特許第5661938号(P5661938)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5661938
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】Ni−Fe−Cr−Mo−合金
(51)【国際特許分類】
   C22C 30/02 20060101AFI20150108BHJP
   B23K 35/30 20060101ALI20150108BHJP
   B23K 20/04 20060101ALI20150108BHJP
   B23K 20/08 20060101ALI20150108BHJP
【FI】
   C22C30/02
   B23K35/30 320Z
   B23K20/04 A
   B23K20/04 B
   B23K20/08 Z
【請求項の数】22
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-535279(P2013-535279)
(86)(22)【出願日】2011年10月20日
(65)【公表番号】特表2014-500907(P2014-500907A)
(43)【公表日】2014年1月16日
(86)【国際出願番号】DE2011001875
(87)【国際公開番号】WO2012059080
(87)【国際公開日】20120510
【審査請求日】2013年5月28日
(31)【優先権主張番号】102010049781.9
(32)【優先日】2010年10月29日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】399009918
【氏名又は名称】ファオデーエム メタルズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】VDM Metals GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】エレナ アルベス
(72)【発明者】
【氏名】ライナー ベーレンス
【審査官】 河口 展明
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−509751(JP,A)
【文献】 特開平01−111841(JP,A)
【文献】 特開昭64−025936(JP,A)
【文献】 特表2012−527391(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 30/00−30/06,38/00−38/60
B23K 35/00−35/12,35/16−35/34,35/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Ni 33.5〜35質量%
Cr 26〜28質量%
Mo 6〜7質量%
Cu 0.5〜1.5質量%
Mn 1.0〜4質量%
Si 最大0.1質量%
Al 0.01〜0.3質量%
C 最大0.01質量%
N 0.1〜0.25質量%
B 0.001〜0.004質量%
希土類元素 0.001〜0.1質量%
Fe 残り (不可避の不純物を含む)
からなる合金。
【請求項2】
Ni含有率が33.5〜34.5質量%であることを特徴とする、請求項1に記載の合金。
【請求項3】
Mn含有率が1.5〜3.5質量%であることを特徴とする、請求項1または2に記載の合金。
【請求項4】
Mn含有率が1.5〜3.0質量%であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の合金。
【請求項5】
Mn含有率が1.5〜2.6質量%であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の合金。
【請求項6】
Mn含有率が1.5〜2.0質量%であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の合金。
【請求項7】
窒素含有率が0.14〜0.22質量%であることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の合金。
【請求項8】
