前記樹脂の含浸した繊維織物11が芯材37を向くようにして配置し、次に
図16の(16B)のように、熱プレス装置45により熱プレスし、前記プリプレグ10及びプリプレグ15内に含浸して表面に付着している樹脂を硬化させることにより、前記芯材37の両面にプリプレグ10とプリプレグ15が積層一体化した繊維強化成形体を製造する。その際、前記セル膜の除去された発泡体を別に積層する必要がないため、作業効率がよい。なお、前記第1及び第2実施形態の製造方法では、樹脂の含浸した繊維織物11とセル膜の除去された発泡体21が積層された2層構造のプリプレグ10のみしか得られないため、別に製造した樹脂の含浸した繊維織物のみからなる1層構造のプリプレグ15を使用することになる。一方、第3〜第6実施形態では、樹脂の含浸した繊維織物11とセル膜の除去された発泡体21が積層された2層構造のプリプレグ10と樹脂の含浸した繊維織物11のみからなるプリプレグ15の両方が同時に得られるため、別にプリプレグ15を製造する必要がなく、効率がよい。
【0048】
また、前記芯材37の両側にセル膜の除去された発泡体を有する繊維強化成形体を製造する場合には、前記2層構造のプリプレグ10を前記芯材37の両側に配置して熱プレスを行うことにより、繊維強化成形体を得ることができる。
図17は、その場合の一例である。まず、
図17の(17A)に示すように、ポリウレタン発泡体、メラミン樹脂発泡体等からなる芯材37の両面に、樹脂の含浸した繊維織物11とセル膜の除去された発泡体21が積層された2層構造の前記プリプレグ10(一側のプリプレグを10α、他側のプリプレグを10βとする)を配置する。その際、一側のプリプレグ10αについては前記樹脂の含浸した繊維織物11が芯材37の一面を向くようにし、他側のプリプレグ10βについては、前記セル膜の除去された発泡体21が芯材37の他面を向くようにするのが、前記プリプレグ10と芯材37の一体化がより強固となるために好ましい。また、樹脂の含浸した繊維織物11とセル膜の除去された発泡体21が積層された2層構造のプリプレグ10のみを利用するため、樹脂の含浸した繊維織物のみからなるプリプレグ15を別に製造する必要もなく、前記第1及び第2実施形態の製造方法で得られる2層構造のプリプレグ10を有効に利用できるため、効率がよい。次に
図17の(17B)のように、熱プレス装置45により熱プレスし、前記プリプレグ10内に含浸している樹脂及び表面に滲出してきた樹脂を硬化させることにより、前記芯材37の両面にプリプレグ10が積層一体化した繊維強化成形体を製造する。なお、前記芯材37の両面に積層する2層構造の前記プリプレグ10(10α、10β)は、両方とも樹脂の含浸した繊維織物11が芯材37と接するようにしてもよい。
【実施例】
【0049】
・実施例1
図2に示した製造装置を用い、繊維織物として平織の炭素繊維織物(東邦テナックス株式会社製、品名;W−3101、繊維重さ200g/m
2)を幅1000mmにして用い、樹脂としてフェノール樹脂(旭有機材料株式会社製、品名;PAPS−4と旭有機材料株式会社製、品名;ヘキサメチレンテトラミンを100:12で混合したもの)をメタノールに30wt%の濃度となるように溶解したフェノール樹脂溶液を用い、セル膜の除去された発泡体として溶解処理によりセル膜を除去したポリウレタン発泡体(株式会社イノアックコーポレーション製、品名;MF−50、嵩比重0.03、セル数50個/25mm)を、厚み0.4mm、幅1050mmにしたものを用い、また、幅切断刃同士の間隔を250mm、繊維織物の供給速度(引き取り速度)を0.3m/分、乾燥温度を125℃とし、第1実施形態の製造方法により、樹脂の含浸した繊維織物にセル膜の除去された発泡体が積層された第1実施例のプリプレグを製造した。
【0050】
・実施例2
図5に示した製造装置を用い、樹脂フィルムとして厚み0.05mmのPETフィルムを用い、他は第1実施例の部材及び条件とし、第2実施形態の製造方法により、樹脂の含浸した繊維織物にセル膜の除去された発泡体が積層された第2実施例のプリプレグを、下面にPETフィルムが積層された状態で製造した。
【0051】
・実施例3
図5に示した製造装置を用い、実施例2におけるセル膜を除去したポリウレタン発泡体の幅を、繊維織物の半分の幅とし、他の部材及び条件を実施例2と同様にし、第3実施形態の製造方法により、樹脂の含浸した繊維織物にセル膜の除去された発泡体が積層された実施例3Aのプリプレグと、樹脂の含浸した繊維織物のみからなる実施例3Bのプリプレグを、それぞれの下面にPETフィルムが積層された状態で製造した。
【0052】
・実施例4
図5に示した製造装置を用い、実施例2におけるセル膜を除去したポリウレタン発泡体の幅を、繊維織物の1/4の幅とし、他の部材及び条件を実施例2と同様にして第4実施形態の製造方法により、樹脂の含浸した繊維織物にセル膜の除去された発泡体が積層された実施例4Aのプリプレグと、樹脂の含浸した繊維織物のみからなる実施例4Bのプリプレグを、それぞれの下面にPETフィルムが積層された状態で製造した。
【0053】
・比較例
実施例2において、セル膜の除去された発泡体を省略して、樹脂の含浸した繊維織物からなるプリプレグを下面にPETフィルムが積層された状態で製造した。
このようにして製造した各実施例及び比較例のプリプレグについて、繊維織物の表面を目視で確認した結果、実施例は何れも皺の無いものであったが、比較例には皺があった。また、ある一定当たり(50cm角)の面積の重量を測定することにより樹脂の含浸濃度を確認した結果、実施例のプリプレグはいずれも濃度がほぼ均一であったが、比較例は含浸濃度のバラツキが大きかった。
【0054】
このように、本発明のプリプレグと繊維強化成形体は、セル膜の除去された発泡体を表面に有する繊維強化成形体の効率的な製造を可能とするものである。また、本発明は、外観塗装により表面平滑性が得られ、繊維が交差して重なり合う部分と織り目の隙間部分との間で段差のない繊維強化成形体が得られる。