セリウムのミッシュメタルによる希土類元素の含有率が、0.001と0.1%との間であることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の合金。
【請求項9】
希土類元素の合計が最大0.06質量%であることを特徴とする、請求項8に記載の合金。
【請求項10】
孔食指数 PREN(=Cr[質量%]+3.3Mo[質量%]+30N[質量%])が50以上であることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の合金。
【請求項11】
前記孔食指数 PRENが54以上であることを特徴とする、請求項10に記載の合金。
【請求項12】
高い塩化物イオン濃度を有する水性の中性媒体または酸性媒体中で、孔食および/または隙間腐食に対する良好な腐食耐性を有する部品の製造のための材料としての、請求項1から11までのいずれか1項に記載の合金の使用方法。
【請求項13】
1000ppmまでの塩化物イオン濃度を有する工業用リン酸中で、100℃で0.20mm/年未満の侵食速度を有する部品の製造のための材料としての、請求項1から11までのいずれか1項に記載の合金の使用方法。
【請求項14】
20000ppm以上のオーダーの塩化物イオン濃度を有する水性の中性媒体中、75℃で少なくとも1000mVHの孔食電位、および90℃で少なくとも800mVHの孔食電位を有する部品の製造のための材料としての、請求項1から11までのいずれか1項に記載の合金の使用方法。
【請求項15】
40000ppm以上のオーダーの塩化物イオン濃度を有する水性の中性媒体中、75℃で少なくとも1000mVHの孔食電位、および90℃で少なくとも800mVHの孔食電位を有する部品の製造のための材料としての、請求項1から11までのいずれか1項に記載の合金の使用方法。
【請求項16】
50000ppm以上の塩化物イオン濃度を有する酸性媒体中で、少なくとも80℃の臨界孔食温度および少なくとも50℃の臨界隙間腐食温度を有する部品の製造のための材料としての、請求項1から11までのいずれか1項に記載の合金の使用方法。
【請求項17】
ASTM G 28、Practice Aによる条件下で、粒界腐食に対して耐久性があり、且つ、0.5mm/年未満の侵食速度を有する部品の製造のための材料としてしての、請求項1から11までのいずれか1項に記載の合金の使用方法。
【請求項18】
酸性ガス耐久試験の条件下で、応力き裂腐食および孔食がない部品の製造のための材料としての、請求項1から11までのいずれか1項に記載の合金の使用方法。
【請求項19】
テープ、板、および管のための請求項1から11までのいずれか1項に記載の合金の使用方法。
【請求項20】
棒、鋳造部品、およびワイヤとしての、同様に、溶接ワイヤとしての請求項1から11までのいずれか1項に記載の合金の使用方法。
【請求項21】
クラッド法に供される支持材料としての請求項1から11までのいずれか1項に記載の合金の使用方法。
【請求項22】
前記支持材料がロールクラッド法または爆発クラッド法に供される、請求項21に記載の合金の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はNi−Fe−Cr−Mo−合金、殊にEN−材料番号1.4562による改良合金、並びにその使用に関する。
【0002】
材料番号1.4562の合金は、平均して以下の化学組成(質量%での基準値)を有する: Ni 31%、Mn 1.7%、Cr 27%、Mo 6.5%、Cu 1.3%、N 0.2%。
【0003】
DE3223457号A1は、殊に、深いボーリング穴の高負荷に耐えることができる外包の製造のための合金、または応力き裂腐食に対する耐性を高められた前記合金であって、C ≦0.1%、Mn 3〜20%、S ≦0.005%、Al ≦0.5%、Cr 22.5〜35%、W 0〜8%、Si ≦1%、P ≦0.03%、N 0〜0.3%、Ni 25〜60%、Mo 0〜4%、Cu 0〜2%、SE 0〜0.1%、Mg 0〜0.1%、Ca 0〜0.1%、Co 0〜2%、Y 0〜0.2%、Ti 0〜0.5%からなり、ここで、
Cr(%)+10Mo(%)+5W(%) ≧50%
1/2Mn(%)+Ni(%) ≧35(%)
1.5% ≦Mo(%)+1/2W(%) <4
からなる合金に関する。
【0004】
US5841046号は、孔食指数(Wirksumme) PREN>55を内包する、高強度で腐食耐性のあるオーステナイトステンレス鋼を記載している。以下の組成(質量%)の合金が紹介されている: 最大0.08%のC、0.5〜12.5%のMn、20〜29%のCr、17〜35%のNi、3〜10%のMo、>0.7%のN、1.0%までのSi、0.02%までのB、0.02%までのMg、0.05%までのCe、残りの鉄。24〜28%の間のクロムを含有する場合、ニッケル含有率は21〜23%の間に定められ、この場合、孔食指数PRENは49〜65の間を変動する。この従来技術の際、極めて高い窒素含有率が重要である。
【0005】
US4824638号においては、以下の化学組成(質量%)の腐食耐性の合金が記載されている: 20.5〜32のニッケル、23.5〜27.5%のクロム、4〜6.7%のモリブデン、0.7〜3.6%の銅、0.09%までの炭素、1.5%までのケイ素、5%までのコバルト、0.45%までの窒素、1%までのチタン、0.8%のニオブ、0.3%までの希土類元素(Ce、La、ミッシュメタル)、2%までのマンガン、1.6%までのタンタル、残りの鉄、ここで、ニッケルとコバルトとの含有率の合計は、25.5〜32%の間であり、且つ、クロム含有率は2〜6.2%だけ上回っている。
【0006】
EP0292061号A1によって、(質量%で)30〜32のNi、26〜28のCr、0.5〜1.5%のCu、最大2%のMn、最大1%のSi、最大0.2%のAl、最大0.02%のC、残りの鉄(不可避の混入物を含む)を有し、さらにまた、6〜7%のMoおよび0.1〜0.25%のNを含有する合金が公知になっている。
【0007】
EP0292061号A1による合金は、高い塩化物イオン濃度を有する、水性の中性媒体または酸性媒体中で、殊に孔食および/または隙間腐食に対する良好な腐食耐性を有さなければならない部品の製造のために適している材料を使用できるようにするために開発された。それらは、100℃で1000ppmまでの塩化物イオン濃度を有する工業用リン酸中で、0.20mm/年より低い侵食速度を有さなければならない部品の製造のためにも使用可能であるとのことである。それらは同時に、75℃で20000ppmのオーダーにおける塩化物イオン濃度を有する水性の中性媒体中で、少なくとも1000mVH、および90℃で少なくとも800mVHの孔食電位を有さなければならない部品の製造のためにも適しているとのことである。それらは、50000ppm以上の塩化物イオン濃度を有する酸性媒体、例えばFeCl3溶液中で、少なくとも80℃の臨界孔食温度および少なくとも50℃の臨界隙間腐食温度を有さなければならない部品の製造のための原材料としてさらに適しているとのことである。
【0008】
その結果、この従来使用されてきた合金は、実際のところ、定められた期待を十二分に満たしている。しかしながら、この合金について、脆性のシグマ相の溶解のための溶体化焼鈍温度が非常に高く(VdTUV材料シート509/1、2009年12月版によれば1150〜1180℃でなければならない)、水中でのクエンチを用いて、または圧縮空気によって補助することで、温度範囲を650℃へと迅速に推移させるように、引き続き急速冷却されることを追加的に伴うという欠点が判明している。厚い壁の部品の際にもシグマ相の完全な溶解を確実にするために、実務上は少なくとも、1180℃の上の方の温度を使用しなければならない。ここで、例えばサンドイッチ式パッケージの(Sandwichpaket)大きな板サイズのホットクラッド法の際に、または厚い壁の容器の底のホットプレスの際に、かかる溶体化焼鈍処理を製造工程に組み込まなければならないケースが生じる。この場合、この合金について予期される高い孔食および隙間腐食温度がシグマ相の分離のために達成されないという点で、前記で挙げられた溶体化焼鈍および冷却条件を保持できないことが判明している。
【0009】
クロム24〜26%、およびモリブデン7〜8%の、類似の含有率を有する合金(UNS 32654/654 SMO)について、文献(Rechsteiner ETH Zuerich Publ. No.:10647)内で、シグマ−ソルバス(Sigma Solvus)温度の合金成分依存性について以下の実験式が見出される:
シグマ−ソルバス=24.6Cr+6.7Mn+50.9Mo+92.2Si−9.2Ni−17.9Cu−230.4C−238.4N+447 (元素の単位: 質量パーセント)。
【0010】
従って、クロム、モリブデン、ケイ素およびマンガンの元素は、シグマ−ソルバス温度を高め、ニッケル、銅および殊に窒素の元素は、シグマ−ソルバス温度を下げる影響を与える。
【0011】
本発明は、従来の合金の長所を失うことなく冒頭に記載された技術的な要求を満たす合金を提供するという課題に基づいている。
【0012】
この課題は、以下を(質量%で)有する合金によって解決される:
Ni 33〜35%
Cr 26〜28%
Mo 6〜7%
Cu 0.5〜1.5%
Mn 1.0〜4%
Si 最大0.1%
Al 0.01〜0.3%
C 最大0.01%
N 0.1〜0.25%
B 0.001〜0.004%
希土類元素(SE) >0〜1%
Fe 残り(不可避の不純物を含む)。
【0013】
本発明による合金の有利なさらなる形態は、従属の下位請求項に記載される。
【0014】
意外なことに、1150〜1180℃またはそれより高い、冒頭に挙げられた高い溶体化焼鈍温度範囲が、この合金のニッケル含有率を33.0〜35.0質量%に上げる場合に、明らかに低下されることが判明した。平均ニッケル含有率34質量%の場合、以前の31質量%と比べて、溶体化焼鈍温度範囲を少なくとも30℃だけ下げ、少なくとも1120〜1150℃へと下げることができる。さらに、窒素の溶解度を高めることによってマンガン含有率を高めることは、冶金学的に安定性に良い結果をもたらすことが判明した。マンガンと同様に窒素自体も、オーステナイト組織の安定剤として役立つ。さらに、マンガンは、材料の熱間加工性を妨げる硫黄を結合する。通常、材料1.4562は、平均約1.7質量%のマンガン含有率で製造される。ここで、窒素の合金化と組み合わせてマンガン含有率を1.8〜2.6質量%に高めることが、追加的なオーステナイトの安定化によって、必要な温度がまだ幾分さらに低下され且つ必要な時間が短縮され得ることにより、溶体化焼鈍処理を容易にすることが判明した。しかしながら、高すぎるマンガン含有率は、腐食耐性を阻害し、そのことは、例えば試験溶液「Gruener Tod」内での測定の際に示される。
【0015】
従って、マンガン含有率を高めることは周知ではない。実際に実施された、マンガンについての研究室での溶融では、金属組織試験によって、シグマ−ソルバス温度において高める作用を見出すことができたが、しかしながら、その見かけ上の欠点は、合金マトリックス中での窒素の溶解度の改善によって帳消しにされる。この窒素は、Rechsteiner ETH Zuerichによれば、Tシグマ−ソルバスを低下させ、且つ、以下のとおりのRPEN式に従う塩化物含有媒体中での孔食に対する腐食耐性を高めるために使用可能である。
【0016】
PREN: Cr+3.3Mo+30N
【0017】
定義された本発明によるマンガン添加によって高められた窒素溶解度は、金属窒化物としての、窒素のクロムへの結合の低減をみちびく。これにより、腐食耐性を高めるために使用可能である、有効な量のクロムCreffが増加される。
【0018】
Creff = Cr−10Cr(C+N)
【0019】
クロム、モリブデン、および窒素の重量含有率からの孔食指数 PERN(=Cr[質量%]+3.3Mo[質量%]+30N[質量%])は、新規の合金について、例えば合金1.4562より平均50上の値であるべきである。それらから製造された部品は、ASTM G 28、Practice Aによる条件下で、粒界腐食に対する耐久性があり、且つ、溶体化焼鈍状態において0.5mm/年未満の侵食速度を有するべきである。最後に、それらは、侵食性の酸性ガス耐久試験(Sauergas−Pruef−Test)の条件下で応力き裂および孔食があってはならない部品の製造のためにも適している。
【0020】
改良合金のさらなる本発明による特徴は、希土類元素(SE)、好ましくはセリウムのミッシュメタルを用いることである。これが所定の程度で添加される場合、マンガンの有効性の他に、硫黄のさらなる結合によって、殊に熱間加工の際の良好な作業性に貢献する。SE、殊にセリウムのミッシュメタルの含有率は、0.001〜0.1%の間である。好ましい範囲は、約0.06%に設定される。
【0021】
セリウムのミッシュメタルは、セリウムの他に、ランタン、ネオジム、プラセオジウム、サマリウム、テルビウムおよびイットリウム並びに微量の他の希土類金属を含有する。
【0022】
殊に熱間加工の際の作業性を改善するために、多方面で使用可能なニッケル−鉄−クロム−モリブデン合金(EN材料番号1.4562)から出発して、ニッケル含有率およびマンガン含有率を最適化することが提案される。この手法で、工業用リン酸および他の工業用酸に対する、並びに孔食および隙間腐食の攻撃に対する合金の耐久性を低下させることなく、シグマ相の溶体化焼鈍温度を著しく下げることができる。
【0023】
以下に、本発明による合金の好ましい使用目的を挙げる:
・ 高い塩化物イオン濃度を有する水性の中性媒体または酸性媒体中で、殊に孔食および/または隙間腐食に対する良好な腐食耐性を有さなければならない部品の製造のための材料として;
・ 1000ppmまでの塩化物イオン濃度を有する工業用リン酸中で、100℃で、0.20mm/年未満の侵食速度を有さなければならない部品の製造のための材料として;
・ 45000ppmのオーダーの塩化物イオン濃度を有する水性の中性媒体中で、75℃で少なくとも1000mVHの孔食電位、および90℃で少なくとも800mVHの孔食電位を有さなければならない部品の製造のための材料として;
・ 50000ppm以上の塩化物イオン濃度を有する酸性媒体、例えばFeCl3溶液中で、少なくとも80℃の臨界孔食温度および少なくとも50℃の臨界隙間腐食温度を有さなければならない部品の製造のための材料として;
・ ASTM G 28、Practice Aによる条件下で、粒界腐食に対する耐久性があり、且つ、溶体化焼鈍状態において0.5mm/年未満の侵食速度を有する部品の製造のための材料として;
・ 酸性ガス耐久試験の条件で、応力き裂および孔食がない部品の製造のための材料として。
【0024】
本発明による合金を、好ましくはテープ、板、棒、および鋳造部品、管およびワイヤの製造のために、同様に、溶接ワイヤとして用いることができる。
【0025】
高い溶体化焼鈍温度に基づき、従来、材料番号1.4562による合金を用いて製造が困難であったロールクラッドまたは爆発クラッドによる部品を、今や、溶体化焼鈍温度の低下によって、より容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明による研究室のバッチLB2149を示す図である。
図2】ASTM G 48−Cにおける3426hMoおよび3127hMoの孔食温度を示す図である。
【0027】
表1は、研究室で溶融された合金(LB2151)、量産技術による溶融物(Nicrofer 3426 hMo)における本発明による実施例、並びに従来技術に分類される合金(LB2149)を開示し、殊にそれらの化学組成および試験結果を開示する。
【0028】
【表1】
表1
【0029】
研究室のバッチLB2149は、特許請求されるNi範囲外であるNi含有率を有する。
【0030】
金属組織:
組織はシグマ相がなく、且つ完全に再結晶化している。
【0031】
22mm板の機械的値
室温での引っ張り試験: 横断面試料
【0032】
【表2】
【0033】
硬度測定
HRB 84
【0034】
ノッチ衝撃: 横断面試料
262 Joule (Av)
【0035】
腐食測定 「Gruenen Tod」中での臨界孔食温度
試験媒体Gruenen Todにおける臨界孔食温度の試験は、55℃の規定温度を上回ったという結果が得られた。
【0036】
クロム、モリブデン、および窒素からの、計算された有効PRENは、本発明の合金についてPREN=54であり、従って、公知の合金1.4562よりも50高い数値である。
【0037】
ASTM G48 Cによる臨界孔食温度
22mmの圧延板からの試料は、ASTM G48 C試験において、90〜100℃の間の臨界孔食温度に達した。比較としての、5mmの板からの材料1.4562の試料は、この試験において、最大温度95℃に達した。
【0038】
腐食試験 ASTM G 28、Practice A (粒界腐食)
結果として、0.19mm/年の値が得られ、この場合、研磨面において粒界腐食は認められなかった。
図1
図2